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消費者教育「意思決定論」基準・スタンダードの確立

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Academic year: 2021

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要旨

 行動経済学は経済の意思決定と活動の学びである。特定の行動を行うし,どのように特定の状況で行動す るか? 消費者教育にとって,最も適切なアプローチを選択する。今日消費者は,情報の増大と製品の広い 選択に立ち向かわされている。ますます複雑化する市場で,良い選択をするためには,スキルと知識のより 広い範囲を開発しなければならない。行動経済学は大いに意識と教育の改善を通じて促進することができる。

キーワード:消費者市民(Consumer Citizenship),意思決定(Decision Making),行動経済学(Behav-ioral Economics),ファスト&スロー(Fast & Slow)

Ⅰ.はじめに

 消費者庁は,2017 年夏,消費者行政の発展・創造 の場の拠点となる「消費者行政新未来創造オフィス」 を徳島県徳島市に設置し,行動経済学の知見に基づい た理論的・先進的な調査研究や全国展開を見据えたモ デル・プロジェクトを集中的に実施している。消費者 庁客員研究主幹依田高典京都大学大学院経済学研究科 教授は,行動経済学,フィールド実験として,消費者 行政に関する施策情報発信を行う使命を持った消費者 庁を目指しているという。  2017 年のノーベル経済学賞は,行動経済学を発展 させた貢献で,リチャード・セイラーに授与された。 行動経済学分野の受賞は,過去には,2002 年のダニ エル・カーネマン,2013 年のロバート・シラーにつ いで,3 人目ということになる。  イギリスでは2008年7月,イギリスの野党第一党で ある保守党のデーヴィッド・キャメロンとその協力者 は,行動経済学を経済政策に活用することに興味を 持って,アメリカの行動経済学者のリチャード・セイ ラーに協力を求めた。米国でも共同研究者の法学者の キャスサスンティーンが,オバマ大統領のブレーンを 務めた。  消費者教育にとっても「ナッジ」はじめ行動経済学 の活用は世界的にもトレンドとなりつつある。  筆者は神戸市でも小さい研究会を中心に数年前から 試行錯誤を続けており,その課題等を振り返る。適格 消費者団体「ひょうご消費者ネット」を構成する兵庫 県弁護士会も行動経済学は関心は高いものがあり,兵 庫弁護士会対象に研修を実施することにもなった。  今後益々,行動経済学の重要性は増加し,「法と経 済学の行動主義的アプローチ」は,最重要となろう。

Ⅱ.消費者教育とは何か?

1.所謂「意思決定」─羅針盤─をめぐって  「消費者教育推進法」が施行(2012)されて年数が 経過したが,果たしてその趣旨が理解され広がりと定 着が進んでいるであろうか ? 「消費者教育推進法」 の唱える「消費者市民社会」実現が可能であろうか? 理念としては正しいが,実効性については疑問を持た ざるを負えない。消費者教育において「意思決定」 「批判的思考」は,「車の両輪で不可分であり重要であ る」という言葉だけが呪文のように敷衍している。お 題目で「意思決定」「批判的思考」と定義のなきまま 唱えてどう「意思決定」するか? 本論文は 21 世紀

消費者教育「意思決定論」

基準・スタンダードの確立

─消費者庁「行動経済学」の意義と意味─

The Journal of Economic Education No.38, September, 2019

Promoting consumer education, proposal for standardization of theory of decision making from viewpoints of behavioral economics

SUMITANI, Hideichi 炭谷 英一(神戸市消費生活マスター)

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の(深層)消費者教育の発展に寄与し,表層的なブー ムから消費者教育を守り,「消費者市民社会」実現の ために企業・行政・大学・学校等での,消費者教育の 定着と広がりに貢献することを目的とする。  何故か ?「マップ」はでき,「ナビ」はできたが, 「羅針盤」がないと実感している。筆者は「OS」を変 えると称している。いわゆる「意思決定論」がファ ジーでは「どう進めたらいいのか?」と躓(つまず) かざるを得ない。  我々は初等中等教育段階からの消費者教育導入につ いていわゆる「新古典派的意思決定論」を所与(デ フォルト)のものとして,「希少性」「機会費用」「ト レードオフ」等の概念を「普遍的な永久な真理」とし て,受け入れていいものだろうか ? 未来をどうイメー ジするかにかっているが,「意思決定」の「基軸とな る考え方」を獲得し,「教材化」への視座を明らかに する。  筆者は消費者教育についてとりあえず以下のように 定義する。 ○消費者問題 現代社会の消費者の個々的問題 ○消費者問題教育 現代社会の消費者の個々的問題の 紹介・解説・対応 ○消費者教育 現代社会の全体的変容を読み,消費者 として生きる力を伝える。 ○表層消費者教育 短期的・ミクロ的・「不完全」・ 「不確実」・「非対称」の情報下での「意思決定」 学習目標 :「処世術」・「サバイバル術」等の形成 ○深層消費者教育 中・長期的・マクロ的「意思決 定」・「批判的思考」(「不完全」・「不確実」・「非対称」 下での情報であることの認識) 学習目標 :「消費者市民意識」の形成 「消費者市民 社会」の担い手の育成 2.「意思決定」とは,何であったか?─日本消 費者教育学会 消費者教育支援センター誕 生の歴史とモデル(USNICE)の崩壊─  1981 年 11 月 3 日,日本消費者教育学会が誕生した。 特に消費者教育における「意思決定」と「批判的思 考」の重要性の学恩の衝撃は忘れることができない。 日本での導入史である 30 年近く前の,リソースセン ター設立構想の機運(現消費者教育支援センター)の 本質が何であったかを明らかにする。  1980 年代後半リソースセンター構想をめぐって, そのモデルを「消費者経済教育」に求めるのか,「消 費者問題教育」に求めるのか,JCEE(現 CEE)に求 めるのか NICE に求めるのか大論議があった。ミシガ ン消費者教育センター(NICE;National Institute for Consumer Education 1973 年設立その後 USNAICE と 改名)は新古典派経済学の普遍・普及化のため形成さ れた米国経済教育協議会(JCEE Joint Council on Economic Education 1959 年設立)の下部組織として 1973 年発足し,JCEE の枠内でのスタンダードとして, 新古典派の「希少性」,「機会費用」,「トレードオフ」 の「意思決定論」を採用した。NICE は束ミシガン大 学に置かれ,JCEE の支配下に置かれたのである。そ の 後 JCEE は,CEE(Council for Economic Educa-tion)と改名したが,CEE-Japan は,2009 年にジュニ ア・アチーブメント日本内(米国では 1919 年に発足 した)に設立された。経済教育プログラムの提供を目 的に,大和証券グループがメインスポンサーとなり, ジュニア・アチーブメント日本も設立四半世紀を迎え, 米国経済教育協議会(CEE)との専属契約のもと, CEE ジャパンとして活動を展開している。  1982 年「消費者教育における諸概念の分類(バニ スター,モンスマ)」(①意思決定,②資源管理,③市 民参加)は,「希少性」,「機会費用」,「トレードオフ」 の「意思決定の基本文法」とともに消費者教育のグ ローバルスタンダード(アメリカンスタンダード)と なり,1986 年東京都消費者センター,日本消費者教 育学会関東支部で翻訳された。1985 年 6 月「消費者教 育のための京都国際シンポジウム」(V. ナウワー, R. バニスター,H. グリーン,R. リスト,G. ライシュ バック)にパネラーの一人とて参加する機会を得た筆 者は,H. グリーンが,「市場の限定性」の重要性を強 調していた(市場は万能ではない。市場の両義性を認 識すべきと 1985 年の段階で現代のグローバリズムの 危険性を予見していた)ことを昨日のように鮮烈に記 憶している。1986 年 9 月国民生活審議会から教育課程 審議会への「学校における消費者教育について」要望 がだされ,80 年代後半のリソースセンター設立構想 機運を経て所謂バブル期の中,1990 年 2 月消費者教育 支援センターの設立に至ったのである。  日本消費者教育学会は,1991 年「消費者教育 10 の Q&A」で,意思決定の基本文法を「希少性」,「機会 費用」,「トレードオフ」として消費者教育のスタン ダードとした。こうした導入史は,1980 年代後半の いわゆる日本のバブル期にあって,日米構造協議の貿 易摩擦問題の時代的限定性の中にあったことを認識す べきである。

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3.新古典派意思決定論─イデオロギーとして の新古典派意思決定論(教育目標:合理的 経済人)の誤謬─  2000 年「経済学習のスタンダード 20 21 世紀のア メリカ経済教育」(山岡道男,浅野忠克,栗原久編  CEE の経済教育の米国のスタンダード)が消費者教 育支援センターから出版された。(「希少性」「機会費 用」「トレードオフ」)  2003 年消費者教育支援センターのモデルである US-NAICE は終焉したが,消費者教育支援センターは, 以下のような「国際セミナー」を毎年重ね,新古典派 の流布,普遍化に貢献したのである。 ・2000 消費者教育・経済教育/国際セミナー・意思 決定のための経済学 / ミクロ経済 消費者教育指導法 / 批判的思考と意思決定・ミクロ経 済からマクロ経済へ・ファイナンシャル・プランニン グ ・2001 消費者/経済教育セミナー経済教育の役割と 消費者・市民─アメリカの高校生に対する経済リテラ シーテストの結果─・消費者教育の新しい動き・リサ イクルの費用と便益 ・2002 消費者/経済教育 国際セミナーファイナン シャル・プランニング入門消費者・経済教育の新潮流 ─ファイナンシャル・プランニングの考え方・教え方 ─  この時期はブッシュ政権(2001 年~ 2009 年)と小 泉内閣(2001 年~ 2006 年)の蜜月期にあたる。後年 ネオリベラリズム政策と批判されることにもなるが, 「国際セミナー」では,2011 年ウオール街オキュパイ 運動の中で「金持ちは貧しくなっている」と発言し 「1%のための経済学の経済的自由主義イデオロギーの 押しつけ」であると批判され,学生からボイコットさ れた著名なハーバード大学教授で世界的にも多くの大 学等で教科書として採用されるグレゴリー・マン キューの「経済学の 10 大原則の意思決定論」が推奨 された。共和党のイデオローグである彼は,「10 年に 一度の重要な経済学書の古典」(2008 年ノーベル経済 学賞受賞者のポール・クルーグマン)である世界的大 ベストセラーの経済学書トマ・ピケティの「21 世紀 の資本」を 1%の擁護の立場で批判している。また, リーマンショック後の自らの「経済学教科書の概念の 変更も必要なし」としている。現代的課題として消費 者教育が 1%のための教育か 99%のための消費者教育 かが,試されているのであり,米国のみならず,世界 的にも「供給サイドの経済学」のみならず,セーフ ティーネットとしての「需要サイドの経済学」の「意 思決定の基本文法」が求められているのである。 4.2005 年経済教育元年・金融教育元年とは何 であったか?  2005 年は日本では預金のペイオフが解禁された。 小泉内閣は,経済財政諮問会議が示した「経済財政運 営と構造改革に関する基本方針 2005)」(いわゆる 「骨太の方針」)を閣議決定した。この方針に沿って 「金融を含む経済教育等の実践的教育」とともに,学 校での国際教育を推進する国民運動としての食育推 進」が提唱されている。この年,政府と金融広報中央 委員会は「経済教育元年」,「金融教育元年」と位置づ けた。2006 年,小泉内閣が終焉し,2007 年に政府の 基本方針の中には金融経済教育に関する事項は盛り込 まれず,また「経済教育等に関する関係省庁等連絡会 議」は活動を停止した。金融広報中央委員会は,この 年 2 月に「金融教育プログラム」というスタンダード を出した。その後,2009 年以降,日本では金融教育 は全体として縮小傾向になった。2008 年 9 月のリーマ ン・ブラザーズの経営破綻に伴う金融危機の発生以降, 海外の金融教育の進展は,量的な拡大のみならず,教 育効果の向上など質的な面にも及んでいる。消費者の 金融行動に不合理な意思決定が生じうることを踏まえ, 近年,グローバルに金融教育ニーズが高まりつつある 中,金融教育の普及促進や効果改善を図るために,行 動経済学の応用に対する期待が高まりつつある。 国際 的には,リーマン・ショック以降「金融教育」をめぐ る新しい動きとして世界各国及び OECD で,「脆弱 者」のための「ケイパビリティー(アマルティア・セ ン)」,「行動経済学」等「金融教育」の国家戦略化が 大規模に推進されるようになってきた。

Ⅲ.ポスト新古典派意思決定論─ 1%のた

めの教育か,99%のための消費者教育

か?

1.Consumer Policy Toolkit(消費者政策ツール キット)(OECD CPP)について  2005 年日本では,経済教育元年・金融教育元年と いわれ,「希少性」「機会費用」「トレードオフ」が 「意思決定の基本文法」と言われた同じ年,OECD 消 費 者 政 策 委 員 会(CCP:Committee on Consumer Policy)で,以下のような円卓会議が行われた。2005

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年第 1 回「消費者政策のための需要側の経済学」円卓 会議(OECD)(行動経済学,法と経済学の提案)続 いて翌2006年第2回「消費者のための経済学」円卓会 議(OECD)(「需要側」削除,消費者政策ツール提 案)が行われた。OECD CPP(消費者政策委員会)は, Consumers International(国際消費者機構),Business and Industry Advisory Committee(経済産業諮問委員 会)等と連携し進められている。新古典派の代替案と して 2002 年ノーベル経済学賞を受賞した D. カーネマ ン(Daniel Kahneman)の行動経済学と実験経済学の 研究分野の開拓等が既に検討されていたのである。従 来の経済学および行動経済学の両方を含む,消費者政 策のための経済学に関する作業を続けることに合意し, その目標は,この作業が,政策「介入」が必要かどう か,いつ必要か,最も効果的な「介入」の形態および 消費者の自立力強化と消費者保護を実施するためのメ カニズムの費用と便益を決定することに役立つように なることであった。提案を受け,CCP は,需要側に 焦点を当てて,Consumer Policy Toolkit(消費者政策 ツールキット)(2009)を作成し公開した。2008 年 9 月リーマン・ブラザーズの経営破綻に伴う金融危機に 先立ち,新古典派意思決定論の誤謬が,検討されてい たのである。以下リーマンショックの影響から消費者 教育が救うべく次のような会議や提言がなされること になる。2008 年 10 月 24 日消費者教育に関する合同会 議(パリ)は,OECD CCP の主導で国連環境計画 (UNEP)と持続可能な消費(UN MTF)のための教 育に関して国連で共同開催された。2009 年消費者教 育についての OECD CPP の政策提言によると,消 費者は「批判的思考」を開発し,認知度を上げるのを 助けるようにする必要があり,研究の結果は,分析報 告書に反映されている。「Promothing Consumer Edu-cation TRENDS, POLICIES AND GOOD PRACTIC-ES」(2009 OECD)は,以下のような問題に焦点をあ て勧告する。①消費者教育 · 評価結果の目標と戦略を 定義し,②消費者教育の中で最も適切なアプローチを 選択する③ステークホルダー間の協力と協調を向上さ せる。今日の消費者は,情報量の増大や製品の選択肢 の拡大に直面し,一層複雑化した市場の中で活動して いる。より良い選択を行うことと消費者の利益を保護 することには,より広範な技能と知識が必要とされる ようになっている。この点で,消費者教育は極めて重 要である。消費者教育は,社会的な価値や目的を考慮 に入れつつ,情報に基づき,理にかなった選択を行う ための技能や知識を育み,向上させるプロセスとして 定義される。消費者教育は,批判的思考を身につけ, 意識を高めるのに役立ち,それによって消費者はより プロアクティブに行動することが可能となる。これは また,消費者が日々複雑化していく市場の中で活動す るために必要な自信を持つために重要なツールでもあ る。今日の消費者教育は,過去に比べ,より多様な分 野をカバーするようになっている。こうした教育は, 消費者の生涯を通じて,より良い「意思決定」や「ス キル」を育む長期的・継続的なプロセスとして捉えら れるべきである。2 つの分野に特に注意を向けた。持 続可能な消費(Sustainable Consumption)とデジタ ル能力(Digital Competence)の 2 つである。これら は情報の経済学や行動経済学,社会学といった関連す る分野にも立脚するのである。消費者市民(Consum-er Citizenship)の育成が共通認識とされ,とくに社 会的関与(Social Concern)の重要性が,強調された。  筆者は消費者教育の基礎概念,基本文法をとりあえ ず以下のように定義する。 意思決定の方法─価値とパーソナルビジョン  20 世紀「消費者教育」の基本文法─「希少性」と 「意思決定」 ○ 20 世紀「消費者モデル」─「合理的経済人」 ・「私的選択」--「私的コスト」と「私的ベネフィット」 による「私的意思決定」 ・「希少性」─市場限定性 ○ 21 世紀「消費者モデル」---「社会的合理的経済人」 ・「社会的選択」-- できるだけ,多くの人々に選択と創 造の自由を与えながら,未来世代の可能性を損なわず, 次世代のニーズを満たすこと。(「社会的コスト」と 「社会的ベネフィット」による「社会的意思決定」) ・「希少性」の本質的意味(地球資源として捉えてい るか?) ○「社会的選択」と「私的選択」とのトレードオフ 2.「消費者市民社会」実現のために「自覚的消 費者」育成の教育目標  今日の社会経済をめぐっては,地球温暖化や廃棄物 対策などの環境問題,振り込め詐欺などの消費者問題, あるいはボランティア・フェアトレードなどの利他的 活動,国民(生活者,消費者)の生活にかかわる様々 な問題がある。これに対応するためには,自立して行 動する消費者・生活者とともに,消費者・生活者が的 確な行動をとれるようにインセンティブを与えたり促 したり,誤った行動を回避するのを支援したりするよ うな政策的取組みが必要である。しかしながら,これ

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までの政策検討の枠組みは,人々が経済合理性に基づ いて行動するという暗黙の仮説を前提としたもので あった。しかし,近年,そうした仮定に疑問を呈する ような様々な結果が指摘されている。それは,単純化 していうならば,人々は単純な「経済的な報酬モデ ル」で動く合理的経済人ではなく,人々の「意思決 定」には道徳的(倫理的)価値,社会的価値のありよ うが大きな影響を与えうるということになる。  「消費者市民社会」実現のために「自覚的消費者」 育成の消費者教育の目標を次のように定義する。「社 会的責任消費」─できるだけ,多くの人々に選択と創 造の自由を与えながら,未来世代の可能性を損なわず, 次世代のニーズを満たす。「社会的責任投資」─「社会 的価値行動」の上で,もう一方の目標となる。 3.何から始めるべきか?─「希少性」概念の 代 替 と し て の 第 一 概 念「 フ ァ ス ト & ス ロー」  一つは無意識的に感情や情緒で決定する「自動シス テム」と呼べるものと,もう一つは,意識的にできる だけ論理的に合理性を考慮して決定しようとする「熟 慮システム」と呼べるものである。とくに「自動シス テム」が働くと人の「意思決定」は慣れた道の運転の ように,過去の経験に沿って惰性的になる。  システム 1(「単純」な選択)とは,直感や感情,衝 動,感覚,価値判断といった自分では意識的に制御で きないものを指す。われわれは日常生活のほとんどを システム 1 に委ねている。われわれは日常のほとんど をシステム 1 の判断(感覚)に任せて生きている。  システム 2 とは,論理的思考や選択,行動などの自 分で意識的にコントロールできるものを指す。また極 端に難しいことでなければ,字を書いたり,計算した り,数を数えたり,投票したり,買いたい商品を選ん だり,一定の条件で商品を振り分けたり,といったこ ともできる。それらはすべてシステム 2 に属する。  このシステム 2(「賢明」な選択)はシステム 1(「単 純」な選択)を自覚し,それを自分が望む方向に矯正 していくことができる。「好き」という感情を生み出 すのはシステム 1 だが,それが「好き」であると自覚 するのはシステム 2 の役割である。システム 2 はシス テム 1 の生んだ「好き」という感情を抑えつけるため に,行動する。システム 2 は「好き」を直接「嫌い」 に書き換えることはできなくても,「好き」という感 情が減衰するような対応を取ることが出来る。  紙面がつきた。「意思決定論」において「批判的思 考」は,「意思決定」とは車の両輪で不可分であり, 「進化論的アプローチ」「法と経済学の行動主義的アプ ローチ」の重要性を認識するものであるが,稿を改め ることとする。 参考文献 [1] 依田高典『行動経済学』中公新書 2010 年 [2]   同  『「ココロ」の経済学』ちくま新書 2016 年 [3] バニスター,モンスマ 1982『消費者教育における諸概念 の分類』東京都消費者センター訳 1986 年 [4] 日本消費者教育学会編『消費者教育 10 の Q&A』1991 年  [5] 山岡道男他『経済学習のスタンダード 20 アメリカ経済教 育』消費者教育支援センタ 2000 年

[6] OECD CPP 2009 CONSUMER EDUCATION Policy Recommendations of the OECD’S Committee on Con︲ sumer Policy 消費者庁 HP

[7] OECD CPP 2009 Consumer Policy Toolkit 2010 公 開  2013 消費者庁 HP

[8] OECD CPP 2009 Promothing Consumer Education  TRENDS, POLICIES AND GOOD PRACTICES [9] ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』早川書房 2012 年 [10] リチャードセーラー,キャスンスティーン『実践行動経 済学』日経 BP 社 2009 年 [11] 炭谷英一「ポスト新古典派意思決定教育試論」『経済教 育』第 34 号 2015 年 [12] 同「中等教育における正しい『金融教育』の必要性・緊 急性の提案」 『経済教育第 35 号』2016 年

参照

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わからない その他 がん検診を受けても見落としがあると思っているから がん検診そのものを知らないから

しかし何かを不思議だと思うことは勉強をする最も良い動機だと思うので,興味を 持たれた方は以下の文献リストなどを参考に各自理解を深められたい.少しだけ案

C. 

Bemmann, Die Umstimmung des Tatentschlossenen zu einer schwereren oder leichteren Begehungsweise, Festschrift für Gallas(((((),

○金本圭一朗氏

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として決定するも

以上の基準を仮に想定し得るが︑おそらくこの基準によっても︑小売市場事件は合憲と考えることができよう︒