Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
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、
ファ ッシ ョンとは何か 最 近、 映像の 領 域で は、
ア ニ メー
ショ ン“
千と千 尋の 神 隠 し11 が子供か ら大人まで巾広い 層に受け 入れられて い る。 映 像と文 言を通じ その物 語は“
見 える もの だ け が 在る ん じゃない よ、
見 え ない もの も在る んだよ”
とい う 心 と意識の在 り方をメッ セー
ジす る。 目に見 え ない 音 楽 も】00
万 枚 とい っ たCD
販 売 枚 数の人 気は現 代人の 求め る イ メー
ジ 的 価値観 と符 合 し、
意 識や心の 流行、
フ ァ ッシ ョ ンとな る。 俗に言 うヒ ッ ト版であ る。 70年 代、
アパ レ ルデ ザ イン会 社 を 何 人かで立 ち上 げ た。 翌年の春、
三型 程の デ ザ インがヒ ッ ト し 同 シー
ス ンで一
型 を5回 追 加 (当 時 は 通 常一
型300
着 )生産し、
1500 着に 及ぶ販売を行なっ たこ と が あっ た。 同 業 他 社 も それを 聞 きつ け、
コ ピー
し販 売 した為、
ま た た く間に似た よう な 「服」が売り場に溢 れ た。一
つ の ヒ ッ ト版は市 場に おい て流 行 傾向、
フ ァ ッ ショ ン トレ ン ドを作り 出 した が、
そ れでも一
番 良 く売れ たの は未だ ブ ラン ド名も知ら れ てい ない 自社の製 品であった。
大 衆に受け 入れられ た原因は お そ らく感じ る ことで しか解ら ない 「流 行」感 性の 微妙 な 違い にあっ た ようだ。 つ ま り、
フ ァ ッショ ン、
イコー
ル服の形では な く、
それを 支 える意識の 表現に在る こと を実 感した。2、
服 装の美 意識と形 服 装に対 する文 化 性に も よ る が男 女服の区 別 な く、
そ の 美意識 を論 ずる一
つ に、
肉 体を隠すこ とでの美学、
露 出する こ とでの 美 学 が 有る。 その 凡 例を揚げる な らば、
肩や腕、
手 首は袖口 で、
首や胸は衿 開 きで、
脚は裾で、
背 中 や 腰は等々、
肉体と衣服の 隙 間、
肉 体と布 との境 界 線上に様々 な 創 作 性を見 出 す 方法である。 ま た、
シー
ス ルー
ド レス や体に密 着 したラ イン、
タ トゥー、
カ ラー
ド ヘ アー、
ネ イル アー
ト、
ピア ス等、
化 粧 自体 も肉 体を表 現とする点に おい て同 様であ る。
衣 服の 型、
服 装の 表現方 法は時 代と伴に変 化 するが、
どの 時 代で も私 達 を 魅 了さ せ る服 とは、
何ら かの か たち で 肉 体の 潜 在 意 識が素 材、
色彩、
形、
構 造理論、
人 体バ ラン ス と機 能 美に調 和し、
デザ イン された もの である。 つ ま り、
服 作り感性の原 点と は作 者の 「性 」の意識が着 る 人の 肉 体を どの ように演出する かで ある。
80年 代、
私は イ タ リアで多くの デザ イナー
の作 品 を 殆 ど毎シー
ズ ン描い てい た が、
ある デ ザ イ ナー
の作 品で背 中 心か ら腰、
そ し て裾 線までを 鋭 く一
直線に カ ッ ト し、
その 隙 間か ら肌 が 見えるだけの シ ンプル な 黒の ア フター
フ ァ イ ブ ドレ スを描い た。 しか し、一
回で デ ザ イ ナー
か らのOK
は で なかっ た。 服は通 常、
人 間に心理的影 響を 与え る最 も身近な自 己 表 現 手 段の一
つ で あ り、
デザ イ ナー
はその 心 理作用 と自分の 感 性を 重 ね 合わ せ 創 作 する が、
その ドレ スは、
モ デ ルが 着る と形の単 純さと は裏腹 にまっ た く違う イメー
ジ を連 想 させ た。 つ ま り、
類似し た 既 存の 構 造か ら発想した造形では な く、
作 者が 何かの 思い を具 体 化し た 結 果、
