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The Ecological Society of Japan (Japanese Journal of Conservation Ecology) 20 : (2015) Cervus nippon Night time visits of sika dee

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Academic year: 2021

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(1)

深泥池湿原に夜間出没するニホンジカ Cervus nippon

辻野 亮

1

・鄭 呂尚

2

・松井 淳

3

1奈良教育大学自然環境教育センター・2奈良教育大学大学院 教育学研究科・3奈良教育大学 Night time visits of sika deer (Cervus nippon) to the Mizorogaike wetland, Central Japan

Riyou Tsujino1, Yosan Chon2 and Kiyoshi Matsui3

1Center for Natural Environment Education, Nara University of Education, 2Nara University of Education, 3Nara University of Education

要旨:市街地に隣接した深泥池湿原(京都市)にニホンジカ Cervus nippon が出没して問題になっていることから、 深泥池湿原と周辺林のニホンジカの関係を明らかにすることを目的として、深泥池湿原とその周辺林に自動撮影カ メラを 2014 年 6 月 16 日から 12 月 17 日まで 34 台設置し(深泥池湿原に 4 台、深泥池湿原の東に位置する宝ヶ池公 園東部に 17 台、宝ヶ池公園西部に 5 台、西に位置する本山国有林に 3 台、京都大学上賀茂試験地に 5 台)、動物の 行動を調査した。のべ 2700.2 日の調査によって、哺乳類が 1485 枚 11 種(55.0 頭 /100 カメラ日)撮影されたことから、 都市域に残存しているこれらの森林は、哺乳類の生息地として重要な役割を果たしていると推測された。その一方で、 撮影回数の 93.2%がニホンジカで占められており、単調な哺乳類相となっていることが示唆された。深泥池湿原で の撮影頻度は、日中は 0 に近く、夜間に高い値を示した。一方、宝ヶ池公園西部と東部では逆の傾向を示した。本 山国有林と上賀茂試験地では、昼夜間で撮影頻度はそれほど変わらなかった。以上から、宝ヶ池公園に生息するニ ホンジカが日没頃の時間帯に深泥池湿原に侵入し、夜間は湿原に滞在して、日の出頃の時間帯に再び宝ヶ池公園の 森林に帰ってゆくことが推測された。   キーワード:カメラトラップ、採食圧、湿原、都市公園、哺乳類相

Abstract: The Mizorogaike wetland, near Kyoto, central Japan, suffers from repeated invasion by sika deer (Cervus nippon). We set 34 camera traps in and around the Mizorogaike wetland (4 in the wetland itself, 17 in the eastern area and 5 in the western area of Takaragaike Park, 3 in the Motoyama National Forest, and 5 in the Kamigamo Experimental Forest of Kyoto University) from 16 June 2014 to 17 December 2014 to reveal the relationship between deer in the wetland and those in the surrounding forest. We photographed 1485 individuals of 11 mammal species over a total of 2700 trap nights (55 individuals/100 trap nights). Thus, this forest remnant in an otherwise urban area plays an important role as a habitat for mammals. On the other hand, 93.2% of photographs were of deer. The relative abundance index for deer in the Mizorogaike wetland was near zero during the day, but very high at night. In contrast, the abundance indices in western/eastern Takaragaike Park showed the opposite trend, while those in Motoyama National Park and Kamigamo Experimental Forest showed no differences between day and night. Therefore, we suggest that deer visiting the Mizorogaike wetland enter around sunset, stay the night, and return to Takaragaike Park around sunrise.

