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第12回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (口頭発表) 第8群

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Academic year: 2021

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27.自

然 流 産 を経 験 した女 性 の ソー シ ャ ル

サ ポー トを測 定 す る質 問 紙 の 作 成

日本赤+字 社医療センター ○ 田母神 裕 美 1.諸 言 1.は じめ に 自然 流 産 は 全 妊 娠 の10%か ち15%に み ら れ,産 婦 人 科 領 域 で は よ く 遭 遇 す る 症 候 で あ る 。 妊 婦 は 妊 娠 初 期 か ち 胎 児 と の 絆 を 築 き 始 め る が,自 然 流 産 に よ る妊 娠 の 突 然 の 終 結 は 女 性 に と っ て 危 機 的 状 況 を もた ち す 重 要 な 出 来 事 で あ る. 一 方,自 然 流 産 を 経 験 し た 女 性 の 看 護 ケ ア の 現 状 に 目 を転 じ る と,自 然 流 産 の 場 合 の 入 院 期 間 は 非 常 に 短 く,看 護 者 が ケ ア を 提 供 す る 場 面 は 限 ち れ て い る 。 厚 生 省 の 調 査1)で は,自 然 流 産 の 場 合 の 平 均 在 院 日 数 は3.5日 とな っ て い る 。 特 に,妊 娠 初 期 の 自 然 流 産 の 場 合 の 入 院 日数 は 更 に 短 期 間 で あ る と考 え られ る 。 こ う した 短 期 間 の 関 わ りの 中 で,自 然 流 産 を 経 験 した 女 性 が 看 護 者 や 周 囲 の 人 々 に どの よ うな サ ポ ー ト を 求 め て い る の か と い う こ と は 十 分 に 把 握 さ れ て い な い 。 こ れ まで に,自 然 流 産 を 経 験 した 女 性 の 悲 嘆 に 影 響 す る 因 子 と して 対 象 者 の ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト が 関 係 して い る と い う研 究 結 果 が 報 告 さ れ て い る 2) .し か し,こ う し た 研 究 で は ソ ー シ ャ ル サ ポ ー トを 測 定 す る 質 問 紙 の 信 頼 性,妥 当 性 は 十 分 に 検 討 され て い な い 。 こ の た め,本 研 究 で は 自 然 流 産 を経 験 した 女 性 の ソ ー シ ャ ル サ ポ ー トの 概 念 を 明 ら か に し,ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト を測 定 す る 質 問 紙 を作 成 す る こ と を 目 的 に 研 究 を 行 っ た. 2.研 究 目 的 1)自 然 流 産 を 経 験 した 女 性 に と っ て の ソ ー シ ャ ル サ ポ ー トの 概 念 を 明 ら か に す る 。 2)研 究 目 的1)の 結 果 を も と に 「自 然 流 産 を 経 験 した 女 性 の ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト 」 を 測 定 す る 質 問 紙 を作 成 し,そ の 信 頼 性 ・妥 当 性 を 検 討 す る 。 3.用 語 の操 作 的 定義,概 念 枠 組み 1)自 然流 産;妊 娠13週 未満 の 自然流 産 。 2)自 然流 産 を 経験 した女 性;過 去6ヶ 月以 内 に妊 娠13週 未 満の 自然 流 産 を経 験 した 女 性 。 3)ソ ー シ ャル サポ ー ト;自 然 流 産 を経 験 した 女 性 が 悲 しみ や将 来 の 妊娠 に 対 す る不 安 な ど,悲 嘆の 過 程 をた どっ てい る時 に,周 囲か ち得 ちれ る と認 知 す る援 助 。 本 研 究で はHouse3)の ソー シャ ルサ ポ ー トに関 す るモ デル を もとに 概念 枠 組 み を設 け た 。 本 研 究 では,ソ ー シャ ル サポ ー トの 機 能 は,① 情 緒 的 援 助② 手段 的 援 助 ③情 報 的援 助 の3つ の側面 か ち構成 され る と 仮定 した 。 II.研 究 方 法 1.帰 納 的 デ ー タ収 集 と質問 紙 原案 の 作 成 1>研 究対 象 ① 都 内のA総 合 病 院 で 自然 流 産 を診 断 され た 女 性13名. ②A総 合 病 院 に入 院 中 の褥 婦 で過 去3年 以 内に 自然流 産 の 既往 が あ る対 象4名 。 2)研 究期 間;1996年5月 中旬 か ち8月 中旬 3)研 究 方法;① の 対象 の 入 院 中 に参 加 観察 を 行い,退 院後1週 間か ら5週 間 の 間,② の 対 象の 産褥5-7日 目に半 構 成 的な 面 接 を 行 った 。 2.内 容 妥 当性 の 検討 1)研 究対 象 母性 看 護 学領 域 の研 究 者 と臨 床実 践 の場 で 自然 流産 を経 験 した 女 性 の看 護 ケ ア に従 事 して い る臨 床 経験5年 目以 上 の 助産 婦,合 計20名(有 効 回答 数20)。 2)研 究期 間;1996年8月 下 旬 か ら9月 上 旬 3)研 究 方 法;対 象 者 に それ ぞ れ の質 問 項 目が どの 下 位 概念 に 該 当す るか 振 り分け て もらい,そ

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-186-の 一 致 率 か ら 質 問 項 目 -186-の 内 容 を 検 討 した 。 3.表 面 妥 当 性 の 検 討 1)研 究 対 象 A総 合 病 院 に 入 院 中 あ る い は 外 来 通 院 中 の 妊 婦, 褥 婦 で 過 去 に 自 然 流 産 の 既 往 が あ る 対 象 合 計18名 に 質 問 紙 を 配 布 し た 。 回 収 数17(94.4%)有 効 回 答 数15(88.2%)。 対 象 者 の 平 均 年 齢 は31才(SD=3.13),既 往 の 自 然 流 産 の 回 数 は1回 が14名(93.3%),2回 が 1名(6.7%)で あ っ た 。 自 然 流 産 の 経 験 か ら質 問 紙 へ の 回 答 ま で の 期 間 は 平 均2年4ヶ 月 だ っ た, 2)研 究 期 間;1996年9月 中 旬 か ら9月 下 旬 3>研 究 方 法;対 象 者 に 質 問 紙 に 回 答 して も ち い,質 問 項 目 の 表 現,回 答 しや す さ 等 に つ い て の 意 見 を 求 め た 。 4.信 頼 性,構 成 概 念 妥 当 性 の 検 討 1)研 究 対 象 構 成 概 念 妥 当 性,内 的 整 合 性 は 便 宜 的 標 本 抽 出 に よ つ て 抽 出 し た 全 国 の11の 総 合 病 院 で1996年1 月 か ち12月 に 自 然 流 産 を 診 断 さ れ た 対 象,123名 に 質 問 紙 を 配 布 した 。 回 収 数75(回 収 率62.5%) 安 定 性 の 検 討 は,1回 目 の 回 答 に お い て 協 力 の 得 ら れ た55名 に2-4週 間 後 に リテ ス トを 行 っ た 。 回 収 数30(回 収 率54.5%)。 2)研 究 期 間;1996年10月 上 旬 か ら12月 上 旬 3)分 析 方 法 分 析 は,各 サ ポ ー ト提 供 者 ご と に 行 っ た 。 構 成 概 念 妥 当 性 の 検 討 は,質 問 項 目へ の 回 答 の 分 布, 質 問 項 目間 の 相 関 係 数 の 値 か ら 偏 りの あ る3項 目 を 削 除 し,残 っ た20項 目で 因 子 分 析 を 行 っ た 。 内 的 整 合 性 は 質 問 紙 全 体 と因 子 分 析 の 結 果 得 ら れ た 因 子 ご とにChrobach's-α 信 頼 係 数 を 求 め た 安 定 性 は1回 目 と2回 目 の 回 答 の 合 計 点 の 相 関 係 数 を 求 め た 。 分 析 は 統 計 ソ フ トHalbauを 使 用 し た 5.倫 理 的 配 慮 対 象 者 に は 口 頭 ま た は 書 面 に お い て 研 究 の 主 旨 を 説 明 し 、 研 究 へ の 協 力 に 対 す る 同 意 を得 た 。 III.結 果 1.ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト を 構 成 す る 下 位 概 念 と 質 問 祇 原 案 の 作 成 概 念 枠 組 み で 設 定 し た3つ の ソ-シ ャ ル サ ポ ー ト に 関 し て36の サ ブ カ テ ゴ リ ー に 分 類 され る 内 容 が 得 られ た 。 こ れ を も と に ソ ー シ ャ ル サ ポ ー トの 下 位 概 念 と して 以 下 の3つ を 再 設 定 した 。 ① 流 産 の 経 験 に 対 す る 情 緒 的 支 援;流 産 の 経 験 の 持 つ 意 味 を 理 解 し,対 象 者 が 悲 嘆 の 過 程 を た ど る 上 で 経 験 して い る 様 々 な 感 情 に 対 し て 配 慮 す る こ と 。 ② 身 体 的 安 楽 を 保 つ た め の 手 段 の 提 供;流 産 に 伴 う症 状 に 対 し,そ の 緩 和 の た め の 援 助 ・手 段 を 講 じた り,対 象 者 が 安 楽 に 過 ご せ る よ う に,対 象 者 の 日常 的 に 行 う行 為 を 代 行 す る こ と 。 ま た,そ の 援 助 を 対 象 者 の 必 要 に 応 じ て 提 供 す る こ と 。 ③ 流 産 の 経 験 を 受 け とめ 対 処 す る た め の 情 報 の 提 供;今 回 の 流 産 の 経 験 を 現 実 的 に と ち え,次 回 の 妊 娠 に 関 して の 見 通 し を た て る た め に 必 要 な 情 報 を提 供 す る こ と 。 ま た,そ の 情 報 が 信 頼 に 足 る こ と. ま た,「 流 産 の 経 験 に 対 す る 情 緒 的 支 援 」 に は 「流 産 の 経 験 を 共 有 す る こ と 」 と 「プ ラ イバ シ ー を配 慮 す る こ と 」 の2つ の カ テ ゴ リ ー が 含 ま れ る と 考 え た(定 義 は 次 項 参 照)。 得 ら れ た 結 果 を も と に32項 目 の 質 問 項 目 を 設 定 した 。 ま た,質 問 紙 へ の 回 答 は,「 ご 主 人 ま た は パ ー トナ ー 』,「 実 の 両 親 」,「 友 人 ・同 僚 」, 「医 師 」,「 看 護 婦 ・助 産 婦 」 の5人 の サ ポ ー ト 提 供 者 に つい て 「か な りそ う だ 」 か ら 「全 く違 う 」 の4段 階 の 選 択 肢 で 回 答 して も ち う 形 式 と した 。 2.内 容 妥 当 性 の 検 討 の 結 果 そ れ ぞ れ の 質 問 項 目 を,ソ ー シ ャ ル サ ポ ー トの 下 位 概 念 に 振 り分 けて も ち っ た と こ ろ2項 目 に お い て80%以 上 の 一 致 率 が 得 ちれ な か っ た 。 こ の2 項 目は 下 位 概 念 「プ ラ イ バ シ ー を 配 慮 す る こ と 」 に 含 ま れ る項 目 で あ り,一 致 率 が45%の 項 目 「私 が 流 産 した こ と を 責 め な い で 見 守 っ て い て くれ る 」 は 削 除 し,一 致 率75%の 項 目,「 私 が 流 産 し た こ と を 大 げ さ に しな い で 見 守 っ て い て く れ る 」は 下 位 概 念 の 定 義 を 修 正 す る こ と と し,項 目は そ の ま ま 残 した 。 ま た,カ テ ゴ リ ー 名 と 内 容 が 不 明 瞭 で あ る と の 意

