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教 育 研 究 員 研 究 報 告 書

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全文

(1)

高等学校

成12年

教 育 研 究 員 研 究 報 告 書

地 理 歴 史 ・公 民

東 京 都 教 育 委 員 会

(2)

平 成12年 度

教 育 研 究 員(地 理歴 史 ・公 民)名 簿

No.

1

創 一 郎

2

3

都 立 大 泉 学 園 高 等 学 校

4

5

6

z

8

都 立 深 川 商 業 高 等 学 校

9

都 立 町 田 工 業 高 等 学 校

io

都 立 武 蔵 村 山 東 高 等 学 校

11

都 立 青 梅 東 高 等 学 校

12

13

都 立 久 留 米 高 等 学 校

14

15

西 都 立 小 平 西 高 等 学 校

16

都 立 府 中 西 高 等 学 校

17

1

東京都教育庁指導部 高等学校教育指導課 指導主事 都 立 教 育 研 究 所 教 科 教 育 部 指導主事

(3)

研 究 主 題 〈地 理 歴 史〉

主 体 的 に学 び行 動 で きる 資 質 や 態 度 を育成 す る指 導 の工 夫 研 究 主 題 〈公 民〉

現 代 社 会 の 諸 問 題 に対 し、主 体 的 に考 え 、 自 ら課 題 を把 握 し、 判 断 し、 解 決 して い く資 質 や 態 度 を育 成 す る 指 導 の 工 夫

地 理 歴 史

主 題 設 定 の 理 由 と研 究 経 過 1

1 2 3

異 民 族 ・異 文 化 と の 共 存 を 考 え る た め の 視 点 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 解 体 と民 族 紛 争 バ ル カ ン 半 島 に お け る 民 族 対 立 国 際 協 力 に 見 る 異 文 化 と の 共 存

2 Q σ 3 5 7 ﹁

II日 本 の 国 際 関 係 の あ り方 を 考 え る た め の 視 点

434

幕 末 日 本 を め ぐ る 国 際 環 境 日 本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮

20世 紀 初 頭 の 国 際 関 係 と十 五 年 戦 争 の 始 ま り サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 の 成 立

ii 11 13 15 17

ア ジ ア を め ぐ る 文 化 交 流 と交 易 i

2 3

中 国 仏 教 僧 の イ ン ド旅 行 と 東 ア ジ ア に お け る 仏 教 圏 の 形 成

世 界 の 記 述(東 方 見 聞 録)』 か ら探 る モ ン ゴ ル 帝 国 に お け る 東 西 交 流

「陶 磁 器 か ら 見 た 世 界 商 業 の 進 展 」

Q ) Q り 1 3 1 1 り 4 り 4

ま と め

25

1主 題 設 定 の 理 由 と研 究 の 経 過

26

II豊 か な 生 活 と 社 会 福 祉(第1分 科 会)

一 ラ イ フ プ ラ ン作 成 を 通 して 将 来 の 課 題 を 追 究 す る 「現 代 社 会 」 の 授 業 一

28

望 ま し い 政 治 の あ り方(第2分 科 会)

一 擬 似 体 験 を 通 じて の 将 来 の 社 会 シ ス テ ム を 考 え る 「政 治 ・経 済 」 の 授 業 一

<1》 望 ま し い 政 治 と は 何 な の か 考 え よ う

...36

<2》 民 主 政 治 の 大 切 さ を 知 ろ う く3》 民 主 政 治 の 基 本 原 理 を 知 ろ う

701Q44

<4》 現 代 日 本 政 治 の 諸 課 題 を知 り、 望 ま しい 政 治 を作 る た め の 行 動 を 考 え よ う … …44

IV分 析 と考 察

48

(4)

研究主題

主体 的 に学 び行動 で きる資質 や態度 を育成 す る指導 の工夫

主 題 設 定 の 理 由 と研 究 経 過

第 三 の 産 業 革 命 を も た ら す と言 わ れ る 情 報 技 術(IT)革 命 。 パ ソ コ ンや 携 帯 電 話 等 、 生 徒 の 身 近 な 環 境 の 中 に も 、 そ の 流 れ は 着 実 に 浸 透 して き て い る 。ITに よ っ て 情 報 は 、 瞬 時 に 世 界 を 駆 け め ぐ り、 社 会 を大 き く変 革 す る 。 こ の よ う な 激 変 す る21世 紀 の 情 報 社 会 を 生 き ぬ き 、 平 和 的 ・民 主 的 な 国 際 社 会 を 建 設 して ゆ く た め に 、 必 ず や 一 人 ひ と りが 国 際 的 視 野 か ら の 判 断 を 求 め ら れ る こ と に な る で あ ろ う 。

そ こ で 、 本 部 会 で は 、 こ う し た21世 紀 に 続 くで あ ろ う 時 代 変 化 の 認 識 に 基 づ き 、 生 徒 一 人 ひ と りが 自 ら課 題 を 設 定 し 、 考 察 ・判 断 ・行 動 で き る 資 質 や 態 度 を 育 む こ と を 目 的 と して 、 以 下 の3つ の 視 点 か ら 、 こ の 研 究 に 取 り組 ん だ 。

1異 民 族 ・異 文 化 と の 共 存 を考 え る た め の 視 点

冷 戦 終 結 は 民 族 の 対 立 や 融 和 と経 済 の グ ロ ー バ ル 化 を 招 い た 。 国 際 化 と は こ の 文 脈 の 中 で 理 解 さ れ る べ きで あ り、 そ こ で 必 要 と な っ て く る の は 異 民 族 ・異 文 化 と の 共 存 の 能 力 で あ る 。 共 存 に 至 る 過 程 に は 認 知 、 衝 突 、 譲 歩 な ど様 々 な 相 が 見 ら れ る が 、 本 グ ル ー プ で は 、 異 民 族 ・異 文 化 との 接 触 か ら共 存 に 至 る 過 程 の 諸 相 に 対 し て 、 バ ル カ ン 半 島 に 於 け る 民 族 紛 争 と 国 際 協 力 とい う2つ の 問 題 を 取 り上 げ 、 生 徒 が こ の 共 存 能 力 と い う点 に 於 い て 、 主 体 的 に 学 び 行 動 で き る 資 質 や 態 度 を 身 に 付 け 、 高 め ら れ る指 導 の 工 夫 を 試 み た 。

II日 本 の 国 際 関 係 の あ り方 を考 え る た め の 視 点

こ れ ま で 、 わ が 国 の 国 際 関 係 は 、 経 済 大 国 と し て の 優 位 性 に 依 存 す る 部 分 が 大 き か っ た 。 し か し、 こ れ か ら は 、 激 変 す る世 界 情 勢 の 中 で 多 様 な 視 点 に 基 づ い て 、 再 構 築 さ れ な け れ ば な ら な い 。21世 紀 に 生 き る 日 本 人 と して 、 国 際 関 係 の あ り方 を 考 え る た め に ど の よ う な 視 点 が 大 切 な の か に つ い て 、 生 徒 一 人 ひ と りが 自 ら の 課 題 と して 学 習 す る こ と が 重 要 で あ る 。 本 グ ル ー プ は そ う した 観 点 か ら 、 「幕 末 日本 の 国 際 環 境 」、 「日 本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 」、 「今 世 紀 初 頭 の 国 際 関 係 と15年 戦 争 」、 「サ ン フ ラ ン シ ス コ 平 和 条 約 の 成 立 」 を 題 材 と し て 選 び 、 生 徒 が 主

体 的 に 学 び 行 動 で き る 資 質 や 態 度 を 育 成 す る 指 導 の 工 夫 を試 み た 。 ア ジ ア を め ぐ る 文 化 交 流 と交 易

国 際 化 や 世 界 の 一 体 化 が 進 み 、 人 的 物 的 交 流 ・接 触 の 機 会 は 限 りな く増 加 し て い る 。 そ れ に 伴 い 、 自 国 の 文 化 を 認 識 した 上 で 、 多 様 な 文 化 を理 解 ・尊 重 し 、 複 眼 的 な 視 点 か ら物 事 を 判 断 で き る 生 徒 を 育 成 す る こ とが 、 よ り一 層 求 め ら れ て くる 。 ま た 欧 米 だ け で な く、 ア ジ ア と の 国 際 交 流 の 比 重 は 、 今 後 ます ます 高 ま っ て 行 くで あ ろ う。 過 去 の 時 代 に も 、 ア ジ ア を め ぐ る 文 化 交 流 や 交 易 は 、 盛 ん に 行 わ れ て き た 。 ア ジ ア は 長 い 間 文 明 の 先 進 地 域 を 抱 え て お り、 そ こ か ら 派 生 す る 交 流 や 交 易 は 新 し い 豊 か な 文 化 を創 造 し 、 そ の 後 の 歴 史 に 多 大 な 影 響 を 与 え た 。 こ の よ う な 歴 史 を 学 ぶ こ と は 、 国 際 社 会 に 生 き る 生 徒 の 資 質 を 育 成 す る の に 大 い に 役 立 つ で あ ろ う 。 そ こ で 本 グ ル ー プ で は 、 「東 ア ジ ア に お け る 仏 教 圏 の 形 成 」、 「 『世 界 の 記 述 』 か ら 見 た 東 西 交

