平行平面側壁流路中におかれた角柱まわりの二次元 的流れ
著者 立花 規良, 松本 康洋
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 28
号 1
ページ 129‑140
発行年 1980‑03
URL http://hdl.handle.net/10098/4386
工 学 部 研 究 報 告 第28巻 第1号 昭和田年8月
平行平面側壁流路中におかれた角柱まわりの二次元的流れ
立 花 規 良 * ・ 松 本 康 洋 紳
Two‑Dimensional Flows around a Rectangular Cylinder Put in the parallel Plane Side‑Wa
ユ
1 ChannelMotoyoshi TACHIBANA and Yasuhiro MATSUMOTO
( Received Jan. 31
,
1980)On two‑dimensional f
ユ
ows around a rectangular cylinder pu七 in 七he para工ユe1 plane side‑wal1 channel, we discuss on the basis of the difference numerical analysis of flow fields and the f工ow visualization experiment. 工七 is shown that f10W fie1ds around a rectangular cylinder depend on Reynolds number of flow, 七he aspect ratio of cylinder and the cyユinder disposi七ion and become complex ones includ‑ing七he wake vor七e玄 region. Besides, we presen七 七ha七 the difference numerical method is usefu
ユ
for七he clarifica‑七ion of such f
ユ
ow fields and offers valuabユ
e da七a on flow pa七七erns,
veユ
ocity components and pressure dis七ribu七ions.1 緒 言
流体の流れ中におかれた物体まわりの流れは、数理解析的関心と工業の諸方面への応用性から、
流体力学の主要な課題のーっとして取り上げられてきたO 物体まわりの流れは、一般に、三次元的 であるが、数学的な取扱いの容易さから二次元的に処理される場合が多くあるO この典型的な事例 が円柱や翼形まわりの流れで、鈍頭物体としての角柱まわりの流れも、この範ち申うに入るO 一方、
このような物体まわりの流れを実験あるいは数値解析により検討する場合、流れ場の有限性が問題 となるO そこで、有限流れ場中の二次元的物体まわりの流れとして、平行二平面で構成される流路 中におかれた角柱まわりの二次元的流れをとりあげ、流れ場の数値解析と流れの可視化実験により 検討することにするO
2 流 れ 場 解 析 2. 1 基礎式と解法
函 lのような平行平面側壁で構成される二次元的流路内を、非圧縮性のニュートン流体(密度ρ 運動粘性係数ν )が定常層流状態で二次元的に流れ、その中に角柱が配置1(図1‑a )及び配置
*
機械工学科 料 日比谷総合設備(!)
1~ 惜門
H(図1‑b )のようにおかれているとするO このとき ナピエ・ストークスの運動方程式の無次元表示式は、
( a 坐 x
l2+
I笠 a y ' ) 2
Jθu'θu'
aP.
1 '::"+ v'一一=一一一+‑=‑a x '
θy'a x '
' ,Re配置I
(a)
( Z J Z )
(2)J
'‑111.1となるO ここで、 u¥ ずは平均流速Uoで無次元化された II~ 1:件++色」 L‑...t.