こ の よう な 形が 生 ま れ たの だ と 気づ い た。 絵は想像の世 界に踏み込 む事が 出 来る表現手 段で あ り、
デ ザ イ ナー
が描き手に求めてい た もの は勿 論 形 を正確に、
美 し く描 くこ と で はあっ た が、
それ以 上 に作 り手が どの様な思い を 服に託 してい るの か、
デ ザ イ ン を通 じ潜 在意識を読み取り、
その 思い を絵に描 くこ と が求め られてい たの で ある。 模 倣の ア レン ジと違い、
オ リ ジ ナ リ ティー
を尊重 する創 作 環 境で在る が故、
作者 独 自の 思い と形が デ ザ インに求め ら れる の である。3、
フ ァ ッショ ンはボー
ダレス 我 が 国で衣 服の大 量生産を 目的と した 企 画、
製 造、
販 売、
所 謂アパ レ ル 産 業 が、
本 格 的に開始さ れ たの は二 十 世紀 半ばか らである。
前 後 し教 育 機 関も そ れ ま での 和 裁 教育か ら洋裁 教育、
デザ イン教 育に変わ り、
多くの デザ イナー
を輩 出する。 以降膨張する 日本 経 済と共に デ ザ イ ン活 動は 流 行 源 と なる海 外情報 と併せ欧米 追従 型流行の 大量消 費 時 代を謳 歌 す る。 かつ て80
年 代イ タ リ ア、
ファ ッ ショ ン誌の記 者か ら日本の 雑 誌の モデル は、
また貴方 の 作 品フ ォ リオの 画は何 故欧米人 なの か、
と尋ね ら れ、
答え るの に苦い 思い を し た。 欧 米感 覚至上的 な 美 意 識を 追い か け る時 代の 中に、
どっ ぷ り と漬か り、
それ が当たシザ イン学 研 究 特 集 号 sPECIAL ISSUE OF JssD Vol
.
9 No.
4 2002 53Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
り前の ように感じ てい たこ とに対し て である。 し か し
、
日本人デ ザ イ ナー
の海 外 進 出や服 装の 多様 化が進 む 今日 で は 欧米 指 向にこ だ わ らず、
必 然 的で地 域 独 自の 美 意識 が育ち、
そ うし た背景の 中か ら 生 ま れ る感 覚が夫々、
個 人の 流行を 作 り出 す 時 代 に 来てい る。 4、
デ ザインの基 礎 は人 間から 始め る 科 学 と 人間 との 関係 史上、
その 文明開 化、
ニ ュー
メ デ ィ ア時代の到 来、
価 値体 系の転 換 期に おい て常に提 起さ れ て来た意識改 革が今世紀 も また再び問わ れつ つ ある。 そ れ は一
つ の 製 造 物であろう と地球的 視 野で作らな け れ ば ならない ことであり、
また 生命の存 在を解 明 する諸 科 学の 発 展 を介し、
二十一
世 紀は 「物の 時 代から心の 時 代 」 「創 造 性の 時代」と言わ れる 問い である。 DESSGN とは 有 形、
無 形 全ての概 念 を 記号と 捉 え、
記 号 SIGN か らDE 離れ合 目的に見 直し、
再び組み立て、
機 能さ せ る 五感の 互助 的 行 為と解 釈 する が、
シ ス テ ム と シ ス テム を関 係 させ、
新たなデ ザ イン を 生み 出 すとして も、
これ まで の安 易 な 模 倣 競 争か らで は次 世 代に期 待 する真 価の 道 は 生 まれない。
人間生 態が本 来 保有する 五感性を 刺 激し、
創造に対 する自我、
欲 求の潜 在 意識 と能力を覚 醒 させ る原 理 が、
また、
そ う した生 態 メカニ ズム を解 明 し よ う とする研 究 領 域 が二十一
世 紀の基礎デザイン とし て必要とな る。5
、
創造社会に向け た学習支 援装 置 デザ インとい う 大 き な 領 域の一
遇を占める諸デザ イン 領域は夫々 自 立し た か たちで領 域が 聖域化し、
縦 割 り専 門領域の枠 組み が形 成さ れ、
これまでの 教 育 活動を行っ て来てい るが、
多様化 する現 代 社 会 に おい て は、
そ う し た枠 組みの 機 能だけか らで は、
