1 平成 29 年 12 月 16 日(土) 発行 女性キャリア委員会 12 月 7 日,外務省外交史料館館長・福嶌香代子先生をお迎えし,高校生を対象に「外務省・高校 講座」を開催いたしました。 「外務省・高校講座」は,高校生の外交・国際問題に対する関心や理解を深め,外務省の仕事に対 する理解を促すことによって,今後の進路選択の参考にしてもらおうと,全国の希望する高校を 対象に外務省が行っている事業です。各都道府県の教育委員会等を通じて応募された,国際交流,外 国語教育,地域の国際化等に熱心な講演希望校の中から外務省で実施校を決定するというもので,今 年は本校を含め全国で120 校が選ばれたそうです。応募に際し,「ぜひ,女性の講演者にお願いした い。できれば,結婚して子育てをしながら,グローバルな立場で活躍されている女性にお話を聞きた い。今の職業に就くまでに努力したことや心がけてき たこととともに,女性だから苦労した経験,逆に良か ったと思う事柄などをご紹介いただきたい。さらに, 社会における女性の活躍推進のための問題点や課題 について思うところをお話しいただきたい。」とお願 いしたところ,福嶌先生が「ぜひ私が・・・」と立候補 され,講師をお引き受けくださったそうです。 講演は,外交史料館の紹介から始まりました。外交史料館では,日本の外交の歴史を物語る貴重な 史料を多く保管されているそうです。例えば,日本で最初の女子留学生であり,後に日本の女子教育 の先駆者となった津田梅子の渡米に際し,協力を要請する外相宛文相書簡なども写真で紹介いただき ました。講演時間の多くを費やしてご紹介いただいたのは,先生の半生です。外務省を目指していた ころのこと,外務省に入省してから,結婚や出産,育児をしながら海外勤務をこなしてきたことなど, 文字通り仕事と家庭を両立してきた先生のキャリアを語っていただきました。講演会終了後には,希 望者した 25 名の生徒で福嶌先生を囲み,座談会を実施い たしました。生徒からも積極的に質問が投げかけられ,福 嶌先生もそれに一つひとつ丁寧にお答えくださいました。 座談会の予定時間が過ぎても,個別に質問をしてみたい生 徒が先生の前に列をなし,予定時間を大幅に超えて終了と なりました。 少子高齢化社会を迎え,女性の活躍が求められる今日で
2 すが,それでも日本の女性の生き方はまだまだ手探り状態のような気がいたします。それは,世界各 国における男女格差を測る指数であるジェンダーギャップ指数などの国際比較からも見て取れます (今年,日本は144 か国中 114 位でした)。また個人的には,「欧米や北欧には,“イクメン”という 言葉がない。夫も家事や育児をするのが当たり前だから。」という言葉が印象に残っております。生 徒たちが社会に出る頃はおそらく(もしかしたらもう既に),結婚や子育てをしながら働き続けるこ とが当たり前の世の中になっていることでしょう。今,将来の生き方や働き方を模索している生徒た ちにとって,実際に仕事と家庭を両立させ,しかも社会の最先端で活躍されている女性の生き方に触 れることができた今回のこの講演会が,その進路選択,人生選択の役に立つことを祈っております。 ※ この様子は,産経新聞(茨城版)でも紹介されました。 http://www.sankei.com/region/news/171208/rgn1712080036-n1.html (女性キャリア委員会委員長 後 藤 彩 子)
♕ 第1学年 ♕
10 月より『命と人権』,『環境』と『女性を取り巻く社会』の3つをテーマにしたプログラムを行 いました。 【命と人権~みんな誰かの宝物~】 『命と人権』プログラムでは,夏休みに自分の名前の由来や,妊娠中, 出産時,幼少期のエピソードを保護者の方に聞くという課題を出し,10 月26 日(木)に発表会を行いました。どの生徒も課題にしっかり取り組 み,「親に感謝したい」「産んで(育てて)もらえて良かった」など,そ れぞれが家族の想いを受けとめ,堂々と発表を行いました。 また,プログラムのまとめとして,11 月 16 日(木)に生徒一人ひと りに向けた保護者からのメッセージを紹介しました。愛あふれるメッセ ージの数々に,感動の涙を流す生徒もいました。きっと,自分が宝物で あること,そして周りのみんなも宝物で あることを感じてくれたことと思います。 自分を,そして仲間を大切に,有意義な学校生活を送ること,これが 共通する願いです。 保護者の皆様,このプログラムのために,多大なご協力をいただき, ありがとうございました。また,発表会当日にもたくさんの保護者の 皆様に足をお運びいただき,重ねて御礼申しあげます。サプライズ返 しであるお子様からの手紙もお手元に届いているかと思います。きっ と普段は照れくさくて言えない「ありがとう」がつまっていたのでは ないでしょうか。