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なぜ学校では自由貿易が教えられないのか : 経済のグローバル化の中でのローカルな教員養成

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Ⅰ.グローバル化の進行と日本の状況

 世界各国の密接な関係が進むことで「グローバル 化」という言葉が頻繁に使われるようになっており, それに伴って国際理解教育やグローバル教育の取組が 増えている。グローバル化は主に経済活動において進 められている。古くは,江戸時代末期の日本の開国は, 欧米列強諸国が交易による利益を追求するためであり, 経済的な動機によって進められた。第二次世界大戦の 原因も,各国のブロック経済圏の確立による市場の確 保を巡る争いによるものであった。現代の EU や APEC,検討されている TPP 等の FTA,EPA の推進 も経済的な利益を求めてのことである。  このような経済のグローバル化は,様々な問題を一 国内だけでなく世界的規模へ波及させることになった。 例えば,サブプライムローン問題とその後の混乱,ア メリカの財政危機と急激な円高,ギリシャ通貨危機と ユーロ圏の混迷,さらには東日本大震災による部品供 給不足の影響,原子力発電所の事故と各国のエネル ギー政策等のように,グローバル化した社会では,相 互の密接な関係から一国内で起こった出来事は瞬時に 世界各国へ波及することになった。そのため特定地域 だけでなく地球規模の視野で問題解決に当たることが 求められるようになっており,各国の協調が必要であ る。特に,中国や発展途上国の経済成長により深刻化 する地球環境問題への対処や,そのような状況の中で 持続可能な経済成長を達成するためには,各国が互い の立場を理解しながら,尊重し合って協調することが 不可欠である。そのため教育においても ESD(Educa�ESD(Educa�(Educa�Educa� tion for Sustainable Development,持続可能な開発の ための教育)が提唱されており,各国で推進されてい る。  日本においては少子化の進行によって市場規模は縮 小し,今後は高度経済成長期のような人口の増加とそ れに伴う経済成長は期待出来なくなっている。また, 東日本大震災の発生は復興のための対策やエネルギー 問題を引き起こした。このような厳しい状況によって, これまでの規制によって守られた社会から,構造改革 によって自己責任による判断や受益者負担の原則を強 く求める社会へと転換している。1)  このように構造改革によって経済的自由度を高める 政策がとられた背景には,グローバル化の進行によっ て厳しい国際競争にさらされる中で,産業の競争力を 高めることが必要であったためであるが,その一方で リストラ,失業,派遣労働者,ワーキングプアが発生 し,個々人は厳しい状況に置かれることになった。

Ⅱ.グローバル化時代の経済教育

 Ⅰ章で述べたように,経済の自由化を進める構造改 革は様々な問題を引き起こした。そのような中で,多 くの問題は国際的な経済問題につながっており,グ ローバル化が進む中で,「あらゆる問題は国際(グ ローバル)経済問題である。」といえる状況になって いる。  しかしながら,教育の現場では経済についての認識 が正しく行われているとは言い難い。世界各国のつな がりは経済的な結びつきが中心であるが,これまでの 学校教育における国際理解は文化面を中心としたもの であった。そのため,国際(グローバル)とは言いな がらも,地域(グローカル)の理解に留まった教育が 多い。また,「グローバルスタンダード」として自国 の文化や価値観を相手国に一方的に押し付ける内容も 多い。2)  経済分野における偏ったグローバル(グローカル)

なぜ学校では

自由貿易が教えられないのか

─経済のグローバル化の中での

ローカルな教員養成─

The Journal of Economic Education No.31, September, 2012

Why Do not Teacher Teach Free Trade at School? : Local Teacher Training in the Globalization of the Economy Mizuno, Hideo Ukai, Haruka Maeda, Homare Murai, Nozomi 水野 英雄(愛知教育大学) 鵜飼 遥佳(愛知教育大学) 前田 宗誉(愛知教育大学) 村井 望(愛知教育大学)