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見 か ら,「 プ ラ イ バ シ ー を 配 慮 す る こ と 」 は 「プ ラ イ バ シ ー を尊 重 す る こ と 」 と 修 正 し,そ の 定 義 を 「自 然 流 産 と い う経 験 に 際 して,周 囲 の 人 た ち の 関 わ り に よ っ て 対 象 者 が 悲 しみ,自 責 感,怒 り な ど の 感 情 が 喚 起 さ れ る こ と を 理 解 し,対 象 者 の 『一 人 で い た い 』 とい う ニ ー ズ を 尊 重 す る こ と 」 と 修 正 した 。 ま た,「 自然 流 産 の 経 験 を 共 有 す る こ と 」 は 「自 然 流 産 の 経 験 に 伴 う 感 情 を 共 有 す る こ と 」 と し,定 義 を 「自然 流 産 の 経 験 に 際 し て, 対 象 者 が 抱 い て い る思 い を 誰 か と 分 か ち 合 い た い と い うニ ー ズ に 対 し対 象 者 に 実 際 に 働 き か け る こ と,ま た は 非 言 語 的 に,こ う した 感 情 を 共 有 す る こ と 」 と 修 正 した 。 質 問 項 目 数 が 多 い こ と,類 似 し た 質 問 項 目 が 多 い こ とが 指 摘 さ れ た た め,質 問 項 目 の 内 容 を 吟 味 し,4項 目 を 削 除 した 。 3.表 面 妥 当 性 の 検 討 の 結 果 全 て の サ ポ ー ト提 供 者 に 同 じ質 問 項 目 が 設 定 さ れ て い る こ と で 回 答 しず ち い と い う意 見 が あ っ た た め,質 問 項 目 を 再 検 討 し,教 示 文 に 説 明 を 加 え た 。 ま た,質 問 項 目が 多 い こ と,類 似 した 内 容 の 質 問 項 目 が 多 い こ とが 再 度 指 摘 さ れ た た め 類 似 し た 内 容 の5項 目 を 削 除 し た 。 対 象 者 の 意 見 か ち,サ ポ ー ト提 供 者 に 対 す る 信 頼 感 な ど か ら,回 答 に ハ ロ ー 効 果 が 生 じ る 可 能 性 が あ る こ と が 分 か り課 題 と して 残 さ れ た. 4.構 成 概 念 妥 当 性,信 頼 性 の 結 果 不 良 項 目3項 目 を 削 除 し,残 っ た20項 目(表1) に つ い て 因 子 分 析 を 行 っ た 結 果 く主 成 分 解,バ リ マ ッ ク ス 回 転)そ れ ぞ れ の サ ポ ー ト提 供 者 に つ い て3因 子 解 が 適 当 で あ る と 判 断 し,因 子 負 荷 量 が │0.5│以 上 の 項 目 を も と に 因 子 の 解 釈 を行 っ た 。 これ ま で の 過 程 で 設 定 した 下 位 概 念 が 抽 出 さ れ た 部 分 と2つ 以 上 の 下 位 概 念 が 統 合 さ れ た 因 子 が 抽 出 さ れ た 部 分 が あ っ た(表2)。 α 係 数 は 質 問 紙 全 体 で は.91-.96で,因 子 ご と で は.74-.96の 値 で あ っ た 。 1回 目 と2回 目 の 得 点 の 相 関 係 数 は.83-.95で あ っ た. IV.考 察 自然 流 産 を経 験 した女 性 に 対す るイ ンタ ビ ュー で得 ちれ た 内 容 はHouseの 提 示 して い るソ ー シ ャ ルサ ポ ー トの4つ の 下位 概 念 にほ ぼ 該 当す る もの で あ った 。 しか し,情 緒 的支 援 に含 まれ る 「プ ラ イバ シー を尊重 す る こ と 」で は 「対 象 者 との 関 わ りを敢 えて 差 し控 える 」とい う側 面 が 含 まれ て お り,こ れ はHouseの 下 位 概 念 には 含 まれ て い な い 内容 で あ る と考 えた 。 Gorerは 死 別 を経 験 した人 が,「 一人 で い た い とい う欲 求 」を持 てい る と述べ て い る4)が,今 回 の 結 果 か ら.対 象者 とサ ポー ト提供 者 との 関 係性 や 自然 流 産の 経 験後 の 時 期 に よ って は対 象 者 との 関 わ りを 調整 し,関 わ ってい く必要 が あ る と思 わ れ た 。 今 回の イ ン タ ビ ューの 対 象は,自 然流 産の 経 験 後 の期 間 が短 い 対 象が 多 か った た め,今 後, 自然 流 産 後期 間 が経 過 してい る対象 に関 す る デー タ も得 る こ とに よ って 本研 究 で 得 られ た これ ちの 下 位 概 念 を検 証 して い く必 要 が あ る と考 え ちれ る 、 信 頼 性,妥 当性 の 検 討の 結 果,本 研 究 で 作成 し た 質 問 紙 の信 頼 性,妥 当性は あ る程 度 満 た されて い る と考 えた 。 しか し,同 じ質 問項 目 を5人 のサ ポ ー ト提 供者 に 設定 して い る こ とで 回答 が しず ち い 部 分 が あ る こ と,回 答 す る上 でハ ロー 効 果 が生 じる可 能 性が あ る な ど測 定上 の 課題 が 残 され た 。 また,今 後 対 象数 を確 保 した 上 で質 問紙 の 因 子の 構 造 を確 認 して い く必 要 が あ る と思 われ た 。 V.結 諭 1.帰 納 的デ ー タ収 集 と内容 妥 当性 の検 討 の 結 果 自然 流 産 を経 験 した 女 性の ソー シャ ルサ ポ ー トは 「自然 流 産の 経 験 に対 す る情緒 的 支 援 」,「 身体 的 安 楽 を保 つ ため の 手 段 の提 供 」,「 自然 流 産 の 経 験 に対 処す るた めの 情 報 の 提供 」の3つ の下 位 概 念 に よって 構 成 され て い た 。 更 に,構 成概 念 妥 当性 の 検 討の 結 果,こ れ ち3 つ の 下 位 概念 は,対 象 者 か ら,そ れ ぞ れ 独立 して 認識 され る もの で は な く,重 な り合 う部 分 もあ る と考 え られ た 。 2.本 研 究 で 作成 した 自然流 産 を経 験 した 女 性 の ソー シ ャル サポ ー トを測 定 す る質問 紙 の 信 頼 性, 妥 当性 は,あ る 程度 満 た され て い る と思わ れ る 。

