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Ecological Studies on the Engraulid Fish,Coilia nasus Temminck et Schlegel : I.Preliminary Report on the Ecology of theAscending Population

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

Ecological Studies on the Engraulid Fish, Coilia nasus Temminck et Schlegel : I.

Preliminary Report on the Ecology of the Ascending Population

松井, 誠一

九州大学農学部水産学第二講座

冨重, 信一

福岡県有明水産試験場

塚原, 博

https://doi.org/10.15017/22194

出版情報:九州大學農學部學藝雜誌. 40 (4), pp.221-228, 1986-03. Faculty of Agriculture, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

九大 農 学 芸 誌(Sci・Bull・FactAgTKyushuUniv・)

第40巻 第4号 221‑228(1986)

エ ツ Goi l i anas us Te mmi nc ke tS c hl e g e l の生態的研究

Ⅰ.遡上群 の生態に関す る予報 松 井 誠 一 ・冨 重 信 ‑* ・塚 原 博す

九州大学農学部水産学第二講座 (1985年12月25日受理)

EcologicalStudies on the Engraulid Fish

,Co i l i ana s us

Temminck etSchlegel

I. PreliminaryReporton theEcology or theAscendingPopulation

SEIICHIMATS

UI

,SHIN‑ICHIToMISHIGE and HIROSHITsUKAHARA FisheriesLaboratory,FacultyofAgriculture,

KyushuUniyersity46‑04,Fukuoka,Japan

カタクチイワシ科のエツ属 CoL.lt'aは アジアの 東部 および 東南部に 数 種 が 分布 している (Jordan and Scale,1905,1926;Fowler,1941;Whitehead,1967 a,b,C,1972).いずれ も河口域やその周辺の浅海 に生息する汽水性の魚である.

わが国では有明海 と筑後川など流入河川の下流部に のみ生息 し,筑後川 には5‑ 7月 に産卵のため遡上す る. これ らの産卵群 は主にエツ流 し網で漁獲 され,季 節の魚 として この地方で賞味されている.近年,その 漁獲量は減少傾向にあり, しか も年変動が大きく,漁 業者か ら資源の増加 と安定 した漁獲が望 まれている.

また,限 られた狭い範囲の分布をする本種の種族維持 のためにも増殖は重要 となっている.

エツ類の生態 については,矢部 (1941)が朝鮮産の マエツ CotllL'a mysT〟S (Linnaeus)について産卵期, 産卵場所,卵内発生,僻化仔魚の形態 および 生態を, JordanandMenon(1952)はC.reynaldLIValen‑

ciennesとC.dus.sumt'eriValenciennesの仔稚魚の 発育 に伴 う形態変化を 研究 した. ま た, 田北 (1967

a),Takita(1978)は有明海 と筑後川のエツの形態 と分布を調査 し,従来,同水域 に C.ectenesと C.

mystusの2種が生息するとした 吉 田 (1935), 塚 原 (1951), 内田 ・塚原 (1955)を改め, こ れ らを C.

* 福 岡 県 有 明水 産 試 験 場

十 濡 同 市 東 区 香住 ケ丘3丁 目9‑18

nas〟Sのl種 とした. さらに田北 (1967b)はその生 活史を明 らかにし, 石田 ・塚原 (1972), 田北 ・増谷 (1979)は産卵域を 卵椎仔の 分布か ら推定 した.成長 については石田 ・塚原 (1972)がC.nasusで,Yuen etaL.(1978)がC.edenesで年齢査定を行い,年齢

と成長の関係を明 らかにしている.また,成熟 につい てはVarghese(1971,1976,1980)が C.ramcaraTL' とC.dussumien'で研究を行ったが,エツの大きさと 成熟の関係を検討 したにとどまっている.

このように本属の生態研究は比較的多 くあるにもか かわ らず,わが国に分布するC.T7aSuSについては前 述の田北 らと石田 らによるもの以外 にな く, しか もこ れ らの研究は産卵域 と卵稚仔の分布,形態及び成長に 関するものである.

筆者 らはエツの保護 と増殖をはかるため,有明海及 び流入河川 において,本種の生活史を通 した分布,移 動,回遊,成長を明 らかにするとともに成熟,産卵及 び資源量の推定の研究を行っている.また,本種の生 息域が極めて環境変動の著 しい水域であることか ら環 境 と卵稚仔や成魚の分布,成熟,産卵及び卵内発生 と の関係について も解析 している.本報ではエツ遡上群 の生態に関する知見を予報する.

