平成19年度授業力向上ブラッシュアップ研修会
第6学年 国語科学習指導案
日 時 平成19年11月21日(水)5校時 児 童 花巻市立若葉小学校6年3組
男子19名 女子17名 計36名 指導者 矢 吹 哲 郎 (若葉小)
共同研究者 大 西 淳 子 (桜台小)
高 橋 玲 子 (太田小)
1 単元名 筆者の考えを受け止め、自分の考えを伝えよう(光村6下)
教材名 「平和のとりでを築く」 (説明文)
「自分の考えを発信しよう」
2 単元について
第6学年における「読むこと」に関する目標は、 「目的に応じ、内容や要旨を把握しながら読むことがで きるようにするとともに、読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。 」ことである。
また、指導内容に「イ 目的や意図などに応じて、文章の内容を的確に押さえながら要旨をとらえること」
「エ 書かれている内容について事象と感想、意見の関係を押さえ、自分の考えを明確にしながら読むこ と」が掲げられている。
本単元は、筆者の主張を読み取り、 「平和」についての自分なりの考えをもつことを主なねらいとしてい る。まず、原子爆弾によって傷だらけとなった物産陳列館が世界遺産「原爆ドーム」となった経緯やその 意義について筆者の考えを叙述に即して読み取り、その後、 「平和」についての自分の考えをまとめ、それ らを意見文として発信する学習へと発展していく。
児童は、6年生の説明文教材「生き物はつながりの中に」で、序論、本論、結論といった文章構成をも とにそれぞれの要点をとらえ、筆者の考えに対する自分の考えを書く学習を行ってきている。また、部分 的に筆者の記述の方法にも触れ、文章を再検討する学習も行ってきている。しかし、筆者の考えを断片的 にしかとらえられず、自分の考えを深められずにいる児童も多い。
指導にあたっては、読み取ったことをふりかえり、それらを文章構成に立ち返るなどしながら論の展開 の仕方といったことについても触れ、筆者の考え、主張をより深くとらえさせたい。このことが、後の意 見文を書く際の手立てにもなると考えられる。また、教材文に関係する歴史的な部分などについては、他 教科とも関連を図るなどして本教材に向かう素地を作っておくとともに、 「平和」に関する自分の考えを構 築し発信していくことなども伝え、児童が目的をもって学習できるようにしていきたい。
3 単元の目標 ア 国語への関心
・意欲・態度
① 「平和」について関心をもって読んだり、話し合ったり、書いたりしようとする。
イ 読むこと ① 「平和のとりでを築く」という題名が意味することや文章構成を意識しながら筆者の考えを 読み取ることができる。
② 書かれている内容について事実と感想、意見を区別し、自分の考えを明確にしながら読むこ とができる。
ウ 書くこと ① 集めた情報を整理し、事実と意見を区別して書くことができる。
② 自分の考えを効果的に表現するために、文章全体の組み立てを工夫して書くことができる。
エ 言語事項 ① 理解したり、表現したりするために必要な語句について、辞書を活用して調べるこ
とができる。
4 指導計画(全12時間 読むこと5時間 書くこと7時間)
段 階 時 主な学習活動及び具体の評価規準、方法
第1次
(2時間)
全 文 を 読 み、学習の見 通しをもつ。
1
○題名から5W1H の観点で、読みの課題をもつことができる。 (ア−①) 【発言】
○筆者が伝えたいことを予想しながら読み、自分の考えを書くことができる。
(ア−①) 【発言】
第2次
(5時間)
「原爆ドー ム」を通して 筆者が伝えた いことを読み 取り、自分の 考えをまとめ る。
2
3 本時
4
5
○序論における中心文をとらえている。 (イ−②) 【発言・ノート】
○「平和のとりでを築く」 (題と同じ言葉)や文末表現に着目し、筆者の最も訴えたいことが 書かれている文をとらえている。
(イ−①) 【サイドライン】
○「原爆ドーム」が保存されるまでにたどった歩みを読み取っている。
○日記に込められた少女の願いを読みとり、書きまとめている。
(イ−②) 【発言・ワークシート】
○筆者が人々の平和を求める気持ちの強さを感じた理由を読み取っている。