3 【女性を取り巻く社会】 『女性を取り巻く社会』では,データを提示しながら,現代の日本の女性が働こうとしたときに直 面する問題について考えさせました。その結果,家庭と仕事の両立が問題の1つとして挙がりました。 そこで実際にその問題を乗り越えた,創立者の一人である川並孝子先生の映像を見たり,本校で現在, 育児をしながら働いている細津先生の話を聞いたりして,問題解決策も知る・考える機会を設けまし た。 ~ 生徒感想 ~ 仕事と子育てを両立できる人になりたい。 育児をする女性だけを支援するのではなく,男性も支援するようになってほしい。 女性も男性も差が無く,お互いに協力できる環境やこどもを安心して預けられる環境になる といいなと思った。 外国のほうが,女性が働く環境や福祉が整っていると分かった。 【環境】 『環境』では,サイトツアー(見学活動)をしました。実際に,校舎内からの汚水を浄化してトイ レの流し水として再利用する中水システムや,屋上で得た太陽熱で温水をつくるソーラーシステムな ど,水や燃料を節約している施設を見て周りました。本校 は 11 年前に環境 ISO(ISO14001)と,教育の質 ISO (ISO9001)の認証を同時に取得しています。どちらも, 万が一不具合が生じた場合には,すぐさま次への改善策を 打ち立てることになっています。施設自体は32 年前の開 校当初からあり,これらを生徒が直接見学できる機会は6 年間の中でこの日だけです。貴重な体験を楽しみながら学 ぶ様子が見受けられました。 (第1学年主任・女性キャリア委員 生 村 伸 子)
♕ 第2学年 ♕
10 月より『危機管理』と『日本を知ろう・伝えよう』についての2つのプログラムに取り組みま した。 【危機管理】 『危機管理』の授業では,生徒たちは,実際に災害が起きたときに学校から自宅付近まで歩いてど う帰るか,自宅付近から学校までの地図を用いて,経路と時間を考えたり計算したりしながらハザー ドマップを作りました。今回は,「応急処置法」に関する講義も実施し,止血の仕方や三角巾の使い 方などの実習も行いました。生徒たちは,慣れない手つきながら真剣に取り組んでいました。 【日本を知ろう・伝えよう】 『日本を知ろう・伝えよう』の授業では,グループでテーマ設定,調べ学習を行い,ポスターセッ4 ションでの発表を行いました。4グループそれぞれの観点(伝統行事,歴史的な観光地,日本の心, サブカルチャー)から「日本」について情報を寄せ合い,より深い知識を得ました。自国に対する学 びによって愛国心を育んでから,外国へと視野を広げようとするもので,3 学期はいよいよ修学旅行 の事前学習がスタートします。今回はポスターセッションという手法を学ぶということも大きな目標 でした。調べてわかったこと,感じたことをどのように伝えるか,試行錯誤しながら得たことをこれ からの学習にも生かしていってもらいたいと思います。 (第2学年主任・女性キャリア委員 生 村 伸 子)
♕ 第3学年 ♕
~幽霊部員はここにいる~ 脚本:田上二郎
無気力・無関心が蔓延する今どきの高校で,唯一熱くなって,浮き上がっていた
演劇部の 4 人組が,見学に行った全国大会の帰りに,交通事故で死んでしまう。
文化祭を明後日に控えて,やりたかった劇を何とか上演しようと,幽霊になっても
熱い 4 人組が,幽霊部員たちを,だまして,誘って,説得するが…。
5 3年生は,中学最後を飾るプログラムとして「演劇」を行います。生徒は,聖徳祭での英語劇を通 して,1つの作品を創り上げることの難しさを感じながらも団結力や充足感を味わうことができまし た。今回は,見に来ていただいた方々に笑顔とそして感動も与えられるよう,クラス・チームで一生 懸命に取り組んでいます。ぜひ多くの方に足を運んでいただければと思います。 (第3学年主任・女性キャリア委員 櫻 田 直 子) (3学年合同) ☆ 10月20日 茨城県牛乳普及協会による「出前ミルク教室」 牛乳・乳製品摂取の重要性をグラフや写真などで学んだ後,牛乳・乳製品を 使用した調理実習を行いました。メニューは,カラフルカレー寿司・具だくさ ん豚汁・おかきのマシュマロボール・ミルク麦茶でした。 最初は抵抗があった生徒たちも予想を超える美味しさに驚いていました。
『演劇発表会』 2月24日(土)10:00~
於)本校多目的室
6 ☆ 12月5日 茨城県社会福祉協議会による「福祉キャラバン隊」 福祉の仕事について学び,アイマスク&白杖体験,車椅子体験の体験と介助体験を しました。 福祉ロボットとの触れあいもあり,貴重な経験となりました。 (女性キャリア委員 生 村 伸 子・櫻 田 直 子)
♕ 第4学年 ♕