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-188-しか し,先 述 し た,質 問 紙 の 形 式 な ど,今 後 改 善 を 要 す る 点 が あ る こ と も 明 ち か に な っ た 。 謝 辞 本 研 究 の 実 施 に あ た り,イ ン タ ビ ュ ー,質 問 紙 の 回 答に ご協 力 下 さい ま した 皆 様,協 力 施 設の関 係 者 の皆 様,ま た,研 究 を ご指 導 下 さ い ま した 日本 赤十 字 看護 大 学 教授,平 澤美 恵 子 先 生 に深 謝 致 します 。 表1信 頼性,構 成概念 妥当性 の検討 に用いた質 問項 目 下位概 念お よび質 問項 目 下位概念 お よび質問 項 目 下 位 概 念1.自 然 流 産 の 経 験 に 対 す る 情 緒 的 支 援 1-1.自 然 流 産 の 経 験 に 伴 う感 情 を共 有 す る こ と 1)精 神 的 につ ら い時 に,励 ま して くれ る 2)私 の 気 持 ち を話 した い 時,嫌 が ちず に 聞 い て く れ る 3)流 産 した こ と を 我 が こ との よ うに 思 っ て くれ る 4)ど ん な 気 持 ち で い る か 本 心 を打 ち明 け ちれ る 5)ど ん な 気 持 ち で い る か 分 か って くれ る 6)私 が しず ん で い る時 に は,な ぐ さめ て くれ る 1-2.プ ラ イ バ シー を 尊 重 す る こ と 1)流 産 に っ い て ふ れ ら れ た くな い 時 そ っ と して くれ る 2)一 人 で い た い 時 に は,一 人 に して くれ る 3)他 の 人 に 気 を 遣 わ ず 過 ご せ る よ う配 慮 して く れ る 4>流 産 に っ い て プ ライバ シーが 守 ちれ る よ う配 慮 して くれ る 下 位 概 念2.身 体 的 安 楽 を保 つ た め の の 手 段 の 提 供 1)身 体 が つ ちい 時,身 の 回 りの こ と を 手 伝 っ て くれ る 2)安 静 が 必 要 な 時 に 休 め る よ うに して くれ る 3)身 の 回 りの こ と を気 が ね な く 頼 め る 4)体 調 が 悪 い と き に 看 病 して く れ る 5)身 体 に つ らい と こ ろ が あ った ち 手 当 を して くれ る 下 位 概 念3.自 然 流 産 の 経 験 に 対 処 す る た め の 情 報 の 提 供 1)流 産 に つ い て 知 りた い こ と を い つ で も聞 け る 2)次 に 妊 娠 した 時 の 注 意 点 に っ い て 相 談 で き る 3)流 産 に つ い て ゆ っ く り相 談 に の っ て くれ る 4)自 分 の 体 調 に っ い て 相 談 で き る 5)プ ライ ベ ー トな こ と に つ い て 相 談 で き る (質 問項 目は一 部表現 を簡略 化 して表 示 した) 表2因子 分析に よって得 ちれた因子 (表 中*;2っ 以上の 下位概念が 組み合 ってい る因子) (因子の 名称は 一部表現 を簡略化 して表示 した) 引 用 ・参 考 文 献 1)厚 生 省 大 臣 官 房 統 計 情 報 局.平 成5年 患 者 調 査(全 国 編)上 巻.(財)厚 生 省 統 計 協 会.1995.

2)Madden, M. E. The variety of emotional reactions to miscarriage. Women&Health. 21, 85-101. 1994.

3)House, J. S. Work stress and social support. Addison-Wesley. U.S.A.1981. 4)Gorer, G. (1965)/宇 都 宮 輝 夫 訳.死 と 悲 しみ の 社 会 学.ヨ ル ダ ン社.1986.

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28.体

外 受 精 を選 択 した女 性 と

そ の パ ー トナ ー の 意 識

杏林大学医学部付属病院 総合周産期母子医療 センター ○ 藤永 由美子 大 藤 智佳 篠 崎 る り子 高崎 由佳 理 福 井 トシ子 Iは じめ に 不 妊 治 療 の 進 歩 は め ざ ま し く,マ ス コ ミ等 で も 「体 外 受 精 」 と い う言 葉 が,多 く聞 か れ る よ うに な っ て き て い る 。 だ が,不 妊 に悩 ん で い る 女 性 と そ の パ ー トナ ー に と って,治 療 を 受 け て い る事 を 口 外 で き な い ケ ー ス も多 く,相 談 相 手 も限 ら れ て きて い る の が 現 状 で あ る。 私 達 は以 前,治 療 を受 け る過 程 に お い て 生 じて い る身 体 的,心 理 ・社 会 的 な 問 題 を抽 出 し,ケ ァ の 方 向 性 を女 性 の 面 か ら探 り改 善 して き た 。 しか し,不 妊 治 療 は女 性 だ けで は な く,パ ー トナ ー も 一 緒 に 治 療 して い る た め ,パ ー トナ ー も含 め た 関 わ り が重 要 に な る と考 え,ア ン ケ ー ト調 査 を 行 っ た 。 この 結 果 よ り,IVF-ETを 選 択 した 女 性 と そ の パ ー トナ ー に対 す る助 産 婦 の 関 わ り方 に っ い て 検 討 した の で,報 告 す る。 II方 法 1.対 象 IVF-ETの た め に当 院 に入 院 し た 女 性 と そ の パ ー トナ ー109名 2.対 象 背 景 対 象 者 の平 均 年 齢 は,男 性37.5歳(±5.05), 女 性34.8歳(±4.36)で あ り,不 妊 期 間 の 平 均 は 5.2年(±3,60)で あ っ た 。 不 妊 因 子 は,両 方20組(18.3%),男 性 因 子33 組(30,3%),女 性 因 子47組(43.1%),不 明9 組(8,3%)で あ り,こ れ ま で に体 外 受 精 を 行 っ た 回 数 の 平 均 は1.31回(±1.70),最 大 回 で あ っ た 。 3.調 査 期 間 平 成8年9月1日 ∼ 平 成9年8月31日 4.調 査 方 法 入 院 時 に 女 性 へ,対 面 式 の 聞 き 取 り調 査 を施 行 した 。 そ の パ ー トナ ー に は,女 性 が 採 卵 し て い る 時 の 待 機 時 間 に ア ンケ ー ト用 紙 を 手 渡 し,女 性 の 入 院 して い る部 屋 で 記 入 して も ら っ た 。 III結 果 1.対 象 者 の抱 え る不 安 や 悩 み IVF-ETを 受 け る こ と に 対 し て,何 ら か の 不 安 や 悩 み を挙 げ た 者 は,男 性47名(43.1%), 女 性84名(77-1%)で あ っ た(図1)。 さ ら に不 安 や悩 み の 内 容 に つ い て 分 類 し た も の を 表1に 示 す(複 数 回 答 あ り)。 男 性 と女 性 で は,不 安 ・悩 み の 内 容 に 多 少 の 差 は見 られ る も の の,回 答 が 得 られ た も の は,男 女 に共 通 し て い た 。 こ れ ら の 不 安 ・悩 み の 相 談 相 手 を 聞 い た と こ ろ, 図2の よ う な結 果 が 得 られ た。男 性 ・女 性 と も に, 相 談 相 手 と して 家 族 や 友 達 な ど の 近 親 者(A群)

