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60 F a r m e r ' s E y e vol TMR10 M's Kitchen Farmer's Eye S UMMER 2009

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(1)

長いトンネルをようやく 抜け出したかと 思ったら、まだまだ先の見 えない深い霧 の中を走り続けなけれ ばならない感じの 昨今ですが、こんな時こ そ原点に立ち 返って、基本に忠実に 、顔を上げ上を 向いて頑張りましょう。 愛牛と家族と、そ して消費者の健康と笑 顔が私たちの 喜びです。

牧場レポート

特集

乳牛の健康を

実感しています。

「森永デーリィシリーズ」使用牧場を訪ねて

F a r m e r ' s E y e

農家

と森

永酪農販売を結ぶ情

報誌

vol.

2 9 7

2 0 0 9

(2)

「森永デーリィシリーズ」使用牧場を訪ねて

乳牛の健康を

実感しています。

宮城県◎菊地弘之牧場 茨城県◎小里修牧場 奈良県◎伏見佳成牧場 熊本県◎米野博明牧場

23

17

酪農講演会のご報告

(財)森永酪農振興協会

9

乳牛の健康のために

TMR

を改善する

10

のポイント

特別寄稿

15

M's Kitchen

19

森永酪農販売広告

8

自家製モッツァレラチーズ

ほか 兵庫県◎日向牧場

クリームチーズ

兵庫県◎波多野牧場 ファーマーズ工房

2

特集 牧場レポート

24

編集後記

『モリちゃん』を振り返る

創刊60周年企画

21

森永育成シリーズ利用者の声

モリちゃんの商品紹介

25

株式会社ミック

関連会社紹介

26

森乳サンワールド広告 本誌掲載の記事、写真の無断複写、複製及び転載を禁じます ◎來未ちゃんは牛舎に来ると牛の餌 やりを手伝います。ネコに餌をやるの も日課です。倖生くんはまだ牛が苦手。 大きな牛が怖くて、子牛の鳴き声で 泣いてしまいます。 徳島県・藤丸牧場

藤丸來未

ちゃん(3歳)

倖生

くん(1歳)

おかげさまで創刊

60

周年

創刊号第1面。「乳質改善特集号」と題して、全8ページでスタート。 く る み こ う き  本誌『ファーマーズ・アイ モリちゃん』の前身は、森永乳業株式 会社から昭和24年8月10日に創刊された『森永酪農ニュース』に 始まっており、以来、『モリちゃん』、『ファーマーズ・アイ モリちゃん』 と2回改名して今日に至っています。おかげさまで創刊60周年を迎 え、通算297号を発刊することができました。引き続き、皆様と弊社 及び森永グループを結ぶ情報誌として、また皆様に愛される情報 誌として、内容充実に努力してまいりますので、一層のご引き立てと、 ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

特集

「森永デーリィシリーズ」

使用牧場を訪ねて

添加剤のカットで

費用と労力を削減

宮城県 

菊地弘之牧場

乳質を決めるのは

生産者の意識

徹底すべきことをする

労働人数 4人      (弘之さん夫婦、父・祐一さん、       長男・武士さん) 規模 搾乳牛:33頭 乾乳牛:4頭 未経産牛:25頭 生乳生産量 平均日量1,000kg 2009年5月現在 レポーター/東北支店・高田賢 F a r m P r o f i l e  菊地牧場は、平成 20 年9月から 「森永デーリィ17」を使用している。 切り替えで一番変わったことはやはり コスト、と弘之さんは振り返る。  「配合飼料の価格は以前のもの の方が安いのですが、添加剤をカッ トできる分、全体のコストカットができ ています。なにより添加剤を給与す る労力面を削減することができました」  給与メニュー・手順は、オーツ→ デントコーン→ビール粕→ ヘイキュー ブ→ビート→大麦→配合飼料 「森 永デーリィ17」 →自給粗飼料の順。 配合飼料のみ1日6回給与で、その 他は2回給与だ。  「森永デーリィ17」 に切り替えて から今年、初めての夏を迎えるが、 「酵母による夏場の暑熱軽減効果が どのように表れるのかが楽しみ」と のこと。 実際、まだデータとしては 確認できていないが、すでに繁殖が 良くなってきているような手ごたえを 得ているという。  菊地牧場の繁殖は、基本的に全 頭ホルスタインを付けている。 平均 種付け回数は2.2回。 分娩間隔は 平均395日。 平均産次数は、4.4 産だ。  「現状で低いレベルの数字ではな いと考えていますが、これで満足で きる高い数字だとも考えていません。 以前はもっと高齢の牛群であったこ とを考えると、もう少し平均産次数を 伸ばしたいですね」  また、菊地牧場では、平成 20 年 6月には、試験的に1頭だけ和牛受 精卵のETを行い、21 年3月に分娩 させた。ET和子牛の販売価格によっ ては、少しずつ増やしていきたいと思っ ているそうだ。  育成は、牛舎内の一部とパドック で基本的に管理している。また、町 営 牧 場も利 用。 種 付けは平 均 1 3 ∼ 14ヵ月で行なっており、当社育成 左から二人目より、弘之さん、奥様、武士さん。左が東 北支店・高田。 C A S E

1

牧 場 レ ポ ー ト

牛の健康を

感しています。

「健康な乳牛のために」を目的に開発された搾乳用配合飼料「森永デーリィシリーズ」。 健康な乳牛管理による健康な酪農経営をめざす酪農家を、森永酪農販売(株)の担当者が訪問しました。 F a r m e r ' s E y e 夏 vol.2 9 7 2 0 0 9

(3)

「森永デーリィシリーズ」使用牧場を訪ねて

乳牛の健康を

実感しています。

宮城県◎菊地弘之牧場 茨城県◎小里修牧場 奈良県◎伏見佳成牧場 熊本県◎米野博明牧場

23

17

酪農講演会のご報告

(財)森永酪農振興協会

9

乳牛の健康のために

TMR

を改善する

10

のポイント

特別寄稿

15

M's Kitchen

19

森永酪農販売広告

8

自家製モッツァレラチーズ

ほか 兵庫県◎日向牧場

クリームチーズ

兵庫県◎波多野牧場 ファーマーズ工房

2

特集 牧場レポート

24

編集後記

『モリちゃん』を振り返る

創刊60周年企画

21

森永育成シリーズ利用者の声

モリちゃんの商品紹介

25

株式会社ミック

関連会社紹介

26

森乳サンワールド広告 本誌掲載の記事、写真の無断複写、複製及び転載を禁じます ◎來未ちゃんは牛舎に来ると牛の餌 やりを手伝います。ネコに餌をやるの も日課です。倖生くんはまだ牛が苦手。 大きな牛が怖くて、子牛の鳴き声で 泣いてしまいます。 徳島県・藤丸牧場

藤丸來未

ちゃん(3歳)

倖生

くん(1歳)

おかげさまで創刊

60

周年

創刊号第1面。「乳質改善特集号」と題して、全8ページでスタート。 く る み こ う き  本誌『ファーマーズ・アイ モリちゃん』の前身は、森永乳業株式 会社から昭和24年8月10日に創刊された『森永酪農ニュース』に 始まっており、以来、『モリちゃん』、『ファーマーズ・アイ モリちゃん』 と2回改名して今日に至っています。おかげさまで創刊60周年を迎 え、通算297号を発刊することができました。引き続き、皆様と弊社 及び森永グループを結ぶ情報誌として、また皆様に愛される情報 誌として、内容充実に努力してまいりますので、一層のご引き立てと、 ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

特集

「森永デーリィシリーズ」

使用牧場を訪ねて

添加剤のカットで

費用と労力を削減

宮城県 

菊地弘之牧場

乳質を決めるのは

生産者の意識

徹底すべきことをする

労働人数 4人      (弘之さん夫婦、父・祐一さん、       長男・武士さん) 規模 搾乳牛:33頭 乾乳牛:4頭 未経産牛:25頭 生乳生産量 平均日量1,000kg 2009年5月現在 レポーター/東北支店・高田賢 F a r m P r o f i l e  菊地牧場は、平成 20 年9月から 「森永デーリィ17」を使用している。 切り替えで一番変わったことはやはり コスト、と弘之さんは振り返る。  「配合飼料の価格は以前のもの の方が安いのですが、添加剤をカッ トできる分、全体のコストカットができ ています。なにより添加剤を給与す る労力面を削減することができました」  給与メニュー・手順は、オーツ→ デントコーン→ビール粕→ ヘイキュー ブ→ビート→大麦→配合飼料 「森 永デーリィ17」 →自給粗飼料の順。 配合飼料のみ1日6回給与で、その 他は2回給与だ。  「森永デーリィ17」 に切り替えて から今年、初めての夏を迎えるが、 「酵母による夏場の暑熱軽減効果が どのように表れるのかが楽しみ」と のこと。 実際、まだデータとしては 確認できていないが、すでに繁殖が 良くなってきているような手ごたえを 得ているという。  菊地牧場の繁殖は、基本的に全 頭ホルスタインを付けている。 平均 種付け回数は2.2回。 分娩間隔は 平均395日。 平均産次数は、4.4 産だ。  「現状で低いレベルの数字ではな いと考えていますが、これで満足で きる高い数字だとも考えていません。 以前はもっと高齢の牛群であったこ とを考えると、もう少し平均産次数を 伸ばしたいですね」  また、菊地牧場では、平成 20 年 6月には、試験的に1頭だけ和牛受 精卵のETを行い、21 年3月に分娩 させた。ET和子牛の販売価格によっ ては、少しずつ増やしていきたいと思っ ているそうだ。  育成は、牛舎内の一部とパドック で基本的に管理している。また、町 営 牧 場も利 用。 種 付けは平 均 1 3 ∼ 14ヵ月で行なっており、当社育成 左から二人目より、弘之さん、奥様、武士さん。左が東 北支店・高田。 C A S E

1

牧 場 レ ポ ー ト

牛の健康を

感しています。

「健康な乳牛のために」を目的に開発された搾乳用配合飼料「森永デーリィシリーズ」。 健康な乳牛管理による健康な酪農経営をめざす酪農家を、森永酪農販売(株)の担当者が訪問しました。 F a r m e r ' s E y e 夏 vol.2 9 7 2 0 0 9

(4)

◎ 給与メニュー 配合飼料 森永デーリィ17 自給飼料 コーンサイレージ、 ソルゴサイレージ、 イタリアンサイレージ、 オーツサイレージ 購入飼料 ヘイキューブ、コーン圧ペン、 カカオハスク、脱脂米糠、糖蜜、 チモシーヘイ

ビタミン給与が不要

飼料の区別が容易で

管理も楽に

茨城県 

小里修牧場

飛節の腫れが

なくなるなど

牛体に明らかな変化が

労働人数 3人      (修さん夫婦、長男・有弘さん) 規模 搾乳牛:32頭 乾乳牛:3頭 未経産牛:10頭 生乳生産量 平均日量800kg 2009年5月現在 レポーター/茨城営業所・鈴木安宣 F a r m P r o f i l e  きぬ酪農業協同組合の組合長で ある修さんが 「森永デーリィシリーズ」 の使用を始めたのは、平成 21 年に 入ってから。  「実際に使用してみてわかったのは、 ビタミン、ミネラル混合飼料の使用が なくなったということです。 以前は、 毎月7,000円ほどをビタミン混合飼 料に費用を費やしていましたが、こ の 『森永デーリィ17』 を使用し始 めてから全く使っていません。 その ため、飼料費はもちろん、ビタミン給 与の手間が省けました」  ビタミン給与をやめてからも、以前 と同様に牛は全く問題なく飼養でき ている、と修さんは笑顔で語る。  小里牧場では、以前はバルキー タイプの配合飼料を使用していた。 そして現在、F & P タイプの配合飼 料となったのだが、給与している餌 全体の粗飼料と濃厚飼料をはっきり 分別できるので、餌の給与がしやす くなったという。また、乳量に応じた 粗飼料と濃厚飼料の比率の調節も 容易で、牛の管理もしやすくなった というメリットもあった。  牛体にも明らかな変化が見られる ようになった。  「バルキータイプを使用していた時 は、飛節の腫れが目立っていたんで す。しかし、『森永デーリィシリーズ』 に変えてから、飛節の腫れが大幅 に減少し、今ではほとんど確認され ません。とても安心して使っていま すよ」  また、小里牧場では、『森永デー リィシリーズ』を使用する前は、サイ レージを 20kg /頭給与していたが、 今では 40kg /頭と、給与量は倍に なった。 残滓もごくわずかだという。 輸入乾牧草、ヘイキューブも残さず 食べている、と喜ぶ修さんだ。  『森永デーリィシリーズ』 を給与 する時、注意していることをたずね たところ、「粗飼料をしっかり給与す ること」と修さんは教えてくれた。  「F &Pタイプは配合されているコー ン圧ペンが湿式圧ペンで非常に薄い ので、粗飼料を十分量給与するよう に気をつけています。また、コーン サイレージ、イタリアンサイレージの 繊維が少ない場合には、ソルゴーを 給与するようにしています」  牛の状態が良くなることがどれほ どうれしいことか、修さんの笑顔は 改めてそれを教えてくれた。 左から有弘さん、修さん夫婦。 C A S E

2

プログラムに沿って「森永もりもりスター ター」「森永育成 20 プラス」、自給 粗飼料、オーツヘイを給与している。   乾 乳 期 間は 6 0 日きっちり設け 、 牛舎の一カ所にまとめて管理している。 このときの給与メニューはオーツ、デ ントコーン、そして配合飼料。 配合 飼料は前期は1∼2kg、後期では4 ∼5kg 給与している。  飼養管理で重視していることをた ずねると、弘之さんは 「乳量を追求 するのではなく、しっかり1年1産さ せること」、武士さんは 「長命連産 の牛作り。 後継牛を残し、いつまで も働いてくれる飼養管理」と答えて くれた。 菊地牧場の当面の目標は、 牛舎を満度に搾り(50 頭牛舎)、1 日あたり1,500kg 搾ること。そのた め、乾乳牛舎の建設も視野に入れ ている。 現状に満足せず、常に向 上心を持っている菊地牧場である。 「森永デーリィ17」導入 により、添加剤のコスト が削減できた菊地牧場。 現在、体細胞数が高い 牛だけにビタミン剤を給 与している。 菊地牧場の草地の面 積は8.5haで、うち、3.5 haでライ麦、デントコー ンを作付け。残り5haで イタリアンを作付けして いる。 小里牧場の牛舎(左)と自給飼料作付け圃場(右)。圃場面積は6ha。 こんな

活動

をしていま す!

那須塩原の「青木農業祭」に

弊社ブース出展

 千国街道は、越後(新潟県)糸魚川から松本に塩な どを運ぶ「塩の道」です。江戸時代には塩俵をはじめ いろいろなものが牛の背に背負われ、この千国街道を 往来しました。運搬に牛が使われたのは、長距離の運 搬に耐えられる、野宿が出来る、道草を食べる、足腰 が丈夫など、長い山道での運搬に重宝であったからです。  信州・小谷の「牛方宿」は、牛方(牛で荷物を運搬 していた人たち)と牛の宿泊施設。造られて約200年、 かつて千国街道にいくつもあった牛方宿屋の姿を今に 伝える唯一の史料です。

長野県北安曇郡小谷村栂池

「牛方宿」

お た り 間口六間、 奥行十間の民家。 弊社出店ブース。 この牛方宿は 19世紀初期の 建築。 開会式では アルプホルンの演奏も。  青木農業祭2009が、4月4日、栃木県那須塩原市の 青木地区で開催され、来場者数が3,800人と大いに賑 わいました。また、同農業祭にて開催された第37回青 木ホルスタイン共進会では、酪農家自慢の改良乳牛が 優美な姿を披露し、最優秀賞を目指し競い合いました。 多くの見学者や約40社という出展企業の多さは、この 地域で酪農が非常に盛んであることを示しています。  開催に伴い、弊社関東支店栃木営業所もブースを出 展させていただきました。「森永らくらくガード」「森 永わくわくミルク」「森永もりもりスターター」「森 永育成20プラス」の森永育成シリーズを展示し、哺乳 時の下痢・育成 牛の発育につい て酪農家の方々 と情報交換させ ていただきました。 写真提供/ 牛方宿資料館 こんなものを

つけました!

(5)

◎ 給与メニュー 配合飼料 森永デーリィ17 自給飼料 コーンサイレージ、 ソルゴサイレージ、 イタリアンサイレージ、 オーツサイレージ 購入飼料 ヘイキューブ、コーン圧ペン、 カカオハスク、脱脂米糠、糖蜜、 チモシーヘイ

ビタミン給与が不要

飼料の区別が容易で

管理も楽に

茨城県 

小里修牧場

飛節の腫れが

なくなるなど

牛体に明らかな変化が

労働人数 3人      (修さん夫婦、長男・有弘さん) 規模 搾乳牛:32頭 乾乳牛:3頭 未経産牛:10頭 生乳生産量 平均日量800kg 2009年5月現在 レポーター/茨城営業所・鈴木安宣 F a r m P r o f i l e  きぬ酪農業協同組合の組合長で ある修さんが 「森永デーリィシリーズ」 の使用を始めたのは、平成 21 年に 入ってから。  「実際に使用してみてわかったのは、 ビタミン、ミネラル混合飼料の使用が なくなったということです。 以前は、 毎月7,000円ほどをビタミン混合飼 料に費用を費やしていましたが、こ の 『森永デーリィ17』 を使用し始 めてから全く使っていません。 その ため、飼料費はもちろん、ビタミン給 与の手間が省けました」  ビタミン給与をやめてからも、以前 と同様に牛は全く問題なく飼養でき ている、と修さんは笑顔で語る。  小里牧場では、以前はバルキー タイプの配合飼料を使用していた。 そして現在、F & P タイプの配合飼 料となったのだが、給与している餌 全体の粗飼料と濃厚飼料をはっきり 分別できるので、餌の給与がしやす くなったという。また、乳量に応じた 粗飼料と濃厚飼料の比率の調節も 容易で、牛の管理もしやすくなった というメリットもあった。  牛体にも明らかな変化が見られる ようになった。  「バルキータイプを使用していた時 は、飛節の腫れが目立っていたんで す。しかし、『森永デーリィシリーズ』 に変えてから、飛節の腫れが大幅 に減少し、今ではほとんど確認され ません。とても安心して使っていま すよ」  また、小里牧場では、『森永デー リィシリーズ』を使用する前は、サイ レージを 20kg /頭給与していたが、 今では 40kg /頭と、給与量は倍に なった。 残滓もごくわずかだという。 輸入乾牧草、ヘイキューブも残さず 食べている、と喜ぶ修さんだ。  『森永デーリィシリーズ』 を給与 する時、注意していることをたずね たところ、「粗飼料をしっかり給与す ること」と修さんは教えてくれた。  「F &Pタイプは配合されているコー ン圧ペンが湿式圧ペンで非常に薄い ので、粗飼料を十分量給与するよう に気をつけています。また、コーン サイレージ、イタリアンサイレージの 繊維が少ない場合には、ソルゴーを 給与するようにしています」  牛の状態が良くなることがどれほ どうれしいことか、修さんの笑顔は 改めてそれを教えてくれた。 左から有弘さん、修さん夫婦。 C A S E

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プログラムに沿って「森永もりもりスター ター」「森永育成 20 プラス」、自給 粗飼料、オーツヘイを給与している。   乾 乳 期 間は 6 0 日きっちり設け 、 牛舎の一カ所にまとめて管理している。 このときの給与メニューはオーツ、デ ントコーン、そして配合飼料。 配合 飼料は前期は1∼2kg、後期では4 ∼5kg 給与している。  飼養管理で重視していることをた ずねると、弘之さんは 「乳量を追求 するのではなく、しっかり1年1産さ せること」、武士さんは 「長命連産 の牛作り。 後継牛を残し、いつまで も働いてくれる飼養管理」と答えて くれた。 菊地牧場の当面の目標は、 牛舎を満度に搾り(50 頭牛舎)、1 日あたり1,500kg 搾ること。そのた め、乾乳牛舎の建設も視野に入れ ている。 現状に満足せず、常に向 上心を持っている菊地牧場である。 「森永デーリィ17」導入 により、添加剤のコスト が削減できた菊地牧場。 現在、体細胞数が高い 牛だけにビタミン剤を給 与している。 菊地牧場の草地の面 積は8.5haで、うち、3.5 haでライ麦、デントコー ンを作付け。残り5haで イタリアンを作付けして いる。 小里牧場の牛舎(左)と自給飼料作付け圃場(右)。圃場面積は6ha。 こんな

活動

をしていま す!

那須塩原の「青木農業祭」に

弊社ブース出展

 千国街道は、越後(新潟県)糸魚川から松本に塩な どを運ぶ「塩の道」です。江戸時代には塩俵をはじめ いろいろなものが牛の背に背負われ、この千国街道を 往来しました。運搬に牛が使われたのは、長距離の運 搬に耐えられる、野宿が出来る、道草を食べる、足腰 が丈夫など、長い山道での運搬に重宝であったからです。  信州・小谷の「牛方宿」は、牛方(牛で荷物を運搬 していた人たち)と牛の宿泊施設。造られて約200年、 かつて千国街道にいくつもあった牛方宿屋の姿を今に 伝える唯一の史料です。

長野県北安曇郡小谷村栂池

「牛方宿」

お た り 間口六間、 奥行十間の民家。 弊社出店ブース。 この牛方宿は 19世紀初期の 建築。 開会式では アルプホルンの演奏も。  青木農業祭2009が、4月4日、栃木県那須塩原市の 青木地区で開催され、来場者数が3,800人と大いに賑 わいました。また、同農業祭にて開催された第37回青 木ホルスタイン共進会では、酪農家自慢の改良乳牛が 優美な姿を披露し、最優秀賞を目指し競い合いました。 多くの見学者や約40社という出展企業の多さは、この 地域で酪農が非常に盛んであることを示しています。  開催に伴い、弊社関東支店栃木営業所もブースを出 展させていただきました。「森永らくらくガード」「森 永わくわくミルク」「森永もりもりスターター」「森 永育成20プラス」の森永育成シリーズを展示し、哺乳 時の下痢・育成 牛の発育につい て酪農家の方々 と情報交換させ ていただきました。 写真提供/ 牛方宿資料館 こんなものを

つけました!

(6)

●今までの給与メニュー ・平成19年10月まで  購入TMR ・平成19年11月から  森永ファイトF&M(廉価版配合飼料)と  購入粗飼料の自家製TMR+他社配合ト  ップドレス ・平成20年5月から  森永デーリィ17と購入粗飼料の自家製  TMRと他社製配合飼料のトップドレス <不満点> ・繁殖の成績が悪かった ・購入TMRの品質の不安定を感じていた ・脂肪肝になりやすかった (過肥牛が目立った) ●現在の1頭当たり給与メニュー  (平成20年11月∼) ・TMR(1頭あたり) アルファルファヘイ 4.9kg オーツヘイ    4.9kg ビートパルプ     4.3kg 森永デーリィ17  11.4kg ・分離給与 オーツヘイ  1∼2kg ・トップドレス 35kg以上の牛を対象に森永デーリィ17 を最大4kgの給与(1日2回に分けて) <牛体の状態など> ・過肥牛がとても減った ・ここ数年で調子は一番いい ・選り食いがなくなり、まんべんなく食べる ・初産でも良く食べる ・事故も減り、入れ替えがとても少なくなった ・余分にかかっていたコスト(添加剤、共済 等)がかからなくなった 図 乳量、乳たんぱくの推移 2,200 2,100 2,000 1,900 1,800 1,700 1,600 1,500 1,400 3.70 (%) (t/日) 3.50 3.60 3.40 3.30 3.20 3.10 3.00 4月 平成18年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 平成19年 平成20年 乳たんぱく 平成18年 乳たんぱく 平成19年 乳たんぱく 平成20年

デーリィ17への一本化で

肥満牛が減少

奈良県 

伏見佳成牧場

労働人数 4人      (佳成さん夫婦、父・昇さん、       母・詔子さん) 規模 搾乳牛:60頭 乾乳牛:10頭 未経産牛:20頭 生乳生産量 平均日量1,900kg 2009年5月現在 レポーター/奈良営業所・川名健司 Fa r m P r o f i l e 両端が佳成さん夫婦、中央にご両親。後ろは奈良営 業所・川名。 C A S E

3

アルファルファのコンテ ナが変わるたびに1週 間ほどかけて切り替えて いる。飼槽には御影石 を使用。清潔に保て、 耐久性も良い。 地域で堆肥処理の組 合を設立。発酵堆肥と して利用。白土を添加 し、半月かけて発酵させ ている。 現在のメニューにしてから乳量が増えた状態で安定してきた。乳たんぱく質も高い状態を維持している。

夏場の乾物摂取量の低下が改善

ビタミン添加剤コストも削減

熊本県 

米野博明牧場

TMRの残滓が

少なくなり

牛の調子も良好

労働人数 3人      (博明さん夫婦、次男・浩二さん) 規模 搾乳牛:60頭 乾乳牛:20頭 育成牛:30頭 生乳生産量 平均日量1,700kg 2009年5月現在 レポーター/熊本営業所・那須敏郎 F a r m P r o f i l e  米野牧場でまず目に付くのはのん びりと反芻をしている綺麗な牛たちだ。 ルースバーン方式で搾乳牛を管理し ている米野牧場では、毎日のベッド メイクに労を惜しむことはない。 牛舎 のにおいにも気を配っていて、1 年 半前から生菌剤給与による牛舎内 の菌叢のコントロールも試みている。  綺麗な空気、綺麗な環境の中で 暮らす牛たちは健康そのもので、突 発的な乳房炎や分娩後の疾病もほ とんどないと言う。 そんな米野牧場 が 「健康な乳牛づくり」 の中で選 んだ配合飼料が 「森永デーリィ17」 だ。 平成 20 年 4 月より使用し、既 に 1 年以上が経過した。  「昨年の夏は TMR の残飼も少な く、喰いが落ちずに、牛たちの調子 が良かった」と浩二さんは夏場の乾 物摂取量低下改善を挙げ、また「ビ タミン添加剤の給与を中止したが、 目立った障害も出ていません」と添 加剤コストの削減というメリットも説明 する。  1 日 2 回、朝6時 20 分と夕方5時 に TMR の混合、給餌を行い、気 温や湿度、サイレージの状態を見極 めながら TMR に加える水分量を調 整している。 TMR の選び食いや二 次発酵の防止も目的であるが、何よ りも一口でも多く飼料を食べさせるこ とが目的であろう。 夏季には24台の

乳牛の事故多発を

自家製TMR、配合飼料で

乗り越える

C A S E

4

 かつて、牛群の半分近くを入れ 替えるほど乳牛の事故発生の割合 が高い時期もあったという伏見牧場。 購入 TMR を導入した当初は泌乳 量が大きく伸びたがそのダメージが 数年後に大きな反動となって現れた と思われる。   そこで平 成 1 9 年 1 1 月、 購 入 TMR から自家製 TMR へと伏見牧 場は転 換を図る。 購 入 T M R は、 手間は減るものの品質が安定せず 状況にあわせた調整が出来なかっ たのが不満であった。自家製 TMR にすることで状況にあわせたメニュー を調整するメリットを選択したのだ。 平成 20 年には、「森永デーリィ17」 を採用。 それまでの配合飼料は価 格が安く、切り替え当初は問題がな かったが、流行性の下痢が発生し て以降、乳量が回復せず思うような 結果が出なかった。 飼料代は下がっ ても乳量が減ってしまっては意味が ないと佳成さんは実感したのだ。  「畜産コンサルタントの瀬野さん ( 弊 社技術顧問 ) から TMR でもアシドー シスになっている可能性を指摘され たんです。そこで『森永デーリィシリー ズ』に含まれるライブイーストでアシドー シスが緩和されることを期待しました」  瀬野顧問からのアドバイスを受け、 佳成さんはまずオーツを TMR に混 ぜずに少しだけ分離給与してみた。 すると、牛の調子が良くなったことを 実 感 。 そして 「 森 永デーリィ1 7 」 に 1ヵ月をかけて徐々に切り替えた。  平成 20 年 10 月にはトップドレスで 乳量 35kg以上の牛に給与してい た他社の配合飼料を「森永デーリィ 17」に一本化。  「乳量を追うために 『森永デーリィ 17』よりも成分の高い配合飼料を使っ ていました。 価格も高い飼料でしたが、 それほど乳量に反映しなかったので、 すべてを『森永デーリィ17』 に切り 替えて様子を見ることにしました」  その結 果 、過 肥 牛が 減るなど、 牛体に明らかな変化が見られた。ま た、以前はトップドレスの配合をトラ ンスバックから取り出して使っていた が 「森永デーリィ17」 はタンクから 使うため、仕事が楽になるという思 わぬ効果もあった と佳 成さんは教え て く れ た 。 購 入 T M R から 現 在 の メ ニューに変えたことで大きく コストも低減。 その効果はわずか 1 年で TMRミキサーの購入費用をま かなうことができたほどだ。 ▽

(7)

●今までの給与メニュー ・平成19年10月まで  購入TMR ・平成19年11月から  森永ファイトF&M(廉価版配合飼料)と  購入粗飼料の自家製TMR+他社配合ト  ップドレス ・平成20年5月から  森永デーリィ17と購入粗飼料の自家製  TMRと他社製配合飼料のトップドレス <不満点> ・繁殖の成績が悪かった ・購入TMRの品質の不安定を感じていた ・脂肪肝になりやすかった (過肥牛が目立った) ●現在の1頭当たり給与メニュー  (平成20年11月∼) ・TMR(1頭あたり) アルファルファヘイ 4.9kg オーツヘイ    4.9kg ビートパルプ     4.3kg 森永デーリィ17  11.4kg ・分離給与 オーツヘイ  1∼2kg ・トップドレス 35kg以上の牛を対象に森永デーリィ17 を最大4kgの給与(1日2回に分けて) <牛体の状態など> ・過肥牛がとても減った ・ここ数年で調子は一番いい ・選り食いがなくなり、まんべんなく食べる ・初産でも良く食べる ・事故も減り、入れ替えがとても少なくなった ・余分にかかっていたコスト(添加剤、共済 等)がかからなくなった 図 乳量、乳たんぱくの推移 2,200 2,100 2,000 1,900 1,800 1,700 1,600 1,500 1,400 3.70 (%) (t/日) 3.50 3.60 3.40 3.30 3.20 3.10 3.00 4月 平成18年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 平成19年 平成20年 乳たんぱく 平成18年 乳たんぱく 平成19年 乳たんぱく 平成20年

デーリィ17への一本化で

肥満牛が減少

奈良県 

伏見佳成牧場

労働人数 4人      (佳成さん夫婦、父・昇さん、       母・詔子さん) 規模 搾乳牛:60頭 乾乳牛:10頭 未経産牛:20頭 生乳生産量 平均日量1,900kg 2009年5月現在 レポーター/奈良営業所・川名健司 F a r m P r o f i l e 両端が佳成さん夫婦、中央にご両親。後ろは奈良営 業所・川名。 C A S E

3

アルファルファのコンテ ナが変わるたびに1週 間ほどかけて切り替えて いる。飼槽には御影石 を使用。清潔に保て、 耐久性も良い。 地域で堆肥処理の組 合を設立。発酵堆肥と して利用。白土を添加 し、半月かけて発酵させ ている。 現在のメニューにしてから乳量が増えた状態で安定してきた。乳たんぱく質も高い状態を維持している。

夏場の乾物摂取量の低下が改善

ビタミン添加剤コストも削減

熊本県 

米野博明牧場

TMRの残滓が

少なくなり

牛の調子も良好

労働人数 3人      (博明さん夫婦、次男・浩二さん) 規模 搾乳牛:60頭 乾乳牛:20頭 育成牛:30頭 生乳生産量 平均日量1,700kg 2009年5月現在 レポーター/熊本営業所・那須敏郎 F a r m P r o f i l e  米野牧場でまず目に付くのはのん びりと反芻をしている綺麗な牛たちだ。 ルースバーン方式で搾乳牛を管理し ている米野牧場では、毎日のベッド メイクに労を惜しむことはない。 牛舎 のにおいにも気を配っていて、1 年 半前から生菌剤給与による牛舎内 の菌叢のコントロールも試みている。  綺麗な空気、綺麗な環境の中で 暮らす牛たちは健康そのもので、突 発的な乳房炎や分娩後の疾病もほ とんどないと言う。 そんな米野牧場 が 「健康な乳牛づくり」 の中で選 んだ配合飼料が 「森永デーリィ17」 だ。 平成 20 年 4 月より使用し、既 に 1 年以上が経過した。  「昨年の夏は TMR の残飼も少な く、喰いが落ちずに、牛たちの調子 が良かった」と浩二さんは夏場の乾 物摂取量低下改善を挙げ、また「ビ タミン添加剤の給与を中止したが、 目立った障害も出ていません」と添 加剤コストの削減というメリットも説明 する。  1 日 2 回、朝6時 20 分と夕方5時 に TMR の混合、給餌を行い、気 温や湿度、サイレージの状態を見極 めながら TMR に加える水分量を調 整している。 TMR の選び食いや二 次発酵の防止も目的であるが、何よ りも一口でも多く飼料を食べさせるこ とが目的であろう。 夏季には24台の

乳牛の事故多発を

自家製TMR、配合飼料で

乗り越える

C A S E

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 かつて、牛群の半分近くを入れ 替えるほど乳牛の事故発生の割合 が高い時期もあったという伏見牧場。 購入 TMR を導入した当初は泌乳 量が大きく伸びたがそのダメージが 数年後に大きな反動となって現れた と思われる。   そこで平 成 1 9 年 1 1 月、 購 入 TMR から自家製 TMR へと伏見牧 場は転 換を図る。 購 入 T M R は、 手間は減るものの品質が安定せず 状況にあわせた調整が出来なかっ たのが不満であった。自家製 TMR にすることで状況にあわせたメニュー を調整するメリットを選択したのだ。 平成 20 年には、「森永デーリィ17」 を採用。 それまでの配合飼料は価 格が安く、切り替え当初は問題がな かったが、流行性の下痢が発生し て以降、乳量が回復せず思うような 結果が出なかった。 飼料代は下がっ ても乳量が減ってしまっては意味が ないと佳成さんは実感したのだ。  「畜産コンサルタントの瀬野さん ( 弊 社技術顧問 ) から TMR でもアシドー シスになっている可能性を指摘され たんです。そこで『森永デーリィシリー ズ』に含まれるライブイーストでアシドー シスが緩和されることを期待しました」  瀬野顧問からのアドバイスを受け、 佳成さんはまずオーツを TMR に混 ぜずに少しだけ分離給与してみた。 すると、牛の調子が良くなったことを 実 感 。 そして 「 森 永デーリィ1 7 」 に 1ヵ月をかけて徐々に切り替えた。  平成 20 年 10 月にはトップドレスで 乳量 35kg以上の牛に給与してい た他社の配合飼料を「森永デーリィ 17」に一本化。  「乳量を追うために 『森永デーリィ 17』よりも成分の高い配合飼料を使っ ていました。 価格も高い飼料でしたが、 それほど乳量に反映しなかったので、 すべてを『森永デーリィ17』 に切り 替えて様子を見ることにしました」  その結 果 、過 肥 牛が 減るなど、 牛体に明らかな変化が見られた。ま た、以前はトップドレスの配合をトラ ンスバックから取り出して使っていた が 「森永デーリィ17」 はタンクから 使うため、仕事が楽になるという思 わぬ効果もあった と佳 成さんは教え て く れ た 。 購 入 T M R から 現 在 の メ ニューに変えたことで大きく コストも低減。 その効果はわずか 1 年で TMRミキサーの購入費用をま かなうことができたほどだ。 ▽

(8)

◎ 米野牧場のTMR作成手順 「森永デーリィ17」・ビートパルプ・コーングルテンフィード・大豆粕・ コーン圧ペン・ふすま・醤油粕をミキサーに投入、混合 ※TMRミキサーはカッター付き8m3。混合時間は30分程度で行うことで、繊維の物理性を保持。

購入乾草(オーツヘイ・アルファルファヘイ)を投入、更に混合

デントコーンサイレージを投入

混合、給与

チーズは、地元のギャラリー「う わのそら」「けやき」や農産物 直売所「パスカルさんだ」で 販売。工房のホームページ からお取り寄せも可能。 クリームチーズは有 馬温泉旅館「御所 坊」、JA丹波ささや ま直売所「味土里 館」で販売。また有 馬温泉のカフェ「カ フェ・ド・ボー」では、 波多野牧場のクリー ムチーズを使用した ケーキを提供している。 クリームチーズの価 格は180gで1,050円。 11月∼4月の限定発 売。 人気商品はスモークされたカチョ カバロ、モッツァレラ、リコッタ。 ◎住所 兵庫県三田市西野上451  ◎TEL・FAX 079-567-1016 ◎URL http://cheese.moo.jp/ ◎住所 兵庫県篠山市今田町今田新田142-1 ◎TEL 079-567-2794 右が浩二さん。左は、熊本営業所・那須。 ルースバーン飼養 されている搾乳牛 群。牛体が非常に 綺麗でゆったりとし ている。 TMRを採食する搾 乳牛。「一口でも 多く」食べさせるよ う、細やかな管理 が行き届いている。

