様式8の1の2 別紙2
論文審査の結果の要旨
専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 呉 金忠
本論文は,「Study on new ultra-precision plane magnetic abrasive finishing process using alternating magnetic field(変動磁場を利用した新しい超精密平面磁気研磨法に関す る研究)」と題し,平面工作物表面をナノレベルかつ高効率に仕上げるために,変動磁場を利用 した新しい超精密平面磁気研磨法の開発について研究したものである。
半導体製造装置用部品,光学部品,バイオテクノロジー関連部品に需要が拡大しており,そ れらの発展に伴い,工作物表面をナノレベルかつ高効率に仕上げる新たな精密研磨技術が求めら れている。この社会的ニーズに応えるため,本論文は、変動磁場を利用した新しい超精密平面磁 気研磨法を提案し,加工特性と加工機構及び工業有用性を明らかにしている。
本論文は6章から構成されている。
第1章では,研究の背景と目的について述べている。第2章では,新たに「変動磁場を利用 した新しい超精密平面磁気研磨法」を提案し,その加工原理と従来の平面磁気研磨法との差異に ついて述べている。
第3章では,本加工法の加工メカニズムを解明するため,磁極先端の磁束密度を測定し,加 工部における磁場分布と加工面に生ずる加工力の関係について調べた。また,加工特性に緊密に 関わる影響因子が磁性粒子の加工挙動に及ぼす影響を明らかにしている。
第4章では,「変動磁場を利用した新しい超精密平面磁気研磨法」の加工特性を解明するため,
SUS304ステンレス鋼板を工作物として研磨実験を行っている。最初に,変動磁場と静磁場を利用 したそれぞれの場合の研磨実験を行った。その結果,変動磁場を利用した場合には磁性粒子クラ スタの微小運動効果によって微小磁性粒子の凝集現象が見られなく,静磁場を利用した場合に比 べると滑らかな加工面が得られることを明らかにした。次に,変動磁場を利用した平面磁気研磨 法について,研磨液の種類,磁極の回転数,変動磁場の周波数が加工特性に及ぼす影響を調べて いる。さらに,SUS304ステンレス鋼板の研磨実験を行い,前加工面粗さ240nmRaを4.4nmRaまでに 仕上げられること,本加工法によりナノレベル表面創成が可能であることを明らかにした。
第5章では,本加工法の工業有用性について詳細な研究を展開している。本加工法を黄銅板,
複雑形状ガラス部品及び樹脂製品の表面仕上げへ適用し,それぞれの材料について研磨実験を行 った。その結果,黄銅板と樹脂製品についてはナノレベルの表面創成が可能なこと,複雑形状ガ ラス部品の精密表面仕上げに適用できること,工作物溝部の精密エッジ仕上げに適用できるこ とを明らかにし,本加工法の工業有用性を実証している。
第6章では、本論文で得た成果を総括して述べている。
以上のように,本研究は,変動磁場を利用した新しい超精密平面磁気研磨法を提案し,その
加工特性と加工機構を明らかにするとともに,工業有用性について確認している。これらの研究 成果は,3 編の査読付き学会誌論文として印刷公表された。
本論文については,2016 年 2 月 10 日に,審査委員全員及びこの分野の研究者,実務者の出席 のもとに公聴会が開催され,研究内容についての発表および質疑が行われたが,特に問題となる 点はないことが確認された。公聴会の後に審査委員全員の出席のもとに学位審査委員会が開催さ れ,論文の内容について詳細に審査した。その結果,変動磁場を利用した新しい超精密平面磁気 研磨法が提案され,その加工特性と加工機構が明らかにされていること,さらに工業有用性につ いても示されていることが確認された。本論文は学術的にも工業的にも価値があり,研究として の独創性においても優れたものと判断した。
よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める。