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初等音楽科教曹における歌唱共通教材の特性と意義に関する研覧
ー園建教科署警から戦後の検定教科書量への歴史的麓遷を中
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にー教科・領域教育専攻 芸術系コース(音楽) 藤 崎 由 加
はじめに
小学校音楽教科書で扱われている歌唱共通教 材は、昭和 33年の学習指導要領の改訂によっ て設定された。この歌唱教材が長く歌い継がれ てきた歴史的経緯の中で、学校教育における歌 唱教材の扱いは、時代とともに変化し、新たな 意味を常に求めてきた。そこで、本研究では、
歌唱共通教材の成立の背景や基本的な特性、教 材として意味づけられてきた経緯を吟味し、歌 唱共通教材の未来に向けての可能性を検討して いくことを目的とする。
1.明治期以降の日本の学校教育の動向
我が国の学校教育は、「学制 J の発布によっ て教育制度の基礎を閤め、「教育勅語Jに基づ く国家主義的な学校教育が展開されるようにな る。さらに、「国民学校令」による超国家主義 的な学校教育の展開を経て、民主主義による学 校教育の再建が行われた。
2.音楽教科署についての歴史的変遷
明治後期に発行された『尋常小学唱歌』から、
『新訂尋常小学唱歌』、国民学校時代の教科書、
戦後の国定教科書や戦後初期の検定教科書の成 立の背景や内容、特性について検討した。教科 書は、それぞれの時代の社会の情勢や思想、を反 映し、編纂されていることが明らかになった。
3.歌唱共通教材の成立と麗開 (1)歌唱共通教材の成立の背費
歌唱共通教材という発想は、昭和 33年の学
指 導 教 員 長 島 真 人
習指導要領において、生活の中へ音楽を浸透さ せ、生活にうるおいをもたせるために、全国す べ て の 学 校 に 共 通 す る 愛 唱 歌 と し て 設 定 さ れ た。このような愛唱歌の設定に至る背景として、
昭和 22、26年の学習指導要領の内容を吟味す ると、歌唱教材の特性について記述されている 部分に、歌唱共通教材を設定しようとする思想 が生み出されてくる萌芽ともいえる発想を確認 することができた。
昭和 22年の学習指導要領には、音楽による 社会的効用を生かすこと、日本語の美しさや日 本人の愛した自然に気付かせること、日常生活 を支える心の糧となるニと、をめざした歌唱教 材の必要性が示唆されていた。
昭 和 26年の学習指導要領には、学校から広 がって家庭においても家族で共に分かち合うこ
と、抑揚や言葉のアクセントを生かすこと、曲 想を十分に味わいながら歌唱表現を工夫するこ とができるようにすること、を念頭に置いた歌 唱教材を選択する必要性が示唆されていた。
(2)昭和33年の学習指導重要舗の中にみられる 費唱歌
昭和 33年の学習指導要領で明らかなった愛 唱歌の特性として、子どもたちが学校生活や日 常生活で関わる人たちと共有し、相互に懐かし むことができる歌であること、歌曲の楽しさや 美しさを味わえる歌であること、歌詞をよりど ころとして曲の感じを把握し、そこで解釈した
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歌の気持ちを表現行為にいかすことを促す歌で あること、が確認できた。そして、当時は、こ のような学習活動を促すことが可能な歌として は、文部省唱歌が最も適しているものとして選 曲されたように思われるD
( 3 )
歌唱共趨教材の特性昭和 33年の学習指導要領で特定された愛唱 歌は、昭和 43年の改訂によって歌唱共通教材 と呼称されるようになるD これ以降、歌唱共通 教材は、人と人との粋を深める特性を持ってい ること、美しい日本語による詩的世界を描いて いること、日本人が愛してきた持情的情緒が描 かれていること、を満たす歌唱教材であるとい
う特性を持つようになるD
(ヰ)歌唱共通教材の選曲の状
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見歌唱共通教材の選曲は、学習指導要領の改訂 ごとに少しずつ差し替えが行われている口この うち、取り扱う曲数は改訂ごとに増加し、教科 書の内容が削減されてきた学校教育の歴史の中 で、歌唱共通教材の扱いは重視されてきている ことが確認できた。また、平成元年からは、楽 曲の差し替えは行われずに継続されていること から、楽曲が特定化され、安定してきたように 思われる。
(5)歌唱共濫教材の音楽的特徴と歌詞の肉容 現在歌われている歌唱共通教材は、それらの 歴史的変遷をたどると、基本的に四つに分類で きる。第一は、「おぼろ月夜Jのように、教材 としての意味づけと歌詞と音楽的特徴が変更さ れていない歌唱教材であるo 第二は、「ふるさ と」のように、教材としての意味づけが変化し、
歌詞と音楽的特徴が変更されていない歌唱教材 である。第三は、「日のまるJのように、教材 としての意味づけと歌調が変化し、音楽的特徴 が変更されていない歌唱教材である。第四は、
「われは海の子J のように、教材としての意味 づけと歌詞と音楽的特徴が全て変化している歌 唱教材である。
4 .
これからの歌唱共通教材の可能性歌唱共通教材の中で、教材としての意味づけ が変化した歌唱教材は、日本人らしい心情の世 界を想像させる歌であったことを確認すること ができた。一方、意味づけが変わらなかった歌 唱教材は、日本の美しい自然の情景を想像させ る歌であったことを確認することができた。つ まり、日本人らしい心情の世界を想像させる歌 には、それぞれの時代の社会の情勢に影響を受 けながら、子どもたちの実態に即した意味づけ が行われてきた。一方、日本の美しい自然の情 景を想像させる歌には、時代が変化しでも意味 づけには大きな変化はみられなかった口このよ うな、歌唱共通教材の特性を踏まえながら、歌 唱共通教材の未来に向けての可能性を検討する と、人と人との粋を深める働きがあること、日 本語の美しい響きを味わえる働きがあること、
子どもたちの生活を豊かにし、郷土に愛着を持 たせる働きがあること、日本人らしい感情の世 界を探究させる働きがあること、夢や希望を育 む働きがあること、が明らかになった。
おわりに
今後はこの研究をもとに、昭和 33年の学習 指導要領が作成された思想的背景をより詳細に 検討し、歌唱共通教材の存在をめぐる先行研究 の様々な見解を歴史的な事実に基づいて、吟味 していきたい。また、すべての歌唱共通教材の 教材としての意味づけの変遷や歌詞の内容、音 楽的特徴についても検討していきたい。そして、
歌唱共通教材の歴史的変遷から大きく四つに分 類することができた歌唱共通教材の特性につい て、さらに、考察を深めていきたい。
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