一つ一つに

手間をかけることが

健康な牛づくりにつながる

ファンと重曹のフリーチョイスで乾物 摂取量の低下を防ぐ。 乳牛たちの 社会的順位にも気を配り、搾乳牛を 群分けしている、これもまた TMR 採食量を落とさない工夫である。  米野牧場の自給飼料はデントコー ンサイレージとイタリアンのロールサイ レージ。デントコーンの作付けは1期 で8ha、2期で9ha。イタリアンは4 ha で2番刈りまで収穫。 堆肥は自家 ではまかないきれず他の農家からも 分けてもらっているとのこと。 年間通 してデントコーンサイレージが給与で きるように、TMR に混合する量を調 節し、安定した TMR の給与を行う。 不足する粗飼料及び乾乳・育成牛 に給与する粗飼料として購入乾草を 利用、アルファルファヘイやオーツヘ イを飼 料 設 計に組 み 込んでいる。 先の読めない酪農経営情勢に対し 「今後は更なる自給飼料の増産をして、 飼料コストを下げて行きたい」と浩 二さん。  育成のうまさにも定評がある米野 牧場。 哺乳はロボットで行い、哺育 牛にはアルファルファヘイと「森永も りもりスターター」を飽食で与え、3ヶ 月齢からは上限2kg に設定した「森 永育成 20 プラス」を給与。 遺伝的 改良と確かな育成技術で後継牛を 育てている。  浩二さんは 「日本ホルスタイン登 録 協 会 」 の 「 認 定ジャッジマン」 の資格を持ち、熊本県では7人しか いない認定者の中で最年少だ。 熊 本県改良同志会はじめ、県内各所 での共進会ジャッジの実績があり、 米野牧場の育成に定評があるという のも納得のいく話だ。「健康な牛づ くり」 のコツはここにもあるようだ。  「夏場の種付けには問題があります。 発情発見率は高いと思うのですが」 と現 状 の 問 題 点を語る浩 二さん 。 今夏は自家黒毛和牛より採卵した受 精卵の利用も考え、夏場の受胎率 向上を目指す。 浩二さんは、先にあっ た 「自給飼料増産」 や、「個体乳 量の増加」「搾乳頭数の増加」を 今後の目標に挙げている。「堆肥 処理を考えると規模を大きくしすぎる のも問題 。 家族3人で無理せずに 出来る酪農経営を続けて行きたい」 とあくまで控えめだ。しかし、その 言葉の裏には乳牛たちを細やかに 管理している米野牧場の姿が確か にある。 手間を惜しまず一頭一頭 の乳牛をしっかりと観察・管理する ことが、何よりも「健康な乳牛づくり」 に繋がるのだろう。

素材の特徴を生かした

上質なチーズが人気

 日向敬一さん、妻のみどりさん、ご子息の渉さんの 3 人で営む日向牧場。工房を始めたきっかけは、みどりさ んが自家製のモッツァレラチーズをつくり始めたことで した。チーズの原料は勿論、日向牧場の上質な自家製原乳。 現在は高橋和秀さんを製造担当者に迎え、モッツァレラ やリコッタ、モナミなど9種類のチーズを製造し、阪神 地域を中心に約 60 店舗のレストランに出荷されています。 「酪農家故に、素材そのものの香りや旨味を大切にしたい」 と、みどりさん。添加物は使用せず、塩分も極力抑える ことで素材の特徴を生かすように心がけているそうです。

22年間つくり続けてきた

極上のクリームチーズ

 HADANO FARMS でつくられている商品は、クリーム チーズ1種類のみ。牧場主である波多野さんが22年間、 牛舎での作業からチーズづくり、販売までの全てを一人 で行ってきました。   チーズには乳酸菌以外の添加物は一切加えず、牛の餌も、 森永酪農販売の遺伝子組み替えでない配合飼料を使用し ています。おいしさはもちろんのこと、安心・安全な生 乳生産・チーズづくりにこだわる波多野さん。クリームチー ズには、22年間の思いが凝縮されています。販売期間は 11月∼4月まで。地方発送も可能です。 兵庫県・日向牧場 兵庫県・波多野牧場

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◎ 米野牧場のTMR作成手順 「森永デーリィ17」・ビートパルプ・コーングルテンフィード・大豆粕・ コーン圧ペン・ふすま・醤油粕をミキサーに投入、混合 ※TMRミキサーはカッター付き8m3。混合時間は30分程度で行うことで、繊維の物理性を保持。

購入乾草(オーツヘイ・アルファルファヘイ)を投入、更に混合

デントコーンサイレージを投入

混合、給与

チーズは、地元のギャラリー「う わのそら」「けやき」や農産物 直売所「パスカルさんだ」で 販売。工房のホームページ からお取り寄せも可能。 クリームチーズは有 馬温泉旅館「御所 坊」、JA丹波ささや ま直売所「味土里 館」で販売。また有 馬温泉のカフェ「カ フェ・ド・ボー」では、 波多野牧場のクリー ムチーズを使用した ケーキを提供している。 クリームチーズの価 格は180gで1,050円。 11月∼4月の限定発 売。 人気商品はスモークされたカチョ カバロ、モッツァレラ、リコッタ。 ◎住所 兵庫県三田市西野上451  ◎TEL・FAX 079-567-1016 ◎URL http://cheese.moo.jp/ ◎住所 兵庫県篠山市今田町今田新田142-1 ◎TEL 079-567-2794 右が浩二さん。左は、熊本営業所・那須。 ルースバーン飼養 されている搾乳牛 群。牛体が非常に 綺麗でゆったりとし ている。 TMRを採食する搾 乳牛。「一口でも 多く」食べさせるよ う、細やかな管理 が行き届いている。

一つ一つに

手間をかけることが

健康な牛づくりにつながる

ファンと重曹のフリーチョイスで乾物 摂取量の低下を防ぐ。 乳牛たちの 社会的順位にも気を配り、搾乳牛を 群分けしている、これもまた TMR 採食量を落とさない工夫である。  米野牧場の自給飼料はデントコー ンサイレージとイタリアンのロールサイ レージ。デントコーンの作付けは1期 で8ha、2期で9ha。イタリアンは4 ha で2番刈りまで収穫。 堆肥は自家 ではまかないきれず他の農家からも 分けてもらっているとのこと。 年間通 してデントコーンサイレージが給与で きるように、TMR に混合する量を調 節し、安定した TMR の給与を行う。 不足する粗飼料及び乾乳・育成牛 に給与する粗飼料として購入乾草を 利用、アルファルファヘイやオーツヘ イを飼 料 設 計に組 み 込んでいる。 先の読めない酪農経営情勢に対し 「今後は更なる自給飼料の増産をして、 飼料コストを下げて行きたい」と浩 二さん。  育成のうまさにも定評がある米野 牧場。 哺乳はロボットで行い、哺育 牛にはアルファルファヘイと「森永も りもりスターター」を飽食で与え、3ヶ 月齢からは上限2kg に設定した「森 永育成 20 プラス」を給与。 遺伝的 改良と確かな育成技術で後継牛を 育てている。  浩二さんは 「日本ホルスタイン登 録 協 会 」 の 「 認 定ジャッジマン」 の資格を持ち、熊本県では7人しか いない認定者の中で最年少だ。 熊 本県改良同志会はじめ、県内各所 での共進会ジャッジの実績があり、 米野牧場の育成に定評があるという のも納得のいく話だ。「健康な牛づ くり」 のコツはここにもあるようだ。  「夏場の種付けには問題があります。 発情発見率は高いと思うのですが」 と現 状 の 問 題 点を語る浩 二さん 。 今夏は自家黒毛和牛より採卵した受 精卵の利用も考え、夏場の受胎率 向上を目指す。 浩二さんは、先にあっ た 「自給飼料増産」 や、「個体乳 量の増加」「搾乳頭数の増加」を 今後の目標に挙げている。「堆肥 処理を考えると規模を大きくしすぎる のも問題 。 家族3人で無理せずに 出来る酪農経営を続けて行きたい」 とあくまで控えめだ。しかし、その 言葉の裏には乳牛たちを細やかに 管理している米野牧場の姿が確か にある。 手間を惜しまず一頭一頭 の乳牛をしっかりと観察・管理する ことが、何よりも「健康な乳牛づくり」 に繋がるのだろう。

素材の特徴を生かした

上質なチーズが人気

 日向敬一さん、妻のみどりさん、ご子息の渉さんの 3 人で営む日向牧場。工房を始めたきっかけは、みどりさ んが自家製のモッツァレラチーズをつくり始めたことで した。チーズの原料は勿論、日向牧場の上質な自家製原乳。 現在は高橋和秀さんを製造担当者に迎え、モッツァレラ やリコッタ、モナミなど9種類のチーズを製造し、阪神 地域を中心に約 60 店舗のレストランに出荷されています。 「酪農家故に、素材そのものの香りや旨味を大切にしたい」 と、みどりさん。添加物は使用せず、塩分も極力抑える ことで素材の特徴を生かすように心がけているそうです。

22年間つくり続けてきた

極上のクリームチーズ

 HADANO FARMS でつくられている商品は、クリーム チーズ1種類のみ。牧場主である波多野さんが22年間、 牛舎での作業からチーズづくり、販売までの全てを一人 で行ってきました。   チーズには乳酸菌以外の添加物は一切加えず、牛の餌も、 森永酪農販売の遺伝子組み替えでない配合飼料を使用し ています。おいしさはもちろんのこと、安心・安全な生 乳生産・チーズづくりにこだわる波多野さん。クリームチー ズには、22年間の思いが凝縮されています。販売期間は 11月∼4月まで。地方発送も可能です。 兵庫県・日向牧場 兵庫県・波多野牧場

(10)

 国内で TMR(Total Mixed Rations)と呼ばれて いるものは、幾つかの種類があります。ミキシングセンター で TMR を混合し、各農場に配送されているステーショ ナリィTMRといわれるものがあります。 原料に食品残滓 などを取り入れた、いわばイスラエル方式の TMRもあり ます。 ステーショナリィTMR は、「飼料安全法」 及び その関連法規に基づく規制の下で製造、輸送、給与が 管理されており、「乳牛用飼料」として販売されている ものです。ここでは、自分の農場の乳牛だけに給与す るために自分の農場のミキサーを使うTMR を前提に話 を進めます。  TMR は、乳牛の群管理を前提にしていて、飼料給 与での、「粗飼料と濃厚飼料の選り好み(選択摂取)を、 防止するため、あらかじめ混合する給与方法」 です。 乳牛をフリーストールやルースバーンなどで、グループ分 けして管理するときに、分離給与では、粗飼料と濃厚飼 料を偏って摂取する牛がいるために採用されました。 同 じような給与方法は、米国南西部の肉牛フイードロッドで 1950 年代から行われていましたが、粗飼料割合が 10% 程度であるため、ミキシングは比較的容易でした。しかし、 乳牛では、粗飼料割合が 50% 以上になるため、容量 が増え、ミキシングが難しかったので、普及しませんでし た。  ところが、高水分子実トウモロコシや、コーンサイレージ、 アルファルファサイレージなどの自給飼料を生産する酪農 家が多い米国中西部の酪農地帯で、1980 年代から乳 牛に対する TMR 給与が普及しました。 TMR 給与は サイレージなどの水分の多い飼料の利用が背景になって います。 そこで、研究者は TMR の普及に過大な期待 を込めたので、「乳牛が必要とするすべての飼料成分 を混合したもの」などと解説されようになりました。「TMR とは、乳牛に飼料を給与する方法」 の 1 つで、「完全 な飼料」を作ることではありません。「完全な飼料」 で ないので、TMRも問題を起こします。もちろん、TMR の変更で解決できない問題も存在しますが、TMRの問 題を改善する方法を一緒に考えてみましょう。  栄養成分が細かな単位(PAF、TDN1X、Ne 3X、 NDICP、NFC、Raf50%RUP など)まで確定されるに つれて、乳牛の栄養設計に関与している専門家やコン サルタントのなかに、濃厚飼料や粗飼料の区分を理解し ない人が多くなっています。 さらに、栄養成分の計算上では、穀類の単体飼料や 粗飼料の栄養成分は全て同じものとみなすという前提条 件があり、たとえば、粗飼料の蛋白質も濃厚飼料の蛋 白質も同じものとみなします。 このため、ひとつひとつの飼料の特性が忘れられてきま した。また、TMR 設計に、多くの栄養成分値を用いま すが、コンピューター成分データとしては存在するものの、 実際の成分値は分析しなければわからないのですから、 直ちに使える数値として有効なものではありません。 つま り、細かな架空の数値だけが計算されることになります。  ところが、濃厚飼料と呼ぶ穀類と、粗飼料と呼ぶ乾 草は、成分が同じでも乳牛に与える影響は違います 。 栄養成分の上では違いがないのに、実際に乳牛に与え る影響が違うと言うような点に乳牛の飼料給与の難しさ があるのです。このことは、牛以外の単胃動物と異なる 点です。 反芻動物の栄養学や生理学の特性から開発 されたさまざまな指標が忘れられ、まるで単胃動物のよう に扱われていることにつねづね危惧を抱いています。  実際には、各飼養標準でも粗飼料と濃厚飼料という 分類が、次第に重視されてきています。 飼料の成分か ら見るとNDF が多く、概ね 40% 以上のものを粗飼料と 呼びます。 NDF 含量が少なく、概ね 20% 以下のもの を濃厚飼料と呼びます。ビートパルプと綿実は NDF が 多いにもかかわらず 、濃厚飼料に分類されています 。  それは、単に飼料成分だけでなく、牛に対して影響 する物理性や栄養価によるものです。 NRC2001 でも「粗 飼料は茎、葉、場合によっては穀類から構成される飼料」 と定義され、「粗飼料は青刈り、乾草、あるいはサイレー ジとして給与される」と記述され、「成分表 15-1」にも、 エネルギー評価のために粗飼料と濃厚飼料が分類され ています。 濃厚飼料と粗飼料の区分は、反芻動物の生 理学が発達することでますます重要になってきています。  成分分析で確認することなく、給与する前の TMR を 評価する方法は、視覚や嗅覚、手で触ることの他は、 濃厚飼料や粗飼料の比率しかないのですから重要な区 分です。この比率を軽視することに、TMR に問題を起 こす原因が潜んでいます。  問題が起こると、TMR の全ての原料の組み合わせを 再設計する例が多いのですが、この再設計が問題を複 雑にし、解決策を見失ってしまうことが多くなっています。 もちろん、TMR の飼料全体を変えることで解決すること もあります。しかし、理論的には、問題が起こったときに、 真の原因を探ることなく、異なる方法を採用して、その 結果を見て、偶然に解決策を見つける行動になっている ことに気づいてません。 例えば、ケトーシスや胎盤停滞 などの周産期病が多くなってしまったり、あるいは、乳牛 の軟便が続き、乳量が急激に減少したというような問題 が起きたときに、どのように対応したらよいのでしょうか。  実際の農場では、原因を探ることは非常に難しいこと