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教育の具体例としては次のようなものが挙げられる。 ・発展途上国の貧しい地域の学習では,かわいそう, もっと援助してあげたい,といった理解に留まり, 貧困の根本的な解決となる産業の育成や教育水準の 向上といった観点につなげることができなかった。 また,発展途上国の経済成長が市場を拡大し世界経 済にプラスの効果をもたらすという視点でみること もできなかった。 ・日本の食料自給率は約 40 パーセントであるが,比 較優位の観点から考えれば,限られた国土(平地) しか有しないという制約から,農業よりも付加価値 の高い製造業を発展させて加工貿易を行うことには 合理性がある。それに対して,食料安全保障の観点 から食料自給率が低いことを批判する教育実践は多 い。しかしながら,1992 年の米の不作の際には緊 急輸入を行ったが,米以外の食料の消費の増加に よって輸入米へのニーズは低く,結果として輸入米 は余ることになった。この事例が示すように,日本 において食料不足が深刻化し供給が不安定となるこ とは考えられず,むしろ石油のような天然資源の方 が重要であり,実際に戦争の原因になっているのは 食料ではなく石油をめぐる争いである。3) ・フェアトレードについては適正価格の考え方が市場 によって導かれたものではないことから,輸入品の 公正な価格として国産品と同じ価格を設定すると消 費者は国産品を選好するため貿易は行われず,発展 途上国にとっては利益とはならない。4)また,消費 者が国産品と同じ価格で高く買ったとしても,その 利益が小売店や商社,外国の地主等の仲介業者の段 階で吸収され,生産者にまで届かないケースも多い。 ・地産地消については環境への配慮から推奨されるよ うになってきているが,地元で作って消費するため には作物の産地として適さない地域でも生産を行う ことになるためビニルハウス等が必要になり,その 燃料等でかえってエネルギー消費を増やすことにな り,輸送コストと比較しても負担増となる場合も多 い。そもそも地産地消によって地元のものを消費す ることは貿易を否定することとなり,貿易障壁とな る。 ・児童労働について否定的な考え方が主流であるが, 発展途上国では子供も働いていることで生計が成り 立っており,子供から働く場を奪うことは生活を困 難にし,かえって貧困を招く。また,日本では「子 供はお金のことは知らなくてよい。」という考え方 が主流となっているが,そのような教育が経済的知 識の育成や社会とのつながりへの意欲を阻害し,大 人になった際の経済的知識の欠如やニート等の勤労 意欲の低い者の存在という問題の一因となっている。 むしろ,キャリア教育として子供でもアルバイト等 で勤労経験を積む方が経済的知識の修得や将来の勤 労観や勤労意欲の育成のためには望ましく,一律に 禁止するのではなく,適切でない労働環境を排除す ることの方が必要である。  このようにグローバル教育では偏った内容のものが 多いことが,適切な国際理解を困難にしている。グ ローバル教育によって他国の文化や社会を理解するこ との真の目的は,経済的な活動に生かすためである。 例えば,外国へ市場を求めて進出するためには,各国 の相違を考えて商品やサービスを供給することが必要 である。直接投資を行う場合には,各国の国民性を理 解して労働者の雇用や制度設計を行うことが不可欠で ある。そのための文化や社会の理解が求められる。そ のような観点から各国の相互理解が進み,経済的な結 びつきが深まれば,関係の悪化は双方の利益とならな いことから国同士の深刻な争いは起きなくなり,世界 平和の実現につながる。

Ⅲ.グローバル化の中でのローカルな存在

としての教員

 Ⅱ章で述べたように,近年の国際化の進行から学校 においても様々なグローバル教育が行われているが, その多くは各国の言語や文化の理解に関するものであ り,社会や経済に関する内容は少ない。また,「グ ローバル教育」とはいいながらも,特定の地域を紹介 する「グローカル教育」である場合が多い。グローバ ルな経済活動を理解する内容のものは非常に少ない。  なぜこのような教育が行われているのかに関しては, 「教員」の養成や採用の問題が指摘出来る。教員の養 成は主に各地の国立大学の教員養成学部において行わ れている。教員(公務員)を目指す学生は地元志向が 非常に強く,地元の国立大学の教員養成学部を出て, 地元の教員になることが,公務員である教員として安 定した雇用に基づいた生活を築くことにつながると考 えている。また,採用についても各地の教育委員会に よって行われるために異動の範囲も限られており,転 居等によるリスクを回避することが出来る。  日本国内においても地域間の差は大きい。特に,長 引く不況の影響で大都市と地方の格差は拡大しており,

