• 検索結果がありません。

乳幼児健康診査とその後の支援体制 横浜市を中心に

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "乳幼児健康診査とその後の支援体制 横浜市を中心に"

Copied!
19
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

乳幼児健康診査とその後の支援体制

横浜市を中心に

秦 野 悦 子

はじめに

筆者が、 乳幼児健康診査の事後フォローとしての心理発達相談員を始め たのは1980年であった。 1 歳 6 か月児健康診査が全国的に開始されて 2 年 目であり、 早期発見・早期療育のスローガンのもと、 問診項目整備やフォ ローアップ体制の検討が着手され始めていた。 この経過に関わってきた筆 者は、 その後、 Ho 区で10年以上継続して仕事をしたが、 一時期は Ts 区、

Ko 区、 Ka 区でも心理発達相談を行った。 同じ横浜市でも、 それぞれの 区によってそれぞれの地域性、 それぞれの保健所 (現在の呼称は福祉保健 センター) の特性も異なっていた。

草創期の乳幼児健康診査において筆者らは、 早期発見・早期支援、 オー バースクリーニング、 問診票項目の吟味など保健師とともに職種を超えて 学習会を重ね、 実証的データを重ねながら、 健康診査に関するソフト面の あり方を検討し、 実践に結びつけてきた。

1 歳 6 か月児健康診査が開始された1978年には、 横浜市の人口が272万 人 (全国で第 2 位) で、 14行政区からなっていた。 その後30年経た2008年 現在、 横浜市の人口は365万人となり、 この間、 1986年に戸塚区から分区 した栄区、 泉区が加わり、 1994年に行政区再編整により誕生した青葉区、

都筑区が加わり、 横浜市は18行政区となり、 地域的発展を続けている。 本 稿では、 横浜市乳幼児健康診査の草創期を知る者のひとりとして、 現在の

(2)

乳幼児健康診査とその後の支援システムについて整理し、 検討したい。

乳幼児健康診査の背景的要因としての横浜市の地域性

1 ) 人口および行政区分と乳幼児健康診査

横浜市は日本の中程にある神奈川県の東部に位置し、 人口365万人、 155 万世帯 (2008年 9 月現在) であり、 日本でも人口第 2 位を保持している市 であり、 県内で最大規模の市である (図 1 )。 横浜市は、 17の政令指定都 市のひとつでもあるが、 横浜市の北に隣接しているもうひとつの政令指定 都市、 川崎市の人口が180万人ということからも、 横浜市の規模の大きさ を実感できる。

乳幼児健康診査の歴史で重要なことは、 1997年に、 母子保健の基本サー ビスが市町村に移管されたことである。 すなわち、 それまでは 3 歳児健康 診査は県が実施し、 1 歳 6 か月児健康診査は市町村が実施していたのが、

この年に統一された。 このことはサービスを受ける側からすれば、 利用者 が 1 歳 6 か月児健康診査から継続して相談にのってもらっていたのに、 子

図 1 横浜市 (横浜市 HP 引用)

(3)

どもが 3 歳になったら、 健康診査の実施主体が異なるという理由で、 継続 的な支援を得られなくなるという極めて不都合な事態が解消したことにな る。 1956年以来、 横浜市は政令指定都市であったため、 他の市町村と異な り、 3 歳児健康診査開始時 (1966年) より、 この業務を県ではなく、 横浜 市が実施していたという経緯があるので、 1 歳 6 か月児健康診査が実施さ れた1978年以降、 同一の実施主体が母子保健法に基づく乳幼児健康診査と その後の一貫した支援体制に取り組むことができる状況を整備しやすかっ た。 したがって、 他の市町村よりも約20年早く、 乳幼児期の一貫した支援 体制を模索したことは、 この業務に携わるスタッフ間の意識を高め、 実施 内容項目の検討、 実施結果の適切性に関する見直しや、 職種間連携、 地域 連携、 支援体制を検討する機会を多く持ち、 経験値を高めた可能性があっ たと指摘される。

2 ) 福祉保健センター

横浜市18行政区の人口は、 西区の 8,5 万人を最低に、 人口30万人以上の 港北区、 青葉区などその地域差も大きい。 しかし、 どの区でも各区役所に 福祉保健センターを設置し、 乳幼児健康診査の集団健康診査に関しては、

