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原野閻著

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(1)

る現代的な要請の現れ﹂であり︑行政の市民化を怠ってきた行

今日︑市民と行政︑市民と国政の法関係を憲法適合的に再構 築するという﹁行政法改革﹂の課題が提起されている︒すなわ

ち情報公開法及び行政手続法は︑﹁従来は行政が専属管轄とする

裁量領域と考えられてきた領域に︑﹃適正手続﹄の権利︵あるい

は法原則︶と﹃知る権利﹄︵あるいは︑国民主権の原理︶の観点

にもとづいて︑市民の参加を認め行政の市民化をはかろうとす

九 九 七 年

法﹂と捉えられることから︑行政法改革について検討をすすめ

ようという奥平教授の提案に全面的に賛成されている︵奥平・

塩野﹁︿対談﹀情報公開法制定にむけて﹂法律時報六九巻一号ニ

三頁︶︒というのは既に塩野教授は︑行政手続法が法の予期する

ように適用されるならば︑

また地方分権および情報公開が制度 的に確立し︑現実に期待どおりの運用がなされるなら︑日本の 行政スタイルは極めて大きな変革を被る︑と述べられていたか

は じ め に

た塩野宏教授も︑行政法を﹁憲法的価値の実現の技術に関する 政法も︑改革が必要である︑と奥平康弘教授は述べられる︒ま

五律文化社︑

原 野 閻 著

﹃ 行 政 の 公 共 性 と 行 政 法 ﹄

村 上

17‑4 ‑765 (香法'98)

(2)

自己の基本的な関心事とすべきであるのに︑今まで十分にそう

であったとは言えない︑とされる︒そこで﹁全体としての行政

法理論は︑十分に健康な状態にあると言えるだろうか﹂︑﹁行政

何であるかを真剣に考えなおすことが求められているのではな

いだろうか﹂と課題が提起される︒行政法とは何であるかを考

え直す二つの方向として︑新たな公法私法区分の可能性を模索

するという方向と︑行政法の規律対象たる行政の概念について

再検討を加える方向が提示され︑前者の方向に左担することは 法研究者は何をなすべきか﹂と自問され︑﹁そもそも行政法とは し実現することであると理解するならば︑行政法はそのことを 参

照︶

らである︵塩野﹁行政法の

Um

br

uc

h ﹂季刊行政管理研究七三号

一頁以下参照︶︒この塩野教授の論文を参照して︑阿部泰隆教授

も︑行政手続法による行政の透明化︑規制緩和の動き︑地方分

権の推進︑官僚組織の改革︑政治と官の関係の見直し︑情報公

開法などは︑行政と国民の関係︑行政の法システムを大きく変

える﹁まさに︑行政法の根本的変革である﹂と書いておられる

︵阿部﹃行政の法システム山︹新版︺﹄有斐閣︑

一九九七年i頁

この奥平教授の発言を︑小早川光郎教授は行政法の現状を反

省する機会の一っと捉えられ︑﹁行政の市民化﹂の意味を︑市民

が行政に関して主要な役割を演ずるような行政のあり方を追求

として採用されたのは、室井•原野・福家・浜川編『現代国家 できず︑後者の行政概念の再検討︑たとえば政策の作成と政策の執行との区別の関連での行政概念の再検討は論じられてよいとされる︒したがって行政概念の再検討は︑﹁行政の市民化﹂との関係における行政法のあり方を考えるに当たっての重要な前提とみなされるまえて︑九

0

年代国家戦略の具体化としての行政法現家の展開

を︑価値論・権利論と結びつけることなく単純に肯定的に説明

し︑理論づけるかのごとき行政法理論を批判的に検討する必要

性を提起し︑部分的利益を受け入れ︑市民的生存権的公共性を

対置することが軽視されていることに注意を喚起し︑日本的制

度・慣行を憲法原理を具体化する方向で改編することを提起し

たことがある︒︵拙稿﹁九

0

年代﹃行政改革﹄と行政法学﹂法の

科学二六号︑七四頁以下参照︶︒

このように︑行政法改革が課題とされる時期に︑民主的行政

法学を代表する研究者の一人である原野態教授が︑待望の行政

法総論にかかわる著書﹃行政の公共性と行政法﹄を出版された

ことは︑大変時機にかなったことであると思われる︒

まず︑本書の書名が注目されなければならないであろう︒学

問的興味をきわめてそそる﹁行政の公共性﹂という言葉が書名 六

号︑

一頁

S

二頁参照︶︒なお評者は︑このような学界状況を踏 ︵小早川﹁行政法改革?﹂季刊行政管理研究七

一 四

17‑4‑766 

(香法

' 9 8 )

(3)

原 野 魃著『行政の公共性と行政法』[法律文化社、一九九七年](村上)

J

から

まず室井教授の公共性論を概観する︒

還暦記念論文集はあるが︑管見によれば︑原野教授の今回の著 書が初めてであると思われる︒本書は﹁行政の公共性に関する 室井教授の考えを参考にしてまとめた私なりの論文および学会

報告

であり︑室井教授の指導の下に行われた﹁共同研究の一

部分に他ならない側面を持つ﹂と原野教授によって評されてい

る︵

本書

はしがき︑二頁︶︒そこで室井力教授によって提唱さ

れ︑共同研究の中で検討されてきた行政の公共性論が︑原野教

授の著書の中でいかに展開•発展させられているかを学びとる

ことが︑行政の公共性論を理解したいと考えている評者にとっ

て大いなる関心事である︒また﹁全体を再検討することによっ

て︑自分が何のために行政法を研究したのかという問題に行き

当たるに違いない﹂︵同前︶とされていることから︑評者も行政

法研究者の一人として︑本書の書評を通してこのことを自問し そこで以下︑本書の内容に即して書評することにするが︑行

政の公共性論が室井教授によって提起された法学方法論である 公共性論の理解の仕方が論者によってニュアンスを異にすると

思われるので︑それぞれの﹁公共性論﹂の理解を検討する︒

らに公共性論の課題を確認した後︑本書の内容を紹介すること

つぎに行政の生に聞く﹄友人社︑

一九九三年八六頁参照︶︒

一 五

たい

と思

う︒

の行政の公共性論の展開の必要性を説﹂かれてきた

する

法律時報六三巻一号六頁以下︑睛山一穂﹁公共性分析の意義 の公共性分析﹂︹日本評論社︑

一九

0

年︺という室井力教授の

るが

室井力教授の行政の公共性論

室井教授の行政の公共性論については︑原野教授を始めとし

て︑多くの論者によってすでに的確な整理・検討がなされてい

︵たとえば浜川消﹁公法学における公共性の意義と課題﹂

と課題﹂法の科学一九号八五頁以下参照︶︑本書評にとっても欠

かすことのできない前提作業であるので︑以下概観することに

室井教授は︑﹁行政法の認識と実践のために︑つとに︑行政領

域論的考察とそれとリンクする形でのより一般的な命題として

︵室

井﹁

家の公共性とその法的基準」同•原野・浜川・福家編『現代国

家の公共性分析﹄七頁注四︶︒換言すれば行政の公共性論は︑﹁行

政領域論の発展形態として﹂議論されたものであった︵間田穆・市橋克哉・榊原秀訓編『ある行政法研究者の歩み~井力先

そこでまず︑行政領域論についてみると︑室井教授はつぎの

ように定義づけられる︒﹁法律による行政﹂の原理および公法と

私法との概括的法教義学的二分論に基づく行政法・行政法理論

にす

る︒

17~4~767 (香法'98)

(4)

