第9回株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会
平成30年(2018年)2月28日
経済産業省 経済産業政策局
企業会計室
1.研究会のこれまでの経緯
1-1 伊藤レポート~研究会
1-2 成長戦略2015~2017
2.フォローアップ
2-1 総会の集中
2-2 招集通知の法定前発送とWeb開示
2-3 Web開示によるみなし提供制度の利用推移
2-4 英文開示: 取り組む企業数の推移
2-5 英文開示: 英訳内容
3.日本の株式保有構造
3-1 現在の構造と海外比較
3-2 中長期の推移
1
4.個人株主の議決権行使
4-1 議決権行使率と電子行使率
4-2 議決権行使環境向上に向けた取組①②
4-3 参考:個人投資家の証券投資に関する調査
(日本証券業協会)
5.機関投資家の議決権行使
5-1 議決権行使率と電子行使率
5-2 議決権電子行使プラットフォームの利用状況
5-3 議決権行使環境向上に向けた取組
6.米国・英国における電子提供制度
6-1 米国におけるNotice&Access制度の経緯・目的
6-2 米国におけるNotice&Access制度の概要
6‐3 参考:米国における株主総会資料の電子提供状況
6-4 英国におけるWeb開示みなし同意制度の経緯・目的
6-5 英国におけるWeb開示みなし同意制度の概要
参考資料
参考1 招集通知発送前Web開示を行う企業数の推移
参考2 招集通知発送前Web開示を行う企業の属性
参考3 発送前Web開示の課題:Web開示のタイミング
参考4 発送前Web開示の課題:1営業日前にWeb開示
を行う企業の属性
もくじ
1.研究会のこれまでの経緯
2.フォローアップ
3.日本の株式保有構造
4.個人株主の議決権行使
5.機関投資家の議決権行使
6.米国・英国における電子提供制度
2
1-1 伊藤レポート~研究会
2014(H26)6月:「伊藤レポート」公表
企業が「稼ぐ力」を高め、持続的な価値創造を実現し、長期的なリターンを得られる仕組み、
すなわち経済の「インベストメント・チェーン」全体最適化による好循環及び持続的成長を確保すべきと提言。
対話の場としての株主総会の見直し
51
企業が株主との対話を行い、説明責任を果たす場として、株主総会プロセスを活性化することは重要な課題である。
特に投資家からの要請の強い総会開催日や基準日の合理的な設定、招集通知期間の精査期間の確保等については、
国際的な状況を踏まえた見直しを行うべきである。また、上述した株主に対する制度開示の合理化を図るとともに、
総会前の実質株主等との対話・エンゲージメントの有効なあり方等を検討することも重要である。
2015(H27)4月:「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会報告書」公表
伊藤レポートの提言を受けて発足。企業の持続的成長を促す観点から、企業-投資家の対話の一環として、
より望ましい株主総会のあり方や企業情報開示のあり方について検討した。
2015(H27)11月:第1回株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会(座長:尾崎安央教授)開催
上記課題について具体的に検討を進めるため、フォローアップも含めてこれまで8回にわたり開催。
2016(H28)6月:株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会報告書の公表
提言1:株主総会の招集通知等の電子提供の促進
提言2:議決権行使プロセス全体の電子化の促進
提言3:株主総会日程の適切な設定
提言4:対話支援産業への期待
提言5:関係者の取組についてフォローアップ・情報発信
①早期(発送前)Web開示・英文開示の促進
②招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大
上場会社等の参加拡大、機関投資家の指図フローの二重化問題の軽減
プラットフォーム間のシステム連携
国内機関投資家によるプラットフォーム利用手続の円滑化に向けた検討
決算日と基準日が異なることになった場合に必要となる対応についての検討
基準日を変更した事実を関係者にスムーズにつたえるための工夫についての検討
招集通知等の情報受取や議決権の電子行使が行いやすいシステム環境(一括プラットフォーム等)の整備
マイナンバー制度の活用等を通じたサービスの充実
3
4
2016:
ⅰ)コーポレートガバナンス改革による企業価値の向上 ① 実効的なコーポレートガバナンス改革に向けた取組の深化 イ)持続的な企業価値の向上、中長期的投資の促進 ・また、グローバルな観点から最も望ましい対話環境の整備を図るべく、 情報開示を充実させ、株主の議案検討と対話の期間を確保する方策 等について、更なる検討や取組を進め、対話型株主総会プロセスの実 現を目指す。 - 株主総会の招集通知添付書類の電子提供については、その開示 情報の充実等を図るべく、株主の個別承諾なしに、書面に代えて電子 提供できる情報の範囲を拡大し、原則電子提供とする方向で、新たな 制度の整備に向けた検討を進める。具体的には、本年4月に公表さ れた「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」による提言 を踏まえ、①株主総会前に提供すべきと法令上要請された全ての情報 がインターネット上で開示されていること、②Web アドレス等の必要最 低限の情報は書面で株主に通知されること、③企業が当該制度を採 用する上で、株主からの個別承諾は要さないこと、④全ての情報を書 面で受け取ることを希望する株主は、その旨企業に要請する必要があ ること、といった諸外国における電子提供制度の共通点を参考にしつ つ、我が国の株主総会を取り巻く制度環境や実態、企業実務の観点 も踏まえ、来年早期の会社法制の整備の着手も目指しつつ、講ずべき 法制上の具体的な措置内容等を検討する。 - 株主総会における議決権行使プロセス全体の電子化については、 株主の議案検討と対話の期間を確保することで権利行使の質を高め るべく、①議決権行使プロセスのワンストップ化や、②議決権の電子行 使に関するプラットフォーム同士の連携、③当該プラットフォームの適正 かつ円滑な利用手続の在り方等について、関係者や関係団体等に検 討することを促した上で、年度内にその検討状況等を確認するための 会合を開催する。 - 総会日や議決権行使の基準日に係る国際的・実務的対応を踏 まえた設定の在り方についても、効果的かつ効率的な開示の検討の状 況を踏まえつつ、関係者や関係団体等における検討状況等を確認す るための会合を開催することで、企業・投資家・対話支援産業などの関 係者の意識と行動変化を促す。 - 加えて、対話型株主総会プロセスの実現に向けた関係者による取 組の進展について内外に情報発信していく。2015:
ⅰ)「攻めの経営」の促進 ③持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進 イ) 株主総会プロセスの見直し等 株主総会集中の問題を解決し、株主の議案検討 と対話の期間を諸外国並に確保するための方策とし て、企業が適切な総会日や議決権行使の基準日の 設定を行うとともに、招集通知関連書類や議決権行 使の電子化等を通じて徹底的なプロセスの合理化が 図られる環境を整備する。 具体的には、株主総会については、企業において株 主の議決権行使や対話の機会を十分に確保すると ともに、株主総会に近い時点の株主の声を反映する ような適切な基準日を設定するよう、関係団体等が 本取組の円滑化に向けた方策等について、来年中に 検討することを促す。 また、IT利活用促進に係る政府全体の対応方針 も踏まえ、米国における制度(「Notice&Access」 制度)も参照しつつ、招集通知添付書類の提供を 原則として電子的に行う上での課題や必要な措置に ついて来年中に検討し、結論を得る。 議決権行使についても電子化の促進と権利行使の 質を高めるため、関係団体等において議決権行使プ ロセス全体の電子化を促進するための課題と方策を 来年中に検討することを促す。 さらに、名義株主以外のグローバルな機関投資家 等が、株主総会に参加する上での企業の基本方針 作りを円滑化するため、関係団体等においてガイダン スを本年末までに策定することを促す。2017:
ⅰ)中長期的な企業価値向上に向けた取組の 一層の推進 ② 経営システムの強化、中長期的投資の促進 ・グローバルな観点から最も望ましい対話環境の整 備を図るべく、引き続き、株主総会の招集通知や 議決権行使プロセス全体の電子化、株主総会の 日程や基準日を国際的にみて合理的かつ適切に 設定するための環境整備の取組を進め、対話型 株主総会プロセスの実現を目指す。 -特に、開示情報の充実に向けた環境整備の一 環として、株主総会の招集通知添付書類の原則 電子提供について、法制審議会に設置した部会 において検討を行い、結論を得る。 -株主総会の開催日の柔軟な設定を可能とする ための法人税等の申告期限延長の特例の適用 等について、手続等の整備・周知を図る。 また、対話型株主総会プロセスの実現に向けた関 係者による取組の進展についてフォローアップを行 い、内外に情報発信していく。1-2 成長戦略2015~2017 株主総会プロセス関連
1.研究会のこれまでの経緯
2.フォローアップ
3.日本の株式保有構造
4.個人株主の議決権行使
5.機関投資家の議決権行使
6.米国・英国における電子提供制度
5