ここが所轄している。 これは、 福祉と保健に関する相談からサービス提供 まで一体的に対応をめざし福祉事務所と保健所を統合した組織である。

総合相談窓口は福祉保健相談係としてソーシャルワーカーと保健師が担 当している。 専門的援助はサービス課の各支援担当となり、 障害者支援担 当、 保護担当、 高齢者支援担当、 介護保険担当、 子ども家庭支援担当、 保 育担当と分かれている。

(4)

3 ) 横浜市の地域療育の移行

地域支援をめぐる動向について、 成富 (2002) は 「障害者プランの概要

〜ノーマライゼーション 7 か年戦略〜」[1] (内閣府, 1995) が提出される 以前と、 それ以降により、 地域生活支援をめぐる施策の歴史を分けてとら えている。 それによれば、 この障害者プランは、 地域生活支援を障害者福 祉の基本とする方向性を示したものとして、 「ノーマライゼーション (地 域生活の積極的支援)」 の推進のために、 新規事業として生活支援事業が 明確に盛り込まれたのである。 この事業の中に、 知的障害児 (者) と重症 心身障害児 (者) を対象とする 「障害児 (者) 地域療育等支接事業」 が含 まれ、 地域支援センターを人口30万人に 2 か所ずつ設置する予定とされた。

さらに社会福祉法 (2000年) 改正により、 「障害児相談支援事業」 という 名称で法制化された。

「障害児 (者) 地域療育等支援事業」 は、 「療育」 という名称が使われて いるが、 心身障害児の療育相談とともに、 在宅の成人知的障害者も対象と する地域生活支援が事業の柱となっている。 実施主体は都道府県・指定都 市・中核市で、 事業委託先は、 障害児 (者) 施設を経営する社会福祉法人 に限定されている。

成富 (2002) は、 児童の分野では、 障害者プラン以前を次のように指摘 している。 すなわち児童の分野では、 従来障害種別になっていた通園施設 を総合化し、 医療サービスの充実もはかるために、 1979年に 「心身障害 児総合通園センター」 が制度化された。 これは、 肢体不白由児、 知的障害 児、 難聴幼児の 3 種類の通園施設を一体化し、 それに診療 (相談・検査) 部門を加えることで、 通園施設に措置されていない児童にも幅広く対応で きるようにすることを目的としており、 概ね人口50万人に 1 か所設置され ることになっていた。 この 「総合通園センター」 の制度は、 発達期の児童

[ 1 ] 以下 「障害者プラン」 と記載する。

(5)

のニーズに合わせて、 障害種別でなく総合的で柔軟な高度の療育機能をも ち、 地域療育システムの中核となることを期待して創設されたのである。

横浜市では、 現在の指定管理者制度に基づく地域療育センター発足前に は、 横浜市が運営していた 4 施設があった。 すなわち横浜市心身障害セン ターしらとり園を中核に、 肢体不自由児・言語障害児通園施設として地域 に設置されたこまどり園、 ひよどり園、 おおとり園というブランチによる 地域療育構想が行われていた。 ところが、 1984年の障害児者地域総合通園 施設構想に基き、 公設民営化の新しい施設として、 現行の地域療育センター (知的障害児、 肢体不自由児通園施設と診療所を併設する心身障害児総合 通園センター) の整備が進んできた。

この間、 公設民営化の地域療育センターがひとつひとつ設置される中で、

従来の心身障害センターとそのブランチの施設が、 順次閉鎖されていった。

施設閉鎖にあたっては、 施設利用者の不安や要望が表面化し、 行政との折 衝の結果、 閉鎖時期を延期したブランチもあった。 筆者が心理士としてか かわっていたおおとり園では、 すでに先行して閉鎖したブランチの閉鎖ま での経緯を踏まえ、 ある時期から新規対象児をインテークをせずに新施設 を紹介したり、 現在おおとり園を使用している親子が新施設にスムーズな 継続ができるよう見学会を設けたりの幅を持った対応をした。

(6)

4 ) 横浜市地域療育センター

表 1 に示すように、 本構想では1985年に 「青い鳥愛児園」 を横浜市の地 域療育センター第 1 号として発展的吸収を図り、 横浜市南部地域療育セン ターとした。 すなわち 「青い鳥愛児園」 としては、 横浜市南部地域療育セ ンターの運営を横浜市から受託し、 横浜市の総合リハビリテーション計画 に基づく、 総合通園構想に (財) 神奈川県児童医療福祉財団が全面協力す る形で、 基本財産を寄付し、 「社会福祉法人青い鳥」 を設立し、 磯子、 金 沢、 港南区を所管した。

