熊本県 追補
著者 ?宮 正之
雑誌名 植物地理・分類研究
巻 60
号 2
ページ 44
発行年 2013‑03‑01
URL http://doi.org/10.24517/00053532
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
髙宮正之(〒
860
-8555
熊本市中央区黒髪2
-39
-1
熊本大学大学院自然科学研究科[email protected]
)43.熊本県
追補(A) 植物誌
『熊本県植物誌』(熊本記念植物採集会編集1969)
の改訂計画はあるが,具体的には進んでいない。昨 年創立80周年を迎えた熊本記念植物採集会による 毎月の『月報』(平成24年9月現在通算996号)と,
年1回発行の『BOTANY』(平成23年61号)に県 産記録等が掲載されている。過去10年間の主な植 物目録等では,乙益正隆「熊本県のメシダ科(1)
(2)」54,55号(2004,2005), 中 下 雅 子・ 黒 岩 展子「飯田山の植物調査(1)(2)(3)」56~58号
(2006~2008),河上昭夫「熊本県産蘇類仮目録」
56号(2006),西田(寺田)靖子等「熊本城の植物 目録」57号(2007),田代周史「白鳥山の植物(昭 和 59~ 61 年)」58号(2008),益村聖「(九州産)
スゲ属植物総検索目録」60号(2010),益村聖「九 州産イネ科植物(Poaceae)総検索目録(1)」61 号(2011)が掲載された。熊本県限定ではないが,
故初島住彦博士により纏められた『九州植物目録』
(2004)は,九州内の全ての維管束植物が網羅され ており,分布等の参考となる。乙益正隆氏による『熊 本県シダ植物誌』(2012)は,著者自らの半世紀以 上に亘る採集調査に基づき,約500種のシダ植物を 掲載した集大成である。生態や標本写真,証拠標本 産地,簡単な特徴が記載され,既に絶滅した種を含 めた貴重な資料である。
(B) 研究機関
熊本大学大学院自然科学研究科理学専攻には,副 島顕子教授,髙宮正之教授,杉浦直人准教授,藤井 紀行准教授の研究室があり,維管束植物の種分化,
花生態学,系統分類,生物地理に関する研究を行っ ている。東海大学農学部応用植物科学科には長野克 也教授,星良和准教授の研究室があり,分子遺伝学 的な手法を用いた種分化機構を研究している。独立 行政法人 森林総合研究所九州支所の森林生態系研 究グループには安部哲人主任研究員,金谷整一主任 研究員が所属し,絶滅危惧植物の保全に関する研究 を行っている。
(C) 標本
熊本県松橋収蔵庫(熊本県庁の企画振興部地域・
文化振興局文化企画課博物館プロジェクト班担当)
には,現在26万点が収蔵されている。そのうち10 万点はデータベース化が完了している。資料は公開 で,閲覧可能。http://www.pref.kumamoto.jp/site/
shuuzouko/
(D) レッドデータブック
『熊本県の保護上重要な野生動植物,―レッド データブックくまもと―』(1998)と『熊本県の保 護上重要な野生動植物リスト―レッドリスト熊本 2004―』(2004)を基として,『改訂・熊本県の保 護上重要な野生動植物,―レッドデータブックくま もと2009―』(2009)が刊行された。前回と比較 して,コケ植物(蘚類)も加えられた。保護上重要 な植物として,シダ植物136種,種子植物689種,
蘚類15種,藻類14種がリストアップされている。
同書は熊本県のサイトhttp://www.pref.kumamoto.
jp/soshiki/44/rdb2009.html で, 全 てPDFフ ァ イ ルとして閲覧・ダウンロード可能である(最終更新 日2009年10月30日)。
(E) 植物群落
植物群落に関する調査も上記『BOTANY』に掲 載されている。高野茂樹・永松 丈人「不知火町永 尾神社社寺林のイスノキ群落」60号(2010)等。
『改訂・熊本県の保護上重要な野生動植物,―レッ ドデータブックくまもと2009―』には保護上重要 な植物群落が掲載されている。植物群落では,単一 群落(優占種がはっきりしている群落)を35カ所,
複合群落(群落がまとまって残されている地域)を 24カ所リストアップした。また,藻類群落として5 カ所があげられている。
図 改訂・熊本県の保護上重要な野生動植物,―レッド データブックくまもと2009―
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植物地理・分類研究 第 60 巻第 2 号 2013 年 3 月