nllLll...,~H"十tî I J ..IJ 速度成分、 Yはρuiで無次元化された圧力、 sヘ ダ は 流 l~). e 叫
路 幅Dで無次元化された座標、であるO また、この場合 A
ー 一
h
+
併一 針
生 命
J v
+
計一伽
配置E
座 標 と 角 柱 ま わ り の 流 れ 場 (b)
図1 (3)
のレイノルズ数Reは
ま式の度渦び及式D
一 の
h
一 ν
続 : 連 e O R るあで
(5) 釦一
勧
(4)
θU'θv'
ー + ー ‑
a x '
Ia y ' ‑
Vであり、式(I)~式(5) に流れ関数
ば +Re
(包笠一句.到
l
θ
x ' a y ' a y '
θバ ー
(6) v,
ψ O
一 一 a x '
基 礎 式 u'=θψ
一
θy'を導入し、整理すると、
Aψ=‑( (7) (8)
が得られるO 図 1‑ bの配置 Eでは、流れ場がs軸 に 関 し 対 称 と な る の で 、 図 の 上 半 領 域 の み を 対 象とすることにするO
配置H (図1‑b )
Cψ
= 0.5 ,ー~.=竺
0 ay 基礎式の境界条件は、図 lにおいて配 置1(図1‑a )
G ψ θ ψ = 1
,吾子
=0IJ,K L ψ = 0,(=0 G :ψー0 0 ψ = 0
ー '否子‑
,G K ψ = O
2 並
=0 'θど. ̲ aO
AB, CD. EF : ('tt' ‑ = 0v, ー 」 ー
ay‑
=0V…
E ψ = 0 3 3 = 0 [0)工D:ψ=t y'‑2y
ぺ
(=12y'LC ・ ~ø= . θ
0,~(-
Reθψ1,.ム坐)=
ど ー '~-D.お;¥ "'T
af} 一
(9)
A H ψ = 3 y' 2‑2 y'3 ,ζ=12 y'‑6 F . 0
ゆ
na C 仰(,. ~ぬ 1
=0G
・百三,=
U,万三‑
Re8 子¥""百子リ = u
となるO
1) 1) 2)
計算方法は、 Greenspanに従ぃ、図1のように流れ場を格子分割して基礎式を差分近似し、
ψ
とc
を連立させ、反復法を用いて解き、<
10‑4を収束限界としたO このようにして求められた
ψ
より、式(6)及び式(1)の差分近似式を用いて、速度 lc凶̲((k+1l1I(回│
│φ(国一ψ(k+1)1
<
10‑分布と平面側壁(図1のH Gあるいは D 0 )上の圧力分布を求めた。
2. 2 結果と検討
流路幅Dの平行二平面聞に、図1のように、角柱(幅d = b D、長さ 1= d
,
2 d,
3 d、5d ) 2を配置し、角柱の上流側は 3D 、下流側は、 Re
<
100のとき4D 、100孟Re<
200のとき6D 、 加 と200のとき 10Dのところにそれぞれの境界条件を置き、 Re = 10 ‑‑...500において、流れ場の 数値計算を行ったO2. 2. 1 レイノルズ数効果
長幅比2の角柱の配置I及び配置Eの流線と等渦度線を図2と図3に示したO 両図より、 {i}角柱 の後方の渦域は、両配置において、レイノルズ数の増加と共に増大し、一安な状態に漸近するo
t n l
同じレイノルズ数において、配置Iと配置Eをくらべると、配置Iが配置Eより、後流渦域が大きい、
こkが見出されるO後流渦域長さlwを流線図から評価し、相対的長さ lW/dをレイノルズ数Reに対 し図示したのが図4であるO後流渦域の相対的
長さは、配置Iが配置Eより大きく、 Re孟100 では、前者は後者の大略2倍となるO
R
・
=100 T日二二三 F 震奪三一
(a) 配置1 Re=100
5 0 5 Z 2
R.=2
∞
R.=1
∞
ト ‑47 重
トー1. 1L f ー
(a) 配置II Re= 100
十 一 一 一 勉 F づ竺一一一一一→
(司配置II Re=200
一一一一個一区二二三三一:二
Re=400
一 一 / ー ベ ー トー~----4霊
;
j 二 二 ヨ 「 萎 長 ご 三
? ー = ‑ ‑ ‑v
(ゆ配置1 Re = 200
0
・u
R.=4
∞
i三三三~ l さ長と二
一(c) 配置1 Re = 400 図2 流線と等渦度線 (l/d = 2 )
~
(c) 配置E Re = 400 図3 流線と等渦度線 (ユ/d= 2) 8.0.
す
=2配置
ど │
G> G> @ ①e
@ JJI @G> G>
@ @ e e
o .
o
200 R. 4∞
6∞
図4 後流渦域の相対的長さ (l/d = 2 )
次に、無次元速度
c
uヘv')の変化の状態を、 v; ; : ? j t ょ ; L f f : 2 T : f i z f 1 ,, 111 口~
f ([I l l l J
の速度分布が放物線状に回復する距離はレイノル ズ械伽数恥の増力加山口
さらに、平面側壁上の圧力分布を図7に示した
圧力分布への角柱の影響はレイノルズ数の増加と
〉 ) ) ) )
共に著しくなり、角柱後方の圧力回復距離は長く (心 配置1I Re
=
1001 1 ̲ 1
J ))州山( I 1 1 1 1 ! [ 111 1 口 ~ i ( ( I 1 1 1 [
〉))))))同冷>)))))) ) ) ) 5 ) う〉口 : = s 3 3 J ) J ) )
) ) ) ) ) ) ) ¥ ) η ) )
I\\I);n~\(((tllj
〉 ) ) ) ) ) ) h 誘 m > > J 1111115口~. { ! ! i :
1~
〉戸市川三 )))も))口~~33333J3
│ ! l i ) ) 行う¥¥ ( ( i
jI I I
〉)))))肘珍~)))))
〉~)))ンノノ\ノ)')))ツ))
(c) 配置1 Re = 400
) ) ) j ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) )
(c) 配置II Re = 400 図6 速度変化 C l/d = 2 )
図5 速度変化 Cl/d=2) (b) Re=200
‑8 咽l
t
配置I
o 2 3 4 5X'6 8 9 10 (a) Re = 100
(c) Re = 400 図7 圧力分布 C l/d = 2)
なるO 角柱の配置効果をみると、角柱の影響は、配置Iが配置Eより、広い範囲に及び、角柱後方 の圧力回復距離も長くなるO 角柱部の圧力降下は、配置Eが配置Iより大きく、最小圧力点は角柱 後端部付近に生ずるO
2. 2. 2 長幅比効果
流れのレイノルズ数が200のときの角柱の長幅比が1、3、5の場合の結果を、図8‑‑‑‑図13に示し たO 図8と図9は流線と等渦度線を図示したもので、角柱の長さが増加することにより、角柱部の 側方流れ場は変化するが、角柱の前方及び後方の流れ場はほぼ同じとみなしうるO 流線図より後流 渦域長さを評価し、その相対的長さを角柱の長幅比l/dに対し図示したのが図10で、 l/d=1の場 合、 lW/dは多少小さいがl/d=2 ~ 5ではlW/a
はほぼ一定であるO
無次元速度の変化の状態を図11と図12に示し たO角柱の長幅比が大きいほど、角柱後方の流れ 方向速度の放物線分布への回復距離は長くなるO
7.()一十一=三三ミ 九一¥ 一一一一
三事官三
l/d='
v
;;当官是正
(a) 配置I ユ/ d =1
ーす予言士一一
IId=3 す
(b) 配置I ユ/d= 3
7.0二二十ーァ一一一一一一一一一←ー一二二〉
片方 j~ ~ごE三
IId=5 T
i 三才一子瓦長三三三
(c) 配置I ユ/ d =5 図8 流線と等渦度線 (Re= 200)
一一極空三三三三三三三二一
喜三空重量二
(a) 配置1 l/d = 1
~----Jk剛一一二丘三三三三二一一一
IId=3
(0) 配置II l/d = 3
I/d=5
(c) 配置II l/d = 5 図9 流線と等渦度線 (Re = 200 ) 5.0
@ ① ①
@
す
e e
2.0十 @
e
1.0ト ① 配
E 置 I
Re=200e . z i n
o 。
E 2 3 1 4 ' 1 d図10 後流渦域の相対的長さ (Re = 200 )
平 面 側 壁 上 の 圧 力 分 布 を 図13に示したO 角柱が十分長くなると、角柱側方流れ場に、完全に発達 した流れが出現し、圧力降下が一定(例えば、角柱の長幅比が5で配置Eの場合)となる部分が見 出されるようになるO
3 可 視 化 実 験 3. 1 装 置 と 方 法
l111) ) ~もい( ( ( 1 1 1 L J
〉))))))),芹~;)))))))
〉 ) ) ) ) ) ) ) ) ) )
l
111) ji F 寸 ¥¥ ( ( ! i J l
〉))ゆが奇形~))))
〉~))))))))下)))))"
(b) 配置1 l/d = 3
l ¥ ¥ " ¥ ¥
1滑川 n n ¥ J J
〉)))川区~lJJ)))))
〉 、 ) ) ) ) ) ) ) )
( 司 配 置II l/d = 1
l
¥
Illl と二~~ ~ ( ! ! I J J
〉 j ) ) ) ) ) ! : : t ‑ c : s 3 3 j ) ) )
〉 ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) )
( ゆ 配 置II l/d = 3
l 1 1 ) ) ) ~) I [ I ( ( I~ ¥ ( ( ( I ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 1 9 :
1I : I1 1
,
1, ~ ~ t ¥ 1¥
〉 ) ) う ) ) ) ) ジ ブ i f r / ; > ) ) ) )))))m 三三~53))
〉 ) ) ) ) ' か ¥ ¥ ¥ ¥ ' ¥ " ) ) ) ) ) J ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ¥ ) ) ) ) ) )
‑3
‑4
(c) 配置1 l/d = 5 図11 速度変化 (Re = 200 )
(c) 配置II l/d = 5 図12 速 度 変 化 (Re = 200 )
4 l M
配置∞
11‑6
‑8
IId・1
IId・3 Ild.S
o 7 X・ 10 11 12 ・1 0 1 │ 可
o ・ 7x' 8 10 11 12 (a) 配置 I ( 司 配 置E
図13 圧 力 分 布 (Re = 200 , l/d = 1, 3, 5)
実験に使用した回流水槽は市販されているもの(機械研究社製 WT‑2
v
型)で、観測部の流路 の幅は40cmで長さは約2.2mであるo観測部における流速を浮子法により測定した結果が図14で、 流路幅の中央部分では流速が一定になっていることが確認されたO そこで、このような領域に、アグリル板で作成した二枚の平面側壁を間隔D=40皿で平行に設置して試験流路を作り、さらに、所 定の位置に角柱を置いたO試験流路左角柱の配置状態の概略を図15に示したO供試角柱は高さ16cm の長方形断面をもっアクリ/レ製のもので、その主要諸元を表 lに示したO 本実験の供試角柱の長幅 比l/dは1~10 で、試験流路と供試角柱の幅比 d/D は 0.5 である O なお、角柱の配置は、一方の平 面側壁に密着しておく(配置1)場合と図15のよ
うに平行二平面側壁の中央に対称におく(配置II) 場合の二種類としたO 回流液体は主として水道水 で¥流れのレイノルズ数を小さくするためにはグ リセリンを混入したO 供試液体の運動粘性係数ν はウベローデ粘度計により測定したO
試験流路におかれた角柱まわりの流れは、アル ミニウム粉末をトレーサとして可視化し、流線模 様を写真にとり、流れのレイノルズ数、角柱の長 幅比及び角柱の配置をパラメータとして分析したO 試験流路の速度分布は浮子法により測定したO そ の結果の一例を図16に示したO 本実験の範囲では 流れの速度分布は放物線分布であったので、試験 流路の平均流速Uoは流路中央での流速UMを測定し
l l Q = ト
M の関係により算定したo流れのレイノルズ数ReはRe
三亨 = 3 可
Eにより算出したO 本実験では、 109~2186 であった O3. 2 結 果 と 検 討
3. 2. 1 角柱まわりの流れ
角柱まわりの流れの代表的な可視化写真を図11 図20に示したO
表1 供試角柱の主要諸元
呼 称 幅 d m凹 長さlmm 長幅比エ/d 20 ‑ 1 20.36 19.99 0.982 20 ‑ 2 20.54 40.02 1. 95 20 ‑ 3 20.39 60.12 2.95 20 ‑ 5 20.24 100.03 4.94 20 ‑ 6 20.11 12 0.02 5.95 20 ‑10 20.48 199.91 9.16
1S
10ト
U (乎)
5
01
.a... O~O 0 0
←
o
時」‑zq
一方τ o
ーも n"‑10....0 ,... ̲ 0,....
o‑v‑ V ‑0
句 。00出 」 有 斗 言 句 ー の 官 ア ∞O
。
000品 。 心 血 吋5,0&20‑8ぢF O O o 20 1 S 10 S 0 S 10 10 20‑ yー +
(c刷。
図14 回流水槽の観測部の速度分布
‑‑‑1 t::::>
'割淘
JIO .!1Jg.