南部地域療育センターが作られてから20年以上経た現在、 乳幼児健康診 査を拠点とする保健福祉センターにおける障害児の早期発見事業と連携し て、 市内 8 か所に設置された地域療育センターが地域に密着した早期療育 を提供している。 またこれらの地域療育センターの中核施設として横浜市 総合リハビリテーションセンターに発達障害部門 (知的障害児、 肢体不自 由児、 難聴幼児通園施設と診療所) が置かれている。

表 1 横浜市地域療育センター一覧

名称 開設年度 担当区 運営

南部地域療育センター 1985 港南区 磯子区

金沢区 社会福祉法人 青い鳥 横浜市総合リハビリテー

ションセンター 1987 港北区 全区 横浜市リハビリテーション 事業団

戸塚地域療育センター 1989 戸塚区 栄区 泉区

横浜市リハビリテーション 事業団

北部地域療育センター 1993 緑区 都筑区 横浜市リハビリテーション 事業団

中部地域療育センター 1996 西区 中区

南区 社会福祉法人 青い鳥 西部地域療育センター 1999 保土ヶ谷区

旭区 瀬谷区

横浜市リハビリテーション 事業団

東部地域療育センター 2003 鶴見区

神奈川区 社会福祉法人 青い鳥 地域療育センター

あおば 2007 青葉区 社会福祉法人 十愛療育会

(7)

利用者は原則として、 居住地域の地域療育センターを利用するが、 希望 により、 他の地域のセンターも利用可能とされている。 その場合でも、 居 住地域のセンターを経由することとなっている。

乳幼児健康診査

1 ) 福祉保健センターが実施する集団健康診査

福祉保健センターサービス課こども家庭支援担当では、 集団健康診査と して、 4 か月児健康診査、 1 歳 6 か月児健康診査、 3 歳児健康診査を表 2 に示すような内容で実施している。 また、 各健康診査の具体的内容を以下 に記載した。

4 か月児健康診査 内容

−首のすわり、 しっかり見る力、 また発育の状況、 股関節の開きを見る。

−離乳食、 子育て、 むし歯予防のポイントなどについて話す。

<問診> 母親の相談や、 子どもの様子をみて追視などを確認。

<指導> 離乳食、 虫歯予防、 育児のポイントについて話す。

1 歳 6 か月児健康診査 内容

幼児の発達の大事なポイントとなる言葉の出方や指さしなどによるコミュ ニケーションの様子を見る。 機嫌が悪かったり人見知りがあったり、 その 場でできない子どもも多いので、 家での様子やその後の経過を確認する。

<問診> 母親の相談や、 子どもの様子を見て、 指さしの様子を見る。

<指導> 生活面、 栄養面、 虫歯予防の話をする。

(8)

3 歳児健康診査 内容

幼児期後半の発達の大事なポイントとなる、 言葉の理解や会話、 みたて 遊びができるかなどの発達を家での様子と併せて見る。

<問診> 母親相談や、 子どもとの簡単な会話で様子を見る。

<指導> 生活面、 栄養面、 むし歯予防の話をする。

2 ) 医療機関が実施する個別健康診査

乳幼児健康診査は、 福祉保健センターで実施する上記のものだけでなく、

母子健康手帳別冊の中にとじてある受診票を使って医療機関で 3 回の健康 診査が無料で受診できる。 健康診査および育児相談の費用は公費負担とな る。 ただし、 病気の治療等の費用は除外される。 相談回数及び有効期間は、

生後12か月 (13か月未満) までに 3 回受診できる。 また、 受診可能な施設 としては、 横浜市内の医療機関のうち、 乳幼児健康診査実施医療機関であ ればよい、 とされている。

表 2 乳幼児健康診査実施内容 趣旨

子どもの発育や発達を成長の節目で確認し、 子育てを応援する目的。

必要な子どもには病院や専門機関を紹介したり、 経過健康診査、 相談、

家庭訪問などで子どもの成長を支援。

案内 事前に 「お知らせ」 案内はがき送付 時間 60分から90分

共通 内容

<計測> 身長, 体重 <診察> 医師が診察

<相談> 育児に関する相談に応じる

4 か月児健康診査 1 歳 6 か月児健康診査 3 歳児健康診査 持ち物

問診票, 子健康手帳, 記用具, バスタオル

問診票, 母子健康手帳, 筆記用具, 歯ブラシ

問診票, 母子健康手帳, 筆記用具, 歯ブラシ, 尿

内容

◆首のすわり, 追視, 発育, 股関節の開き

◆言葉のでかた、 指さ しなどコミュニケー ションの様子

◆言葉の理解や会話、

みたて遊び, 簡単な 会話で様子

備考

早期産の方は遅れて受 診可。

<歯科健康診査>

むし歯の確認

<歯科健康診査>

むし歯の確認

<尿検査>

採尿して持参

(9)