房 ︑

︵同

前︑

三六

頁︶

政法現象の新しい展開によって維持できなくなっているという

認識に立って︑﹁どのような権利利益が︑どのようなその担い手

のために保障され︑それが肥大する行政権とどのようなかかわ

り合いにあるのかを分析することとの関連において︑あれこれ

の行政権をめぐる法過程の論理構造を析出しつつ︑行政権にか

法的に描き出すことによって︑現代行政法の認識と実践に対す

る適切な接近を探らんとするものである﹂︵室井﹃行政改革の法

理﹄

学陽

書房

係の複合的機能の中でのみ正当に論じられるのであって︑行政

されなければなら﹂ず︑﹁各種行政領域におけるそれぞれに固有

の行政価値の評価を行なう﹂︵室井﹃現代行政法の原理﹄勁草書

一九七三年一四頁︶︒行政領域論は︑﹁行政活動とその法的

仕組みの論理構造の客観的分析を各種行政領域について行い︑

そのことによって︑行政法

1 1 行政権にかかわる法の市民法との

差異を個別的具体的に認識・検討しつつ︑行政権と国民各層の

権利自由との緊張関係における各種行政法的価値判断の合理的

根拠を導﹂くものである 作用法の一般論は︑常にその具体的な行政領域への対応が考慮

基準は︑人権尊重主義︑民主主義および平和主義であり︑国際 つぎに︑行政法学からの行政の公共性論は︑室井教授によっ

て以下のように説明されている︒臨調行革の推進を中心とする

0

年代日本の現代法は︑まさに部分的利益を公益と偽装しつ

つ実現せんとする超市民的特権的公共性と︑近代市民国家にお

ける市民的公共性の現代国家における発展形態とも称すべき市

民的生存権的公共性とのせめぎ合いの中で展開している︒超市

民的特権的公共性のもっとも注目すべき特徴は︑人権論と民主

公共性を排して︑市民的生存権的公共性を実現するための作業

に取り組むことである︵﹃現代国家の公共性分析﹄一四頁以下参

そこで︑公共性論は︑諸利害の対立・矛盾を調整・克服し︑

市民的生存権的公共性確立のための立法論や解釈論を導くにあ

たっての法的基準を明らかにするところに︑その法律学的作業

的立憲国家である以上︑公共性を論ずる際の基準は︑法律学的

には︑憲法の中に見いだされなければならない︒公共性の法的

社会とのかかわりにおいてはさらに︑主権国家の原則が加えら

れる︒このうち︑人権尊重主義は︑公共性の実体的価値的側面

を意味する︒ここで求められるのは︑ の

重点

を見

いだ

す︵

同前

領域における行政作用は︑

もろもろの人権相互間に 一五頁参照︶︒日本の国家が国民主権

それぞれの領域に存する種々の法関照︶︒

一九八二年一九八頁以下参照︶︒したがって﹁各 主義論の欠如である︒そこで法律学の課題は︑超市民的特権的 かわる法の一般的特質と各種行政領域における具体的特質とを

カゞ

一方における憲法原理の転換︑他方における現代行政・行

一 六

17‑4 ‑768 (香法'98)

(5)

原 野 矧著『行政の公共性と行政法』[法律文化社、一九九七年](村上)

関係についての検討などが提起される 統制と行政法﹄日本評論社︑ 和•平和主義は欺脳的なものとならざるをえない、 る︒また逆に︑人権と民主主義の確保されないところでは︑平 件として確保された場合に︑ ある︒人権と民主主義は︑平和主義の原則がその一般的前提条 権の保障のための手続的制度的公共性︵例︑戦争の放棄︶でも いう実体的価値的公共性であるとともに︑他方で︑平和的生存 る︒平和主義は︑ 実体的価値的公共性ー目的を実現するための手段的公共性であ 的制度的︵技術的︶側面である︒この手続的制度的公共性は︑

したがって︑﹁現代行政に関する法治主義は︑国民主権憲法の

もとにおける行政の﹃公共性﹄を前提としつつ︑

いて

人権

保障

それらの本来の公共性を発揮でき

と︵

同前

その目的にお

その手段・手続において民主主義的諸原則・諸

制度の確立をその内容とするものである﹂︵室井﹃行政の民主的

一九八九年三頁︶︒具体的には︑行

政の公共性を論ずる場合の法律技術的な観点として︑積極行政 と消極行政の類刺的区別︑権力行政と非権力行政という行政手 法における区別︑負担行政と授益行政との行政内容における区 別︑事前行政手続の必要性の有無など︑及びそれら相互の相関

︵﹃現代国家の公共性分

一頁

\一

三頁

参照

︶︒ 一方で︑平和に生きる権利廿平和的生存権と おける価値の序列化である︒

を検討対象にしてなされてきた

一 七

︵睛山﹁田中行政法学における ﹁行政の公共性論﹂

室井教授によって提唱された行政の公共性論の理解の仕方に

つい

ては

以下の三つの︑基本的立場は同じであるが︑

強調すれば︑重点の償き方の違いによってニュアンスを異にす

①﹁公共性﹂概念解釈論

﹁公共性﹂概念の解釈論を屯視して︑行政の公共性論を理解す

る代表者は︑晴山一穂教授であると思われる︒晴山教授は︑労 働者保護をその第一義的目的として掲げている点にその最大の 組合法︑労働基準法等の主要な法律の目的規定に︑真に国民的

立場からの具体的中身を廂り込んでいく研究業績を発表してき

学論集五

0

巻三号︱二九頁参照︶︒また一定の解釈論上の機能を

もつ理論上の概念としての公共性概念の研究が︑田中行政法学

﹃公共の福祉﹄概念﹂福島大学商学論集五五巻四号四三頁以下

参照︶︒これらの研究を踏まえて︑晴山教授は行政の公共性につ

き︑つぎのように述べる︒﹁現代国家がその統治の正統性を根拠

た︵晴山﹁労働基準監督行政の現状と法的諸問題﹂福島大学商

特色がある労働保護行政領域を研究対象として選び取り︑労働 る考え方が︑あるように思われる︒ 2 

つぎに民主主義は︑公共性の手続析﹄五頁参照︶︒

の理解

しいて

17  4  769 (香法'98)

(6)

る そこで︑晴山教授は︑﹁公共の福祉﹂の法学的検討にあたって 頁 ︶ ︒ わらず現代国家がその統治を維持しようとする限り部分的にせ ﹃公共性﹄は︑真の意味での﹃公共の福祉﹄

1 1

﹃公

共性

﹄で

はな

づけるために不断に﹃公共の福祉﹄

1 1

﹃公共性﹂を国家目的とし

て掲げざるをえないということ︑

いと

いう

こと

おか

つ︑

解釈論的に究明し︑

︵同

前︑

七四

頁\

七五

頁︶

しかも︑この﹃公共の福祉﹄

1 1

いという意味において︱つの虚偽にすぎないが︑それにもかか

よ真の﹃公共の福祉﹄

1 1

﹃公共性﹄をそのうちに含まざるをえな

である︒最近行政法学の分野において提唱され

ている行政の公共性分析という視角も︑基本的には以上の

ような観点にたったものと筆者は理解している﹂︵同前︑七六

は︑﹁公共の福祉﹂についての客観的認識を踏まえたうえで︑

いくことが︑公法学に課せられた大きな課題である︑

そのイデオロギー批判にとどまることなしに︑現行憲

法の価値体系に基づいて︑﹁公共の福祉﹂のいわばあるべき姿を

それをふまえた具体的解釈法理を構築して

と理解す

この理解について︑浜川清教授はつぎのように批判的に検討

する︒公共性論をめぐる論点として︑公共性論の二つの観点で

ある︑体制的虚偽的な公共性の暴露と真の公共性を目指す解釈

論との統一という問題がある︒体制的な公共性は単に暴露の対ろう﹂と浜川教授は評価する︵浜川﹁公法学における公共性分 法学が果たすべき課題とそのための方法の提示とみるべきであ 性の特殊な構造を解明するための対象とみるべきであり︑公共性論は︑暴露と解釈論の統一の問題ではない︑と評価する︵﹁︿シンポジウム﹀現代国家における公共性ー'│その学際的研究をめざして﹂における浜川教授の発言︑法律時報六三巻︱一号五〇頁

参照

︶︒

②国家論理解

行政の公共性論を国家論として理解することを明確に主張し

ているのは︑浜川教授である︒浜川教授は︑

を展開する︒行政領域論と公共性論との関係について︑行政法

学固有の理論的な課題との関係で述べれば︑﹁公共性論が同時に

行政領域論としてあるという意味以上に出ることはないと思わ

れる

いわば︑﹃行政法学﹄批判作業の方法の提示としては行政

領域論によって終わっているのであり︑公共性論は︑行政領域

論を方法とする行政法学批判の作業から一応区別される︑現代

国家の民主的変革のための行政法学の課題と役割をあらためて

提ホしたものと考えられる︒それは︑行政法学内部的な課題設

定廿方法ではなく︑国家論ないし行政論そのものにおいて行政 象になるだけではなく︑

その

内部

構造

つぎのように自説 とりわけ日本的な公共

一 八

17‑4 ‑770 (香法'98)

(7)

原 野 矧著『行政の公共性と行政法』 [法律文化社、一九九七年](村上)

析の意義と課題﹂七頁︶︒公共性論は︑現代国家における﹁共同

1 1 社会的機能﹂

浜川教授によれば︑公共性論は以下のように理解されている︒

室井教授の行政法学方法論は︑基本的には二段階に分けること ができる︒第一段階が行政領域論である︒それは︑総論的な各 種の行政法理論を︑各個別の行政領域ごとの人権の価値序列に

基づきながら︑ の強調と民主主義的憲法︑

という二つの条件

具体的に再構成をしていくということである︒

しかし行政領域論には︑人権の価値序列に基づく個別的な行政 法理論の再構成のみならず︑新しい公法理論の模索があり︑行 政法というものは︑権力に関する法律学として︑権力論抜きに はできないという基調があり︑行政領域論それ自体に︑後に現 れてくる国家行政論への萌芽が含まれていた︒すなわち公共性 論は︑行政領域論なり︑もっと一般的には室井行政法論の初期 から内包されていた論理であって︑室井行政法論の社会科学的 基礎を与え︑説明するものである 第二段階は公共性論である︒行政領域論は︑行政法解釈論と

しては既に完成しており︑公共性論は行政領域論の法解釈論と 六三巻︱一号七一頁参照︶︒

1 0

頁参

照︶

︵浜川教授の発言︑法律時報つぎに概観することにする︒

一 九

ようというものであった︒ しての限界それ自体を越えるものである︒︵なお室井教授は︑いわゆる行政領域論は当初はともかく︑単に行政法解釈論に限って説かれたものではない︑あ

る︒

と発言されている︒同前︑七

0

頁参 照︶すなわち公共性論の行政領域論に対する独自の意義は︑行 したがって公共性論は︑行政領域論と同レベルにあるの

ではなく︑新しい理論的な展開であり︑行政法学に今までの法 解釈論とは違った新しい課題を提起したといえる︒公共性論は

国家論を展望した議論であり︑行政そのものの変革のために︑

公共性なる新たな認識論・価値論を導入して︑国家論を構築し なお浜川教授は︑公共性論が行政法理論としての展開をめざ

すものである︑

くに解釈学︶

う問題がある︑

題﹂

︱︱

頁︶

とも述べ︵同前︶︑公共性論が︑行政法理論︵と

にどのような理論的な帰結をもたらしうるかとい

とする︵﹁公法学における公共性分析の意義と課

そこで行政の公共性理論を行政法理論としても理

解する考えを︑

③行政法理論理解

行政の公共性論を行政法上の理論としても理解することを明 きものと考えられる行政の存在理由の解明を課題としたことで

のである

︵同

前︑

政の公共性︑

すなわち行政それ自体の正当化原理としてあるべ

主義国家における固有の批判的国家論としての展開をめざすも のもとに提唱されたものである︒

いわば公共性論は︑現代資本

17~4~771 (香法'98)

(8)

の公共性論を探ろうと思う︒度の構造の分析としては︑人権保障︑民主主義︑科学性ないし 続的制度的側面とされる民主主義との関連では︑行政上の法制 論を語る﹂における市橋発言︑法の科学一九号︑人権論の現段階がより具体的に確定されなければならない︒手 国家のありかたを行政法の手法を使いながら総体として認識す 行政法学上の対抗を意識しながら︑行政法学も︑行政あるいはいまだ憲法における主要な原理を︑

れて

いな

い︑

と発言する

︵同

前︑

六六

頁参

照︶

確に主張している論者が必ずしもいるわけではないが︑

後に本書の内容の紹介において検討するように︑原野教授は行

政法理論として理解している︑ しかし

と思われる︒また市橋教授のつ

ぎの発言は︑行政法理論理解として解釈してもいいであろう︒

公共性論そのものは︑臨調﹁行革﹂以前の段階からすでに︑行

政法学のための理論として内在的に提起されていたものであ

る︒それは実際の行政法の解釈論・立法政策論とのつなぎの議

論と

して

より一般的なかたちで︑行政法の視点で国家の問題

や法の問題を考える必要がある︑という観点から展開されてい

たものである︒規範論的に公共性論を前面に出しながら︑行政

法の議論に何かインパクトを与える一般論がつくれないかとい

う視角から︑実体的な基準などを規範論として議論をしていた︒

公共性論はその出発からすると︑もっぱら行政法学のなかで︑

ることが必要である︑という議論として始まった︒︵﹁新現代法

一 五

0

頁以下

参照︶︒評者も︑本書の書評を通じて︑行政法理論としての行政

行政の公共性論にとっての課題

公共性論の今後の課題については︑以下のことが提起されて

いる︒たとえば浜川教授は︑以下のように述べる︒行政法技術

論を用いて国家行政現象を解明・認識する作業︑とりわけ日本

的な法構造の解明という点で︑公共性論の規範的な発展と認識

論的な発展をいかに調和するかという問題が残されている

川教授の発言︑法律時報六三巻︱一号五一頁参照︶︒これにつき︑

市橋教授も︑公共性の日本的構造の内在的認識論の問題︑現状

認識における公共的基盤の狭溢化の問題は︑公共性論が十分や

また︑公共性論の規範論の問題についても︑浜川教授によれ

ば︑公共性論の論理・価値レベルの確定に関し︑室井教授によ

る公共性の法的基準論は︑

行政法構造との関連で整理したものにとどまる︒そこで実体的

価値的側面とされる人権尊重主義については︑わが国における

合理性を一体として︑制度に即して分析することが︑公共性論

に適

合的

であ

る︑

と課題が提起される︒また行政法構造の把握

︵ 浜

︱ 二

0

17‑4‑772 (香法'98)

(9)

原野 紐著『行政の公共性と行政法』[法律文化社、一九九七年](村上)

一方

との相互関係の具体的あり方の実証的研究を踏まえた現代的人 合が果たされなければならない︑と課題を提起していた

ポジウムにおける発言︑法律時報六三巻︱一号七五頁参照︶︒

の一人である

V ]睛山教授も︑公共性論の法理論的具体化の課題 として︑①現代的権利構造の具体的分析︑政策体系と権利体系 権論の構築︑②民主主義の深化および③平和主義に関わる理論

的課題という三つを提起する︒第一の課題は具体的には︑

における権利相互間の価値序列という課題と︑他方における個 人と社会的・市民的連帯ないし集団的自治と国家の三者の関係 の行政領域に即した理論化の課題からなる︒第二の課題は︑価

この点に関し︑

公共性論の﹁視角に強い共感を覚えてきた者

︵シ

単に理論上の端緒を示すに止まるのではなく︑一定の理論的総 の方法としては︑形態論︑ために︑比較類型論的な分析を加味することを検討する必要性が主張される︵浜川﹁公法学における公共性分析の意義と課題﹂︱︱頁︶︒さらに公共性論はそれだけでは︑行政法理論の研究と重なり合わない面がある︒というのは︑行政法理論の研究として

は︑

すなわちわが国のそれの特質を示す

その内在的な論理構造︑とくに抽象化された︑

で没価値的な形式論理の構造の解明も︑同時に必要とされるか

らである︒公共性論の今後を考えるとき︑ ある意味

とくに意識的に︑行

政法理論自体を検討する作業に取り組むためには︑公共性論が

本書の内容紹介 前述の公共性論にとっての課題が︑本書においてどのように 確認され︑実現されているかに注意しながら︑本書の内容紹介

を以下行うことにする︒まず︑本書の目次から明らかなように︑

﹁1行政の公共性と現代行政法の理論﹂︑﹁

警I I

察公

共性

論﹂

︑﹁

I I I

軍事的公共性論﹂︑﹁

I V V行政手続論﹂および﹁

参加

論・

公開

論﹂

という本書の構成それ自体が︑本書のすぐれた学問的到達点を

明らかにしている︑と思われる︒﹁I

行政の公共性と現代行政法 の理論﹂においては︑行政法総論との関わりで︑行政の公共性

論が展開され︑﹁

I V 行政手続論﹂Vおよび﹁

参加

論・

公開

論﹂

は︑行政の公共性の構成要素の一っである手続的公共性が︑

り具体的に検討されている︒これを受けて︑行政法各論の一っ

とし

て︑

I I 警察の公共性論﹂および﹁

I I I

軍事的公共性論﹂にお

いては︑個別行政領域としての警察行政と軍事行政の公共性が︑

検討されている︒総論を踏まえて︑警察・防衛行政という個別

4  性分析の意義と課題﹂法の科学一九号九五頁参照︶︒

よ て

に関わる実定法の解釈論の具体的展開などである

︵晴山﹁公共

値論との関係を踏まえた行政手続論︑情報公開論の具体的展開 などである︒第三の課題は︑安保体制に優先的価値を置く臨調

﹁行革﹂における政策的価値序列の憲法論的批判や︑平和主義

17‑4  773 (香法'98)

(10)

公共性論﹂を概観することにする︒ まず総 論としての﹁

I行政の公共性と現代行政法の理論﹂ならびに行

﹁I V

行政手続論﹂および﹁>参加論・公開論﹂を概観した後︑

各論として︑警察行政および防衛行政という個別行政領域の公 共性について検討する﹁

警察の公共性論﹂および﹁I I

I I I

軍事的 行政の公共性と現代行政法の理論

本章﹁I

行政の公共性と現代行政法の理論﹂は︑行政の公共

性論という方法論的立場から︑現代行政法学の課題を提示し︑

検討したものである︒本章は︑﹁1

行政の公共性と現代行政法の

理論

﹂︑

2

現代法と現代行政法学の課題

I

法の政策化と現代

行政

法学

﹂︑

3行政の公共性分析と現代行政法学の課題﹂︑﹁4

第二臨調と現代行政法学﹂︑﹁5﹃給付行政﹂論の意義と限界﹂︑

﹁6

法律の留保﹂および﹁

7行政組織権力論││'民主的統制の

課題﹂という七本の論文によって構成されている︒このうち︑ 政の公共性の構成要素の︱つである手続的公共性を検討する

一定の意図のもとに書かれたモノグラフィーと評する

性論につながる議論であったといえよう︒ 付行政﹄論の意義と限界﹂の論文は︑ の行政の公共性の分析が︑現代行政法の理論的整序の前提とし

なお︑前述の現代行政法学の第二の潮流は︑六

0

・七

0

年代

においては︑給付行政論として展開していた︒それ故︑﹁5

﹃ 給

一九

七一

年一

0

月の公法

学会報告であるが︑以下に紹介するように︑今日の行政の公共

給付行政論の特徴点については︑以下のように指摘されてい て不可欠であることが主張される

︵本

書三

三頁

S

三四

頁参

照︶

描き出すことを否定する︒そこで行政の存在理由という意味で 裁量は︑現代行政を単なる価値中立的な技術的過程としてのみ

行政領域に固有の公共性を検討した書物は︑本書が初めてであ ろう︒行政法の総論と各論とが見事に構成された行政法論文集

こともできよう︒

以下の検討においては︑本書の目次の順とは異なり︑

告である﹁

1行政の公共性と現代行政法の理論﹂を中心に︑以

に把

握し

る︒第一の流れは︑現代国家における行政の生理と病理を明確 政法学の課題﹂の論文において︑

であ

り︑

つぎの二つに的確に整理され まず︑現代行政法学の潮流が︑﹁3

行政の公共性分析と現代行

下検討することにする︒ 主要論文と思われる︑

~

一九

九一

年一

0

月の公法学会での総会報

一部特権層の特権的利益を公益として保護し執行す

るシステムである現代行政を批判的に分析すると共に︑憲法価 値の具体化として現代行政法を整序する立場である︒第二の流 れは︑現実の行政過程を︑諸価値から中立的な技術的過程とし て描く立場である︒しかし増大する法と政策の融合現象や行政

17‑4 ‑774 (香法'98)

(11)

原野 妍著『行政の公共性と行政法』[法律文化社、一九九七年](村上)

れる

︵本

書八

五頁

参照

︶︒

る︒①現代国家は︑﹁秩序国家﹂から﹁椙祉国家﹂へという流れ

の中で捉えられ︑﹁福祉国家﹂は︑

それ自体︑社会保障の充実な

の本質は︑秩序国家廿侵害行政に対する福祉国家

1 1 給付行政に

おいてみられる︒したがってここから︑現代行政法の基調は︑

給付行政法に求められている︒③論者によっては︑給付行政法

は︑実定法上の概念として構成されてきた管理関係理論におけ

る﹁公共性﹂概念の限定を図ることを目指しており︑従来の行

政作用法体系のむしろ現代的補完物である︒④現実においては︑

﹁給付行政﹂という具体的事実関係に即してのみ︑その内容を

されようとしている︒⑤ザッハリッヒには︑注目すべき解釈論

︵本書七五頁参照︶︒給付行政の概念構成が︑

行政法学に与えたインパクトとして︑①非権力的行政研究の重

要性を喚起したこと︑②個別領域の問題に限定する限り︑ザッ

ハリッヒには︑従来必ずしも十分には解明されていない領域に

おいて︑注目すべき解釈理論の展開がみられることが︑挙げら

しかし︑﹁給付行政論﹂は︑憲法構造の転換に伴う︑その基礎

構造における民主主義的構成という視点よりも︑現代行政の一

面的評価に基づく法的対応に性急である︵本書九一頁参照︶︒﹁給と病理を批判的に分析し︑現代行政法現象の的確な批判的分析 が展開されている行政論が︑現代行政法学の体系化のための理論として妥当しな が︑行政作用法体系の再構成をめざす︱つの試みであった給付 限定しうる事実上の概念を使用して︑行政法体系全体がカバー

頁 ︶ ︒ 故 論は︑国家および行政の現実に対する認識の一面性・部分性の の﹁美化論﹂となる︑ ても多く生じていることから︑現実の国家権力自体の論証抜き 自体の治安的運用の現実︑現実の人権侵害が︑﹁給付行政﹂によっ だけを過大評価すると︑

に︑

と批判される︒したがって﹁給付行政﹂

そのイデオロギー性が問題とされ︑軍事治安政策の分析

も必要不可欠の課題である︑と指摘される

以上の論述によって︑今日では学界の共通認識となっている

いことが︑給付行政論のイデオロギー性を国家論として明らか

にすることによって︑説得的に論証されている︒

つぎ

に︑

﹁ 3行政の公共性分析と現代行政法学の課題﹂の論文

においては︑行政の存在理由

I i 公共性の分析の必要性が︑①伝

統的行政法学の理論的枠組みを一応前提とする解釈理論体系の

整序︑②行政改革論との関連で説明される︒さらに一番重要な

課題である③現代行政法学の構築との関連で︑現代行政の生理 本書七七頁\七八 どの福祉をめざす﹁国家﹂として捉えられている︒②現代行政一面的な国家認識論となり︑給付行政 であるが︑現代国家の介入︵廿市民社会への︶形態のある側面 付﹂と﹁治安﹂とは︑現代国家では︑一般的にいって車の両輪

17‑4  ‑775 

(香法

' 9 8 )

(12)

を前提とした理論的幣序のためにも︑行政の公共性分析が不可 欠であることが︑明らかにされる︒行政の公共性分析とは︑普

遍的利益

公共の担い手として登場する現代行政の法的統制の1 1

ために︑公共性

1 1 行政の存在理由を︑憲法を前提とする人権論︑

民主主義論︑地方自治論などの視点から具体的に明らかにする ことである︒そこでさしあたり︑各省庁の存在理由

1 1 公共性の

がって行政の公共性分析には︑行政法学方法論としては︑行政 領域論をとることを前提にしたものであり︑この作業を通じて

のであ﹂︵本書五四頁︶る︑と行政領域論との関連が説明される︒

領域論をさらに一歩進めて行政の国民的立場からみた公共性分

析の必要を説き﹂と書かれている︵本書七頁︶︒すなわち原野教

授によれば︑行政の公共性論は︑行政領域論を前提としながら も︑それをさらに越える行政法理論として理解されているとい

えよ

う︒

以上の前提を踏まえて︑行政の公共性論からみた行政法学の

前述の行政が担当する意義については︑行政的役務の民営 いて法的な根拠づけを危うくすることが︑問題とされる

︵本

なら

ない

︑ とされる︒そして昭和五八年の国家行政組織法の改

また別の個所で﹁室井力教授は︑行政法学方法論としての行政政課題﹂を行政が担当する意義から始まって検討されなければ 現代行政法の理論的整序の具体的な手がかりをえようとするもず確認される︒行政が公共性を主張しうる為には︑

いかなる対 つぎに︑法律の授権と関わって︑法律の授権が︑行政法学に

を分析検討しようとするものであることが︑説明される︒﹁したた貢献成果である︑

と把握し直される︵本書六頁以下参照︶︒

ー行政作用ー救済法の憲法論的見地よりみた存在理由

1 1 公共性 を基礎にしつつ︑個別の行政領域ごとに︑行政目的ー行政機構

主要論点の課題幣理が︑﹁1行政の公共性と現代行政法の理論﹂

の論文において︑的確かつ簡潔に行われる︒

論と関わって︑︑宮本憲一教授・小林直樹教授の公共事業論・公

共施設論および室井教授の公共性論ならびに手続的公共性に行 政の法的公共性を求める雄川教授の説が検討され︑宮本︑小林 教授の理論は人権論︑行政領域論を踏まえて把握し直すことが

でき

る︑

まず行政法学方法

と評価される︒警察行政領域については︑

察公共の原則︑警察比例の原則︑警察責任の原則などの警察裁

量統制原則が︑﹁公共性﹂の国民的立場からする分析をもとにし

おいて行政が公共性を主張するための大前提であることが︑

象をどの程度法律によって規律すべきかが︑具体的に当該﹁行 正︑組織法に基づく警察・防衛行政活動が︑役務の公共性につ

1 0

頁以

下参

照︶

化・民間委託の問題の批判的検討を通じて︑①議会による統制︑ 分析を通して︑その限りでの行政の公共性を分析し︑その成果いわゆる警

︱ 二 四

17‑4‑776 (香法'98)

(13)

原 野 閻 著 i行政の公共性と行政法』

l

法律文化社、一九九七年](村上)

の確保︑③事務遂行の統一性の確保︑④労働者の労働条件の保 規制などが︑当該役務を行政体が担当する公共性として指摘さ

ある︒その代表例として︑雄川一郎教授は︑﹁計画の策定による

権利の規制の合理的根拠は︑結局のところ策定の手続自体が︑

個々の関係者の権利保詭の要請を満たしていることに求めるよ り外はない﹂と述べられる︵本書一1五頁︶︒これに対し原野教授 は︑手続的拘束と共に︑実体的拘束の屯要性を主張される︒具

体的には︑芝地義一教授のつぎの学説が紹介される︒まず実体

的違法性を判断する前提として︑①法律の根拠︑②法律による

容の法律的規律として︑①整合性の原則︑②考慮事項の掲示︑

③計画目標等の掲示が基本的要素となる︵本書一五頁参照︶︒

さらに︑行政の事前手続的規制の公共性については︑事前手 続的規制は︑単なる手続的公共性の法的規律につきるのではな く︑利害関係人の権利を保護し︑参加を保障し︑行政が適正な

公共性判断を形成するために不可欠であり︑実体的公共性と手 要件的統制︑③計画内容の法律的規律の問題が

つぎに計画内

︱ 二 五

続的公共性は︑本来一体のものとして理解されなければならな 行政救済制度の公共性については︑①行政権限の→行使と国

家賠償の問題における行政の公共性分析の意義と②抗告訴訟制 度の存在理由

1 1 公共性分析が検討される︒①においては︑裁量 収縮論に基づく原田教授の見解は︑若干の疑間が残るが︑行政

に︑行政青任を認めようとした画期的なもの︑

②においては︑高柳信一教授の説は︑

度の国民的立場からする公共性分析と評価されるが︑抗告訴訟 制度をはじめ行政救済制度が今日もっている意味を︑国民の権 利救済の立場からひとつひとつ明らかにしていくことによっ て︑逆にその制度の問題点を明らかにしてゆくことも︑当該制

度がもっている公共性分析の果たすべき役割である︑

︵本

書二

0

頁以

下参

照︶

以上の検討課題に加えて︑ と評価される︒

ひとつの現行抗告訴訟制

と指摘さ

さらに公共性論からみた組織法の 検討が提起される︒第二臨調﹁行革﹂の論理との関係で︑積極 的な行政機構の民主的統制の手法を提起するという現代行政法

摘される︒すなわち①行政を行政機構の問題として捉え︑民主

主義︑人権を実現することで︑初めてその公共性を主張しうる 学の課題として︑深め︑考察してゆくべき三つの重要問題が指 れる

手続的拘束を重視して計画の統制を考える学説が︑多数意見で

庁に授権された権限の一定の立場にたっ

﹁公共性﹂分析を前提 また︑現代行政法現象の代表例である計画行政については︑

れる

︵本

書︱

︱頁

以下

参照

︶︒

障⑤事業への信頼の確保︑⑥民間資本の活動に対する民主的

いことが確認される

︵本

内一

九頁

参照

︶︒

住民参加や情報公開の容易さ︑②当該事業の安定的継続的供給

17  4  777 (香法'98)

(14)

効な手段として︑各行政組織がどのような人権の実現︑公益の

られる

︵本

書︱

一六

頁以

下参

照︶

行政組織廿機構が︑ひとつの役務遂行過程にあるものとして︑ 存在であることを明確にしたうえで︑行政施策の実現システムであるので︑個別具体的な政策目的を実現する組織・作用・救済の複合体として把握する視点から︑行政

1 1 行政機構の特有性を明らかにする︑

国の行政機構︑行政制度の中にある︑前近代ー近代ー現代の諸 要素を日本的特殊性を踏まえて把握する問題︑および③行政機 構における特権官僚制の病理の正しい把握に基づく統制策のよ

り詳細な検討という問題である

この検討課題については︑﹁7

行 政 組 織 権 力 論 ー 民 主 的 統 制

の課

題﹂

しかも行政機構は一定の

という問題︑②わが

の論文において︑解釈論レベルの検討がなされる︒行 政組織に関する行政の公共性論が︑行政組織編成に対する法の 授権の意義の検討および行政組織の改変をめぐる行政裁量の統

制に重点を罹いて︑行政組織権力の﹁合法性﹂︵どのような行政

目的をどのような組織形態で達成せんとし︑

もつものとして設定されているか︶

の要素に分解され︑

討す

る︑

どのような権限を

と︑﹁正当性﹂︵行政組織設

定・管理・改変における行政裁量の︑実体的基準・手続的拘束︶

正当性を行政裁量の統制というレベルで検 という注目すべき分析手法によって︑行政組織法理論 が著しく緻密なものにされている︒現代国家の病理に対する有 実現のための組織として配置・運営されているかを︑法令に即

ことが戒められ︑警察︑自衛隊を例にして︑組織法と作用法の

︵本

書六

五頁

参照

︶︒

して明らかにしつつ︑

の問題や行政裁量の統制に即して検討し︑

まず︑行政組織権力の合法性については︑①法令の授権︑② 組織法と作用法の区別および③行政組織と救済法の三項目が検 討される︒まず①では︑行政組織を編成・管理・改変するため

こよ

︑ i i  

その合法性・正当性を︑法令による授権

︵本

書︱

1 0

頁参

照︶

さらに行政組織に対 それについての議会の同意を得ることが︑行政組織が公

共性を獲得する為の第一の前提︑とされる︒そして今日︑行政 組織の合法性を問題にするときには︑戦前から法律主義・条例

主義の徹底していない部分の法律化が問題になるだけでなく︑

法律主義の形骸化にも注意を払わねばならない︑という二重の

課題が提起される︒②では︑組織上の責務や事務の授権規定が︑

当然のことのように﹁作用法上の授権規定でもある﹂と解する 区別を前提とした行政組織の合法性の検討が︑求められる︒③

では︑国の作用により生じた国民の損失や損害について︑関連 それぞれの役割において国民に責任を協同して負うことが求め

つぎに︑行政組織権力の正当性については︑行政組織権力の される する情報の公開やそれを前提とする参加を求めることが︑提案

︱ 二 六

17‑4 ‑778 (香法'98)

(15)

原 野 翅著『行政の公共性と行政法』[法律文化社、一九九七年](村上)

別具体的に行うことが提起される

︵本

書九

八頁

以下

参照

︶︒

行政救済の保障等︑現代的な実質的法治主義の論理の貫徹を個

一九

七一

︱︱

年一

六頁

︶︒

︱ 二 七

団体との間における国家関与のうち︑行政的関与の問題︑各種 的公行政作用に︑何故に︑どの程度の法律による授権を必要と

するかという地道な理論構成上の努力である︑と結論づけられ

る︒そして例示的に︑行政指導︑行政計画︑行政契約が検討さ

れる︒さらに行政組織と法律による授権の問題︑国と地方公共

公共施設の使用の決定の問題の検討を通じて︑今日では︑伝統

的理解に基づく法律の留保論を越えた︑行政の民主的統制の為

の法律による授権と制限が存在する︑とまとめられる︒今後の

課題として︑法律による授権と謡束︑事前手続の整備︑事後的

済法

﹄三

省堂

点を基軸にすえて︑行政手続を問題にする考え方﹂︵本書ニ︱︱︱七

頁︶に立脚するところに︑本書の大きな特徴がある︑

う︒また行政手続の概念についても︑杉村敏正教授に依拠して︑

﹁行政機関の活動であるかぎり︑可能なかぎり︑ といえよ

その公正性・

民主性を保障するための手続的規制の途が探究されるべきであ

るから︑ここでは︑ひろく︑行政機関の活動の成立過程を︑行

政手続と考える﹂という説が採用されている︵杉村﹃行政手続﹄

筑摩

書房

﹁V参加論・公開論﹂という︱つの章において︑参加と公開が 一九七九年一四五頁︶を参考に︑﹁人権保障の観 確化しようとする﹂下山瑛二教授の試み 本書︱二七頁以下参照︶︒ 民主的統制の一翼を担う盾要な手段として取り上げることが︑ さらに︑行政組織に関する公開と参加の推進も︑行政組織の 照 ︶ ︒ ⑨公開が要考慮事項として抽出される

︵本

書一

︱︱

︱︱

︱頁

以下

正当性の根拠が︑行政組織権力の行政裁州の統制というレベル

で問題とされ︑①必要性︑②緊急性︑③合目的性︑④代替手段

の検討︑⑤先例の検討︑⑥裁判例の検討︑⑦適正手続︑⑧参加︑

要求される

なお

︑﹁

6法律の留保﹂の論文においては︑今日求められてい

るのは︑個別具体的に︑如何なる行政領域のどのような非権力 本二章﹁

VII V 行政手続論﹂および﹁参加論・公開論﹂は︑﹁

行政の公共性と現代行政法の理論﹂において検討された行政の

公共性の構成要素の︱つである手続的公共性の内容について︑

具体的に検討するものである︒﹁

I V 行政手続論﹂においては︑以

下の行政手続論に関する三論文において︑﹁実体的公共性と切り

離された手続的公共性は無意味であり︑空洞化するに違いない﹂

︵本

書︱

一三

三頁

との立場から︑手続的公共性の具体的内容が

論じられる︒すなわち行政手続の考察方法として︑﹁﹃行政手続﹄

の概念を憲法上の概念として規定し︑人権保障の手段として明

I V 行政手続論および>参加論・公開論

︵下山﹃人権と行政救

17‑4 ‑779 (香法'98)

(16)

移行としての行政手続の適正化によって︑行政の国民への包摂

続の限定︑④許認可の申請者への情報公開の限定︑⑤公聴会︑ の作業の最終段階にまで持ち越されたことである︒第一一の問題 ﹁今日のように国民の生存が行政の活動に広範に依存している能なかぎりの公開が不可欠であ﹂り︵本書二三三頁︶︑﹁公開なき参加は我々の求めるものではない︒参加と公開がそれぞれにそれなりの実現形態を保ってこそ意味を持つものである﹂︵同一︱六