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今後少子化が進むことでさらに地方の人口が減少し, 大都市への集中が一層進むことが予想される。  民間企業に勤務する者であれば,転勤による異動に よってそのような地域間の差を体感することが出来る。 しかしながら,教員は特定の地域内での異動に限定さ れるために,地域性の違いについての理解は困難であ り,前述の地元における安定志向と相まって,他の地 域や世界への関心を失わせている。  このような「ローカル」な教員養成と採用のシステ ムは,教員の関心を身近な地域に限定することにつな がり,広い世界への関心を失わせている。そのため, 世界各国についての教員の興味関心が「特定の国・地 域が好き・嫌い」に偏っており,「どの国にもよい面 と悪い面がある。」「どの国にもよい人と悪い人がい る。」「どの国にもよい歴史と悪い歴史がある。」と いったように,相対的に見ることが出来なくなってい る。5)  Ⅱ章で述べたように,国と国との関係は経済的なつ ながりによるものが強いことから,真の国際理解のた めには経済面での相互理解が必要となるが,現在の学 校教育では「学校ではお金の話はすべきではない。」 といった認識が強いために,経済についての国際理解 が進んでいない。また,教員の経済に関する知識も充 分とは言い難い。6)  各国について相対的に理解し,正しい認識を持つた めの教員の養成が必要であり,そのためには経済に関 する国際理解が重要である。

Ⅳ.教員養成系学部の学生へのアンケート

調査

 Ⅲ章で述べたような経済面からの国際理解が充分で ないという傾向は,教員になる前の教員養成学部の学 生についても同様である。経済に対する苦手意識や, 国際経済についての無関心などは学生の時から続くも のであり,その傾向は教員になっても続き,そのこと がグローバル教育における経済教育の実践の妨げと なっている。  本章では第 7 回日銀グランプリ7)優秀賞受賞論文 「先生のための金融教育(小学校編/中高編)」8)にお ける教員養成学部の学生への経済教育の現状と,学生 の経済に関する認識についてのアンケート調査の結果 と分析を引用して,考察を行う。9) (1)調査対象と方法  アンケート調査の目的は,教員養成学部で学ぶ学生 の経済に関する意識を調査し,経済教育の普及のため に必要な資料とすることである。調査対象は愛知教育 大学で平成 23 年度前期に「社会科教育 C」を受講す る学生 161 名10)とし,平成 23 年 7 月 21 日〜 8 月 5 日 の間に実施した。調査対象の選定理由は,当該の授業 が社会科免許取得の必修科目となっているため,調査 対象の学生はある程度の経済学の講義を受講し,経済 に関する知識を得ていると予想されるためである。調 査方法は,授業時間の関係から集合調査法と配票調査 法の二種類を用いた。有効回収数(率)は 108 人 (67.1%),調査不能数(率)は 53 人(32.9%),有効 回収分の性・学年別回収結果は男女比 52:55(無回答 1 名),学年比が 3 年:4 年= 54:52(無回答 1 名・予 備調査 1 名)である。 (2)調査結果と考察  問 2,問 7 等では学生の経済への興味関心や実際の 知識の状況について質問しており,以下のような結果 が示された。 ・経済的知識は不十分という回答が 80 パーセント近 くと非常に高い。それに伴い,問 9 のように公民科 を教えることへの不安も 70 パーセント近くと高く なっている。 ・このような結果となった背景には,経済に関する授 業の少なさがあげられる。問 3 に示されるように, 殆どの学生は 1 から 2 コマの経済の授業しか受けて いない。 ・問 2 や自由記述に示されるように,経済に関する関 心は低くはない。むしろ,関心はあるが学ぶ機会が ないことに対する不満がある。特に,経済に関する 講義を受けた学生の関心が高まっており,さらなる 知識を求めている。  そのような経済に関する認識のもとで,本論文では 国際経済に関する個別のテーマについて学生がどのよ うな認識を持っており,そのもとで学校教育の中でど のように活かしていくべきと考えているかについて分 析を行う。11)  問 5 は,個別の経済問題への学生の興味関心と学校 教育で扱うべきかを尋ねたものである。その結果,多 くの問題について相関関係があり,興味関心の高いも のは学校教育の中で扱うべきという回答が多くなって いる。具体的なテーマとしては,「消費税増税」「物価 と景気」「雇用問題」等の身近な問題についての関心 が高い。  国際経済の分野では,「農産物の安全規制」「食料自