乳幼児健康診査後のフォローアップの流れ

図 2 に乳幼児健康診査とその後のフォローアップの流れ図を示した。 乳 幼児健康診査は利用者にとって母子保健サービスのファーストコンタクト となる。 実施における構成要員は医師、 保健師、 栄養士、 心理士、 歯科医 師などが携わり、 多職種連携の場として機能している。

乳幼児健康診査後の連携としては、 必要に応じて、 医療機関、 療育機関 へ紹介したり、 子育てサークルや子育て広場など地域での育児力を高める 機会を提供したり、 保育所・幼稚園での子育て支援や集団保育へのつなが りを持つことなどを行う。 つまり福祉保健センターは、 乳幼児健康診査に おいて地域におけるコーディネータ役を担っているといえる。

1 ) フォローアップ

① 個別相談

乳幼児健康診査後の心理相談を大別すると、 第一に、 主に虐待への対 応として、 グループカウンセリングなどを中心とした臨床心理士による 支援が行われている。 第二に、 主に早期発見から発達支援への対応とし

個別相談・グループ参加 乳幼児健診

子ども・家族

子育て広場

保育所・幼稚園

医療機関

療育機関 図 2 乳幼児健康診査後のフォローアップの流れ (秦野2006)

(10)

ての個別相談が行われている。 個別相談における相談間隔としては、 3 か月から半年の幅があり、 どの相談員も予約枠がいっぱいで、 相談が入 りにくい状況が続いている。

フォローアップの方向としては、 子どもの発達レベルによりおよそ 3 分類できる。 まず、 知的障害が明確な場合は、 個別相談に合わせて、 他 機関への連携を進めながら 3 歳前後までのフォローとなる。 また、 知的 障害が軽度またはボーダーレベルの場合は、 日常生活での関わり方など を中心に育児相談をおこないつつ、 その子どもが幼児集団に入る頃まで のフォローとなる。 一方、 「子どもの育ちが心配で」 という保護者の主 訴による場合は、 継続相談にはならない場合もあるが、 随時対応する必 要があるので、 健康診査の事後フォローだけに限らず、 子どもの年齢が 4−5 歳でも個別相談に応じている。

② 親子教室

乳幼児健康診査のフォローアップのひとつとして、 親子教室の運営が 各所で行われている。 子どもの経験拡大の場として、 親子での楽しい遊 びを通して活動のレパートリーを広げ、 親も子どもとの関わり方を実体 験を通して学習していく場である。 子どもにとってはここで体験した楽 しい遊びを、 家に帰って親と一緒に再体験したり、 興味や関心を広げる 機会となる。 親にとっては、 保護者の仲間作りの格好の機会となる。 育 児に関する情報交換をしたり、 自分の子どもと他児の行動観察すること で子ども理解を深めたり、 自分と他の保護者との子どもに対する姿勢や 態度を比較することで、 自分の育児を見つめなおす機会にもなる。

支援者としては、 遊びという自由な雰囲気の中で、 子どもが活動に興 味をもって自ら参加できるように必要な関わりを展開しながら対象児の 行動観察による発達アセスメントを行う。 また、 保護者と子どもの関わ

(11)

りを観察することで支援方針を立て、 子どもの経験拡大という健全育成 を行っていくのか、 または、 今後の療育や集団保育の必要性や有効性に ついての方向を見出していく期間となる。 親子教室では、 保健師、 保育 士、 心理士など多職種による担当者間で対象児の支援内容や教室運営の 目標なども共有しながら共通認識をつくり、 連携を深めていく機会とな る。

個別相談を受けるには抵抗があるけれど、 親子教室ならば参加しても よい、 と思われる保護者にとっては、 この場が子どもにとっても保護者 にとっても楽しい活動が提供される場になっているとおもわれる。 個別 相談とあわせて親子教室を利用している場合、 親子教室参加がきっかけ となり、 個別相談を受けることになる場合があるが、 いずれの場合も、

