高等学校
平 成9年 度
教 育 研 究 員 研 究 報 告 書
∫
東 京 都 教 育 委 員 会
平 成9年 度
名 簿 教 育 研 究 員(高 校 ・地 理 歴 史)
科 目 所 属 氏 名
都 立 三 田 高 等 学 校 住 吉 貴 之 都 立 小 山 台 高 等 学 校 仮 屋 園 巌 都 立 園 芸 高 等 学 校 清 水 篤 都 立 井 草 高 等 学 校 田 中 久 雄 世 界 史
都 立 淵 江 高 等 学 校 佐 藤 義 弘 都 立 八 王 子 北 高 等 学 校 上 田 隆 之 都 立 立 川 高 等 学 校 風 間 睦 子 都 立 武 蔵 村 山 東 高 等 学 校 佐 々 木 義 文
都 立 大 山 高 等 学 校 大 場 充 日 本 史 都 立 府 中 東 高 等 学 校 弘 田 隆 彦 都 立 第 五 商 業 高 等 学 校 鵜 飼 敦 之
都 立 八 潮 高 等 学 校 前 川 信 雄 地 理
都 立 向 島 商 業 高 等 学 校 米 中 利 明
久 也
担当 東京都教育庁指導部高等学校教育指導課 指導主事 宮 本
研 究 主 題
文化 ・社会 の多様性 ・複合性や相互交流 を理解 するための力 を育てる授業展開の工夫 一
目 次
主題設定の理由 と研究の経過
21異 な る文化の受容 と衝突 古代都市 カル タゴの興亡
10乙QJ4戻J
太平天国 の乱 における思想
日本の産業革命期 における都市の近代化
一 東京の城北地区を対象 として 一
OJ34
満州農業移民
中国近代 にお ける西洋文化の受容
農U80U
II異 なる視点からみた交流 と共生 アフ リカか らみた文化史
‑q乙34
5
女性か らみた近代 日本 の生活文化 ポーラ ン ドか らみた 「 列強」の抗争 中国系移民か らみた東南 アジア諸国
一 タ イ、 マ レー シ ア を 実 例 に 一 オ セ ア ニ ア の ミニ 国 家 ・地 域 か らみ た 人 々 の 生 活 と 文 化
11 11 13 14
自U811
皿 身近 な素材を通 してみた世界 と日本 絹織物業の伝播 に関わ る世界史
10600
食糧問題か ら考え る世界
米 国籍 企 業 を通 して 見 た世 界 と 日本
00100り乙0乙り6q乙
1
研究主題
文化・ 社会の多様性・ 複合性や相互交流を理解するたあの力を育てる授業展開の工夫
主 題 設 定 の 理 由 と 研 究 の 経 過
交 通 ・通 信 な ど科 学 技 術 の 発 達 に よ り 、 経 済 を は じめ 様 々 な 分 野 で 「世 界 の 一 体 化 」 が 進 む 一 方 で 、 地 域 紛 争 は頻 発 し、 諸 国 ・諸 地 域 間 の 経 済 格 差 や 経 済 摩 擦 もや ま な い。 そ して 、 21世 紀 に 向 け て 人 類 が 立 ち 向 か うべ き 課 題 も深 刻 な もの と な って い る。 こ う した 社 会 を 生 き て い く た め に は 、 ① 他 者 を 理 解 し受 容 す る ② 様 々 な 角 度 か ら物 事 を み る③ 自 らの 意 見 を も っ た 上 で 少 数 の 意 見 を も尊 重 して 合 意 を 形 成 し、 問 題 を 解 決 す る な ど の 姿 勢 が 求 め られ る 。 そ こ で 、 本 部 会 で は 上 記 の よ うな 研 究 主 題 を 設 定 し、 以 下 の 三 っ の 視 点 か ら研 究 に 取 り組 ん だ 。 1異 な る 文 化 の 受 容 と衝 突
歴 史 上 、 多 く の民 族 ・国 家 が 、 異 な る 文 化 や 宗 教 を 持 っ 人 々 と交 流 ・衝 突 し、 時 に は 新 た な 発 展 を と げ 、 時 に は 滅 亡 の 道 を た ど って き た 。 様 々 な 文 化 ・宗 教 ・言 語 ・体 制 な ど を 持 っ た 人 々が 交 わ る と き の 難 し さや 、 素 晴 ら し さ を 過 去 の 多 くの 事 例 が 語 って い る 。 そ こ で こ の グ ル ー プ で は 、 あ る文 化 の 中 に 異 文 化 が 取 り込 ま れ て い っ た 事 例 と して 、 「日本 の 産 業 革 命 期 に お け る農 村 と都 市 」 、 「太 平 天 国 の 乱 に お け る 思 想 」 、 「中 国 近 代 に お け る西 洋 文 化 の 受 容 」 を 、 ま た 異 文 化 社 会 に 対 す る無 理 解 が 民 族 的 軋 礫 を も た ら した 事 例 と して 、 「満 州 農 業 移 民 」 、 「古 代 国 家 カ ル タ ゴの 興 亡 」 を と り あ げ た 。 そ して そ の 中 か ら、 国 際 社 会 に お け
る交 流 と相 互 理 解 の 在 り方 を 考 え さ せ る授 業 展 開 の 工 夫 を 試 み た 。 II異 な る 視 点 か らみ た 交 流 と共 生
現 代 社 会 は 、 様 々な 文 化 ・地 域 ・民 族 との 緊 密 か っ 複 雑 な 結 び っ き の 上 に 成 り立 って い る 。 しか し、 日本 人 の 意 識 の 中 に は 、 従 来 あ ま り重 視 さ れ て こ な か った 地 域 や 国 に 対 す る 偏 見 や 、 軽 視 さ れ て きた 集 団 に 対 す る固 定 観 念 が 依 然 と して 存 在 して い る 。 こ う い っ た 偏 見 や 固 定 観 念 を 克 服 し、 文 化 ・社 会 の 多 様 性 ・複 合 性 や 相 互 交 流 を よ り 深 く理 解 す る に は 、 多 角 的 に
「異 な る視 点 」 か ら歴 史 的 過 程 や 地 理 的 特 質 を と らえ な お す 必 要 が あ る。 そ こで こ の グ ル ー プ で は 「ア フ リ カ 」 、 「女 性 」 、 「小 国 」 、 「中 国 系 住 民 」 と い う視 点 か らみ た 五 っ の テ ー マ を 取 り 上 げ る 。 誤 解 や 偏 見 を も た れ や す い 内 容 に も焦 点 を あ て 、 相 互 理 解 や 共 生 の 在 り方 に つ い て 考 え る こ との で き る 力 を 育 て る授 業 展 開 の 工 夫 を 試 み た 。
皿 身 近 な 素 材 を 通 して み た 世 界 と 日 本
現 代 の 我 々 の 社 会 は大 量 の 情 報 や 「モ ノ 」 に 支 え られ 、 便 利 で 豊 か な 生 活 を 享 受 で き る よ う に な っ た と い わ れ るが 、 そ の 反 面 、 効 率 化 、 均 一 化 、 マ ニ ュ ア ル 化 が 推 し進 あ られ 、 創 造 性 ・探 究 心 の 欠 如 や 人 間 関 係 の 希 薄 さ な どが 生 み 出 され た 。 ま た 、 氾 濫 す る情 報 や 「モ ノ 」 は 、 物 質 的 豊 か さ の 実 感 を 麻 痺 さ せ 、 「モ ノ」 に 対 す る感 謝 を 忘 れ さ せ て い る 。 こ の よ うな 現 在 、 ま ず 身 近 な事 物 に 対 して の 興 味 ・関 心 を 持 ち 、 探 究 して い く精 神 を 育 む こ とが 求 め ら れ て い る 。 そ こで この グ ル ー プ で は 「絹 織 物 業 」 「米 国 籍 企 業 」 「農 業 」 が 生 み 出 す モ ノを 素 材 に 歴 史 の 形 成 を 複 合 的 に と らえ 、 地 理 歴 史 へ の 関 心 を 持 た せ 、 理 解 を 深 め る授 業 展 開 の 工 夫 を 試 み た 。