図15 試験流路と角柱の配置
1.0
0.5
図16 試験流路の速度分布
Re
=
109Re = 293
Re
=
455Re
=
807(a) 配 置1 l/d
=
1Re = 109
Re
=
293Re = 455
Re
=
807(c) 配 置1 l/d
=
5 図17 角 柱 ま わ り の 流 線 模 様(レイノルズ数効果〉
Re = 109
代e
=
21j3Re ‑= 455
Re = 807
(b) 配置1 l/d = 2
配 置1 Re
=
1507 図18 角柱まわりの流線模様(角柱の長幅比効果)
Re
=
109Re
=
293Re
=
485Re
=
844(a) 配置1I l/d
=
1Re
=
109Re
=
293Re
=
485Re
=
844(c) 配置1I l/d
=
5 図19 角柱まわりの流線模様(レイノルズ数効果)
Re
=
109Re
=
293Re
=
485Re
=
844(b) 配置E ユ/ d
=
2配置1I Re
=
573 図20 角柱まわりの流線模様(角柱の長幅比効果)
試験流路の流れのレイノルズ数が低い領域(Reく200)では、角柱の後方に安定した後流渦域が 形成される。配置Iでは、かなり大きい一個の渦が角柱後面と密着側壁面の聞にでき、配置Eでは 角柱後方に双子渦ができるO レイノルズ数がより大きくなる (Re>200 )と渦は不安定となるO配 置Iでは単独の大きな渦が分裂し複数の不規則な渦群となり、配置Eでは双子渦の対称性が失なわ れ、非対称な渦対となり、間欠的に後方に放出さ
れるようになる。さらに、レイノルズ数が大きく なる (Re>500) e:,角柱後方の側壁(配置Iで は角柱のない側、配置 Eでは両側)上に、側壁渦 Iw が発生し、角柱の後方には不規則で複雑な流れ域 d があらわれる。
流れのレイノルズ数が一定で角柱の長幅比を変 2.0 える場合、角柱の前面のかどではく離した流線は 長幅比が lの角柱では、角柱の側面に付着せず、
後流渦域を含むようなものとなるが、 2以上の長 幅比の角柱では、角柱の側面に付着し、角柱の側 面にはく離渦域が形成されるO このようなはく離 8.0 域の大きさは流れのレイノルズ数や角柱の配置に 依存する。
流れのレイノルズ数と角柱の長幅比が同じ場合 角柱の後流渦域は配置Iの方が配置Eより長い。
これは、配置 Iでは後流渦域が角柱後面と側壁の 聞に形成され、停留する傾向が強いのに対し、配 置 Eでは後流渦域の拘束が弱く、左右二つの渦の 非平衡による間欠的な渦の放出が生ずるためであ
ると考えられるO
以上のように、角柱まわりの流れは、流れのレ イノルズ数、角柱の長幅比及び角柱の配置の影響 8.0 をうけ、角柱後面の後流渦域のみならず、角柱側 面のはく離渦域や角柱後方の側壁渦域を含む複雑 6.0 なものとなる0
3 2. 2 角柱の後流渦域長さ
角柱まわりの流れは複雑なものとなるが、それ を特性づけるものとして、角柱の後流渦域長さを 2.0 とりあげ、検討することにする。
角柱の後流渦域の長さユwを可視化写真より決定 o o
し、その相対的長さlW/dを、角柱ごとに、配置 をパラメータ(記号分け図示)にして、流れのレイ ノルズ数に対し図示したのが図21であるO 後流渦
8.0
t
=16.0 位山
@
①
①
①
①
@
⑪切
①
①
①
①
似山@
①
①
。
①
①
@
g
4.0 @
8
∞
1∞
o@ g e e@
e
~ ~ ~ ~
配Z凶
①
e n 1
①
①
①
①
e e ee
配(1ゐ
① 2
e n 2 ED n' 1
o o 200 4
∞
Re 6∞
800 1000 (a) l/d = 1
上d =2
①
6.0ι ①
d
4.01‑ /Iij i 申 e
~ e
1 1
E 9 白 e
2.0
o o 200 400 Re 6
∞
自
@
①
︒
①
①
e e e e
配(1ゐ,
① I 3
e n 3 (b) l/d = 2
g
①
。
(!) (!)
①
B
n u
す‑ N
4 .
