「34」MODA IN のコンセプト抄 34-1:その説明 この展示会はモード商品の展示会である。衣服のほか、人々が身を飾るにふさわしいと思う商品を「モ ード商品」と呼ぶ。モード商品の製作者に対し、原材料が無数にあり、その組み合わせがさらに無数に あることを具体的に提示している。 収集される原材料がただ無秩序に陳列されるのではなく、ゆるやかな方針が提示され、それが出展者 と来場者のコミュニケーションに寄与する。その方針はスクリーンに投影された「かたち」により説明 される。 来場者はその「かたち」をどう見るのだろうか。 たとえ稿者にその能力があったとしても、著作権の制約からできない。「かたち」の説明に使われた断 片的な「ことば」について、ささやかに感想を記する。 (なお、東京ガイダンスにおなじ。プレス用和訳資料あり) 竹・メタル・宝石・靴・宝飾品 スクリーンにプリントされた自然 リボン 野に生えたあざみ→着色→かたち→ 野生のビート→ 華花実→かたち (メモ)ある風物がある。それをデジタル化する。あるいは描いて写し取る。ただしそれは高くつく。 多分デジタル化する。それを使う。たとえば、くりかえし(同じものコピーして並べる)。大きさの変 形(サイズを変える)。色を変える。歪める。不規則化。規則化。左右反転。くりぬく。群状化。ギザ ギザ化・・・。このような一連の作業を図化、ないしは→かたち と表現する。 ある風物→かたち 別の風物→かたち これを組み合わせる。 「風物」を選ぶ基準 「→かたち」の作業基準 作り手が抱く基準に何か意味があるのか。その意味は 作り手から使い手に伝わるのか。作り手と使い手を結ぶ「業者」に伝わるのか。 また、こうした作業の標準的テクニックはソフト化されているであろう? 伝わる・・・の意味は。感性に訴求か? しからば感性の訴求するとは? 蝶・鶴・フラミンゴ どこかの民族衣装・背景は春・・ 西欧←IT⇔東洋・アジア 椅子のかたち かたちのある背もたれ 太りぎみ和装中年婦人のウエストの帯を強調 ・・・そこだけ写したからおのずからかたちになっている ゆりの花弁・芯→かたち 無造作な組みひものからみ 金属の結晶→かたち ・・・ネクタイの柄にでも 葡萄の房→かたち ・・ 街のおとこと女 インターチェンジ・走る自動車のライト→かたち 表情のある大型の猿(チンパンジー?)→かたち
数十個のつぶされた空き缶の塊→かたち ・・・自然保護とか何か訴求したい? 日蝕の太陽 アダルトビデオ屋のかんばん ・・・これは字の意味がかたちなのか? 「スーパーコンポジション」 ・・・急に字が出てきた。なにか強調したい? ゆでたパスタの絡み→かたち シュレッドされた紙片のかたまり(ただし処理したい範囲におさまる規模のかたまり) お城の大門の扉に仕掛けられた防敵用の楔(ただし斜め下方から撮影) 能の面 花弁・花片 くさり ・・・それ自体を図化。および他の風物を鎖化 「fluidity」 (メモ)入場前にも解説されたコンセプト。入場者に早くわかってほしい標語? 「classic of color」 (メモ) fluidity ほど高い次元の位置にないけれども、念のために添えられたことば。 「このように理解するのですよ」とも読める。 陽に焼けたヒトの背の健康そうな肌+海 シルク風の白のドレス iridescence (にじいろ)の表示 ・・・あえて形に色を着して表現するのではなく、「字」で表現。 ・・・コットン(何か加工された綿 ノーと読み取れない) だれもが組織化されていると判断できるような群状の宝石 ・・・ハーモニックカラー・distortion 規則的にならぶ風物のうえに不規則な格子を乗せる (注)別途 DVD あり。 34-2:ひとりごと・・衣服の制作過程の仮説 * 一流・ベテランのデザイナーといえども、この展示会のすべての展示品(いわば提案)を認知して いることはない。かれもまたヒトであるから、認知能力には限界があるはずだ。ゆえにマネジメント オ フ デザインが必要だ。 服作りは藤本が自動車で描いたような意味での情報処理と解釈することがいいかもしれない。 デザイン・・こういう服を作る・・情報 そのためにこういう材料を使う・・情報