一2一
1異 な る文 化 の受 容 と衝 突
1.古 代 国 家 力 ル タ ゴの 興 亡
(1》 教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 紀 元 前2,500年 頃 か ら、 地 中 海 東 岸 部 に 多 くの 都 市 国 家 を 建 設 し、 オ リエ ン ト ・地 中 海 両 世 界 に 海 洋 商 業 覇 権 を 樹 立 し た フ ェ ニ キ ア 人 。 そ れ らの 都 市 の 一 っ 、 テ ユ ロ ス市 が 紀 元 前9世 紀 末 、 北 ア フ リカ に建 設 し た 植 民 市 の 代 表 格 が カ ル タ ゴ で あ る 。 以 後 、 紀 元 前2世 紀 後 半 ま で 地 中 海 随 一 の 大 商 業 国 家 と して 栄 え た カ ル タ ゴ は 、 軍 事 力 に 頼 らず 、 専 ら商 業 経 済 活 動 を 通 じて 異 民 族 に 富 と文 化 を 伝 え 、 ギ リ シ ア ・ロ ー マ 各 文 化 圏 と の 間 に も深 い 相 互 交 流 を 持 っ た 。 しか しカ ル タ ゴ は 同 時 に ギ リ シ ア ・ロ ー マ か ら誤 解 さ れ 、 更 に は3度 に 及 ぶ ポ エ ニ 戦 争 の 結 果 ロ ー マ に よ っ て 滅 ぼ さ れ た 。 カ ル タ ゴ は な ぜ こ の よ う な 運 命 を 辿 っ た の か 。 異 文 化 圏 同 士 の 衝 突 が 互 い の 受 容 や 理 解 に 勝 っ て しま っ た の で あ ろ うか 。 こ の カ ル タ ゴ滅 亡 の 悲 劇 を 考 察 す る こ と に よ り、 現 代 日本 の 状 況 、 及 び 日本 社 会 が 今 後 進 む べ き道 を 、 そ の 遺 さ れ た 教 訓 の 中 か ら掘 り起 こす こ と を ね ら い と して 本 教 材 を 取 り上 げ た 。
(2)本 時 の ね ら い 本 時 は4時 間 構 成 の 第4時 限 に 当 た る 。 第1時 限 で は 都 市 国 家 ロ ー マ の 起 源 、 及 び 当 時 の ロ ー マ 周 辺 部 地 域 に お け る 民 族 分 布 を 、 第2時 限 で は ロ ー マ 共 和 政 の 発 展 、 及 び イ タ リア 半 島 統 一 の 過 程 を 、 第3時 限 で は ポ エ ニ 戦 争 以 前 ま で の カ ル タ ゴ概 略 史 、 及 び ポ エ ニ 戦 争 を 各 々扱 う。 本 時 で は 「文 化 の 相 互 交 流 ・衝 突 」 と い う テ ー マ 史 的 な 観 点 か ら 、 カ ル タ ゴ と ギ リ シア ・ロ ー マ 各 文 化 圏 と の 相 互 交 流 と衝 突 、 及 び カ ル タ ゴ の 滅 亡 と そ こ か ら 得 る 教 訓 を 通 じ、 現 代 の 日本 と他 国 と の 文 化 交 流 推 進 に 際 し注 目す べ き 点 を 導 き 出 し、 考 察
させ る 。 学 習 指 導 要 領 で は 「世 界 史B」 の 「(1)文明 の 起 こ り 」 の 「イ 地 中 海 文 明 」 で 扱 う。
(3)展 開 例
学習項 目 学 習 活 動 備 考
・紀 元 前3世 ○ イ タ リ ア半 島 統 一 直 前 の ロ ー マ が カ ル タ ゴ との 間
・ ワ ー ク シ ー ト
導 紀前半 におけ に交わ した平和条約の内容に触れ、両者間の勢力均
る カ ル タ ゴ と 衡 に つ い て 確 認 す る 。 ・資 料 「カ ル タ
入 ロ ー マ
○ 半 島 統 一 後 、 ロ ー マ の 領 土 拡 大 の 意 志 が シ チ リゴ ● ロ ー マ 間 の
ア 、 及 び 北 ア フ リカ に 向 け られ た こ と を 確 認 す る 。
平和条約 」
・ カ ル タ ゴ と
○ カルタゴが、商業活動を通 じて高度な文化をギ リ ・ ワ ー ク シ ー ト
ギ リ シ ア ・ ロ シ ア ・ロ ー マ 各 文 化 圏 に 伝 え る 一 方 で 、 逆 ル ー トの (白 地 図)展
一 マ 各 文 化 圏 交 流 も盛 ん で あ っ た こ と を 言 語 ・宗 教 ・政 治 機 構 ・ ・資 料 「カ ル タとの相互交流 技術等 、分野別の例か ら総合 的に理解す る。
ゴ の 商 業 活 動 、○古代地中海文化圏における相互文化交流の形態 は
そ の 様 相 」東 西(オ リ エ ン トー ギ リ シ ア ー ロ ー マ)横 軸 の み な ・図 版 「カ ル タ ら ず 、 南 北(カ ル タ ゴ ー ギ リ シ ア ・ ロ ー マ)縦 軸 の ゴ の 工 芸 品 」
開
関 係 か ら も考 察 す べ き で あ る こ と を 理 解 す る 。・両 者 の 衝 突
○相互交流の中で、ひたす ら富の追求 に余念のなか
・資 料 「カ ル タ一3一
1つ た カ ル タ ゴ ・ そ れ を ギ リシ ア ●ロ ー マ が 否 定 的 に ゴ に 対 す る批 判1 見 て い た 状 況 、 及 び そ の 理 由 を 解 明 し、 理 解 す る 。 例 」
・ハ ンニ バ ル ○ 将 軍 ハ ンニ バ ル が 軍 人 で あ る と同 時 に 民 主 政 を 推 ・資 料 「ロ ー マ の 国 政 改 革 と 進 した 有 能 な 政 治 家 で もあ っ た こ と 、 ま た そ れ 故 に 人 に 恐 れ られ た
ロ ー マ 側 の 警 ロ ー マ が 彼 の 人 と な りを 恐 れ た こ と を 理 解 す る。 ハ ンニ バ ル 」 展 戒 心 の 萌 芽 ○ 第2次 戦 役 後 、 カ ル タ ゴが 不 利 な 条 約 内 容 を 遵 守 ・資 料 「第2次
し、 ロ ー マ に 対 して ひ た す ら誠 実 な 外 交 を 展 開 す る 戦 役 後 の 両 者 間 一 方 、以前 に も勝 る繁栄 を 遂 げ た こ とを理 解 す る。 の 条 約 内 容 」
・ロ ー マ 側 の ○ カ トー に 代 表 さ れ る反 カ ル タ ゴ強 硬 論 が ロ ー マ 社 ・資 料 「カ トー 警 戒 心 の 増 大 会 の 中 に現 れ て き た 原 因 を 理 解 す る 。 の 強 硬 論 と ス キ 0ま た 同 時 に カ ル タ ゴを よ き ラ イバ ル と 見 な し、 共 ,ピ オ=ナ シカの 存 共 栄 を 願 っ た 穏 健 派 も存 在 した こ と を 理 解 す る 。 勢 力 均 衡 論 」