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給率と国際分業」「フェアトレード」「発展途上国の開 発」といった問題についての関心が高い。 これらの分野は学校教育においても取り上げられてい る分野である。しかしながら,その取り上げられ方に は問 12 から問 14 に示されるように,次のような特徴 がある。 ・問 12 に示されるように,食料自給率を高めるべき という見解が多い。その理由は学校で食料自給率を 高めるべきという考え方が教えられているためであ る。 ・同様に問 13,問 14 に示されるように,自由貿易に 関して否定的な見解が多い。その理由は学校で自由 貿易に否定的な考え方が教えられているためである。  この結果に示されたように,現在の学校教育では自 由貿易に否定的な考え方が教えられていることから, 自由貿易に関して否定的な見解が多い。しかしながら, 現実の日本は,資源が乏しいために不足する資源を輸 入し,それを製品に加工して輸出することで利益を受 けている。このように貿易によって利益を受けている にもかかわらず,日本の学校教育においては自由貿易 に否定的な考え方が教えられている。  筆者(水野)は愛知教育大学において主に国際経済 学の分野を教えている。国際経済学等の授業において 学生に農産物輸入や移民について質問すると,食料自 給率を高める,外国人労働者の受け入れは反対ないし 慎重,という回答が多い。その理由は,国際経済学の 経済理論に基づいた厚生分析の結果に反するものであ り,小中学校や高等学校の教科書に述べられているよ うな食料安全保障論や治安への不安に基づいたもので ある。  そのため,現在のような自由貿易に否定的な学校教 育を受けた者が教員になることで,自由貿易に否定的 な教育を行うという悪循環が繰り返されることになっ ている。

Ⅴ.まとめ

 グローバル化が進む中で,国際経済を理解すること の重要性は益々高まっている。しかしながら,現実の 国際経済の動きと学校における教育内容には乖離があ る。その理由は経済に関する知識のない教員が多いた めである。経済のグローバル化が進む中で,Ⅲ章で述 べたように教員については限られた地域の中で養成や 採用が行われており,一度採用されれば,市町村内の 一定の地域の中での異動はあるが,それ以外の地域と の交流はなく,「ローカル」な存在として教育を行う ことになる。そのため広い視野に立って物事を見る必 要や考える機会がないために,社会,特にグローバル 化する国際社会との関係についての知識が欠如するこ とになる。その典型が経済に関する知識であり,「聖 職」とされる教員は経済的な考え方をすることは否定 的に捉えられており,「学校ではお金の話はすべきで はない。」といった認識が正当化されているために, 前述のように偏った視点からのみで結果を決めつけて しまい,現実の経済の動きを説明出来ないような教育 を正当なものと考えて行っている。さらには,そのよ うな教育を受けた者が教員になることで,自由貿易に 否定的な教育を行うという悪循環が繰り返されること になっている。  明治維新における義務教育の導入の目的は経済活動 を活発化して国力を向上させるためであったことから, 学校教育において重要な教育内容として経済知識を挙 げることが出来る。しかしながら,現在の学校教育で は経済との乖離が生じており,教員養成においても経 済知識の教育が行われていないことから,学校の先生 はじめ経済に苦手意識や嫌悪感を抱く者が多くなって いる。  Ⅳ章のアンケート結果で示されたように,学生の経 済に関する関心は低くはない。むしろ,関心はあるが 学ぶ機会がないことに対する不満がある。特に,経済 に関する講義を受けた学生の関心が高まっており,多 くの学生が自らの経済知識は不十分と感じており,さ らなる知識を求めている。  グローバル時代を生きるためには国際経済を理解す ることが不可欠である。そのためには学校教育におけ る経済教育を推進することが必要であり,適切な経済 知識に関する教育内容の整備が求められる。 註 1) 日本では伝統的に「お上」(政府)に対する依存意識が強 く,個々人は生活状況の改善を政府に求めることになっ ていた。そのため政府による規制や管理につながった。 政府による規制や管理によって安定的に経済を運営する ことが出来た面もあったが,近年はそれが負担となり, 企業の国際競争力を低下させた。また,自由度が低いた めに新規産業の創出が困難となっていた。 2) 筆者のうちの村井はドイツのフライブルク教育大学に留 学しているが,フライブルク教育大学はじめヨーロッパ 各国の教員養成制度には国外研修が組み込まれており, EU によるヨーロッパの統合や国際化の流れに柔軟に対応 するためのバランスのとれた教育が行われている。 3) 日本の第二次世界大戦への参戦の理由も石油の確保が困