Keywords: camera trap, feeding pressure, mammalian fauna, urban park, wetland

1〒 630-8528 奈良市高畑町 奈良教育大学自然環境教育センター

Center for Natural Environment Education, Nara University of Education, Takabatake-cho, Nara 630-8528, Japan e-mail: [email protected] 2015 年 5 月 25 日受付、2015 年 7 月 27 日受理

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はじめに

 京都市北区に位置する深泥池湿原は、冷温帯から亜寒 帯にみられるような遺存種やその他の希少種をまじえた 水生植物が生育している群落があり、貴重な生態系を形 成していることが知られている(三木 1929)。ところが 近年、深泥池の浮島湿原にニホンジカ Cervus nippon が 侵入して湿原全域にわたって植物を採食して問題になっ ている(目黒重幸、「貴重な湿原シカから守れ」京都新 聞 2006 年 3 月 21 日;辻野ほか 2007)。ニホンジカが浮 島に侵入して湿原植物を採食することは、植物に対する 採食圧や踏圧などによる泥炭層の攪乱につながる。さら に、 糞 尿 に よ る 富 栄 養 化 の 問 題 も あ る( 辻 野 ほ か 2007)。 特 に 植 物 に 対 す る 採 食 圧 は、 ミ ツ ガ シ ワ

Menyanthes trifoliata L. やカキツバタ Iris laevigata Fisch.、

チゴザサ Isachne globose (Thunb.) Kuntze などの優占植物 の分布パターンを変化させることで湿原植生の景観を大 きく変化させる可能性があるだけでなく、希少植物を絶 滅させてしまう可能性もある(辻野ほか 2007)。  哺乳類を野外で直接観察することは困難であるが、赤 外線センサーつきの自動撮影カメラが開発され、効果的 な調査が行われるようになった。自動撮影カメラを複数 台設置して野外で連続的な撮影を行う調査(カメラトラ ップ法)は、野外動物の生息確認や行動観察に有効であ る(O’Connell et al. 2011)。カメラトラップ法を用いた 日本の哺乳類に対する調査報告も増えつつある(Otani 2001;Yasuda 2004;福田ほか 2008;Tsujino and Yumoto 2014)。カメラトラップ法を用いて深泥池湿原で 2005 年 に行われた先行研究では、深泥池湿原のニホンジカは日 中を避けて夜間に侵入して湿原植物を採食していること が確認されている。実際著者らの観察では、日中浮島で ニホンジカを目撃するのは非常に稀である。したがって 日中のシカは、深泥池湿原近辺の森林に潜伏しているも のと考えられる。  深泥池湿原周辺に位置する宝ヶ池公園や本山国有林、 京都大学上賀茂試験地においてもニホンジカが出没して いる(たとえば、匿名、京都新聞「宝が池公園シカ食害 深刻」2014 年 2 月 19 日)。宝ヶ池公園では、落葉広葉 樹などの二次林の林床植生を採食することで、森林更新 の阻害が起こっている一方で、外来植物でニホンジカが 採食しないナンキンハゼ Triadica sebifera (L.) Small の更 新が盛んである(著者らの観察)。  ニホンジカによる深泥池湿原への影響を緩和するため には、深泥池湿原だけで対策を講じるのではなく、深泥 池湿原に侵入するニホンジカの生息範囲を明らかにし、 生息する周辺森林を含めた形で対策を講じる必要があ る。しかしながら深泥池湿原の周辺でニホンジカがどの ように分布しているのかは明らかになっていない。そこ で本研究では、京都市北区と左京区に位置する深泥池湿 原とその周辺の森林に自動撮影カメラを設置すること で、1)深泥池湿原とその周辺林における哺乳類相を明 らかにするとともに、2)深泥池湿原と周辺林に生息す るニホンジカの活動時間帯を比較することで、3)ニホ ンジカによる深泥池湿原と周辺林の利用状況を明らかに することを目的とした。

方 法

調査地  京都市北区と左京区に位置する宝ヶ池公園、深泥池湿 原、本山国有林、京都大学上賀茂試験地は京都市街の北 部に位置する市街地に囲まれた林地である(図 1)。  調査地から 5 km ほど南西に位置する京都地方気象台 における平均気温は 16.1℃、年平均降水量は 1474 mm であり(2005 ∼ 2014 年の平均値。気象庁「“気象庁 過 去の気象データ検索”」http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/ etrn/index.php、2015 年 1 月 24 日確認)、暖温帯に位置 する。これらの森林の多くは薪炭林などとして利用され てきた二次林であり、西日本では特にアカマツ Pinus