○「原爆ドーム」が世界遺産に認められたことに対する筆者の気持ちを書きまとめている。
(イ−①) 【発言・ワークシート】
○ユネスコ憲章の一文について、その意味を説明している。
○筆者の訴えたいことを叙述の意味するところを押さえながら書きまとめている。
(イ−①) 【発言・ノート】
第3次
(7時間)
自分 の考え を意見文にま とめる。
6
7 8
9
10 11
12
○自分の考えを発信するための計画を立て、簡単な構想を立てている。 (ア−①) 【ノート】
○必要な材料を集めている。 (ア−①) 【発言・ノート】
○材料を選択し、文章の簡単な組み立てを考えている。 (ウ−②) 【発言・ノート】
○事象と感想、意見を区別しながら意見文を書いている。 (ウ−①) 【発言・ノート】
○友達の考えを知り、自分の考えを話したり、書いたりしている。 (ア−①) 【発言・ノート】
単元名、教材名をもとに単元全体の見通しをもち、初発の感想を書く。
内容の概略をつかみ、大きく3つに分ける。序論(第1段落)から、
話題提示の文を読み取る。
原爆ドームが保存されるまでにたどった歩みを読み取る。
原爆ドームが世界遺産に認められたときの筆者の気持ちを読み取る。
「原爆ドーム」を通して筆者が伝えたいことをまとめる。
自分の考えを発信するために、計画を立てて、見通しをもつ。
必要な材料を集める。
意見文を書く。
意見文を交流し合い、友達の考えを深める。
集めた材料を整理し、文章構成を考える。
5 文章構造図と文章構成図
(1)文章構造図
結 論 本 論 序 論 段 階
四 まとめ
三
世界遺産への道のり
二
「原爆ドーム」がたどった歴史
一 話題提示
⑫ ⑬ 原 爆 ド ー ム は ︑ そ れ を 見 る 人 の 心 に 平 和 の と
り で を 築 く た め の 世 界 の 遺 産 な の だ ︒ ② ③ 一 九 一 五 年 ︑ 物 産 陳 列 館 と し て 完 成 ︒ 多 く の
市 民 に 親 し ま れ て き た ︒
④ ⑤ 一 九 四 五 年 ︑ 原 爆 投 下 に よ り 建 物 は 全 焼 ︒ れ
ん が と 鉄 筋 の 一 部 は 残 る ︒
⑥ 戦 後 間 も な い こ ろ ︑ 原 爆 ド ー ム を 保 存 す る
か ︑ 取 り 壊 す か の 議 論 が 続 く ︒
⑦ ⑧ 一 九 六 〇 年 ︑ 被 爆 が 原 因 と み ら れ る 病 で 亡 く
な っ た 一 少 女 の 日 記 に 後 押 し さ れ て ︑ 市 民 も
役 所 も ﹁ 原 爆 ド ー ム 永 久 保 存 ﹂ に 立 ち 上 が る ︒
⑨ ⑩ 一 九 九 二 年 ︑ 原 爆 ド ー ム を 世 界 遺 産 に し よ う
と す る 動 き が 高 ま る ︒
⑪ 決 定 の 知 ら せ が 届 い た と き ︑ わ た し は ︑ 世 界
の 人 々 の 平 和 を 求 め る 気 持 ち の 強 さ を 改 め
て 感 じ た ︒ ① 原 爆 ド ー ム が 世 界 遺 産 の 仲 間 入 り を 果 た し
た と き ︑ わ た し は ︑ こ の 傷 だ ら け の 建 物 が た
ど っ て き た 年 月 を 思 わ ず に は い ら れ な か っ
た ︒ 文 章 構 造 ・ 意 味 構 造
痛 ま し い 姿 惨 劇
無 言 で 告 げ て い る
核 兵 器 不 必 要 記 念 碑 ユ ネ ス コ 憲 章
平 和 の と り で を 築 く
世 界 の 遺 産 な の だ 物 産 陳 列 館 ひ と き わ 目 立 つ
親 し ま れ て い た
原 子 爆 弾 が 投 下
一 瞬 の う ち に 生 命 を う ば わ れ
よ う や く 生 き 残 っ た 人 々 も 傷 つ き ︑
多 く が 死 ん で い っ た
傷 だ ら け の 建 物 の 最 大 の 特 徴
保 存 保 存 反 対 議 論
一 少 女 の 日 記
産 業 奨 励 館 市 民
﹁ 原 爆 ド ー ム 永 久 保 存 ﹂
ユ ネ ス コ
世 界 遺 産
歴 史 の 被 害 を 強 調 す る 遺 跡