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-190-表1悩 みの内容 図2不 安 ・悩 み の相 談 相 手 を 挙 げ た もの が 多 く,相 談 で き る相 手 が い な い人 は(C群)は,男 性 に 多 く見 られ た 。 2.対 象 者 の 相 談 相 手 不 安 ・悩 み の 相 談 相 手 と して,親 族 の 存 在 が大 き いが,対 象 者 が 親 族 へ 不 妊 の 状 況 に つ い て 説 明 を 行 っ て い る か を,親 族 と の 同 居 の 有 無 別 に み た と こ ろ,図3の よ う な 結 果 と な っ た 。 女 性 は 同 居 ・ 別 居 と も大部 分 の者 が説 明 して いたが,男 性 は女 性 に比 べ て 説 明 を 行 っ て い る 率 が 低 く.別 居 者 の 約 半 数 近 くが,不 妊 治 療 を 行 っ て い る こ と を 親 族 に 説 明 して い な か っ た 。 3.不 妊 治 療 の考 え 方 不 妊 治 療 を ど の よ う に 考 え て い る か,自 由 記 載 で ア ン ケ ー トを行 っ た と こ ろ,男 性80名(73.4%) 女 性99名(90.8%)か ら 回答 が得 られ た 。 そ の 内 容 を分 類 した 結 果 を 表2に 示 す(複 数 回 答 あ り)。 こ の結 果 も,男 性 と 女 性 で 多 少 の 差 は み られ る も の の,多 くの 回答 を 得 ら れ た もの は,男 女 に共 通 し て い た 。 表2不 妊治療 に対 する考 え方 4.不 妊 治 療 の 限 界 不 妊 治 療 を いつ ま で 行 っ て い くか,そ の 限 界 を 決 め て い る か を 聞 い た と こ ろ,図4の よ う な結 果 と な った 。 回 答 を 得 ら れ た も の の う ち 「決 め て い る」 と 「決 め て い な い 」 は 男 女 と も に ほ ぼ 同率 で あ っ た が,男 性 に の み 「パ'ト ナ ー に 任 せ る 」 と

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い う回 答 が 得 ら れ た 。 さ らに,限 界 を決 め て い る と 回答 した 者 に,そ の 理 由 を 聞 い た と こ ろ,表3に 示 す 結 果 と な っ た (複 数 回 答 あ り)。 男 女 と も に,主 な理 由 と して 「経 済 的 理 由 」 「年 齢 」 「女 性 の体 へ の 負 担 」 が 多 か っ た 。 図4不 妊治療の限界の決定 表3不 妊治療限界 の決定理由 IV考 察 体 外 受 精 を選 択 した 女 性 と そ の パ ー トナ ー は, 長 期 間,不 妊 治 療 を 受 け て い る こ と が 多 く,体 外 受 精 を 最 後 の 切 り札 と し て位 置 づ け て い る場 合 が 多 い 。 この よ う に切 羽 詰 ま っ た状 況 に あ る女 性 と パ ー トナ ー に求 め られ る助 産 婦 の 役 割 に つ い て 考 察 す る 。 1-対 象 者 の 抱 え る 不 安 や 悩 み に 対 して 体 外 受 精 に よ っ て 「本 当 に 妊 娠 で き る の か 」 と い う不 安 を挙 げ た 女 性 は 男 性 よ り多 いpこ の こ と は 男 性 よ り も女 性 に と って 切 実 な 問 題 と な っ て い る とい え る。 ま た,体 外受 精 を繰 り返 し行 うこ と への不 安 や ゴール を設 定 で きない ことへ の不安 に 加 え,「 治 療 が今後 の身体 に及 ぼ す影響 」 「薬 の 副 作用 」 さ らに 「正 常 に妊娠 で きるか 」 「奇 形児 に なるの で はな いか」 を治療 中の不安 と して挙 げ て いる。 したが って,パ ー トナ'が 女性 の抱 え る 不安 を共有 で き る ことは重要 だ と考 え る。 そ こで 助 産婦 は,女 性 とそのパ ー トナー に対 し不 妊 の検 査 や治療 を受 け る前 か ら女性 の抱 え る一 般 的 な不 安 につ いて双 方 に話 し合 う機 会 を もて る よ うに援 助 す る ことが重要 だ と考 え る。 2.対 象者 の相談 相手 に対 して 家 族 と同居 して い る女 性 の方 が 男性 よ り も,親 族 に説 明 して い る率 が高 か ったが,女 性 で も別居 して い る場 合 は説 明 してい な い者 の方 が 多 い。 こ れ は,男 女 の性差 によ る ものだ けで は な く,治 療 の為 に多 くの時 間 を割 かな ければ な らな い ことが 影響 して い る もの と考 え る。 女性 の相 談 相手 と し て,家 族 な どの近 親者 を挙 げて い る者 が 多 い もの の,家 族 に話 して いな い者 がそれ を上 回 るた め, 真 の相談 相 手 は得 に くい状 況 に あ るの では な いか と考 え る。 また 「相談 相 手 はい な い」 と答 え たの は男 性 の方 に 多い。 医療従 事 者が 相談 相 手 に な り 得 て いな いた め,こ れ らの ことを踏 ま えて,女 性 やパ ー トナー への ケア を通 じて不 妊 の人 々 の グル ープ な どの紹介 の必要 性 を判 断 し積極 的 に介入 し て い くこと も必要 では ない か と考 え る。 3.不 妊治 療 の考 え方 に対 して 男女 と もに体 外受 精 は 「不 妊症 患 者 に と って の 希望 」 とい う内容 を挙 げた者 が 多 く,体 外 受 精 を 前 向 きに捉 え よ うと して い る。 しか し 「妊娠 す る た め には必 要 な手段 」 と自分 に と って仕 方 の ない 選 択肢 と捉 え て い る者 も少 な くな い。 ま た 「もっ と進 歩 して ほ しい分 野 」 とい う内容 もあ り,不 妊 治療 ・体外 受精 に対 す る期 待 が感 じ られ る。体 外 受 精 を受 け る ことに不 安 を感 じな が らも,希 望 を 持 って治療 を受 けて い る男女 の心 理 を念頭 に置 い て,接 して い く事 が必 要 で あ る。体 外 受精 に対 し て過 剰 な期 待感 を抱 いて い る場 合 は,望 み が適 え られ なか った時 の喪失 感 が は か り しれ な い。助 産

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-192-婦 は,患 者 が 検 査 や 治 療 の 次 の段 階 に 入 る 時 に行 動 の選 択 が 客 観 的 に で き る よ うに 男 女 と も に 相 談 に の る こ と が 必 要 で あ る と考 え る。 伊 藤 ら1)は, こ の治 療 を 受 け る と決 意 す る た め の 気 持 ち の 把 握, さ らに 治 療 中 の 気 持 ち の 変 化,生 活 上 の 悩 み な ど を,打 ち 明 け や す い よ う な 雰 囲 気 で 把 握 す る必 要 が あ る と述 べ て い る 。 従 っ て外 来 治 療 中 か ら,女 性 と そ のパ ー トナ ー に 対 して,カ ウ ン セ リ ング ル ー ム に お い て段 階 的 に 面 接 で き る よ う に す る必 要 が あ る。 4.不 妊 治 療 の 限 界 に 対 して 男 女 と も に 「経 済 的 理 由 」 「女 性 の 年 齢 」 「女 性 の 身 体 の 負 担 」 を 不 妊 治 療 の 限 界 と して 挙 げ て い る が,体 外 受 精 を 受 け る 女 性 の 側 の 負 担 の 大 き さ が 表 れ て い る 。 今 回 の 調 査対 象 と な っ た約 半 数 は,限 界 を 設 定 して お ら ず,や め る に や め ら れ な い状 況 に あ っ た 。 ア ン ケ ー トの 自 由 記 載 に,不 妊 治 療 は 「出 口 の 見 え な い トンネ ル の よ う な も の だ が,突 然 光 が 差 す こ と も あ る し,な か な か 展 望 が わ か り に く い」 と 書 か れ て い た 。 この よ う に 治 療 して も妊 娠 しな い 状 況 が 続 く葛 藤 状 態 や,家 族 や 社 会 か らの 心 理 的 な 圧 迫 な どが 不 妊 の 病 態 を 継 続 させ,Olshansky2)の 定 義 した 「InLimbo-残 さ れ た も の-」(妊 娠 に 失 敗 して も辛 抱 強 く生 殖 作 業 に没 頭 し,い つ ま で も不 妊 の ア イ デ ンテ ィ テ ィ の膨 張 を 統 制 で き な い)を 繰 り返 して しま う危 険 性 が 高 い状 況 に あ る と 考 え る。 ま た,不 妊 治 療 を 受 け て い る女 性 は,他 の 産 婦 人 科 受 診 患 者 に 比 べ,情 緒 不 安 定,社 会 的 不 適 応, 神 経 症 傾 向 を 示 す も の が 高 率 で あ った3)と 飯 塚 は 報 告 して い る が,不 妊 治 療 を始 め た 当 初 か ら こ の 傾 向 を示 して い る の で は な く,不 妊 治 療 を 継 続 し て い く過 程 で 作 られ て き て い る もの で は な い だ ろ うか 。 これ ら の こ と か ら助 産 婦 は,不 妊 患 者 の 生 活 や家 族 ・周 囲 の 人 間 関 係 に つ い て 相 談 に の り, 孤 立 せ ず に 現 実 視 し な が ら治 療 の 継 続 を 選 択 して い け る よ う に 支 援 して い く こ とが 望 ま れ る 。 Vま と め 1.体 外 受 精 を 選 択 した 女 性 の77.1%,そ の パ ー トナ ー43.1%に 具 体 的 な 不 安 ・悩 み の 訴 え が あ っ た 。 2.不 安 ・悩 み の 内 容 と して は,男 女 と もに 「今 後 の身 体 へ の 影 響 」 「薬 の 副 作 用 」 が 多 くみ ら れ た が,「 本 当 に 妊 娠 で き る の か 」 と い う不 安 は 圧 倒 的 に 女 性 に 多 くみ られ た 。 3.悩 み の 相 談 相 手 と して は,近 親 者 を 挙 げ た 者 が 多 か っ た 。 ま た,相 談 相 手 を 持 た な い者 の 比 率 は,女 性 よ り男 性 の方 が 高 か っ た 。 4.近 親 者 と 同 居 して い る 者 の 大 部 分 は,不 妊 治 療 を受 け て い る こ と を話 して い る が,同 居 して い な い場 合 に は,話 して い な い ケ ー ス が 多 か っ た 。 5.体 外 受 精 を 選 択 した 女 性 と そ の パ ー トナ ー の 体 外 受 精 に対 す る考 え の 多 くは 「不 妊 症 の 人 に と っ て の希 望 」 で あ った 。 6.体 外 受 精 を 受 け て い る患 者 の 約 半 数 は,不 妊 治 療 の 限 界 を 決 定 して い な か っ た 。 〈引 用 ・参 考 文 献 〉 1)伊 藤 久 美 子 他;体 外 受 精 を 受 け た 患 者 の 意 識 と看 護 に 関 す る一 考 察,母 性 衛 生,37(1),103 -109 ,1996