牛の健康のために

TMRを改善する

10のポイント

特別

稿

Farmer's Eye Special Contribution

日本農産工業研究開発センター、家畜飼養標準専門部会構成員、 飼料工業会鶏卵食肉対策委員を経て畜産システム研究会評議 委員、畜産学会会員。共著「動物の飼料」など、論文多数。 畜産コンサルタント

瀬野 豊彦

Seno Toyohiko

1

TMRは、飼料の給与法1つです

TMRで、乳牛の全ての問題を改善できると思わないで下さい

2

濃厚飼料と粗飼料の比率を常に考えます

3

TMR給与でも、分離給与を併用することが、

もっとも現実的な解決法です

粗飼料60%濃厚飼料40%のTMRで、 180時間連続のルーメン内の測定結果、平均がpH5.53になっている例 20 40 60 80 100 Time ( h ) 120 140 160 180 5 R u m in al ( p H ) 5.5 5 6.5 7

(11)

 国内で TMR(Total Mixed Rations)と呼ばれて いるものは、幾つかの種類があります。ミキシングセンター で TMR を混合し、各農場に配送されているステーショ ナリィTMRといわれるものがあります。 原料に食品残滓 などを取り入れた、いわばイスラエル方式の TMRもあり ます。 ステーショナリィTMR は、「飼料安全法」 及び その関連法規に基づく規制の下で製造、輸送、給与が 管理されており、「乳牛用飼料」として販売されている ものです。ここでは、自分の農場の乳牛だけに給与す るために自分の農場のミキサーを使うTMR を前提に話 を進めます。  TMR は、乳牛の群管理を前提にしていて、飼料給 与での、「粗飼料と濃厚飼料の選り好み(選択摂取)を、 防止するため、あらかじめ混合する給与方法」 です。 乳牛をフリーストールやルースバーンなどで、グループ分 けして管理するときに、分離給与では、粗飼料と濃厚飼 料を偏って摂取する牛がいるために採用されました。 同 じような給与方法は、米国南西部の肉牛フイードロッドで 1950 年代から行われていましたが、粗飼料割合が 10% 程度であるため、ミキシングは比較的容易でした。しかし、 乳牛では、粗飼料割合が 50% 以上になるため、容量 が増え、ミキシングが難しかったので、普及しませんでし た。  ところが、高水分子実トウモロコシや、コーンサイレージ、 アルファルファサイレージなどの自給飼料を生産する酪農 家が多い米国中西部の酪農地帯で、1980 年代から乳 牛に対する TMR 給与が普及しました。 TMR 給与は サイレージなどの水分の多い飼料の利用が背景になって います。 そこで、研究者は TMR の普及に過大な期待 を込めたので、「乳牛が必要とするすべての飼料成分 を混合したもの」などと解説されようになりました。「TMR とは、乳牛に飼料を給与する方法」 の 1 つで、「完全 な飼料」を作ることではありません。「完全な飼料」 で ないので、TMRも問題を起こします。もちろん、TMR の変更で解決できない問題も存在しますが、TMRの問 題を改善する方法を一緒に考えてみましょう。  栄養成分が細かな単位(PAF、TDN1X、Ne 3X、 NDICP、NFC、Raf50%RUP など)まで確定されるに つれて、乳牛の栄養設計に関与している専門家やコン サルタントのなかに、濃厚飼料や粗飼料の区分を理解し ない人が多くなっています。 さらに、栄養成分の計算上では、穀類の単体飼料や 粗飼料の栄養成分は全て同じものとみなすという前提条 件があり、たとえば、粗飼料の蛋白質も濃厚飼料の蛋 白質も同じものとみなします。 このため、ひとつひとつの飼料の特性が忘れられてきま した。また、TMR 設計に、多くの栄養成分値を用いま すが、コンピューター成分データとしては存在するものの、 実際の成分値は分析しなければわからないのですから、 直ちに使える数値として有効なものではありません。 つま り、細かな架空の数値だけが計算されることになります。  ところが、濃厚飼料と呼ぶ穀類と、粗飼料と呼ぶ乾 草は、成分が同じでも乳牛に与える影響は違います 。 栄養成分の上では違いがないのに、実際に乳牛に与え る影響が違うと言うような点に乳牛の飼料給与の難しさ があるのです。このことは、牛以外の単胃動物と異なる 点です。 反芻動物の栄養学や生理学の特性から開発 されたさまざまな指標が忘れられ、まるで単胃動物のよう に扱われていることにつねづね危惧を抱いています。  実際には、各飼養標準でも粗飼料と濃厚飼料という 分類が、次第に重視されてきています。 飼料の成分か ら見るとNDF が多く、概ね 40% 以上のものを粗飼料と 呼びます。 NDF 含量が少なく、概ね 20% 以下のもの を濃厚飼料と呼びます。ビートパルプと綿実は NDF が 多いにもかかわらず 、濃厚飼料に分類されています 。  それは、単に飼料成分だけでなく、牛に対して影響 する物理性や栄養価によるものです。 NRC2001 でも「粗 飼料は茎、葉、場合によっては穀類から構成される飼料」 と定義され、「粗飼料は青刈り、乾草、あるいはサイレー ジとして給与される」と記述され、「成分表 15-1」にも、 エネルギー評価のために粗飼料と濃厚飼料が分類され ています。 濃厚飼料と粗飼料の区分は、反芻動物の生 理学が発達することでますます重要になってきています。  成分分析で確認することなく、給与する前の TMR を 評価する方法は、視覚や嗅覚、手で触ることの他は、 濃厚飼料や粗飼料の比率しかないのですから重要な区 分です。この比率を軽視することに、TMR に問題を起 こす原因が潜んでいます。  問題が起こると、TMR の全ての原料の組み合わせを 再設計する例が多いのですが、この再設計が問題を複 雑にし、解決策を見失ってしまうことが多くなっています。 もちろん、TMR の飼料全体を変えることで解決すること もあります。しかし、理論的には、問題が起こったときに、 真の原因を探ることなく、異なる方法を採用して、その 結果を見て、偶然に解決策を見つける行動になっている ことに気づいてません。 例えば、ケトーシスや胎盤停滞 などの周産期病が多くなってしまったり、あるいは、乳牛 の軟便が続き、乳量が急激に減少したというような問題 が起きたときに、どのように対応したらよいのでしょうか。  実際の農場では、原因を探ることは非常に難しいこと

牛の健康のために

TMRを改善する

10のポイント

特別

稿

Farmer's Eye Special Contribution

日本農産工業研究開発センター、家畜飼養標準専門部会構成員、 飼料工業会鶏卵食肉対策委員を経て畜産システム研究会評議 委員、畜産学会会員。共著「動物の飼料」など、論文多数。 畜産コンサルタント

瀬野 豊彦

Seno Toyohiko

1

TMRは、飼料の給与法1つです

TMRで、乳牛の全ての問題を改善できると思わないで下さい

2

濃厚飼料と粗飼料の比率を常に考えます

3

TMR給与でも、分離給与を併用することが、

もっとも現実的な解決法です

粗飼料60%濃厚飼料40%のTMRで、 180時間連続のルーメン内の測定結果、平均がpH5.53になっている例 20 40 60 80 100 Time ( h ) 120 140 160 180 5 R u m in al ( p H ) 5.5 5 6.5 7

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