本文 に入 るに先立 ち,原稿の御校閲を頂いた九州大 学農学部奥田武男教授 に深謝の意を表する.また,揺 本の採集に多大なる便宜を頂いた下筑後川漁業協同組 ー 221‑

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222 松 井 誠 一 ・冨 重 信一 ・塚 原 博

合の吉村永直氏,今村伊三男氏,大川漁業協同組合の 西 孫刀氏,採集調査を手伝って頂いた本学部技官本 田輝雄氏をは じめ水産学第二講座の院生,学生の皆様 に対 し,厚 く御礼申し上げる.

調査場所 および方法

筑後川 は干満差の大 きい有明海に注 ぐため,大潮の 満潮時には感潮域が河口か ら約 30km に位置する久 留米市の 小森野床固めに 及 ぶ (1985年3月,河口か ら23km上流の上鶴床固め付近に筑後大堰が完成 し, 感潮域は23km地点まで となった).漁業者 に対する 聞取 り調査の結果,エツの産卵 は筑後川では河口か ら 18km上流の 天建寺橋か ら上鶴床固めの間で 行われ る.エツ遡上群の生態を明 らかにするため,筑後川の 感潮域 において1978年5月〜1979年2月 に 刺相 と投 網採集を行い, 1978年5‑ 7月の エツ流 し網の 漁期 間には適宜,漁業者の舟 に便乗 して漁獲物の中か ら標 本採取 した. さらに1978年7月6‑ 7日には 遡上の 経時変化 と河川内における分布を検討するため,大川 市,福岡県三瀦郡城島町及び佐賀県三養基郡北茂安町 中野の3地域でエツ流 し網の試験操業による24時 間 経時採集調査を行った.調査場所をFig.1に示 した.

大川地域 は河口か ら約6kmに位置 した国鉄佐賀線鉄 橋下流で, 満潮時 には 海水が進入 し, 河川水 との 混 合 による 水の濁 りが著 しい. 城島地域は 河口か ら約 15km に 位置 した 六五郎橋付近で, 干満の影響を受 け,水位の変動がみ られ,満潮時に底層の塩分が高 く なる,中野地域 は河口か ら約23km に位置 し,これ より上流に遡上するエツは上鶴床固めのため少ない.

ここも干満 により水位が変動する感潮域であるが,堤 分 はない.

採集 したエツは直ちに10%ホルマ リン液で固定 し, 研究室 において全長,体重及び生殖腺重量を測定する

とともに耳石による年齢査定 も行った.調査 したエツ は縦列鱗数68‑82,モー ド74,稜鱗数37‑51, モー ド46, 背 鰭 条 数 82‑98, モー ド90‑91で あ り, Takita(1978)の測定結果 とはぼ一致 し,CoL'tt'a t705〟S Temmi nck etSchlegelの ものであった.産卵群の 遡上の日変動を検討するため,中野地域を漁場 として いる漁業者の1977及び1978年 における漁獲仕切台帳 か らエツ流 し網による漁獲量を調査 し,漁獲量の 日変 動 と潮汐及び日流量 との関係を求めた.潮汐は三池港 の値 (海上保安庁, 1977, 1978)杏, 日流量は筑後 川の 瀬ノ下流量観測所 に お け る 値 (日本河川協会, 1977,1978)を用いた.

Fig.1. ResearchsitesintheChikugoRiver.

結 果 と 考 察

遡上量の日変動

筑後川では5月1日〜 7月31日がェツ流 し網漁の漁 期に指定 されている.エツの遡上の始 まる時期は明確 でな く,本格的な漁獲が始 まる時期 も年 によって異な る.Fig.2に中野地域を 漁場 とする漁業者の漁獲量 の終 日変化 と日別河川流量及び最高潮位を示 した.個 人の漁獲量によってエツの遡上量変動を検討すること

に問題が残 るが, この資料をとらせて頂いた漁業者は 筑後川下流域で最 も活発に漁業を行っている専業者の 一人で,エツの漁獲量 も多い. これによると,1977年 では5月29日〜 7月14日,1978年では5月3日〜 7 月14日にエツを漁獲 している,両年の中野地域 におけ るこの時期以前ではエツの漁獲はほとんどな く,これ らの漁獲開始時期はエツが中野地域まで遡上 した時期 にほぼ一致すると推某 される. しか し,終了時期は漁 獲量の減少や魚価の低下などが影響 し,必ず しも遡上 の有無 と一致 しない.なお大川地域ではエツが周年生 息するが,夏期の産卵期以外 には量的に少な く,魚価 が低いため漁獲 しない.漁期間に1977年で3,100尾,

(4)

エツの生態

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Ⅰ.

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Fig.2. Daily changesin catch of CoL'Ll'a TlaSuSbyacertain丘shermanatNakanoSite, theamoun tofnowing wateratSenoshita ortheChikugo River,and levelon high tidein1977and1978.Solidline,catch in number;broken line,amountof Bowing yaterin m3/see;dot‑dash line,tidallevel lnCm .

平均94尾ノ日を,1978年で4,240崖,平均83尾/日を 漁獲 しており, 日平均値では大きな差はないが,漁獲 量の 日変動値は前者で20‑230尾,後者で10‑360尾 を示す.一方,エツが遡上する5‑ 7月 における平均 流量は1977年の217.7m3/see,1978年の58.8m3/see と年によって差があり,この期間の 日流量で も1977年 の90‑I,266m3/see,1978年の10‑365m3/secを示 し,年別, 月別共 に変動が大きい.また,高潮位は小 潮時385cm,大潮時 545cmであり, 潮位変動 も大

きい.

このように遡上量 と環境が人 きく変動 し,両者の関 連が想定 されるため, これ らの関係を検討 した.1978 年では,25‑50m3/secのように流量が少な く,その 変動幅の小 さい5‑ 6月上旬において,遡上量は小潮 か ら大潮時にかけての潮位の変動が増加する時期 に多

223

い傾向が認め られる..また,流量及びその変動が比較 的大きい6月中旬以後で もこのような遡上量 と潮汐 と の対応があるが,他方では流量の多い 日に遡上量が増 加 し,その2‑ 3日後にピークが出現する傾向 も認め られ,流量 との対応 もみ られる.流量が多 く,その変 動 も大きい1977年で も基本的には 小潮か ら大潮時に かけての遡上量が多 く,潮汐が遡上 に関係 していると 考え られるが,流量 も関連 し,流量増加の数 日後 に遡 上量の増加傾向 も認め られる.すなわち小潮か ら大潮 にかけての流況や流量の増加はいずれ も河川感潮域の 水位の増加変動を伴い,エツの遡上 に水位の増加, と くに上流か らの淡水の増加は大き く影響するもの と考 え られる.

石田 ・塚原 (1972)は成魚になる前にエツは河川か ら海域 に移動 し,2歳魚 となると筑後川下流域に

上 するとし,筆者 らも海域 と筑後川下流域 における竹羽 瀬,繁網及び稚魚細による採集調査 によって同様の結 論を導いている (松井 ・冨重,未発表). また, 遡上 性の魚類の遡上開始時期 に影響する要因 として海域 と 河川の水温接近がアユ (楠臥 1963)や シロウオ (紘 井,1986)などで認め られており,エツの場合,水温 に関する検討資料を欠 くため推定の域を出ないが,河 川へ遡上する5月以前の有明海 と筑後川の水温は遡上 時期を検討する場合,重要な要因 となるであろう.

遡上量の経時変動

筑後川の感潮域の3カ所において76‑ 7日に3 時間間隔で行ったエツ流 し網による地域別採集結果を Fig.3に示 した.エツ流 し網は高 さ2.8m,長さ150‑

250mの一重の浮き刺網で,上げ潮時には下流か ら上 流

,下げ潮時には上流か ら下流に川を横切る形で流

N A K A N O S I T E 1 : 仁 虹

」︺)山」 ノ ー 、 、 ヽ ̲ ̲ メ′

18.00 24.

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HO〕R 12.00 18.08 Fig.3. Diurnalchangesincatch ofCol'LEa nasusatOkawa,J6jima andNakano Sites andtidalleve

l

. Upwardarrow,aowtoward theupperstream;downward arrow,now towardthemouth.

(5)

エツの生態 Ⅰ.

した全長200mm以 下のエツは, 図には示 していな いが,満潮時 に底層の塩分濃度 の低い城 島地域で採集 された もので, これ らの時期 には上流の中野地域では 採集 されない.

産卵場 の中野地域で採集 された ものに限って,雌雄 別全長組成の 日変化をFig.6に示 した.いずれ も雄 が多 く,雌は7月上旬 に比較的多い.雌雄の全長を雌 の多い7月6‑ 7日の もので比較すると, 雌 は 全 長 310‑370mm,雄 は260‑330mmを示 し,雌の方が 大 きい偵向がある.全長 270‑340mmの大型の雄 は すで に5月 に かな りの量が出現 し, これは7月18日 に もみ られるが,同時 に小型の全長 160‑250mmの もの も出現す る.Fig.7に7月6‑ 7日 の全島組成 を地域別 に比較 した. その結果,中野地域では大型魚 だ けであるが,下流になるほど小型 とな り,その傾向 は雄で顕著である.下流の小型群 は7月18日に は 遡 上 して中野地域 に出現す る (Fig.6).大川地域で 全 島 220mm の雌1尾が出現 したが, これは まだ未成 熟の ものであった.

次 に 河川 に遡上 した 成魚50尾を 材料 として 年 齢

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∝︺由 ∑n N

100 200 300 400 TOTALLENGTH川 MM

Fig.6.Sea

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225

100 200 300 400 TOTALLENGTHINMM

Fig.7. Size composition ofCoilL'a nas〟S caughtwithdriftnetateachresearchsite onJuly6‑7,1978. Solid column,female;

Opencolumn,ma.le.

査定を 行った. エツの 年齢に つ い て は 石田 ・塚原 (1972),Yuenefal.(1978)が鱗を用いて行っている が,本種 の鱗 は脱落 しやす く, しか も再生鱗が極めて 多いため耳石を用いた.エツの耳石 には中央の核 の周 辺に透明帯 と不透明帯が交互 に出現 し,不透明帯 の外 縁を標示 の読 み取 りに用い,耳右の長軸 に沿って尾部 側の半径を計測 した. これによると標示 には相似性が み られたため,耳石を年齢形質 と認めた.また,エツ の全長 (TL)と耳石径 (良)の 間 には 相関係数r‑

0.952の 高 い 相 関 が あ り, 良 (mm)‑0.0049TL (mm)+0.6483の直線回帰式が求 め られた.各 個 体 の耳石の標示径の実測値を標準化 し,標準値 に もとづ いて各標示形成時の耳石径を求 め, さらにその時の全 長を計算 した.その結果,第 1標示 は全島 182.1mm, 第2標示 は 全長259.6mm, 第3標示 は 全 長324.3 mmに形成 されるb縁辺成長率の変化か ら標示 は年1 回, 5‑ 8月 に形成 され, この時期がェツの産卵期 に 相当す るため,上 述の標示全長は各 々の年齢 における 全長を示 している.

産卵場 の 中野地域 において 産卵期の5月11日〜7 月18日に採集 したェツの全長か ら求 め た 産卵群の全 長 は雌 280‑370mm,雄 250‑350mm であり, こ れ らは雌雄 とも2‑ 3歳であった.なお,他の調査で

(6)

226 松井誠一 ・冨重信一 ・塚原 博

全長410mm の雌が捕獲 されたが, 雄では全て全長 350mm以下であ り,雌では4歳以上 の もの も出現す ることを考慮すると産卵群 は雄2‑ 3歳,雌2歳以上 となる.

成熟

中野地域で5‑7月 に 採集 した 雌 の 生 殖 腺 指 数 (GSI)を求 め,その平均値 の 日変化を Fig.8に性 比 とともに示 した.GSIは次式 によ り求 めた.GSl‑ GW xlOO/(BWIGW).ここでGWは生 殖 腺 重 量 (g),BW は体重 (g)を表 わす.性比 は仝個体数 に対す る雌の百分率で示 した.なお, この期間の雄 は 腹部を軽 く圧 しただ けで精液を出 し,成熟 していた.

図示 したよ うに, 性比 は 6月上旬か ら徐 々に 高 くな り,雌が増加 して7月上旬 に最大 となる. しか し,そ の値は 約35%で蛙の占める割合が多い. 生殖腺指数 は 5月〜 6月中旬 に高 く,以後急減す る. このよ うな 生殖腺指数 と性比の変動か ら6月下旬 にはすで に産卵 が終了 しているよ うにみえるが, 8月末 までエツ卵が 河川 内に出現 し,更 に精査を必要 とす る.産卵群の性 比に 5‑35%の偏 りがあり,雌が少 ない現象 は雌 1尾 に 対 して雄2‑20尾の 群 による 産卵生態を推察 させ る.また,7月 の調査では しば しば舞死 したエツが下 流部で採集 され,産卵後舞死する可能性が高い もの と 考 え られる.

