対ブラジル海外投資誘致の中心地である サンパウロ。サンパウロ州投資競争力促進局(通 称インヴェスチ・サンパウロ)の推計では、同州に対 する海外からの投資は2011年までに57.4%増加 すると予想されている。「2010年の対サンパウロ 州の海外投資額は37億レアルで、それにより1万 3500人の雇用機会創出効果が得られた。2011 年には11社の外国企業から総額59.5億レアルの 投資があり、雇用機会創出効果は1万3200人とな った」と語るのは、元サンパウロ州開発局長で現在 サ ン パ ウ ロ 州 投 資 促 進 局 長 を 務 め る ルシアーノ・アルメイダ氏。 今後もこの数字はさらに増加すると見られている。 現在計画中のプロジェクトだけでも85件あり、 これによってサンパウロ州に225億レアルの投資と 4万2000人の雇用機会創出効果が見込まれてい る。85件のうち日本からの投資による事業は7件。 アルメイダ氏によると、日本の投資家は日本人移民 コロニアのある場所にも興味を示すという。ブラジ ルには現在も、150万人もの日系人がおり、世界 最大の日系人社会を形成している。そのうちの約 100万人がサンパウロ州に居住しており「質の高 い労働力、世界標準レベルのインフラ、技術革新 や研究への支援、質が高く大きな消費市場といった サンパウロ州の特質に加えて、日系人の多さも日本 からの投資誘致に有利な点になっている」と話す。 ブラジル投資取引振興機関(BRAiN/Brasil Inves-timentos & Negócios)のアンドレ・サコナト調査部 長は、サンパウロ州の活力が投資家にとってメリット のひとつとなっていると指摘する。「国の金融の中心 地であるサンパウロは、次々と良質のサービスを提 供してきており、常に変化しつづける活力をもってい る。また州内部にも開発拠点が点在しており、富が 州内各地に分配されていることも重要な点だ」と力 説。同氏はまた、治安やインフラ整備についてはさら なる行政の努力が求められると考えている。「治安 はかなりよくなっているが、さらに改善の余地がある。 これはインフラ整備にもあてはまる。また公共の交 通機関は依然として混乱しており、都市部の交通 政策にもさらなる投資が必要だ。ただし、州都の サンパウロ市内で今後5年以内に地下鉄の路線倍 増が見込まれるなど、明るい話題もある」と語る。
サンパウロ
州概要
ブラジル経済の牽引役であるサンパウロ州 は、あらゆる投資に適した環境を有している。大西 洋に面する同州は、ブラジル南東部に位置し、ミナ ス・ジェライス州、リオデジャネイロ州、パラナ州、マッ ト・グロッソ・ド・スル州と隣接。州面積は24万820 9.4平方キロメートルとイギリスの国土よりも広く、6 45の自治体に分けられる。サンパウロ州はブラジル だけでなく南米でも有数の商業・サービスの中心地 となっている。ブラジル地理統計院の統計によると、 同州の2008年のGDP(1兆レアル/6257億ド ル)は、ブラジル全体のGDPの33%に匹敵。州都 のサンパウロ市と周辺都市(各都市の頭文字から ABC地域と呼ばれる)は、ブラジル最大の都市部を特集
サンパウロ
州への投資状況
2011年の同州向け海外投資額は
59億レアルを越える見込み
〒491-0913 愛知県一宮市中町1丁目8番26号 TEL 0586-43-4634 FAX 0586-43-3228 Publisher: 株式会社アバンセコーポレーション ご相談窓口: 海外事業グループ 高橋 email: [email protected] Photos: Agência Brasil
Cover: オタヴィオ フリアス デ オリベイラ ブリジ と バンデイラス記念像 構成・執筆/デザイン: Tokyo5 アバンセコーポ 検索 www.avance-corp.com 過去3年間に18社の企業が発表した対サンパウロ 州の投資総額93億レアルのうち、45%が日本、韓 国、中国のアジア系企業によるものだった。日本から はトヨタ、AGC旭硝子、ホリバとセブラセの4社が、 19億レアル の 投 資を決めており、これにより 2200人規模の雇用機会創出効果が期待される。
数字で見るサンパウロ
