日本機械学会[No.177-1]北陸信越支部 第 54 期総会・講演会 講演論文集 [2017.3.9 石川県金沢市]
[No.177-1]日本機械学会北陸信越支部 第 54 期総会・講演会 講演論文集 [2017.3.9 石川県金沢市]
H011
トポロジー最適化による構造物の剛性最大化シミュレーション
(軸対称構造モデルを対象としたフィルタリング半径の影響に関する考察)
倉橋 貴彦
*1
,丸岡 宏太郎*2
,吉原 健太*3
,小林 正成*4
Numerical simulation of stiffness maximization for structures based on topology optimization (Remarks on effect of filtering radius for axial symmetric structure model)
Takahiko KURAHASHI *1 , Kotaro MARUOKA, Kenta YOSHIHARA and Masanari KOBAYASHI
*1
Nagaoka University of Technology, Deptment of Mechanical Engineering Kamitomioka 1603-1, Nagaoka-shi, Niigata, 160-0016 Japan
In this study, the topology optimization technique using the FEM is applied to axial symmetric model. The optimal density distribution is calculated by using the gradient of the Lagrange function with respect to the density in iterative computation. The filtering technique is applied to modify the gradient distribution, and the optimality criteria method is employed for the update of the density value. In this study, remarks on effect of filtering radius are carried out.
Key Words : Topology potimization, FEM, Stiffness maximum structure, Lagrange function, Filtering technique, Optimality criteria method.
1. 序 論
物体の最適な形状を求める研究は,物体(構造物)のみを対象とした問題のみならず,流体中の物体を対象と した問題等,幅広く行われている.最適化を行うパラメータにより最適化問題も大別され,(1)寸法最適化問題,
(2)形状最適化問題
(1),(3)トポロジー最適化問題(2)に分けることができる.各最適化問題はそれぞれ,(1)各部材ごとの寸法を最適化する問題,(2)外形形状を最適化する問題,(3)外形の形状のみならず孔の数を含め,構造形態を 最適化する問題であり,最適化を行いたい構造パラメータに応じて問題設定が行われる.
近年普及している
3D
プリンタとの相性の良さから,トポロジー最適化による構造最適化のシミュレーション が注目されており,シミュレーション結果により最適設計された構造を3D
プリンタにより制作する試みが行われている(3) (4).このような近年の研究動向も踏まえ,本研究ではトポロジー最適化に関する検討を実施する.構
造モデルとしては軸対称モデルとし,フィルタリング処理におけるフィルタリング半径が剛性最大化構造に与え る影響について調べる.
2. トポロジー最適化理論に基づく定式化
2・1 ラグランジュ関数の各要素密度に関する勾配ベクトルの誘導
軸対称モデルの線形弾性体に対する支配方程式に対する有限要素方程式を式(1)に示す.ここに, [K]は剛性行 列,{u}は変位ベクトル,{f}は外力ベクトルを示し,要素タイプとしては四角形の一次要素を適用する.
*1 正員,長岡技術科学大学(〒
940-2188
新潟県長岡市上富岡町1603-1
)*2 非会員,長岡技術科学大学大学院
*3 非会員,長岡技術科学大学
*4 非会員,オイレス工業株式会社
E-mail: [email protected]
K u f (1)
ここで,外力による仕事量の最小化を目的とし,式(2)に示す評価関数Jを定義する. .
2 1 2
1 f u u K u
J
T
T(2)
式(1)の制約条件のもと式(2)の最小化を行うことから,式(2)に示すラグランジュ関数を改めて定義する.こ こに,{λ}は随伴変数ベクトルを示す.
f u K u f
J
T
T
2
*
1 (3)
また,ラグランジュ関数の要素密度
ρ
i(単位は無次元とする.)に対する勾配ベクトルは式(4)のように書くこ とができ,式中におけるiは要素番号を示す.
i T
T i
T i
i T i T i
K u f
K u K u
K u f u
J
2
1 2
*
1
(4)
式(4)において{-λ}T[K]={f}
Tとなり, [K] T{-λ} ={f}と書き表すことができ,また,剛性行列[K]は対称行列であ
ることを考慮すると,式(1)に示す有限要素方程式より{-λ}={u}が成り立つことになる.このことより,式(4)は 式(5)のように示すことができる. K u B D B u u B D B u
J
i T T i
T T i
T
i
2 1 2
1 2
*
1
(5)
また,ヤング率が密度(単位は無次元)の関数で与えられるものと考え,ヤング率を式(6)のように定義する.E
minは計算不安定性を回避するパラメータであり,本検討ではE0
=1MPa, E
minは=1×10-3MPaと設定する. pはペナルテ
ィーパラメータあり,本検討ではp=3と設定する. E
0E
min E
minE
i
i
ip (6)
式(6)より,ラグランジュ関数の各要素密度に対する勾配ベクトル(軸対称モデルの場合)は式(7)のように書き表す ことができる.
E E u B B u
J p
p T Ti i
2 2 0 1
0 0
0 1
0 1
0 1
) 2 1 )(
1 (
1 2
1
1min 0
*
(7)
本研究における数値実験では,文献(5)の
3.2
節(c.フィルタリング)に基づき,式(7)に対してはフィルタリング処 理を適用し,また密度の更新においては最適性基準法を用いる.2・2 最適密度分布算定のための計算アルゴリズム
以下にトポロジー最適化における計算アルゴリズムを示す.
1.
計算条件の入力.2.
有限要素法による線形弾性解析.3.
収束判定:|J(l+1)-J
(l)|/ J
(1)<ε
を計算し,収束判定定数ε
より小さい場合は計算を終了,そうでなければ,次のス テップへ進む.4.
ラグランジュ関数の各要素密度に対する勾配ベクトルの計算.5.
前のステップにおいて求まった勾配ベクトルに対するフィルタリング処理.6.
最適性基準法により密度分布および,反復回数を更新し,ステップ2
に戻る.3. 数値実験による検証
本検討では,図
1
に示す計算モデル,境界条件に対して,表1
に示す計算条件をもとに剛性最大化問題に対す るトポロジー最適化シミュレーションを行う.式(7)に示す勾配ベクトルを直接使用したトポロジー最適化シミュ レーションでは,チェッカーボード状に最適化構造が得られることが報告されている.そこで,本検討において は,文献(4)を参考に,式(8)に示す勾配ベクトルの修正式により勾配ベクトルに対してフィルタリング処理を導入 する.
i i
M j
j j i
M
j i
j j j
i k
y x w
y J x w J
, ,
* )
(
*
(8)
ここに,重みパラメータ
w(x
j)を示しており,w(x
j)は i
番目の要素から半径R(フィルタリング半径)内に含まれ
る要素を対象として,i番目の要素からの距離に応じた係数値とする(式(9)).また,式(8)において,Miは,i番 目の要素を中心に半径R
内に含まれる要素の集合を示している. x
j, y
j R x
jx
i
2y
jy
i
2w (9)
30mm
40mm P=1N
Design domain
Fig. 1 Computational model and boundary conditions.
Number of element
(x direction×y direction)
1200 (40×30)
Mesh size Δx, Δy 1mm
Initial value of
non-dimensional density 0.3
Convergence criterion ε 10
-5Table 1 Computational conditions
ここで,上記の計算条件において,フィルタリング半径
R
を(Case1)1.5mm,(Case2)5.5mm
とした場合の検討結果 を示す.図2
は,各ケースにおける評価関数(最初の反復回数の値により正規化した値)の収束履歴を示す.結 果として,フィルタリング半径が小さいほど,評価関数の値は下げられていることがわかる.また,図3
に評価 関数が収束した際の最終形状を示す.Case1の結果では,部材の厚さは薄くなり,高密度の部材になっているこ とがわかる.一方,Case2の結果では,部材の厚さは厚くなり,低密度の部材になっていることがわかる.評価 関数の値より,外力仕事の値を小さくできているのは,Case1の結果であることから,フィルタリングの効果は 最小限に入れることが望ましいものと考えられる.Case1 : Filtering radius = 1.5mm Case2 : Filtering radius =5.5mm Fig. 2 Comparison of performance function between Case1 and Case2.
Fig. 3 Non-dimensional density distribution at final iteration in topology optimization. Left and right hand figures indicate the
results in case of filtering radius is set 1.5mm and 5.5mm, respectively.
4. 結 論
本研究では,トポロジー最適化理論を軸対称モデルの構造に対する剛性最大化問題に適用し,数値実験による 検討を行った.式展開においては,外力仕事による評価関数を導入し,弾性変形に対する支配方程式を考慮した ラグランジュ関数に対してラグランジュ関数の各要素密度に対する勾配ベクトルを誘導した.また,この勾配ベ クトルを直接使用することでチェッカーボード状の最適形状が得られることから,文献(4)を参考に勾配ベクトル に対してフィルタリング処理を施した.剛性最大化形状を求めるための反復計算においては,最適基準法を適用 し,フィルタリング処理を施した勾配ベクトルを用いて各要素における密度の値について更新を行った.
フィルタリング半径を
1.5mm,5.5mm
と設定し検討を行ったところ,フィルタリング半径の小さい方が部材厚 は薄く,フィルタリング半径を大きくすると部材厚は太い結果が得られた.評価関数の値の大小により比べると,フィルタリング半径が小さいケースの方が評価関数の値も小さいことから,本研究で取り扱った軸対称モデルに おける剛性最大化のシミュレーションにおいては,フィルタリング半径は小さく設定する方が望ましいと思われ る.しかし,小さすぎる値であるとフィルタリング効果が損なわれ無次元密度分布がチェッカーボード状に得ら れることから,数値実験を重ね,経験的に設定する必要があると考えられる.
謝 辞
本研究を進めるにあたり,長岡技術科学大学 学長戦略的経費(⑤材料科学領域:未来を牽引する高信頼性材 料分野)の援助を受けた.また,数値実験を行うにあたり,九州大学情報基盤研究開発センターの高性能演算サ ーバーシステム
PRIMERGY CX400
を利用させて頂いた.ここに謝意を表す.文 献