• 検索結果がありません。

特集-落合先生.indd

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "特集-落合先生.indd"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特集:肝損傷に対する Non ─ operative management

外傷性鈍的肝損傷 183 例の治療経験に基づく生理学的,

解剖学的指標による Non─operative management の新しい適応

太田西ノ内病院外科1),同 麻酔科2) 落合高徳1),篠原一彰2),熊谷洋一1),飯田道夫1) 横山秀之2),松本昭憲2),熊田芳文2),山崎 繁1) 要旨:外傷性肝損傷における Non─operative management(NOM)は 1990 年代から注目され始め,現在では 治療選択の一つとなっている。しかしその適応と限界についてはいまだ十分な議論がなされていない。われわれ は 2001 年から 2008 年までの 8 年間に経験した 183 例の外傷性鈍的肝損傷の臨床データを分析し,従来用いられ てきた循環動態の変化という生理学的指標に基づいた NOM の適応を見直し,肝および肝周囲の損傷部位という 解剖学的指標を考慮に入れた新たな NOM の適応を 2009 年から実践している。肝損傷に対する開腹術の術式選 択の際に必要とされる解剖学的評価を NOM の適応の中に組み込むことは,今までの議論でかけていた因子であ る。損傷部位の解剖学的評価は循環動態が不安定なために NOM から開腹術へ移行する際にも必須で,外傷性肝 損傷に対する治療戦略の確立の際に根本となるものである。 【索引用語】肝損傷,Non─operative management,ショック,解剖学的指標 Ⅰ.外傷性肝損傷に対する治療法 外傷性肝損傷は死に至る可能性が高く,致死率は 10 ~ 20%と報告されている1)~ 3)。その背景として, ①肝臓は横隔膜直下,下大静脈前面の最深部に位置す る実質臓器であるため,術野の展開に時間がかかり, 止血に困難を伴うことがあり,傍肝静脈損傷や肝後面 下大静脈損傷では止血に難渋すること。②肝臓の生理 機能を代償する手段が存在しないため,止血のための 肝全摘術が不可能なこと。③下大静脈,肝動脈,門脈 などの重要な血管の処理に肝臓外科,血管外科の高度 なテクニックが求められること。などがあげられる。 外 傷 性 肝 損 傷 に お け る Non ─ operative manage-ment(以下,NOM)はこの 20 年間で標準治療となっ た感がある4)5)。しかしその適応についてはいまだ議 論の余地が残されている。循環動態が安定し,free air を認めない症例に NOM を選択する事は多くの施 設においてコンセンサスが得られている。一方,循環 動態が不安定な症例ではショックという生理学的指標 が開腹術の判断材料となるが,その際,損傷部位の解 剖学的評価が十分に行われていないと考えられる。そ のため損傷された肝臓に対する外科的な処置が必要と される重症肝損傷においても,損傷部位の解剖学的評 価を十分に吟味しないで,perihepatic packing を選 択する傾向が国内外を問わず多いようにみうけられ る。 このような肝損傷に対する治療戦略の問題点を踏ま え,われわれは 2001 年から 2008 年までの 8 年間に当 院救命救急センターで初期診療を行った鈍的外傷性肝 損傷 183 例中,救急隊現着時に心肺停止状態の 13 例 を除外した 170 例における NOM の適応と治療成績を 分析し,その結果に基づいて 2009 年から NOM の新 たな適応を導入した。 Ⅱ.2001 年~ 2008 年の肝損傷症例の解析 2001 年 1 月から 2008 年 12 月の間に太田西ノ内病 院救命救急センターで初期診療を行った鈍的肝損傷 183 例中,救急隊現着時に心肺停止状態の 13 例を除 外した 170 例における NOM の適応と臨床経過を ret-rospective に検討した。 症例の検討項目は年齢,ショックの有無と程度, focused assessment with sonography for trauma (FAST),dynamic CT,血管造影などの画像診断(と,

開腹症例では開腹所見)に基づいた肝損傷の程度,肝 以外の臓器損傷の程度を評価し,全身状態の生理学的 指標として Revised Trauma Score(以下,RTS)5)

肝の解剖学的損傷の程度については American Asso-ciation for the Surgery of Trauma( 以 下,AAST) の Liver Injury Scale(以下,LIS)6)(表 1),全身の

解剖学的損傷の程度については Injury Severity Score ( 以 下,ISS)7),probability of survival と し て

Trau-ma Score ─ Injury Severity Score(以下,Ps)8)を用

いた。

Ⅲ.2001 年~ 2008 年における NOM の適応 この時期,われわれは初期には Advanced Trauma

(2)

Life Support(ATLS)9),外傷初期診療ガイドライン (以下,JATECTM10)が作成された後は JATECTM 基づいて,循環動態が安定し,腹膜炎症状を認めない 症例に NOM を選択した。具体的には,①救急外来搬 送時に循環動態が安定,dynamic CT で明らかな free air,extravasation を認めない症例。②搬送時にショッ ク状態の時には,2L の細胞外液の補液で循環動態が 安 定 化 し,dynamic CT で free air と extravasation を認めない症例。③循環動態は安定しているが,dy-namic CT で extravasation を認めた症例には血管造 影を施行し,血管造影で extravasation,仮性動脈瘤, 重度の AV shunt を認めなかった症例。④循環動態は 安定しているが dynamic CT で extravasation を認め 血管造影を施行,血管造影でも extravasation,仮性 動脈瘤,重度の AV shunt を再確認した場合には,経 カテーテル的選択的肝動脈塞栓術(以下,TAE)を 行い,止血に成功した症例を NOM の適応とした(表 2)。 Ⅳ.2001 年~ 2008 年の鈍的肝損傷の治療成績 救急隊現着時に心肺停止状態(CPA)の 13 例を除 外した 170 例中,118 例は循環動態が安定,52 例が ショック状態だった(図 1)。52 例中 6 例が蘇生に反 応せず救急外来で死亡,さらに 4 例が初期輸液への反 応がないnon responderだったため,緊急開腹術(OM) へ移行した。救急外来において循環動態が安定してい た 118 例と初期輸液に反応した 42 例の計 160 例には dynamic CT を施行した。Dynamic CT を行った 160 例中 6 例が重症頭部外傷により死亡,134 例は dy-namic CT 施 行 後 も 循 環 動 態 が 安 定 し て い た た め NOM を選択,20 例は再度循環動態が不安定になった ため緊急開腹術を実施した。NOM を選択した 134 例

表 1 Liver Injury Scale

Grade* Description Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Hematoma Laceration Hematoma Laceration Hematoma Laceration Laceration Laceration Vascular Vascular

Subcapsular, <10% surface area Capsular tear, <1cm parenchymal depth Subcapsular, 10 ~ 50% surface area Intraparenchymal, <10cm in diameter

Capsular tear, 1 ~ 3cm parenchymal depth, <10cm length Subcapsular, >50% surface area or expanding

Ruptured subcapsular or parenchymal hematoma Intraparenchymal hematoma >10cm or expanding >3cm parenchymal depth

Parenchymal disruption involving 25 ~ 75% of hepatic lobe or 1─3 Couinaud’s segments within a single lobe Parenchymal disruption involving >75% of hepatic lobe or

>3 Couinaud’s segments within single lobe

Juxtahepatic venous injuries;i.e., retrohepatic vena cava/ central major hepatic veins

Hepatic avulsion

文献 6)より

表 2  鈍的肝損傷に対する JATECTMに基づいた NOM の適応

(2001 年~ 2008 年) ・循環動態:安定

dynamic CT:free air(-),extravasation(-) ・循環動態:不安定→ 2L の細胞外液→循環動態:安定

dynamic CT:free air(-),extravasation(-) ・循環動態:不安定→ 2L の細胞外液→循環動態:安定

dynamic CT:free air(-),extravasation(+) angiography:extravasation(-)