【構成的グループエンカウンターⅤ】 夏休みから2 学期にかけて,皆で力を合わせて作り上げた「職 業図鑑」を使って,進路意識を高めるグループエンカウンターを 行いました。現時点で「なりたい職業」や「興味のある職業」を あげ,同じ職業や似たようなジャンルの職種に分かれて,「なぜ 興味を持ったのか」「今,どのようなことを考えているか」など の意見交換をしました。 既に,自分の将来イメージを具体的に掲げて,それに向けて準備を始めている生徒から,「全くイ メージがわかない」「何をしたらよいかわからない」という生徒までさまざまですが,友人たちの思 いを聞き,少しずつ進路意識や職業意識が高まってくれたら幸いです。 【女性と社会】 これも,進路意識を高めるプログラムです。しかし,単なるキャリア教育ではありません。「女性 として,どう社会に関わっていくか」「女性だから,どんな心構えを持っておくべきか」を学ぶ授業 です。 まず後藤教諭より,「日本の女性の歴史」や「国際比較から見える日本の女性のすがた」,「現代社 会の現状と求められる女性労働力」などの講義を受けました。続いて,現在2 歳のお子さまを子育て7 中の播磨教諭より,「仕事と家庭の両立」に関する講話を受けました。さらに,これらの講義と講話 から興味を持った事柄についてテーマを絞って情報を収集し,現在,レポートを執筆しています。 【環境小論文】 これから3 学期にかけて,環境について学習します。環境について関心を持ち,環境問題や環境保 全について考えたり,環境負荷の少ない生活を実践できるようになるためのプログラムです。同時に, 調べたり考えたりしてまとめた自分の意見を,小論文として執筆できるようにします。初回は,後藤 教諭より「環境について」と「小論文とは」の講義を受けました。 このように,「女性と社会」「環境」を学びながら,同時に,テーマを掲げて調べ,調べたことをま とめ,まとめたことを表現し伝えるトレーニングを繰り返しおこなっています。「作文とレポートと 小論文の違いとは」についてもレクチャーを受けました。 これから先,女性が働くのが当たり前になってきます。さらに,地球温暖化に象徴されるように, 地球規模での環境対策が喫緊の課題となってきています。また,求められる学力観も,従来の「覚え て吐き出す」スタイルから「理解し,活用し,伝える」スタイルへと変わろうとしています※。この ように女性キャリアでは,社会や地球,そして学力観の変化をいち早く捉え,生徒たちの思考力・判 断力・表現力を高めるためのプログラムを提供しています。 ※ 新学習指導要領等では,学力の 3 要素=「知識・技能の習得(理解する力)」+「思考力・判断力・表現力(活 用し伝える力)」+「主体性・多様性・協働性(学習意欲)」が求められています。 (第4学年A組担任 女性キャリア委員 小 林 慎太郎) (第4学年C組担任 女性キャリア委員 遠 藤 優 希)
♕ 第5学年 ♕
高校の大きな行事の一つである修学旅行も無事に終了し,5年 生の女性キャリアでは『テーマ別ゼミ』がスタートしました。こ れは女性キャリアプログラムの集大成として6年生で完成させる 「卒業レポート」の作成に向けてのプログラムです。興味関心や進路意識,職業観などと結びつけな がら自らの課題を掲げ,自分の進路と向きあっていきます。以前は6年生になってから始めたプログ ラムでしたが,より早い段階から自分の希望する進路に関するテーマの研究を進め,今後の進路につ なげてほしいという願いから,5年生からスタートすることとなりました。 12 月 7 日(木),まずは福島先生から今後の流れと書き方の説明がありました。続いて,調べたい こと・書きたいことを探すヒントになればと,学年教員7 名が一人ずつ,大学時代に興味を持ったこ とや卒論のテーマ,調べる時のポイントなどを実際の経験を踏まえてお話しました。様々な分野の個 性あふれる話に,生徒たちは興味を持って聞き入っていました。終了後,「私は○○の研究がしてみ たい」「次は○○分野の話も聞きたい」などと話してくれる生徒が何人もいて,とてもうれしく感じ ました。今後,調べることを決め,レポート作成のための構成表づくりに取りかかります。そして68 年生になったらいよいよテーマに分かれて,それぞれの 担当教員の「ゼミ」に入って研究を進めていきます。ゼ ミの中でのディスカッションも積極的に実施していく予 定です。まずは何より「書きたいこと」「より深く調べて みたいこと」を見つけることが最重要課題です。この冬 休み中にぜひ書籍や新聞を読み,アンテナを高く張って, 調べたいことや書きたいことを探していきましょう。 12 月 14 日(木)には,第一学習社から講師の先生を お招きし,『小論文ガイダンス』を実施しました。昨年度にも一回小論文講座を実施していますが, 今回はさらに踏み込んだ内容で「客観性・説得力のある文章にするために大切なこと」や「小論文の 採点方法」などについて教えていただきました。付属教材は冬休み中の課題とし,2月1日(木)に 小論文模試を実施します。来年の入試において,説得力と自己をアピールできる表現力を持った小論 文を書くことができるよう,さらに力をつけていってほしいと願っています。 (第5学年主任・女性キャリア委員 酒 井 あゆみ)