七頁

︶ と説明され︑手続的公共性の内容が︑以下の二論文に

おいて具体的に展開される︒

まず︑行政手続論について︑以下概観することにする︒﹁

1 6 行

政手続と第二臨調

1

第二部会報告の検討を中心に﹂の論文に

おいては︑改革論の論理構造の問題点として︑

摘される︒すなわち第一の問題点は︑行政の一面的な減量と国

民生活における行政責任の縮減を目指しつつ︑変化への対応︑

行政の簡素効率化や総合性の確保︑信頼性の確保等の諸課題

I I 諸観点を︑行政の民主化︑公正化の論議に優先して捉える第二 臨調﹁行革﹂論の全体的性格から︑行政手続改革の問題が︑そ 点は︑行政手続の意義が︑行政の信頼性の確保

1 1 行政の円滑な 執行という課題達成の手段として位置づけられていることであ

る︒第︱︱一の問題点は︑指導規制型行政から調幣補完型行政への ︵本書二五七頁以下参

保障するものでなければならないという憲法上の要請と︑第二 臨調第二部会報告とがまったく異なることを︑報告の論理構造

﹁1 5

行政手続改革の基本問題﹂

の論文の内容は︑原野教授に

よって︑つぎのようにまとめられている︒﹁行政手続の改革は今

ければならない︒このような観点から行政手続法草案の意義と 問題について考察し︑現代行政の諸特徴に似合う行政手続の理 念に関して検討を加え︑行政手続改革の基本構想にとって必要

︵本

書二

三三

頁︶

︒ な諸論点について﹂検討した論文である 第一に︑行政手続法草案の問題点が︑七つにわたって指摘さ れる︒具体的には︑①聴聞手続の行政処分への限定︑②行政の 弾力的運営による弁明手続への緩和︑③不利益処分への聴聞手

各種住民参加制度︑諮問行政に関する行政手続への言及がない 公開行政を目指す観点から︑行政手続の改革の問題を考察しな

つぎの三点が指

がって我々は︑国民の権利保障を目指す民主的・公正効率的な 日においての行政改革の課題であることを失っていない︒した に即して明快に批判するものである︒ 公正で民主的で効率的なものであり︑

かつ自治と参加と公開を 現状の下では︑国民の行政に対する参加の保障︑行政情報の可

以上のように︑本論文は︑行政施策ー行政決定の過程自体も︑ 照 ︶ ︒

一緒に検討課題として取り上げられた理由につき︑原野教授は

的関与の拡大が語られていることである

︱二 八

17‑4 ‑780 (香法'98)

(17)

原 野 殻 著 『 行 政 の 公 共 性 と 行 政 法 』 [ 法 律 文 化 社 、 一 九 九 七 年 ] ( 村

u

備等が提案される

︵本

書二

四六

頁以

下参

照︶

事項

いわゆる﹃特別権力関係﹄

︱ 二 九

として捉えられていた領域に

除外事項をはじめとして︑行政手続法制の再検討は今後とも必 れて以降もいわゆる﹃行政手続法の周辺整備法﹄における適用

裁的手段としての供給停止への事実審型聴間手続の保障︑公共 的規制の導入︑ の立法課題を指し示す論文として必読文献である︒ 度の導入等が提起される

︵本

書二

四二

頁以

下参

照︶

行政手続法・行政不服審査法﹄日本評論社︑

一九

九七

年八

頁︶

約・行政指導などへの行政手続の対象の拡大、住民参加の各種ある」(室井カ・芝池義一•浜川清編『コンメンタール行政法ー 一九八九年二四

0

頁注

三五

︶︑

﹁行

こと︑⑥聴間手続を経た処分に対する口頭審杏の排除および⑦

第二

に︑

体的

には

現代行政との関わりにおいては︑

の形態の拡大︑参加の前提としての情報公開︑ 以

下参

照︶

オンブズマン制度導人の視点がないことである

︵本

書二

0

まず権力行政と非

権力行政の区別の相対化︑行政処分と立法行為の区別の相対化 など現代行政の展開に対応して︑行政立法・行政計画・行政契

オンブズマン制

以十のことを踏まえて︑行政手続改革の基本構想として︑具

人民の知る権利の保障を前提とした情報公開法の制 定︑行政処分への事実審型聴聞の採用︑行政立法手続への手続

一般処分への陳述型聴間手続の採用︑計画への

陳述型聴聞の採用と拘束的叶画への部分的な事実審型聴間の採

用︑政府兜約における指定業者取消等の事実審型聴聞の保障等︑

行政契約・協定についての手続整備︑公共企業の遂行に伴う制 施設の管理への住民参加︑諮問行政についての手続整備︑不服

申立人の手続的権利の拡大︑苦情処理へのオンブズマン制度の 導入︑行政調査・行政強制・行政指導についての行政手続の幣

以上から明らかなように︑本論文は憲法的民主的価値の実現

のために︑︑行政手続改革を行うにあたって検討しなければなら

ない課題を総括的にまとめたものである︒塩野教授によっても

﹁検討事項のカタログ参照﹂として引用されており︵塩野﹃行

政過程とその統制﹄有斐閣︑

政法制の歴史において︑憲法的価値を具体化する画期的立法で

行政手続法が制定された今日においても︑﹁権利利益保護の充実

と公正・透明な開かれた民主的行政手続に向けた﹂︵同前︶将来

なお

︑﹁

行政手続法要綱案に対する対案の発表によせて﹂の1 7

論文は︑要綱案の最大の問題点として︑行政手続の民主化の視

点の欠如を指摘し︑対案が民主化という観点から︑

手続の公開機能や︑ とくに行政

国民の行政への関与の範囲の拡大に意を用

いて︑聴聞手続について考慮したことを明らかにする

︵本

書二

六六頁︶︒今後の検討課題として︑原野教授は︑﹁法律が制定さ

要であると言うことができる︒税法や社会福祉関係の適用除外

17‑‑4  781 (香法'98)

(18)

られる︒それは︑行政の民主化︑人権保障のみでなく︑科学的

可欠

であ

る︑

と課題が提起される

たとえば︑計画行政を具体的事例として︑行政過程への﹁参制度的な民主的改革が追求されなければならず︑情報公開も不

︵ 同

前 ︶

う問題を追求するとともに︑ すべきものとして議論を展開しなければならない﹂と主張され 政過程の適正化・民主化︑科学的合理的行政の確立機能を果た る おける事案の処理について手続法が適用されないというような書