・循環動態:不安定→ 2L の細胞外液→循環動態:安定 dynamic CT:free air(-),extravasation(+) angiography:extravasation(+)→ TAE →止血に成功

(3)

による死亡例はなかった。保存療法(NOM を選択, TAE も施行せず)の 124 例は全員生存,そのうち 113 例が NOM を完遂した。 全鈍的肝損傷 170 例とそのうち NOM を選択した 134 例について,LIS の grade 別に分類した(表 3,4)。 GradeⅠ で は 4 例 全 例 に NOM を 選 択 し た 一 方, gradeⅤでは 8 例全例に手術が選択された。全症例お よび NOM 群において,LIS が高くなるにつれて, のうち,10 例は dynamic CT で extravasation が疑わ れたため緊急血管造影,TAE を行ったが,4 例に開 腹術が必要となった。そのうち救命し得たのは 1 例だ けだったが,死亡した 3 例の死因は肝損傷ではなかっ た。TAE 施行後に開腹術を必要としなかった 6 例中, 1 例が骨盤骨折からの出血,1 例が呼吸器感染症のた め死亡した。最終的には NOM を選択した 134 例中, TAE を施行した 5 例を救命できなかったが,肝損傷

表 3 Liver Injury Scale 別鈍的肝損傷全症例の背景と治療成績

LIS No. Age ISS RTS Ps Mortality(%) LRD(%) CD Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 4 70 68 20 8 47.5±30.9 38.4±22.8 40.0±23.5 45.9±23.5 46.4±19.4 9.0±2.9 22.6±14.4 23.7±12.4 34.9±16.4 37.6±11.3 7.040±1.387 6.823±1.610 6.969±1.405 6.070±2.341 4.778±2.214 0.91±0.15 0.82±0.30 0.86±0.26 0.65±0.41 0.55±0.42 0(0) 8(11.4) 5(7.4) 6(30.0) 7(87.5) 0 0 0 1(5.0) 7(87.5) 0 8 5 5 0 total 170 40.5±23.1 25.0±14.5 6.696±1.724 0.80±0.31 26(15.3) 8(4.7) 18

表 4 Liver Injury Scale 別 NOM 選択症例の背景と治療成績

LIS No. Age lSS RTS Ps Mortality(%) LRD CD Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 4 61 56 13 ─ 47.5±30.9 38.3±22.5 37.9±23.6 42.8±24.4 ─ 9.0±2.9 20.2±12.7 21.7±11.1 33.5±19.2 ─ 7.040±1.387 7.125±1.313 7.371±0.800 6.728±2.013 ─ 0.91±0.15 0.87±0.26 0.93±0.14 0.74±0.38 ─ 0 1(1.6) 0 1(7.7) ─ 0 0 0 0 ─ 0 1 0 1 ─ total 134 38.8±23.2 21.8±13.3 7.186±1.223 0.88±0.24 2(1.5) 0 2 表 5 NOM 成功群と不成功群の背景と治療成績

No. Age ISS RTS Ps Mortality LRD NOM completed NOM failed 11915 38.6±23.640.3±20.4 20.2±11.734.6±18.2 7.277±1.0696.484±1.973 0.90±0.210.76±0.34 23 00 図 1 2001 年∼ 2008 年の間の鈍的肝損傷 183 例の治療成績。(()内 は TAE による治療成績) Hemodynamically unstable: 52 Non Responder:4 Dynamic CT:160 Responder:42 NOM:134 (TAE:10) Hemodynamically stable:118 CPA:13 Non Survivor:6 Survivor:144 15 (4) 134 20 2 (2) Non Survivor:2 (3) 117 (4) (1)27 Non Survivor:6 Non Survivor:12 OM:39 Blunt hepatic trauma:183

(4)

ISS,RTS,Ps のデータは悪化していた。LIS の同じ grade においては,ISS,RTS,Ps のいずれのデータ も NOM 群 の 方 が 全 症 例 よ り 軽 症 だ っ た。 ま た, NOM 選択症例の死亡例のうち,肝損傷による死亡例 (LRD)は認めず,全例,肝損傷以外による死亡例(CD) であった。表 5 は NOM 成功群(119 例)と不成功群(15 例)を比較している。NOM 不成功群において,ISS, RTS,PS のいずれのデータも重症度が高く,LIS の grade 別では gradeⅡでは 3.3%,gradeⅢでは 12.5%, gradeⅣでは 46.2%と,grade と NOM の不成功率は 相関していた(表 6)。 Ⅴ.NOM の適応拡大の検討 2001 年~ 2008 年の 8 年間の NOM 選択例において 1 例も肝損傷に因る死亡例がなかったという治療成績 をふまえ,従来のショックという生理学的指標だけで はなく,肝の損傷部位と範囲といった解剖学的指標も 考慮した NOM の適応の拡大を 2009 年より試みた。 適応拡大の可能性の検討は,2001 年~ 2008 年まで の開腹術施行 39 例のうち,術前 CT の検索可能だっ た 29 例を対象とし,これらの症例において肝損傷に 対しては NOM が可能であったか否かについて,手術 所見を用いて検討した。また NOM 適応拡大に伴う致 死の危険を防ぐため,LIS の high grade 以外の危険 因子についての検討も行った。検討対象 29 例の内訳 は 22 例が生存,7 例が死亡例で,7 例の死亡例のうち 肝損傷による死亡例は 3 例,肝損傷以外に因る死亡例 は 4 例だった。また 29 例の治療方法は,14 例が初期 輸液には反応したものの,dynamic CT 後に循環動態 が不安定になったため緊急開腹術を選択(OM),4 例 が dynamic CT に て extravasation を 認 め た た め TAE 施行,その後に緊急開腹術を必要とした(TAE)。 残りの 11 例は dynamic CT 後も循環動態が安定して いたため conservative treatment を選択したが,再 度循環動態が不安定になったため開腹術に移行した (without TAE)(表 7)。 前述したように,開腹術の妥当性については retro-spective に手術所見を参照,①開腹術を施行したもの の他臓器損傷の修復のみを行った症例,②可溶性止血 剤による肝表面の止血のみを行った症例,については 開腹術が必要なかったと判断した。また危険因子につ いては,dynamic CT 所見における①肝静脈損傷,② 肝表面の extravasation,③肝表面の fluid collection の量,④下大静脈(IVC)周囲の血液貯留,について 検討した。 Ⅵ.検討結果 29 例 の 手 術 所 見 を retrospective に 参 照,LIS の gradeⅡでは開腹したものの他臓器損傷の修復のみ 行った症例が 3 例,gradeⅢでは試験開腹に終わった 症例が 1 例,可溶性止血剤による肝表面の止血(+他 臓器修復術)を行った症例が 5 例(3 例)だった。こ れらの 9 例は肝損傷に対する開腹術は必要とせず,肝 損 傷 に 対 す る NOM は 遂 行 で き た と 考 え ら れ, gradeⅡ,Ⅲの手術症例(18 例)の 50%に相当した(表 8)。また gradeⅣ,Ⅴには前述の該当症例は存在しな かった。 術前 CT 所見における各危険因子の致命率(括弧内 は肝損傷による致命率)は,① extraparenchymal hepatic vein injury:75 %(75 %), ② 肝 表 面 の ex-travasation:50 %(25 %), ③ 肝 表 面 の fluid collec-tion>10mm:44%(22.2%),④ IVC 周囲の血腫形成: 57.1%(14.3%)だった(表 9)。検討した 4 項目のうち, ④ IVC 周囲の血腫形成に関しては,肝以外の他臓器 を含めた損傷時の死亡率は高いものの,肝損傷による 死亡率としては著しく高くないため,今後の検討項目 とした。また,肝損傷による死亡例 3 例はいずれもこ の①~③の危険因子を複数個認めた。

表 6 Liver lnjury Scale 別 NOM 成功率

LIS No. NOM completed(%) Mortality(%) LRD CD Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 4 61 56 13 ─ 4(100) 59(96.7) 49(87.5) 7(53.8) ─ 0 1(1.6) 0 1(7.7) ─ 0 0 0 0 ─ 0 1 0 1 ─ total 134 119(88.9) 2(1.5) 0 2 表 7  NOM の適応拡大にむけての検討対象(手術症例 29 例の治療背景と成績)

Treatment No. Mortality LRD OM: NOM → OM:   TAE:   without TAE: 14 15 (4) (11) 4 3 (3) (0) 3 0 (0) (0)

(5)

亜区域以上の広範な損傷,肝外肝静脈損傷(-))に ついては,gradeⅣの NOM の遂行率が 53.8%と高く ないため 2008 年以前の適応を据え置きとした。すな わち,(A)前述の①~⑤を満たしたうえでの LIS の gradeⅢ 以 下( 皮 膜 下 血 腫:< 肝 表 面 の 総 面 積 の 50%,肝実質損傷:最大径<10cm または裂傷の深さ <3cm,肝外肝静脈損傷(-)),(B)2008 年以前の 適応に基づく LIS の gradeⅣ,を満たした症例につい ては NOM を第一選択とすることにした(表 10)。 2011 年 1 月現在,新適応の開始から 2 年が経過,症 例数を積み重ねている最中であるが,現時点では大き な問題は認めていない。 Ⅷ . 考  察 われわれはショック状態,free air を認める症例に 対しては緊急開腹術を行っている。しかし,初期輸液 に反応し,大量輸液や輸血を必要としない,血圧の低 下が軽度な症例に対しては,ただちに開腹術を施行す べきか,NOM を選択すべきか判断に難渋することが ある。2008 年以前は,JATECTMで規定された 2L の 初期輸液に反応するも,その後循環動態が不安定にな Ⅶ.2009 年以降の NOM の新適応 以上の結果より,LIS の gradeⅠ~Ⅲについては NOM の適応を拡大可能と判断した。また,救急外来 搬送時に循環動態が不安定なため初期輸液を投与,そ の後も開腹術を必要とせず NOM を完遂できた症例を 検討したところ,その多くにおいて,2L 以上の初期 輸液が(症例によっては数単位の輸血も)投与されて いた。そこで新適応では,生理学的指標も従来の JA-TECTMの適応より拡大し,新たな生理学指標として, ①搬送時の循環動態が不安定であっても初期輸液に反 応し,大量輸液,大量輸血を必要としない,② TAE などの nonoperative な止血治療を行っている間も維 持輸液,輸血により血圧維持が可能で,かつ,止血治 療に成功,の 2 点を,解剖学的には dynamic CT にて, ③腹腔内の free air を認めない,④肝表面に extrava-sation を 認 め な い, ⑤ 肝 表 面 に 多 量 な(CT に て 10mm 以上)fluid collection を認めない,⑥肝外肝静 脈損傷を認めない(LIS の gradeⅤ),の 4 点を指標 とした。また,LIS の gradeⅣ(肝実質損傷の範囲が 25 ~ 75%,または片葉において Couinaud 分類の 3 表 9 術前 CT 所見と致命率

Hepatic vein injury No. Mortality(%) LRD(%)   Extraparenchymal injury   lntraparenchymal injury   lnjury(-) 4 6 19 3(75) 0    4(21) 3(75) 0    0    Extravasation on liver surface

  Extravasation(+)

  Extravasation(-) 254 2(50)5(20) 1(25)2(8) Fluid collection on liver surface(mm)

10< 0 ~ 10 (-) 9 12 8 4(44) 1(8) 2(25) 2(22) 1(8) 0    Hematoma surrounding IVC

  hematoma(+)

  hematoma(-) 227 4(57)3(14) 1(14)2(9)

表 8 肝損傷に対しては手術が不要だったと判断された肝損傷症例

Procedures for Liver(Procedures for the other organ injuries)

LIS No. Laparotomy Hemosatasis Hepatorrhaphy LRD CD Mortality Ⅱ

Ⅲ 126 3(3)1(0) 5(3)─ 3(3)6(4) 00 21 21 total 18 4(3) 5(3) 9(7) 0 3 3

(6)

参 考 文 献

1) Ochiai T, Igari K, Yagi M, et al:Treatment strategy for blunt hepatic trauma:analysis of 183

consecu-tive case. Hepatogastroenterology(in Press). 2) Parks RW, Chrysos E, Diamond T:Management of

liver trauma. Br J Surg 1999;86:1121─1135. 3) Gourgiotis S, Vougas V, Germanos S, et

al:Opera-tive and nonoperaal:Opera-tive management of blunt hepatic trauma in adults:a single─center report. J Hepato-biliary Pancreat Surg 2007;14:387─391.

4) Velmahos GC, Toutouzas KG, Radin R, et al:Nonop-erative treatment of blunt injury to solid abdominal organs:a prospective study. Arch Surg 2003;138: 844─851.

5) Demetriades D, Hadjizacharia P, Constantinou C, et al:Selective nonoperative management of penetrat-ing abdominal solid organ injuries. Ann Surg 2006; 244:620─628.

6) Champion HR, Sacco WJ, Copes WS, et al:A revi-sion of the Trauma Score. J Trauma 1989;29:623─ 629.

7) Moore EE, Cogbill TH, Jurkovich GJ, et al:Organ injury scaling:spleen and liver(1994 revision). J Trauma 1995;38:323─324.

8) Baker SP, O’Neill B, Haddon W Jr, et al:The injury severity score:a method for describing patients with multiple injuries and evaluating emergency care. J Trauma 1974;14:187─196.

9) Boyd CR, Tolson MA, Copes WS:Evaluating trau-ma care:the TRISS method. Trautrau-ma Score and the Injury Severity Score. J Trauma 1987;27:370─378. 10) American College of Surgeons Committee on Trau-ma. Advanced Trauma Life SupportsR for Doctors:ATLS

Student Course Manual6th edition). Chicago;1997. 11) 外傷初期診療ガイドライン:日本外傷学会・日本救急 医学会. 東京,へるす出版,2002. 12) 関根和彦,北野光秀,山崎元靖,ほか:鈍的重症肝損 傷の治療戦略 手術的治療および非手術的治療の適応 と限界. 日腹部救急医会誌 2008;28:797─801. 論文受付 平成 23 年 2 月 7 日 同 受理 平成 23 年 4 月 27 日 る症例に対しては,基本的には全例緊急開腹術を施行 してきた。しかし,当院での治療成績を振り返り,① NOM 症例では肝損傷に因る死亡例(-),② LIS の grade が上がるにつれて NOM の完遂率が低下,とい う治療成績と,今日までの NOM の適応に関する議論 の際に欠けていた,③肝損傷の術式選択の際に必要と される解剖学的知識を NOM の適応にも活用する,と いう概念に基づき,NOM の適応基準を拡大した。ま た,救急外来搬送時に循環動態が不安定で初期輸液を 投与し,NOM を選択,完遂できた症例のほとんどは, retrospective には 2L 以上の初期輸液を投与されてい た事実も踏まえ,新適応では生理学的指標も従来の JATECTMの適応よりも拡大した。そこで NOM 選択 後の死亡例の発生を防ぐため,NOM の contraindica-tion として,肝表面の大量出血や extravasacontraindica-tion を認 める症例は早期に循環動態が不安定になること,また 肝静脈損傷は緊急開腹術を施行しても止血に難渋し, 止血までの時間がかかることからただちに緊急開腹術 を行う方針とした。関根ら12)による重症肝損傷に対 する NOM の検討においても,急性期の腹腔内出血の 増量と循環動態の悪化は,肝静脈由来の持続出血に多 いと考察しており10),われわれの方針と一致している。 新しい NOM の適応は,2009 年から導入したばかり で症例数がまだ少なく,今後の症例の蓄積が必要では あるが,従来の循環動態という生理学的指標に加えて, 肝と肝周囲も含めた損傷範囲を解剖学的に評価するこ とは,今までの NOM の適応決定の際に欠けていた概 念であり,手術をも含めた総合的な治療戦略をたてる うえで非常に重要である。 表 10 鈍的肝損傷に対する NOM の新適応(2009 ~) ・生理学的指標  1.循環動態:安定  2. 循環動態:不安定→初期輸液に反応(→ TAE)→大量輸液, 大量輸血を必要としない ・解剖学的指標  3.freeair(-)  4.肝表面の extravasation(-)  5.肝表面の多量な(CT 上,10mm 以上)fluid collection(-) ・1 ~ 5 を満たした,LIS gradeⅠ~Ⅲ ・従来の indication 下の LIS gradeⅣ