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
日単位でみた総会集中率は中長期で低下傾向にあり、2017年初めて3割を切った。
月別の総会開催状況について、10年間の推移を見れば、6月開催が多い状況に変わりはないが、6
月開催は徐々に減少傾向、3月開催は徐々に増加傾向にある。
6
図1:総会集中率の推移
5/22 5/23 5/24 5/25 5/26 5/27 5/28 月 火 水 木 金 土 日 社数 0 0 0 0 1 0 0 比率 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.04% 0.00% 0.00% 5/29 5/30 5/31 6/1 6/2 6/3 6/4 月 火 水 木 金 土 日 社数 1 0 0 0 0 0 0 比率 0.04% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 6/5 6/6 6/7 6/8 6/9 6/10 6/11 月 火 水 木 金 土 日 社数 0 0 1 1 5 0 0 比率 0.00% 0.00% 0.04% 0.04% 0.21% 0.00% 0.00% 6/12 6/13 6/14 6/15 6/16 6/17 6/18 月 火 水 木 金 土 日 社数 1 9 10 26 50 10 2 比率 0.04% 0.38% 0.43% 1.11% 2.13% 0.43% 0.09% 6/19 6/20 6/21 6/22 6/23 6/24 6/25 月 火 水 木 金 土 日 社数 10 56 101 162 384 20 5 比率 0.43% 2.39% 4.30% 6.90% 16.35% 0.85% 0.21% 6/26 6/27 6/28 6/29 6/30 月 火 水 木 金 社数 43 330 421 696 3 比率 1.83% 14.05% 17.93% 29.64% 0.13% 100.00% 開催日 開催日 開催日 合計 2348 開催日 開催日 開催日図2:定時株主総会の開催日
図3:各月の定時株主総会開催社数
(過去10年:平成20年~平成29年)
2-1 総会の集中:集中率
(社数) (社数) (出所)定時株主総会開催日の集計結果、定時株主総会集中日(集中率)の推移(東京証券取引所ウェブサイト) 旬刊商事法務2017年版株主総会白書(商事法務研究会)2-2 招集通知の法定前発送とWeb開示
2017年3/31を基準日とする東証上場企業2333社(以下、6月総会企業とい
う)のうち、株主総会の3週間以上前に招集通知を発送した企業は926社
(40%)、昨年の876社(37%)に比べて50社(3%)増加。
株主総会の3週間以上前にWeb開示を行った企業は1480社(63%)、昨年の
1366社(58%)に比べて、114社(5%)増加。
(注記)6月総会企業のうち、必要なデータ(招集通知発送日、開示日)が取得できる企業数を母数(N)としている (出所)ICJアローフォースデータ(全取引所で公衆縦覧に供された3月31日を基準日とする定時株主総会のデータ)に基づき、PwCが東証上場企業分を集計7
平成18年(2006年)度改正で導入されたWeb開示によるみなし提供(定款の定めによる招
集通知情報の一部の電子提供)の利用率は、制度の浸透や対象書類の拡大とともに年々上
昇している。
2-3 Web開示によるみなし提供制度の利用推移
8
出典:2006~2010年…「資料版商事法務」No.306(2009.9), No.317(2010.8), No.330(2011.9)。商事法務による調査に基づく推計値。2010年については、定款の定めがある会社数についてはカウントしていなかったため不明であ り、Web開示によるみなし提供制度の実施社数及び上場会社総数のみ記載。 2011~2017年…2011年版~2017年版「旬刊商事法務 株主総会白書」(商事法務研究会)。上場会社に対するアンケートに基づく。2011年は、定款の定めの有無は設問になかったため不明であり、実施社数及びアンケートの回答 総数のみ記載。
394
540
638
767
988
1153
1178 1041 911 789 640 480 273 211 207 148 127 97 0 500 1000 1500 2000 2012 2013 2014 2015 2016 2017 実施社数 定款の定めあり、実施せず 定款の定め無し、無回答 0 3 5 14 44 140 0 500 1000 1500 2000 2006 2007 2008 2009 2010 2011 0 3 5 14 1796 1837 1842 1839 233 186 148 110 0 500 1000 1500 2000 2006 2007 2008 2009Web開示によるみなし提供制度 各社の導入状況