densiflora Sieb. & Zucc. が優占する森林が形成されてい

たものの、京都市周辺の都市林では、1980 年代以降に 激化した松枯れにより多くのアカマツが枯死した(森下・ 安藤 2002)。そのため現在では、アカマツ林やマツ枯れ 低質林、マツ・落葉広葉樹林、ヒノキ・落葉広葉樹林、 マツ・ヒノキ混交林、ヒノキ林、常緑広葉樹林、スギ林、 竹林、果樹園・その他植栽林、などの森林で覆われてい る(森下・安藤 2002)。  深泥池(35°03´E、135°46´E、標高 75 m)は、面積 0.08 km2、最深水深 2 m の池であり、池面積のおよそ 3 分 の 1 を 浮 島 湿 原 が 占 め て い る(Shimizu 1986; Haraguchi 1992;Koshikawa et al. 2005;辻野ほか 2007)。 浮島の植生は、オオミズゴケ Sphagnum palustre L. から なる凸地形(ハンモック)と凹地形(ホロー)の複合で 形成されており、ハンモックにはアカマツやネジキ

Lyonia ovalifolia var. elliptica (Sieb. et Zucc.) Hand.-Mazz.、

イヌツゲ Ilex crenata Thunb. などの樹木が生育し、周辺 部にはススキ Miscanthus sinensis Anderson、サワギキョ ウ Lobelia sessilifolia Lamb. などの草本が生育する一方

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で、 凹 地 形 に は ミ ツ ガ シ ワ や イ ヌ ノ ハ ナ ヒ ゲ

Rhynchospora chinensis Nees et Meyen、ツクシカンガレイ Schoenoplectiella multiseta (Hayas. et C.Sato) Hayas.、ヨシ Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.、マコモ Zizania latifolia (Griseb.) Turcz. ex Stapf、さらにハリミズゴケ Sphagnum cuspidatum Ehrh. ex Hoffm. が生育する(京都

大 学 理 学 部 植 物 生 態 研 究 施 設 深 泥 池 研 究 グ ル ー プ 1981)。深泥池湿原には冷温帯から暖温帯性の希少種が 多く生育しており、その生物群集全体が国の天然記念物 に指定されている(藤田・遠藤 1994)。 野外調査  調査対象地域において、広葉樹林や植林地、湿原に自 動撮影カメラを設置して、調査地近辺に生息する中大型 哺乳類の自動撮影を試みた。カメラは宝ヶ池公園の東部 に 17 台、西部に 5 台、本山国有林に 3 台、京都大学上 賀茂試験地に 5 台、深泥池湿原に 4 台設置した。  各設置地点では赤外線センサーが太陽光に反応するの を防ぐために、可能な限り直射日光の当たらない樹冠下 で北向きにカメラを設置した。本研究では、森林地帯で ある宝ヶ池公園と本山国有林、京都大学上賀茂試験地に はフィルムカメラの Fieldnote IIa((有)麻里府商事、岩 国市)を用い、調査地に生育する樹木の地上約 1.3 m の 樹幹にベルトで固定した。深泥池湿原では、太陽光によ る誤撮影が多く発生すると予想されたので、4 台のデジ タルカメラ(Trophycam HD;Bushnell 社、USA)を用 いた。カメラは、写真の中心がカメラから約 4 m はなれ たところになるように画角を調節した。また、約 2 分の 間隔を置いて連続的に撮影される。夜間や露光不足の場 合には自動的にストロボ撮影される。撮影に際して日時 分が写しこまれるように設定した。フィルムは ISO400 の 36 枚撮りカラーネガフィルムを用い、デジタルカメ ラのメモリは 32GB の SD カードを用いた。  宝ヶ池公園の自動撮影カメラは、2014 年 6 月 16 日か ら 12 月 17 日まで設置した。本山国有林と上賀茂試験地 には、2014 年 7 月 31 日から 12 月 17 日まで設置した。 図 1.調査地と 34 台の自動撮影カメラ(C01 から C30、C51 から C54)の設置箇所。環境省自然環境保全基礎調 査の植生図を示す。TPE、TPW、MZP、MNF、KEF はそれぞれ宝ヶ池公園東部、宝ヶ池公園西部、深泥池、 本山国有林、京都大学上賀茂試験地を示す。

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表 1. 自 動 撮 影 カ メ ラ 34 台 の 稼 働 日 数 、 中 ・ 大 型 哺 乳 類 撮 影 枚 数 と R A I( 10 0 日 当 た り の 撮 影 回 数 ) を 示 す 。 上 賀 茂 ・ 本 山 地 区 は カ メ ラ の 設 置 な ど が 遅 れ た 。 N um be r o f a ni m al s p ho tg ra ph ed R A I ( nu m be r o f a ni m al s / 1 00 tra p ni gh t) C am er a ID A ct iv e da ys Cervus nippon ニホンジカ Felis silvestris ノネコ Martes melampus テン Meles meles アナグマ Mustela itatsi ニホンイタチ Nyctereutes procyonoides タヌキ Paguma larvata ハクビシン Procyon lotor アライグマ Rodents 齧歯類 Sus scrofa ニホンイノシシ Vulpes vulpes アカギツネ Unknown mammals 不明哺乳類 Birds 鳥類 Total (w/o birds) 総計(鳥類のぞく) Cervus nippon ニホンジカ Felis silvestris ノネコ Martes melampus テン Meles meles アナグマ Mustela itatsi ニホンイタチ Nyctereutes procyonoides タヌキ Paguma larvata ハクビシン Procyon lotor アライグマ Rodents 齧歯類 Sus scrofa ニホンイノシシ Vulpes vulpes アカギツネ Unknown mammals 不明哺乳類 Birds 鳥類 Total (w/o birds) 総計(鳥類のぞく) Ta ka ra ga ik e E 宝 ヶ 池 公 園 東 部 C 01 90 .2 26 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 5 27 28 .8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 1 5. 5 29 .9 C 02 64 .1 32 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 32 49 .9 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 15 .6 49 .9 C 03 70 .1 50 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0 8 54 71 .3 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 5. 7 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 11 .4 77 .0 C 04 77 .4 27 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 1 29 34 .9 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 2. 6 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 3 37 .5 C 05 11 5. 1 56 0 0 0 0 3 4 0 0 0 0 0 12 63 48 .6 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 2. 6 0. 0 3. 5 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 10 .4 54 .7 C 06 85 .9 57 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 8 58 66 .3 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 2 9. 3 67 .5 C 07 13 9. 6 20 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 20 14 .3 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 4 14 .3 C 08 12 4. 0 44 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 44 35 .5 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 8 35 .5 C 09 13 4. 1 15 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 15 11 .2 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 2. 2 11 .2 C 10 92 .2 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 10 9. 8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 1 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 10 .8 C 11 14 9. 9 19 0 3 0 0 0 1 0 0 0 0 0 11 23 12 .7 0. 0 2. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 7 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 7. 3 15 .3 C 12 74 .5 7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 7 9. 4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 3 9. 4 C 13 11 4. 6 56 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 56 48 .9 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 48 .9 C 15 12 9. 2 22 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 7 23 17 .0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 5. 4 17 .8 Ta ka ra ga ik e W 宝 ヶ 池 公 園 西 部 C 16 95 .5 30 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 30 31 .4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 3. 1 31 .4 C 18 73 .6 30 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 2 32 40 .8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 4 0. 0 1. 4 0. 0 0. 0 0. 0 2. 7 43 .5 C 19 92 .6 34 0 0 0 0 10 0 0 0 0 0 1 7 45 36 .7 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 10 .8 1. 1 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 7. 6 48 .6 C 20 79 .5 41 1 2 0 0 5 0 0 0 0 0 1 3 50 51 .6 1. 3 2. 5 0. 0 0. 0 6. 3 1. 3 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 3. 8 62 .9 C 21 70 .0 36 0 0 0 0 6 0 0 0 0 0 0 11 42 51 .4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 8. 6 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 15 .7 60 .0 C 22 71 .4 24 0 1 0 0 3 1 0 0 0 0 0 3 29 33 .6 0. 0 1. 4 0. 0 0. 0 4. 2 0. 0 1. 4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 4. 2 40 .6 C 23 99 .0 33 3 1 0 0 5 2 0 0 0 0 0 9 44 33 .3 3. 0 1. 0 0. 0 0. 0 5. 0 0. 0 2. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 9. 1 44 .4 C 24 32 .0 35 0 0 2 0 3 0 0 0 0 0 0 1 40 10 9. 4 0. 0 0. 0 6. 3 0. 0 9. 4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 3. 1 12 5. 0 M iz or og ai ke 深 泥 池 湿 原 C 50 13 7. 0 23 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 2 20 23 5 16 7. 8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 2. 2 1. 5 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 14 .6 17 1. 5 C 51 N A C 52 13 7. 0 19 0 0 0 0 0 7 0 3 0 0 0 2 16 20 2 13 8. 6 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 5. 1 1. 5 0. 0 2. 2 0. 0 0. 0 0. 0 11 .7 14 7. 4 C 53 13 7. 0 22 7 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0 0 1 23 1 16 5. 7 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 2. 9 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 7 16 8. 6 M ot oy am a 本 山 国 有 林 C 26 50 .3 13 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 14 25 .9 2. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 27 .9 C 29 35 .7 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 22 .4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 22 .4 C 30 26 .1 10 0 1 1 2 0 0 0 0 1 0 1 0 16 38 .4 0. 0 3. 8 3. 8 7. 7 0. 0 3. 8 0. 0 0. 0 0. 0 3. 8 0. 0 0. 0 61 .4 K am ig am o 上 賀 茂 試 験 地 C 14 N A C 17 27 .2 1 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 4 3. 7 0. 0 3. 7 0. 0 0. 0 0. 0 3. 7 0. 0 0. 0 3. 7 0. 0 0. 0 0. 0 14 .7 C 25 20 .7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 C 27 12 .6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 C 28 42 .0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 4. 8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 4. 8 Ta ka ra ga ik e E 14 60 .9 44 0 0 3 0 0 6 9 0 0 0 2 1 69 46 1 30 .1 0. 0 0. 2 0. 0 0. 0 0. 4 0. 6 0. 0 0. 0 0. 0 0. 1 0. 1 4. 7 31 .6 Ta ka ra ga ik e W 61 3. 6 26 3 4 4 2 0 32 3 1 0 0 0 3 39 31 2 42 .9 0. 7 0. 7 0. 3 0. 0 5. 2 0. 5 0. 2 0. 0 0. 0 0. 0 0. 5 6. 4 50 .8 M iz or og ai ke 41 1. 1 64 7 0 0 0 0 14 0 3 0 0 0 4 37 66 8 15 7. 4 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 3. 4 0. 0 0. 7 0. 0 0. 0 0. 0 1. 0 9. 0 16 2. 5 M ot oy am a 11 2. 0 31 1 1 1 2 0 0 0 0 1 0 1 0 38 27 .7 0. 9 0. 9 0. 9 1. 8 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 9 0. 0 0. 9 0. 0 33 .9 K am ig am o 10 2. 5 3 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 6 2. 9 0. 0 1. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 0. 0 1. 0 0. 0 0. 0 1. 0 0. 0 5. 9 To ta l 27 00 .2 13 84 5 9 3 2 52 12 4 1 1 2 10 14 5 14 85 51 .3 0. 2 0. 3 0. 1 0. 1 1. 9 0. 4 0. 1 0. 0 0. 0 0. 1 0. 4 5. 4 55 .0

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ただし、9 月 19 日まではカメラの不調で稼働していな かった。深泥池湿原には、2014 年 7 月 30 日から 12 月 14 日まで設置した。その間に 7 月下旬と 9 月中旬、12 月中旬にフィルムと電池の交換を行った。12 月以降は 落葉樹の落葉時期であり、林床が明るくて誤撮影が多い ことが予想されたので調査を行わなかった。上賀茂試験 地と深泥池湿原に設置されたカメラ 1 台ずつ(C14、 C51;図 1)は機材故障のため撮影されなかったので解 析から除外した。  なお、カメラは学術調査目的で山中に設置するものの、 山中を散歩する公園利用者らが撮影されるかもしれな い。設置にあたっては京都府の「防犯カメラの管理・運 用に関するガイドライン」(京都府 2006)に則り、プラ イバシーなどの人権を十分に配慮した取り扱いを行っ た。特に、以下の点に留意した。1)カメラの設置場所 は公園利用者が通らないところを前提とし、園路を避け、 園路から離れた場合でも園路が撮影画角に入らないよう にした。2)もしカメラの管理者など以外の人が撮影さ れた場合は、そのデータを廃棄した。3)公園利用者に 周知する表示を行った。 解析方法   本 研 究 で は、 哺 乳 類 の 撮 影 頻 度(RAI: Relative abundance index)を、「RAI= 撮影回数 /100 カメラ日」と 定義して、撮影頻度の違いを比較した(O’Brien et al. 2003; O’Brien 2011)。カメラトラップ法による撮影頻度 はおおまかな密度指標として使用できることが指摘され ている(平川 2004;Rovero and Marshall 2009)。ただし、 撮影された哺乳類のうち、同一種で同一個体と考えられ る動物が 30 分以内に撮影されていた場合には、重複撮 影と判断して計数しなかった(Yasuda 2004)。  よく撮影されることが予想されたニホンジカに関し て、深泥池湿原に侵入するニホンジカの行動パタンを明 らかにするために、深泥池湿原、宝ヶ池公園東部、宝ヶ 池公園西部、本山国有林、上賀茂試験地の 5 か所におい て、日の出前後(4:00 ∼ 8:00)、日中(8:00 ∼ 16:00)、 日 の 入 り 前 後(16:00 ∼ 20:00)、 夜 間(20:00 ∼ 4:00) におけるニホンジカの撮影頻度の違いを比較した。

結 果

撮影された哺乳類  のべ 2700.2 カメラ日のカメラトラップ調査によって、 哺乳類が 1485 枚、11 種(RAI=55.0)撮影された(表 1)。 撮影された哺乳類は多かった種から、ニホンジカが 1385 回(RAI=51.3)、タヌキ Nyctereutes procyonoides が 52 回(RAI=1.9)、ハクビシン Paguma larvata が 12 回 (RAI=0.4)、 テ ン Martes melampus が 9 回(RAI=0.3)、

ノネコ Felis silvestris が 5 回(RAI=0.2)、アライグマ

Procyon lotor が 4 回(RAI=0.1)、アナグマ Meles meles

が 3 回(RAI=0.1)、 ア カ ギ ツ ネ Vulpes vulpes が 2 回 (RAI=0.1)、ニホンイタチ Mustela itatsi が 2 回(RAI=0.1)、

イノシシ Sus scrofa が 1 回(RAI=0.04)撮影され、さら に種が不明のネズミ類が 1 回(RAI=0.04)と不明哺乳類 が 10 回(RAI=0.4)撮影された(表 1)。コウモリ類は 撮影されなかった。 ニホンジカの RAI と行動時間帯の地域比較  ニホンジカの RAI は 5 地域で大きく異なり、宝ヶ池 公園東部では 30.1、宝ヶ池公園西部では 42.9、深泥池湿 原では 157.4、本山国有林では 27.7、上賀茂試験地では 2.9 だった(表 2)。日中から夜にかけての行動時間帯も 5 地域で異なり、宝ヶ池公園東部と宝ヶ池公園西部では、 夜間(20:00 ∼ 4:00)の RAI が他の時間帯に比べて小さ かった(表 2;図 2)。さらに、宝ヶ池公園西部では、日 の出・日の入り前後の時間帯(4:00 ∼ 8:00、16:00 ∼ 20:00)の RAI は他の時間帯よりも高かった(表 2;図 2)。 一方深泥池湿原では、夜間の RAI が特に高く、日中(8:00 ∼ 16:00)の RAI はほぼ 0 であった(表 2;図 2)。本山 国有林では 1 日を通して RAI の値はあまり変わらず、 上賀茂試験地では撮影回数が少なかった(表 2;図 2)。 また、この傾向は夏期∼秋期にかけて稼働日数が 30 日 以上あった月ごとのデータを比較しても、大きな差は見 られなかった(図 2)。

考 察

上賀茂・本山・深泥池・宝ヶ池に棲息する哺乳類相  本調査によって京都市街の北端に位置する宝ヶ池公園 と深泥池湿原、本山国有林、上賀茂試験地において 11 種の哺乳類が確認できた(表 1)。市街地に囲まれて人 為的な攪乱や公園利用者がいたとしても、ある程度の面 積を持った生息環境は野生動物を保全するのに有益であ ると考えられており(Markovchick-Nichollis et al. 2008)、 京都市市街地に残存している本調査地でも、哺乳類の生 息地として重要な役割を果たしていると推測された。  しかしながら、ニホンジカが撮影回数で 93.2%を占め ており、本調査地域の哺乳類相において圧倒的に優占し

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ていることで、単調な哺乳類相となっていることが示唆 された。シカによる生態系への影響が問題視されている 北海道の夕張岳での RAI が 34.6(月別最大値;杉浦ほ か 2014;デジタルカメラ)、奈良県春日山で 14.2(前迫 2009;フィルムカメラ)、大台ケ原で 88.6(福田ほか 2008;フィルムカメラ)という値と比べると、本調査地 のニホンジカの RAI 値(51.3)は比較的大きな値であり、 森林植生に大きな影響を与えていることが予想される。 特に、深泥池湿原での RAI は 157.4 であることから、湿 原生態系へはさらに大きな影響が推測される。  RAI は自動撮影機材の種類に影響を受けることが予想 される。たとえば、フィルムカメラで哺乳類の撮影に失 敗するような場合でも、本研究におけるデジタルカメラ での撮影では、3 枚連写する設定にしていたため、撮影 に失敗する可能性は低くなる。このため、含む本研究の RAI はフィルムカメラのそれよりも比較的過大であると 推測される。このため他の調査との絶対値の比較には注 意が必要である。 深泥池湿原に侵入するニホンジカ  深泥池湿原で 2005 年に行われた短期間の調査による と RAI は 20.8(2005 年 7 月 16 日から 11 月 24 日までの、 53 日の稼働で 11 頭撮影;辻野未発表データ)だった。 2005 年と 2014 年では自動撮影に用いた機材や稼働日数 が異なるので一概に比較はできないが(2005 年はフィ ルムカメラ、2014 年はデジタルカメラ)、RAI の値はお よそ 7.6 倍に増加していた。撮影方法が異なるため、ニ ホンジカの侵入個体数の増加は 7.6 倍よりは少ないと考 えられるものの、深泥池湿原に侵入するニホンジカの影 響が飛躍的に大きくなった可能性は否定できない。  深泥池湿原で日中調査していてもニホンジカと遭遇す ることはほとんどない。実際、深泥池湿原の RAI を時 間別にみると日中は 0 に近いが、夕方の 18:00 頃から RAI が急増し、夜間に非常に高い値を示した(図 2)。 逆に、朝 5:00 頃から RAI が減少し始めた。したがって 深泥池に侵入するニホンジカは深泥池湿原に生息してい るわけではなく、近隣の森林などから移動していると推 測される。  宝ヶ池公園西部では、深泥池湿原でニホンジカが減る 時間帯と増える時間帯に RAI が高くなり、ニホンジカ の活動が活発になっていた(図 2)。さらに、宝ヶ池公 園西部と東部の両地域で、ニホンジカの RAI は日中で 高く、夜間は少なかった(表 2)。この傾向は、少なく とも 8 ∼ 10 月にかけては安定して認められた。湿原は シカ類にとって効率よく採食出来るために、植物の生産 性が高い時期には選択的に利用されることが知られてい る(Takatsuki 2003)。これらのことから、夏期から秋期 にかけては、宝ヶ池公園に生息するニホンジカが、日没 頃の時間帯に、宝ヶ池公園西部を経由して深泥池湿原に 侵入し、夜中に湿原植生を採食して、夜明け頃の時間帯 になると再び宝ヶ池公園の森林に帰る行動をとっている ことが推測される。  深泥池湿原は国の天然記念物であり基本的に直接的な 人為攪乱は少ない。しかしながらすぐ北側には民家や病 院、交通量の多い車道があるために、ニホンジカが日中 は警戒して明るくて開けた湿原上に現れないのかもしれ ない。一方宝ヶ池公園は都市公園であり多くの人が出入 りしているものの、今回カメラを設置した森林部分には ほとんど人が踏み入れていない。そのため、ニホンジカ は日中に生息することができていることが推測される。  一方、深泥池湿原の東に位置する本山国有林では、夜 間の RAI 減少が見られなかったこと、距離が離れてい ること、経由ルートが市街地と道路によって隔離されて いる部分が多いことから、本山国有林から深泥池湿原に 来ている可能性は低いか、個体数が少ないと推察される。 また上賀茂試験地と本山国有林は接しているが、柵でニ ホンジカの遊動が阻害されているので、上賀茂試験地か ら本山国有林を経由して深泥池に到来しているとも考え にくい。以上より、宝ヶ池公園のニホンジカ個体群が夜 間に深泥池湿原に移動していると考えられる。ニホンジ カによる深泥池湿原植生への影響を緩和するためには、 深泥池湿原や宝ヶ池公園などに生息するニホンジカを包 表 2.地域別に四つの時間帯でのニホンジカの撮影頻度(RAI =撮影回数 /100 カメラ日)と撮影回数(括弧内)を示す。 Duration 時間帯 時間数Hours 宝ヶ池公園東部Takaragaike E 宝ヶ池公園西部Takaragaike W Mizorogaike 深泥池湿原 本山国有林Motoyama 上賀茂試験地Kamigamo Sunrise(4:00-8:00) 日の出前後 4 25.9(63) 74.3(76) 182.4(125) 18.5(5) 3.9(1) Daytime(8:00-16:00) 日中 8 43.3(211) 46 (94) 0.7(1) 16.7(9) 0 (0) Sunset(16:00-20:00) 日の入前後 4 38.6(94) 58.7(60) 116.8(80) 33.3(9) 0 (0) Night(20:00-4:00) 夜間 8 14.8(72) 16.1(33) 321.8(441) 14.8(8) 3.9(2) Total 合計 24 30.1(440) 42.9(263) 157.4(647) 19.1(31) 2 (3)