親子教室の利用の年齢は 2 歳代で、 次は地域療育センターへと連携を広 げている。

2 ) 障害児地域訓練会

障害児親の会は 「セルフ・ヘルプグループ (自助の会)」 のひとつであ る。 子どもが障害かどうか悩んだり、 あきらめたり、 孤立、 絶望して自分 が社会の中の人間である事を見失ってしまった時、 同じ問題をかかえる仲 間とのふれあいが、 心の支えになり、 状況を克服するための新たな力とな りうる。 親の会は医療、 福祉などの一般的、 地域的、 個人的な情報の集積 所であり、 その中から自分に参考になる情報を得る可能性がある。

また、 親の会で出会う多くの親や子どもの体験の中に、 自分とわが子の 可能性を見出すこともできる。 また定期的に会員間の情報や経験等を交わ すための大切な機会となる。 親の会はいわゆる の典型的なものである。 会員の相互援助 (学習) の促進は、 情報や経験豊 富な古い会員、 障害児とともに過ごす生活に慣れている会員が、 知識のほ

(12)

とんどない人に情報を提供することができる。 改めて自分の子どもと家族 の人生を考えることができてくるといわれる。

横浜市では、 障害児を対象に生活指導や機能回復訓練などを実施してい る親の会 (地域訓練会と称する) に運営費の助成を行っている。 補助対象 団体は76団体 (2007年 4 月現在)であり、 その内訳は、 鶴見区 7 , 神奈川 区 6 , 西区 2 , 中区 2 , 南区 3 , 港南区 4 , 保土ケ谷区 3 , 旭区 2 , 磯 子区 3 , 金沢区 5 , 港北区 5 , 緑区11, 青葉区10, 都筑区 4 , 戸塚区・

泉区 4 , 栄区 1 , 瀬谷区 3 である。

乳幼児健康診査事後フォローにおいても、 子どもの発達状況を受け止め る保護者自身の気持ちの整理がつかず、 すぐに地域療育センターに相談に つながりにくい場合のほうがむしろ多い。 そんな時、 身近な地域の自主的 な訓練会のほうが気後れせずに参加できる親もいるので、 居住地から通い やすい地域や、 そこに集まる子ども達の年齢や発達状況なども考慮して、

その親子が参加していくのによりふさわしい地域訓練会を紹介している。

地域療育センター

地域療育センターは、 横浜市が各方面別に計画的に設置した地域総合通 園施設であり、 診療所、 知的障害児通園施設、 肢体不自由児通園施設の 3 施設を統合的に運用し、 それぞれの担当地域の障害児に対する療育サービ スを提供している。 原則として、 親子通園の形態とし、 保護者が療育場面 に参加し、 療育の基本的考え、 療育の技術及び児童の特徴を学ぶための支 援を行う。 4 〜 5 歳児は単独通園や親子分離の形態も取り入れて、 家庭や 就学後等における療育効果があらわれるよう支援を行う。 また保護者教室 や家族参観等により保護者支援を行うとともに、 地域の幼稚園・保育所に 通いながら通園を利用する並行通園児に対して、 関係する園と連携をはか

(13)

りながら支援を行う。

対象者は、 学齢前期 (主に小学校期) の障害児 (知的障害児、 肢体不自 由児、 言語障害児) であり、 サービス内容は、 相談・地域サービス部 門と、 診療部門に分かれる。 相談・地域サービス部門では、 各センター の窓口として、 市内の福祉保健センター、 児童相談所、 幼稚園、 保育所等 と連携をとりながら、 発達に関する様々な相談に応じるとともに、 総合的 な支援を行う。 診療部門では、 医学的検査、 治療、 各種の評価・訓練、 療 育相談などを、 個別または集団の形態で行う。 診療科目としては、 リハビ リテーション科、 小児科、 児童精神科、 神経小児科、 耳鼻咽喉科である。

通園部門では、 就学前の障害児で継続的な療育が必要な場合には、 知的 障害及び肢体不自由の施設に通う。 療育プログラムはそれぞれの子どもの 障害や年齢に合わせて設定するとともに、 保護者には、 職員が療育上のい ろいろな相談に応じる。 地域療育センターの職員としては、 医師、 看護師、

