近畿大学工学部研究報告 NQ41,2
∞
7年,pp.29‑34Research Reports of the School of Engineering, Kinki University NQ41,2007,pp.29‑34
地 震 に よ る 水 道 管 網 の 被 害 予 測
一三木市におけるケーススタディー
難 波 義 郎 r 事 井 渉 帥
E a r t h q u a k e ‑ p r o o f A b i l i t y ofWater Supply P i p e l i n e Network Case Study on Miki C i t y
1. はじめに
Yoshiro NAMBA*, Wataru SAWAI**
Synopsis
The emergency restoration and the earthquake‑proof of pipeline is general as the disaster prevention measures in a water supply pipeline network system. And it is important to be predicting the scale of the damage and the location with a lot of occurrence of the damage to the assumption earthquake beforehand ωdraft an e妊icienteffective plan. The region for this research was made into Miki City. And the damage prediction was performed as well as the situation was grasped.
When the seismic intensity of the Great Hanshin Earthquake has happened in Miki City by the numerical value without liquefaction, pipeline damage prediction finds out that at least about 58 cases of damage occurs around the Midorigaoka junior high school. Damage prediction in whole Miki City will be a result as about 1394 cases, and PVC pipe damage accounts for about 76 %. The damage ratio of this study was about 4 case /km more than the result of the water supply pipeline damage by the real earthquake in the past.
Even if the damage can't be stopped from now on, we should decide not to make them expand. The water victim of an accident population and the restored number of days should be considered by the damage prediction result. It becomes important to secure necessary water quantity, materials and equipments according to that.
Keywords: water supply pipeline, earthquake‑proof, damage prediction
阪神大震災を経て、建築物・施設等の上屋については、
かなりの耐震性能をもたせることができるようになって きた。しかし、配水管や給水管などは設置される場所が
地中ということもあり、大地震にあっては、ある程度の 被害を受けることはやむを得ない状況におかれている。
地震国である我が国において、水道管路の被害の発生と
*近畿大学工学部建築学科
枇 JA兵庫みらい
Department of Architecture, School of Engineering, Kinki University JA Hyogo Mirai Co‑operative Union
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水量の確保は、なお残された課題といえる。多くの管路 被害は大きな地盤変状が発生する地域に集中することか ら、地中管路の地震外力には地盤波動だけではなく地盤 条件も考慮する必要がある。そして、また地震時におけ る地中管路は、地盤波動だけではなく、地すべりや液状 化に伴った地盤の変形による被害を十分考慮した上で、
事前対策を練る必要がある。そこで、阪神淡路大震災に おける上水道管路の管種・口径別被害の特長と新潟中越 地震における地盤変状の原因となる地震動と地形条件に 着目した。水道管路の地震対策として、管路の耐震化な どの予防対策や震災時の応急復旧対策などが一般的であ るが、効率的・効果的な計画を立案するには、あらかじ め想定地震に対する被害の規模や被害の発生の多い場所 を予測していくことが重要である。
本研究は兵庫県三木市を対象として水道管網の耐震化 の状況を把握するとともに被害予測を行い、管路、属具 被害の対策を考えることを目的とした。
2.三木市へのヒアリング結果
三木市は、兵庫県南部の東播磨地方に位置する。播磨 平野に含まれ、市域を東から西に美嚢川が流れる。平野 部を囲むように河岸段丘となだらかな丘陵が広がる。南 東部の神戸市との境付近には新興住宅地がある。人口は、
平成18年度6月末日で84,664人(世帯数30,577戸) となっている。三木市水道局へのヒアリング結果の概要 を以下に示す。
三木市の上水道は1962年6月より給水が開始され、深 井戸を水源とする三木市、西部、小林、城山、広野、緑 ケ丘の6浄水施設のほか、表流水を水源とする脇川浄水 場も供用されている。給水能力は4万2160m3、上水道 管(導水管・送水管・配水管)は総延長約 482kmで、あ る。水源の特徴としては、自己水源2万8800m3/日のう ち87%を深層地下水で、占めており、これらを取水するた めに83本の深井戸が掘られている。兵庫県営水道からの 受水量は年間受水量の30%のウェイトを占めている。
三木市では阪神淡路大震災直後2万4500戸中約40%
に当たる9700戸で断水した。すぐ応急復旧工事が行われ、
翌1月18日には断水戸数が20戸となり、1月21日には 仮復旧が完了した。比較的激震地から離れていたが、阪 神淡路大震災の水道施設被害では、緑が丘配水池 (PC造 容量 4000m:l)で全周に亀裂が入り、自由が丘配水池(鋼 製 パ ネ ル 組 み 立 て 式 容 量260m:l)も損壊し、共に解体・
撤去された。緑ケ丘配水池撤去後、少し離れた場所に東 部配水池が建設された。容量は緑ケ丘配水池の2.5倍の l万ぜである。
このほかに貯水池で、ある第 l水源池の堤体の亀裂発生 (延長110mや脇川、緑ケ丘浄水場沈殿池の躯体亀裂によ る漏水等があったが、浄水処理には支障をきたさなかっ た。管路については配水管損傷が35箇所、給水管につい
表 1 三木市の上水道管路の耐震化状況(覧) 阪 神 大 震 災 直 前 平成17年 度 末 時 点
導 水 管 0.0 0.1
配ノk支管 O. 1 4.2
送水管 0.0 11. 6
配 水 木 管 6.0 24.4
ては43箇所発生した。
三木市の阪神大震災前の時点からの上水道管路の耐震 化は、表1に示すように阪神淡路大震災直前から平成17 年度末まで、に導水管の耐震化が0.0%から0.1%、配水支 管が0.1%から 4.2%、送水管が0.0%から 11.6%、配水 本管が6.0%から24.4%、となっており、0.2%から4.3%
程度となっていることがわかったo
このように、水道管の耐震化はあまり進んでいないが、
緊急遮断弁が震災から平成17年度末までに10個から20 個となっており、水道管耐震化の目的で、ある水量の確保
に関してはやや進んでいる。その他にも、水量の確保に ついては、配水区域のブロック化を行い、緊急時にブロ ック内の応急復旧等に必要な水量を配水池のベースに確 保をする方法が行われている。
また、緊急貯水槽も0個から7個に増えており、隣接 する市からの送水が不可能で、あっても数日間は被災者に 水を{共給することができるようになっている。
また、停電時でも深井戸と発電機により応急給水がで、
きる場所を4箇所設置している。
さらに、阪神大震災の時に神戸市に送水する事を可能 にした連絡管を利用し、自市のみの水確保ではなく隣接 し合う市で水を互いに有効利用することで、間接的に耐 震性の強化が図られている。
3.過去の地震による水道管被害
3.1 阪神淡路大震災時の被害
阪神淡路大震災で水道に被害が生じた兵庫県東南部地 域の市町をわけると、阪神・播磨地域の9市、淡路地域 の1市7町に区分される。更に阪神・矯磨地域の9市を 大別すると、淀川から取水している阪神水道企業段を主 水源としている給水4市とそれ以外の兵庫県企業庁によ る兵庫県水道用水供給事業から水道用水の供給を受けて し、る5市に大別できる 三木市もこの5市の中に入って し唱。それぞれ、各市の自己水源と阪神水道企業団、兵 庫県水道用水供給事業を水源としていた。
神戸市及び西宮市には、兵庫県営水道も供給されてい たが、神戸市では 2%程度であり、商宮市でも、被害の 著しかった南部地域は阪神水道企業団の用水供給区域で、
あった。
被災22事業体(兵庫県下16事業/神戸市、明石市、芦 屋市、尼崎市、伊丹市、川西市、宝塚市、西宮市、三木 市、淡路町、一宮町、津名町、東浦町、北淡町兵庫県企
地震による水道管網の被害予測 一三木市におけるケーススタデイー 31
業庁及び阪神水道企業団、大阪府下6事業/大阪市、豊中 市、池田市、堺市、吹田市及び高槻市)全体4295件で、
管種別ではダクタイル鋳鉄管 (A,K, T形)と鋳鉄管の被 害が多い。ただしダクタイル鋳鉄管 (A,K, T形)の布設 延長は他の管種に比較して大きく、そのために被害箇所 数も多くなっている。
ダクタイル鋳鉄管 (S,
s n
形)は液状化が生じやすい埋 立地や造成地で布設されていたが、継手部の離脱防止機 能が働き、被害の発生はない。管種被害の特徴は水管の被害集計結果からは、ダクタ イル鋳鉄管、鋳鉄管、水道用塗覆装鋼管及び亜鉛メッキ 鋼管が管路1km当たりの被害率(件/km)が、 0.5件未満 と小さくなっている。逆に硬質塩化ピニル管と石綿セメ ント管が管路1km当たり 1件以上と大きい。
また、ダクタイル鋳鉄管は管種全体の38%の被害がで ており、その原因は「継手部被害の抜け」が 92.6%
(1259/1359)である。鋳鉄管も管種全体の 33%の被害が でているが、原因はダクタイル鋳鉄管と少し異なり「継 手部被害の抜け」が32.6% (378/1159)、管体被害による
「亀裂Jが45.6% (529/1159)と管体被害の方が多くなっ ている。
神戸市の被害では「継手の離脱等」と「属具の破損等J が主な原因となっている。口径による被害の特徴は、口 径100 '"'‑'2 OOmmによる被害件数が多く全体の72.5%((348
+611 +314) /1757)で、ある。被害の原因は「継手の離脱等j
が54.60/0(960/1757)となっている。
また、口径700'"'‑'1000mmの被害件数は少ないものの被 害率は、O.77'"'‑'6. 02 (件/Km)と大きな値となっていること がわかる。
3.2 新潟県中越地震時の被害
新潟県長岡市では、新潟県中越地震によって妙見浄水場 で地盤沈下や配管類の損傷、水質検査機器等の破損が発 生した。しかし浄水施設など主要設備・構造物に大きな 損傷はなく、非常用電源の稼動により 10月23日中には 運転を再開した。また3箇所の配水池には阪神淡路大震 災以降に緊急遮断弁が設置されており、地震後に有効に 作動し、配水池に水を確保できた。配水池からは配水し 続けたが、消火用水確保のため、市の約 10.4%である 70,000世帯が断水となった。主要配水池の水量が回復す ると高台地区を除きほぼ復旧したが、管路損傷の大きい 川東高台地区は断水が続き、完全復旧には約1ヶ月を要
した。
長岡市の水道管路の敷設延長は約1,100kmであり、全 体の37%が口径75mm以下、 57%が口径100'"'‑' 350mm、6%
が口径400mm以上の管路構成である。また管種では、ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 の 延 長 が 長 く 、 全 体 の 66%以 上 (710.9km)にもなっている。とくに、口径75mm以上の 管路では85%がダクタイル鋳鉄管である。このダクタイ ル鋳鉄管の継手は、ほとんどA形、 K形継手であるが、
表2阪神大震災時の被害状況1(22事業体)
イ イ
ー1ルし信錨書笹管量管種管ffAs‑‑SK‑ET抱軍基】:
官i昭 事 密彊2込E星
lそ の 惜 ) 極 付 語 泊 + の 柑 l同 町1"宮 田 .,, 125 135 51 91
司容置婆薗圏腎 }・ッキ置管
14f‑.....ニル管 19
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13
ー ー ー ー ー ー ー ー
且91 152 195 < 堕 lL41 63 10314: t∞
(%] 25 55
表3阪神大震災時の被害状況2(22事業体)
表4 阪神大震災時の被害状況3(神戸市)
被害態様別件昔 (
口m径m) 配水(管m)延 長│耐(件符)獄 平(勾件被Ik害m)率l管体の折れ等l継手の離脱等 ,.‑異の破損等 50 64.881 11 0.17 5 6
。
75 167.893 65 0.39 14 29 22 100 796.885 348 0.43 60 150 138 150 1.463.904 611 0.42 114 371 126 200 753.960 314 0.42 56 200 58 250 39.391 23 0.58 6 16
300 394.182 212 0.54 26 137 49 350 17.635 4 0.23 3
。
400 80.114 50 0.62 12 20 18
450 3.082
。 。 。 。 。
500 90.855 29 0.32 4 5 20 600 45.333 19 0.42 2 6 11 700 47.008 36 0.77 1 3 32 800 10.264 8 0.78 4 3 900 26.131 24 0.92 2 10 12 1000 498 3 6.02
。 。
3 計 4.00,2016 1757 平均0.44 304 960 493表5新潟県中越地震時の被害状況(長岡市)
鶴 鉄 管 錨 笹 │右綿セメント管 │雇質塩化ピーレーの他 tt │瞥盛延長(km!被害車{件Ikm
<50 12 75 87
50 28 74 102 251.4 0.75 白 血 ∞ 44 E 5 54 467.9 0.12 径 ;:;;150 31 2 33 154.2 。21 :$2ω 日 9 69.6 。13 2ω〈 24 25 141.3 0.18 主態
! H
錘管道E手手体路ず磁廟趨断檀れtす 419 222118 13152 17271 2429 3 31
4骨十~ 88 4 72 2 。 14 54 1188 33208 1084.4 0.30 管 路 延 長(km 73.8 13.8 5.6 227.5 1084.4
│被害事(件Ikm 0.98 0.98 。ω 0.68 0.30
約2.5kmの延長でNS形、SII形の耐震継手のダクタイル 鋳鉄管が埋設されている。
新潟県中越地震での長岡市の口径・管路被害の特徴は、
表5に示すように、やはり鋳鉄管と鋼管の被害率が共に 0.98件と最も高くなっている。鋼管は、口径に関係なく 破損しているが、鋳鉄管の被害は100'"'‑'200mmの口径に集
中していることがわかる。
4.三木市の水道管路被害の予測
4. 1 水道管路および属具被害の予測式
実際の阪神大震災時に三木市は緑ケ丘配水池、自由が 丘配水池と亀裂による解体・撤去をした。また、水道管 は配水管損傷が35箇所、給水管が43箇所、合計78箇所 の被害が出ている。
本研究では、水道管路および属具被害について次式に よって計算するものとした1).2)。
管路の被害件数=ら.Cd '
q ・ 5 ・ レL
属具の被害件数=ら .q .
ら 'L
ここに、 品:標準被害率(件/km) ら=4.11X10‑9xα2.92
a:最大加速度(gal) ら:管種による補正係数 ら:口径による補正係数
(1) (2) (3)
q :
液状化の程度による補正係数 L:管路延長 (km)補正係数は過去の地震における被害を反映して決定さ れているもので、表6"‑'8のように設定しているの。
表6 管種による補正係数 管 種 補 正 係 数=Cp ダクタル鋳鉄管 0.3
鋳 鉄 管
水 道 用 塗 覆 装 鋼 管 0.3 硬 質 塩 化 ビ ニ ル 管
E
鉛メッキエ鋼管 4 石綿セメント管 2.5 表7 口径による補正係数口径 補正係数 =Cd
75 1.6 100‑150
200‑250 0.9 300‑450 0.7 500‑600 0.5 表8 液状化による補正係数
式(1),,‑,(3)に三木市の水道管網図 (1: 2500横1.98km 縦1.485km=面積2.94km2、緑ケ丘中学校付近および緑ケ 丘小学校付近の 2枚)の地域における液状化の程度、管 路延長 (km)、阪神大震災の最大加速度 800(gal)を代入 する。また、阪神大震災時の三木市における地震記録は ないので、隣接する加古川市と六甲の加速度の値を参考 にして同程度の地震を想定した300(gal)を代入し、実際 の被害と被害予測結果を比較した。
4.2 加速度800galの場合の被害予測結果
緑ケ丘中学校付近の水道管網図の範囲で約 50%が山 になっており、住宅地は傾斜部分に連なっている。水道 管の種類はダクタイル鋳鉄管(DIP)と硬質塩化ピニル管 (vp)の 2種類であった。種類別布設距離はダクタイル鋳 鉄管が22.26km、硬質塩化ピニル管が22.945kmである。
硬質塩化ピニル管の被害合計がダクタイル鋳鉄管の約 4倍とし、う予測結果となったo これはダクタイル鋳鉄管
表9 図 1
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三木市水道管網図の例
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緑ケ丘中学校付近の種類別総被害件数 水 道 管 総 被 害 件 数 │ 属 具 総 被 害 件 数 .
