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(1)

2014年11月13日

調査部金属資源調査課

山本 万里奈

平成26年度第8回金属資源関連成果発表会

インドネシア 鉱石輸出規制による

ニッケル需給へのインパクト

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1

2014年1月11日付、ユドヨノ大統領が未加工鉱石の完全輸出停止を含む政省令に署名 ①政令:生産鉱物の国内でのprocess(処理)及びrefine(製精錬)義務を規定 ②エネルギー・鉱物資源大臣令:政令の施行細則。process及びrefine基準を規定 ③財務大臣令:processed product(精鉱類)に賦課される輸出税率を規定 ④商業大臣令:輸出条件を規定 未加工鉱石:ニッケル鉱石、ボーキサイトは完全に輸出不可。緩和・見直しの動きなし 精鉱類:最低処理基準のクリア、輸出許可の取得と輸出税の支払い等を条件として、2017年 までの輸出が認められた*

インドネシア 新鉱業法下の高付加価値化政策の概要と現状

高付加価値化政策施行後の主な動き(政省令関連) インドネシア鉱物経営者協会(APEMINDO)ら、憲法裁判所に司法審査請求(1月) インドネシア商工会議所(KADIN)、輸出税率の見直しを要請(2月) ー政府は製錬所建設の進捗に応じて税率を軽減する案を検討・調整  エネルギー・資源大臣令「加工・精錬済みの鉱物の国外販売の実行についての推薦状の付与の方 法及び条件」公布(4月17日付)  Chairul Tanjung新大臣就任(5月19日)  財務大臣第三改正令「輸出税賦課対象輸出品及び輸出税率の決定」公布(7月25日付) ※経緯の詳細についてはJOGMECカレント・トピックス『インドネシアにおける鉱石 輸出禁止政策の動向-鉱物資源高付加価値義務化の概要-』参照 出所:JOGMECニュース・フラッシュ、インドネシアエネルギー・鉱物資源省(MEMR)をもとに作成 *最低処理基準:銅精鉱≧15%等、輸出許可は6か月毎に更新、輸出税は製錬所建設計画の進捗に応じ軽減

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2

インドネシア 新鉱業法下の高付加価値化政策:背景①

・2005年5月、法案上程 ・2008年12月16日、国会本会議で承認 (3年7か月に及ぶ国会での議論) ・2009年1月12日、大統領の署名を経て公布・施行 主な流れ 「国家利益の最大化、国民福祉向上」:人権尊重、地方分権、鉱業からの国家・地方収入の極大化を目指す 1967年制定法の近代化(不整合の是正) フレームワークの整理・手続き明確化(法的確実性の担保) 地方政府への権限移譲 富の再分配→国家及び国民の利益に結び付く鉱業政策へ ポイント ★新鉱業法はかような状況下で施行となった: 2005年以降、金属資源の需要急増・未曽有の金属価格高騰 資源の流出・外資企業の莫大な利益獲得が「外資優遇」政策への批判を招く →元々存在していた「資源ナショナリズム」の潮流が激しくなる 2009年7月、ユドヨノ大統領再選 「(ア)国民福祉の向上、(イ)民主主義の確立、(ウ)正義の実践を今後の五カ年計画の核とし、特に、競争力のある 経済発展と天然資源の活用及び人的資源の向上を政府の最優先課題と位置付けている。」(外務省) →MP3EI(経済マスタープラン)における鉱業の高い位置づけ ユドヨノ前大統領 出所:LME、JOGMECニュース・フラッシュ、カレント・トピックス、金属資源レポート2009年3月号『インドネシア新鉱業法について』等をもとに作成 写真出所:Wikipedia