総 合 的に変 化 す る 時 代の 対 応が難 しい 。 曰 く学 校よ り社 会の 方が進ん でい る とい う状 況になるこ とは明ら か である。
服 装デザ イン専門 領 域におい て も、
高 度 経 済成長 期や 即戦力訴 求期に組み立て ら れ た原理学 習不在、
産業優先 の情 報学 習に おける基礎学 習の 在 り 方と、
多様 化の 進 む 未 来 杜 会の 中で、
変 化 す る もの と そ うでない物の 真 値を 見分け る能力 育成、つ ま り、 「物と心 をつ な ぐ創造 性を価 値 と する」、
新 しい 価 値の 社 会基盤 を希 求する 基礎 学習 の 在り方 と は、
違い が生 じて くる。 実 際、
これ まで で も美 術 的 基 礎表現 学 習、
基 礎 造 形 原 理 等の 学 習 を体 感 してい る学 生は、
そ うで ない 学 生と比べ 創 作に対 す る 深み、
独 創性、
情 報の選 択 と識別力の違い が多々 見ら れ る。 つ ま り、
学 習 者は創 作の 工夫 と失 敗 を 繰 り返 し、
思い を 具 象 化する思考の中で、
物の出来る仕 組みが解け、
意 識の飛 躍につ なが り、
「物 と心の 関 係、
創 造 性 」へ の 尊 厳と敬 意、
能 力 探 求の 自覚、
質の 深い創 造 価 値 観 を もつ違い で ある。 二 十一
世 紀の デザ イン教 育におい て は、
創造原 理 の学習 を基 礎 とする か否か で、
これ か らの教育理念の具 体 化の 眺 望は大 き く変わっ て来る。 その 学 習の一
例 を 挙 げれ ば、
人 間 生 態 組 成の 自 覚 を 基 礎デザ イン と し、
ま ず、 1
学 年次 をデザ イン領域共 通と して 自 然の 造 形 原 理の方向に 目 を向ける基 礎 造 形 学、
つ ま り、
形 態 を 観 察 しその 原 理 を 見 出 す 力、
デッ サ ンカ、
平面 と立体の視 覚 表現力、
構成力、 遊 び と工夫の 造形 発 想、
色 彩 学等を学習 し、
基礎造形原理 を獲 得す る。 古典 的に 言 うな らば、
混 沌か ら純粋 を抽出 する錬金術 的 能 力 を 養う。 ま た、
基 礎デザ イン総 合 教養で は人間 (自分 )の生態 (エ コ )テー
マ 研究に基 き、
思い を意識 学 (生想とデ ザ イン) 霊 的 感 性を 心霊 学 (生命と デ ザ イン)、
肉体 を解 剖 学 (生 体とデ ザイン)とし、
社 会 現 象 全ての源である 人 間 組 成 を 知 り、
人 間の 創 造 力、
自 己 開 発 意 識、
表現力、
発想原理を学ぶ。 つ ま り、
人間デ ザ イン の基 礎 学 習であ る。 また、
それらの領 域 関 連で は遺 伝 子工学 ヒ トゲノ ム や サ イ・
コ ミュ ニ ケー
シ ョン科 学 等の最 先 端 科 学や宗 教、
東洋 易学、
シ ャー
マ ニ ズム 等、
プリミテ ィブ サ イエ ン ス の研 究 領 域に言 及 する等、
い ずれ も 人 間の テー
マ に 近 ずい た神 秘 的で興 味 深い、
楽 しい 内 容で心と物、
心 と 自 然の造 形 原 理、
意 識の 原 理、
両 者 をつ な ぐデザ イン の関 係 的 実 習 を行 な う。
こ う した 学 習 はハ イテ ク機 器に よ る 情報学習 と対極し、
人間生態資 源を探 求する基 礎 学 習で あ る。 フ ァ ッ ショ ンデ ザ インは衣服の流行設 計 及びその 業界 関 連を捉 えて来た が、
現 代 社会での フ ァ ッ ショ ンエ ッセ ン スは、
国 際 的に提 起 され る ガ イ ヤ 共 通の グラン ドデザ インテー
マ に導か れる。 フ ァ ッ ショ ン を 流行と捉え、
服 装 領域 もそれを共 有 する。温 故 知 新、
領 域 混 交時代の 中 でフ ァ ッ ショ ン デ ザ イン学を広 義で捉え る こ と は服 装 領 域に おい て も 新 た な可能 性が生 まれ る。
54 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol