silicate 中希土類イオンにおける f-d 遷移の解析 3
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(2) 2011 年度 修士論文要旨. 酸化物, ハロゲン化物中希土類 酸化物, ハロゲン化物中希土類イオン 化物中希土類イオンにおける イオンにおける 4f n -4f n -15d 1 遷移に 遷移に 関するエネルギーシフト するエネルギーシフトの エネルギーシフトの起源の 起源の解明及び 解明及びスペクトル解析 スペクトル解析 関西学院大学大学院理工学研究科 化学専攻 小笠原研究室 東浦 一樹 【緒言】近年,省エネルギー・長寿命の観点から,従来の蛍光灯よりも高い発光効率を示す白色 LED が照明用途として急速に普及している。この白色 LED は Y3Al5O12(YAG)に Ce3+をドープした化合物 である YAG:Ce3+を代表とする,蛍光体中の希土類イオンの f-d 遷移を利用したものである。更に希 土類イオンの f-d 遷移は白色 LED のみでなく,様々なアプリケーションにも利用されている。そこ で本研究では,酸化物やハロゲン化物中に置換された希土類イオンの f-d 遷移について,第一原理計 算である相対論 DV-Xα法及び相対論 DVME 法を用いて次の 4 つのテーマで解析を行った。 1. 酸化物及びハロゲン化物中 Ce3+における f-d 遷移エネルギーの red shift の起源 2. silicate 中希土類イオンにおける f-d 遷移の解析 3. fluorite 型化合物中希土類イオンの系統的な解析 4. フッ化物中 Pr3+における 4f2-4f5d 遷移吸収スペクト. 80. barycenter of 5d level barycenter of 4f level. ルの予測. 78. 希土類イオンを中心に,第一近接アニオンのみを含め た数原子から成るクラスターモデルを構築した。また, 計算の目的に合わせて,配位子のアニオンの代わりに 点電荷を配置させた点電荷モデルや,クラスターモデ ルの周囲に結晶内のポテンシャルを再現するために点 電荷を配置し,マーデルングポテンシャルを考慮した モデル等も構築した。これらのモデルについて相対論 DV-Xα法により分子軌道エネルギー及び f-d 遷移エネ. MO Energy (eV). 【計算手法】種々の結晶構造に関して,ドープされる. 76. Δ5d = 1.80 eV E4f-5d = 4.13 eV. 74 E4f-5d = 4.91 eV. 72 Δ4f = 2.59 eV. 70 Ce3+ with point chages. (CeO8)13-. ルギーを求め,得られた波動関数から,相対論 DVME 法による配置間相互作用計算(CI)で系の多電子系波動 関数や多重項エネルギーを算出した。更に得られた多 電子系波動関数から振動子強度の計算を行い,これをガ. 図 1. YAG:Ce3+における点電荷モデ. ウス関数で畳み込むことによって理論吸収スペクトルと. ル(左)とクラスターモデル(右)の 4f. した。全ての計算において,交換-相関ポテンシャルに. 及び 5d 主成分軌道,および 4f-5d 遷. は相対論的 VWN ポテンシャルを用いた。. 移エネルギー.
(3) 【結果と考察】ここでは上記のテーマ 1 における,YAG を始めとする garnet 型結晶中に置換した Ce3+の計算結果について示す。この Ce3+における 4f-5d 遷移エネルギーについて,Ce3+孤立イオンに おける 4f-5d 遷移エネルギーと化合物中 Ce3+における 4f-5d 遷移エネルギーの差は red shift(D)と定義 され,母体結晶によってこの長波長シフトの値は様々である。この red shift について,Dorenbos は 系統だった解析から,次式の様な経験式を得ている 1)。. D = εc +. ε cfs r. − 1890 cm −1. ここでεc は Ce 孤立イオンにおける 5d 軌道エネルギーの重心と化合物中 Ce3+の 5d 軌道エネルギ 3+. ーの重心の差であるcentroid shift、 εcfs は5d軌道の結晶場分裂幅である。 更にDorenbosはcentroid shift について,中心 Ce3+と配位子との共有結合性の効果によるものであると説明している。しかし分子 軌道理論に基づくと,共有結合性の効果は逆に 5d 軌道エネルギーを増加させ,短波長シフトを引 き起こす結果となることが予想される。そこでこの矛盾を解明するために,YAG:Ce3+におけるクラ スターモデル及び点電荷モデルの 4f,5d 軌道エネルギー準位図を比較した(図 1)。図 1 において点 電荷モデルと比較してクラスターモデルでは 5d 軌道エネルギーが上昇している。モデルの違いは 共有結合性の効果の有無を表しているため,この結果は分子軌道理論に矛盾しない。ここで,4f-5d 遷移エネルギーが減少し,centroid shift が生じる理由については,5d 軌道エネルギーに比べて 4f 軌 道エネルギーの方が相対的に大きく増加することが原因であることが図 1 より明らかである。そし. 1.08. てクラスターモデルにおける各イ オンの有効電荷の解析の結果,4f. った。ここで図 2 に示されるよう に,他の garnet 型結晶における配 位子から Ce への電荷移動量と, centroid shift の相関を調べると,両. Centroid shift (eV). よるものであることが明らかとな. Y 3Ga5O12 Y 3Fe5O12. 1.07. 軌道エネルギーの大きな増加は配 位子から中心 Ce3+への電荷移動に. R = 0.98 Y 3AlGa 4O12. 1.06. Yb3Al5 O12. Y 3Al2Ga3O12 Y3 Al3Ga 2O12. 1.05. Y3Al4GaO12 Lu3 Al5O12. 1.04. Y 3Al5O 12 Ho3Al5 O12. 者の間に正の相関があることがわ かる。つまり centroid shift は電荷移 動量に依存し,電荷移動量が多い ほど centroid shift,そして遷移エネ ルギーの red shift が大きくなるこ とが明らかとなった。. 1.03. Gd3Al5O 12 Tb3 Al5O12. 1.02 0.39. 0.40 0.41 0.42 0.43 0.44 Amount of charge transfer. 図 2. 各 garnet 型結晶における,配位子から Ce3+への電 1) P. Dorenbos, J. Lumin., 99, 283 (2002). 荷移動量と centroid shift の相関図.
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