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インドネシア 新鉱業法下の高付加価値化政策:背景②

3

インドネシ ア 1% その他 99% 一次ニッケル 世界生産量計1,841.9kt (第18位) インドネ シア 2% その他 98% 銅鉱石 インドネ シア 1% その他 99% 銅地金 世界生産量計17,012kt (第12位) 世界生産量計20,358kt (第26位) インド ネシア 27% その他 73% ニッケル鉱石 世界生産量計2,271.6kt (第1位) 2012年鉱石生産量/地金生産量 インドネ シア 12% その他 88% ボーキサイト インドネ シア 1% その他 99% アルミニウム地金 世界生産量計255,538kt (第4位) 世界生産量計46,330kt(第26位) インド ネシア 22% その他 78% 錫地金 インド ネシ ア 31% その 他 69% 錫鉱石 世界生産量計292.5kt (第1位) 世界生産量計364.4kt(第2位)

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4

ニッケル ボーキサイト

☹ インドネシアは世界鉱石生産の約3割を占める

☹ さらに、その輸出量の9割は中国需要→ニッケル生産の4割を占め

る中国の原料調達に大きな問題

☺ インドネシアの世界に占める鉱石生産 割合は2% ☹ 精鉱の輸出は可能、但し高率な輸出税 は国際競争力を失う→現地鉱山企業に とっては死活問題 ☺ インドネシアの世界に占める鉱石生産割 合は16% ☹ 但し、その輸出量の9割は中国需要→ア ルミニウム生産の5割を占める中国の代 替調達の行方

政策により影響を受ける鉱種

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5

世界経済成長の鈍化による需要減退/新規プロジェクトから の供給量増加による供給過剰で、2011年を直近のピークに 下落基調が続いていた。 (年平均 2011年23,000US$/t → 2013年15,027US$/t) 各社は市況低迷を受け鉱山閉鎖や資産売却の傾向 ニッケル市場ではここ数年間、悲観的な見方が支配 しかし、2014年1月の ①インドネシアの鉱石禁輸実施を皮切りに ②ウクライナ情勢を巡る対露制裁懸念、 ③ニューカレドニアでの供給障害といった供 給不安が次々に浮上し、価格は急上昇。 (2014年1月初旬に比べ50~60%上昇) ・BHP Billiton 豪州ニッケル事業の資産償却 ・Rio Tinto 米国ニッケル資産の売却 ・Norilsk Nickel 海外資産の売却 ・・・その他小規模鉱山の閉鎖 Indon esia 32% Philippin es 13% Russia 11% Australi a 9% Canada 9% New Caledo nia 6% China 4% Brazil 3% Others 13% 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 LMEニッケル在庫(千t) LMEニッケル価格(US$/t) 2007.5.15 53,995US$/t 史上最高値 2013.1~ 19,000US$/t台 →13,000US$/t台へ 100 150 200 250 300 350 400 12,000 13,000 14,000 15,000 16,000 17,000 18,000 19,000 20,000 21,000 22,000 LMEニッケル在庫 LMEニッケル価格 2014.1.12 ①インドネシア鉱石輸出停止 2月末~ ②ウクライナ情勢緊迫化 2014.5.7 ③ニューカレドニア供給障害 2014.5.13 21,200US$/t 2年3か月ぶり高値 2013.7.9 13,160US$/t 4年2か月ぶり安値 価格 (U S$ /t ) 在庫 (千 t) 2014.9.3 フィリピン未加工鉱石 禁輸法案提出

ニッケル:価格への影響

+フィリピンの 鉱石禁輸懸念 出所:INSG, LME

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影響を受けるのはニッケルと銅

6

日本は

ニッケル鉱石輸入の約5割をインドネシアに依存

国内のフェロニッケル生産3社(住友金属鉱山(日向製錬

所)、大平洋金属、日本冶金)は、インドネシア以外からの

鉱石手当を拡大

フィリピン 31% インドネ シア 58% ニューカレ ドニア 11% 2013年ニッケル鉱石輸入元比率 (純分換算) 出所: 財務省貿易統計をもとに作成 ニッケル原料輸入量内訳

ニッケル:日本への影響(これまで)

鉱石 33% マット 32% 地金 17% MS 11% FeNi 4% 酸化 ニッケ ル 0% その 他 3% 2,077 2,269 2,140 2,390 1,951 2,060 2,509 1,811 351 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 ニッケル鉱石輸入量推移 ニューカレドニア インドネシア フィリピン gross kt ニッケル