二三

四頁

︶︒

つぎに︑参加論・公開論について︑以下概観することにする︒

﹁1 8

現代行政法学と参加論﹂の論文は︑﹁現代行政法学がどの範

囲において参加論を取り上げ︑どのような意味においてその効

果を測定しているかを検討しているものである︒具体的に参加

論として検討されたのは︑①行政過程と参加論︑②地方自治と

住民参加︑③地方自治体の国政参加論︑④公務員法制における

職員参加論︑⑤大学の管理・運営に対する学生の参加論﹂であ

︵本書二六七頁︶︒原野教授は︑﹁個別具体的に検討して︑行

加﹂は︑行政庁の意思成立過程への﹁関与﹂の問題として捉え

合理的な行政の実現の為にも︑また自治保障にも資するものと

して構想されなければならない︒その為には︑﹁参加﹂

の対

象︑

参加者の範囲・適格︑参加利益の法的保障︑参加の形態・段階

等の問題が考慮されねばならないだけでなく︑一部特権層の利 いても追求されねばならない︑と結論づけられる 問題は︑今後︑検討されなければならない﹂と主張される

︵ 本

益を確保する為の行政の正当化11新しい行政の権威確立の外装

となることのないような︑情報公開︑審議会の構成の公正さ︑

諸利害調整の具体的基準の設定︑専門家依頼権︑参加費用の公

的補助等の前提条件が︑検討されなければならない︑と主張さ

︵本

書二

七四

頁以

下参

照︶

制システムの再活性化策を考慮しつつ︑

べき

もの

とし

て︑

一 三

それを前提にした民主

化機能1人権保障機能ー行政の科学性合理性確保機能を果たす

その為の諸条件・諸課題が︑地方自治論にお

頁参照︶︒﹁国政参加制度﹂については︑

的調整基準を規範的論理としても︑

︵本

書二

八五

それが統制的調整過程

として機能しないようにする為の︑参加者の権利の保障や具体

どこまで確立しうるかとい

一方で現行の国と自治体の関係の

︵本

書二

0

頁参

照︶

今後の検討課題として︑現代行政法学における参加論は︑そ

れが︑行政の民主化ー人権保障ー科学的合理的な行政確立の為

の手法としてもつべき一般的意義と前提条件を明確にしたうえ

で︑個別行政領域ごとに︑行政手続

1 1 行政府の意思成立過程の

民王化ー適正化ー科学性合理性確保の手法として︑その典型的 また︑地方自治との関係では︑住民参加は︑

れる

一方では︑代議

17‑4  ‑782 

(香法

' 9 8 )

(19)

原 野 矧著『行政の公共性と行政法』[法律文化社、一九九七年](村上)

る︑と思われる︒

つぎに情報公

形態をおさえるところから出発し︑既存の行政体制の民主的改 苗の議論と相併行した具体的議論として展開されなければなら

この検討内容は︑参加の単純な肯定でも単純な否定でもなく︑

民手

化機

能︑

人権保障機能および科学的合理的行政の確立機能 を果たすべき参加の分析検討を行う︑優れて社会科学的なもの であり︑本論文は参加論を研究する者にとっての必読文献にな

なお

︑﹁

情報公開と不服審査制度﹂の論文においては︑まず︑1 9

民王的で公正で透明度の高い政府︑参加と自治を保障する﹁政 府﹂の実現のために︑情報公開の制度は欠くことのできない課

題であることが確認される︵本書三

0

五頁

参照

︶︒

開行政における原則公開の確認と︑公開・非公開の決定におけ る行政裁惜の統制の確立が︑情報公開行政における行政救済制 度の確立と相併行することによって︑情報公開行政における法

治主義の貫徹が制度的に保障される︑

性が

提案

され

る︵

本書

: 1

0

頁参

照︶

ないことが︑提起される

と結論づけられる︒

また

情報公開行政における行政裁量の限定のためにも︑情報公開行 政における行政手続の適正化

h

事前手続の整備や︑議会や既存 の行政制度による情報公開行政の監視制度と並んで︑住民参加 制度を前提にした︑恒常的監視制度やオンブズマン制度の必要

さらに情報公開処分に関

︵ 本 書 一

1

0

頁参

照︶

行政法学にとって極めて重要な課題の一っであり︑しかも参加

わる不服申立手続については︑不服申立人の手続的権利を大幅 に是認する取り扱いが必要であるとの判断から︑行政不服審査 法にいう職権主義・書面主義・審有機関の不服申立人の手続的 権利に対する裁量的取り扱いについての運用面での改善努力が 提起される︒また不服申立審査機関の法的構成の問題について は︑三方式の検討の後︑情報非公開決定に不服のある者は︑長 に対して不服申立てを行い︑長は︑住民代表が参加できるよう

な︑公正な機関として構成される第一二者的審査機関の審議結果

を尊重して裁決する︑という方式を確立することで十分である︑

と主張される

以上の本書の﹁

I V 行政手続論﹂および﹁V参加論・公開論﹂

における手続的公共性の具体的分析によって︑室井教授が提起 関心事となる︒価値論との関係をふまえた行政手続論は︑現代

論・公開論と関連づけて検討されることによって︑本書は︑現 行行政手続法の問題点︑とりわけ民主的な行政の実現に関わっ ての問題点の克服︑今後の立法課題の方向をも示すものとなっ ており︑学界に寄与するところが極めて大きいと思われる︒行

政法改革論議との関係では︑行政手続改革論の登場

1 1

要性

が︑

行政実体法の考察に重点を置き︑

しかも権力行政廿行政行為中

~

された公共性の内容が︑いかに具体化されていたかが︑大きな

︵本

書三

0

以下

参照

︶︒

17~4 783 (香法'98)

(20)

安全と秩序を維持するために行われる消極的行政作用である﹂ に対応した︑行政法学界における︑警察権限が消極作用であるという考え方を改め︑積極的に撃って出る警察が正当な警察であるという考え方の登場を踏まえて︑本章では︑﹁警察は公共の

︵本書一三一頁︶との概念定義の立場に立って︑﹁I

行政の公共

出す

という七

0

年代以降の警察権限の拡大状況︑およびこれければならない︒美濃部先生や佐々木先生が主張された警察権 行政改革によって行政が責任を放棄したところへ警察が乗り 明される

︵ 本

書 ︑

はし

がき

三頁

︶︒

室井教授による公共性の法的基準は︑抽象的で一般的なもの

II 

心に理論体系を構築してきた伝統的行政法学の思考様式に改革

頁参

照︶

警察の公共性論 ︒ を迫ることに︑注意が向けられなければならない

︵本

書二

三七

であるので︑警察行政︑防衛行政などのそれぞれの行政領域に

即して︑この基準を具体化していく作業が︑市民的生存権的公

共性を内実化するための不可欠な課題になる︒そこで警察の公

共性と軍事的公共性が分析検討された理由について︑﹁いわゆる

個別具体的分析が一般理論の有効性の証明には不可欠であると

考えたためでもあるし︑今日の行政法学においては︑総論と各 論の連携が必要だと考えるからに他ならない﹂と原野教授は説

性と現代行政法の理論﹂で展開された総論が︑以下の四本の論

文によって︑警察行政領域の特徴に即して具体化される︒

まず

︑﹁

8現代警察の公共性﹂の論文においては︑憲法を機軸

に据え︑人権と民主主義の立場から︑法律に即した警察の権限

のコントロールだけでなく︑警察権限そのものの存在理由を︑

人権と民主主義の観点から分析検討し︑国民が具体的な改革案

参照︶︒また﹁

警察行政改革への一視角﹂の論文においても︑1 1

察の病理を洗い出し︑改革案をねりあげることが主張される︵本

書一九

0

頁 ︶ ︒

を前提として︑

︵本書一五九頁

この改革案の理論的基礎として︑警察権力の理論的分析の視

角が述べられている︒たとえば︑警察権が広がったままの制度

そこでの警察裁量の限界を説くだけでは足りな

い︒本来︑警察権が関与すべき領域なのか否かの議論がされな

の限界の理論のような方法を︑公共性論として展開し︑警察権

の限界理論に新しい頁を加えるべきである︑と方向性が指し示

されている︒この新しい課題に応える為に︑﹁警察というのは︑

生活内容を充実︑保護化させるために直接働く行政ではなくて︑

社会生活が円滑に行われるための前提を確保するための行政作 イギリス法の市民警察五原則みたいなものからみて︑現実の警 を持つべき段階に来ていることが︑主張される

17‑4  ‑784 

(香法

' 9 8 )

参照

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