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透水面分布の連続性に着目した広域分析の試み

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Academic year: 2021

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熊谷:〒572-8508 大阪府寝屋川市池田中町17-8 摂南大学 工学部 都市環境システム工学科 TEL & FAX072-839-9122

E-mail:[email protected]

透水面分布の連続性に着目した広域分析の試み

熊谷樹一郎,植松恒,大谷隆二

Attempt to Analyze the Spatial Continuity of Pervious Surface Distribution on a Regional Scale

Kiichiro KUMAGAI, Hitoshi UEMATSU, and Ryuji OTANI

Abstract: In this study, we tried to extract the spatial continuity of pervious surface distribution on a regional scale. We estimated impervious surface distribution using remotely sensed data through the spectral mixture analysis in order to analyze a heat island phenomenon. The calculation results were applied to spatial autocorrelation analysis so as to extract the spatial continuity. We verified the results of the proposed method through the investigation of land cover around the extracted areas. In addition, the relationship between the extracted results and the meteorological observation data was discussed.

Keywords:不透水面率推定法(impervious surface estimation technique),空間的自己相関分析 (spatial autocorrelation analysis),SSC(spatial scale of clumping),地球観測衛星 データ(remotely sensed data)

1. はじめに

ヒートアイランドによる影響は,生態系の変化 など動植物へのものから熱中症など人体に対するも のまでと,さまざまである.ヒートアイランドによ る熱汚染は 21世紀に残された「最後の公害」とも 称されており,緩和策を早急に講じていくことが喫 緊の課題である.一方で,ヒートアイランドは,長 期間にわたる都市化の結果として現れてきた環境問 題であるため,その解決には,都市構造の見直しも 見据えた総合的な対策を計画的に実施していく必要 がある(大阪府,2004).

ヒートアイランド対策の一つとして,緑地から の冷気の滲み出しや海風,斜面気流などの風を効果 的に都市部へと導くアプローチである「風の道」の 確保が注目されている.「風の道」の確保には,緑 地などの透水面の保全を図るとともに,広域的な観 点から透水面が連続する箇所の形成を推進する必要 性が指摘されており(環境省,2004),透水面の空間 的な連続性を広範囲から把握する手法の開発が望ま れる.

広範囲の透水面分布を推定する手法として,地 球観測衛星データ(以降,衛星データと呼ぶ)を混合 スペクトル分析に適用した不透水面率推定法がある (Wu・Murray,2003).筆者らは,この推定法が土 地被覆・土地利用の混在した地域で適用された例が 見られないことに着目し,日本国内における適用性

(2)

を検討するとともに,観測時期の異なる2時期の衛 星データを用いることで透水面分布の変遷の把握を 試みてきた(熊谷・植松,2008).

一方で,不透水面率推定法より得られた結果を実 際のヒートアイランド対策に活用しようとする試み はこれまで見られていない.そこで,本研究では,

不透水面率推定法より得られた結果を空間的自己相 関分析に応用することで,透水面分布が連続する箇 所の抽出を試みた.さらに,AMeDASデータと大 気汚染常時監視測定局データを用いた抽出結果の検 証を通じて,透水面分布と降水量や気温,風速との 関係を考察した.

2.対象領域と対象データ 2.1 対象領域

対象領域は,大阪府全域とした.大阪府は北摂山 系や金剛生駒山系,和泉葛城山系に囲まれていると ともに,淀川や大和川といった河川が都心部を縫う ように大阪湾へと流れており,大規模な透水面や水 面が周囲や中央部に存在する.さらに,大阪府では

「大阪府ヒートアイランド対策推進計画」を策定し,

総合的な対策を中長期的な視点で実施している(大 阪府,2004).

2.2 対象データ

対象としたデータは,2000 8 25日観測の Landsat ETM+(空間分解能:30m×30m)データであ る.Landsat ETM+は大阪府を含む約185km四方を1 シーンとして同時に観測できることから,得られた データは広域分析に適したものとなる.また,後の 処理に備え,MODTRAN に基づいた大気補正処理 を実施し,DN値を反射率に変換した後,幾何補正 を行っている.

3.空間的な位置関係を考慮した透水面分布の連続 箇所の抽出

3.1 不透水面率推定法の導入

混在した土地被覆状態を分析する手法として,画 素内の反射率を構成する代表的な要素の面積占有率 を推定するアプローチがあり,混合スペクトル分析 と呼ばれている.Wu・Murray(2003)は,反射率の

構成要素を植生面・土壌面・ハイアルベド面・ロー アルベド面の4つとし,混合スペクトル分析を適用 することで個々の面積占有率を算出している.ハイ アルベド面をコンクリート構造物表面,ローアルベ ド面をアスファルト舗装面として,この2面の占有 率の総和を求めることで不透水面率が推定される.

本研究では,混合スペクトル分析に最小2乗法の考 えを用いて不透水面率(以降,衛星不透水面率と呼 ぶ)を算出した.検証領域(3km×3km)を選定し,

そ の 領 域 の QuickBird デ ー タ ( 空 間 分 解 能 : 0.6m×0.6m)を目視判読することで作成した検証用の 不透水面率と衛星不透水面率との RMS 誤差(Root Mean Square Error)を算出することで,不透水面率 推定法の精度を検証した.その結果,RMS 誤差 12.3%を得た.

3.2 空間的自己相関分析の応用

本研究では,衛星不透水面率を基に距離パラメー

dを135m945mまで90mピッチで変化させながら,

空間的自己相関分析を適用した.「正の空間的自己 相関あり」と判別された各距離パラメータ dの結果 を層状に重ね合わせることで正のSSC(Spatial Scale of

Clumping)を作成した(熊谷・前田,2008).作成概念

を図-1に,作成した正の SSCを図-2にそれぞれ示す.

-1 Aの領域は,近傍から遠方にかけて不透水面 の被覆量の多い箇所が集積していると解釈できる.

一方で,Dの領域については,近傍で透水面の多く 存在する箇所が混在しているものの,遠方まで見る と不透水面の被覆量が多い箇所が集積していると判 別される領域である.つまり,Dの領域はAの領域 に比べて,透水面が分布している可能性の高い領域 と解釈できる.

図-1 SSC作成概念

(3)

3.3 透水 正の SSC 析を応用し,

郊外部や海域 数の最も増

(図-1矢印 透水面分布の では,正の えられる正 いる可能性が 続箇所を透水 での広域な分 小市町村の最 のように12

4.結果と考 4.1 透水 抽出した透 とを比較す データとして 樹林などの種 を用いて,衛 合(以降,透

-3に示すよ

内の領域に含 透水面率と呼 メータ dmax

た上で,そ 透水面率と 水面率とを検 4に示す.全 図-2 正 透水面軸 SSCの層数

無し

水面軸の抽出 を地形データ

谷線を抽出 域から層数の えにくい谷線

),との仮説 の連続箇所と

SSCの特徴

SSCの最 が高い最下層 水面軸と定義 分析を考えて 最短の幅(約 23本の透水面

考察

水面軸の検証 透水面軸上の ることで透水 て,大阪府が 種類別に分類 衛星不透水面 透水面率と呼 うに透水面軸 含まれる透水 呼ぶ)を算出 から 2dmax こに含まれる して算出した 検定統計量を 全ての距離パ 正のSSCと透水

タとみなした 出した.正の

の多い地域に 線に沿って透 説に基づき,

と設定した.

徴に着目し,都 最上層から透水 層まで連なる 義した.また ていることか 2km)以上 面軸を抽出した

の土地被覆と周 水面軸を検証 が航空写真を 類したみどり 面率の 1画素 呼ぶ)を整備 軸から各距離パ 水面率の平均値 出した.また の間の領域を比 る透水面率の た.軸上透水 を用いて比較し パラメータ d

水面軸

た上で,水系網

SSCにおいて

近づくなかで 透水面が存在す 抽出した谷線 さらに,本研 都市中心部と 水面が分布し 透水面分布の

,都府県レベ ら,大阪府の 上の軸とし,図

た.

周辺の土地被 証した.検証用 目視判読によ の分布図デー 素内の透水面の した.次に,

パラメータd 値(以降,軸

,最大距離パ 比較の対象と 平均値を比較 面率と比較用 した.結果を

において有意 図-3 透水面

網解 て,

で層 する 線を 研究 と考 して の連 ベル の最 図-2

被覆 用の より ータ の割 d 軸上 パラ とし 較用 用透 を図- 意水

上透 4 4

1m 気汚 デー 総合 た観 証領 策地 度デ

透水 観測 -6 に位 面軸検証の概念

2dmax

dmax

d

1%(検定統

透水面率の方 した.

.2 気象観

.2.1 気

1998年から2

て,典型的な

.① 枚方,大 の日照時間が 阪,生駒山,

mm未満の場

汚染常時監視 ータを整備し 合研究所「大 ファイル」か 観測局の立地 領域を大阪府 地域に絞り込 データへの局 タをあらかじ

.2.2 透 夜間の風の穏 が有する周辺 水面での蒸発 測所で 1mm を採用した.

では,横軸を から各調査範 位置する観測 している.検 内に含まれる

図-4 0.

3.

6.

9.

12.

統計量2.326 方が透水面率

観測データを 気象観測デー 2002年の8 8月の晴天

大阪,生駒山 8時間以上 堺における 場合である.選

視測定局の一 した.これら 大阪府地域大 から提供して 地状況を図-5 府が指定する 込むとともに 局所的な影響 じめ除いてい 透水面軸の冷 穏やかな時間 辺地域への冷 発散による効 m以上の降水 午前4時で を調査範囲,

範囲内に含ま 測局の温度デ 検定統計量が る温度データ 軸上透水面率 0

0 0 0 0

945 855 765

調査

以上)を満たし 率の高い値を示

用いた考察 ータの選定

月のAMeDAS

天日を以下の条 山,堺におけ 上,かつ,② 1日あたり

選定した晴天 一般局の気温と は,大阪府環 大気汚染常時監 いただいた.

に示す.本研 ヒートアイラ

,室外機や冷 響が懸念される る(鳴海ほか 冷却効果の把握

帯での,抽出 冷却効果の把握 効果を仮定して が前日に観測 での結果を図-6 縦軸はそれぞ れる観測局と データの差を検 正側に振れれ の方が低い値 率と比較用透水面

675 585 495 405 315

査範囲(m

しており,軸 示すことを確

Sデータを用 条件で選定し ける 1日あた

枚方,豊中 りの降水量が 天日を基に大 と風速,風向 環境農林水産 監視測定デー 検証に用い 研究では,検 ランド優先対 冷却塔など温 る観測局のデ か,2008).

出した透水面 握を試みた.

て,条件②の 測された晴天 6に示す.図 ぞれの透水面 と調査範囲外 検定統計量で れば,調査範 値を示す.図

面率の比較

315 225 135

1%

中,

(4)

-6より,調査範囲が小さい場合で有意な結果を示す 傾向が確認できる.緑地からの冷気のにじみ出しは,

250m程度周辺まで影響を及ぼすとの指摘もあるこ とから(成田ほか,2004),得られた結果は透水面軸 の冷却効果を示唆したものと考えられる.

4.2.3 海風との関係

海風と透水面軸との関係を把握するために,海風 が発達する晴天日を選定した.選定条件は,海に近 い此花区役所と平尾小学校,旧住之江小学校の3 所における風向の測定結果より,10時~19時にお ける風向の全てが海側から(NW~SSW)の晴天日

(以降,海風日と呼ぶ)である(竹林・森山,2005).

4.2.2と同様に,検定統計量を用いて海風日におけ

る透水面軸と温度データの関係を検証した.観測局 により海風の到達時刻が異なることを考慮し,10 時~19時の温度データの平均を用いた.結果を図-7 に示す.図-7より,全ての調査範囲で有意水準 1%

(検定統計量2.358以上)を満たしており,透水面軸 近傍に位置する観測局の方が海風による影響を受け る傾向を確認した.一方で,海風は海からの距離な どにも影響を受ける現象であるため,今後より詳細 な検討が必要である.

5.おわりに

本研究では,衛星不透水面率に空間的自己相関分 析を応用し,透水面軸を抽出した.整備した透水面 率を用いた検証より,透水面軸抽出手法の妥当性が 明らかとなった.さらに,気象観測データを用いた 検証を通じて,透水面軸の周辺地域に対する冷却効 果を示唆する結果を得るとともに,海風日での透水 面軸の有用性を確認した.

謝辞

本研究では,大阪府環境農林水産総合研究所の

「大阪府地域大気汚染常時監視測定データファイル」

より観測データを提供していただきました.記して 感謝いたします.

【参考文献】

大阪府(2004),大阪府ヒートアイランド対策推進計

画,49.

環境省ヒートアイランド対策関係府省連絡会議 (2004),ヒートアイランド対策大綱,18.

熊谷樹一郎,植松恒(2008)観測時期の異なる地球観 測衛星データを用いた不透水面率の推定,地理情報 システム学会講演論文集,539-542.

熊谷樹一郎,前田壮亮(2008)事前広域評価支援を目 的とした植生分布に関する空間分析方法の開発,土 木学会論文集F,64,3,237-247.

竹林英樹,森山正和(2005)海風の影響を受けた都 市ヒートアイランド現象,日本建築学会技術報告集,

21,199-202.

成田健一,三上岳彦,菅原広史,本條毅,木村圭司,

桑田直也(2004)新宿御苑におけるクールアイラン ドと冷気のにじみ出し現象,地理学評論,77,6,

403-420.

鳴海大典,吉田篤正,鍋島美奈子,竹林英樹(2008)

都市熱環境監視に資する気象観測局の実態に関する 調査研究,日本建築学会技術報告集,14,27,193- 198.

Wu Changshan. Murray A.T.(2003)Estimating impervious surface distribution by spectral mixture analysis,

Remote Sensing of Environment,84,4,493-505.

-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0

945 855 765 675 585 495 405 315 225 135

調査範囲(m)

0.0 2.0 4.0 6.0

945 855 765 675 585 495 405 315 225 135

調査範囲(m) 図-5 測定局の立地状況 図-6 夜間(午前4時)の結果

ヒートアイランド優先対策地域 観測局

透水面軸

-7 海風日での結果

1%

参照

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