N=2029 N=2026 N=1995 N=1963 N=1917 N=1849 N=1845 N=1792 N=1756 N=1704 N=1755 N=1730 67% 56% 45%(社)
2017年6月総会企業のうち、英文招集通知を作成・開示した企業は739社(31%)と、昨年の634社
(27%)に比べ、105社(4% ポイント)増加。
9
英文招集通知開示企業の推移
(2015年、2016年及び2017年の6月総会)
(出所)ICJアローフォースデータ(全取引所で公衆縦覧に供された3月31日を基準日とする定時株主総会のデータ)398社
634社
739社
0社
100社
200社
300社
400社
500社
600社
700社
800社
2015年6月総会
2016年6月総会
2017年6月総会
(17%)
(31%)
(27%)
n=2333
n=2340
n=2352
2-4 英文開示:取り組み企業数の推移
2-5 英文開示:英訳内容
全国株懇連合会が実施した調査結果によると、招集通知の英訳を行っている
と回答した企業のうち、参考書類を訳す企業は9割を超えた。
451 416 213 230 165 161 31 692 619 256 263 191 189 34 719 659 246 249 184 183 45 0 200 400 600 800狭義の招集通知
参考書類
事業報告
連結計算書類・計算書類
監査役(会)の監査報告書
会計監査人の監査報告書
その他
2015年(N=457)
2016年(N=698)
2017年(N=726)
(社)英訳版を作成している書類(複数回答)
出典:平成27年~平成29年 全国株懇連合会「株主総会等に関する実態調査集計表」10
1.研究会のこれまでの経緯
2.フォローアップ
3.日本の株式保有構造
4.個人株主の議決権行使
5.機関投資家の議決権行使
6.米国・英国における電子提供制度
11
3-1 日本の株式保有構造(現在)
金額ベースでみて、国内機関投資家と海外機関投資家がそれぞれ3割程度、
国内事業法人、個人等がそれぞれ2割程度。
海外と比べ、個人株主の割合が、米国(4割弱)より低く、英・独・仏国(1割強)よ
りは高い水準にある。
主要国における株式所有構造
日本における株式所有構造
12
出典:「2016年度株式分布状況調査の調査結果について」(2017年6月 東京証券取引所)日本
米国
英国
ドイツ
フランス
事業法人
22
-
2
17
22
金融機関
18
1
10
6
9
年金・保険
6
14
8
1
4
投資信託
6
30
12
18
17
個人
17
40
13
14
10
外国
30
15
54
43
31
政府
0
1
1
2
5
合計
100
100
100
100
100
(出所)
日本:同左
米国:FRB, Financial Accounts of the United States – Z1.
2017 Dec
英国: Office for National Statistics, Ownership of UK quoted
shares: 2016
ドイツ・フランス:Financial Balance Sheet, Eurostat
(%)
(%)
3-2 日本の株式保有構造(中長期の推移)
戦後、日本のマーケット拡大とともに、海外機関投資家の投資額が大きく伸
びているため、相対的に、個人株主や国内機関投資家の占める割合は低下。
株主数ベースでみた場合には、個人株主がそのほとんどを占め(97.3%
/2017年)、延べ人数は戦後一貫して増加基調。
個人・その他
外国法人等
主要投資部門別株式保有比率の推移
(金額ベース)
個人株主数の推移
(延べ人数)
事業法人等
信託銀行、生損保その他金融 都銀地銀等 出典:「2016年度株式分布状況調査の調査結果について」(2017年6月 東京証券取引所)13
1.研究会のこれまでの経緯
2.フォローアップ
3.日本の株式保有構造
4.個人株主の議決権行使
5.機関投資家の議決権行使
6.米国・英国における電子提供制度
14
15
【図1:日本における個人株主の議決権行使率】
(議決権個数ベース)
【図4:欧米における個人株主の電子的な議決権行使率】
(議決権個数ベース)
【図2:欧米における個人株主の議決権行使率】
(議決権個数ベース)
(図3)全国株懇連合会「株主総会等に関する実態調査集計表」(平成27年~29年) に基づき、経済産業省にて加重平均を用いて算出(図4)米国2017Proxy Season Key Statistics & Performance Rating/Broadridge カナダ2017Proxy Season/Broadridgeに基づき、Broadridgeよりヒアリング