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7

ニッケル:日本への影響(鉱石輸入)

2014年1月以降、フィリピンとニューカレドニアの二か国から鉱石を調達

いずれもインドネシア産よりニッケル品位が低い

2014年5月以降、フィリピン産鉱石の輸入単価が高騰

⇒代替供給地から調達しているものの、鉱石価格の高騰と鉱石中のニッケル

品位低下によるコスト増が懸念される

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 20 1 2 .1 3 5 7 9 11 20 1 3 .1 3 5 7 9 11 20 1 4 .1 3 5 7 9 日本のニッケル鉱石輸入単価推移(月別) フィリピン インドネシア ニューカレドニア JPY/t 0 100 200 300 400 500 600 20 1 2 .1 3 5 7 9 11 20 1 3 .1 3 5 7 9 11 20 1 4 .1 3 5 7 9 日本のニッケル鉱石輸入量推移(月別) フィリピン インドネシア ニューカレドニア kt 2012.5~ インドネシア輸出規制 インドネシア鉱石輸出停止2014.1~ 出所: 財務省貿易統計をもとに作成

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8

ニッケル:日本への影響(フェロニッケル)

日本の2014年1~9月フェロニッケル生産は、過去最高であった2013年

とほぼ同程度の生産水準を維持

出所: 財務省貿易統計をもとに作成 出所: 経済産業省 鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報をもとに作成 0 20 40 60 80 100 120 輸入 生産 日本のフェロニッケル供給量の推移 純分換算千t 0 20 40 60 80 100 120 その他 ベルギー ドミニカ共和国 ブラジル コロンビア Nカレドニア 日本のフェロニッケル輸入量の推移 純分換算千t

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9

ニッケル:日本への影響(ステンレス)

日本のニッケル消費の約9割がステンレス鋼及び特殊鋼

日本のステンレス鋼生産は世界シェア8%

ニッケル系ステンレス生産の比率は、2006年の価格高騰や

汎用品分野における中国・韓国・台湾の攻勢でやや低下

ステンレス鋼/ 特殊鋼 90% めっき 2% ニッケル合金 1% その他 7% 日本のニッケル消費の内訳(2012) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 Cr系(左軸) Ni系(左軸) Ni系の比率(右 軸) 単位:千t(左軸) 日本のステンレス鋼生産量推移 出所:INSG EU 19% 北南米 6% 日本 8% 中国 50% 韓国 6% その他 アジア 9% その他 2% 出所: ISSFデータをもとに作成 ステンレス粗鋼地域別生産シェア(2013)3,813 万t プラント トンネル内装板 建材 車両 ケミカルタンカー 船舶 写真出所:ステンレス協会 出所:『ステンレス鋼需給資料』、ステンレス協会

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影響を受けるのはニッケルと銅

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2013年ニッケル鉱石輸入元比率 ニッケル原料輸入量内訳

ニッケル:中国への影響(これまで)

出所: GTA, INSG 出所: WBMS

中国は、2004年以降のステンレス生産の拡大に伴いニッケ

ル需要も増大

2007年ごろから低品位ニッケル鉱石を原料として

ニッケル

銑鉄(NPI)

を製造することで、原料需要に対応してきた。

インドネシア産の鉱石には4~5割依存

鉱石 77% マット 1% 地金 11% FeNi 4% NOS 等 7% フィリ ピン 58% インド ネシア 41% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 中国のニッケル需給バランス推移 ニッケル鉱石生産 一次ニッケル生産 一次ニッケル消費 生産伸び率 消費伸び率 kt 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014.1-9 その他 フィリピン インドネシア インドネシア鉱石生産 gross kt 中国のニッケル鉱石輸入量 kt

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0 2,000 4,000 6,000 8,000 その他 フィリピン インドネシア gross kt 2012.5~ インドネシア輸出規制 2014.1~ インドネシア鉱石輸出停止

ニッケル:中国への影響(鉱石輸入)

