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c. 物流コストが安価で かつ信頼性が向上している 貨物の取扱いについては 日本のクオリティにははるかに及ばないものの その利便性はほぼ日本と同じ スピードの点では 複数の大手配送業者は自社の航空機を保有するなど各社力を入れており 例えば中国北部のハルピン市郊外の店から購入した際には 上海の筆者まで

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中国代表ニュースレター

(H28.6)

中国のネット通販事情と個人輸入について

所得の増加と共に、中国では国民の購買意欲も年々増加しています。近年では、贅沢品の消費額で中 国は世界一となり、また中国からの旅行者による「爆買い」という言葉も一般的なものとして定着しました。 豊かになるにつれて、より安全なもの・より高品質なものへとニーズがシフトしている中国で、今回はその 購買行動の中で大きな役割を担うネット通販と個人輸入について報告します。 1. 中国でのネット通販事情 中国では、急激な購買力の向上に伴い、小売部門が急速に発展している。例えば、過去5年の小売売 上高は 2012 年 3 月・12 月の 15.2%増(前年同月比)を筆頭として、常に 10%増以上の成長を続けてい る。株価の下落など、経済の不調が囁かれ始めた 2015 年でも、依然 10.0%~11.1%の増加を見せた。 実際、上海などの大都市では、高級店を始めとした巨大なショッピングモールが数多くあり、まだ引き続 き増え続けている。しかし、広大な国土全体で見れば実店舗の拡大は需要の伸びになかなか追いつけ ていないのが実情である。この様な中で、消費の拡大に大きく貢献しているのがネットショッピング。 日本では、小売の主体が「近所の零細小売店→駅前立地のスーパーマーケット→郊外立地の大型店 →ネットショッピング」と移り変わっていった。中国では、実店舗型の小売は依然として零細小売店型が 主流で、大都市でも未だに昔の秋葉原や大阪日本橋の様な、小さい小売店が集積するレベルが主流。 蘇寧や国美といった大型家電量販店でも、店内はブランド別に商品が纏められており、いわば各ブラン ドの小売店が集積した様なスタイルとなっている。そこで、一足飛びにネット時代に突入したため、その 利便性は実店舗とは比べるべくもなく、ネットショッピングは日本以上に普及している。 中国では、世界最大といわれるタオバオの他、京東、アマゾン、蘇寧易購、1号店など数多くのショッピン グサイトがある。全体の小売売上高の中でのネットショッピングのシェアは 10%以上といわれており、日本 や米国のほぼ 2 倍に達する。 では、この巨大な市場で、対面取引ではないネットショッピングが何故これだけ急速に普及したのか?そ れには、利便性だけではなく、中国のネットショッピング特有の事情を考える必要がある。以下、最大の ショッピングサイト・タオバオ(淘宝網)を例に考察したい。 a. 実店舗の発展が追いついておらず、実店舗にアクセスできない購買層が多数存在する。 冒頭で述べた様に、実店舗がまだ十分に発展していない。大都市であっても、複数の商品が欲しい なと思った時、その商品に応じて違う店をめぐる必要がある。まして、地方の農村部では、実店舗で は日用品・生活必需品も最低限のものしか手に入らず、大きな都市に出るにも車で数時間という事 も普通で選択肢は非常に狭い。 b. スマートフォンが普及しており、どこでもネットにアクセスができる。 日本とは異なり、携帯電話のほぼ全てがスマートフォン。国産の安価なスマートフォンも数多く、携帯 電話売り場でもいわゆる「ガラケー」は殆ど売られていない。この為、若年層から老年層まで、誰でも スマートフォンを使って、常時手軽にネットショッピングを利用できる環境にある。

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c. 物流コストが安価で、かつ信頼性が向上している。 貨物の取扱いについては、日本のクオリティにははるかに及ばないものの、その利便性はほぼ日本 と同じ。スピードの点では、複数の大手配送業者は自社の航空機を保有するなど各社力を入れて おり、例えば中国北部のハルピン市郊外の店から購入した際には、上海の筆者まで(2000Km 超)配 送にかかった日数は中 2 日であった。一方で、送料は一般的な大きさの荷物で 6~15 元(100~250 円程度)と非常に安価であり、送料込みの商品も多い。伝票番号でのリアルタイムトラッキングも可能 である。 d. 独自の決済方法を確立し、決済の安全性を高めた。 偽物や配送時の商品破損などが多いこの国で、日本の様にクレジットカード決済や振込みによる前 払いはリスクが大きい。その為、タオバオでは運営会社がアリペイ(支付宝)というエスクローを行う会 社を運営している。購入者は、購入の際に代金をアリペイに預託し、商品受領後に購入者が同意す るとアリペイから店側に支払われる。一方、預託金の購入者への返金については店側の同意が必 要となる。何か問題が起こった場合はアリペイに代金を預託したまま店舗側と交渉・解決し、また直 接解決が出来ない場合はタオバオが介入して解決するシステムとなっている。 このシステムにより、購入者・店側の双方が安心して売買ができる様になっている。このアリペイは、 タオバオのみならず、他のネットショッピングでも広く決済機能として利用されている。 e. 評価制度を導入。利用者は店舗の評価を重視し、また高評価を得る為に店舗も誠実に取引を行う。 独自の決済方法を導入しても、やはり偽物が多く、店も玉石混交するネットショッピングでは、購入者 は店の選択には非常に慎重である。その中で、店舗を選ぶ重要な基準が「店の評価」で、評価のペ ージでは過去の取引件数や購入者からのコメントが全て見られる様になっている。 筆者がネットショッピングを利用し始めた当初、中国人の同僚より得たアドバイスが「極端に安い商品 は偽物の可能性高いので避ける。また、評価は必ずチェックし、評価の高いところから買う。評価が 高くても、過去の取り引数が少ない場合は(サクラが高評価を付けている可能性あるので)避けるべ き」というものだった。 実際、これだけ巨大なショッピングサイトとなると、同じ商品でも数多くの店が販売しており、選択肢 は多数ある。その中で評価は店選びの重要なファクターであり、店側も評価を落とすと商売に大きく 影響するため、高評価を得るべく努力し、店のクォリティーの向上に繋がっている。 2. 中国での個人輸入事情 さて、この様なネットショッピングの状況に、最近新たなメニューが加わった。それが、「海外からの直接 輸入」である。商品を海外から個人が直接購買・輸入することができるショッピングサイトが急増しており、 既にこのネットによる個人輸入について「ハイタオ(海淘)」という言葉が定着している。 海外商品の購入としては、香港(中国の一部ではあるが、通貨や税制など別制度となっており、販売さ れている商品やその価格も本土とは完全に異なる)が先駆けといえる。香港で購入した粉ミルクなどの商 品を個人の手荷物として深せん(香港と陸路で繋がっている)に持ち込み、国内向けに販売する業者が 数多く存在し、香港側の国境近くの町には中国人業者向けの卸売街が形成された程であった。これは、 深せんの住民は特例として自由に香港に入境できるという特例を利用した、いわばヤミ輸入である。 しかし、香港側で商品が払底するなど大きな問題となり、深せん市民の香港入境回数が制限されたり、 販売個数の制限や税関での検査強化などにより、最近は以前と比べると下火になってきている。 一方で、中国側での購買意欲は衰えることはなく、最近では対象が香港以外の海外に拡大している。日 本でも「爆買い」という言葉が定着し、実際に店で大量の商品を購入する中国人を目の当たりにされたこ ともあると思うが、実は旅行者ではなく、中国からの注文を受けて代理購入し、中国向けに発送する業者 (といっても個人であることが殆ど)であるケースも多い。

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この背景には、複数の要因が考えられる。 a. 中国の人々にとって、海外の商品は安全・高品質という印象が定着している。 b. 最近の人民元の値上がりにより、中国国内の商品が割高になっている。 c. 中国の人々が気軽に海外に出かける様になり、海外の商品をより身近に感じる様になっている。 d. 世界各国に中国人の「個人宛輸出業者」が存在、外国語や国際決済の知識なしで購入できる。 e. 個人による輸入は、正規の業者による輸入と比べて税率が低く、購入し易い。 この様な状況で、近年急速に個人輸入が増加しており、これに対して政府や業者も新たな対応を取る 様になってきた。 3. 個人輸入でのネットの役割と、政府の対応 前章で述べた様に、ここ数年でネットを通じた個人輸入が大幅に増えている。これに対応して、政府や 業者側も新たな対応を見せている。 まずは、以前ニュースレターにて報告した、「自由貿易試験区」が挙げられる。これは、中国国内(最初 は上海、後に広東、福建、天津に拡大)にフリートレードゾーンを設け、海外との商品や資金の取引の規 制を大幅に緩和するというもの。この規制緩和には、個人輸入を念頭においたものも含まれており、この 個人輸入への規制緩和は、試験区以外の主要都市にも越境電子商取引(越境 EC)の実験保税区とし て拡大している(自由貿易試験区や実験保税区は以下”試験区”と総称)。 具体的には、通常の輸入であれば 「業者が纏めて買付・輸送→纏めて通関→業者が国内保管→個別に個人に販売・発送」 という流れとなるが、試験区では保税のステータスで保管が可能。よって、試験区を利用することにより、 流れが以下の様に変わる。 「業者が纏めて買付・輸送→保税で保管→注文に応じて個別通関(実際には纏めて事前申請)→ 個別に販売・発送」 ここで、一番の大きな違いは通関の順番。前者では業者が纏めて輸入する形となるので、通常の関税な どが課せられるのに対して、後者の場合は個人の輸入として取り扱われ、簡易な課税で済む。体裁は個 人輸入となり低税率が適用されるが、実際には販売も発送も国内であり、通常のネットショッピングと何ら 変わらないので、このタイプのネットショッピングが最近流行となっている。加えて、この制度を利用して 最近増えているのが街中に実店舗を構えつつ、試験区から配送を行うという店。商品の棚に QR コード が表示され、その場でスマートフォンを使ってネット注文ができる様になっており、後日試験区より個人輸 入の形で配送されるというもので、実際の商品を手に取ることができ、店員とのやり取りも実店舗同様で あり、安心感がある。これは、試験区の制度とスマートフォンを利用した、ネットと実店舗の融合という新し いビジネスモデルである。

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(上海市中心部の輸入品販売店-上海自由貿易試験区がある場所の地名「外高侨」を冠している) この様に、旅行者の海外での爆買いも含めた個人輸入が増加するのは、国民が豊かになったことが理 由であり、今後もその需要は増えていくと見込まれる。一方で中国政府としては、これが国内消費や国 産品の購買を阻害し、かつ中国国内の外貨の流出に繋がることも懸念材料の一つといえる。国民の要 求を満たしつつ、国内産業や経済を保護するという相反する目的の狭間で、政府もどう対応するのかを 試行錯誤している状況といえる。 上述の試験区の試みは、個人輸入を後押しする形となったが、一方で、加熱する個人輸入を抑える様 な対応(税制改定)も最近打ち出している。 従来は、通常の輸入の場合は関税と輸入増値税が課される一方、個人の手荷物や郵便物には低廉な 行郵税のみが課された。上述の個人輸入(試験区を利用したものを含む)は後者に分類されていた。 これが、本年 4 月 8 日より、試験区を利用した業者→個人の取引(以下”BtoC 取引“)は一般の輸入と同 じ扱いとなり、関税・増値税・輸入消費税が課されることとなった。但し、ほぼ同時に税率の改正が行わ れ、BtoC 取引においては、別途発表されたホワイトリストに掲載された商品に対して軽減措置が設けら れた(その他、一回の購入で 2,000 元、一購入者あたり年間で 20,000 元の上限あり・また、軽減税率の 適用には原産地証明が必要)。 結果として、小規模であればあまり影響はないものの、ホワイトリストによる制限と 1 回あたり・年間の制限 が導入され、大量の輸入や望ましくない品目は大きく制限されることとなった。 例:粉ミルクを BtoC 取引で輸入した場合、従来は価格の 10%の行郵税が課税された。新制度では、本 来関税 5%と輸入増値税 17%(消費税はこの品目は課税対象外)が適用されるが、この商品はホワ イトリストに掲載されているので、1回あたり・年間合計の限度額の範囲内であれば関税 0%、輸入増 値税 11.9%の低減税率が適用される。 取引形態 旧 新 個人輸入 (自身での持込、個人間での取引、 海外の業者からの購入) 試験区を使った業者→個人の取引 (BtoC取引) 関税、増値税、消費税(但し、ホワ イトリスト商品は一定額の限度内で 関税を免除、増値税・消費税は70% のみ徴収) 通常の輸入 関税、増値税、消費税 同左 行郵税(日用品の10%から酒・たば この50%まで/納税額合計が50元 未満は免税) 同左

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既に新制度の運用は始まっているが、既に海外からの買付が終わっている商品については、原産地証明 の取り寄せが困難なケースが多く、低減税率の適用ができない事態が発生。これを受けて、原産地証明の 添付は当面不要となるなど、まだ混乱は続いており、今後もルールが変更となる可能性がある。また、一部 業者は実際に海外に倉庫を設けて発送を行い、BtoC 取引から純粋な個人輸入に切り替える動きもある。 政府や業界も試行錯誤を続けている状況であり、その影響は日本の物流にも及ぶ可能性がある。 4. 終わりに 中国でのネットショッピングは、日本以上に普及しており、また税制や為替の変動など、環境の変化に応じ て新たなビジネスモデルも発生しており、今後も劇的に進化を遂げるだろう。 これは、隣国である日本にも大きな影響を与える可能性がある。 実際、昨年の中国からの訪日客は約 500 万人だが、これは中国の全人口 13 億人のわずか 0.4%でしかな い。たったそれだけの人の消費でも、日本の小売業に大きな影響を与えている。今後、インターネットを利 用した輸入がより普及すれば、日本の 10 倍の人口が日本の小売・物流業の直接マーケットとなる可能性 があり、その影響は計り知れない。日本では、中国におけるインターネット事情は情報の統制などのネガテ ィブな面しか報道されず、なかなか実情が見えないが、その動向を注視していれば、大きなビジネスチャン スを掴める可能性があるだろう。

参照

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