2)01shansky,E.F;Identity of self as in-fertile:an example of theory-generating research,Advancein Nursing Sciences, 9(2):54-63,1987 3)飯 塚 理 八,小 林 俊 文;不 妊 患 者 の 心 理,産 婦 人 科 の 世 界,28(3),7-17,1976 4)広 井 正 彦;体 外 受 精 ・胚 移 植 を 受 け る女 性 の ケ ア,ペ リネ イ タ ル ケ ア 春 期 増 刊 号,97-102, 5)特 集 体 外 受 精,助 産 婦 雑 誌,48(3),1994 6)特 集 不 妊,助 産 婦 雑 誌,45(8),1991

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29.遺 伝 外 来 受 診後 に羊水 穿 刺 を受 けな い こ とを

選 択 した高 齢 妊 婦 の母 親 にな る気 持 ち

虎の門病院 ○大 山 愛 子 小林 玲 子 1は じめ に 近年,出 生 前診 断の 進 歩 は 目覚 ま しく,羊 水 穿 刺 な どに加 え,最 近で は 身体 に及 ぼす 影響 が 少 な いと され る トリプ ルマ ー カー検 査 も普 及段 階 に あ る、高 齢妊 婦 に とって 確定 診 断 と して,羊 水 穿刺 の実 施 が必 要 にな るが,実 際 は羊水 穿 刺 を受 け る 選 択 に も受 けな い選 択 に も多 くの 苦悩 が伴 う1)。 当院 で は,羊 水 穿刺 を希 望す る妊 婦 は全 員,受 け るか 否か の判 断 のた め に,情 報提 供 の場 と して 遺伝 外 来 を受診 す る。 そ こで 本研 究 は,羊 水 穿 刺 を受 ける こと を希 望 し,遺 伝外 来 を受 診 したが,そ の後 羊 水穿 刺 を受 け な い ことを選 択 し,妊 娠 継続 を決 意 した 妊 婦 を 対 象に,羊 水 穿 刺 を受 けな い こ とを選 択す る前後 の 「母 親 にな る気持 ち 」の 変化 を明 らか にす る こ とを 目的 と した 。 II方法 1.対 象 羊水 穿 刺 を受 ける ことを希 望 し,当 院遺 伝 外 来 を受 診 した後,羊 水 穿刺 を受 けな い こ とを選 択 し,妊 娠 継続 を決意 した高齢 妊 婦 で,面 接 調 査 の承 諾 を 得 られ た10名 。 2.調 査 方 法 1)期 間:1996年8月 ∼1996年10月 2)面 接方 法:羊 水 穿 刺 を受 けな い こと を選択 した 後,妊 娠24週 迄 に,「 母 親 に な る気 持 ち」 を 中心 と した 内容 で,半 構成 的 な 面接 調 査 を 行 った 。 面接 は,対 象 と相談 の上,妊 婦 健 診 時 あ るい は家 庭訪 問 にて 行 な った 。 3)デ ー タ:面 接 内容 を承 諾 を得 た 上 でテ ー プ に収 録 し,逐 語記 録 か ら受 け な い こ とを選 択 す る前 後 の 「母親 にな る気持 ち」 と,「 羊 水

表1対

象 者 の 背 景

○ ・ ・ ・予 定妊 娠 × … 予 定 外 の 妊 娠 △ … 希 望 は して い た が 予定 外 の妊 娠 ―194―

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穿刺 を受 ける ことを希 望 した 動機 」,「 羊 水 穿 刺 を受 けな い こ とを決 めた 理 由」 に関連 す る 内 容 を抜 き出 しデー タと した 。 3.分 析 方 法 1)抽 出 したデ ー タ を,類 似 した 状況 を示す グ ル ー プ に 分類 し,そ れぞ れ に名 称 を付 ける 。 2)分 類 した項 目の 内容,構 成 を検 討す る。 3)デ ー タ の 分析 は,研 究者 間 で意 見が 合 致す る まで 話 し合 い,経 験 豊富 な援 助 者 か らの ス ー パ ー ビ ジ ョン を受 けなが ら進 めた 。 III結果 1.対 象 の 背 景 対 象 の 背 景 は表1に 示す 通 りで,他 院 か らの 紹 介 は8名(対 象1.2.3.4.6.7.9.10)で あ る。 今 回 の 妊 娠 で初 め て羊水 穿刺 を知 り,受 け る こと を希 望 して遺 伝外 来 を受 診 した 対象 が4名 (対象1.2.4.7.)で,羊 水穿刺 を知 った きっか け は,4名 と も医療 者か らの 紹介 で あ った 。今 回妊 娠 時 には 既 に羊水 穿 刺 を知 って お り,自 ら 受 け る こと を希望 して いた対 象が6名(対 象3. 5.6.8,9.10)で あっ た。 2.遺 伝 外来 の内 容 対 象 者 全員 に,胎 児 が染 色体 異常 で あ る確 率 羊 水 穿刺 で 判 る内容,羊 水 穿刺 の検 査 手順,羊 水 穿 刺 に 伴 う危 険,羊 水 穿刺が 妊 娠 に及 ぼす 影 響,羊 水 穿刺 の結果 につ いて,染 色体 異 常 ・ダ ウ ン症 につ い て,羊 水 穿刺 の 費用 な ど につ いて の情 報 提 供が な され,羊 水穿刺 を受 け るか否 か の選 択 は 夫婦 で行 な う ことを 説明 され て いた 。 3.羊 水 穿刺 を受 け な い こと を選 択す る 前後 の 母 親 にな る気 持 ち 羊水 穿刺 を受 け よ うと思 った 時(以 下,受 診 前 と略 す)と,羊 水 穿刺 を受 けな い ことを選 択 した後(以 下,選 択 後 と略 す)の,母 親 にな る 気 持 ち に関す るデ ー タ を類 似 した状況 を示 す グ ル ープ に分 類 した 結 果,母 親 になる気 持 ち は表 2に 示 す通 りで あ っ た 。 1)受 診 前 の母 親 に な る気 持 ち 対 象1.2.5.6.8.は,「 産 むつ も りで いるが 胎 児 が ダ ウ ン症 か も しれ な い』 「産 み た いけれ ど も障 害児 を育 て る 自信 がな い」 と話 し,母 親 に な る気 持ち はC【 母 親 にな りたい気 持 ちが ある が 自信 が 持 てな い 】 とな った。 対象3.4.7.9.10 は,「 胎 児 が染 色 体 異 常で あれ ば堕 ろす しか な い」 「児に 異常 が あ れ ば諦 め る」 と,D【 母 親 にな る ことを悩 ん で いる ・母親 にな る気 持 ちが な い】 とな った 。 夫 あ る いは実 母 も,妊 婦 と同様 の 不安 を持 ち そ の不安 を解消 させ よ うと羊水 穿刺 を受 け る こ とを希望 して いた 。 羊 水 穿刺 に対 す る認 識 は,妊 婦,夫 共 に 「児 の 染色 体異 常や 障 害 の有 無が 判 るのな ら受 けた 方が い い」 「安 全 」 「簡 単」 「医師 の紹 介す る 検 査だ か ら受 け た方 が いい」 であ った 。 2)羊 水 穿刺 を受 けな い こ とを選 択 した後 の 母 親 にな る気 持 ち 対象2は,「 他 に 異常 が あった として も堕 う す つ も りはな い」 と,A【 母 親だ という気 持 ち

