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岡山大学教師教育開発センター紀要, 第 4 号 (2014),pp 原著 全学日本語コースレベル設定と ACTFL-OPI 実践報告 森岡明美 1 坂野永理 1 内丸裕佳子 1 岡山大学言語教育センターの全学日本語コースでは, 初級から上級まで7レベルのクラスを提供しているが, この

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(1)

【原  著】

全学日本語コースレベル設定と ACTFL-OPI

森岡 明美 坂野 永理 内丸 裕佳子

Reevaluating the Seven Levels of the Japanese Language Classes Based on the ACTFL-OPI

Akemi MORIOKA, Eri BANNO, Yukako UCHIMARU

岡山大学教師教育開発センター紀要 第 4 号 別冊

Reprinted from Bulletin of Center for Teacher Education

and Development, Okayama University, Vol.4, March 2014

(2)

117 ─

原  著

岡山大学教師教育開発センター紀要,第4 号(2014),pp.117-122

全学日本語コースレベル設定と

ACTFL-OPI

 

森岡

明美

※1

 坂野

永理

※1

 内丸

裕佳子

※1  岡山大学言語教育センターの全学日本語コースでは,初級から上級まで7レベルのクラスを提供している が,このレベル設定の妥当性を検討するには外部基準に照らすことが適当と考え,そのひとつとして,ACTFL (American Council for Teaching of Foreign Languages) の OPI (Oral Proficiency Interview) を 行 っ た。 ACTFL-OPI は様々な言語の「話す能力」測定法として確立され活用されているインタビュー方式の試験であり, ACTFL に認定されたテスターによってなされる。本稿では,全学日本語コース履修生を対象に行った ACTFL-OPI の実施方法及び結果を報告し,全学日本語コースの各レベルと ACTFL-ACTFL-OPI の対応について述べる。 キーワード:ACTFL, OPI, レベル設定 ※1 岡山大学言語教育センター Ⅰ.はじめに  岡山大学には2013 年5月1日現在,465 名の留学 生が在籍している。留学生は大学院生,学部生,研究 生などさまざまな身分で在籍しているが,彼らのう ち,学部の正規生を除いた留学生を対象として開講さ れているのが言語教育センターによって提供されて いる全学日本語コースである。本コースは留学生の多 様な日本語レベルやニーズに対応するため,初級か ら上級までを7レベルに分け,各レベルで週当たり 6〜8コマの授業を提供している(内丸他,2013)。  岡山大学においては,近年交換留学などの短期留 学生(特別聴講学生)が増加の傾向にある。彼らが 岡山大学で履修した日本語科目の単位は,母国の大 学の単位として認定が行われる場合も多い。この際, 交換留学の相手機関の担当者や留学生から,全学日本 語コースの各レベルがどのぐらいの日本語の能力に あたるかを示す客観的な指標の有無について問い合 わせを受けることがある。日本語能力を示す標準テ ストとしては,日本語能力試験があり,これ以外に もCEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠),ACTFL 言 語運用能力ガイドラインなどが世界的に認知されて いる外国語能力指標として挙げられる。これらの指 標が全学日本語コースのどのレベルに対応するかが わかれば,それに相当するレベルの母国の大学の日 本語科目への単位の振替が容易になる。それと共に, 岡山大学に留学を考えている留学生や彼らが所属す る大学の関係者にも全学日本語コースのレベルがよ りわかりやすく提示できるようになる。  上記の点をふまえ,言語教育センター日本語系で は,全学日本語コースの各レベルとACTFL 言語運用 能力ガイドラインのレベルとの対応表を作成し,同 コースの日本語のレベルをわかりやすく提示するた めの調査を実施することとした。調査では,2011 年 度と2012 年度に全学日本語コース履修者を対象に して,ACTFL 言語運用能力ガイドラインに沿った口 頭能力テストであるACTFL-OPI を課した。本稿は, ACTFL-OPI についての説明と共に,今回行った調査 の実施方法,テスト結果,そしてACTFL-OPI のレ ベルと全学日本語コースの各レベルとの対応につい て述べるものである。 Ⅱ.ACTFL-OPI とは

 ACTFL は,The American Council on the Teaching of Foreign Languages ( 全米外国語教育協 会) の略称で,小学校から大学院,会社など全てのレ ベルや機関における全ての外国語教育を考え,その 改良や普及を目的とする組織である。ACTFL 言語運 用能力ガイドラインとは,外国語の「話す」「書く」「聞 【実践報告】

(3)

118 ─ 森岡 明美・坂野 永理・内丸 裕佳子 く」「読む」の4技能各々について,個人ができるこ とをレベル別に記述したものである。1986 年に公開 されたが,その後数回修正が行われ,現在は2012 年 版が公開されている(ACTFL,2012a)

 ACTFL-OPI の OPI は,Oral Proficiency Interview ( 口頭能力インタビュー ) の略称で,ACTFL が開発 した外国語の口頭運用能力を測定するための対面式 インタビュー試験である。訓練された専門テスター が質問やロールプレイなどを含む15 ~ 30 分程度の インタビューを行い,そこで得られた発話サンプル をACTFL 言語運用能力ガイドラインに照らし合わせ 能力を判定する。  判定されるレベルは,従来,図1に示されるように, 初級・中級・上級・超級の四つに大別されていたが, 2012 年の言語運用ガイドラインの改訂により,これ に卓越級が加わり,現在は五つのレベルに分けられ ている。初級から上級まではそれぞれ 「 上・中・下 」 の三つのサブレベルに分けられおり,全部で11 のレ ベルからなる(ACTFL,2012b)。  受験者の発話サンプル(パフォーマンス)の判定は, (1) 機能/総合的なタスク遂行能力,(2) 社会的場面 /話題領域,(3) 談話の型,(4) 正確さの4つの観点 から解釈される。(1) から (3) についてのそれぞれの レベルの判定基準は表1の通りである。  (4) の「正確さ」は,「文法」「語彙」「発音」「社会 言語学的能力」「語用論的能力」「流暢さ」の6 つの 要素からなる。正確さのレベル別の判定基準は表2, 3の通りである。

2 ―

タビュー試験である。専門に訓練されたテスターが 質問やロールプレイなどを含む 15~30 分程度のイ ンタビューを行い,そこで得られた発話サンプルを ACTFL 言語運用能力ガイドラインに照らし合わせ 能力を判定する。 判定されるレベルは,従来,図1に示されている ように,初級・中級・上級・超級の四つに大別され ていたが,2012 年の言語運用ガイドラインの改訂に より,これに卓越級が加わり,現在は五つのレベル に分けられている。初級から上級まではそれぞれ 「上・中・下」の三つのサブレベルに分けられおり, 全部で11 のレベルからなる(ACTFL,2012b)。 図1 ACTFL 判定尺度の主要レベル(牧野他,2001) 受験者の発話サンプル(パフォーマンス)の判定 は, (1) 機能/総合的なタスク遂行能力,(2) 社会 的場面/話題領域,(3) 談話の型,(4) 正確さの4つ の観点から解釈される。(1)から(3)についてのそれぞ れのレベルの判定基準は表1の通りである。 表1 レベル別判定基準 機能/総合的なタ スク遂行能力 社会的場面/話題 領域 談話の 型 超 級 裏付けのある意見 が述べられる。仮 説が立てられる。 フォーマル・イン フォーマルな状況 で , 抽 象 的 な 話 題・専門的な話題 を 幅 広 く こ な せ る。 複段落 上 級 詳しい説明・叙述 ができる。 インフォーマルな 状況で具体的な話 題がこなせる。 段落 中 級 意味のある陳述・ 質問内容を模倣で はなくて創造でき る。 日常的な場面で身 近な日常的な話題 が話せる。 文 初 級 暗記した語句を使 って最低の伝達等 の極めて限られた 内容が話せる。 非常に身近な場面 において挨拶を行 う。 語・句 (牧野他,2001) (4) の「正確さ」は,「文法」「語彙」「発音」「社 会言語学的能力」「語用論的能力」「流暢さ」の 6 つの要素からなる。正確さのレベル別の判定基準は 表2,3の通りである。 表2 正確さのレベル別判定基準1 文法 語彙 発音 超 級 基 本 構 文 に 間 違 い が ま ず な い。低頻度構文 に は 間 違 い が あ る が 伝 達 に 支 障 は 起 き な い。 語彙が豊富。特 に 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 が 駆 使 できる。 誰 が 聞 い て も わかる。母語の 痕 跡 が ほ と ん どない。 上 級 談 話 文 法 を 使 っ て 統 括 さ れ た 段 落 が 作 れ る。 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 の 部 分 的 コ ン ト ロ ー ル ができる。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い な い 人 に も わ かるが,母語の 影 響 が 残 っ て いる。 中 級 高 頻 度 の 構 文 が か な り コ ン ト ロ ー ル さ れ ている。 具 体 的 で 身 近 な 基 礎 語 彙 が 使える。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に は わ か る。 初 級 語・句のレベル だ か ら 文 法 は 事 実 上 な い に 等しい。 わ ず か の 丸 暗 記 し た 基 礎 語 彙 や 挨 拶 言 葉 が使える。 母 語 の 影 響 が 強く,外国人の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に も わかりにくい。 (牧野他,2001) 表3 正確さのレベル別判定基準2 社会言語学的 能力 語用論的能力 流暢さ 超 級 く だ け た 表 現 も か し こ ま っ た 敬 語 も で き る。 タ ー ン テ イ キ ング,重要な情 報 の ハ イ ラ イ トの仕方,間の 取り方,あいづ ち な ど が 巧 み にできる。 会 話 全 体 が 滑 らか 上 級 主 な ス ピ ー チ レ ベ ル が 使 え る。敬語は部分 的 コ ン ト ロ ー ルだけ。 相づち,言い換 えができる。 と き ど き つ か え る こ と は あ るが,一人でど んどん話せる。 超級 意見の裏付けができる,仮説が立てられる。具体的な話題も 抽象的な話題も論議できる。言語的にも不慣れな状況に対応 できる。 上級 主な時制/アスペクトを使って叙述,描写で きる。複雑な状況に対応できる。 中級 自分なりに言語が使える,よく 知っている話題について簡単 な質問をしたり答えたりでき る。単純な状況や,やりとりに 対処できる。 初級 コミュニケーシ ョンができるの は,決まり文句, 暗記した語句,単 語の羅列,簡単な 熟語でのみ。 ― 2 ― タビュー試験である。専門に訓練されたテスターが 質問やロールプレイなどを含む 15~30 分程度のイ ンタビューを行い,そこで得られた発話サンプルを ACTFL 言語運用能力ガイドラインに照らし合わせ 能力を判定する。 判定されるレベルは,従来,図1に示されている ように,初級・中級・上級・超級の四つに大別され ていたが,2012 年の言語運用ガイドラインの改訂に より,これに卓越級が加わり,現在は五つのレベル に分けられている。初級から上級まではそれぞれ 「上・中・下」の三つのサブレベルに分けられおり, 全部で11 のレベルからなる(ACTFL,2012b)。 図1 ACTFL 判定尺度の主要レベル(牧野他,2001) 受験者の発話サンプル(パフォーマンス)の判定 は, (1) 機能/総合的なタスク遂行能力,(2) 社会 的場面/話題領域,(3) 談話の型,(4) 正確さの4つ の観点から解釈される。(1)から(3)についてのそれぞ れのレベルの判定基準は表1の通りである。 表1 レベル別判定基準 機能/総合的なタ スク遂行能力 社会的場面/話題 領域 談話の 型 超 級 裏付けのある意見 が述べられる。仮 説が立てられる。 フォーマル・イン フォーマルな状況 で , 抽 象 的 な 話 題・専門的な話題 を 幅 広 く こ な せ る。 複段落 上 級 詳しい説明・叙述 ができる。 インフォーマルな状況で具体的な話 題がこなせる。 段落 中 級 意味のある陳述・ 質問内容を模倣で はなくて創造でき る。 日常的な場面で身 近な日常的な話題 が話せる。 文 初 級 暗記した語句を使 って最低の伝達等 の極めて限られた 内容が話せる。 非常に身近な場面 において挨拶を行 う。 語・句 (牧野他,2001) (4) の「正確さ」は,「文法」「語彙」「発音」「社 会言語学的能力」「語用論的能力」「流暢さ」の 6 つの要素からなる。正確さのレベル別の判定基準は 表2,3の通りである。 表2 正確さのレベル別判定基準1 文法 語彙 発音 超 級 基 本 構 文 に 間 違 い が ま ず な い。低頻度構文 に は 間 違 い が あ る が 伝 達 に 支 障 は 起 き な い。 語彙が豊富。特 に 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 が 駆 使 できる。 誰 が 聞 い て も わかる。母語の 痕 跡 が ほ と ん どない。 上 級 談 話 文 法 を 使 っ て 統 括 さ れ た 段 落 が 作 れ る。 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 の 部 分 的 コ ン ト ロ ー ル ができる。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い な い 人 に も わ かるが,母語の 影 響 が 残 っ て いる。 中 級 高 頻 度 の 構 文 が か な り コ ン ト ロ ー ル さ れ ている。 具 体 的 で 身 近 な 基 礎 語 彙 が 使える。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に は わ か る。 初 級 語・句のレベル だ か ら 文 法 は 事 実 上 な い に 等しい。 わ ず か の 丸 暗 記 し た 基 礎 語 彙 や 挨 拶 言 葉 が使える。 母 語 の 影 響 が 強く,外国人の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に も わかりにくい。 (牧野他,2001) 表3 正確さのレベル別判定基準2 社会言語学的 能力 語用論的能力 流暢さ 超 級 く だ け た 表 現 も か し こ ま っ た 敬 語 も で き る。 タ ー ン テ イ キ ング,重要な情 報 の ハ イ ラ イ トの仕方,間の 取り方,あいづ ち な ど が 巧 み にできる。 会 話 全 体 が 滑 らか 上 級 主 な ス ピ ー チ レ ベ ル が 使 え る。敬語は部分 的 コ ン ト ロ ー ルだけ。 相づち,言い換 えができる。 と き ど き つ か え る こ と は あ るが,一人でど んどん話せる。 超級 意見の裏付けができる,仮説が立てられる。具体的な話題も 抽象的な話題も論議できる。言語的にも不慣れな状況に対応 できる。 上級 主な時制/アスペクトを使って叙述,描写で きる。複雑な状況に対応できる。 中級 自分なりに言語が使える,よく 知っている話題について簡単 な質問をしたり答えたりでき る。単純な状況や,やりとりに 対処できる。 初級 コミュニケーシ ョンができるの は,決まり文句, 暗記した語句,単 語の羅列,簡単な 熟語でのみ。 ― 2 ― タビュー試験である。専門に訓練されたテスターが 質問やロールプレイなどを含む 15~30 分程度のイ ンタビューを行い,そこで得られた発話サンプルを ACTFL 言語運用能力ガイドラインに照らし合わせ 能力を判定する。 判定されるレベルは,従来,図1に示されている ように,初級・中級・上級・超級の四つに大別され ていたが,2012 年の言語運用ガイドラインの改訂に より,これに卓越級が加わり,現在は五つのレベル に分けられている。初級から上級まではそれぞれ 「上・中・下」の三つのサブレベルに分けられおり, 全部で11 のレベルからなる(ACTFL,2012b)。 図1 ACTFL 判定尺度の主要レベル(牧野他,2001) 受験者の発話サンプル(パフォーマンス)の判定 は, (1) 機能/総合的なタスク遂行能力,(2) 社会 的場面/話題領域,(3) 談話の型,(4) 正確さの4つ の観点から解釈される。(1)から(3)についてのそれぞ れのレベルの判定基準は表1の通りである。 表1 レベル別判定基準 機能/総合的なタ スク遂行能力 社会的場面/話題 領域 談話の 型 超 級 裏付けのある意見 が述べられる。仮 説が立てられる。 フォーマル・イン フォーマルな状況 で , 抽 象 的 な 話 題・専門的な話題 を 幅 広 く こ な せ る。 複段落 上 級 詳しい説明・叙述 ができる。 インフォーマルな状況で具体的な話 題がこなせる。 段落 中 級 意味のある陳述・ 質問内容を模倣で はなくて創造でき る。 日常的な場面で身 近な日常的な話題 が話せる。 文 初 級 暗記した語句を使 って最低の伝達等 の極めて限られた 内容が話せる。 非常に身近な場面 において挨拶を行 う。 語・句 (牧野他,2001) (4) の「正確さ」は,「文法」「語彙」「発音」「社 会言語学的能力」「語用論的能力」「流暢さ」の 6 つの要素からなる。正確さのレベル別の判定基準は 表2,3の通りである。 表2 正確さのレベル別判定基準1 文法 語彙 発音 超 級 基 本 構 文 に 間 違 い が ま ず な い。低頻度構文 に は 間 違 い が あ る が 伝 達 に 支 障 は 起 き な い。 語彙が豊富。特 に 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 が 駆 使 できる。 誰 が 聞 い て も わかる。母語の 痕 跡 が ほ と ん どない。 上 級 談 話 文 法 を 使 っ て 統 括 さ れ た 段 落 が 作 れ る。 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 の 部 分 的 コ ン ト ロ ー ル ができる。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い な い 人 に も わ かるが,母語の 影 響 が 残 っ て いる。 中 級 高 頻 度 の 構 文 が か な り コ ン ト ロ ー ル さ れ ている。 具 体 的 で 身 近 な 基 礎 語 彙 が 使える。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に は わ か る。 初 級 語・句のレベル だ か ら 文 法 は 事 実 上 な い に 等しい。 わ ず か の 丸 暗 記 し た 基 礎 語 彙 や 挨 拶 言 葉 が使える。 母 語 の 影 響 が 強く,外国人の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に も わかりにくい。 (牧野他,2001) 表3 正確さのレベル別判定基準2 社会言語学的 能力 語用論的能力 流暢さ 超 級 く だ け た 表 現 も か し こ ま っ た 敬 語 も で き る。 タ ー ン テ イ キ ング,重要な情 報 の ハ イ ラ イ トの仕方,間の 取り方,あいづ ち な ど が 巧 み にできる。 会 話 全 体 が 滑 らか 上 級 主 な ス ピ ー チ レ ベ ル が 使 え る。敬語は部分 的 コ ン ト ロ ー ルだけ。 相づち,言い換 えができる。 と き ど き つ か え る こ と は あ るが,一人でど んどん話せる。 超級 意見の裏付けができる,仮説が立てられる。具体的な話題も 抽象的な話題も論議できる。言語的にも不慣れな状況に対応 できる。 上級 主な時制/アスペクトを使って叙述,描写で きる。複雑な状況に対応できる。 中級 自分なりに言語が使える,よく 知っている話題について簡単 な質問をしたり答えたりでき る。単純な状況や,やりとりに 対処できる。 初級 コミュニケーシ ョンができるの は,決まり文句, 暗記した語句,単 語の羅列,簡単な 熟語でのみ。 ― 2 ― タビュー試験である。専門に訓練されたテスターが 質問やロールプレイなどを含む 15~30 分程度のイ ンタビューを行い,そこで得られた発話サンプルを ACTFL 言語運用能力ガイドラインに照らし合わせ 能力を判定する。 判定されるレベルは,従来,図1に示されている ように,初級・中級・上級・超級の四つに大別され ていたが,2012 年の言語運用ガイドラインの改訂に より,これに卓越級が加わり,現在は五つのレベル に分けられている。初級から上級まではそれぞれ 「上・中・下」の三つのサブレベルに分けられおり, 全部で11 のレベルからなる(ACTFL,2012b)。 図1 ACTFL 判定尺度の主要レベル(牧野他,2001) 受験者の発話サンプル(パフォーマンス)の判定 は, (1) 機能/総合的なタスク遂行能力,(2) 社会 的場面/話題領域,(3) 談話の型,(4) 正確さの4つ の観点から解釈される。(1)から(3)についてのそれぞ れのレベルの判定基準は表1の通りである。 表1 レベル別判定基準 機能/総合的なタ スク遂行能力 社会的場面/話題 領域 談話の 型 超 級 裏付けのある意見 が述べられる。仮 説が立てられる。 フォーマル・イン フォーマルな状況 で , 抽 象 的 な 話 題・専門的な話題 を 幅 広 く こ な せ る。 複段落 上 級 詳しい説明・叙述 ができる。 インフォーマルな状況で具体的な話 題がこなせる。 段落 中 級 意味のある陳述・ 質問内容を模倣で はなくて創造でき る。 日常的な場面で身 近な日常的な話題 が話せる。 文 初 級 暗記した語句を使 って最低の伝達等 の極めて限られた 内容が話せる。 非常に身近な場面 において挨拶を行 う。 語・句 (牧野他,2001) (4) の「正確さ」は,「文法」「語彙」「発音」「社 会言語学的能力」「語用論的能力」「流暢さ」の 6 つの要素からなる。正確さのレベル別の判定基準は 表2,3の通りである。 表2 正確さのレベル別判定基準1 文法 語彙 発音 超 級 基 本 構 文 に 間 違 い が ま ず な い。低頻度構文 に は 間 違 い が あ る が 伝 達 に 支 障 は 起 き な い。 語彙が豊富。特 に 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 が 駆 使 できる。 誰 が 聞 い て も わかる。母語の 痕 跡 が ほ と ん どない。 上 級 談 話 文 法 を 使 っ て 統 括 さ れ た 段 落 が 作 れ る。 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 の 部 分 的 コ ン ト ロ ー ル ができる。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い な い 人 に も わ かるが,母語の 影 響 が 残 っ て いる。 中 級 高 頻 度 の 構 文 が か な り コ ン ト ロ ー ル さ れ ている。 具 体 的 で 身 近 な 基 礎 語 彙 が 使える。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に は わ か る。 初 級 語・句のレベル だ か ら 文 法 は 事 実 上 な い に 等しい。 わ ず か の 丸 暗 記 し た 基 礎 語 彙 や 挨 拶 言 葉 が使える。 母 語 の 影 響 が 強く,外国人の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に も わかりにくい。 (牧野他,2001) 表3 正確さのレベル別判定基準2 社会言語学的 能力 語用論的能力 流暢さ 超 級 く だ け た 表 現 も か し こ ま っ た 敬 語 も で き る。 タ ー ン テ イ キ ング,重要な情 報 の ハ イ ラ イ トの仕方,間の 取り方,あいづ ち な ど が 巧 み にできる。 会 話 全 体 が 滑 らか 上 級 主 な ス ピ ー チ レ ベ ル が 使 え る。敬語は部分 的 コ ン ト ロ ー ルだけ。 相づち,言い換 えができる。 と き ど き つ か え る こ と は あ るが,一人でど んどん話せる。 超級 意見の裏付けができる,仮説が立てられる。具体的な話題も 抽象的な話題も論議できる。言語的にも不慣れな状況に対応 できる。 上級 主な時制/アスペクトを使って叙述,描写で きる。複雑な状況に対応できる。 中級 自分なりに言語が使える,よく 知っている話題について簡単 な質問をしたり答えたりでき る。単純な状況や,やりとりに 対処できる。 初級 コミュニケーシ ョンができるの は,決まり文句, 暗記した語句,単 語の羅列,簡単な 熟語でのみ。

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119 ─ 全学日本語コースレベル設定とACTFL-OPI  ACTFL-OPI(以下 OPI)は,文法の正確さなどに 限らず,社会言語学的能力に必要な文化知識や語用 運用能力として示されているコミュニケーション・ ストラテジーをも測定基準に入れ,多面的な角度か ら言語運用能力を測ろうと試みている。  インタビューは,テスターと被験者が一対一で15 分~30 分行う。導入部分では,あいさつや軽い話か ら始め,その後ロールプレイを2回程行い,最後にイ ンタビュー全体をおさめる会話を行って終結する。導 入部分で被験者のレベルが初級だと判明すれば,ロー ルプレイを行う必要はないため,15 分程度でインタ ビューは終了するが,どのレベルであっても最長30 分を超えてはいけない。テスターは,ACTFL が作成 した中級,上級,超級のロールプレイのタスクが書 いてあるロールプレイカードセットを準備し,導入 部分で被験者のレベルがどの級にあたるかを判定し た後,使用するカードを決める。最初のロールプレ イでは被験者の能力の最低ラインを定め,次のロー ルプレイで能力の最高ラインを見つけ,最終的なレ ベルを判定するのが通常の過程である。  インタビューはすべて録音され,テスターは終了 後に録音を聞き直し,ガイドラインに照らしながら, 被験者の口頭運用能力がどのレベルにあるかを判定 していく。 Ⅲ.岡山大学で実施した OPI について 1 調査時期・対象・方法  岡山大学言語教育センター日本語系では,2012 年 2月と7月の2度に分けてOPI を使用した調査を 行った。OPI の受験は,ACTFL に申請すれば行うこ とができる。この場合,2名のテスターが採点し,正 式な認定証が発行されることとなる。今回の調査は時 期,および費用面を考慮し, ACTFL の認定を受けた テスター1名に依頼し,岡山大学内においてOPI を 行うこととした。OPI 実施後,学生1名につき A 4 サイズ1枚にOPI の判定レベルと詳細なコメントを まとめた電子ファイルがテスターから送付され,各 学生には担当教員から同ファイルが渡された。 【調査実施時期と調査対象】 第1回目(2012 年 2 月 6 日~ 9 日)23 名   初級2 10 名     中国4名,アメリカ2名,ベトナム1名,     タイ1名,オーストラリア1名,     イギリス1名   中級入門 9名 中国1名,アメリカ4名,フランス3名, ドイツ1名   中級1 4名 中国3名,アメリカ1名 第2回目(2012 年 7 月 23 日~ 26 日)26 名   中級1 12 名 中国3名,アメリカ4名,ベトナム1名,     フランス3名,ドイツ1名   中級2 10 名 中国4名,アメリカ3名,フランス2名, 韓国1名   上級1 4名 韓国3名,トルコ1名  いずれの調査も学期末に行った。第1回目の調査 では,「初級2」と「中級入門」の学生は全員,「中 級1」は希望者のみがOPI を受けた。「初級2」の みOPI の結果が期末評価に含まれている。第2回目 の調査では,「中級1」の学生は当日1名の欠席を除 き全員が受験,「中級2」も全員,「上級1」は希望 者のみが受験した。OPI の結果は期末評価に含まれ ていない。時間的制約により「初級1」と「上級2」 クラスのOPI は実施できなかった。 【調査方法】  学生1名あたり45 分の調査時間を設けた。インタ ビュー試験を20 分~ 30 分実施し,IC レコーダーに 録音した。残り時間はテスターによる調整及びデー タ整理に充てた。テスターの負担を考慮し,実施人 数は1日最大8名とした。   第1回目の調査日と人数 2012 年 2 月 6 日 5名 2012 年 2 月 7 日 8名 2012 年 2 月 8 日 5名 2012 年 2 月 9 日 5名 ― 2 ― タビュー試験である。専門に訓練されたテスターが 質問やロールプレイなどを含む 15~30 分程度のイ ンタビューを行い,そこで得られた発話サンプルを ACTFL 言語運用能力ガイドラインに照らし合わせ 能力を判定する。 判定されるレベルは,従来,図1に示されている ように,初級・中級・上級・超級の四つに大別され ていたが,2012 年の言語運用ガイドラインの改訂に より,これに卓越級が加わり,現在は五つのレベル に分けられている。初級から上級まではそれぞれ 「上・中・下」の三つのサブレベルに分けられおり, 全部で11 のレベルからなる(ACTFL,2012b)。 図1 ACTFL 判定尺度の主要レベル(牧野他,2001) 受験者の発話サンプル(パフォーマンス)の判定 は, (1) 機能/総合的なタスク遂行能力,(2) 社会 的場面/話題領域,(3) 談話の型,(4) 正確さの4つ の観点から解釈される。(1)から(3)についてのそれぞ れのレベルの判定基準は表1の通りである。 表1 レベル別判定基準 機能/総合的なタ スク遂行能力 社会的場面/話題 領域 談話の 型 超 級 裏付けのある意見 が述べられる。仮 説が立てられる。 フォーマル・イン フォーマルな状況 で , 抽 象 的 な 話 題・専門的な話題 を 幅 広 く こ な せ る。 複段落 上 級 詳しい説明・叙述 ができる。 インフォーマルな状況で具体的な話 題がこなせる。 段落 中 級 意味のある陳述・ 質問内容を模倣で はなくて創造でき る。 日常的な場面で身 近な日常的な話題 が話せる。 文 初 級 暗記した語句を使 って最低の伝達等 の極めて限られた 内容が話せる。 非常に身近な場面 において挨拶を行 う。 語・句 (牧野他,2001) (4) の「正確さ」は,「文法」「語彙」「発音」「社 会言語学的能力」「語用論的能力」「流暢さ」の 6 つの要素からなる。正確さのレベル別の判定基準は 表2,3の通りである。 表2 正確さのレベル別判定基準1 文法 語彙 発音 超 級 基 本 構 文 に 間 違 い が ま ず な い。低頻度構文 に は 間 違 い が あ る が 伝 達 に 支 障 は 起 き な い。 語彙が豊富。特 に 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 が 駆 使 できる。 誰 が 聞 い て も わかる。母語の 痕 跡 が ほ と ん どない。 上 級 談 話 文 法 を 使 っ て 統 括 さ れ た 段 落 が 作 れ る。 漢 語 系 の 抽 象 語 彙 の 部 分 的 コ ン ト ロ ー ル ができる。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い な い 人 に も わ かるが,母語の 影 響 が 残 っ て いる。 中 級 高 頻 度 の 構 文 が か な り コ ン ト ロ ー ル さ れ ている。 具 体 的 で 身 近 な 基 礎 語 彙 が 使える。 外 国 人 の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に は わ か る。 初 級 語・句のレベル だ か ら 文 法 は 事 実 上 な い に 等しい。 わ ず か の 丸 暗 記 し た 基 礎 語 彙 や 挨 拶 言 葉 が使える。 母 語 の 影 響 が 強く,外国人の 日 本 語 に 慣 れ て い る 人 に も わかりにくい。 (牧野他,2001) 表3 正確さのレベル別判定基準2 社会言語学的 能力 語用論的能力 流暢さ 超 級 く だ け た 表 現 も か し こ ま っ た 敬 語 も で き る。 タ ー ン テ イ キ ング,重要な情 報 の ハ イ ラ イ トの仕方,間の 取り方,あいづ ち な ど が 巧 み にできる。 会 話 全 体 が 滑 らか 上 級 主 な ス ピ ー チ レ ベ ル が 使 え る。敬語は部分 的 コ ン ト ロ ー ルだけ。 相づち,言い換 えができる。 と き ど き つ か え る こ と は あ るが,一人でど んどん話せる。 超級 意見の裏付けができる,仮説が立てられる。具体的な話題も 抽象的な話題も論議できる。言語的にも不慣れな状況に対応 できる。 上級 主な時制/アスペクトを使って叙述,描写で きる。複雑な状況に対応できる。 中級 自分なりに言語が使える,よく 知っている話題について簡単 な質問をしたり答えたりでき る。単純な状況や,やりとりに 対処できる。 初級 コミュニケーシ ョンができるの は,決まり文句, 暗記した語句,単 語の羅列,簡単な 熟語でのみ。 ― 3 ― 中 級 常 体 か 敬 体 の ど ち ら か が 駆 使できる。 相づち,言い換 え に 成 功 す る のはまれ。 つ か え る こ と が多いし,一人 で 話 し つ づ け る こ と は 難 し い。 初 級 暗 記 し た 待 遇 表 現 だ け が で きる 語 用 論 的 能 力 はゼロ。 流暢さはない。 (牧野他,2001) ACTFL-OPI(以下 OPI)は,文法の正確さなどに 限らず,社会言語学的能力に必要な文化知識や語用 運用能力として示されているコミュニケーション・ ストラテジーをも測定基準に入れ,多面的な角度か ら言語運用能力を測ろうと試みている。 インタビューは,テスターと被験者が一対一で15 分~30 分行う。導入部分では,あいさつや軽い話か ら始め,その後ロールプレイを2回程行い,最後に インタビュー全体をおさめる会話を行って終結する。 導入部分で被験者のレベルが初級だと判明すれば, ロールプレイを行う必要はないため,15 分程度でイ ンタビューは終了するが,どのレベルであっても最 長 30 分を超えてはいけない。テスターは,ACTFL が作成した中級,上級,超級のロールプレイのタス クが書いてあるロールプレイカードセットを準備し, 導入部分で被験者のレベルがどの級にあたるかを判 定した後,使用するカードを決める。最初のロール プレイでは被験者の能力の最低ラインを定め,次の ロールプレイで能力の最高ラインを見つけ,最終的 なレベルを判定するのが通常の過程である。 インタビューはすべて録音され,テスターは終了 後に録音を聞き直し,ガイドラインに照らしながら, 被験者の口頭運用能力がどのレベルにあるかを判定 していく。 III 岡山大学で実施した OPI について 1 調査時期・対象・方法 岡山大学言語教育センター日本語系では,2012 年 2月と7月の2度に分けてOPI を使用した調査を行 った。OPI の受験は,ACTFL に申請すれば行うこと ができる。この場合,2名のテスターが採点し,正 式な認定証が発行されることとなる。今回の調査は 時期,および費用面を考慮し, ACTFL の認定を受 けたテスター1名に依頼し,岡山大学内において OPI を行うこととした。OPI 実施後,学生1名につ きA4サイズ1枚に OPI の判定レベルと詳細なコメ ントをまとめた電子ファイルがテスターから送付さ れ,各学生には担当教員から同ファイルが渡された。 【調査実施時期と調査対象】 第1回目(2012 年 2 月 6 日~9 日)23 名 初級2 10 名 中国4名,アメリカ2名,ベトナム1名, タイ1名,オーストラリア1名, イギリス1名 中級入門 9名 中国1名,アメリカ4名,フランス3名, ドイツ1名 中級1 4名 中国3名,アメリカ1名 第2回目(2012 年 7 月 23 日~26 日)26 名 中級1 12 名 中国3名,アメリカ4名,ベトナム1名, フランス3名,ドイツ1名 中級2 10 名 中国4名,アメリカ3名,フランス2名, 韓国1名 上級1 4名 韓国3名,トルコ1名 いずれの調査も学期末に行った。第1回目の調査 では,「初級2」と「中級入門」の学生は全員,「中 級1」は希望者のみがインタビュー試験を受けた。 「初級2」のみインタビューの試験結果が期末評価 に含まれている。第2回目の調査では,「中級1」の 学生は当日1名の欠席を除き全員が受験,「中級2」 も全員,「上級1」は希望者のみが受験した。インタ ビューの試験結果は期末評価に含まれていない。時 間的制約により「初級1」と「上級2」クラスのイ ンタビューは実施できなかった。 【調査方法】 学生1名あたり45 分の調査時間を設けた。インタ ビュー試験を20 分~30 分実施し,IC レコーダーに 録音した。残り時間はテスターによる調整及びデー タ整理に充てた。テスターの負担を考慮し,実施人 数は1日最大8名とした。 第1回目の調査日と人数 2012 年 2 月 6 日 5名 2012 年 2 月 7 日 8名 2012 年 2 月 8 日 5名 2012 年 2 月 9 日 5名 第2回目の調査日と人数 2012 年 7 月 23 日 4名 2012 年 7 月 24 日 6名

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120 ─ 森岡 明美・坂野 永理・内丸 裕佳子   第2回目の調査日と人数 2012 年 7 月 23 日 4名 2012 年 7 月 24 日 6名 2012 年 7 月 25 日 8名 2012 年 7 月 26 日 8名 2 調査結果  表4はOPI の判定結果を履修科目ごとに人数でま とめたものであり,図2から図6は各クラスにおける OPI のレベル判定結果の割合をまとめたものである。  全学日本語コースの「初級2」クラス履修生は全員 が「中級-下」または「中級-中」と判定された。際立っ た結果は,「中級1」クラス履修生の分布がOPI の「中 級-中」に集中していることである。その他4クラ スの履修生のレベルが分散しているのに対し,顕著 な違いが見られる。  第1回目,第2回目の調査を2011 年度後期,2012 年度前期に行ったことから,2回連続してインタ ビュー試験を受けた学生が11 名いた。学生 11 名の OPI の判定結果は以下のとおりである。 【OPI の判定結果が向上した学生】4名 中級-下 → 中級-中 2名 (中級入門から中級1へ進級2名) 中級-中 → 中級-上 2名 (中級1から中級2へ進級2名) 【OPI の判定結果に変化なし】7名 中級-中 → 中級-中 3名 (中級入門から中級1へ進級2名,中級1から中 級2へ進級1名) 中級-上 → 中級-上 3名 (中級入門から中級1へ進級2名,中級入門から 中級2へ進級1名) 上級-下 → 上級-下 1名 (中級入門から中級1へ進級1名)  第1回目の調査で「中級-下」と判定された学生は, 第2回目の調査で結果が上がっている。一方,「中級 -中」以上のレベルでは,判定結果が向上した学生 は2名で,他は変化が見られなかった。

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2012 年 7 月 25 日 8名 2012 年 7 月 26 日 8名 2 調査結果 表4はOPIの判定結果を履修科目ごとに人数でま とめたものであり,図2から図6は各クラスにおけ るOPIのレベル判定結果の割合をまとめたものであ る。 表4 履修科目ごとのOPIレベル別人数 OPIレベル 履修 科目名 (受験者数) 中級 上級 下 中 上 下 中 初級2(10名) 4 6 中級入門(9名) 2 3 3 1 中級1(16名) 11 4 1 中級2(10名) 5 5 上級1(4名) 1 1 2 図2 OPIレベル(初級2) 図3 OPIレベル(中級入門) 図4 OPIレベル(中級1) 図5 OPIレベル(中級2) 図6 OPIレベル(上級1) 全学日本語コースの「初級2」クラス履修生は全 員が「中級-下」または「中級-中」と判定された。 際立った結果は,全学日本語コースの「中級1」ク ラス履修生の分布が,OPIの「中級-中」に集中して いることである。その他4クラスの履修生のレベル が分散しているのに対し,顕著な違いが見られる。 第1回目,第2回目の調査を2011年度後期,2012 年度前期に行ったことから,2回連続してインタビ ュー試験を受けた学生が11名いた。学生11名のOPI の判定結果は以下のとおりである。 【OPIの判定結果が向上した学生】4名 中級-下 → 中級-中 2名 (中級入門から中級1へ進級2名) 中級-中 → 中級-上 2名 (中級1から中級2へ進級2名) 【OPIの判定結果に変化なし】7名 中級-中 → 中級-中 3名 (中級入門から中級1へ進級2名,中級1か ら中級2へ進級1名) 中級-上 → 中級-上 3名 (中級入門から中級1へ進級2名,中級入門 から中級2へ進級1名) 上級-下 →上級-下 1名 (中級入門から中級1へ進級1名) 第1回目の調査で「中級-下」と判定された学生 は,第2回目の調査で結果が上がっている。一方, 「中級-中」以上のレベルでは,判定結果が向上し た学生は2名で,他は変化が見られなかった。 中級-下 40% 中級-中 60% 中級-下 22% 中級-中 33% 中級-上 33% 上級-下 11% 中級-中 69% 中級-上 25% 上級-下 6% 中級-中 50% 中級-中 50% 中級-上 25% 上級-下 25% 上級-中 50%

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2012 年 7 月 25 日 8名 2012 年 7 月 26 日 8名 2 調査結果 表4はOPIの判定結果を履修科目ごとに人数でま とめたものであり,図2から図6は各クラスにおけ るOPIのレベル判定結果の割合をまとめたものであ る。 表4 履修科目ごとのOPIレベル別人数 OPIレベル 履修 科目名 (受験者数) 中級 上級 下 中 上 下 中 初級2(10名) 4 6 中級入門(9名) 2 3 3 1 中級1(16名) 11 4 1 中級2(10名) 5 5 上級1(4名) 1 1 2 図2 OPIレベル(初級2) 図3 OPIレベル(中級入門) 図4 OPIレベル(中級1) 図5 OPIレベル(中級2) 図6 OPIレベル(上級1) 全学日本語コースの「初級2」クラス履修生は全 員が「中級-下」または「中級-中」と判定された。 際立った結果は,全学日本語コースの「中級1」ク ラス履修生の分布が,OPIの「中級-中」に集中して いることである。その他4クラスの履修生のレベル が分散しているのに対し,顕著な違いが見られる。 第1回目,第2回目の調査を2011年度後期,2012 年度前期に行ったことから,2回連続してインタビ ュー試験を受けた学生が11名いた。学生11名のOPI の判定結果は以下のとおりである。 【OPIの判定結果が向上した学生】4名 中級-下 → 中級-中 2名 (中級入門から中級1へ進級2名) 中級-中 → 中級-上 2名 (中級1から中級2へ進級2名) 【OPIの判定結果に変化なし】7名 中級-中 → 中級-中 3名 (中級入門から中級1へ進級2名,中級1か ら中級2へ進級1名) 中級-上 → 中級-上 3名 (中級入門から中級1へ進級2名,中級入門 から中級2へ進級1名) 上級-下 →上級-下 1名 (中級入門から中級1へ進級1名) 第1回目の調査で「中級-下」と判定された学生 は,第2回目の調査で結果が上がっている。一方, 「中級-中」以上のレベルでは,判定結果が向上し た学生は2名で,他は変化が見られなかった。 中級-下 40% 中級-中 60% 中級-下 22% 中級-中 33% 中級-上 33% 上級-下 11% 中級-中 69% 中級-上 25% 上級-下 6% 中級-中 50% 中級-中 50% 中級-上 25% 上級-下 25% 上級-中 50%

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121 ─ 全学日本語コースレベル設定とACTFL-OPI 3 全学日本語コースとOPI との対応  第一章で述べたように,今回の調査の目的は,全 学日本語コースの各レベルとACTFL 言語運用能力ガ イドラインのレベルとの対応表を作成し,コースの 日本語のレベルをわかりやすく提示することにある。 今回の調査で得られたOPI の結果を基に,全学日本 語コースの各レベルを修了した場合,OPI のどのレ ベルにあたるかの対応表の作成を試みた。  表4からは,日本語のレベルが上がるにつれ,OPI のレベルも上がる傾向があることがわかる。しかし ながら,各レベルの学生のOPI のレベルにはばらつ きがあることも見て取れる。ばらつきの原因の一つ としては,コースに初めて参加する履修者に行うク ラス分けの試験に話すテストはなく,聴解・文法テ ストであることが挙げられる。履修者のレベル決定 には話す能力は考慮されないため,話す能力が上の 者が上のレベルに振り分けられているとは限らない。 また,授業は「読む・書く・聞く・話す」の四技能 の総合的な育成を目指すクラスであり,話す力を伸 ばすことのみを目的としてはいない。一般的に日本 語の授業では,上のレベルに行くにつれ,読解が多 くなる傾向がある。このため,話す練習に重点が置 かれず,履修者の話す能力があまり伸びないという ことも考えられる。  今回の調査結果を基に全学日本語コースの各科目 の終了時点のレベルとOPI のレベルとの対応を表5 のように設定した。「初級2」については,「中級−中」 と判定された者も多かったが,「初級2」というレベ ルも考慮し,授業終了時点でのレベルは「中級−下」 が妥当と判断した。「中級入門」の受験者は「中級−下」 から「上級−下」までばらつきが大きかったが,中級 の下のレベルであることを考え,「中級−下〜中」と した。「中級1」は最も多くの受験者が判定されたレ ベルの「中級−中」とした。「中級2」についても受 験者の判定されたレベルである「中級−中〜上」とし, 「上級1」については,「上級−下〜中」とした。ただし, 「上級1」は受験者数が少ないため,今後受験者を増 やして確認する必要があると考える。今回設定した レベル対応は,一つの目安である。このため,学生 によりある程度のレベルのばらつきが生じるのは想 定されることであり,問題ではないと思われる。なお, 全学日本語コースは2013 年 4 月に大幅な改編を行い, 科目名も変更された。表の左は現在の科目名,その 右が旧科目名である。 Ⅳ.おわりに  本調査では,ACTFL 言語運用能力ガイドラインに 沿ったインタビュー試験であるOPI を実施し,その 結果を基に全学日本語コースのクラスの終了時点で のレベルとの対応表を作成した。  今回の調査ではサンプル数が少なかったことが問 題点の一つとして挙げられる。課題としては,それ ぞれのレベルの受験者を増やして調査を継続する必 要がある。また,今回調査できなかった「日本語1(旧 初級1)」と「日本語7(旧上級2)」の履修者への 調査も実施し,「初級1」から「上級2」までの全7 レベルとの対応表を作成することも必要である。  今後は,ある程度のデータを集めて,対応表の見 直しを行った後,対応表を公開していく予定である。 これにより,岡山大学全学日本語コースの各クラス のレベルが岡山大学に留学する学生やその関係者に わかりやすく提示でき,交換留学をする者にとって は,学生の所属する大学の日本語クラスとの連携や 日本語科目の単位認定などへの一助となると考える。 参考文献:

ACTFL (2012a). ACTFL Proficiency Guidelines 2012, http://www.actfl.org/publications/guidelines-and-manuals/actfl-proficiency-guidelines-2012 (2013 年 12 月 26 日閲覧 )

ACTFL (2012b). Oral Proficiency Interview Familiarization Manual 2012, http://www.languagetesting.com/wp-content/ uploads/2012/07/OPI.FamiliarizationManual. pdf (2013 年 12 月 26 日閲覧 ) 牧野誠一・鎌田修・山内博之・齋藤眞理子・荻原稚 佳子・伊藤とく美・池崎美代子・中島和子(2001) 『ACTFL-OPI 入門―日本語学習者の「話す力」 を客観的に測る―』アルク 内丸裕佳子・坂野永理・森岡明美 (2013) 「岡山大学全 学日本語コースのカリキュラム改編について」『大 学教育研究紀要』第9号,pp.79-88.

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3 全学日本語コースとOPI との対応 第一章で述べたように,今回の調査の目的は,全 学日本語コースの各レベルと ACTFL 言語運用能力ガ イドラインのレベルとの対応表を作成し,コースの 日本語のレベルをわかりやすく提示することにある。 今回の調査で得られたOPI の結果を基に,全学日本 語コースの各レベルを修了した場合,OPI のどのレ ベルにあたるかの対応表の作成を試みた。 表4からは,日本語のレベルが上がるにつれ,OPI のレベルも上がる傾向があることがわかる。しかし ながら,各レベルの学生のOPI のレベルにはばらつ きがあることも見て取れる。ばらつきの原因の一つ としては,コースに初めて参加する履修者に行うク ラス分けの試験に話すテストはなく,聴解・文法テ ストであることが挙げられる。履修者のレベル決定 には話す能力は考慮されないため,話す能力が上の 者が上のレベルに振り分けられているとは限らない。 また,授業は「読む・書く・聞く・話す」の四技能 の総合的な育成を目指すクラスであり,話す力を伸 ばすことのみを目的としてはない。一般的に日本語 の授業では,上のレベルに行くにつれ,読解が多く なる傾向がある。このため,話す練習に重点が置か れず,履修者の話す能力があまり伸びないというこ とも考えられる。 今回の調査はサンプル数の少なさも考慮すべき問 題ではあるが,調査結果を基に全学日本語コースの 各科目の終了時点のレベルとOPI のレベルとの対応 を表5のように設定した。「初級2」については,「中 級−中」と判定された者も多かったが,「初級2」と いうレベルも考慮し,授業終了時点でのレベルは「中 級−下」が妥当と判断した。「中級入門」の受験者は 「中級−下」から「上級−下」までばらつきが大きか ったが,中級の下のレベルであることを考え,「中級 −下〜中」とした。「中級1」は最も多くの受験者が 判定されたレベルの「中級−中」とした。「中級2」 についても受験者の判定されたレベルである「中級− 中〜上」とし,「上級1」については,「上級−下〜中」 とした。ただし,「上級1」は受験者数が非常に少な いため,今後受験者を増やして確認する必要がある と考える。このレベル対応は,一つの目安であるた め,学生によりある程度のレベルのばらつきが生じ るのは大きな問題ではないと思われる。なお,全学 日本語コースは2013 年 4 月に大幅な改訂を行い,科 目名も変更された。表の左は現在の科目名,その右 が旧科目名である。 表 5 全 学 日 本 語 コ ー ス とOPIと の 対 応 科 目 名 旧 科 目 名 OPIレベル 日 本 語 2 初級2 中級—下 日 本 語 3 中級入門 中級—下~中 日 本 語 4 中級1 中級—中 日 本 語 5 中級2 中級—中~上 日 本 語 6 上級1 上級—下~中 IV おわりに 本調査では,ACTFL言語運用能力ガイドラインに 沿ったインタビュー試験であるOPIを実施し,その結 果を基に全学日本語コースのクラスの終了時点での レベルとの対応表を作成した。 今回の調査ではサンプル数が少なかったことが問 題点の一つとして挙げられる。課題としては,それ ぞれのレベルの受験者を増やして調査を継続する必 要がある。また,今回調査できなかった「日本語1 (旧初級1)」と「日本語7(旧上級2)」の履修者 への調査も実施し,「初級1」から「上級2」までの 全7レベルとの対応表を作成することも必要である。 今後は,ある程度のデータが集まり,対応表の見 直しを行った後,対応表を公開していく予定である。 これにより,岡山大学全学日本語コースの各クラス のレベルが岡山大学に留学する学生やその関係者に わかりやすく提示でき,交換留学をする者にとって は,学生の所属する大学の日本語クラスとの連携や 日本語科目の単位認定などへの一助となると考える。 参考文献:

ACTFL (2012a). ACTFL Proficiency Guidelines 2012, http://www.actfl.org/publications/guidelines-and-ma nuals/actfl-proficiency-guidelines-2012 (2013 年 12 月26 日閲覧)

ACTFL (2012b). Oral Proficiency Interview Familiarization Manual 2012, http://www.languagetesting.com/wp-content/upload s/2012/07/OPI.FamiliarizationManual.pdf (2013 年 12 月 26 日閲覧) 牧野誠一・鎌田修・山内博之・齋藤眞理子・荻原稚 佳子・伊藤とく美・池崎美代子・中島和子(2001) ACTFL-OPI 入門―日本語学習者の「話す力」 を客観的に測る―』アルク 内丸裕佳子,坂野永理,森岡明美 (2013). 「岡山大

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122 ─

森岡 明美・坂野 永理・内丸 裕佳子

 i学部の正規留学生を対象とした日本語科目は,教

養教育の外国語科目として開講されている。

Reevaluating the Seven Levels of the Japanese Language Classes Based on the ACTFL-OPI Akemi MORIOKA*1 Eri BANNO*1 Yukako UCHIMARU *1

Abstract

The Japanese Language Course at Okayama University offers 7 levels of classes from Beginner to Advanced. In order to confirm the appropriateness of these 7 levels, they were compared to the levels of the ACTFL-OPI (Oral Proficiency Interview of the American Council for the Teaching of Foreign Languages). The ACTFL-OPI is a speaking test, which entails an interview by a certified tester. This is a report of the procedure and results of the OPI, which was conducted on the students who were enrolled in our Japanese Language Program.

Keywords: ACTFL, OPI, achievement goals *1  Language Education Center

参照

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