出典:
(図1)信託協会のデータ(2017年5月~6月総会)に基づき経済産業省作成 (図2)米国broadridge+PwC 2017Proxy Season Review,
英国Makinson Cowellの調査(2015、2017)
【図3:日本における電子的な議決権行使率(推計)】
(議決権個数ベース)
4-1 個人株主の議決権行使率と電子行使率
日本の個人株主の議決権行使率は30%台であり、欧米に比べて高い水準。
しかしながら、電子行使率については極めて低調のまま推移。
0 20 40 60 80 100 2015 2016 2017 個人株主 機関投資家1.5%
2.2%
2.5%
29% 91% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 個人 機関投資家米国
20% 68% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 個人 機関投資家英国
約7割
9.4%
12.3%
14.3%
所有者区分 議決権行使率個人
34.1~39.3%
金融機関
78.8~90.0%
国内法人・一般法人
28.8~74.5%
外国人・外国法人等
53.2~78.8%
証券会社(金融商品取引業者)
10.8~32.1%
合計
46.8~59.7%
企業数
2285社
※ただし、総会当日の会場における行使分は含まれていない。
16
近年および今後予想される環境変化をふまえ、2017年12月、株式実務を担う関係者が
集まり、現状実務を共有、自由な意見交換を実施。
4-2 個人株主の議決権行使環境向上に向けた取組①
個人株主は、割合としては低下
しているが、のべ人数は戦後増
加基調
インターネットやデジタルデバイス
の普及・浸透
法制審議会にて、会社法改正
(株主総会資料の原則電子
提供)を検討中
~環境変化~
~発行企業の声~
株主の世代交代を見据えた環境整
備が必要
個人株主の議決権行使率が上がる
ならば、比率を今よりも高めたい
企業が、多様な株主構成に柔軟に
対応できるよう、個人の議決権行使
比率向上・確保のための環境整備を
行うべき
2017年12月、株式実務を担う関係者
(発行企業総務や法務等・信託銀行・印
刷会社)および関係官庁が参加。
利用者の立場から、スマートフォン
やPCを使った招集通知情報の収集や、
インターネット上の議決権行使環境につい
て意見交換を実施。
個人株主の電子的な議決権行使環境を
考えるスモールミーティング
招集通知
の発送
招集通知
の受取
議決権行使
総会
法制審議会にて
株主総会資料の原則電子提供
を検討中
受取~議決権行使にかけて
の現状も議論すべき
連続的な手続きについては、
可能なかぎり一体的にとらえ、
株主にとって、より利便性の高いものに
17
4-2 個人株主の議決権行使環境向上に向けた取組②
インターネット行使は、少なくともハガキ行使と同等の利便性を確保すべき。
現役世代は資産運用に関心。そのような現役世代をとりこみ、議決権行使を促すべく、
インターネット環境を十分に活用すべき。
将来一つのプラットフォームから複数銘柄の議決権行使ができればとも思うが、現実的に
できるところから順次取り組むべき。
企業が法定開示(2週間)より早期にWEB開示した場合、議決権行使も早期にできる
方法の検討を(早期開示と早期行使)。
スマートフォンの活用やバーチャル総会等、株主が会社の取組にアクセスするための選択肢を
増やすと、より幅広い世代をとらえることができ、対話の充実につながる。
~個人株主の電子的な議決権行使環境を考えるスモールミーティングにおける意見~
並行して、株主の議決権行使環境をより向上させる検討・取組が行われている。
18
4-3 参考:個人投資家の証券投資に関する意識調査(日本証券業協会)
サンプル数確保の観点から、平成29年より郵送からインターネット調査に切り替え。手法を変えたことで回答層にも変化。
平成29年の回答数は前年比2.5倍。平成28年最も多く回答したのは70代以上だったが、29年は50代の回答が最も多く、 職
業についても、28年は無職・年金のみの層が最多だったが、29年は現役層の回答割合が最も高くなった。
平成29年調査における個人投資家の金融資産保有額平均は1828万円。一方、平成28年調査における個人投資家の保有
平均は1603万円。株式の注文方法や、投資信託の購入場所も、インターネット取引と答えた割合が大きく増加。
議決権行使についても、インターネット利用層を想定した環境整備を、これまでより充実させることで、行使率向上が期待できるので
はないか。
N=5073
N=2024