表2母

親 に な る 気 持 ち の 分 類

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が あ る】 とな った 。 夫 は 「生 まれ て くるの が楽 しみ 」 と,児 の誕 生 を待 ち 望 んで い た。 対 象1.3.4.5.7.の5名 は,「 大 丈 夫だ ろ うと 信 じる こ とに した」「産 み た い ・堕 ろ した くな い 」 「この年 で初 め て の妊 娠,出 産 だ か ら色 々 と心配 」 と話 し,B【 母 親 にな りた い気 持 ちが あ る 】 となっ た。 夫 も妊 婦 と同様 に 「大 丈 夫だ ろ う」 と表現 し,対 象1.3.の 夫 は 「検 査 は受 け な くて い いか ら産 ん で ほ しい 」 「ダ ウ ン症で も か まわ な い」 と話 して いた 。 対 象6。8.9.10の4名 は,r生 まれて き て ほ し い」 「検 査 は 受 けな い と決 め た けど毎 日 日替 わ り定 食 の よ うに心 配 」 「障 害 のあ る子 を育て て い け るだ けの 強 さが あ るか 自信 が な い」 「又 お 腹が 張 って しま うよ うな 気 がす る」 「色 々な 経 験が あった か ら又子 供が 駄 目 にな るの で はな い か と い う思 いが かす め る」 と話 し,選 択 後 も強 い不 安や 葛藤 を残 してお り,C【 母 親 に な りた い気 持 ちは あ るが 自信 が 持て な い 】 とな った。 又対 象9は,夫 か らの 意見 が 得 られず,一 人 で 悩 み,選 択 後 も自分 の選 択 が 良か っ た のか と い う迷 い を持 ち続 け て いたが,そ れ 以 外 の夫 は 妊 娠 継 続 を望 んで い た。 選 択 後 の羊水 穿 刺 に対す る認識 は,対 象9の 夫 を除 き,妊 婦,夫 共 に 「破 水や 流 産 が 起 こ り 得 る危 険な検 査 」 「検 査 を受 けて も異 常 の全 て は分 か らな い」 「胎児 に危 険」 「費 用 が 高 い」 で あ った。 又,予 定外 の妊 娠 で ある 対 象2を 除 き,自 分 の 妊娠 出産 につ いて,「 今 回流 産 した ら次 妊娠 で き るか分 か らな い」 と話 して いた 。 今 回選 択 の過 程で,夫 婦共 に 「生命 の 尊 厳 」 を感 じて い た対 象が い る(対 象1.2.3.)。 これ らの 対象 は,様 々な 葛藤 を夫婦で 乗 り越 え,児 を 「我が 子 と して どんな 子で も受 け入 れ て い き た い」 とい う気持 ち にな り,羊 水 穿 刺 を受 け な い選 択 も,肯 定 的 に受 け とめ,納 得 して い た。 IV考察 1.母 親 にな る気 持 ち の変化 受 診 前 と選 択後 の 母親 に な る気 持 ち の変 化 は, 図1に 示 す通 りで あ る。 対象 全員 が,高 齢 で 「児 が染色 体 異常 か も しれ な い」 とい う不安 を持 ち 母 親にな る ことを消 極的 あ る いは否 定 的 に捉 えそ の 不安 を解 消 させ よ うと遺 伝外 来 を受 診 して い る。

〈 受 診 前 〉

〈 選 択 後 〉

図1母

親 に な る 気 持 ち の 変 化

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-196-表3遺 伝外来受診後 大き く変化 した項 目 そ れが,選 択 後 で は,母 親 にな る こ とに否 定的 な D【 母 親 にな る こ とを悩 ん で いる ・母 親 にな る気 持 ちが な い】 の気 持 ちが な くな り,妊 娠継 続 を決 意 して い る。 この よ う に変 化 した こ とは,遺 伝外 来で の情 報 提供 によ り羊 水 穿刺 に対 す る認 識が, 「絶対 必 要 な もの 」 か ら,「 命 に関 わ る こ と」 「 必 ず必 要 な もので は な い」 と変 化 した ことが 大 き な理 由 と考 え られ る 。 又,情 報 提 供 によ り妊 婦 は 自分 の妊 娠 出産 につ い て考 え,羊 水穿 刺 を受 け る ことで,「 産 めな い か も しれな い 」 「今 回流 産 し た ら次 妊 娠 で きな い か も しれな い」 と考 え,不 安 を残 しなが らも羊 水 穿 刺 を受 けな い こ とを決 意 し て いる 。 これ は詳 しい 情報 提 供 された こ とが 妊 婦 の意 志決 定 を導 いて い る と考 え られ る。 羊 水 穿刺 を受 けな い こと を選 択す る過程 で は, 「妊娠 を継 続 した い 」 と い う妊 婦 の気 持 ち を夫が 支え,夫 婦 の気 持 ち が 一致 して いる場 合 は,妊 婦 は受 け な い こ とを迷 わず 選 択 で きて いる 。 しか し 夫が 妊娠 継 続 を望 ん で いて も妊 婦 が まだ 不安 が 残 る,あ る い は自信 が 持 てな い ま まで ある と,羊 水 穿 刺 を受 けな い こ とを 選択 す る過 程で,迷 いや 葛 藤 を持 ち続 け,選 択 後 も不 安 を持 ち続 け る 。又 夫 か ら意 見 が 得 られ な い 場合 も妊 婦 は 自分 の選 択 に 迷 い を持 ち 続 けて い る 。 この よ うに妊 婦が 羊水穿 刺 を受 け るか否 か を選択 して い く過 程 に お いて, 安藤2)が 述べ るよ うに,妊 婦の 意志 決 定 に関わ っ て い く こ とが重 要 で あ り,又,夫 か らの適 切 なサ ポー トが あ るか を見極 める ことが必 要 で あ る。 今 回,選 択後 に も強 い不安 や 葛藤 を残 して い る 対 象 が い る 。そ の 背 景 には,過 去 の辛 い体 験が 今 回 の妊 娠 に も大 き く影 響 を及ぼ して い る と考 え ら れ る。 これ に は妊 婦個 人 の背 景の把 握 と,妊 婦 の 相 談 窓 口 とな り,更 に継続 的 な援助 を して い く こ とが 重要 で あ る。 IVお わ り に 遺 伝外 来 を受 診 した 妊 婦 に対 し,羊 水 穿刺 に関 す る情報 提 供が な され た ことで,妊 娠継 続 に不 安 や 迷 い を持 って い た気 持 ちは,妊 娠 を継 続 した い という気 持 ち に大 き く変化 した。そ して 妊婦 とそ の家族 は,自 分 た ちの 妊 娠,出 産 につ いて考 え, 羊水 穿刺 を受 けな い こ とを選択 し,「 産 む」 決 意 を して い る。 しか し,選 択が 出来 たか らとい って 不安 の全 て が解 消す るわ けで はな い。 出生前 診 断 の場 にお いて,安 藤3)が 述 べ る よ う に,確 実 な 情報 提 供や 意志 決定 へ の関 わ りを含 め た継 続的 な ケ アが 今後 更 に重 要で あ る。 参考 文献 1)玉 井真 理子:羊 水穿 刺 を選択 しなか っ たダ ウ ン 症 児の 母 親 たち,助 産婦 雑誌Vol49,No4,1995 2)安 藤広 子:高 齢 妊婦 の 羊水 穿刺 を 「受 けるか 否 か 」 の意 志決 定 に関 す る面接 調査,日 本助 産 学 会誌,Vo18,No1,P42∼48,1994 3)安 藤広 子:第29回 ヨー ロ ッパ 人類 遺伝 学会 サ テ ライ トミー テ ィ ング に参加 して,日 本 助産 学 会 ニ ュー ス レタ ー,No24,1997