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難となったためである。また,戦中・戦後は食糧難の時 代ではあったが,餓死者は皆無ではないが,相対的にみ て少なかった。 4) 消費者は国産品を優先する傾向が非常に強く,その背景 には輸入品についてその性能や安全性に関して国産品よ り劣るという認識があるためである。詳しくは水野英雄 (2008)「食品安全性と消費者行動に関する考察」『愛知教 育大学研究報告』第 57 輯を参照。 5) 例えば,周辺国との関係について「自虐史観」や「自由 主義史観」に基づいた偏った認識で理解するような事例 は多い。 6) 学校の教員や教員養成学部の学生の経済に関する認識に ついては,水野英雄(2010)『少子化時代の教員需要と教 員育成の課題』他を参照。 7) 日銀グランプリは大学生を対象とした論文とプレゼン テーションのコンクールであり,社会への積極的な提言 が求められる。本研究では経済に関する教育の推進のた めの提言となるような考察を展開している。 8) 「先生のための金融教育(小学校編/中高編)」において は,広義の経済教育の中での「金融教育」をテーマとし ている。その理由は,生きていく上でお金に関わる問題 に直面することは多く,昨今では金融に関する知識の欠 如から多重債務や自己破産等の問題に陥る者が増えてお り,経済教育の中でも金融に関する知識の教育が特に重 要であると考えたためである。但し,経済教育自体が必 ずしも十分に行われていないという現状認識から,広義 の経済教育に関する内容にも言及している。そのため本 研究では金融教育と経済教育を明確に区別せずに扱って いる。 9) 本論文では主に国際経済に関する調査結果に限定して分 析を行っている。調査結果の詳細については鵜飼遥佳・ 前田宗誉・村井望(2011)「先生のための金融教育(小学 校編/中高編)」『第 7 回日銀グランプリ〜キャンパスか らの提言〜』を参照。 10) 予備調査対象(1 年男子国際文化コース所属,1 名)を含 む。 11) 本研究ではグローバル教育の視点からの考察に限定して いる。金融経済教育の実践のための教員養成カリキュラ ムに関する分析は水野英雄・鵜飼遥佳・前田宗誉・村井 望(2012)「社会科における経済分野の教科開発学におけ る展開」『2012 教科開発学研究発表会大会発表論文集』を 参照。 参考文献 [1] 岩田年浩・水野英雄(2011)「教員養成系学部ではどのよ うな経済の授業が行われているのか─教員養成系学部へ の調査結果から─」『経済教育』第 30 号 [2] 鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2011)「先生のための金融 教育(小学校編/中高編)」『第 7 回日銀グランプリ〜キャ ンパスからの提言〜』日本銀行 論文 http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/ data/rel111214a3.pdf プレゼンテーション資料 http://www.boj.or.jp/announce ments/release_2011/data/rel111214a4.pdf 審査講評 http://www.boj.or.jp/announcements/release_ 2011/data/rel111214a11.pdf [3] 水野英雄(2005)「経済教育の必要性と目標─初等教育か らの連続性を求めて─」『経済教育』第 24 号 [4] 水野英雄(2008)「食品安全性と消費者行動に関する考 察」『愛知教育大学研究報告』第 57 輯 [5] 水野英雄(2010)『少子化時代の教員需要と教員育成の課 題』愛知教育大学出版会 [6] 水野英雄(2011)「教員養成における経済教育の展開─児 童・生徒の「生きる力」を育むために─」『2011 教科開発 学研究発表会大会発表論文集』愛知教育大学 [7] 水野英雄(2011)「教員養成における経済教育の現状と課 題」『日本教育大学協会研究年報』第 29 集 日本教育大 学協会 [8] 水野英雄・鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2012)「社会科 における経済分野の教科開発学における展開」『2012 教科 開発学研究発表会大会発表論文集』愛知教育大学 [9] 文 部 科 学 省  各 種 資 料・ ホ ー ム ペ ー ジ http://www. mext.go.jp [10] 内閣府経済社会総合研究所(財団法人日本経済教育セン ター委託研究)(2005)『経済教育に関する研究会』中間 報告書