むかし材料や>仕立や いま逆? 仕様にそって加工・・ワークへの情報転写 ①デザイナー→つくりたい衣服→材料探し→展示会 Σデザイナー→雑多で膨大な情報→整理?・・・・見方の確立・・→展示会 →トップデザイナー・・自分が流れを作る。例:好業績ラグジュアリブランドのチーフクリ エーター。 →セカンドライン・・トップの動きから整理の方法を模索 →サードライン・・整理された方法をいちはやく理解し追跡しムーブメントに早乗り。 →フォロワー・・ムーブメントとして理解 (小売業者はこれがセカンド) ②メーカー→作りたい材料≒売りたい材料(多分この≒が微妙であろうが)→展示会 (メーカーの企画担当者は「作ってもらいたい服」と考えるか?) Σメーカー→展示会主催者による整理(展示の秩序・・ここで流行を表現することばの選択) →あるていど秩序陳列→いわば陳列の文法 ・・・デザイナーの理解のはんい →展示会に来場 →発注 ③Σメーカー⇔Σデザイナー ⇔=展示会 これは情報処理の場である。 したがってある程度効率よくないと、逆に、まったくランダムであると、展示会がなりたたない。 そこで問い。③が成り立つには、いかなる要件があるのか。また、その要件はいかに充足されるべき か。 ②は見込生産か受注生産かでだいぶちがう。IT は中小企業が多い(中小企業はたぶん大企業に比べ一 般管理費はすくなくて済むであろう)。大規模投資はできないから量産設備はない。受注生産の可能性 が高い。しかし完全受注(いわば特注・受注してから設計に入る)は少ないであろう。なにがしか規格 や見本を作って、対応範囲(受注可能範囲)を積極的に説明しなければならない。所用の設備や人員が 必要だから、先行投資は要る。あらかじめ作っておく、準備しておくコストが必要である。 さて、そこでその範囲が、売れ筋なのかどうか。材料の企画は、売りたい材料、売れる材料、作りたい 材料・・なのか。「作りたい⇔売りたい⇔売れる」はどのようにして認識するのか。 ①は好業績ラグジュアリブランドのチーフクリエーターは、ブランドの方針に添いながら、新しい商 品を作っていくのであろう。すべてブランドの縛りから完全に自由ではないし、さりとて、すべてブラ ンドの伝統どおりではないであろう。その範囲で新味を出す。トップ以下のデザイナーがなんらかの形 でフォローする。 ①のトップはあるていど流れを動かせる。でも②がないとモノはできない。トップクラスなら、②の 営業マンが日参するであろう。ΣデザイナーとΣメーカーのコミュニケーションを促進するには、共通 の文法(表現方法)と、頻出する語彙を、何らかの方法であらかじめ理解しておく必要がある。 そのコンテンツに、おそらくは、主力訴求対象、材料、カラー、形が含まれる。 キーとなるデザイナー 例 マーク ジェイコブズ LVMH カール ラガーフェルド CHANL トム フォード 旧グッチ メンズ→化粧品 ビエラ・ゼニア社と紳士服。 アレクサンダー マックイー ン マックイーン
ジョン ガリアーノ ディオール イメージ先行。そのままトレンドに使える。 ジャン ポール ゴルチェ いまのエルメスで影響力もっ た いまは落ち目。オンワードが使った時期もある。 ドルチェ & ガッパーナ 自社。 (注)渡辺ともこらによる JP 市場に影響力あるブランド・デザイナー サマンサタバタ JP ブランド ジミーチュー クツ・バッグ ドレスキャンプ JP 男デザイナー マックスマーラ コピーされやすい。チーフがいない。KR 人デザイナー2 名あり。 マルニー かわいいテースト。 アルマーニ 人気安定? 製品がしっかりしている。 バレンチノ 人気安定? ランバン この4-5年 可 シャネル JP 人のシャネル好き。高校生でも買う? LV なら、でもシャネル も・・・。 (注)渡辺ともこらによる デパートやアパレルの社内で「うるさくいうひとがいるのではないか?」 それがいなくなればずい ぶん違うと思うが? つまりもっとちがったブランド・デザイナーがはいるであろう。JP の百貨店のイ ンポートコーナーは COPY 多い。大御所だから勢いがあるかどうか?RU・CN・アラブ・IN・・これからの 市場。 (メモ)ファッションやモードのビジネスは情報処理の過程でもある。展示会はさしずめコンピュータ システムである。アクセルロードの「蟻・砂糖」は、ともに一種類であったけれども、ここでは、膨大 な種類の砂糖と、好き嫌いの組み合わせが実に多様な蟻がいると想定する。