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30.胎

児 の 異 常 が 予 測 され る

産 婦 の 心 理 に 関 す る調 査

一 先天 性 疾 患 児 を 出産 した母 親 へ の 面 接 調 査 よ り一

日本赤十字社医療センター ○佐 々木 久 美 馬 目 裕子 日本赤十字看護大学 安藤 広 子 1.は じめ に 現在 の 臨床 で は胎児 の健 康 状態 を診 るた め に,染 色 体異 常や 代 謝 異常 の 有 無 を診 断す る と い う検 査 の他 に,超 音波 診 断 が 妊婦 健診 の 中で 日常的 に行わ れ る よ うにな り,児 の健康 状 態 の 異常が 出 生前 に判 明 され る ケー スが 多 くな って きた。 そ して そ の よ うな ケー ス の分 娩 の場 に立 ち会 う助 産婦 の ケ アの あ り方 につ いて も検 討 し て い く必 要 が ある と考 え る。 産婦 に関す る これ まで の研 究1)・2).では,そ の 多 くが陣 痛 の発 来 とと もに 生 まれ て くる児 や 分 娩 に対す る不 安 や 苦痛 ・恐怖 を感 じて いる こと が報 告 され てお り,そ れ に対 す る心理 的援 助 の 工夫 が産 婦 の ケア の重 要 な位 置 を占 めて い る。 そ こで.本 研 究 で は胎 児 異常 の 告知 を受 け た 産婦 へ のケ ア の検 討資 料 とす るた め に,胎 児 異 常 の告 知 を受 けて い る産 婦 の心 理 状態 を明 らか にす る こと を目的 と して 調 査 を行 った。 2.研究 方 法 1)研 究 期 間:1996年7月 ∼1997年10月 2)調 査 対 象及 び施 設:調 査 対 象 は出 生 前診 断 に よ り胎 児異 常 を告 知 さ れ て いる産 婦7名 。対 象 者 が 医療 を受 けた施 設 の ケ ア管 理体 制 は図-1の 通 りで あ り,看 護 単位 が 分娩 室 ・外来 ・病棟 と機 能 別 に別 れて い る。 3)調 査 方 法お よ び分 析 (1)対 象 者 に分娩 期 を中 心 とした 心理 状 況 を半 構 成面 接 に よる 振 り返 りの 調査 を行 い,そ の 内 容 を分 析 した。 (2)産 婦 へ の ケ ア記 録 を 上 記(1)め 参 考 資 料 と した。 面 接項 目及 び ケ ア記録 は表-1の 通 りで あ る。 4)倫 理 的 配慮 調 査対 象 の 該 当者 に研 究 協 力の 承 諾 を得 る こ とや,プ ライ バ シー を護 る こと に配 慮 した。 3.結 果 調 査 対象7名 の概 要 は 表-2の 通 りで あ り,胎 児 異 常 の告 知 か ら分 娩 ま で の期 間 が3日 ∼77日 間 で あっ た。 他 施 設 で胎 児 異常 の 診 断 を受 け,直 接 当 院 へ 母 体 搬 送 され た 産婦 は4名(ケ ー ス1.4.6.7.)で あ り,そ の うち1名(ケ ー ス4)は 産婦 の 希 望 によ る もの で あ った 。他 施 設 で 診 断 を受 け,さ らに 数箇 所 施設 を経 由 し当院 へ 母体 搬 送 され た 産 婦 が2名(ケ ー ス3.5),妊 娠 の初 期 よ り当院 で 検 診 を受 けて い た産 婦 は1名(ケ ー ス2)で あ っ た。 1)胎 児 異 常 の告 知 か ら分 娩 まで の 心理 (1)児 の異 常 を告 知 され た後 の 心 理 胎 児異 常 の 告 知 に対 し7名 の産 婦 が,自 分 が異 常 の あ る児 を出産 す る とは考 えて いなか っ たた め,「 び っ く り した」 と い う驚 きの 反 応 で あ っ た。 そ の後 の 変 化 として は,「 生 まれ て み な い と詳 しい こ とは分 か らな い ので,早 く産 ん で 児 の 異常 を知 りた い」 「児 が元 気 な うち に早 く産 んで あ げた い 」 「児 の こ とは 生 まれ てか ら考 え よ う」 と い う前 向 きな 気 持 ち を持 って いた 産 婦 が5名(ケ ー ス1∼5)で あ った 。

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-198-一 方,戸 惑 いの感 情 を引 き ず っ て いた 産 婦2名 の うち,夫 が児 の異 常 を受 け 入 れ る こ とが で き ず 夫 か らのサ ポ ー トが 受 け られ な か った 産 婦(ケ ー ス6)か らは 「母親 と して や って い け るか 不安 だ っ た」 とい う言 葉 が 聞 か れ た。 また.結 婚 が 難 しい状 況で 妊娠 した うえ に,児 の異 常 が 指摘 さ れ た産 婦(ケー ス7)は 「自分 た ち が悪 い こ と を したた め に罰が 当た っ た 」 と 自分 を責 め て い た 。 また 羊水 過多 とな っ た産 婦(ケ ー ス1.3)は 「羊水 が 多 くて つ らか っ た 」 「どん どん 羊水 が 増 え て いた ので 早 く産 み た か っ た 」 と い う身体 的 苦痛 を訴 えて いた 。 (2)医 療 環境 の変 化 に伴 う心 理 当 院へ 直接 母体 搬 送 され た 産婦 は,胎 児 の異 常 を告 知 され,さ らに施 設 の 整 っ た病 院 で詳 しい検 査 を受 ける 目的 で母 体 搬 送 とな って いる こ とか ら.「 とにか く詳 し く見 て も らって か らでな い と わ か らな い」.「 前 の病 院 で頭 が お か しい と言わ れ.早 く大 き い病 院 で 見 て も らいた い」 と い うこ とや,「 とにか くび っ く り して 何 も考 え られ な か っ た 」 な ど異常 で ある と言 われ た こ とに 対 し シ ョッ ク を受 け た反 面,ど の よ うな異 常 か を早 く知 りた い と い う反 応 が見 られ た 。 また,自 ら当院 へ の転 院 を希 望 した産 婦 は.「 大 き い病 院 な ので,子 供 を助 け て も らえる と思 っ た」 と述 べ て いた 。 そ して.数 個 所 の 施 設 を経 由 し母体 搬 送 された 産 婦 か らは,同 じ検 査 が何 度 も繰 り返 され,検 査 や 処 置 に対す る苦痛 を訴 えて いた 。 当院 で初 期 よ り検 診 を 受 けて いた産 婦 は,出 生 後 も継続 して小 児科 に診 て も らえ る とい う ことで 安心 感 を得て いた。 当院 で の分 娩 前在 院 日数 とそ の 関係 を見 る と,分 娩 前在 院 日数 が 短 い産 婦(ケー ス1.2.3.5 7)で は 身体 的苦 痛 や検 査,処 置 に対す る苦 痛 の 訴 えが 見 られ た.ま た,分 娩経 過 記 録 を見 る と,助 産婦 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョン によ る情 報 が少 な く,心 理 面の 記 載 も少 なか った 。 一 方 .分 娩前の在院 日数 が長 い産婦(ケ ース 4.6)で は,産 婦 と助 産 婦 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンの 記 載 も多 か った 。 (3)家 族 の サ ポー トに対す る心理 産 婦 に対 す る家 族 のサ ポ ー ト状 況 を見 る と,主 な サポ ー ト者 が夫 で あ った産 婦が3名(ケ ー ス 1.3.7)で あ った 。夫 お よ び両 親 で あ った 産婦 が2 名(ケー ス2.4),サ ポー トを受 け られ な か った産 婦 が2名(ケ ー ス5.6)で あ った。 夫 のみ のサ ポー トと いう産 婦 か らは,「 頼 る の は 夫 だ けだ った 」 「夫 が いて くれ て 心 強 か った 」 「両 親が 離 れ て い て気 を使 わ ず に済 ん だ 」 とい う 言 葉 が 聞か れ た 。 夫 や両 親 が サ ポ ー トとい う産婦 は,「 両親 が近 く にい て プ レ ッシ ャー だ っ た」 「遠 くて も,来 て くれ て励 み にな っ た 」 とい う全 く反対 の認 識 を 持 って い た。 また,サ ポ ー トが受 け られ な い 状況 にあ っ た産 婦2名 の う ち,1名 は母体 搬 送 に よ り病 院 が 自宅 よ り離 れ て しまっ た た め,サ ポ ー トが受 け に く く な った例 で あ り,他 の1名 は夫 が 児 の受 け 入 れ が で きて い な い こ とに よ りサポ ー トが受 け られず, 産 婦 か らは助 産 婦 のサ ポ ー トが心 強 か った とい う 言 葉 が 聞 かれ た 。 2)分 娩 開始 後 の心 理 「生 まれ て く る子 供 の ことが 気 に な った が,陣 痛 の開 始 と とも に,児 の こと につ いて 考 え る余 裕 が な くな っ た」 や,「 自分 の状 況 を分 か って い る 人 が い るだ ろ うか 」 とい う不 安 を抱 い た もの な ど,・自 分 の方 に意 識 が 向 いた産 婦 は5名(ケ ー ス 1.2.4.5.6)で あ った 。 また,児 に対 す る認識 が強 か っ た産 婦 は2名(ケ ー ス3 .7)で あ り,医 師より 「児が弱っている」 と説明 を受 け たた め に,児 に対 す る 不安 か ら 「痛 いよ りも児 が心 配 で,早 く出 して あ げ たか った 」 と考 えて い た産 婦 と,頭 部 の異 常 の告 知 を受 け て いたた め,外 表奇 形 を想 像 し,ど の よ う な子 供 が 生 まれ るの か と い う恐怖 心 を抱 いて い た産 婦 で あ っ た。 分娩 にお け る 人的 環 境 との 関係 を見 る と,分 娩 予 備室 での 夫 及 び家 族 の付 添 に対 して は,「 夫 が 側 にいて くれ て心 強 か った 」 「分 娩 室 に入 る まで 側 にい て くれ て安 心 した 」 『腰 を さす っ て も らっ