保健師、 ソーシャルワーカー、 保育士、 児童指導員、 栄養士、 理学療法士、

作業療法士、 臨床心理士、 言語聴覚士、 臨床検査技師、 事務職員である。

1 ) 横浜市総合リハビリテーションセンターでの早期療育

すでに述べたように、 横浜市では社会福祉法人 「青い鳥」 で地域療育セ ンターを 3 つ、 横浜市総合リハビリテーション事業団で地域療育センター を 4 つ、 そして社会福祉法人 「十愛愛育会」 で地域療育センターをひとつ 運営している。 ここでは、 これらの地域療育センターの中核施設として横 浜市総合リハビリテーションセンターに発達障害部門がおかれている知的 障害児、 肢体不自由児、 難聴幼児通園施設と診療所の紹介を行う。

表 3 にその理念と方針、 療育内容、 保護者支援内容、 対象児とクラス分 けについて表した。 また、 それぞれの療育の一日の流れを次に掲げた。

(14)

◆難聴グループのスケジュール例

◆第一・第二療育スケジュール例 9:50 登園・したく 10:40 あつまり 10:50 プログラム 11:30 給食準備 11:50 給食 12:50 歯磨・着替え 13:30 遊戯室・園庭遊び 13:50 あつまり 14:00 降園

11 12 13 14

10

(

調 )

午後の活動 (製作他)

母親面接

表 3 横浜市リハビリテーションセンターの療育概要 (HP より抜粋)

子どもの人権を尊重し一人ひとりが現 在および将来ともに、 その持てる力を 十分に発揮した生活が営めるように総 合的な支援を行う。 この通園施設は、

センターの総合的な療育機能の一翼を 担い、 継続した集団療育と個別療育を 通して、 発達障害のある子どもとその 家族に専門的支援を行う。 そのため、

「子どもの療育」と 「保護者への支援」

を大切な 2 本の柱と捉え療育を進める。

また、 関係機関との連携を図り、 総合 的な専門療育施設として、 発達障害の ある子どもとその家族の地域生活を支 えていく場を目指す。

就学前の難聴と言語障害 (言語発達障 害, 構音障害) の子どもを対象とし、

それぞれの子どもの障害や発達状況に 合わせた療育を行う児童福祉施設。 言 語能力の習得を支援し、 コミュニケー ション関係の拡大をはかる。

1 . 良好な対人コミュニケーション関 係育成

2 . 聴覚の活用と言語能力の向上 (難 聴)

3 . 言語・認知能力の向上 (言語発達 障害)

4 . 正しい構音 (発音) の習得 (構音 障害)

5 . 家庭療育・保護者への支援

◆健康な体作り

◆基本的生活習慣の確立

◆運動機能面の向上・発達促進

◆感覚・認知機能の向上

◆コミュニケーション能力の向上

◆社会性育成

◆問題となる行動の軽減

◆難聴:残存聴力を充分に活用するた めの定期的な聴力検査と補聴器の適 合装着訓練、 聴能・言語訓練を行い、

言語・コミュニケーション能力を育 成。 家庭生活 (家事)、 自然、 社会 事象への興味や関心を拡大、 家庭で の親子の共同活動を拡大。

◆言語発達障害:言語発達を促進する ため、 多様な教材を用いて言語訓練 を実施、 親子のコミュニケーション 向上する指導を行う。

◆構音障害 (口蓋裂を含む):構音や 鼻咽腔閉鎖機能 (鼻もれ) の評価に 基づき、 構音訓練等を実施。

(15)

地域で、 安心して安定した家庭生活を 送るために、 家庭との連携をはかり療 育効果を高め、 家庭の養育能力の向上 を支援することを目標とする。

原則として、 週 1 回の個別療育を基本 として、 グループ療育 (難聴) や診療・

保護者教室 (難聴・言語発達障害) な ど。

知的障害児通園施 設 [第一療育係]

肢体不自由児通園 施設 [第二療育係]

難聴幼児通園施設 [第三療育係]

児就学前年齢の精 神発達障害児

就学前の肢体不自 由、 重症心身障害 児など運動機能に 障害のある児

就学前年齢の難聴、 口蓋裂、 構音障害、

言語発達障害、 難聴と精神発達・運動 発達など重複障害児童。 新生児聴覚ス クリーニング後の精密聴力検査可能

福祉保健センター・他療育機関等の紹介

(電 話)

初回面談

<ソーシャルワーカー>

<小児科・児童精神科・リハ科・耳鼻科>

各科外来評価

<心理・理学療法・作業療法・言語聴覚法>

支援検討会議

<医師・心理・理学療法士・言語聴覚士・早期・ソーシャルワーカー>

<小児科・児童精神科>

<ソーシャルワーカー>

同日

同日

診療フォロー 心理個別指導 グループ指導

理学療法訓練 作業療法訓練

言語聴覚 訓練

早期療育科 1/週 親子の グループ教育 外来療育

幼稚園・保育園 就園 小学校・養護学校 就学

図 4 中部地域療育センターにおける相談の流れ (HP 抜粋)

(16)

2 ) 横浜市中部地域療育センターにおける相談の流れ

図 4 は、 中部地域療育センターにおける相談の流れのチャートを図示し た。 他の地域療育センターと若干の相違はあっても、 ほぼ同じような流れ で組織化されている。

乳幼児健康診査とその後の支援体制の課題

1 ) 福祉保健センターの役割

松井(1995)が指摘するように、 出生直後のリスクは医療機関で発見され るが、 次の段階では、 多くの発達障害は福祉保健センターが関わる仕事で、

発見される可能性が高い。 子育て支援と発達障害の早期発見は、 第一子家 庭訪問、 健康診査未受診児の家庭訪問、 乳幼児健康診査における二次健康 診査などの機会があげられる。

心理職による個別相談、 専門職が入った親子教室などが、 乳幼児健康診 査のフォローアップとして行われている。 乳幼児健康診査における精密検 査票を利用しての医療機関の受診、 その後の療育へつなぐために地域の療 育機関、 保育所、 幼稚園との連携も欠かせない。 この他に障害児親の会と のつながりを持っていくことも、 地域の中での生活の視点を考えるという 意味で重要である。

乳幼児健康診査に関する全国実態調査 (中村, 2007) によれば、 乳幼児 健康診査実施の重点項目として、 各健康診査に共通して 「子育て不安の発 見と軽減」 がトップで、 これに続き 「疾病の早期発見」 「虐待の早期発見」

が主たる項目にあげられている。 幼児では 「発達の評価」 と 「発達障害の 早期発見」 が高い目標になっている。 したがって、 すでに述べたように、

①プライマリーケアを丁寧に行い、 ②子育て支援の機会や場の提供をし、

③親同士の組織化し、 ④乳幼児健康診査から他機関への接続と連携を確実 に行っていくことが改めて必要とされた(瀬戸・秦野, 1997)。

(17)

2 ) 豊かな幼児期の育ちを支援できたか

連携と接続の問題は、 対象となる子どもを乳幼児健康診査とその後のファ ローアップしていく中で直面する。 ここでは、 福祉保健センターの心理相 談の立場として、 地域に送り出す側から見えてくることをいくつか指摘し たい。 まず、 地域療育センターは、 現在横浜市内に 8 施設が設置され、 福 祉保健センターからの受け入れを行っているが、 接続後の利用者への対応 には違いがある。 たとえば、 福祉保健センターから地域療育センターに紹 介され、 そこの親子通園に通っていた子どもが、 保育所や幼稚園などの一 般の幼児集団に出た時、 そこで地域療育センターでの支援が終了となって しまうことがある。 個人的には、 必要なフォローがなされずに日常の集団 生活に入るので、 発達の問題や適応の問題が生じた時に、 保護者は再び、

福祉保健センターに再来するという場合がある。

地域療育センターの趣旨には、 ①外来における個別・集団療育の実施、

②通園施設における集団療育の実施、 ③保育所・幼稚園など巡回支援など も掲げられている。 どこの地域療育センターにいっても、 利用する親子に とっての必要なサービスが同じように受けられるようでありたい。

また、 地域療育センターにつなげたのに、 途中で支援が途切れてしまい、

親子の実情が把握できなくなる人もいるといわれる。 その場合、 親子を送 り出した福祉保健センターでは、 接続後に必要な支援が継続されているか どうか状況確認ができなくなる。 保護者の相談ニーズが低い、 あるいは相 談ニーズがあまり見られないと思われる場合に、 継続しにくくなりがちだ と思われる。 乳幼児期の相談特有の困難さは、 子どもの発達困難さへの理 解に保護者が至るまでに時間を要することである。 そのことも含めて、 乳 幼児期の支援のあり方が問われる。 継続支援の質が、 接続先で対応する専 門スタッフの資質の個人差という事がらに換言されるべきではない。

(18)

おわりに

横浜市という政令指定都市での乳幼児健康診査を通して、 乳幼児期の子 育て支援、 早期発見とその対応について検討した。 本稿をおわるにあたり、

今後の視野に入れておくべき事柄を指摘したい。

ひとつは利用者が増えたために生じる待機児についての対応である。 原 (2003) は、 横浜市地域療育センターが幼児人口の 1−2 %の利用を想定し て造られたが、 中部療育センターでは、 現実は幼児人口の 5 %前後の利用 者がいるため、 待機児が増加していると指摘した。 また、 その要因として、

利用者が増えているのは、 支援内容が評価されているからだとも指摘し、

「行き届いた支援がニーズを掘り起こす」 と提言している。

さて、 木村は発達障害者白書2006 (2007) にて、 療育センター構想から 20年以上経た現在、 当初は想定していなかった課題のひとつとして、 知的 な遅れを伴わない発達障害児 (高機能自閉症、 アスペルガー症候群など) の受診ニーズの爆発的増加をあげた。 具体例として、 たとえば、 2003年度 の横浜市 Ko 区では発達精神科への新患予測数は147名で 5 年前の 3 倍近 くに達し、 新患の41%が IQ 76以上の高機能自閉症者であった(Honda, et, al. 2005)。

原 (2003) は中部地域療育センターでの初回来所者の診断は、 2003年度 は32%を広汎性発達障害 (PDD) としたことを報告している。 また以前 は精神遅滞という診断をしていた子どもに対して、 自閉症診断が増えてき たのは、 自閉症を発見診断する感度が改善されたと指摘している。 どの程 度のレベルを自閉症と診断するかということは、 自閉症を発見診断する感 度の改善や、 診断医による個人差、 また障害概念自体の変化も含まれる。

2004年の発達障害者支援法の適用を受けて2005年から療育手帳を所持で きない軽度の発達障害児への支援が可能になった。 周囲の啓蒙的理解と専 門施設との密接なつながりによって、 これまでの早期発見・早期療育から

(19)

は抜け落ちていた子どもたちへの支援が実現可能となった。

乳幼児健康診査とその支援は、 地域の実情に応じて行われる。 システム としては、 その時々で必要とされる対応が柔軟に行われるような可動性と 流動性を維持していきたい。 さらに、 福祉保健センターと地域療育センター が、 相互に情報を共有しつつ、 最適な発達相談や発達支援を行うことを目 指したい。

文献

松井一郎

特別区・政令指定都市・中核市保険所 (保健センター) におけ る妊娠・出産・新生児および乳幼児期における育児援助サービスの全国調査

年度厚生科学研究補助金 (子ども家庭総合研究事業) 「虐待の予防、 早期発 見及び再発防止に向けた地域における連携体制の構築に関する研究」 分担研究報 告書

.

中村敬

乳幼児健康診査に関する全国実態調査:

年および

年度

年間における悉皆調査の分析結果について 平成

年度厚生労働科学研究補助金 (子ども家庭研究総合研究事業) 分担研究報告書

成富正信

障害者地域療育センターの構想 早稲田社会科学研究

,

,

.

日本知的障害福祉連盟 (編)

発達障害白書

日本文化科学社

秦野悦子

乳幼児健康診査から保育の場への連携 別冊発達

. ミネルヴァ書房

原仁 横浜市の地域療育 講演議事録

! ! "!

# $$ #% " & ' !!'!% $' ! # ( ) $ ! ' *%+, -

(

(本田秀夫 自閉症は増加しているのか:横浜市における発生率調査より)

瀬戸淳子 秦野悦子

幼児期における精神遅滞児の

).

推移とその変動要 発達心理学研究第

号,

+

.

参照

関連したドキュメント

■乳幼児健康診査の実施、未受診児への受診勧奨や保健師等による家庭訪問の実施 ■子ども医療費の助成

■乳幼児健康診査の実施、未受診児への受診勧奨や保健師等による家庭訪問の実施 ■子ども医療費の助成

かであろう。まさに UMIZ の活動がそれを担ってい るのである(幼児保育教育の “UMIZ for KIDS” による 3

黄色ブドウ球菌による菌血症と診断された又は疑われる1~17歳の

 トルコ石がいつの頃から人々の装飾品とし て利用され始めたのかはよく分かっていない が、考古資料をみると、古代中国では

 調査の対象とした小学校は,金沢市の中心部 の1校と,金沢市から車で約60分の距離にある

 母子保健・子育て支援の領域では現在、親子が生涯

児童について一緒に考えることが解決への糸口 になるのではないか。④保護者への対応も難し