・ カ ル タ ゴ 滅 ○ 隣 国 ヌ ミ デ ィ ア 国 王 マ ッ シ ニ ッ サ が ロ ー マ の 庇 護 ・資 料 「マ ッ シ
亡の前夜
下 、 カ ル タ ゴ へ 度 々侵 入 し、 平 和 的 解 決 を 望 ん で い ニ ッサ の カ ル タ開
た カ ル タ ゴの 忍 耐 が 限 界 に 達 した こ と を 理 解 す る 。 ゴへ の 侵 入 」・カ ル タ ゴ の ○ 第3次 戦 役 が 、 カ ル タ ゴ の 対 ヌ ミデ ィ ア 防 衛 戦 を ・資 料rカ ル タ
滅亡
条 約 違 反 と見 な した ロ ー マ 側 の 一 方 的 な 通 牒 に よ り ゴ使 節 の 平 和 へ 始 ま っ た こ と 、 及 び カ ル タ ゴ側 は こ れ に 対 し最 後 ま の 懇 願 と ロ ー マ で 平 和 共 存 へ の 道 を 模 索 し て い た こ と を 理 解 す る 。 側 の 最 後 通 牒 」・文 化 交 流 と ○ カ ル タ ゴ と ロ ー マ は 同 時 並 行 し て 存 在 し、 ま た 相 ・ ワ ー ク シ ー ト ま
衝突
互 の 無 理 解 に よ る 衝 突 が 、 時 と して 受 容 を 凌 ぐ こ と(ま と め)を 理 解 す る。
と ・ポ エ ニ 戦 争
○古代地中海世界 における帝国主義 国家 と商業主義
国 家 との 宿 命 的 な 対 決 で もあ っ た こ と を 理 解 す る 。あ
・現 代 日 本 の○物質文明や経済活動のみを過度 に重視す る危 険性 ・感想文の作成
今後の課題
を ・ カ ル タ ゴ の 遺 した 教 訓 か ら学 び ・ 考 察 す る・1(4)評 価 の 観 点 ① 古 代 地 中 海 世 界 に お け る 文 化 交 流 の 形 態 が 、 東 西 の み な らず 南 北 の 機 軸 か ら も理 解 で きた か 。 ② ギ リ シ ア ・ロ ー マ が 、 カ ル タ ゴ に 対 して 抱 い た 警 戒 心 の 基 と な っ た 原 因 を 理 解 で き た か 。 ③ 物 質 文 明 を 享 受 し、 産 業 立 国 と して 繁 栄 して き た 現 代 の 日本 社 会 が 抱 え る問 題 、 及 び 今 後 の 日本 が 他 国 ・他 民 族 と の 交 流 を 深 め て 行 く に 際 し、 ど の 様 な 点 に 注
目 す べ き で あ る の か を 考 え さ せ る場 と な り得 た か 。
(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 参 考 文 献 か ら の 引 用 は 、 生 徒 が 理 解 しや す く、 関 心 を 持 て る よ う に そ の 内 容 を 精 選 す る 。 ② 相 互 文 化 交 流 に 関 して は 、 あ らか じあ 記 入 しや す い 地 図 を 用 意 す る。
③ 感 想 文 を 書 か せ る に あ た って は 、 あ らか じめ 着 目点 を 説 明 して お く。
2.太 平 天 国 の 乱 に お け る 思 想
(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 中 国 の 植 民 地 問 題 の 発 端 と な っ た の は ア ヘ ン戦 争 で あ り 、
一4一
そ の 後 に 続 く太 平 天 国 の 乱 ・ア ロ ー 戦 争 の 歴 史 は ま さ に 中 国 の 半 植 民 地 化 が 進 め られ て い っ た 過 程 で あ った 。 これ らの 中 で 中 国 は 、 西 欧 近 代 文 化 の 優 秀 性 に 触 れ て 従 来 の 中 華 思 想 ・儒 教 倫 理 を 見 直 さ ざ る を 得 ず 、 西 欧 近 代 文 化 を 受 容 す る 姿 勢 が と られ た 。 そ こで 、 こ の 激 動 の 時 代 に あ って 中 国 の 人 々 が 、 異 な る 文 化 や 宗 教 を も つ 人 々 と どの よ う に 交 流 ・衝 突 して い っ た の か を み る こ と に よ っ て 、 現 代 の 国 際 社 会 に お け る 交 流 と相 互 理 解 の あ りか た に つ い て 考 察 を 深 め る こ と を ね らい と して 、 本 教 材 を 取 り上 げ た 。
(2)本 時 の ね ら い 本 時 は4時 間 構 成 の 第2時 限 に 当 た る 。 第1時 限 で は 「清 の 衰 退 と ア ヘ ン戦 争 」 を 取 り 上 げ る 。 本 時 で は 、 太 平 天 国 の 乱 を 取 り上 げ 、 この 運 動 の 本 質 を 理 解 す る た め の 重 要 な 鍵 に な る と思 わ れ る洪 秀 全 や 太 平 天 国 の 乱 の 思 想(特 に キ リ ス ト教 の 影 響 を 中 心 に)を 探 り、 ま た 、 そ の 思 想 が ど の よ う な 影 響 を こ の 運 動 に与 え た の か に っ い て 考 察 させ る 。 第3時 限 で は 「太 平 天 国 の 乱 の 意 義 と ア ロ ー 戦 争 」 、 第4時 限 で は 「ロ シ ア の 中 国 周 辺 へ の 進 出 、 明 治 維 新 と朝 鮮 の 開 港 」 を 取 り上 げ る 。 本 時 の 内 容 は 、 学 習 指 導 要 領 で は 「世 界 史
A」 の 「(3)19世紀 の 形 成 と展 開 」 の 「ウ ア ジ ア諸 国 の 変 貌 と 日本 」 、 「世 界 史B」 の 「(5) 近 代 と世 界 の 変 容 」 の 「ウ ア ジ ア 諸 国 と ヨ ー ロ ッパ の 進 出 」 で 扱 う 。
(3)展 開 例
学習項 目 学 習 活 動 備 考
・中 国 の 農 民
○中国の農民反乱が 、各時代の衰退期 に必ず と言 っ
・資 料 「中 国 の導
反 乱 に つ い て て い い ほ ど起 こ っ て い る 事 実 を 確 認 し、 そ の 共 通 す今 までの農民反 復習す る
る部 分 は何 で あ る か を 理 解 す る。 乱 」○ 宗 教 反 乱 に お い て は 、 極 あ て 観 念 的 で あ る が 、 い
入 ずれ も宗教的理想世界を現実界 に実現 しよ う、 とい
う期 待 を も って い た こ と を 理 解 す る 。
・洪 秀 全 に っ ○ 洪 秀 全 の 生 い 立 ち に つ い て 理 解 す る 。 ・資 料 「洪 秀 い て 客 家 の 出 身 で 地 元 の 人 々 か ら は 差 別 され た 。 全J
科挙の試験を受 け儒教的素養が身についていた。
・洪 秀 全 と キ Ol837年 の 幻 想 体 験 か ら 「勧 世 良 言 」 との 出 会 い に ・資 料 「洪 秀 全
展
リ ス ト教 と の よ って 、 上 帝 に 命 を 受 け た の だ と言 う確 信 を 得 た と の 幻 想 」出会い
い う こ と を 理 解 す る 。・太 平 天 国 の
○中国で唯一キ リス ト教主義的な思想 内容を取 り入
・資 料 「天 条 十田 木 目
.tug.c..