(7)

The Modified Indication of Non─Operative Management for Blunt Hepatic Trauma: Based on Our Experience of the Physiological and Anatomical Indicators in 183 Cases

Takanori Ochiai1), Kazuaki Shinohara2), Yoichi Kumagai1), Michio Iida1), Hideyuki Yokoyama2), Akinori Matsumoto2), Yoshifumi Kumada2), Shigeru Yamazaki1)

Department of Surgery, Ohta Nishinouchi General Hospital1) Department of Anesthesia, Ohta Nishinouchi General Hospital2)

Non ─ operative management (NOM) of blunt hepatic injuries for hemodynamically stable patients has become safe and standard practice over the past two decades, however the indication and limitation of NOM have not yet been suffi-ciently discussed. Here we propose a modified indication of NOM based on our experiences with 183 cases from 2001 to 2008. Our indication consists not only of “hemodynamic stability” as a physiological indicator, but also the “location and extension of hepatic injury” as an anatomical indicator. Our proposal of the “location and extension of hepatic injury” is essential for deciding on the appropriate operative procedures, although it has not been discussed thoroughly. Therefore, our modified indication for NOM is indispensable, and it is the essence of our treatment strategy for hepatic trauma.

表 1 Liver Injury Scale
表 4 Liver Injury Scale 別 NOM 選択症例の背景と治療成績
表 6 Liver lnjury Scale 別 NOM 成功率
表 8 肝損傷に対しては手術が不要だったと判断された肝損傷症例

参照

関連したドキュメント

 以上ノ實験威績ヲ通覧シ之ヲ考察スルニ,胸部並二腹部等ニヨリテ構成サル、躯幹ハ無数

皮膚腐食性 皮膚腐食性/ /皮膚刺激性 化学名 過マン ガン 酸カ リ ウム 眼に対する 重篤な損傷性 重篤な損傷性/ /眼刺激性 化学名 過マン ガン 酸カ

これらの定義でも分かるように, Impairment に関しては解剖学的または生理学的な異常 としてほぼ続一されているが, disability と

医師と薬剤師で進めるプロトコールに基づく薬物治療管理( PBPM

8) de Tommaso M, et al:The puzzle of fibromyalgia between central sensitization syndrome and small fiber neuropathy:a narrative review on neurophysiological and

注)○のあるものを使用すること。

適応指導教室を併設し、様々な要因で学校に登校でき

告—欧米豪の法制度と対比においてー』 , 知的財産の適切な保護に関する調査研究 ,2008,II-1 頁による。.. え ,