(各数字はブラジル全体にしめるサンパウ ロ州の割合を示す) 州面積:3% (24万8000平方キロメートル) GDP:33% 輸出量:26% 石油精製能力:42% アルコール生産量:58% 自動車生産量:51% 薬品生産量:73% 飛行機生産量:99% 固定ブロードバンドアクセス:41% 出典:サンパウロ州投資競争力促進局 サンパウロ州に拠点を持つ主な日本企業 トヨタ、ホンダ、東芝、三菱電機、富士通州投資競争力促進局
2009年に開設されたサンパウロ州投資競 争力促進局(通称インヴェスチ・サンパウロ、URL: www.investe.sp.gov.br)は、サンパウロ進出を目指 す企業の窓口であり、州内で行われている事業拡大 を推進する機関である。インヴェスチ・サンパウロは サンパウロ州経済発展科学技術局の管轄にあり、 州内の経済競争力、雇用・所得創出や技術革新の 促進を目的としている。93 億
レアル
ブラジルの年金
ブラジルの公的年金は、社会保障制度によ り給付される。この制度は加入者が、病気や事故、 妊娠、死亡、高齢などの理由で働けなくなった場合 に、加入者とその家族の収入を保証するものであ る。年金の種類には、保険料納付期間に応じて支給 される年金や老齢年金、障害年金、特別年金がある。保険料納付期間による年金
ブラジルでは1998年から、年金の給付要 件が勤続年数でなく、社会保障制度保険料納付期 間に変更された。保険料納付期間に応じて、全額受 給か部分受給かが決まる。全額受給を受けるには、 男性で35年、女性で30年の加入が義務付けられ ている。部分受給を受けるには、最低限の保険料納 付期間と年齢要件を満たす必要がある。この場合、 男性なら最低30年の保険料納付期間があるか、1 998年12月16日の時点で保険料納付期間30 年に足りなかった部分の保険料を40%増で支払え ば、53歳で受給できる。女性は、最低25年の保険 料納付期間があるか、1998年12月16日の時点 で保険料納付期間25年に足りなかった部分の保 険料を40%増で支払えば、48歳で受給可能となる。 老齢年金 一定の年齢に達すると支給される年金もある。ブラ ジルの老齢年金は、男性の都市労働者なら65歳か ら、女性の都市労働者なら60歳から支給される。農 村労働者に関しては、支給開始年齢が男女それぞれ 5年早く、男性で60歳、女性で55歳となっている。 法令8213/1991が発布された1991年7月25 日以降に社会保障制度に加入した人の場合、都市 労働者なら保険料180ヶ月分の支払い証明、農村 労働者なら180ヶ月の農村労働勤務の文書による証 明が義務づけられている。1991年7月24日までに 加入済みの都市労働者に関しては、受給条件を満 たした年によって決められた月数分(表参照)の保険 料納付の証明が義務づけられている。同じく1991 年7月24日までに加入済みの農村労働者は、同じ 表で示された月数分の農村労働の証明が義務づけ られている。 現在は老齢年金も保険料納付期間による年金受給 の場合も、ともに最低限必要な納付期間は180ヶ月 分となっている。 特別年金 有害な化学物質、物理的、生物学的因子にさらされ た環境など、肉体的健康的被害をもたらす可能性 障害年金 2年ごとに行われる医学鑑定で認められた事故や病 気によって働けなくなった加入者に支給される。病気 の場合、業務執行中に感染したものと認められた場 合に限る。障害年金は、受給者が疾病手当を受給し ていなかった場合、給与の全額と同等の額が支払わ れる。医師の判断で、受給者が第三者による日常的 介護が必要とされた場合には、申請日から25%の割 増し金額が支給される。 受給額 保険料を納付していた年月の8割に当たる期間で、 最も所得水準が高かった時期の平均賃金を算出 し、保険料納付期間の長さに応じて、その金額の7 0%から100%が受給額となる。ただし、受給額が 最低賃金を下回ることはない。 国際協定 ブラジルは日本、アルゼンチン、カーボ・ヴェルデ、チ リ、スペイン、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルグ、パ ラグアイ、ポルトガル、ウルグアイと社会保障協定を 締結もしくは署名している。2010年に署名された日 本とブラジルの社会保障協定によって、25万人の 在日ブラジル人と9万人の在ブラジル日本人が恩恵 を受けことになる。受給額はどちらか一方の国での 勤務期間と納付保険料により決められる。 数字で見る社会保障 ブラジルの社会保障制度では、現在2200万人の 年金受給者がおり、7700万人が直接または間接 的にその恩恵を受けている。調査機関データフォーリ ャによると、受給者の54%は最低賃金相当額の年 金を受給している。1991 60ヶ月