そして賢く動く蟻もいるし、 そうでない蟻もいる。これらは、処置の仕様がないほど気まま勝手に動くようにみえるけれども、なに がしか規則性があり、造りたいものを造るといっても、売るないしは売れるためにはなにをすればいい のかについて認識しなければならない。それがために再生産砂糖もまた多様である。 34-3:PLATO・COMO トレンディコーナーの展示体系 IdeaCOMO には 51、ExpoPLATO には 73 のブースがある。各ブースの出店者は、来場者にもっとも訴求 したい商品のサンプル(そのおおくは端布ないし染見本)を、会場の特別の場所に設けられる「トレン ディコーナー(AREA TENDENZE)」に展示する。このコーナーはいわば端布の展示場でもある。その端布 を展示した会社のまなえもすぐわかるように、端布に記載されている。ところで、この端布の群れをな んらかの基準で整理しない限り、入場者が見るに堪える展示はできない。その基準は COMO と PLATO では ずいぶん違っていた。 COMO は3つの標語(Amazement・fluidita・chisel)ごとに屋台を設け、各社のなまえを付した端布 や染見本を並べる。たとえば、スカーフ用のシルクないしはポリエステル生地の染見本が、Amazement の屋台にある。見本に出展者である SERICA DELLA MARCA SRL ・・の名前があり、大会ガイドブックか ら、その会社は MODAIN の N12 と O07 にブースがあると判明する。また、サンプルには、「LAGO-BARRIER Atif Variante, Stampa N 3370, Y・M・C・K・MI・KI・R・V」とあり、POP に、「デジタルスタンプ+finish +トランスファーアージェント」と記載されているから、およそこの商品の属性が判明する。また、隣 接するコーナーには、fluidita(流れるの意味)に TESSUT・TRATTEN・AL など、また chisel なるコンセ プトにプリーツ加工があり、ACCIAID や INOX が出品している。要するに、本会場における COMO 各社の トレンドは、大雑把な標語=4テーマ→見本→出展者名と整理される。
一方、PLATO はもっと細かく整理する。4 個の平台がかなり広い中空をもった正方形状になるように配 列される。したがってひとつの平台の一辺は長く、全体はそのような矩形を呈する。見本はある標語ご とに 4-6 点ほど、「縦長の矩形」に貼り付けられる。その上の部分に「標語」が付される。ひとつの細 長い平台に 20-30 個の「縦長の矩形」が陳列される。たとえばつぎのような標語である。屋台に並んで いるものの一部をとりだし、その順に書き出してみたものである。
・・・ Green passion, new jackets, about beige, task plains, precious woven, ・・・ ・・・ African lace, tribal couture, renewing T-shirt, ・・・
・・・ airy movement, ribbon look, irregulars, light greys, colored grey, cold reflections, micro sparkles, frozen classic, 3pstripes,silvery reliefs, metallic wovens, liquid patterns, ・・・ 「縦長の矩形」の第一行に標語があり、数個の見本が縦長に貼り付けてある。見本には出展者名があ るから、その見本に関心のあるバイヤーは出展者のブースにいけばよい。PLATO 各社のトレンドは、細 かな標語→見本→出展者名と整理される。 既述のように、かなり広い中空ができるように、正方形状に平台が配列される。「標語」は、4つの 平台ごとに、何らかの意味を持って括られているのかもしれない。たとえば、この平台はカジュアル風 とか、重い生地とか・・。それはバイヤーが都合の良いようにあるいは腐心に落ちるように解釈しても らう。それが発注につながるように整理されていれば、それは成功というべきである。興味はそこにあ る。 (注)0702MILAN UNICA 記録 (不規則に思いつくまま)