@
@ @
m草山
@
@
@
@
白 ︒
eJ
we
白
円︒
︒ 色
ME
e eも
よ
e200 4
∞
Re 600 8∞
1∞
o(c) l/d = 3 図21‑1 後流渦域の相対的長さ
域の相対的長さは角柱の配置により大きく異なり、その値は、配置Iでは3〜7、配置Ⅱでは1〜
3.5と、前者の場合は後者の場合のほぼ2倍となる。しかし、配置Iと配置Ⅱの流れ場の幾何学的 形状に着目して、角柱まわりの流れ模様を考えると、配置Ⅱの場合の半領域が配置Iの場合の全領 域に対応するともみなせる。そこで、配置Ⅱの場合の長幅比が1、3、5の角柱の後流渦域の相対的 長さと流れのレイノルズ数を、
d
/5^ "d" ,D/2
のように修正し、その結果(配置Ⅱ′と表示)を、
配置Iの長幅比が2、6、10の角柱の場合のlw/d とReの関係図に記入した。両者の結果は大略一致 する。これより、前述の角柱の後流渦域の相対的 長さの配置による相違は、特性化に起因する見掛 上のものとも考えうる。それ故、配置Iの場合の 全領域と配置Ⅱの半領域の流れをくらべてみる。
後流渦域の相対的長さの特性から、両者の後流渦 域外の流れは類似したものとなることが推定され このことは可視化写真から確認される。しかし、
後流渦域内の流れになると、配置Iの場合の密着 側壁と配置Ⅱの場合の対称二分平面では、流体力 学的な境界としての条件が違うこともあって、流 れのレイノルズ数によっては、相当に異なってい
るのが見出される(例えば、図17‑bと図19‑b)。
角柱の後流渦域の相対的長さの流れのレイノル ズ数による変化をみると、lw/dはReの増加と共に 増加し、一定値に漸近するのが見出される。さら に、配置Iの場合には観測結果のばらつきが大き
くはっきりした傾向はつかみえないが、配置Ⅱの 場合にはlw/dはRe=100の小さい値から急増し 以後増加率を減少させRe=400まで一定ないしは 漸増し、Re=400付近で変曲的な変化をし、以後 増加し一定な値に近づく(l/d=1では、例外的 にRe>500で減少する傾向を示す)のがわかる。
角柱の長幅比が2の場合の数値計算結果を図21‑
bに実線で記入した。配置Ⅱの場合には、解析結 果は実験結果と大略一致するが、配置Iの場合に は実験結果の方がやや大きくなっている。
次に、角柱の後流渦域長さへの角柱の長幅比の 効果をみるために、流れのレイノルズ数をパラメ
(d) l/d=5
(e) l/d=6
(f) l/d=10
図21‑2後流渦域の相対的長さ
ータにして後流渦域の相対的長さの角柱の長幅比 に対する図示を試みたO配置Iの場合には、観測 結果のばらつきが大きく、この種の図示からは有 意な傾向を見出しえない。配置Eの場合の結果を 図22に示したO 同図には、レイノルズ数が200の 場合の数値解析結果を破線で記入した(Re= 200 の 実 験 結 果 は ① で 特 記 )0 角柱の長幅比が小さい
( V d三五3)ときは、解析結果は実験結果と大略一 致するが、長幅比が大きくなる(エ/d=5 )左、
実験結果よりかなり大きくなる(1. 35→1. 8 ) 0 また、ある一定のレイノルズ数においては、実験 結果には、角柱の後流渦域の相対的長さは角柱の
3.0 Re
o
o
3 4 5ム6 7 8 9 10d 配 置 E 図22 後流渦域の相対的長さ
長幅比の増加と共に減少することが見出されるが、この傾向は、解析結果にはみとめられないO
以上のように、角柱の後流渦域長さは、流れのレイノルズ数、角柱の長幅比や配置により複雑に 変化するO
4 結 論
平行な二平面側壁で構成される流路中におかれた角柱まわりの二次元的流れについて、解析及び 実験の両面から検討し、
(1) 流れ場は、流れのレイノルズ数、角柱の長幅比や配置に依存し、角柱後流渦域の存在する 複雑なものとなる
(2) 差分数値解法は、流れのレイノルズ数が500程度以下において、流れ場の解明に有効で、
流線、速度、圧力などに関する有用な資料を提供する
(3) アルミ粉末トレーサ法は、二次元的流れ場の可視化に効果的で、全体的な流線模様の把握 を可能にする
ことなどを明らかにしたO
おわりに、本研究の可視化観測に協力された当時の福井大学学生、藤本淳一、渡辺修の両君に謝 意を表しますO また、本稿の図面の作成に対し、吉田喜美技官に感謝しますO
参 考 文 献
(1) D.Greenspan Jour. of Eng. Ma七h,3‑1, 21, (1969). (2) M. Friedman Jour. of Eng. Math, 6‑3, 285, (1972).
本論文は、昭和53年8月30日、日本機械学会第901回講演会で講演(機講論、地780‑11、昭和 53.8)したものに加筆しまとめたO
なお、本論文の一部は、著者の一人(松本)の修士論文(福井大学、昭和53.2)にもとづかれて おり、修士論文のご査読に対し、福井大学の葦埜勲教授ならびに部谷尚道教授に感謝の意、を表しま すO