1992 60 ヶ月
1993 66 ヶ月
1994 72 ヶ月
1995 78 ヶ月
1996 90 ヶ月
1997 96 ヶ月
1998 102 ヶ月
1999 108 ヶ月
2000 114 ヶ月
2001 120 ヶ月
2002 126 ヶ月
2003 132 ヶ月
2004 138 ヶ月
2005 144 ヶ月
2006 150 ヶ月
2007 156 ヶ月
2008 162 ヶ月
2009 168 ヶ月
2010 174 ヶ月
2011 180 ヶ月
受給条件を満たした年最
低限の保険料納付期間
2011年
バイオディーゼル
生産量世界一に
2012年、ブラジルはバイオディーゼル生産 量でドイツを抜き、世界最大の生産国になるだろう。 こう予測しているのはペトロブラス・コンブスチーヴェ ルのミゲル・ロセット社長。 ロセット社長の考えでは、ブラジルのバイオディーゼ ル事業は順調に進んではいるものの、生産拠点の 分散や小規模農家の原料供給参入の拡大など課 題も抱えている。「今後も順調に成長しつつ、ブラジ ル各州により均等にその成果を分配し、貧困地域な どに小規模農家の参入も押し進めていくことが我々 の挑戦だ」。 2008年から2011年までに、バイオディーゼルの 販売量は110万㎥から260万㎥に増加した。現在 は中西部と南部に生産拠点が集中している。 2010年の時点では、約10万人の小規模農家が バイオディーゼル事業に参入していたが、ロセット社 長によると、こうした農家が十分な収入を得られる状 況には未だ至っていない。 また、同氏はバイオディーゼル事業の今後の成長に は、輸出促進とともに、現在5%と定められている軽 油混合燃料のバイオディーゼル混合率をさらに引き 上げることが欠かせないという。また農業や社会の 発展で遅れた地域支援のためにも、バイオディーゼ ル産業に対し、現状に即した税制上の優遇措置がと られるべきだとも語った。ブラジルの中小企業を取り巻く状況は依然 として健全な状態で安定している。 零細・小企業支援機関(SEBRAE)の最新調査で、 新規開業企業にとって経営安定まで苦しい時期が 続くと言われる開業後2年を経過しても存続してい た零細・小企業が、100社につき73社あったことが 分かった。同機関のルイス・バヘット総裁の考えで は、このような結果は「国民の修学期間の増加や、 新興中流層の出現、法制度の整備といった状況を 反映している」という。SEBRAEが発表した「ブラジ ルの企業生存率調査」によると、2005年に開業し た企業の生存率は71.9%だったが、零細・小企業 向けの税制優遇措置が打ち出された2006年開業 の企業では、73.1%に上昇。業種別では工業の生 存率が高く、75.1%の企業が開業2年経過後にも 存続していた。次いで、商業(74.1%)、サービス業 (71.1%)、建設業(66.2%)と続いた。「企業 が市場で生き残るには、開業時の事業計画や、高 い革新性、資金調達の成果による部分が大きい」 とバヘット総裁は分析。 地域別では南東部の生存率が76.4%と一番 高く、南部(71.7%)、北東部(69.1%)、中西部 (68.3%)、北部(66%)と続いた。同総裁による と、南東部が平均値以上の数字を記録した背景に は、市場の多さや住民の情報収集力や教育水準の 高さなどがある。 他国と比較すると、ブラジルがいかに恵まれた状況 にあるかがわかる。ブラジルの零細・小企業生存率 は、スペイン(69%)、イタリア(68%)、オランダ (50%)を上回り、カナダ(74%)に肉薄する。欧 州各国の企業生存率は経済協力開発機構が調査 を行っている。バヘット総裁はこうした状況に関し、 「ブラジルの企業は強い国内市場に支えられてお り、ブラジルをはじめとする新興国はヨーロッパ金融 危機の影響を受けることなく経済成長し続けている」 と語った。
写真 : Luiz Prado / LUZ バヘ
ット 総裁 :「 ブ ラ ジ ル の 企業 は 強 い 国内市場 に 支 え ら れ て い る 」