14.58 7.95 73.39 12.01 87.98 19.96
表10 緑ケ丘小学校付近の種類別総被害件数 管種 水道管総被害件数 属具総被害件数 合 計
D I P
14.84 8.09 22.93ACP
0.99 0.06 1.05C I P
0.32 0.05 0.37VP
133.17 21.79 154.96 合計 149.31 30 179.31の口径75"‑'100mmの布設が約1.8kmと短く、逆に硬質塩 イ七ヒ守ニル管は口径30"‑'100mmの布設が約23kmと細し、もの しか布設されていなかったことからこのような結果が出 たものと考えられる。水道管総被害件数は属具総被害件 数の約4.5倍という大きな差がでた予測結果となった。
また、属具の管種別被害結果は硬質塩化ヒ守ニル管がダ クタイル鋳鉄管を上回っている。これは、ダクタイル鋳 鉄管の口径100mm以上の布設が99.8%を占めており、被 害予測の計算上口径が大きいものほど壊れにくい結果が 出るようになっているからである。反対に硬質塩化ピニ ル管は口径99剛以下の布設が50.4%を占めており、細 くて壊れやすい大きさのものが多かったことが原因と考 えられる。緑ケ丘小学校付近の水道管網図の範囲で 7
叩0%が住宅街となつているが、住宅街の一部が急傾斜部 になっており大部分が縦断している。その急傾斜部は三
地震による水道管網の被害予測 一三木市におけるケーススタデイー 33
木市市役所からも土砂災害の危険性を示唆されている地 域である。残りの 30%は田畑とゴルフ場が占めており、
その場所には水道管が布設されていない。種類別の布設 距離はダクタイル鋳鉄管(DIP)が 21.7l8km、石綿セメン ト管
( A C P )
がO .
16km、鋳鉄管( C I P )
がO .
145km、硬質塩化 ピニル管( V P )
が39.05kmである。石綿セメント管と鋳鉄管は布設距離の短さから被害件 数が極めて少ない。しかし、石綿セメント管は160mで被 害件数が0.996件と被害率6.23件/kmと高い確率が出て いる。これは阪神淡路大震災の水道管被害資料によりわ かった管種被害の特徴と同じく、被害率(件/km)が 1 件以上と大きい結果となっている。
4.3 加速度300galの場合の被害予測結果
三木市で実際に起こった加速度を 300(gal)と想定し 被害予測を計算してみた。表11の被害合計のように、水 道管被害で約67件の被害予測結果となった。実際の被害 件数78件より 11件の差がある。
5.まとめ
三木市の阪神大震災前の時点からの上水道管路の耐震 化は、導水管が0.0%から0.1%、配水支管が0.1%から 4.2%、送水管が0.0%から11.6%、配水本管が6.0%か ら24.4%、となっており、耐震化率は0.2%から 4.3%
程度しか向上していない。
実際の阪神大震災時には三木市の緑ケ丘配水池・自由 が丘配水池は亀裂による解体・撤去を余儀なくされ、脇 川浄水場沈殿地施設で、も亀裂が生じた。また、水道管は 配水管損傷が35箇所、給水管が43箇所、合計78箇所の 被害が出ている。
地震時加速度を 300galと想定し被害予測を計算して みると、三木市全体では水道管被害のみで約67件の被害 予測結果がでた。実際の被害件数78件より若干の差はあ
るが、被害を想定するのには役立つ範囲と思われる。
また、管路被害予測は液状化無しの数値で阪神大震災 に相当する地震が三木市で起こった場合、緑ケ丘中学校 付近で最低でも約 58件の被害が発生することがわかっ た。