(5)

1異 民 族 ・異 文 化 との共 存 を考 え る た めの視 点

1旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 解 体 と 民 族 紛 争

(1)教 材 と し て 取 り 上 げ た 理 由 第 一 次 世 界 大 戦 が 終 結 す る ま で 世 界 地 図 に は ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア と い う 国 は な か っ た 。 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア と い う 国 が つ く ら れ た 地 域 は 以 前 は オ ー ス ト リ ア の 領 土 で あ り 、 オ ス マ ン 帝 国 の 領 土 で あ っ た 。 第 一 次 世 界 大 戦 後 、 ス ラ ブ 系 の 民 族 で あ る セ ル ビ ア 人 、 ク ロ ア チ ア 人 、 ス ロ ベ ニ ア 人 、 モ ン テ ネ グ ロ 人 、 マ ケ ドニ ア 人 が 住 ん で い る 地 域 に セ ル ビ ア 人 ・ク ロ ア チ ア 人 ・ ス ロ ベ ニ ア 人 王 国(1929年 に ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア 王 国 に 改 称)が つ く ら れ た 。 住 民 の 多 く は キ リ ス ト 教 徒 で あ っ た が 、 中 に は ス ラ ブ 人 で あ り な が ら も 、 長 い オ ス マ ン 帝 国 支 配 の あ い だ に イ ス ラ ム 教 に 改 宗 し た ス ラ ブ 人 も い た 。 ま た 、 キ リ ス ト教 徒 で あ っ て も カ ト リ ッ ク も い れ ば ギ リ シ ア 正 教 徒(セ ル ビ ア 正 教 徒)も い た 。 そ し て 第 二 次 世 界 大 戦 終 了 後 、 連 邦 共 和 国 が 成 立 し た が 、 テ ィ ト ー 亡 き 後 は 、 以 前 か ら の 民 族 対 立 や 経 済 の 地 域 格 差 に 対 す る 不 満 な ど か ら 連 邦 は 解 体 し 、 各 地 で 民 族 紛 争 が み ら れ る よ う に な っ た 。21世 紀 の 国 際 社 会 は 今 ま で 以 上 に 異 民 族 や 異 文 化 と の 接 触 ・交 流 が 多 く な り 、 異 民 族 や 異 文 化 と の 共 存 ・協 調 が 重 要 な 課 題 と な る で あ ろ う 。21世 紀 に 生 き る 人 間 と し て 、 民 族 の 違 い や 文 化 の 違 い に よ っ て 生 じ る 諸 問 題 を い か に 解 決 し 、 異 民 族 や 異 文 化 と の 共 存 に つ い て 、 生 徒 が 自 ら 考 え 、 課 題 を 追 究 し て い く こ と が で き る よ う 本 教 材 を 取 り上 げ た 。

(2)本 時 の ね ら い 本 時 は5時 間 構 成 の 第4時 限 に あ た る 。 第1時 限 で は 、 人 種 と は 何 か 、 世 界 の お も な 人 種 と そ の 分 布 に つ い て 学 習 す る 。 第2時 限 で は 、 民 族 と は 何 か 、 世 界 の お

も な 語 族 と そ の 分 布 に つ い て 学 習 す る 。 第3時 限 で は 、 世 界 の お も な 宗 教 と そ の 分 布 に つ い て 学 習 す る 。 第4時 限 で は 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 民 族 問 題 に つ い て 学 習 す る 。 第5時 限 で は キ プ ロ ス と ス リ ラ ン カ の 民 族 問 題 に つ い て 学 習 す る 。 学 習 指 導 要 領 で の 関 連 分 野 は 地 理Bの 「(3)現 代 世 界 の 諸 課 題 の 地 理 的 考 察 」 の 「ク 民 族 、 領 土 問 題 の 地 域 性 」 で あ る 。

(3)展 開 例

学 習 項 目

○ 旧 ユ ー ゴ ス ○ 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア と 新 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア を 確 認 す る 。

ヨ ー ロ ツ

ラ ヴ ィ ァ と 新 ○ 旧 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア は6つ の 共 和 国 、5つ の 民 族 、4つ

パ に お け る ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ

の 言 語 、3つ の 宗 教 、2つ の 文 字 が あ る 民 族 構 成 が 複 雑 な 旧 ユ ー ゴ ス

ア 1つ の 国 家 で あ っ た こ と を 理 解 さ せ る 。 ラ ヴ ィ ア の

○ 旧 ユ ー ゴ ス

位 置 を 地 図

ラ ヴ ィ ア の 複 帳 と プ リ ン

雑 な民族構 成 トの 地 図 で

確認

(6)

○ ユ ー ゴ ス ラ ○ ヨ ー ロ ッ パ 人(ゲ ル マ ン 民 族 、 ラ テ ン 民 族 、 ス ラ ブ 民 族)

06つ の 共

ヴ ィ ア の 国 名 と 南 ス ラ ブ 人 の 起 源 と 移 動 に つ い て 理 解 さ せ る 。

和 国 の 位 置 の 由 来

06つ の 共 和 国 、5つ の 民 族 、4つ の 言 語 、3つ の 宗 教 、 を プ リ ン ト

○複 雑 な民族

2つ の 文 字 を 理 解 さ せ る(6つ の 共 和 国 、5つ の 民 族 、4

の 地 図 で 確 構成

つ の 言 語 、3つ の 宗 教 、2つ の 文 字 の 関 係 を ま と め た プ リ

ン ト を 配 布 す る)。

05つ の 民

○ お も な5つ の 民 族 ご と に5つ の 共 和 国 が 構 成 さ れ て い る 族 の 分 布 を

が 、 ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ ゴ ヴ ィ ナ 共 和 国 は 複 数 の 民 族 ・宗

地 図 で 確 認

教 が 混 在 し て い る こ と を 理 解 さ せ る 。

○ 歴 史 的 な 民 族 対 立 や 、 連 邦 内 で の 南 北 の 経 済 格 差 な ど の た め に民 族 紛 争 が 激 化 し 、 分 離 独 立 した こ と を理 解 さ せ る 。

○ 分 離 独 立 し た 新 しい 国 家 に お い て も 、 内 戦 が お こ っ た こ

と を 理 解 さ せ る(特 に ボ ス ニ ア の 内 戦 に つ い て)。

○ 新 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア に お い て も コ ソ ヴ ォ 自 治 州 の ア ル バ

ニ ア 人 問 題 な ど 、 まだ 民 族 問題 が 解 決 して い な い こ と を理

解 さ せ る 。

○多民 族 国家

ONATOを 中 心 と し て 、 平 和 ・共 存 へ の 努 力 が な さ れ て ま

と め

の 課 題

い る こ と を 理 解 さ せ る 。

○ 民 族 問 題 の 解 決 は 容 易 な こ と で は な い が 、 こ れ か ら の 国

際 社 会 に お い て は 重 要 な 課 題 で あ る こ と を理 解 さ せ る 。

(4)評 価 の 観 点 ① 世 界 の 諸 地 域 に は 深 刻 な 民 族 問 題 ・民 族 紛 争 が み ら れ る 地 域 も あ る こ と を 理 解 で き た か 。 ② 民 族 問 題 の 解 決 は 国 際 社 会 に お い て 重 要 な 課 題 で あ る こ と が 理 解 で き た か 。 ③ 異 民 族 ・異 文 化 を 理 解 し、 尊 重 す る こ と が 大 切 で あ る こ と を 認 識 で き た か 。

(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 世 界 の 国 々 の 中 に は 複 数 の 民 族 か ら な り、 複 数 の 言 語 が 使 わ れ て い る 国 も 多 い こ と を 理 解 さ せ る 。 ② 世 界 の 多 くの 地 域 で 民 族 問 題 ・民 族 紛 争 が み ら れ る こ と を理 解 さ せ る 。 ③ 多 民 族 国 家 で あ っ て も特 に 問 題 の み ら れ な い 国 家 も あ れ ば 、 多 くの 問 題 を 抱 え て い る 国 家 、 さ ま ざ ま な 努 力 を して い る 国 家 も 多 い こ と を理 解 さ せ る 。

(7)

2バ ル カ ン 半 島 に お け る 民 族 対 立

(1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 米 ソ 冷 戦 構 造 が 崩 壊 した の ち 、 世 界 各 地 で 民 族 自 立 を 掲 げ た 多 く の 民 族 紛 争 が 勃 発 し て い る 。 中 で も最 も複 雑 で 過 酷 な 状 況 を も た ら して い る 紛 争 が 「バ ル カ ン の 民 族 紛 争 」 で あ る 。 バ ル カ ン 半 島 に お け る 民 族 対 立 は 、 半 島 の 地 理 的 特 殊 性 に よ り多 くの 民 族 が 半 島 内 に 流 入 した こ と 、 ビ ザ ン ツ 帝 国 、 オ ス マ ン帝 国 の 支 配 に 対 す る 異 文 化 の 受 容 と反 発 、 ま た 、 ハ プ ス ブ ル ク 帝 国 に よ る 支 配 な ど複 雑 な 支 配 関 係 を 歴 史 的 観 点 か ら 追 求 し、 そ こ か ら派 生 した 民 族 主 義 が 現 在 の バ ル カ ン紛 争 の 要 因 と な っ て い る こ と を 学 ぶ 。 こ の 問 題 を とお し、 民 族 の 違 い 、 文 化 の 違 い に よ る 摩 擦 が 戦 争 に ま で 発 展 す る こ と 、 ま た 異 文 化 を 受 容 し、 国 際 協 調 、 共 存 の 考 え が 大 切 で あ る こ と を 理 解 さ せ る 。 現 代 社 会 で は 異 文 化 と の 接 触 は 避 け ら れ な い 状 況 で あ る 。 そ の よ う な 国 際 状 況 の 中 、 異 文 化 と の 接 触 で ど の よ う な 問 題 が 派 生 し、 そ れ を解 決 し と も に 真 の 国 際 社 会 を 築 い て い く た め に は ど う す れ ば よ い の か を 考 え て い か な け れ ば な ら な い 。21世 紀 に 生 き る 生 徒 が 、 国 際 社 会 に 生 き る 人 と して 、 主 体 的 に 考 え 、 行 動 で き る よ う本 教 材 を 取 り上 げ た 。

(2)本 時 の ね ら い 本 時 は4時 間 構 成 の 第3・4時 限 目 に あ た る 。 第1・2時 限 目 で は 、 ロ シ ア の 南 下 政 策 と オ ス マ ン 帝 国 の 領 土 を め ぐ る 「東 方 問 題 」 を 学 ぶ 。 本 時 で は 、 第 一 次 世 界 大 戦 前 の バ ル カ ン 戦 争 か ら 大 戦 後 の 国 境 線 画 定 ま で を サ ラ イ ェ ヴ ォ の 街=に 焦 点 を あ て 、

「ヨ ー ロ ッ パ の 火 薬 庫 」 か ら 第 一 次 世 界 大 戦 へ 、 そ の 後 の 国 家(ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア)の 成 立 が 強 国 の 利 害 に よ っ て 決 定 さ れ た 歴 史 的 背 景 を 理 解 さ せ る 。 さ ら に 、 第 二 次 世 界 大 戦 後 の テ ィ ト ー に よ る 多 民 族 国 家 の 経 営 、 冷 戦 構 造 崩 壊 後 の 民 族 対 立 の 噴 出 、 異 民 族 共 存 の 難 し さ や ま た そ の 必 要 性 を 理 解 さ せ る こ と を 目 的 と す る 。 最 後 に 現 在 の ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア 紛 争 の 概 略 を 解 説 し た う え で 、 イ ン タ ー ネ ッ ト ・新 聞 を 利 用 し 過 去 の 歴 史 で は な く 同 時 代 に 起 き て い る 問 題 で あ る こ と 、 そ の 解 決 の 難 し さ 、 必 要 性 を 認 識 さ せ て い く 予 定 で あ る 。 学 習 指 導 要 領 で の 関 連 分 野 は 「世 界 史A」 の 「(3)現 代 の 世 界 と 日 本 」 の 「オ 地 域 紛 争 と 国 際 社 会 」 及 び 「世 界 史B」 の 「((5)地 球 世 界 の 形 成 」 の 「工 国 際 対 立 と 国 際 協 調 」 で あ る 。 ま た 、 「地 理B」 の 「(3)現 代 社 会 の 諸 課 題 の 地 理 的 考 察 」 の 「ク 民 族 領 土 問 題 の 地 域 性 」 と 関 連 し て 学 ん で い く こ と も 有 意 義 で あ る 。

(3)展 開 例(2時 間 続 き の 指 導 案 で あ る が 、1時 間 ご と の 授 業 も 可 能 で あ る 。)

学 習 項 目

○ 新 ユ ー ゴ ス ラ

○ 新 ユ ー ゴ の 大 統 領 選 挙 の 結 果 や 外 務 省 の ホ ー ム ペ ー パ ソ コ ン

ヴ ィ ア の 概 要 ジ を み て 身 近 に 感 じ る 。

○ 第 一 次 大 戦 前

○ 白 地 図 に3C政 策 の 拠 点 、3B政 策 の 拠 点 を 記 し 、

白 地 図 の 列 強 の 政 策

ま た 地 図 か ら ロ シ ア の 「 南 下 政 策 」 の ね ら い を 知 り 、 プ リ ン ト

バ ル カ ン 半 島 の 戦 略 的 重 要 性 を 理 解 す る 。 「現 代 世 界 」

○ 民 族 主 義 、 領

○ オ ー ス ト リ ア の ボ ス ニ ア 併 合 、 バ ル カ ン 同 盟 の 結

土拡張政策 成 ま で の 出 来 事 を 時 系 列 に 理 解 す る 。

(8)

0バ ル カ ン 戦 争 に つ い て 学 び 、 特 に 第 二 次 バ ル カ ン

戦 争 は ス ラ ヴ民 族 同 士 の 戦 争 だ っ た 事 に 着 目 す る 。

○ サ ラ イ ェ ヴ ォ

○ サ ラ イ ェ ヴ ォ事 件 お よ び そ の 逸 話 を 紹 介 し僅 か な

プ リ ン ト

事件

き っ か け と 偶 然 か ら 、 セ ル ビ ア の 一 青 年 が 放 っ た 銃

弾 が 世 界 大 戦 に 繋 が っ た こ と を 理 解 させ る 。

○ 第 一 次 大 戦 後

○ ヴ ェ ル サ イ ユ 体 制 の も と ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア が 、 列

の 新 国 家 誕 生

国 の 利 害 の も と に 誕 生 し た こ と を 知 る 。

○ ナ チ ス ・ ド イ

○ 第 二 次 世 界 大 戦 時 、 ナ チ ス ・ ド イ ツ の 政 策 に よ り 、

ツ に よ る 民 族 分 民 族 分 断 が 図 ら れ ク ロ ア チ ア 人 の 極 右 組 織 「ウ ス タ 断政策 シ ャ」 に よ る セ ル ビ ア 人 虐 殺 が あ り民 族 対 立 が 激 化

し た こ と を 知 る 。

○ テ ィ ト ー の 民

0テ ィ トー 大 統 領 に よ る 「自 主 管 理 社 会 主 義 」 の 概 族共存 政策 略 を 説 明 し、 危 う い バ ラ ン ス の 上 に も民 族 共 存 の 道

が 開 か れ つ つ あ っ た こ と を 理 解 す る 。

○連邦 崩壊 ○ 現 在 の バ ル カ ン 諸 国 の 地 図 を用 い 、 経 済 不 振 や 米 白 地 図 ソ 冷 戦 構 造 の 終 結 後 連 邦 が 崩 壊 した 事 を 理 解 す る 。

○民族紛争

092年 ボ ス ニ ア 紛 争 の 資 料 写 真 を ホ ー ム ペ ー ジ か ら

パ ソ コ ン

ダ ウ ン ロ ー ド し 、 サ ラ イ ェ ヴ ォ と い う 街 の 悲 劇 お よ

び 戦 争 と 平 和 に つ い て 考 察 さ せ る 。 ま た 、 ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア 関 係 の ホ ー ム ペ ー ジ を 見 て 、 民 族 紛 争 の 解 決 が 容 易 で な い こ と 、 逆 に 政 治 ・国 連 の レ ベ ル で 共

存 の 道 を 探 っ て い る こ と な ど を 知 る 。 ま

○ 「戦 争 と平 和 」

「民 族 紛 争 」

○ 「サ ラ イ ェ ヴ ォ 」 「民 族 主 義 」 「民 族 共 存 」 の テ ー マ で 戦 争 と 平 和 に つ い て 自 分 な り の 考 え を ま と め て

み る 。

(4)評 価 の 観 点 評 価 は 単 に 歴 史 的 知 識 の 習 得 の み に 観 点 を お か ず 、 過 去 の 出 来 事 か ら 現 在 に 学 ぶ こ と は 何 で あ る か 考 察 す る こ と が 大 切 で あ る 。 パ ソ コ ンや 新 聞 ・資 料 を 多 く使 う こ と に よ り 、 生 徒 自 身 が 考 え 多 様 な 価 値 観 を持 つ プ ロ セ ス を 大 切 に した い 。 ま た 、 最 後 に レポ ー トを 課 す こ と に よ り 自 ら の 考 え を ま と め る 力 を 養 う こ と も大 切 で あ る 。 ① 大 戦 前 の 列 強 の 政 策 が 理 解 で き た か 。 ② 民 族 主 義 が 戦 争 に 繋 が る こ と も あ り得 る こ と を 理 解 で き た か 。 ③ 異 民 族 ・異 文 化 を 理 解 し尊 重 す る 態 度 が 大 切 で あ る こ と を 認 識 で き た か 。

(5)指 導 上 の 留 意 点 ① ホ ー ム ペ ー ジ は あ らか じめ ア ド レス を提 示 し、 見 に 行 く ま で に 時 間 が か か ら な い よ う に す る 。 ② 生 徒 が 視 覚 的 に 理 解 で き る よ う に 地 図 ・資 料 は わ か りや す い も の を 用 意 す る 。 ③ 生 徒 が 自 ら考 え る こ と が 出 来 る よ う 、 考 察 す る 時 間 や 発 問 に 考 慮 す

(9)

3国 際 協 力 に 見 る 異 文 化 と の 共 存

(1)教 材 と し て 取 り上 げ た 理 由 現 在 に 至 る まで 様 々 な 援 助 主 体 に よ り国 際 協 力 が 行 な わ れ て き た が 、 そ の 過 程 で 多 くの 問 題 点 が 浮 上 し、 そ の 幾 つ か は 解 決 さ れ 、 ま た 残 り の 幾 つ か は 課 題 と し て 残 っ た 。 問 題 発 生 の 根 源 的 要 因 の 一 つ と して 、 「非 西 欧 的 な も の は 遅 れ た も の 、 開 発 ・改 善 さ れ な け れ ば な ら な い もの 」 とす る 考 え 方 が 、 こ れ ま で の 国 際 協 力 の 主 体 者 側 に あ っ た こ とが あ げ ら れ る 。 先 進 国 の 技 術 や 生 産 様 式 、 ま た そ の 背 景 と な る 考 え 方 が そ の ま ま で は 発 展 途 上 国 に 適 合 せ ず 、 問 題 を 解 決 す る ど こ ろ か む し ろ 拡 大 す る 場 合 す ら 少 な く な か っ た 。 今 や 、 そ う し た 考 え 方 を 払 拭 し、 多 様 性 を 認 め 、 尊 重 す る こ と が 求 め ら れ 始 め て い る 。 援 助 が 定 着 し 、 援 助 対 象 の 自立 を 促 す た め の 条 件 は 、 援 助 を さ れ る 側 の 主 体 性 を 引 き 出 す よ う な 「援 助 さ れ る 者 の 立 場 に 立 っ て 考 え ら れ た も の 」 で あ る と い う こ と で あ り 、 そ れ は 地 域 性 の 理 解 の 上 に の み 成 り立 つ 異 文 化 の 尊 重 と理 解 に 他 な ら な い の で あ る 。 そ して 、 こ の 非 西 欧 的 な る も の の 中 に 、 我 々 先 進 国 が 模 索 して い る 「持 続 可 能 な 進 歩 ・ 発 展 ・成 長 」 の 方 策 の ヒ ン トが 隠 さ れ て い る 可 能 性 が あ る 点 で も 、 こ の こ と は 大 き な 意 味

を 持 つ 。

(2)本 時 の ね ら い こ こ に 示 す の は9時 間 構 成 の 第4〜5時 限 と 第8〜9時 限 で あ る 。 第 1〜3時 限 で は 、 途 上 国 の 抱 え る 諸 問 題 と そ の 構 造 、 国 際 協 力 の 主 体 と し て 国 際 機 関 、O DA、NGOそ れ ぞ れ に つ い て の 仕 組 み と 実 績 及 び 問 題 点 な ど を 、 第4時 限 以 降 の た め の 基 礎 知 識 と し て 紹 介 す る 。 第4〜5時 限 で は 、 ア ジ ア に お い て 食 糧 増 産 援 助 策 と し て 導 入 さ れ た 先 進 国 型 農 業 が も た ら し た 社 会 的 変 化 の 事 例 を 通 し て 、 「地 域 性 の 尊 重 の 重 要 性 」 に つ い て 理 解 さ せ る 。 第6〜7時 限 で は 、 バ ン グ ラ デ シ ュ に お け る 日 本 のNGOの 具 体 的 活 動 例 を 通 し て 、 「異 文 化 と の 共 存 」 の 鍵 と な る 、 「表 面 事 象 の 背 景 や 構 造 的 要 因 の 理 解 の 必 要 性 」 に つ い て 理 解 さ せ る 。 第8〜9時 限 で は 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 材 を 利 用 し た 参 加 型 学 習 に よ り 、 「異 文 化 と の 共 存 」 に つ い て の 実 践 的 考 察 を 深 め る 。 な お 、 学 習 指 導 要 領 に お け る 関 連 分 野 は 、 「地 理A」 の 「(2)地 域 性 を 踏 ま え て と ら え る 現 代 世 界 の 課 題 」 の

「イ 地 球 的 課 題 の 地 理 的 考 察 」 の 「ア 諸 地 域 か ら 見 た 地 球 的 課 題 」 や 、 「地 理B」 の

「(3)現 代 世 界 の 諸 課 題 の 地 理 的 考 察 」 の 「オ 環 境 、 エ ネ ル ギ ー 問 題 の 地 域 性 」、 「力 人 口 、 食 料 問 題 の 地 域 性 」 及 び 「キ 居 住 、 都 市 問 題 の 地 域 性 」 な ど で あ る 。

(3‑1)展 開 例(第4〜5時 限)

学 習 項 目

○ ア ジ ア の 絶 ○ ア ジ ア 各 地 の 絶 対 的 貧 困 者 数 の 多 さ を 日 本 の 人 口 「ア ジ ア 地 域 の 貧 対 的貧困者 数 と対 比 さ せ な が ら 理 解 す る 。 困 者 数 」

○ 稲 魂 信 仰

○ ジ ャ ワ 島 の 二 ・ポ ハ チ 伝 説 と ア ニ ア ニ を 知 る 。 「二 ・ポ ハ チ 伝 説

○ 緑 の 革 命 は 、 貧 困 層 救 済 の た め 、 食 料 不 足 解 消 の

概 略 」 「ア ニ ア ニ

決 定 打 と して 導 入 さ れ た 経 緯 を 理 解 す る 。

の 図 」

1

○ 国 及 び 地 域 を 地 図 帳 で 確 認 す る 。

1 ○ 在 来 種 とH ○ 高 収 量 品 種(HYV)開 発 の 歴 史 と そ の 特 性 に つ い 「米 の 在 来 種 と 高

(10)

YVの 特 性 の て 、 在 来 種 の そ れ と 比 較 対 照 しな が ら理 解 す る 。 在 収 量 種 の 比 較 」 比 較 来 種 の 特 性 が 自 然 条 件 に 合 致 し、 そ れ に 応 じて 在 来

「ト ラ ク タ ー 導 入

農 法 が 確 立 さ れ た事 を 理 解 す る 。 に よ る 影 響 」 OHYV定 OHYVの 定 着 に は 相 当 の 経 済 力 が 必 要 で あ り 、 貧 「HYV導 入 に 必

の 条 件 困 層 救 済 に な り得 な か っ た 事 を理 解 す る 。 要 な 諸 条 件 」 OHYVの OHYV導 入 に よ る コ ス ト増 加 は 収 穫 量 増 加 を 上 回

「HYV導 入 に よ

り 、 農 業 経 営 を 圧 迫 し た こ と を 理 解 す る 。

る 生 産 費 変 化 」

○ ジ ャ ワ 島 に ○ ジ ャ ワ 島 に お い て 、 人 口 急 増 とHYV導 入 が エ ン

「緑 の 革 命 に 起 因

お け るHYV

ク ロ ー ジ ャ ー を 進 め 、 貧 困 層 を 拡 大 さ せ た こ と を 、

す る 社 会 問 題 」 導 入 に よ る 社 社 会 構 造 の 観 点 か ら理 解 す る 。 「ジ ヤ ワ の 収 穫 制

会変化 度 の 変 遷 」

○ 地域性 を重 OHYVと 在 来 種 浮 き稲 と の 交 配 種IR422の 成 功 「化 学 肥 料 使 用 と

視 し た 新 品 種 例 を 通 して 、 地 域 性 の 尊 重 の 重 要 性 を 理 解 す る 。 地 力 維 持 の 重 要 性 」

○有 機農 法へ ○ フ ィ リ ピ ン に お け るNGOに よ る 緑 の 革 命 か ら 有 「病 虫 害 の 爆 発 的

の転換事例 機 農 法 へ の 転 換 の 成 功 事 例 を 通 して 、 地 域 性 の 尊 重 発 生 の 要 因 」 「在

の 重 要 性 を 理 解 す る 。 来 品 種 ・農 法 尊 重

○ 地 域 に 合 っ ○ 途 上 国 に 導 入 す る に は ど の よ う な 農 法 が よ い か を の 有 効 性 」 「有 機

た 農 法

考 え る 。

農 法 の 有 効 性 」

(4‑1)評 価 の 観 点 ① 途 上 国 地 域 の 在 来 農 法 、 社 会 構 造 、 文 化 な ど は 、 先 進 国 に 対 し て 決 し て 遅 れ た もの で は な く、 地 域 性 と の 調 和 を 持 っ て 必 然 的 に 形 成 さ れ て い る こ と を 理 解 で き た か 。 ② 先 進 国 技 術 に よ る 緑 の 革 命 が 途 上 国 の 農 村 社 会 に もた ら し た 功 罪 に つ い て 理 解 で き た か 。 ③ 開 発 ・成 長 、 進 歩 ・発 展 の 理 念 を具 現 化 す る 方 法 に つ い て 、 先 進 国 の も の が 唯 一 絶 対 で は な く 、 文 化 が 異 な れ ば そ の 方 法 も ま た 異 な る こ と を 認 識 し 、21世 紀 の 国 際 協 力 の 在 り方 を 考 え る こ とが で き た か 。

(5‑D指 導 上 の 留 意 点 ① 貧 困 の 原 因 は 人 口 急 増 で は な く 、 所 得 分 配 の 不 平 等 で あ る こ と を 押 え る 。 ② 取 り上 げ た 地 域 に つ い て は 地 図 帳 な ど を 用 い て 確 認 さ せ る 。 ③ 先 進 国 の 文 化 と途 上 国 の 文 化 の ど ち らが 正 しい の か と い う よ う な 二 者 択 一 的 思 考 に 陥 らせ ず 、 文 化 は 夫 々 の 地 域 性 に 根 ざ し た もの で あ り、 必 然 性 を備 え て い る こ と を 押 え る 。

(3‑2)展 開 例(第8〜9時 限)

1 学 習 項 目1学

○ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 説 明

○ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 教 材 「Y国Z村 の 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン 」 に つ い て 説 明 す る 。

○ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 開 始

○ 状 況 設 定 、Y国 基 礎 デ ー タ 、Z村 農 村 マ ッ プ 、Y 国 関 係 者 資 料 を 説 明 し 、 ス ラ イ ド に よ る 地 域 紹 介 を

○ ワ ー ク シ ー ト 1‑3

(11)

○ 援 助 プ ラ ン ○ グ ル ー プ に分 か れ 、 援 助 プ ラ ンの 検 討 を 指 示 す る 。 の 検 討 ○ 決 定 した プ ラ ン と そ の 決 定 理 由 を 発 表 さ せ る 。

○ 発 表 ・再 発 ○ プ ラ ン の 再 検 討 を指 示 す る 。

表及 び討論 ○ 再 決 定 プ ラ ン と そ の 決 定 理 由 を 再 発 表 さ せ る 。

○ グ ル ー プ の 発 表 が 終 了 後 、 質 疑 応 答 と討 論 を 行 う 。

○ ま と め ○ 立 場 や 考 え の 違 い に よ っ て 採 択 す る プ ラ ン が 異 な る こ と を 示 し 、 誰 の た め の 援 助 か 慎 重 に 考 え る こ と

が 重 要 で あ る こ と を 説 明 す る 。 そ の 際 、 地 域 性 の 理 解 の 上 に 立 っ て 相 手 先 の 文 化 を 尊 重 す る こ と が 大 切

で あ る こ と を 説 明 す る 。

○ こ の 授 業 で 学 ん だ こ と及 び 感 想 を記 入 させ る 。 ○ ワ ー ク シ ー ト4

(4‑2)評 価 の 観 点 ① 主 体 的 に 学 び 行 動 す る こ と が で き た か 。 ② 地 域 性 の 理 解 の 上 に 立 っ て 、 異 文 化 を 尊 重 ・理 解 す る こ と が 重 要 で あ る こ と を 認 識 で き た か 。 ③(4‑1)の ③ に 同 じ 。

(5‑2)指 導 上 の 留 意 点 ① 発 展 途 上 国 の 人 々 も 日本 人 も 同 じ地 球 に 生 き る 市 民 で あ る こ と に 気 づ か せ る よ う 留 意 す る 。 ② 国 際 社 会 に お け る 先 進 国 日 本 の 役 割 に つ い て 発 展 的 に 考 え ら れ る よ う 留 意 す る 。 ③ 各 グ ル ー プ の 援 助 プ ラ ンの 検 討 が 進 ま な い 場 合 、 状 況 に よ っ て は 検 討 が 進 む よ う 教 師 が 適 宜 助 言 を 行 う 。

◎ 資 料 「望 ま し い 援 助 と は 〜Y国Z村 の 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン 」 ワ ー ク シ ー ト1〜4抜

●1.「 状 況 設 定 」 『あ な た 方 は 後 発 発 展 途 上 国 で あ るY国 に 派 遣 さ れ た 援 助 プ ラ ン 評 価 専 門 家 チ ー ム で す 。 今Y国 で はZ村 の 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン が4つ 示 さ れ て い ま す 。 そ こ で あ な た は 方 は4つ の 援 助 プ ラ ン か ら最 適 の も の を1つ を 選 択 し、Y国 政 府 に助 言 し て 下 さ い 。 あ な た 方 の 仕 事 は 責 任 重 大 で す 。 そ れ で は 頑 張 っ てY国 に 最 適 の 援 助 プ ラ ン を 決 定 し て 下 さ い 。』

●2.「Y国 概 要 及 び 基 礎 デ ー タ 」 「Y国 は 東 南 ア ジ ア の 赤 道 直 下 に 位 置 す る 後 発 発 展 途 上 国 で あ る 。 国 土 は 山 が ち で 、 気 候 は 主 に 熱 帯 雨 林 気 候 、 宗 教 は 上 座 部 仏 教 で あ る 。 主 な 産 業 は 、 在 来 種 を 在 来 農 法 で 栽 培 す る 稲 作 を 中 心 と した 農 業 で 、 人 口 の 約80%は 農 村 に 居 住 し て い る 。 農 民 は 大 地 主 、 自 作 農 民 、 小 作 人 、 土 地 な し農 民 で 構 成 され て い る 。 人 口 は こ の30年 間 で 急 激 に 増 加 し、 貧 困 層 が 増 え 貧 富 の 差 も 拡 大 して い る 。 農 村 で は 土 地 な し農 民 が 増 え 、 貧 し くて 学 校 に 行 け な い 子 ど も の 数 も激 増 して い る 。 山 間 部 に は 焼 畑 や 狩 猟 を 行 っ て 自 給 自 足 の 生 活 を 営 む 少 数 民 族W族 が 暮 ら して い る 。 援 助 対 象 地 域 のZ村 は 平 野 と 山 地 か ら な り大 き なX川 が 流 れ て い る 。 山 地 に は 熱 帯 雨 林 とW族 の 居 住 地 域 が あ る 。 こ のZ村 は 首 都 か ら 遠 く離 れ 、Y国 の 中 で も 開 発 の 遅 れ た 貧 しい 地 域 で あ る 。 な お 今 回 の プ ラ ン の 予 算 上 限 額 は10億 円 で あ る 。』