平成28年、平成29年 個人投資家の証券投資に関する意識調査/日本証券業協会1.研究会のこれまでの経緯
2.フォローアップ
3.日本の株式保有構造
4.個人株主の議決権行使
5.機関投資家の議決権行使
6.米国・英国における電子提供制度
19
20
5-1 機関投資家の議決権行使率と電子行使率
【図1:日本における機関投資家の議決権行使率】
(議決権個数ベース)
日本の機関投資家の議決権行使率は78.8~90.0%程度。(米国は91%、英国は73%。)
電子行使率は欧米に比べて低い水準にあるが、徐々に増加する傾向。
【図4:欧米における機関投資家の電子的な議決権行使率】
(議決権個数ベース)
98%
9割以上
7割以上
29% 91% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 個人 機関投資家米国
20% 73% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 個人 機関投資家英国
【図2:欧米における機関投資家の議決権行使率】
(議決権個数ベース)
(図3)全国株懇連合会「株主総会等に関する実態調査集計表」(平成27年~29年) に基づき、経済産業省にて加重平均を用いて算出 (図4)平成28年4月経済産業省「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会報告書」 出典: (図1)信託協会のデータ(2017年5~6月総会)に基づき経済産業省作成 (図2)米国broadridge+PwC 2017Proxy Season Review,英国Makinson Cowellの調査(2015、2017) 参考:海外機関投資家の日本株投資について 日本株に投資する海外機関投資家の電子的な議決権行使率は、 56.3%(2015年)66.8%(2016年)69.9%(2017年) (いずれも議決権件数ベース/みずほ銀行による) 0 20 40 60 80 100
2015
2016
2017
機関投資家 個人株主9.4%
12.3%
14.3%
【図3:日本における機関投資家の電子的な議決権行使率(推計)】
(議決権個数ベース)
1.5%
2.2%
2.5%
所有者区分 議決権行使率個人
34.1~39.3%
金融機関
78.8~90.0%
国内法人・一般法人
28.8~74.5%
外国人・外国法人等
53.2~78.8%
証券会社(金融商品取引業者)
10.8~32.1%
合計
46.8~59.7%
企業数
2285社
※ただし、総会当日の会場における行使分は含まれていない。
5
6
12
13
13
12
64
72
78
72
79
82
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 1002012
2013
2014
2015
2016
2017
21
5-2 議決権電子行使プラットフォーム利用の状況
338
369
394
410
432
464
555
757
839
1346
1301
1301
1342
1342
1394
1379
1245
1185
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 22002009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
議決権電子行使
プラットフォーム
発行企業
機関投資家
②利用(指図)
①参加
東証一部上場企業における
議決権電子行使プラットフォーム参加状況(社)
国内機関投資家の
議決権電子行使プラットフォーム利用状況(社)
出典:投資顧問業協会「日本版スチュワードシップ・コードへの対応に関するアンケート」(2017年10月)、日本取引所グループウェブサイト、ICJ③閲覧
当該プラットフォームは、①発行企業が参加し、②機関投資家が利用することで、③発行企業が行使
状況を確認することが可能。国内機関投資家の利用社数は伸びが限定的。
22
5-3 機関投資家の議決権行使環境向上に向けた取り組み
日本の機関投資家が、プラットフォームを通じた電子的な議決権行使を行う際には、手続二重の解消
がひとつの課題。
課題と検討
国内運用機関にとって、議決権電子行使プラットフォーム参加銘柄・不参加銘柄によって、電子と紙の
行使を仕分けることは、手続の二重化であり、その手間や行使漏れ等のリスクを考慮し、現時点ではその多くが
電子行使を選択していない。
国内運用機関の指図をメール(エクセル)等で受け取った信託銀行(管理信託)が、総会直前の数日、
ICJ参加銘柄はICJを通じた行使、ICJ不参加銘柄は郵送で返送しているのが現状。
その結果、本来、議決権電子行使によって得られるはずの議案検討期間の拡大、議決権行使にかかる事務