[11] NCEE(National Council on Economic Education, アメリ カ経済教育協議会) 各種資料・ホームページ http:// www.councilforeconed.org/ 謝辞 本論文は『第 7 回日銀グランプリ〜キャンパスからの提言〜』 での優秀賞受賞論文「先生のための金融教育(小学校編/中高 編)」のアンケート調査の部分を引用して執筆している。日本 銀行並びに貴重なコメントを頂いた審査員の皆様には厚くお礼 申し上げます。

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問 1 教員を目指しているか 1% 15% はい いいえ 無回答 84% 4% ある 少しはある どちらとも いえない あまりない ない 16% 12% 51% 17% 問 2 経済への興味関心 1% 1% 6% 6% 8 コマ 4 コマ 3 コマ 2 コマ 1 コマ 無回答 23% 63% 問 3 経済学講義の受講コマ数 6% 10% よく読む ときどき読む あまり読まない 読まない 44% 40% 問 4 経済に関する新聞記事を読むか 49% 27% 15% 8% 1% 0% 十分 やや十分 どちらとも いえない やや不十分 不十分 無回答 問 7 経済的知識 15% 26% 42% 9% ない あまりない どちらとも いえない 少しある 5% 3% ある 無回答 問 9 公民科を教える不安 14% 34% 25% 18% 面白かった 少し面白 かった どちらとも いえない あまり面白 くなかった 面白くな かった 5% 4% 無回答 問 10 履修した経済学講義の感想 経済に関するアンケート 調査対象:  平成 23 年度前期において  「社会科教育C」を受講する学生 標本数:161 名(予備調査 1 名含む) 調査時期:  平成 23 年 7 月 21 日〜 8 月 5 日 有効回収数(率):108 人(67.1%) 調査不能数(率):53 人(32.9%) 資料

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0% 問 5 (1)経済問題への興味関心 財政赤字 消費税増税 ゼロ金利政策と貯蓄 物価と景気 貿易収支(貿易摩擦) 円高(為替レート) 20% 40% 60% 80% 100% 学歴と収入(機会費用) 教育の費用負担 就職氷河期と失業率 若年失業 非正規労働者問題 少子化と労働力不足 企業の吸収・合併 起業・ベンチャー企業 農業保護と補助金 農産物貿易の自由化 農産物の安全規制 風評被害 食料自給率と国際分業 貿易と地産地消 TPP エコカー減税と公害 工場の海外移転 外国人労働者 フェアトレード 発展途上国の開発 循環型社会の経緕性 その他 0% 興味がある あまり興味がない 少し興味がある 興味がない どちらともいえない 無回答 20% 40% 60% 80% 100% 0% 問 5(2)学校教育で扱うべきか 財政赤字 消費税増税 ゼロ金利政策と貯蓄 物価と景気 貿易収支(貿易摩擦) 円高(為替レート) 20% 40% 60% 80% 100% 学歴と収入(機会費用) 教育の費用負担 就職氷河期と失業率 若年失業 非正規労働者問題 少子化と労働力不足 企業の吸収・合併 起業・ベンチャー企業 農業保護と補助金 農産物貿易の自由化 農産物の安全規制 風評被害 食料自給率と国際分業 貿易と地産地消 TPP エコカー減税と公害 工場の海外移転 外国人労働者 フェアトレード 発展途上国の開発 循環型社会の経緕性 その他 0% 扱うべき あまり扱うべきでない 少しは扱うべき 扱うべきでない どちらともいえない 無回答 20% 40% 60% 80% 100% 0% 食料自給率 問 12 ∼ 14 農産物貿易自由化 TPP 無回答 反対 どちらともいえない 賛成 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 【出典】日本銀行『第 7 回日銀グランプリ~キャンパスからの提言~』 「先生のための金融教育(小学校編/中高編)」論文 http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/data/rel111214a3.pdf

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