●3.「Y国 関 係 者 か らの 聞 き 取 り 調 査 」

1.Y国 政 府 官 僚 「こ の 国 は 貧 しい で す が 、 人 々 は 仕 事 熱 心 で 大 変 よ く働 き 、 こ れ か ら 発 展 す る 可 能 性 は 高 い と言 え ます 。 従 っ て 電 力 や 道 路 や 水 道 な ど を 整 備 し て 工 場 を 建 設 す れ ば 、 急 速 に 発 展 して い く と考 え て い ま す 。 ま た こ の 国 の 豊 か で 美 し い 自然 と歴 史 の 古 い 寺 院 や 伝 統

一9一

(12)

文 化 を 外 国 の 人 々 に 知 っ て も ら う た め 、 観 光 地 化 し た い と思 っ て い ます 。 従 っ て 外 国 の 会 社 と 資 金 を 出 し合 っ て 観 光 開 発 を した い と 思 っ て い ま す 。』

4,Z村 土 地 な し農 民 『私 た ち の 生 活 と い っ た ら ひ ど い もの だ 。 食 事 は1日2回 だ ね 。 当 然 私 の 家 に は 電 気 な ん て い う もの は な い 。 病 気 に な っ た と きが 一 番 つ ら い な 。 だ け ど子 ど も た ち に は 、 読 み 書 き と計 算 が で き る よ う に な っ て も ら い た い 。 私 は 字 が 読 め な く て 、 農 業 か ら 他 の 仕 事 に 転 職 で き な い ん だ 。 よ い 暮 ら し を した い と思 っ て も地 主 の 土 地 は 小 作 人 た ち が 借 りて し

ま っ て 、 私 た ち の 借 り ら れ る 農 地 は こ の 村 に は 無 い ん だ よ 。 だ か ら農 業 労 働 者 と し て 地 主 や 自 作 農 民 や 小 作 人 に 雇 っ て も ら う の だ け れ ど 、 私 と 同 じ土 地 な し農 民 が 最 近 増 え て な 。 農 作 業 に あ りつ く競 争 が 激 し くて 、 毎 日 は 仕 事 が な い ん だ 。 ま た 労 賃 も下 が っ て き た 。厳 しい 現 実 だ よ 。

だ け ど子 ど も も働 い て くれ る し、 毎 日 お 寺 で 祈 っ て い る か ら 、 何 とか 生 活 し て い け る ん だ 。』

こ の 他2,Z村 大 地 主3.Z村 小 作 人5.Y国 実 業 家6.少 数 民 族W族

●4.「Z村 農 村 開 発 援 助 プ ラ ン 」

1.農 業 用 水 路 の 建 設 、 トラ ク タ ー の 輸 入 、 化 学 肥 料 ・農 薬 工 場 の 建 設 費 補 助 『高 収 量 品 種 導 入 の た め に 、X川 に ポ ン プ 場 を 建 設 しZ村 まで の 農 業 用 水 路 を 建 設 して 水 不 足 を 解 消 す る 。 そ し て トラ ク タ ー を10台 輸 入 す る 。 ま た 化 学 肥 料 ・農 薬 工 場 の 建 設 費 を 補 助 す る 。 工 場 が 建 設 さ れ れ ば 、 化 学 肥 料 や 農 薬 が 安 くな る の で 、 農 民 一 人 当 た りの 生 産 量 は 格 段 に 高 く な る 。 ま た 建 設 関 連 の 雇 用 及 び 工 場 労 働 者 と して の 雇 用 が 期 待 で き 、Y国 の 工 業 化 に も 結 び つ く。 し か し 村 の 一 部 に は 、 収 入 が 増 え る の は 地 主 だ け とい う 声 や 工 場 の 公 害 を 心 配 す る 声 が 聞 か れ る 。 な お 電 力 供 給 は 他 の 国 の 援 助 に よ っ て 近 々 実 現 す る 見 込 み で あ る 。』

2.有 機 農 法 の 協 同 生 産 組 合 設 立 『小 作 人 や 土 地 な し農 民 を 組 織 化 して 、 水 田 を 購 入 し 有 機 農 法 の 協 同 生 産 組 合 を 設 立 して 、 無 農 薬 有 機 肥 料 の 農 産 物 を 生 産 す る 。 養 魚 場 の 建 設 や 鶏 ・ 豚 の 飼 育 を 行 い 、 糞 は 有 機 肥 料 に す る 。 ま た 組 合 で 、 貧 しい 人 に も低 利 で 融 資 で き る よ う 融 資 制 度 を 実 施 す る 。 有 機 農 法 は 人 手 が か か る の で 多 くの 農 業 労 働 者 が 必 要 と な り、 か な り多 く の 雇 用 が 期 待 で き る 。 しか し農 民 一 人 当 た りの 収 入 は 低 く、 組 合 の 生 産 物 の 売 り込 み も 組 合 員 で 行 わ な け れ ば な ら な い 。 ま た 生 産 規 模 も簡 単 に は 大 き くで き な い 。』

3.外 資 と の 合 弁 に よ る 自然 を生 か し た観 光 開 発 『外 国 企 業 と資 金 を 出 し合 っ て ホ テ ル を 建 設 し、 異 文 化 理 解 を 目 的 と し た 伝 統 工 芸 や 民 族 舞 踊 の 体 験 ツ ア ー 、 山 間 部W族 の 集 落 を 訪 れ た り貴 重 な 熱 帯 雨 林 の 森 を観 察 す る ネ イ チ ャ ー ツ ア ー を 実 施 す る 。 ま た 歴 史 的 寺 院 を 観 光 地 と して 整 備 す る 。 雇 用 だ け で は な く、 手 工 芸 品 の 販 売 や 農 産 物 の 販 売 も期 待 で き る が 、 そ の 規 模 は そ れ ほ ど 大 きい も の で は な い 。 観 光 客 相 手 の 伝 統 工 芸 体 験 や 民 族 舞 踊 が 単 な る 観 光 シ ョ ー と 化 し伝 統 の 破 壊 と 考 え る 人 々 や 祈 りの 場 の 寺 院 を 観 光 地 に す る こ と に 反 対 す る 人 々 が い る 。』

4.大 人 の た め の 識 字 教 室 ・職 業 訓 練 の 実 施 及 び 学 校 ・診 療 所 の 建 設 『生 活 レ ベ ル の 向 上 に は 学 問 が 不 可 欠 で あ る 。 大 人 向 け の 読 み 書 き や 簡 単 な 計 算 を 学 ぶ 夜 間 の 識 字 教 室 を 開 催 す る 。

ミ シ ン を 輸 入 して 、 縫 製 技 術 を 身 に つ け る 職 業 訓 練 所 を つ く る 。 技 術 指 導 時 以 外 は 無 料 で ミ シ ン を利 用 で き る 。 ま た 学 校 と診 療 所 を 数 カ所 ず つ 建 設 し 、 教 材 ・学 用 品 、医 療 機 器 ・医 薬 品 な ど も援 助 す る 。』

(13)

H日 本 の国際 関係 のあ り方 を考 えるための視点

1幕 末 日 本 を め ぐ る 国 際 環 境

(1)教 材 と し て 取 り 上 げ た 理 由 幕 末 か ら 明 治 維 新 に い た る 時 期 は 、 二 百 数 十 年 来 の 幕 藩 体 制 の 崩 壊 の ド ラ マ が 、 め ま ぐ る し く 展 開 す る 時 期 で あ る 。 ま た 一 方 で 、 ア ジ ア の 東 端 の 島 国 日 本 が 、 パ ワ ー=ポ リ テ ィ ク ス が 支 配 す る 有 機 的 な 世 界 史 の 中 に 編 入 さ せ ら れ て ゆ く と い う 画 期 も な し て い る 。 近 年 、 こ の 時 期 に お け る 英 仏 な ど 欧 米 列 強 の 影 響 に つ い て は 、