の全体としての効率化は実現していない。
国内機関投資家のプラットフォーム利用が海外なみに改善すれば、プラットフォームに参加する発行企業は、
国内投資家の議決権指図の状況を、総会開催前の早期に確認することが可能となるため、発行企業のプラ
ットフォーム参加によるメリットが向上し、さらなる参加を促すという好循環も期待できるため、関係者間で引き
続き検討が行われている。
このほか、現状運用機関がアセットオーナーに提出する活動報告は、各々独自様式で記載され、提出頻度
もオーナーごとに異なる。活動報告の共通部分を整理して議決権行使の電子化フローと組み合わせて効率
化することで、より実質的なスチュワードシップ活動に時間を割くことができるのではないかという声もある。
1.研究会のこれまでの経緯
2.フォローアップ
3.日本の株式保有構造
4.個人株主の議決権行使
5.機関投資家の議決権行使
6.米国・英国における電子提供制度
23
24
6-1 米国におけるNotice&Access制度の経緯・目的
(出所)(1)あずさ監査法人調べ(26年度経済産業省委託調査「企業と投資家の対話及び企業情報開示のあり方に関する調査研究」)、
(2)Securities and Exchange Commission 〔SEC〕 Release Nos. 34-56135(Shareholder choice regarding proxy materials, July.26.2007)
米国のNotice & Access 制度は、株主への委任状説明書等
(日本における招集通知の参考書類、
事業報告・計算書類、議決権行使書に該当)
の提供方法として、2009年度から本格導入されたもの。
1995年; SECによる解釈通達により、委任状説明書等を電子的に交付することが可能となる。
(但し、個々の株主による事前の同意が必要であったため、普及するまでには至らず。)
2005年; SECは、委任状説明書等をウェブサイトにおいて開示し、その旨を株主総会開催日前に株主に通知する
ことにより、個々の株主の同意を得ることは不要とする(Notice & Access)規則改正案を採択。
2007年; SEC規則を改正し、2009年(一部の企業については2008年)より制度導入。
■
委任状説明書等
(①委任状説明書、②委任状様式、③アニュアルレポ-ト※)の提供方法の変遷
(1) ※それぞれ、日本の①参考書類、②議決権行使書、③事業報告・計算書類に該当。■Notice&Access制度導入の主な目的・効果
(2)1.インターネットの効能
(versatility)(対話の効率化等)【株主メリット】
・N&Aの導入目的の1つは、インターネットを活用することにより、株主とのコミュニケーション(対話)の効率化等(効率化の結果、企業側も議決権行
使促進に関するコスト削減が可能)を図ることであり、株主にとって以下のメリットが考えられる。
a) データ化された資料の方が検索が容易になる
b) データのダウンロードにより、表計算ソフト(スプレッドシート等)や分析ツール等を活用した分析を通じて、企業間の比較が容易になる
c) インターネットコミュニケーションツールの発展により、株主と企業との対話のみならず、株主間のコミュニケーションを促進し得る
d) 企業のwebサイトに情報を集約することにより、株主は株主総会以外の重要情報(ニュースやレポート等)にアクセスする機会を得る
2.紙プロセスのコスト削減【企業メリット】
・議決権行使に係る書類(アニュアルレポート等)の印刷費用及び郵送費用の削減効果
3.環境保護【社会メリット】
・紙の生産や郵送は、木材、化石燃料、化学製品(漂白剤、インク等)等を使用するため、それらを低減することによる環境保護効果。
○ 日本の現行制度における招集通知関係書類の取扱い
日本の会社法上、株主総会の招集にあたり、a)招集通知
、
b)株主総会参考書類
、
c)招集通知添付書類
(事業報告、計算
書類等)
、
d)議決権行使書を原則
※1、2として書面によって株主に通知しなければならないとされている。
※1: 株主の事前の同意がある場合はe-mail等の電磁的な方法による提供が可能。
※2:web開示によるみなし提供の制度により、株主に提供すべき資料の一部について、webサイトに掲載し、そのアドレス等を株主に通知すれば株主に提供されたものとみなされる。
○ Notice & Access制度を採用した場合(イメージ)
上場企業等
がNotice & Access制度を採用した場合、株主は、以下①~④が記載された通知を郵送で受け取り、当該
Webサイトにアクセス又は紙媒体(又は電子データ)を請求し、議決権行使を実施することとなる。
① 総会日時・場所等の情報
② 招集通知関係書類が掲載されているWebアドレス