(7)

括して対策を検討する必要があるだろう。

謝 辞

 本研究を行うにあたって、京都市文化財保護課、京都 市建設局水、緑環境部北部みどり管理事務所、京都大阪 森林管理事務所、京都大学 フィールド科学教育研究セ ンター上賀茂試験地には調査許可を頂いた。京都大学防 災研究所の竹門康弘さんには研究を進める上で協力して いただいた。奈良教育大学の村田沙耶さんには野外調査 を手伝っていただいた。ここに記してお礼申し上げる。

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平川 浩文 (2004) 自動撮影調査から動物の密度がわかる

図 2.ニホンジカの撮影された時間と地域の関係。□は 6 月、○は 7 月、△は 8 月、+は 9 月、×は 10 月、◇は 11 月、▽は 12 月、●は合計のニホンジカの撮影頻度(RAI =撮影回数 /100 カメラ日)を示す。ただし、稼働日数 がのべ 30 日に満たなかった月は表記しなかった。宝ヶ池公園東部(Takaragaie E)では 6 ∼ 11 月、宝ヶ池公園 西部(Takaragaie W)では 6 ∼ 10 月、深泥池湿原(Mizorogaike)では 8 ∼ 12 月、本山(Motoyama)では、8,9, 11,12 月、上賀茂試験地(Kamigamo)では 8,9,11 月を示す。

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参照

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