「世 界 の 中 の 日 本 」 と い う 視 点 か ら も 、 重 視 さ れ て き て い る 。 し か し 、 教 科 書 の 記 述 な ど は 断 片 的 か つ 表 面 的 で 、 視 野 が せ ま い 。 そ こ で 、 近 年 の 明 治 維 新 の 国 際 的 環 境 に つ い て の 研 究 を ふ ま え 、 開 国 後 の 政 局 の 展 開 を 、 国 際 的 な 背 景 と 結 び つ け な が ら 考 察 さ せ る こ と が 必 要 で あ る 。 つ ま り 、 朝 廷 や 尊 王 穰 夷 の 志 士 た ち と 公 武 合 体 の 幕 閣 や 諸 侯 と の 対 決 、 幕 府 独 裁 か 倒 幕 か を め ぐ る 複 雑 な 対 抗 や か け ひ き な ど が 、 つ ね に 外 圧 に 対 す る 国 家 的 対 応 の 方 策 い か ん を め ぐ っ て 展 開 し て い る と い う 視 点 を 持 た せ る こ と 。 さ ら に 、 民 衆 の 世 直 し の 潮 流 も ま た 、 列 強 の 圧 迫 と 為 政 者 た ち の 政 争 激 化 の 中 で 、 ま す ま す 大 き く な り 、 歴 史 を 動 か す 原 動 力 と な っ た こ と に 着 目 さ せ る 。 こ の よ う な 中 か ら 、 パ ワ ー=ポ リ テ ィ ク ス の 支 配 が 進 む で あ ろ う21世 紀 の 世 界 の 中 で 、 国 民 と し て の 自 覚 を 持 ち 、 日 本 の 国 際 関 係 の あ り 方 を 自 ら 考 え 、 判 断 す る 力 を 培 う こ と を ね ら い と し て 、 本 教 材 を 取 り 上 げ た 。

(2)本 時 の ね ら い 本 時 は3時 間 構 成 の 第3時 限 に 当 た る 。 第1時 限 で は 、 開 国 後 の 政 局 の 転 換 に つ い て 、 第2時 限 で は 、 尊 王 撰 夷 運 動 の 展 開 を 概 観 す る 。 そ の 際 、 第1時 限 で は 、 ロ シ ア の 対 馬 占 拠 事 件 を と り あ げ 、 植 民 地 化 の 危 機 を 感 じ と ら せ 、 か つ 民 衆 の 抵 抗 が こ の 事 件 を 解 決 す る 大 き な 力 と な っ た こ と を 理 解 さ せ る 。 第2時 限 で は 、 イ ギ リ ス の 砲 艦 外 交 の 意 図 を 「オ ー ル コ ッ ク の 覚 書 」 や ア ー ネ ス ト;サ ト ウ の 「英 国 策 論 」 な ど を 通 じ て 理 解 さ せ る 。 ま た 英 仏 の 横 浜 軍 事 基 地 建 設 に つ い て も 注 目 さ せ る 。 本 時 で は 、 イ ギ リ ス 外 交 の 変 化 に よ る 倒 幕 勢 力 の 形 成 の よ う す 、 そ し て フ ラ ン ス 外 交 の 幕 府 へ の 影 響 な ら び に そ の 意 図 を 理 解 さ せ る 。 そ し て 日 本 が 独 立 を 保 ち 得 た 理 由 を 考 察 さ せ 、 さ ら に 、 そ の よ う な 環 境 の 中 で 主 体 的 に 行 動 し た 日 本 人 の 姿 を 通 し て 、 今 日 の 国 際 社 会 の 中 で い か に 行 動 し て ゆ く べ き か を 考 察 さ せ る 。 学 習 指 導 要 領 の 関 連 分 野 は 、 「日本 史B」 の 「(5)近 代 日 本 の 形 成 と ア ジ ア 」 の 「ア 明 治 維 新 と 立 憲 体 制 の 成 立 」 で あ る 。

(3)展 開 例

1学 習 項 目

○ イ ギ リ ス の

○ 前 時 の イ ギ リ ス の 対 日 政 策 を 確 認 す る 。

◎ ワ ー ク シ ー ト①

対 日 政 策

◎ ワ ー ク シ ー ト②

○ 長 州 藩 の 藩 ○ 下 関 戦 争 で 援 夷 の 不 可 能 を悟 っ た の み な ら ず 、 植

・史 料 「遊 清 五 録 」

論転 回 民 地 化 の 危 機 感 を 持 ち 、 貿 易 に よ る 富 国 強 兵 を 目 指 (高 杉 晋 作)

[

し た 、 高 杉 晋 作 ら の 蜂 起 ・改 革 運 動 を 理 解 す る 。

(14)

○ 長 州 再 征 と 0外 圧 を 機 に 藩 論 を 転 回 した 薩 長 両 藩 が 倒 幕 と い う 薩長 連合 の形 共 通 の 目標 に む か う こ と を 確 認 す る 。

○ 長 州 再 征 宣 言 に よ り窮 地 に 陥 っ た 長 州 藩 を 援 助 す る こ と で 、 薩 摩 藩 との 盟 約 を 導 い た 坂 本 龍 馬 の 努 力 ・

意 図 を 理 解 す る 。(イ ギ リ ス の 役 割 に も留 意 す る)

・ グ ラ フ 「大 坂 に

○ 強 行 さ れ た 幕 長 戦 争 は 米 価 高 騰 に と も な う 「打 ち お け る 物 価 指 数 」

こ わ し 」「世 直 し 一 揆 」を 頻 発 さ せ 、 つ い に 中 止 に 至 っ

「幕 末 の 百 姓 一 揆 」

た こ と を 理 解 す る 。

○ フ ラ ン ス の

○ 公 使 ロ ッ シ ュ 着 任 以 来 の 幕 府 支 援 策 を振 り返 り 、

・資 料 「幕 末 日 本

幕府 支援 と慶

彼 の 意 図 を 考 え る 。 と フ ラ ン ス 外 交 」

喜 の 巻 き返 し ○ 親 仏 派(小 栗 忠 順 ら)が 幕 政 の 主 導 権 を 握 り 、 徳

川 絶 対 主 義 を 目 指 した こ と 、 ま た そ れ に 対 す る 勝 海

・史 料 「海 舟 日 記 」

舟 の 批 判 の 意 図 を理 解 す る 。

「開 国 起 原 」(勝 海 舟)

○ 大 政 奉 還 と ○ 倒 幕 勢 力 内 の 挙 兵 討 幕 路 線(薩 長)と 公 議 政 体 路 王政 復古 の ク ー 線(土 佐)の そ れ ぞ れ の 意 図 を理 解 す る 。

デ タ ー ○ 幕 府 勢 力 温 存 を は か っ た 慶 喜 の 選 択 の 意 図 を 理 解 ・史 料 「議 題 草 案 」

す る 。 (西周 助)

1

○ 日 本 が 独 立 ○ 英 仏 の 対 日 政 策 を 振 り返 り 、 そ れ に 対 し て 日 本 人

◎ ワ ー ク シ ー ト③ と

を 保 ち 得 た 理

は ど の よ う に 対 応 し た か も う 一 度 、 概 観 す る 。

○ なぜ 日 本 は 独 立 を 保 ち 得 た の か 考 え る 。

(4)評 価 の 観 点 ① 列 強 の 外 圧 を う け 、 そ れ と 衝 突 ・妥 協 ・利 用 しな が ら 、 独 立 を 保 ち 、 明 治 維 新 を 実 現 させ た 当 時 の 日 本 人 の 行 動 を 理 解 で き た か 。 ② 民 衆 の 主 体 的 な 行 動 及 び 変 革 を 求 め る パ ワ ー が 歴 史 を 動 か す 力 と な っ た こ と を 理 解 で き た か 。 ③ そ れ ら を 通 して 、 今 日 の 国 際 社 会 の 中 で 日本 人 と し て 生 きて ゆ く上 で 重 要 な こ と に つ い て 考 え る こ と が で き た か 。

(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 資 料 を 活 用 し や す い よ う に ワ ー ク シ ー トを 工 夫 す る 。 ② 資 料 ・統

計 を 読 み と り 、 生 徒 自 ら が 考 え 判 断 し て 歴 史 を 再 構 築 し て ゆ け る よ う 、 適 切 な 助 言 を 与 え

る 。

(15)

2日 本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮

(1)教 材 と して 取 り上 げ た 理 由 韓 国(大 韓 民 国)の 日 本 文 化 解 禁 政 策 、 ワ ー ル ドカ ッ プ の 日韓 共 催 な ど に 見 ら れ る よ う に 、 日韓 関 係 の 新 しい 時 代 が 始 ま っ た 。 ま た 、 大 韓 民 国 と 朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 、 日 本 と朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 の 関 係 に お い て も新 し い 展 開 が 期 待 さ れ て い る 。 日 本 と 大 韓 民 国 、 日本 と朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 が 友 好 関 係 を 深 め て い くた め に は 、 相 互 が 客 観 的 な 歴 史 事 実 を ふ ま え 、 誤 解 や 偏 見 を な く し、 現 在 の 課 題 を 解 決 し て い く こ とが 大 切 で あ る 。 そ の よ う な 観 点 か ら 、 日本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 に つ い て 、 生 徒 が 主 体 的 に 学 ぶ2時 間 構 成 の 授 業 を 構 想 し た 。 生 徒 が 能 動 的 に 知 識 や 概 念 を 獲 得 す る 授 業 、 生 徒 が 新 た な 探 求 心 や 問 題 意 識 を持 て る 授 業 とす る た め に 、 授 業 時 間 を 多 く 確 保 し て 、 資 料 や 授 業 展 開 を 工 夫 し 、 ワ ー ク シ ー ト作 業 や 判 断 ・思 考 ・意 見 表 明 の 場 面 を 設 け た 。 展 開 例 と し て 示 す 、 土 地 調 査 事 業 と 興 南 工 業 地 帯 の 実 態 は 、 日 本 に よ る 植 民 地 支 配 下 の 朝 鮮 の 状 況 と して 具 体 的 で あ り 、 生 徒 の 学 習 意 欲 を 引 き 出 す 要 素 を 多 く含 む も の で あ る と 考 え 、 教 材 化 した 。

(2)本 時 の ね らい 本 時 は2時 間 構 成 の 第1時 限 に あ た る 。 本 時 で は 土 地 調 査 事 業 を 取 り 上 げ 、 そ れ を 糸 口 に 、 韓 国 併 合 ま で の 経 過 と そ の 後 の 植 民 地 政 策 に つ い て 理 解 さ せ 、 日 本 の 植 民 地 下 に お か れ た 朝 鮮 の 状 況 に つ い て 具 体 的 に 考 え させ る 。 第2時 限 で は 朝 鮮 の 多 く の 人 々 は 独 立 を 願 い な が ら も(三 ・一 独 立 運 動)、 皇 民 化 政 策(日 本 語 使 用 ・神 社 参 拝 の 強 制 、 創 氏 改 名 な ど)に 組 み 込 ま れ て い く こ と を学 習 す る 。 学 習 指 導 要 領 の 関 連 分 野 は 、

「世 界 史B」 の 「(5)地 球 世 界 の 形 成 」 の 「ア ニ つ の 大 戦 と世 界 」、 ま た は 「世 界 史A」

の 「(3)現 代 の 世 界 と 日 本 」 の 「イ ニ つ の 世 界 大 戦 と 平 和 」 で あ る 。

(3)展 開 例

学 習 項 目

○朝 鮮 を植 民 ○ 日本 の 企 業 が 朝 鮮 に 作 っ た 興 南 工 業 地 帯 に つ い て 資 料 「日 本 窒 素 肥

地 に し て い た の 資 料 を 見 て ワ ー ク シ ー ト作 業 を 行 わ せ 、 日 本 が 朝

料朝鮮事業絵 図」

日 本

鮮 を 植 民 地 と し て い た こ と を 確 認 す る 。

○ 日 本 の 植 民 ○ 教 科 書 で 日韓 併 合 後 の 日 本 の 植 民 地 政 策 の 概 要 に 地 政 策 の 概 要

つ い て 調 べ さ せ る(ワ ー ク シ ー ト作 業)。

○土 地調 査事 0土 地 調 査 事 業 の 「申 告 書 」 の 書 式 を 紹 介 す る 。 資 料 「土 地 調 査 事

業 の 「申 告 書 」

業 の 『申 告 書 』」

○土 地 調査事 0土 地 調 査 事 業 に つ い て の 韓 国 ・歴 史 教 科 書 の 記 述 資 料 「韓 国 の 教 科 業 の 実 態 を 紹 介 し、 申 告 に よ り所 有 権 が 明 らか に な ら な い 土 書 に 書 か れ た 土 地 地 は 朝 鮮 総 督 府 の 所 有 に さ れ た こ と を 確 認 す る 。 調 査 事 業 の 実 態 」

(16)

ゆ 臓 併合ま 「故 意 に 申 告 を しな い もの も多 か っ た 」 と い う 韓 で の 経 過 と朝 国 教 科 書 記 述 に つ い て 、 な ぜ 「申 告 書 」 を 提 出 し な 鮮 の 人 々 の 抵 い の か 、 本 当 に そ ん な 人 が い た の か ど う か を 問 題 提

起 す る 。

② 上 記 の 問 題 に つ い て 自 分 の 意 見 を 形 成 す る1つ 資 料 「韓 国 併 合 ま 材 料 と して 、 韓 国 併 合 ま で の 経 過 と 朝 鮮 の 人 々 の 抵 で の 略 年 表 」

抗 に つ い て 資 料 を 見 て 調 べ さ せ る(ワ ー ク シ ー ト作

資 料 「義 兵 闘 争 の

業)。

回 数 」

③ 自 分 が 当 時 の 朝 鮮 の 農 民 だ っ た ら 『申 告 書 』 を 提 *判 断 す る 過 程 で

出 す る か ど う か 考 え さ せ る 。 当時の具体 的状 況

(a>2、3人 の 生 徒 に 自 分 の 判 断 と そ の 理 由 を 発 言 に 目 を 向 け 、 様 々

さ せ る 。

な こ と に 気 づ き 、

(b)そ の 他 、 疑 問 に 思 っ た こ と を 出 さ せ る 。

疑 問 を 持 つ こ と を

目 的 と す る 。

○ 日 本 の 植 民 ○ 他 人 の 意 見 や 疑 問 も参 考 に しな が ら 、 土 地 調 査 事 提 出用紙

地 政策 と朝鮮 業 を 中 心 と す る 日本 の 植 民 地 政 策 と朝 鮮 に つ い て 、 *提 出 さ れ た 意 見

ま 自 分 の 意 見 ・感 想 ・疑 問(以 下3項 目)を 用 紙 に 記

等 は 「世 界 史 通 信 」

と 入 さ せ 提 出 さ せ る 。

(a)自 分 が 当 時 の 朝 鮮 の 農 民 だ っ た ら 『申 告 書 』 を

と し て ま と め 、 後 日 、 生 徒 に 配 付 す

出 す か 、 出 さ な い か(判 断 と そ の 理 由)る 。

(b旧 本 の 植 民 地 政 策 と 朝 鮮 に つ い て の 意 見 ・感 想

(c)疑 問 に 思 っ た こ と 、 知 り た く な っ た こ と

〈4)評 価 の 観 点 ① 韓 国 併 合 ま で の 経 過 と 日 本 の 植 民 地 政 策 の 概 要 を理 解 で き た か 。 ② 朝 鮮 総 督 府 に よ る 植 民 地 政 策 の1つ の 具 体 例 と し て の 土 地 調 査 事 業 の 実 態 を 理 解 で き た か 。

③ 土 地 調 査 事 業 を 中 心 とす る 日本 の 植 民 地 政 策 と朝 鮮 に つ い て 、 し っ か り考 え る こ と に よ り 、 知 りた い こ と や 疑 問 を 持 つ こ と が で き た か 。 ④ 日 本 の 植 民 地 政 策 と朝 鮮 に つ い て 、 自 分 の 意 見 を 形 成 で き た か 。

(5)指 導 上 の 留 意 点 ① 日本 の 植 民 地 政 策 の 評 価 に つ い て 様 々 な 意 見 が あ る こ と もふ ま え 、 教 師 が 生 徒 に 示 す 内 容 は 具 体 的 事 実 に と ど め る 。 ② 判 断 や 思 考 の 過 程 で 、 知 識 を 活 用 す る こ と 、 様 々 な こ と に 気 づ く こ と 、 様 々 な 疑 問 を持 つ こ と を 重 視 す る 。 ③ 韓 国 の 教 科 書 も含 め 、 教 科 書 の 記 述 に つ い て は 、 具 体 的 事 実 の 記 述 部 分 と解 釈 を ふ く む 記 述 部 分 が あ る こ と を 指 導 す る 。 ④ 提 出 され た 意 見 等 は 、 後 日 、 「世 界 史 通 信 」 と して 生 徒 に 配 付 し 学 び あ い を 深 め る 。 状 況 に よ っ て は さ ら に紙 上 討 論 を 組 織 す る 。 ⑤ な お 、 生 徒 か ら疑 問 や 意 見 等 が 多 く引 き出 せ る よ う発 問 や 雰 囲 気 作 りに 留 意 す る 。

参照

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