20

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∽ 一o

a ‑ ■

一二

〇 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一

Fig.8. Seasonalchangesofgonadosomatic index (GSl)in female and sex ratio. Sex ratioshowsthepercentageorfemaletothe totalnumberon thesamplingdate.

要 約

有明海及び筑後川の重要種であるエツの保護 と増殖 をはかる目的で本種の生活史を通 した分布,移動,回 遊,成長を明 らかにするとともに成熟,産卵,卵 内発 生 及 び 資源量の推定の研究を行っている. 本報では 1977及び1978年 に 筑後川の感潮域 において行った流 し網,投網の試験操業 と漁業者の漁獲仕切台帳によっ

て遡上群の生態の一部を明 らか にした.

1) ェツの遡上 には潮汐 と河川流量が関連 し,小潮 か ら大潮 にか けての流況や流量の増加な どの水位の増 加変動を伴 う要因が大 き く影響す る.

2) 遡上量は経時的 には昼間の午後 に, とくにその 内,下げ潮時 に多い.

3) 河川内におけるエツの遡上分布 は下流部で表層 に,上流の産卵場 に遡上す るに従って底屈 となる.

4)遡上魚の大 きさは全長 160‑410mmで,産卵 場 となる感潮域 の上流部には産卵期の5‑ 7月 に多 く 出現するが, 8月以後 は全長200mm 以上 の ものは 減少 し,当歳魚を含む全長200mm未満の ものが出 現す る.耳右 による年齢査定の結果,エツは 1歳で全 長 182mm, 2歳で 全島 260mm,3歳で 全 長 324 mm に達 し, 産卵親魚 は 雄で2‑ 3歳,雌で2歳以 上である.

5)産卵域で 採集 し た 雌の生殖腺指数 (GSl)は 5‑ 6月 中旬 に高 く,以後 に急減する傾向を示 し,産 卵 の盛期 は6月中旬 と考え られる. また,性比 に偏 り があり, 雌 1尾 に対 し, 雄2‑20尾の群 による 産卵 が推察 された.

文 献

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Summary

Theauthors have studied on the ecology of the engraulid丘sh,CoL'EEa 17aS〃S Temminck et Schlegel,which is distributed in Ariake Sound and rivers flowi ng intotheSoundsituatedin thewestcoastofKyushu. InthelowerChikugoRiver

,

coz'lia nasus,which ascendsto theriverfrom the sea forspawninghasbeencaught in large quantities wi th drift nets,and is one ofthe importantfishes forthe 丘S血eriesinthisriver.

Drirtnetsamplings,environmentalobservationsandanalysisorthedailycatch byafiShermanweremadeatthelowerChikugoRiverin 1977and 1978inorderto clarifytheecologyoftheascendingpopulationofthisspecies. Theresultsobtain‑

edareasfollows:

l) The ascending activity of Coilia nasusis influenced by increasesof the waterlevelfrom theneaptideto thespringtideandtheamountofRowingwater in thetidalcompartment.

2) Theamountoftheascendingfishesincreasesintheafternoon and in ebb tideordaytime.

3) This点sh in thelowerreachesswi msmainlyinthesurfacelayer. Ascend‑

ingtO theupper reaches,theswimminglayerofthefish changes to the bottom hyer.

4) Coilia nasusascended for the spawning to theupperreachesin a May‑

Augustperiodis160‑410mm in totallength.

5) According to the age determi nation based on the otolith reading.this

(8)

228 松 井 誠一 ・冨 重 信一 ・塚原 博

speciesattains182mm TL inayear,260mm TL intwo yearsand324mm TL in three years. The spawning population consists oftwoandthreeyearoldmales and overtwoyearold female.

6) Gonadosomaticindex (GSI)orthefemalecollected in the spawning area isorahighvalue from May to mid‑June. Mainspawnlngperiod isdeduced to beinmid‑June.

7) Thefemaleinthespawningareaoccupies10‑35% in sex ratio.Itseems thatonefemalespawnswith2‑20malesinagroup.

参照

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