規 模 が 小 さ い 歴 史 が 浅 い 遺 跡 原 子 爆 弾 原 爆 ド ー ム 建 物 平 和 戦 争 建 造 物 世 界 遺 産
傷 だ ら け の 建 物 重 要 語 句 ・ 言 語 事 項
(2)文章構成図
①
② ③ ④ ⑤
⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪
⑫
⑬
6 本時の指導
(1) 目標 「原爆ドーム」がたどってきた歩みを読み取ることができる。
(2) 展開
学習活動 学習内容 指導上の留意点
1 前時までの想起を行う。
2 学習課題を確認する。
3 読みの視点を確認し、②〜⑧ 段落を音読する。
4 内容を読み取る。
(1) 「原爆ドーム」がたどった 歴史的経緯をワークシート にまとめる。
(2) 「原爆ドーム」とよばれる ようになった理由を考える。
(3)日記に込められた少女の願 いをワークシートに書く。
5 題名について、自分の考えを 書く。
6 次時の予告をする。
・序論の中心文
「わたしは、建築されてからこの日まで、こ の傷だらけの建物がたどった年月を思わず にはいられなかった。 」
・本論
・視点「何が」
・ 「物産陳列館」 ・ 「原爆投下」
・ドーム(丸屋根)
・この傷だらけの最大の特徴
・約15年、議論が続く
・ 「一少女の日記」 ・ 「原爆ドーム保存」
・市民、全国へと広がる。
・未来の人々にも原爆のおそろしさを忘れな いでほしい。
・ (いつ) 「原爆ドーム」を見たとき
・ (誰が) 「原爆ドーム」を見た人が 未来の人々が
・本論・ 「世界遺産」
・5W1Hの観点で題名の解決に向 けて学習していることを確認する。
・文章構成表から、序論の中心文を 受けての本論であること、そして、
本時はその前半部分であることを確 認する。
・家庭学習で確認してきた「いつ」
に対して「何が」あったのかをまと めていくために音読することを確認 する。
・文章を年表の形式にまとめ さ させる。
・年表をもとに、 「物産陳列館」
が「原爆ドーム」という名前 に変わったことを確認する。
・ 「ドーム」と言われる部分を指 摘させたり、全焼したものの残った 部分を確認したりして「原爆ドーム」
と呼ばれるようになった理由を考え させる。
・一少女について確認し、十数年た ったころの広島の様子を写真で紹介 する。
・引用されている日記の文を 確認する。
・原爆ドーム保存への動きは、
市民レベルに留まらず、全国、
世界へと広がっていくことを 確認する。
・5W1Hの観点で考えている題名 について記入できるところをワーク シートに書かせる。
原爆ドームが保存されるまでにたどってきた歩みを読み取ろう。
具体の評価規準
A 「いつ」に合った出来事を抜き出し、年表か ら分かることを指摘できる。
B 「いつ」に合った出来事を抜き出すことがで きる。
C 歴史的経緯に関わる文がある段落を教え、教 師と一緒に1つ出来事を本文から抜き出しま とめてみる。
具体の評価規準
A 日記の内容に基づきながら、そこに込められた 少女の願いを読み取り、書きまとめている。
B 引用されている日記の言葉を参考に、少女の 願いを書きまとめている。
C 引用されている日記の語句の意味を確認し、
教師と対話しながら、児童の考えを引き出す。
(3)板書計画
筆 者 の 考 え を 受 け 止 め ︑ 自 分 の 考 え を 伝 え よ う
平 和 の と り で を 築 く 大 牟 田 稔
︵ ﹁ 原 爆 ド ー ム ﹂ が た ど っ た 歩 み を 読 み 取 ろ う ︒ ︶
﹁ い つ ﹂ ﹁ 何 が ﹂
・ 一 九 一 五 年 物 産 陳 列 館 と し て 完 成 ︵ 大 正 四 年 ︶
・ 一 九 四 五 年 八 月 六 日 原 子 爆 弾 投 下 ︵ 昭 和 二 十 五 年 ︶
・ 戦 後 間 も な い こ ろ 原 爆 ド ー ム を 保 存 す る か 取 り 壊 し て し ま う か 議 論
・ 一 九 六 〇 年 一 少 女 の 日 記 を き っ か け に
︵ 昭 和 三 十 五 年 ︶ し て 市 民 の 意 見 が 原 爆 ド ー
ム 保 存 へ と 固 ま る ︒
1960年ころ の広島の写真
原爆ドーム の写真
約15年