12

出所:GTAをもとに作成

代替調達元はほぼフィリピンのみ

2014年4月以降、フィリピン産鉱石の輸入単価が高騰

一方、高付加価値化政策施行前に大量に輸入したインドネシア産鉱石の

在庫は

2015Q1頃

に使い切る見通し

0 20 40 60 80 100 120 中国ニッケル鉱石輸入単価推移(月別) フィリピン インドネシア US$/t 中国のニッケル鉱石輸入量推移(月別)

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12

ニッケル:中国への影響(NPIほかニッケル需給)

中国の2014年一次ニッケル生産、1-9月は前年同期比6.8%増

NPI生産は当初減産が予想されたが6.9%増

但し、その増加分はQ1の生産量であり、

Q2・Q3は減少傾向

0 200 400 600 800 1000 2011 2012 2013 2013.1-9 2014.1-9 中国の一次ニッケル需給 NPI ニッケルカソード ニッケル塩 輸入 需要 kt 0 50 100 150 200 250 300 2013Q1 2013Q2 2013Q3 2014Q1 2014Q2 2014Q3 中国の一次ニッケル需給 NPI ニッケルカソード ニッケル塩 輸入 需要 kt 報道によれば・・・ 中国企業は急ピッチでインドネシアでNPIプラント建設を進めている模様 ロータリーキルン/電気炉法(設備投資額大)や電気炉法(電力消費量大)よりも、短期間で建 設可能で同国石炭を利用できる溶鉱炉法を多く採用している傾向→溶鉱炉法はコスト高、稼働後 の採算維持や環境への影響が懸念される 出所: 安泰科

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13

中国のニッケル消費の約8割はステンレス鋼用途

中国のステンレス鋼生産は世界シェア50%

省ニッケルのマンガン系ステンレスが台頭しつつあ

るものの、ニッケル系が生産量の50%を占めている

ニッケル:中国への影響(ステンレス)

EU 19% 北南米 6% 日本 8% 中国 50% 韓国 6% その他 アジア 9% その他 2% ステンレス粗鋼地域別生産シェア(2013)3,813 万t 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 200系 (省Ni/Mn系) 400系(Cr系) 300系(Ni系) 300系比率 中国のステンレス鋼生産量推移 kt 中国のニッケル消費の内訳(2013)  既にステンレス輸出国となっている が、メーカーは今後も増産予定  その年間生産能力拡大量は日本のス テンレス生産量(300万t)を凌ぐ 出所: ISSFデータをもとに作成 出所: 中国特殊金属協会ステンレス分会資料をもとに作成 出所: 安泰科データをもとに作成 ステンレス 鋼 83% 電気メッキ 4% 合金鋼及び 機械製造 9% 電池 3% その他 1%

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14

フィリピンは世界第1位のニッケル鉱石生産国へ

中国の需要増大に伴い、2000年代からフィリピンも鉱石生産を拡大

2014年1月以降、中国は鉱石調達をほぼフィリピンのみに頼る状況となり、

さらに鉱石生産を増加

2014年1~8月の同国鉱石生産量は前年同期比16%増の27万t

ニッケル:フィリピンへの影響

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 フィリピンとインドネシアの鉱石生産量推移 フィリピン インドネシア kt Indonesia 32% Philippin es 13% Russia 11% Australi a 9% Canada 9% New Caledo nia 6% China 4% Brazil 3% Others 13% 2013 Indon esia 10% Philippines 19% Russia 8% Austral ia 6% Canada 6% New Caledonia 5% China 6% Brazil 3% Others 37% 2014.1-4 この他、鉱石禁輸の動きも見られた  上下院議員によるフィリピン鉱業法 (1995年)改正案の提出(7~8月) 「本施策は、国の鉱物加工産業の能力を育 て、開発するため、未加工の鉱物の輸出を完 全に禁じるものである。」 →当面は実現されない見通し 出所: INSG

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今後の世界ニッケル需給:国際ニッケル研究会予測

(出所:JOGMECカレント・トピックス) 2012年実績 2013年実績 2014年予測 (2014年春季) 2014年予測 (2014年秋季) 2015年予測 (2014年秋季) 鉱山生産量 2,380.3 2,631.1 2,015.6 2,058.9 2,130.5 一次ニッケル生産量(a) 1,750.3 1,942.6 1,936.1 1,928.8 1,947.6 一次ニッケル消費量(b) 1,655.6 1,779.7 1,888.8 1,917.8 1,973.8 需給バランス(a-b) + 94.7 + 162.9 +47.3 + 11.0 ▲ 26.2

2014年10月13~14日、リスボンにて国際ニッケル研究会(INSG)の秋季会合開催

2014年は1.1万tの供給過剰、2015年は2.6万tの供給不足と予測

※詳細についてはJOGMECカレント・トピックス『ニッケル需給予測、2015年に2.6 万tの供給不足に転じる-2014年秋季国際ニッケル研究会(INSG)報告-』参照 (出所:INSG、JOGMECカレント・トピックス)

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今後の世界ニッケル需給:企業予測

(34.1) 1.3 21.7 (64.5) 86.8 80.6 80.4 (25.1) 6.0 87.3 170.9 13.7 (100) (50) 0 50 100 150 200 250 300 350 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014e LME在庫(kt) 需給バランス(kt) LME年間平均価格(US$/t) US$/t kt 出所:INSG、2014年の価格及び在庫は1~9月実績、需給バランスは1~8月実績 2014年ニッケル需給は1.5万tの供給過剰、 2015年は3.2万tの供給不足 2014年ステンレス鋼生産は4,120万t(うち中 国2,100万t)、2015年は4,330万t(中国 2,300万t) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 2014,2015中国以外 その他 その他アジア 韓国 日本 北南米 EU 中国 Ni系の比率(右軸) 世界のステンレス粗鋼生産量推移 単位: 千t 出所: ISSFデータ、予測は 住友金属鉱山 kt LME在庫は過去最高水準の38.7万t(約79日分) まで積み上がっている→中国在庫からの移動? 中国経済の不透明感はぬぐえないものの、各社は 安定的な成長を見込み、鉱石不足によるNPI減産 を予測  2014年ニッケル需給はほぼバランス、2015年は ”a significant deficit”

 2013年の中国NPI生産は49万t、2015年は20~ 25万tにとどまる

 中国NPI生産は、2013年の51万tから2019年に は33~37万tに減少

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日本のインドネシア産銅精鉱依存度は6%程度

現地Batu Hijau鉱山にはNusa Tenggara Mining Corp.として日系企業が計21.44% 権益保有 ・米国Newmont社との合弁PT NNTとして当初の高率な輸出税(25%)について政 府と交渉 ・結果、鉱業事業契約(CoW)の改定や製錬所建設のための誠意保証金預入 (25MUS$)等の条件の下、輸出税を製錬所建設計画の進捗状況に基づいた7.5%へ 引き下げて輸出再開の合意に達した。 チリ 53% ペルー 14% オースト ラリア 10% カナダ 6% インドネ シア 6% その他 11% 2013年銅精鉱輸入元比率 (純分換算) 出所: 財務省貿易統計をもとに作成

銅:各国への影響①日本

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 日本の銅鉱石輸入量推移 インドネシア カナダ アメリカ合衆国 ペルー チリ オーストラリア パプアニューギニア その他 gross kt

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銅:各国への影響②米国

 インドネシアの二大銅鉱山は、米国企業Freeport McMoran Inc. とNewmont Corp.

(+日本)が操業  製錬所建設計画数の少なさ、GDPへの影響のほか米国のロビー活動もあり、精鉱での輸出 は時限的に許可された  しかし、高率な輸出税に反発し両社は政府との個別交渉を申し入れ。製錬所建設のための 保証金預入、輸出税(7.5%、暫定税率25%より引き下げ)の支払い及びCoW改定に関す るMoUを締結することで輸出再開に至った。 2014年2月 PT FI-Antamによる銅製錬所建設の共同FS開始 2014年3月 PT FI、Grasberg銅山操業6割削減 PT FI、27日までに輸出企業認定に係るエネルギー・鉱物資源省の推薦状及び商業省認可取得 2014年4月 PTNNT、7日までに輸出企業認定に係るエネルギー・鉱物資源省の推薦状及び商業省認可取得 24日、「輸出推薦状発出要件に係る細則」に関するエネルギー・鉱物資源大臣令公布 2014年5月 19日、Hatta経済担当調整大臣辞任、Chairul Tanjung新大臣就任 PT FIおよびPT NNT、政府および関係閣僚と協議 2014年6月 2~4日、FCX社長が訪尼し、政府と直接協議 4日、PT NNTのBatu Hijau銅山操業停止。翌日政府に対しフォースマジュール発動 2014年7月 1日、PT NNTが輸出規制について国際仲裁を申し立て

18日、現地企業2社(PT Lumbung Mineral Sentosa、PT Sbuku Iron Lateritic Ore)が精鉱輸 出税支払いに合意、鉛・亜鉛および鉄精鉱の輸出再開 25日、精鉱輸出税率に係る財務大臣令「輸出税賦課対象輸出品及び輸出税率の決定」公布 25日、Freeport社と政府、CoW改定等に係るMOU締結。翌26日に商業省から精鉱輸出認可を取得 2014年8月 7日、PT FIは、銅精鉱の輸出を再開 25日、PT NNT、輸出規制に対する国際仲裁提訴を取り下げ、政府との交渉を再開 2014年9月 4日、PT NNTと政府、CoW改定等に係るMOU締結 19日、PT NNT、政府から輸出許可を取得、29日に輸出再開

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ボーキサイト:中国への影響

中国はボーキサイト調達の約5割をインドネシアに依存 2014年1月に輸出が停止してからは、インド、マレーシア、ギニアからの 輸入を増やしているが、追い付いていない状態 ボーキサイト 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 中国の国別ボーキサイト輸入量推移 インドネシア 豪州 インドネシア マレーシア ブラジル ギニア その他 gross kt 2012.5~ インドネシア輸出規制 2014.1~ インドネシア鉱石輸出停止 0 100 200 300 400 500 600 700 20 13 .1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 20 14 .1 2 3 4 5 6 7 8 9 中国のアルミナ・水酸化アルミニウム輸入量推移 豪州 ブラジル インド ベトナム その他 gross kt 0 20 40 60 80 2 0 1 3 .1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2 0 1 4 .1 2 3 4 5 6 7 8 9 中国のアルミニウム地金輸入量推移 豪州 オマーン インド ロシア その他 gross kt  ロシア Manturov産業貿易大臣は、同国企業が中国マー ケット向けにインドネシア・カリマンタンにアルミナ製錬 所(10億US$、100万t/年)を建設する計画である旨発言 (2014.10.21, Reuters) 出所: GTA

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各国の政治的対応

日本は、戦前からインドネシアのニッケル資産に投資、また技術提供を行ってきた 官民ともインドネシア政府に「ベストプラクティス」な対応を繰り返し要請 ・・・官民ミッション派遣、経済合同フォーラム、大臣面談etc. 2014年1月以降は、WTO提訴についても検討(4月23日、宮川日本鉱業協会長がMETI にWTO規則に基づく紛争解決を申し入れ) APEC2014@北京での首脳会談で、安倍首相はジョコウィ大統領に「新鉱業法を含む経 済上の懸案は互恵関係全体を踏まえ解決していきたい」旨伝達(11.11) 中国は、自国の需要増大に伴いインドネシアからの輸入に依存 鉱業政策自体には理解 APEC2014@北京でも製錬所関係の投資で合意との報道 米国は、Freeport McMoRanとNewmontが二大銅鉱山を操業、商工会議所等を通して 積極的なロビー活動を行ってきた インドネシア Hidayat前工業大臣によると、ロシア企業が高付加価値化施策の実施を条 件に製錬所投資の意向を示していた ロシア Manturov商業貿易大臣、同国企業によるアルミナ製錬所・FeNi製錬所建設計画 (計15億US$)について言及 原材料貿易会議(2014.11.4@パリ)での発言「輸出規制は誰も利することはな く摩擦とコストが発生する」 出所:JOGMECニュース・フラッシュ、各種報道等(写真:外務省(提供:内閣広報室))

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インドネシアへの影響:実態

鉱石(×1) 中間製品 最終製品 ニッケル FeNi:7倍 ステンレス:19倍 ボーキサイト アルミナ:8倍 アルミ:30倍 銅 カソード銅:3倍 ワイヤーロッド:10倍 出所: INSG及びGTA インドネシアの鉱石生産は、中国の需要増大 に伴い急激な増加をたどった(2014年の高付 加価値化政策施行を想定した駆け込み輸出も 要因か) インドネシア政府は、こうした未加工鉱石の 大量流出を”搾取”と捉え、2012年5月に輸出 規制(割当制度等)を導入 政府の主張 鉱石を高付加価値化すれば、その価値は 数十倍になる 経済への一時的な悪影響は織り込み済み ニッケルとアルミニウムは十分な製錬所 建設計画がある 法律で定められたものであり、鉱石輸出 を許可することは即ち法律を侵すこと 出所:2012年エネルギー・鉱物資源省講演資料 業界団体の主張 高付加価値化を求めるならば、政府は電 力や道路の供給といったインセンティブ を与える必要がある 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 インドネシアの鉱石生産量 中国のインドネシア鉱石輸入量 鉱石生産量 kt インドネシアの鉱石生産量推移 中国輸入量gross kt

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写真出所:Wikipedia ジョコウィ新政権(2014.10.20~)下でも未加工鉱石禁輸が解除される見通しは当面なし ・経済ナショナリズムに傾きがちな国会の力が強い ・国会は野党連合が多数派を占める →鉱業法改正による規制緩和は困難 新エネルギー・鉱物資源大臣はクリーンなイメージ優先で、当該問題への捉え方は不明 更なる鉱業規則制定の動き(国内市場への供給義務、国内製錬者への付加価値税免除etc.) ただし・・・ ・各国からのWTO提訴を受けるおそれ ・APEMINDOによる違法審査請求の結果 ・国営PT Antamへの大きな損害(H1決算6,390億ルピア≒5,450万US$の赤字) ・インドネシア鉱業協会(IMA)幹部「鉱石禁輸は有害無益で、将来的には「微調整す る」(“fine-tuned”)ことになる」 ・中国企業による製錬所建設計画の行方 ・元ビジネスマン ・ソロ州知事 →ジャカルタ特別州知事 ・「庶民派」「清廉潔白」

インドネシアへの影響:今後

ユスフ・カラ 副大統領 “ジョコウィ” 大統領 スディルマン・サイード エネルギー・鉱物資源大臣 ・元ビジネスマン ・国営PT Pertaminaでの 勤務経験あり ・反汚職活動団体設立 ・第一期ユドヨノ政権(2004~ 2009)で副大統領 ・輸出規制継続を明言

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日本へのインパクト

ニッケル:フィリピンとニューカレドニアからの輸入を増やし補填。しかし、コスト増が懸念される 銅:銅精鉱の輸出は再開されたが、6か月毎の輸出認可更新や製錬所建設計画への具体的な取り組みを 今後求められる インドネシア政策のフィリピン等への波及を阻止する意味からも、WTO提訴など国際的枠組みでの働 きかけを業界は要望

中国へのインパクト

 ニッケル:インドネシアからの輸入が停止して以来ほぼ全量をフィリピンに依存  NPI生産量は、当初想定よりも堅調に増加。但し、足元は減少傾向でQ4や2015年の動向が注目される

インドネシアの現状

 インドネシアのニッケル鉱石生産は前年比70%減  鉱石輸出停止を見直す動きは見られず、むしろ鉱業規則を強化する方向へ  ジョコウィ新政権の動きづらさ→輸出規制見直しの必要性が認識されても、対応までに時間がかかる

ニッケル需給へのインパクト

 2014年に供給過剰幅は縮小、2015年は供給不足との見方が大勢  輸出停止前に大量に積み上げたインドネシア産鉱石の在庫は2015Q1頃に使い切ると予想され、以後の 需給と価格への影響が注目される

まとめ

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりま すが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負 いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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