緑ケ丘小学校付近は石綿セメント管と鋳鉄管は布設距 離の短さから被害件数が極めて少ない。しかし、石綿セ メント管は160mで被害件数が0.996件と被害率6.23(件 /km)と高い値となっている。これは阪神淡路大震災の水 道管被害資料によりわかった管種被害の特徴と同じく、
被害率(件/k叫 が1件以上と大きい値となっている。
三木市の管路全体の被害予測で、硬質塩化ピニル管被 害が約76拡を占めている。過去の震災による水道管被害 の値よりかなり多い約4件/kmである。これは、予測式 で計算する上で、口径の細し、ものほど壊れやすいという
表11 三木市全体の被害予測結果 管種 口径(mm) 布設距離 (km)
D I P
75 0.181D I P
100""'400 127.905D I P
400""' 7.958 管種 口径 布設距離 (km)A C P
75 9.494A C P
100""'400 11. 276 管種 口径 布設距離 (km)V P
75 171. 239V P
100""'400 96. 77 管 種 口千至 布設距離 (km)S P
75 1. 073S P
100""'400 1. 603合計 427.499
DIP=
ダクタイル誘致菅
ACP=石綿セメント管v p =
硬質塩化ピニル管s p =
鋼管水道管被害数
。
5.4 0.2 水道管被害数
5. 3 3.9 水道管被害数
38.4 13.5 水道管被害数
O. 1 0.1 66.9
ことと三木市の硬質塩化ピニル管は口径 75mm以下のも のが約171kmも布設されていることが原因と考えられる。
布設の状況からダクタイル鋳鉄管より約 20km長いだけ なのであるが、被害件数は約7倍としづ結果である。原 因は他の管種と違い口径 25'"'‑' 75mmという細い水道管が 使用されていることが考えられる。
また、水道管の口径の大きさにより被害計算を予測し ているが、口径75肌以下の大きさの水道管は口径75mm
と同じ補正係数1.6を用いて計算している。実際には口 径75mmと口径25mmの水道管の大きさで、は口径25mmの方 が壊れやすいので、硬質塩化ピニル管の被害予測件数は 少し増加するものと考えられる。
水道管耐震化においての地震対策を考えていく上では、
現状施設の被害予測結果が必要である。その結果に基づ き施設や水道管そのものの耐震性強化対策や地震後の対 策計画を策定する必要がある。水道管路に対しては、耐 震性強化策として管路の耐震化を図ることが一般的であ り、地震後の対策としては給水・復旧計画などを策定し ておく必要があると考えられる。例えば、管網図に照ら し合わせ予測被害結果を出し、管路被害集中地域に予想、
結果に照らし合わせた量の資機材を備蓄する。そのこと により、震災時に復旧資機材を道路渋滞・崩壊した管路 被害集中地域に持ち運ぶ事が困難であったことが、管路 被害集中地域の防災拠点に資機材を備蓄することにより 復旧の早期解決につながると考えられる。また、被害予 測結果で、断水被災者人口や復旧日数を検討して最低限必 要な水量を確保するシミュレーションを行うことができ るようになる。
今後は、被害予測の精度を上げるとともに、これらの 予測値をもとに断水被災者人口や復旧日数等を検討して 最低限必要な水量・資機材を確保することが重要となる。
謝辞
本研究に際し、資料提供して頂いた三木市水道局に対 して感謝の意を表する次第である。
参考文献
1)高田至朗:水道管路被害への影響評価,日本地震工学 会論文集,第5巻,第4号,2005
2)高田至朗:直下型地震災害特性に基づく管路被害予 測手法の研究,水道協会雑誌,第70巻,第3号,pp21‑37, 2000