③ 紙媒体又は電子データの請求方法
④ 議案内容の概要等
米国のNotice & Access制度は、上場会社等が株主総会の委任状説明書等
(注1)
をWebサイ
トに掲載した上で、当該Webサイトのアドレス、総会開催日時・場所、議案情報サマリー等が記
載された通知のみを株主に郵送すること
(Notice Only Option)
を認める制度。
上場会社等は、従来どおり、招集通知及び委任状説明書等を紙媒体で株主に送付すること
(Full Set Delivery Option
)
を選択することも可能。また、上場会社等は、紙媒体で全ての書類を送付
する株主と通知のみを送付する株主を選択できる。
なお、株主から委任状説明書等を書面又は電子データで送付するよう請求を受けた場合、上場
会社等は請求を受けた日から3営業日以内に株主に送付しなければならない。
(注2)注1:日本における招集通知の参考書類、事業報告・計算書類、議決権行使書に該当
注2:米国では紙媒体又は電子データを請求する際に来年度以降も紙媒体又は電子データで受領する旨を希望すれば、来年度以降に新たな申し込みは不要。
6-2 米国におけるNotice & Access制度の概要
6-3 参考:米国における株主総会資料の電子提供状況
株主総会資料の電子提供については株式数ベースで82.1%、株主数ベースで
64.6%の電子化が進んでいる。
2017年において郵送量は75%削減、費用は14億ドル削減となったとされる。
26
(出所)”Analysis of Distribution and Voting Trends Fiscal year Ending June 30, 2016”, “2017 Proxy Season Key Statistics & Performance Rating”, Broadridge
Full Packages: 郵送による株主総会関連書類一式の送付 E-Delivery: e-mail による株主総会情報の通知 Mailed Notices: notice による株主総会情報の通知
(注)Broadridge社(米国株式の総会委任状の約85%を処理している)がサービスを提供している個人株主を指す。
82.1
%
電子化64.6
%
電子化個人株主
(注)に対する総会関連書類の提供状況
【株主数ベース】個人株主
(注)に対する総会関連書類の提供状況
【株式数ベース】2017 Proxy Season: Trends
Over 75% of all physical mailings were eliminated as a result of Broadridge technologies for householding e-delivery, and
managed account processing.
The estimated savings to issuers this season was almost $1.4billion versus the estimated costs of printing and mailing full
packages.
27
英国では、2006年会社法により、招集通知等をウェブサイトで提供することについて、事前に株主
に同意通知を郵送等し、28日以内に回答が無かった場合は、当該提供に同意したものとみなされ
る「みなし同意」制度が導入されている。
紙媒体が欲しい株主は自ら企業に対して申し込む必要がある。
2000年; 1985年改正会社法の下、一定の書類(招集通知、アニュアルレポート、議決権行使書等)の電磁的な提
供を可能とした。
2001年~;他方、デフォルトが紙であり、個々の株主による事前の同意が必要であったため、0.5%~10%の普及率
に留まり、紙媒体の資料の大量印刷・郵送が継続された。
2007年; 2006年会社法により、会社法に規定されるすべての書類について電子化をデフォルトとし、紙媒体が欲しい
株主は自ら申し出なければならない「みなし同意」制度を導入。
■
招集通知関連書類の提供方法の変遷
(1)■Web開示みなし同意の主な目的・効果
(2)1.企業と投資家との対話の充実(即時性・透明性)
・情報の即時性が担保されるとともに、ウェブサイトを活用した株主とのコミュニケーション手法の発展により株主との
対話レベル・質の向上が期待されている。
2.紙プロセスのコスト削減
3.環境保護
6-4 英国におけるWeb開示みなし同意制度の経緯・目的
(出所) (1)Prism Cosec社(www.prismcosec.com) 発行の “Prism Briefing” 2015年8月12日付を参照 (2)ICSA “Electronic Communications with Shareholders 2013” を参照