れ た こ と を 理 解 す る 。 款 」 「モ ー セ の○太平天国の理想が多 くの人 々に期待 された ことを
十 戒 」 「太 平 軍理 解 す る 。 軍 律 」
①新 しい救 いの神=天 父上主皇上帝 に人 々は現在
の 境 遇 か ら の 救 い を 求 め た。
「天 朝 田 畝 制
開 ②土地の均分 ・男女平等 ・弁髪禁止 ・纏足禁止な
度 」 「太 平 天 国 ど に 人 々 は 共 鳴 し期 待 を も っ た 。 に つ い て の 民 間・太 平 天 国 の
○太平天国は多 くの人 々に期待 されなが らも失敗 し
伝 承 」{
崩壊
て しま うが そ の 理 由 を 考 え て み る 。① 思想 の限界
・ 資 料 「幼 学l
I ② 制度の不徹底
詩 」 「上 帝 」1
土 地 の 均 分 は実 際 は 行 わ れ な か っ た 。
展
平 等 は う た っ て は い て も、 官 尊 民 卑 で あ り、 天 王 ・東 王 ・西 王 ・南 王 ・北 王 ・翼 王 な どの 存 在も あ っ た 。
③指導者たちの内部対立
④ 「太 平 天 国 は キ リス ト教 国 」 と 思 い 初 期 に は 支
開 援 した列強が アロー戦争後には武力干渉政策 に
i
転 換 して い っ た 。⑤ 郷 勇 の 活 躍
I
l
ま ・太 平 天 国 の
0洪 秀全 はキ リス ト教思想を取 り入れたが、全体を
と 」」 、」じ6、田相 貫 い て い る 精 神 は 儒 教 思 想 と そ れ よ り も っ と 古 い 上
め 帝 の 信 仰 で あ っ た こ と を 理 解 す る 。
(4)評 価 の 観 点 ① 太 平 天 国 の 掲 げ た 思 想 を 理 解 で きた か 。 ② な ぜ 太 平 天 国 に 多 くの 人 々が 参 加 した の か 理 解 で き た か 。 ③ な ぜ 太 平 天 国 は 失 敗 した の か 理 解 で き た か 。
(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 難 解 な 資 料 に つ い て は 、 現 代 語 訳 し た 資 料 を 提 示 す る よ う配 慮 す る。
② 資 料 の 読 み と り は 内 容 を 理 解 で き る よ う分 か り 易 い 解 説 を 加 え 、 取 り 上 げ る 箇 所 の 精 選 も 考 え る 。
3.日 本 の 産 業 革 命 期 に お け る 都 市 の 近 代 化 一 東 京 の 城 北 地 区 を 対 象 と して 一
(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 人 は 異 文 化 に 対 して 抵 抗 感 と興 味 関 心 と い う背 反 す る感 情 を もっ もの で あ る が 、 と き に は 無 批 判 的 に 受 け 入 れ よ う と す る場 合 もあ る 。 近 代 日 本 が 欧 米 の 技 術 ・制 度 に ふ れ た と き も ほ とん ど 一 方 的 な 受 容 だ った と い え よ う。 現 代 の 日本 が い ま だ 近 代 ヨ ー ロ ッパ に 発 生 した 工 業 文 化 に 強 く影 響 さ れ て い る こ と を 考 え る と 、 そ の 受 容 と消 化 の 過 程 を 確 認 し問 題 点 を 点 検 す る 作 業 は な お ざ りに す る べ き で は な い 。 こ こ で は 新 し く導 入 され た 近 代 工 業 を 基 軸 に 都 市 が 新 しい 発 展 を と げ て い く過 程 を 通 して 、 明 治 期 の 人 々 が 近 代 化 を 受 容 して い っ た 様 子 を 考 察 し、 そ の 急 速 な 近 代 化 が ひ ず み を と もな っ て い た 情 況 を 理 解
さ せ 、 問 題 点 を 考 え さ せ る こ と を ね らい と して 本 教 材 を 取 り上 げ た 。
(2)本 時 の ね ら い 本 時 は2時 間 構 成 の 第2時 限 に あ た る 。 第1時 限 で は 「日 本 の 産 業 革 命 」 と して 日 清 戦 争 か ら 日 露 戦 争 に か け て の 産 業 の 動 向(主 に 重 工 業 政 策)を と りあ げ る 。 本 時 で は 、 日 本 の 産 業 革 命 は地 域 的 に ど の よ う な 影 響 を 与 え て い た の か を 東 京 の 城 北 地 区
(現 在 の 北 区 ・板 橋 区 ・文 京 区 な ど)を 対 象 に 考 察 さ せ る。 同 じ城 北 地 区 で も都 市 化 が 急 速 に進 ん だ 地 域 と 、 そ う で な い 地 域 が あ る こ と 、 ま た そ の 理 由 を 明 確 に し近 代 社 会 で の 発 展 の 過 程 を 理 解 さ せ る 。 学 習 指 導 要 領 で は 「日本 史A」 の 「(4)近代 日本 の 形 成 と 展 開 」 の 「ウ 近 代 産 業 の 発 展 と 国 民 の 生 活 」 で 扱 う。
一6一
(3)展 開 例
学習項 目 学 習 活 動 備 考
・明 治 期 の 人
○ 明治期の城北地区における人口増減 グラフを もと
・城 北 地 区 の 人導 口動 向
に 、 人 口 の 増 減 が 起 き た理 由 や 各 区 の 違 い に っ い て 口統 計 グ ラ フ入
考 え る 。 ・年 表
・産 業 革 命 直
○ 明治初年 の城北地区は大部分が農村で あったが 、
・地 図1前の状況
一 部 で 工 場 を 中 心 に 集 落 が で き っ っ あ っ た 情 況 を 知る 。
・図 「王 子 製 糸○富国強兵のため設立 された小石川の砲兵工廠 ・板
全 景 」 橋 の 火 薬 工 場 ・王 子 の 製 紙 工 場 ・鹿 島 紡 績 所 の よ う ・地 券な初期の大規模工場がみな郊外の河川沿いに立地 し ・ 展
た こ とを 理 解 す る 。 ま た 工 場 の 敷 地 が 現 在 ど の よ うに 利 用 さ れ て い る か を 知 り関 心 を 高 め る 。 ・資 料 「日 本 之
・日 清 戦 争 頃
0工 場労働者の多 くは地方の農村 出身者で請負制度 下層社会」
に基 づい たその生活 に余裕が無 か った ことを認 識
し、 当 時 の 都 市 発 展 の 限 界 や 問 題 点 を 理 解 す る 。 ・地 図2
・日 露 戦 争 頃
0産 業革命期の城北地区で は宅地化が急速に進んだ
情 況 を 理 解 し、 そ の 理 由 を 推 測 す る。①主要工場の拡大が戦争や輸出入 と連動 し、労働人
・資 料 「砲 兵 工 口 の 増 加 に 結 び つ い て い た こ と 。 廠 の 拡 大 」② 日露戦争期の好景気を背景に、労働者 に もゆ とり
・資 料 「久 世 山開 を もった層が発生 し、労働者層の多様化が都市 の拡
の 夏 草 ・郊 外 の大 ・変 質 を も た ら し た こ と 。 家 」
③都市交通 に鉄道 を組み込 むことで、勤労者の通勤
・資 料 「東 京 市圏が広が り、新 しく発生 した都市中産 階級の成立 を
統 計 書 」 助 け た こ と 。○ 明治期 の都市社会 は経済不安な どに影響を受 けや
く 、 生 活 基 盤 が 脆 弱 で あ っ た こ と を 理 解 す る 。ま ・大 正 初 期 の
○ 明治末か ら大正初期 にかけての城北地区 は工業地
・資 料 「北 豊 島東京府内
・住 宅 地 ・農 地 と 地 域 格 差 が で き た こ と を 理 解 す 郡 誌 」と る。 特 に 増 加 した 人 口 の 多 くが 新 しい タ イ プ の 給 与
生活者だ った ことを理解 し、大正文化を支えた社 会
め
階 層 の 発 生 を 認 識 す る 。(4)評 価の観点 ①東京の都市発達が産業革命によって引 き起 こされた ことが理解で きたか。
②急速 に発達 した都市社会は経済の影響 を受けやすか った ことを理解 で きたか。③城北地区
の都市化がどのよ うな過程で成立 してい ったのか理解で きたか。
(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 資 料 は グ ラ フ に 改 め 、 変 化 を 読 取 りや す い よ うに して お く。 ② 「近 代 化 」 の 担 い 手 が 中 産 階 級 の 成 長 に あ っ た こ と を 指 摘 し事 後 の 学 習 に っ な げ る 。
4.満 州 農 業 移 民
(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 満 州 農 業 移 民 は 、 満 州 国 の 治 安 維 持 と対 ソ戦 備 、 国 内 農 村 の 疲 弊 救 済 を 目 的 と して 日本 政 府 に よ り計 画 さ れ た 。1932(昭 和7)年 か らの 試 験 移 民 を 経 て 、 広 田 内 閣 の も とで 本 格 化 し、 終 戦 ま で の 間 、 国 策 と して 強 力 に 進 め られ た 。 入 植 地 の 大 部 分 は 、 安 価 で 強 制 買 収 した もの で あ っ た 。 入 植 した 移 民 団 の 多 く は 、 支 配 者 意 識 、 異 文 化 に 対 す る 無 理 解 な ど 、 い くつ か の 要 因 が 重 な り 、 土 地 を 追 わ れ た 中 国 民 衆 と民 族 的 軋 櫟 を 生 じた 。 そ の 結 果 、 中 国 民 衆 か ら強 い 反 発 を 受 け る こ と と な り 、 終 戦 時 の 混 乱 の 中 で 、 多 くの 移 民 団 が ソ 連 軍 の 攻 撃 に 加 え て 中 国 民 衆 の 襲 撃 を 受 け 、 戦 死 ・自 決 ・病 死 ・餓 死 な ど に 追 い 込 ま れ た 。 そ して 、 こ の よ うな 状 況 下 で 数 多 くの 中 国 残 留 孤 児 ・婦 人 が 生 み 出 され た 。 中 国 残 留 孤 児 ・婦 人 の 帰 国 ・自 立 問 題 を 考 え る 上 で も、 そ の 原 点 と な っ た 満 州 農 業 移 民 とそ の 民 族 的 軋 礫 ・終 戦 時 の 悲 劇 に つ い て 学 習 し、 そ の こ と を 通 じて 文 化 ・社 会 の 多 様 性 を 認 め 、 相 互 交 流 して い く姿 勢 を 考 え させ る こ と を ね ら い と して 本 教 材 を 取 り上 げ た 。
(2)本 時 の ね ら い 本 時 は 、3時 間 構 成 の 第3時 限 に あ た る 。 第1時 限 で は 「金 解 禁 と 世 界 恐 慌 」 、 第2時 限 で は 「満 州 事 変 と満 州 国 」 を 扱 う。 農 村 の 疲 弊 ・日本 の 大 陸 政 策 の 学 習 を う け て 、 本 時 で は 満 州 農 業 移 民 の 概 要 を 捉 え 、 現 代 社 会 に ど の よ う な 影 響 を 与 え て い る か を 理 解 させ る 。 そ の 上 で 、 移 民 団 入 植 に よ っ て 生 じた 民 族 的 軋 礫 と終 戦 時 の 悲 劇 を 事 例 と し て 取 り上 げ 、 異 文 化 を 認 め 、 相 互 交 流 して い く姿 勢 を 考 え さ せ る。 本 時 の 内 容 は 、 学 習 指 導 要 領 で は 「日本 史A」 の 「(4)近代 日本 の 形 成 と展 開 」 の 「オ 両 大 戦 を め ぐ る 国 際 情 勢 と 日 本 」 、 「日本 史B」 の 「(6)両世 界 大 戦 と 日 本 」 の 「ウ 第 二 次 世 界 大 戦 と 日 本 」 で 扱 う。
(3)展 開 例
学習項 目 学 習 活 動 備 考
導
・中 国 残 留 孤○ 中国残留孤児 ・婦人 とその社会的現状 について理
・資 料 「朝 日新 児 ・婦 人 と そ 解 し、 そ の 発 生 に 対 し て 着 目 す る 。 聞 」入 の現状
・満 州 農 業 移 ○ 第2時 限 で 扱 っ た 日本 の 大 陸 政 策 を 概 観 す る 。 ・写 真
民 の 始 ま り と Ol932(昭 和7)年 の 在 郷 軍 人 を 中 心 と した 試 験 移 ・年 表 「満 州 開 そ の 目的 民 に始 ま り、 百 万 戸 送 出 計 画 の も とで 分 村 ・分 郷 移
拓関係年表」
展 民を中心 に満蒙開拓青少年義 勇軍や大陸の花嫁な ど
嫡
が 送 出 さ れ た こ と を 理 解 す る 。
○満州農業移民 は、満州国において は治安維持 と対
・地 図 「満 州 開開 ソ戦備を 目的 とし、国内的には農山漁村経済更生政 拓民 入植図 」
策 の 一 手 段 で あ っ た こ と を 理 解 す る 。
・入 植 地 獲 得
○入植地の大部分 は、満州拓殖公社 などにより既耕
・資 料 「広 島 県の方法 と営農 地を含む広大な土地を強制的 に安価 で買収 した もの 満州 開拓史 」
一g一
方法 である ことを理解す る・ レ 資料 「 満蒙開
○ 自家労働力の貧弱 な移民の営農方法 は、土地 を追 拓 青 少 年 義 勇 われた中国民衆 や満州在住の朝鮮民衆の雇用や小作
軍 」に 委 ね られ て い た こ と を 理 解 す る。
展
・移 民 と中 国○土地 買収 に反抗 する中国民衆の移民団襲撃がある
・資 料 「 満 州民衆 との軋礫
一 方、 移 民 の 中 国 民 衆 に 対 す る 問 題 行 動 も あ っ た こ 国 」・衝 突 とを 理 解 す る 。
○ 中 国 民 衆 と融 和 し、 開 拓 を 行 っ た 移 民 団 に つ い て ・資 料 「未 完 の
理 解 す る。 旅 路 」
・終 戦 と逃 避 ○ 根 こ そ ぎ召 集 、 ソ連 参 戦 、 関 東 軍 崩 壊 と い う状 況 ・資 料 「 祖 国
開 行
で の 逃 避 行 と、 そ れ に 対 す る 、 移 民 団 へ の 襲 撃 あ るよ 」
い は救 済 な ど と い っ た 中 国 民 衆 の 対 応 に つ い て 理 解 す る 。
○ 中国残留孤児 ・婦人の生 じた状況を理解 す る。
ま ・軋 蝶 の 要 因
○満州農業移民 と中国民衆 との民族的軋櫟 の要因、
・資 料 「日 中 十 とと異文化 との
そ して 異 文 化 を 認 あ 、 相 互 交 流 して い く姿 勢 に つ い五年戦争史」
め
相互交流
て 考 え る 。(4)評 価 の 観 点 ① 満 州 農 業 移 民 の 目的 ・入 植 地 獲 得 方 法 ・営 農 方 法 な ど を 理 解 で き た か 。
② 移 民 団 と 中 国 民 衆 と の 軋 礫 ・衝 突 が 、 終 戦 時 の 悲 劇 の 一 因 と な っ た こ と を 理 解 で き た か 。
③ 異 文 化 を 認 あ 、 相 互 交 流 す る姿 勢 に つ い て 考 え た か 。
{5)指 導 上 の 留 意 点 ① 臨 場 感 の あ る 資 料 提 供 と 、 資 料 読 解 の 為 の 時 間 を 十 分 に 確 保 し、 生 徒 に し っ か り考 え さ せ る よ う に 配 慮 す る 。 ② 軋 礫 と融 和 、 襲 撃 と救 済 な ど 、 資 料 提 示 が 一 面 的 に な らな い よ う配 慮 す る 。
5.中 国 近 代 に お け る 西 欧 文 化 の 受 容
(1)教 材 と して と り あ げ た 理 由 唐 代 の 三 夷 教 の 流 行 や 、 明 清 時 代 の イ エ ズ ス 会 宣 教 師 に よ る 西 洋 科 学 の 導 入 な ど 、 中 国 は 多 くの 異 文 化 を 取 り込 ん で きた 。 た だ し、 そ れ は高 度 な 文 化 を 誇 る 中 国 主 導 で の こ とで あ っ た 。 と こ ろ が 、 ア ヘ ン戦 争 以 後 事 態 は 一 変 す る 。 中 国 は 西 欧 近 代 文 化 の 優 秀 性 を 認 識 さ せ られ 、 従 来 と は 異 な る形 で の 文 化 受 容 を 余 儀 な く され た 。 「中 体 西 用 」 の ス ロ ー ガ ンを か か げ て 始 ま っ た 洋 務 運 動 、 立 憲 政 体 の 導 入 を は か っ た 変 法 自 強 運 動 、 儒 教 道 徳 の 打 破 を 目指 し た 新 文 化 運 動 な ど は 、 西 欧 の 文 化 を 受 容 し、 中 国 を 近 代 国 家 と
して 再 生 しよ う とす る も の で あ る 。 亡 国 の 危 機 の 克 服 に っ とめ た 指 導 者 た ち の 、 思 想 と生 涯 を た ど る 中 か ら時 代 を 概 観 し、 異 な る文 化 の 受 容 と 衝 突 に っ い て 考 え る こ と を ね ら い と して 、 本 教 材 を と りあ げ た 。
(2)本 時 の ね ら い 本 時 は4時 間 構 成 の 第4時 限 に あ た る。 第1時 限 で は 李 鴻 章 を 中 心 に 洋 務 運 動 の 時 代 を 、 第2時 限 で は 康 有 為 の 思 想 か ら変 法 自 強 運 動 の 時 代 を 、 第3時 限 で は孫 文 の 活 動 を 通 して 辛 亥 革 命 を 扱 う。 本 時 で は 、 陳 独 秀 に 焦 点 を あ て 、 新 文 化 運 動 か ら五 ・四 運
動 の 時 代 を と り あ げ る。 彼 は 伝 統 的 教 育 を 受 け た が 、 西 欧 文 化 に 傾 倒 して 「民 主 と科 学 」 を 提 唱 、 新 文 化 運 動 の 旗 手 と な り、 さ ら に 中 国 共 産 党 の 創 設 者 の 一 人 と もな っ た 。 常 に 新 しい 思 想 を 模 索 し、 自 己 変 革 を 繰 り返 した 知 識 人 の 生 涯 と 思 想 の 変 遷 を 辿 り 、 西 欧 文 化 の 受 容 と 、 新 しい 中 国 の 思 想 的 支 柱 の 形 成 に つ い て 考 察 さ せ る 。 学 習 指 導 要 領 で は 「世 界 史B」 の 「(5) 近 代 と世 界 の 変 容 」 の 「ウ ア ジ ア 諸 国 と ヨ ー ロ ッパ の 進 出 」 「工 帝 国 主 義 と ア ジ ア ・ア
フ リカ 」 で 扱 う。
(3)展 開 例
1
学 習項 目 学 習 活 動 備 考
導
・陳 独 秀 の 生
○陳独秀 は、伝 統的知識 人 と して の教 育 を受 けた
・資 料 年 表涯
が 、 や が て 西 欧 文 化 を 学 び 、 辛 亥 革 命 に 参 加 し、 革入
命 の 挫 折 後 は新 文 化 運 動 の 旗 手 と な り、 五 ・四 運 動 後 に 中 国 共 産 党 を 設 立 した こ と を 理 解 す る 。・辛 亥 革 命 の
○陳独秀 は辛亥革命で安徽省都督 の秘書長をっ とめ 挫折
た が 、 蓑 世 凱 の 弾 圧 で 日本 に 亡 命 し た こ と を 知 る 。○辛亥革命の挫折が、人 々に大 きな失望感 を与えた
こ と を 理 解 す る 。・新 文 化 運 動 01915年 、 陳 独 秀 は 上 海 で 雑 誌r新 青 年 』 を 創 刊
展 の展開
し、 国 民 の 意 識 改 革 に 乗 り 出 し た こ と を 理 解 す る。○陳独秀が西欧文化を理想化 した背景 を考察す る。
・資 料 「青 年 に・伝 統 的 思 想 を 排 除 す る武 器 と して の 西 欧 文 化
。 告 ぐ」 抜 粋 Or新 青 年 』 に 胡 適 ・ 魯 迅 ・ 李 大 釧 らが 論 陣 を 張 り、 ・資 料 「文 学 改 儒 教 の 束 縛 か らの 解 放 を 主 張 した こ とを 理 解 す る。
良劉議 」抜粋
・五 ・四 運 動 ○ パ リ講 和 会 議 に 反 対 して 五 ・四 運 動 が 始 ま り 、 全
の は じま り
国的な反帝国主義運動に発展 した ことを理解 する。
・資 料 「山 東 間○陳独秀が、啓蒙活動か ら社会変革をめざす運動に 題 と 国 民 の 覚 転 じる決意を固め た背景を考察 する。
悟 」 抜 粋① パ リ講和会議 に対す る期待 と失望、西欧の民主 主義 に対す る認識の変化。
開 ②組織 された大衆 の力の認識。
・中 国 共 産 党
〇 五 ・四 運 動 後 、 ロ シ ア革 命 と 「社 会 主 義 」 の 理 論
の設立
が 注 目 を 集 め る よ う に な っ た こ と を 理 解 す る 。○ ロ シア革 命 の意 義 を 評価 した陳 独秀 が 、 李 大釧 の
紹 介 で コ ミ ンテ ル ンの 代 表 と 接 触 し、1921年 、 上 海で 中国共産党を設立 した ことを理解す る。
ま
・新文化運動
○ 陳 独 秀 は 革 命 指 導 の 責 任 を 問 わ れ 、1927年 に 失 脚 ・資 料 年 表 と 五 ・四 運 動 し、29年 に は共 産 党 か ら除 名 さ れ た 。 中 国 に お け ると
の評価
彼 の 否 定 的 評 価 に つ い て 考 察 す る。一10一
あ
○ 新 文 化 運 動 と五 ・四 運 動 が 、 新 し い 中 国 建 設 に ど の よ う な 役 割 を 果 た した か を 考 察 す る 。
(4)評 価の観点 ①新文化運動か ら五 ・四運動期の、中国の人 々の西欧文化 に対す る姿勢を 理解で きたか。②パ リ講和会議の結果が、中国の人 々に与 えた影響を理解で きたか。③新中 国の思想的支柱 となる社会主義が受容 された経過 を理解で きたか。
⑤ 指導上の留意点 ①提示す る資料か ら思想の特色が読 み とれるよう、抜 粋する部分の選 定に留意す る。②波乱 に富んだ生涯を送 った思想家 ・革 命家を追 うことで、時代 の状況を考 察で きるように留意す る。
皿 異 な る視 点 か らみ た交 流 と共 生
1.ア フ リカ か ら み た 文 化 史
(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 ア フ リカ 史 は 、 奴 隷 貿 易 や 植 民 地 化 な ど 外 か らの 影 響 に っ い て 論 じ られ る こ と は 多 くて も、 こ の 文 化 圏 の 主 体 性 に っ い て 扱 わ れ る 機 会 は 少 な い 。 この 授 業 で は 中 南 ア フ リカ 文 化 圏 の 独 自 性 や 多 様 性 、 他 の 文 化 圏 と の 相 互 交 流 か ら生 み 出 され た 主 体 的 な 文 化 形 成 に つ い て 、 生 徒 に 理 解 さ せ る こ と を ね ら い と して い る 。
な お 、 この 教 材 で は サ ハ ラ 以 南 の 地 域 を 扱 う もの とす る 。
② 本 時 の ね ら い 本 時 は 世 界 史Aに お い て は 「(1)諸文 明 の 歴 史 的 特 質 」 の 「イ 中 国 文 化
〜 オ キ リス ト教 文 化 」 と併 存 す る か た ち で(Dの 中 に ア フ リカ 文 化 を 設 定 し、世 界 史Bに お い て は 、 前 半 の 文 化 圏 学 習 の な か に 「ア フ リカ 文 化 圏 」 を 設 定 す る か た ち で1時 間 の 授 業 と して 構 成 す る 。 ア フ リ カ 文 化 の 多 様 性 や 独 自性 、 普 遍 性 を 、 食 文 化 、 音 楽 、 服 飾 、 記 録 や 伝 達 の 手 段 、 建 築 な ど の 具 体 例 を 通 じて 理 解 させ る と と も に 、 中 南 ア フ リ カ文 化 が 、 他 の 文 化 圏 と の 交 流 に よ って 影 響 を 受 け る な か で 、 主 体 的 で 複 合 的 な 文 化 を 生 み 出 した 点 や 、 世 界 の 他 の 地 域 の 文 化 に 多 くの 影 響 を 与 え た 点 を 理 解 さ せ る。
(3)展 開 例
学 習項 目 学 習 活 動 備 考
・ ア フ リ カ の
○ 地 図 を 見 な が ら 、 ア フ リ カ の 位 置 や 概 念 と と も ・地 図 ・絵 地 図導
ガ イ ダ ン ス と に 、 多 様 な民 族 が 生 活 して い る こ と を 知 る 。 ま た ア・ ワ ー ク シ ー ト
人類の誕生
フ リ カ で 人 類 が 誕 生 し、 狩 猟 採 集 が 始 ま っ た 点 を 復 ・サ ン族 の 狩 猟入
習 す る 。
具な ど
①農作物
○ ア フ リカ 起 源 の 農 作 物 に つ い て 考 察 す る。・ コ ー ラ の 実
展 (農耕 の伝播
○ 多 様 な 食 の あ り方 に っ い て 知 り 、 他 の 文 化 圏 と 農・ コ ー ヒ ー と礼の文化)
作 物 の 相 互 伝 播 が あ っ た こ と を 理 解 す る。 ・料 理 の 写 真開
○ 資 料 を 読 み 、 エ チ オ ピア で 来 客 に コ ー ヒ ー を 出 す ・ 「も の 食 う 人時 に 、 「味 」 以 外 に何 が 大 切 か を 考 察 す る 。
々 」
②音楽
○ 楽 器 にふ れ 、 音 楽 を 聞 く こ とで 、 こ の 地 の 音 楽 に ・ム ビ ラ(楽 (現 代 音 楽 へ つ い て イ メ ー ジ を 高 め 、 ア フ リカ 音 楽 の 現 代 音 楽 へ器)
の 影 響) の 影 響 にっ い て の 教 師 の 説 明 を 聞 く。
・RythmesAfri
cans(CD)
③服飾 ○様 々な民族衣装 の写真 を見 て、説 明 を聞 くなか
・ ン デ ベ レ 族 の(複合的な文
で 、 ア フ リカ の 諸 民 族 が 他 の 地 域 と の 交 流 の な か 女 性 ポ ス タ ー と展 化の形成)
で 、 多 様 で 独 自 の 服 飾 文 化 を 作 り あ げ て い った こ と ビ ー ズに 気 づ く 。 ・サ ヘ ル の 民 族
衣装
・ヘ レ ロ 族 の 写
真 など
④無文字社会 ○③で紹介 され た民族 の多 くが伝 統的には文字を持 ・LeGriot(語 の特質 と機能
た な か った こ とを 理 解 す る 。り部を題材 に し
○我 々の社 会で文字はどのよ うな役割を果た してい た絵本)
る の か を 考 察 す る 。 ・ダ ホ メ ー 王 国
○写真や資料 などか ら、語 り部 の役割や、文字以外
の 王 ア ップ リ ケ の 手 段 で 知 識 や 情 報 を 伝 達 ・記 録 ・継 承 す る た あ の ・ 「無 文 字 社 会 多 様 な 方 法 が あ る こ と を 理 解 す る 。 の 歴 史 」(太 鼓○文字が必要 とされ なか った理 由を考察す る。
こ と ば に よ る 歴○文字の相対性や、文字の発生の起源な どについて 史伝承)
開
の 教 師 の 説 明 を 聞 く。 ・太 鼓⑤建築 と都市 ○各地の建築や都市文化につ いて の写真を見 て説明
・各 地 の 遺 跡 の(交易 と文化
を 聞 くな か で 、 地 図 を 参 照 に これ らの 都 市 が 特 に サ 写 真 の カ ラ ー コ交流)
ヘ ル や ス ワ ヒ リな ど サ ハ ラ砂 漠 や イ ン ド洋 に 接 す る ピ ー な ど所 に 分 布 して い る こ と に 気 づ く。 ・岩 塩 、 陶磁 器
○交易の様子を示 した地図等か ら、交易 とともに文 な ど当時の交易
化 交 流 が 行 わ れ 、 創 造 され た 点 に 気 づ く。品
・ ア フ リ カ 文
○本 日学習 したさまざまな文化を① アフ リカ起源の ・ ワ ー ク シ ー ト
化をめ ぐる相 独 自性 の強 い文化②他の地域か らの文化 や文物の流
ま互交流
入 に影 響 さ れ て 、 独 自 に 展 開 さ れ た文 化 、 ③ ア プ リ力 起 源 で 世 界 に 広 が っ た 文 化 、 の 三 つ に 分 類 ・整 理 と
す るなかで文化の相互交流 について具体的 に認識す
る。
・ ピ カ ソ の 「ア ビ ニ ョ ン の 娘 た
○ ③ の 具 体 例 と して 現 代 美 術 や フ ァ ッ シ ョ ン に つ い ち 」 の 絵
め
て の 教 師 の 説 明 を 聞 く な か で 、 身 の ま わ りに ア プ リ ・近 頃 の 原 宿 風力起源の文化が意外に多 く存在 していることを再認
フ ァ シ ョ ン の 写識 す る 。
真 など
一12一
(4)評 価 の 観 点 ① ア フ リカ が 多 様 で 独 自 の 文 化 を 生 み 出 した と い う こ と を 、 具 体 例 を 通 じ て 理 解 で き た か 。 特 に 無 文 字 社 会 の 特 性 に つ い て 理 解 で きた か 。 ② ア フ リカ と他 の 文 化 圏 と の 相 互 交 流 に よ っ て 多 様 な 文 化 が 生 み 出 さ れ た こ と を 具 体 的 に 理 解 で き た か 。 ③ ア フ リカ に 対 して 、 よ り豊 か な 感 情 で 接 す る こ とが で き る よ う に な った か 。
(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 資 料 に つ い て は 提 示 の 方 法 に 特 に 留 意 す る 。 ② ア フ リカ に 対 して 生 徒 が 持 って い る偏 見 や 情 報 不 足 を 是 正 す る よ う に 努 め る と と も に 、 ア フ リ カ の 文 化 や 住 人 に 対 して 興 味 ・関 心 を 持 た せ る よ う留 意 す る 。
2.女 性 か ら み た 近 代 日本 の 生 活 文 化
(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 現 代 社 会 に お い て 男 女 は 平 等 と し な が ら も 、 依 然 と して 女 性 へ の 差 別 ・偏 見 は 大 き い 。 男 女 の 労 働 面 に お け る 役 割 の 差 は縮 少 して き て い るが 、 社 会 通 念 の 中 に 「男 は 仕 事 、 女 は 家 庭 」 と い う固 定 的 な 性 別 に よ る 役 割 分 業 意 識 が 根 強 く引 き継 が れ て い る 。 こ れ ら は 現 代 に も少 な か らず 残 存 す る 「家 」 制 度 に 基 づ く社 会 的 な 慣 習 に よ る も の で あ る 。 男 性 が 国 家 の た め 、 社 会 の た め 、 妻 子 の た め に 生 き て き た と さ れ る そ の 傍 らで 女 性 は こ の 「家 」 の 中 で ど の よ う な 立 場 に お か れ て 生 き て き た の か を 理 解 さ せ 、 男 女 の そ れ ぞ れ の 生 き方 の 多 様 性 や 共 生 の 在 り方 を 考 え させ る こ と を ね らい と して 本 教 材 を 取 り上 げ た 。 (2》 本 時 の ね ら い 本 時 は 、3時 間 構 成 の 第2時 限 に 当 た る 。 第1時 限 で は 、 産 業 革 命 と女 子 労 働 に つ い て 扱 う。 本 時 で は 、 「家 」 制 度 下 に お け る女 性 の 地 位 や 役 割 を 理 解 さ せ る。 ま た 、 産 業 の 発 展 に 伴 い 、 女 性 が 社 会 に 進 出 す る こ と に よ り 「家 」 に 従 属 す る女 性 像 を 乗 り越 え 、 「家 」 制 度 を 揺 り動 か す 役 割 を 持 っ て い った こ と を 理 解 さ せ る。 そ の 一 方 で 性 別 役 割 分 業 観 が は っ き り し た こ と も理 解 さ せ る 。 第3時 限 で は 、 大 正 デ モ ク ラ シ ー 期 を 中 心 と して 婦 人 解 放 運 動 に つ い て 扱 う 。 学 習 指 導 要 領 で は 「日本 史A」 の 「(4)近代 日本 の 形 成 と展 開 」 の
「ウ 近 代 産 業 の 発 展 と 国 民 の 生 活 」 、 「日本 史B」 の 「(5)近代 日本 の 形 成 とア ジア 」の
「工 近 代 文 化 の 発 展 と 都 市 や 農 村 の 生 活 」 で 扱 う 。 (3)展 開 例
学習項 目 学 習 活 動 備 考
・現 代 生 活 に
○結婚式 や墓か ら現代生活の身の回 りに残 る 「 家」
・写 真導
お け る 「家 」 に つ い て 理 解 す る 。に つ い て ○ 「家 」 が 個 人 に ど の よ うな 規 制 を もた ら し て い る
入
の か を 考 え る。・女 性 の 社 会
○封建 制度 の名残 りである道徳観 が女性を 「 家」 に
・資 料 「女 大 学 」展 的法 的 な地 位
縛 り つ け て い た こ と を 理 解 す る。女 今 川 教 訓双 六 」
に つ い て○ 旧民法が制定 された ことによ り、男性優位 の家父
・資 料 「法 学 新長 権 、 相 続 権 や 「家 」 制 度 が 法 的 に 認 め られ 、 女 性 報 」 「回 想 コ ラ
開 の生活が極端 に規制 された ことを理解す る。 ム 」
・主 婦 権 に つ
○炉 の座 における主婦 の位置や呼称か ら農村で は女
・資 料 「炉 の 座 い て 性 の 労 働 力 が 重 要 視 され 、 「家 」 の 中 で の 主 婦 の 地 順 図 ・呼 称 」位 が 認 め られ て い た こ とを 理 解 す る。
1
・暮 ら し の 変 ○ 日露 戦 争 、 第 一 次 大 戦 後 の 経 済 の 進 展 に 伴 い 、 女化 と新 しい家
性 を と り ま く暮 ら しが 次 第 に 変 化 して い っ た こ と を庭観
理 解 す る。①都市化の進行 と消費生活の拡大に伴 い、妻が家
・資 料 「婦 人 之展 事万端を整え る新 しい主婦 スタイルが生みださ
友 」れ た こ と 。
②水道 などの普及により、女性の家事労働が軽減
・資 料 「日本 水 さ れ 、 余 暇 時 間 が 生 ま れ た こ と。 道 史 」 「台 所 図 」③女性雑誌 の創刊は新 しい女性への情報源 として
・資 料 「主 婦 之 の 大 き な 役 割 を 果 た した こ と。 友 」 「婦 人 公 論 」○生活が変化す る一方で男女 の役割分業が はっきり
して い っ た こ と を 理 解 す る。・女 子 教 育 の
○女学校の増加 は、国家の意図する良妻賢母像 を超
・資 料 「女 訓 十普及 と職業婦
え る女 性 を も生 み 出 して い っ た こ とを 理 解 す る。 力 条 」 「学 制 百開 人の増加
年 史 」○ オ フ ィ ス業 務 や 交 通 ・通 信 産 業 な ど の 拡 大 に 伴 い ・ 「婦 人 公 論 」
様 々な職種の職業婦人が飛躍的に増えた ことを理解
す る 。
○ 結 婚 して 「家 」 を 支 え る と い う主 婦 の 役 割 に と ど
ま らない生 き方を選択 しよ うとする女性が生まれた
こ と を 理 解 す る。
ま と
・様 々 な 生 き 方 と 男 女 の 共 生 の あ り方
○性別による役割分業観 を見直 し、男女がそれぞれ 固有の個性や能 力を持ち、多様な生 き方の可能性が あることを理解す る。
め
○今後の男女の共生の在 り方 につ いて考察する。
(4)評 価 の 観 点 ① 「家 」 制 度 が 女 性 の 個 性 や 能 力 の 発 揮 を 制 限 し、 社 会 参 加 に 制 約 を もた ら して い た こ と を 理 解 す る こ とが で きた か 。 ② 資 本 主 義 の 発 展 に 伴 い 、 女 性 の 解 放 が 徐 々 に 進 ん だ 一 方 で 男 女 の 役 割 分 業 が 進 ん だ こ と を 理 解 で きた か 。
(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 資 料 か ら女 性 の 生 活 を よ り具 体 的 に イ メ ー ジ で き る よ うに 配 慮 す る。
② 女 性 問 題 は 単 に 女 性 の み の 問 題 で は な く、 男 性 の 生 き 方 に も か か わ る も の で あ る こ と に 気 づ くよ う に 配 慮 す る 。
3.ポ ー ラ ン ドか ら み た 「列 強 」 の 抗 争
(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 一 般 的 な 世 界 史 学 習 で は 、 帝 国 主 義 の 時 代 を 植 民 地 獲 得 を め ぐ る 欧 米 「列 強 」 間 の 対 立 、 抗 争 と い う視 点 か ら展 開 して い く。 しか し、 ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 の 中 で も 「列 強 」 に よ る 支 配 に 苦 しめ られ 、 そ れ に 対 す る民 族 運 動 を 展 開 して い る 「小 国 」
一14一
も存 在 して い た の で あ る。 こ こで は 、 そ の よ うな 「小 国 」 と して ロ シア ・ ドイ ツ ・オ ー ス ト リア の3国 に分 割 さ れ て い た ポ ー ラ ン ドを 取 り上 げ 、 ポ ー ラ ン ドが 日露 戦 争 とい う 「列 強 」 に よ る 抗 争 の 中 で 、 ど の よ う に し て 第 一 次 世 界 大 戦 後 の 独 立 回 復 に つ な が る民 族 運 動 を 展 開
して い っ た か を 教 材 と して 取 り上 げ た 。
② 本 時 の ね ら い 日露 戦 争 、 ロ シ ア 第 一 革 命 当 時 の 世 界 情 勢 を2時 間 構 成 で 扱 い 、 本 時 は 2時 間 構 成 の 第2時 限 に あ た る 。 第1時 限 で は 、 日露 戦 争 に 至 る 国 際 情 勢 と戦 争 の 経 過 、 ロ シ ア第 一 革 命 の 勃 発 、 日露 戦 争 の 結 果 を 学 習 す る。 本 時 で は 、 日露 戦 争 は ポ ー ラ ン ド側 か ら み れ ば 、 独 立 を 達 成 す る 機 会 で あ り 、 日本 と の 軍 事 協 力 を 求 め た が 失 敗 した こ と 、 しか し、
ロ シァ 領 ポ ー ラ ン ドが ロ シ ア 第 一 革 命 の 中 心 地 域 とな り 、 ロ シ ア 第 一 革 命 中 の ポ ー ラ ン ドの 民 族 運 動 が 第 一 次 世 界 大 戦 後 の 独 立 回 復 に つ な が った こ と を 理 解 さ せ る 。 学 習 指 導 要 領 で は
「世 界 史B」 の 「(5)近代 と世 界 の 変 容 」 の 「工 帝 国 主 義 と ア ジ ア ・ア フ リカ 」 で 扱 う。
㈲ 展 開 例
学習項 目 学 習 活 動 備 考
・日 本 と ボ ー ○ 日 本 と ポ ー ラ ン ドが ロ シ ア を は さ ん で 東 西 に 位 置 ・資 料 「世 界 史
導
ラ ン ドの 位 置 して い る こ と を 確 認 す る 。 図 表 」・著 名 な ボ ー ○ コ ペ ル ニ ク ス 、 シ ョパ ン 、 キ ュ リ ー 夫 人 を 取 り 上 ・資 料 「ポ ー ラ ラ ン ド人 の 外 げ 、 後 者2名 が 外 国 で 活 躍 した の は ポ ー ラ ン ドと い ン ドの 紙 幣 」
国で の活躍
う国 が 失 わ れ た か らだ と い う こ と を 理 解 す る 。入 ・ ポ ー ラ ン ド
○ 当 時 の ポ ー ラ ン ドが 、 ロ シ ア ・ ドイ ツ ・オ ー ス ト ・作 業 「3分 割 3分 割 リア に よ っ て3分 割 さ れ て い た こ と を 理 解 す る 。 地 域 」 の 色 分 け・ ポ ー ラ ン ド
0コ シ チ ュ ー シ コの 蜂 起 を 取 り上 げ 、 農 民 の 協 力 を ・資 料 「ポ ー ラ民族運動の課
得 られ ず に 失 敗 して い た こ と を 理 解 す る 。 ン ドの 紙 幣 」題
・日 露 戦 争 の ○ 前 時 に 学 習 し た こ と を 確 認 す る。
・ ワ ー ク シ ー ト
展 勃発
・日 本 と の 軍 ○ ロ シア か ら の 独 立 を 勝 ち 取 ろ う と、 日 本 と の 軍 事 ・資 料 「ポ ー ラ
事協力の失敗
協 力 を め ざ し た が 、 日本 側 が ヨ ー ロ ッパ で の 複 雑 な ン ドが 示 した 軍国際問題 に巻 き込 まれ ることを恐れ たため、部分 的 事協力の内容 」
に しか 実 現 しな か っ た こ と を 理 解 す る 。
・ロ シ ア 第 一 ○ 前 時 に学 習 した こ とを 確 認 す る 。