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て楽 だ った 」 とい う肯定 的 な反 応 が見 られ た。 夫 及 び家 族 の分 娩 立 会 い は全産 婦 と もな か った が,分 娩 の立 会 に関 す る産 婦 の考 え と して は, 「どん な子 供 が産 まれ て くるか 心配 だ った ので , 家族 が そ ば にいて くれ た ら心 強 い が,家 族 の気 持 を考 え る と心 配だ った 」 「自分 の 両親 には 早 く見 せた か っ たが,夫 の 両 親 は遠 くて病 院 に来 れ な く て 良か っ た」 とい う言 葉 が 聞か れ た。 助 産 婦 の関 わ りにつ いて は,「 助産 婦 が ず っ と 手 を握 っ て いて くれ て 心 強 か った 」 「まわ りに助 産 婦 が た くさん いて くれ て心 強 か った 」 「ず っ と 一 人側 に付 いて いて くれ た 」 「妊娠 中 もず っ と 関 って くれた 人 が分 娩 中 もず っ と側 に いて くれ た 」 とい う助 産婦 が 側 に 付 いて い た こ とに対 して の 肯定 的 な言 葉 が 聞か れ た。 また,分 娩 前 に病 棟 で の入 院 生活 が 長 か った 産 婦(ケ ー ス4.6)か らは 「分 娩 室 に移 るよ り,慣 れ た病 棟 でお 産が した か っ た」 「自分 の事 を良 く 理解 して くれ て い る担 当 の助 産 婦 がそ ばに いて く れた ら良 か った」 と い う要望 もあ った 。 3)児 の 出 生 に対 す る心 理 児 の 出 生直後 の産 婦 の 反応 と して,「元 気 に泣 いた の です ご く安 心 した」 「顔 を見 て ほ っ と し た」 「泣 き声 が聞 け て安 心 した 」 「見 た 目が 普 通 で安 心 した 」 『自分 が想 像 して いた よ り大 丈 夫 だ った 」 とい う安 心 感 が み られ た。 そ の一 方 で 「あ あ生 まれた と思 っ た が,自 分 か らは子 供 の こ と を聞 けな か った 」 「少 ししか見 られ な か った の で 不安 だ っ た」 「ほ っ とした とい うよ り新 しい心 配事 が増 え た よ うな気 が した 」 と い う不安 の 継続 や,新 た な心 配 事 の 出現 を感 じて いた 。 これ らの 2つ の相 反 す る感 情 は,産 婦個 々 に とっ て 比 重の 違 い はあ る もの の,す べて の産 婦 に見 られ た 。 4考 察 調 査 対象 の 産婦 が胎 児 異 常 を告 知 さ れた の は 妊 娠 の 後 期で 分 娩 を 間近 に して の こ とで あ り,突 然 の出 来 事 に一 様 に驚 き を示 して いた。 この こ とは Rubin3)の い う母 親 に と って 胎児 は喜 び と誇 りを 与 えて くれ る もの を所 有 して い る と い う 自己尊 重 や 自己価 値 のナ ル シ シス ト的な 蓄 え が 減 少 して い る時 期 で あ る こ とか ら,先 天的 な 欠 陥 の あ る子 ど も を持 つ母 親 に な る と い う ことは,自 分 の期 待 や 希 望 が 否定 ・拒絶 され た感 じが よ り強 い も の と思 わ れ る。 Danielら4)は,子 ど もに 問題 が あ る と知 らさ れ る こと は,実 際 にそ の子 供 を 見 る こと よ り もは るか に シ ョ ッキ ン グな ことで あ る 。そ して 先 天奇 形 が あ る と知 って か ら実 際 に子 供 を見 る まで の時 間 の方 が 堪 え難 い と述 べて いるが,胎 児 の 異常 を 告 知 され て か ら分 娩 ま で の期 間が 短 い こ とか ら時 間 的 な苦 痛 は少 な い と推 測 され る。 む しろ 告知 後 に他 施 設 に母 体 搬 送 され て い る こ とか ら,産 婦 自 身 の胎 児 異常 の告 知 に対 す る心 理 的 な 動 揺 と産 婦 の お かれ た環 境 の 変化 に対 す る ス トレス の 重複 に よ る不 安 ・苦 痛 が増 す もの と思 わ れ る 。 そ のた め 児 の状 態 を詳 し く知 りた い と言 いな が らも検 査 や 処 置 に対す る苦痛 の訴 え が多 く,「 診 察や 検 査 が 徹 底 的 で あれ ば た とえ 痛 み を伴 う もので あ って も 安 心 感 を抱 く」3)と い う報 告 との違 いが み られ た。 また,自 分 を よ く理解 して くれ て い る 人 に付 1き添 って欲 しい と い う要望 や 分 娩 前 に過 ご した 場 所 で の分 娩 を望 ん で い る こ とか ら,対 象 との援 助 関 係 が持 て るよ うな ケ ア シス テ ム が必 要 と思 われ る。 そ して,Drotar5)は 「障 害児 を もつ 両 親 が適 応 す る の に必 要 な 時 間 の長 さは様 々で あ り,そ の 長 さは周 囲 の 人か ら受 け るサ ポ ー ト量 や 質 によ る 影 響 が大 きい」 と述 べ て い る。特 に胎 児 の 異 常 を 告 知 され,シ ョック を受 けて い る産 婦 と夫 及 び家 族 に とって どのよ うなサ ポ ー トが 必要 とされ て い るか を査 定 し関わ って い くこ とが 大 切 で あ ろ う。 また,「 障害 児 を もっ て最 初 に 出 会 った 医療者 の 言 葉や 態度 は,母 親 が 児 を受 け とめて,そ の後 に深 い永 続 的 な印 象 を残 す 」5)と 言 わ れ て いる が,今 回の 調査 で は,分 娩経 過 中 に助産 婦 が付 き 添 って くれ た こと に対 して の安 心 感 や 心強 さ と 言 っ た肯 定 的 な産 婦 の 反 応が 見 られ た が,児 の受 容 や 育児 に関 す る反 応 は 見 られ な か った 。 この こ

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-200-とにつ い て は,産 婦 の分 娩 に立 ち会 う助産 婦 の 援 助 的な 人間 関係 に つ いて 追 求 して い く必 要 が あ る と考 え る。 5.おわ りに 胎児 異 常 を告 知 され た 産 婦7名 の心 理 状 態 の分 析 を試 み た が,胎 児 の異 常 に対 す る告 知 の時 期 ・ 場所 ・内容 や産 婦 の 背景 が 異 な って いる ことか ら,今 後 さ らに対 象数 を増 や して の 分 析 が必 要 と 考 える。 また,分 析 を進 め て い く中 で ケ ア記 録 と して の 心理的 な 部分 が 非 常 に 少な く,記 録 を通 して の対 象 の把握 は 困難 で あ っ た。 産 婦 へ の心 理 的援 助 を 提供 して い くため に は.本 研究 の調 査 施設 の よ う に分 娩室 の看 護 単 位 が分 か れ て機 能 して い る場 合 や母体 搬 送 に よ り他 施設 との ケ アの 連 携 を 図 って いく ことの 重要 性 を感 じ今 後 の課 題 と した。 図1。 入 院 か ら分 娩 ま で の 管 理 体 制 6.引 用 文 献 1)入 澤 み ち 子 他:妊 娠 ・分 娩 期 の 苦 痛 に 関 す る 記 述 的 研 究(第2報);精 神 的 苦 痛 に 焦 点 を 当 て て,日 本 助 産 学 会 誌,Vol.9,No.2,1996. 2)花 沢 成 一:母 性 の 心 理 医 学 書 院1992 . 3)RevaRubin著:新 藤 幸 恵 ・後 藤 桂 子 訳 :ル ヴ ァ ・ル ー ピ ン 母 性 論;母 性 の 主 体 的 体 験,医 学 書 院,1997.

4) Daniel L.L.&Berg G.M.:The crisis of birth and adaptive patterns of amputee children Clin. Proc. Child. Hosp. D.C. 24,108-117, 1968. 5) Drotar.D. et al .:Pediatrics,56(5),710-717 , 1975. 表1.質 問項 目 と調 査記録 〈面接項 目内容〉 1.お産 が始 ま る まで は どんな 気 持 で したか 2.お 産 が始 ま った とき は どんな 気 持 で したか 3.分 娩室 に いた と きの 気 持は ど うで したか 4.赤 ち ゃ ん が 生 まれ た 時 は ど んな 気 持 で したか 5.お 産 の時,家 族 に側 に いて 欲 しか っ た です か 6.お 産 の時,助 産 婦 や 医 師 に期 待,希 望 した い こと は あ ります か 〈ケ ア記録〉 1.情報 収集 用 紙 2.パ ー ス プ ラ ン 3.分 娩 経過 記 録 4.産 褥 経過 記 録 表2.対 象 の概 要

参照

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