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通級による指導における児童の自立活動 ― 応用行動分析の手法を使用しての効果の検証 ―

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-17 154

-通級による指導における児童の自立活動

―応用行動分析の手法を使用しての効果の検証―

○坂部 和宣1)、小関 俊祐2) 1 )春日井市立北城小学校、 2 )桜美林大学 心理・教育系 【目的】 通級による指導は、障害の状態がそれぞれ異なる 個々の児童生徒に対し、個別指導を中心とした特別の 指導をきめ細やかに、かつ弾力的に提供する教育の一 形態である。文部科学省によれば、障害による学習上 又は生活上の困難の改善・克服を目的とした指導を、 児童生徒のニーズに応じて行うことにより、通常学級 における授業においてもその指導の効果が現れること を目指している。その指導は、特別な教育課程の編成 により行われ、障害による学習上又は生活上の困難の 改善・克服を目的とする自立活動が中心となる。自立 とは、児童生徒がそれぞれの障害の状態や発達段階な どに応じて、主体的に自己の力を発揮し、よりよく生 きていこうとすること(八幡、2013)である。そのた め、自己決定の場や機会を設け、全ての児童生徒に自 己実現の喜びを味わわせることが求められている。 発達障害を抱える児童は、多動、不注意などの行動 的な問題を抱えることも少なくない。それが、パニッ ク、乱暴、自傷行動、授業中の手遊び、奇声、立ち歩 きなどとなって現れ、周囲からは「悪い子である」、 「やる気がない」などと捉えられ、罰や叱責を受ける ことが少なくない。そして、そのことにより児童は、 罰や叱責を与えた人物を避けたり、自分自身をだめな 存在と思ったりするなど、望ましくない情動を引き起 こすことがある。また、児童自身、自分の行動を変え たいと思っていても、その方策を得る機会がないこと が多い。そこで、児童の自立への支援を考えたとき に、児童の問題行動に対しては、嫌悪刺激を提示する のではなく、児童と教師が相談して工夫策を考え、児 童に自己決定をさせた上で、それを実施する経験を積 ませることが重要だろう。 野呂・藤村(2002)は、ADHD児童が教室内で示す問 題行動に対して、機能的アセスメントの利用が有効で あると示している。これを踏まえ、本研究では、通級 による児童の自立活動における、応用行動分析の手法 を使用しての効果の検証を目的とした。 【方法】 通級による指導の中に、応用行動分析を取り入れ る。本研究の対象児童は、 X 年度、発表者が複数校で 担当したうちの、小学校高学年児童 3 名である。事例 に挙げるのは 1 名とする。なお、本研究の実施および 発表にあたっては、所属機関は研究機関ではなく、研 究倫理委員会はないため、校長および保護者の文書の 同意を得た上で実施した。 【内容】 児童 A の事例 児童 A の障害種別はLDである。とりわけ算数学習に おいて困難さを抱えている。算数の時間に分からない 問題に出合うと「わー」と大声を出してしまう実態が あった。そこで、この適切でない行動を減らすための 工夫策を、児童 A と一緒に考えた。 事前に記録を取ったところ、児童 A によれば、 1 週 間の間に、算数の授業で「わー」と大声を上げてし まった回数は、 X 年 6 月14日 2 回、15日 0 回、16日 0 回、19日 2 回、20日 1 回だった。 ABC分析をすると、A<分からない問題に出合う> →B<「わー」と大声を出す>→C<分からない問題に 取り組まなくてよい>または<先生に来てもらえる> との結果を得た。 行動動機診断スケールによる機能分析の結果、機能 順 1 位は逃避・回避、 2 位は注目だった。ABC分析と 機能分析の結果、「わー」と大声を出すことで、分か らない問題から逃避・回避するとともに、教師の注目 も得ようとしていることが考えられた。 ABC分析で行動の工夫を考えた。先程のB<「わー」 と大声を出す>の機能的等価な代替行動として、<机 にHELP札を出す>ことを考えた。この代替行動につい て、児童 A は「やれそうだから、やってみる」と言い、 担任の協力の下、工夫策を実施した。図は、行動に工 夫を加える前と後の記録をグラフ化したものである。 「わー」と言う行動を実線、HELP札提示行動を点線で 示した。縦軸は行動の回数を示す。 【結果】 工夫を導入後、算数の授業中、分からない問題に出 合ったときに、「わー」と言う行動は減り、HELP札を 静かに提示するという適切な行動が、維持できるよう になった。児童 A と振り返りをしたところ、「わー」 と言う回数が減り、「自信が付いた」と話していた。 しかし、算数学習の困難が減ったわけではなく、今後 も児童 A の特性に合った学習方法で、少しずつ課題に 取り組ませ、障害の克服・改善を図っていく必要があ る。 【考察】 本研究では、通級による児童の自立活動に応用行動

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-17 155 -分析の手法を用いて、問題行動とその改善について児 童とともに考え、工夫策を実施したが、一定の成果は あったと考える。実践研究のまとめとして、以下の 3 点について述べたいと思う。 1 点目に、教師とともに応用行動分析の手法を用い て工夫策を考え、児童に自己決定をさせて取り組むこ とに意義があるということである。そのことにより、 児童に達成感や自己肯定感をもたせることができたと 感じたからである。 2 点目に、応用行動分析の手法がもっと広まってい くべきだということである。応用行動分析の特徴は、 問題行動の原因を個人の性格や障害特性によるものと 捉えるのではなく、個人の行動レベルで分析的に見て いくことであった。そのような取組の中では、児童の 自己肯定感を下げることにつながる叱責自体を減らす ことができるだろう。応用行動分析を理論的背景とし た、積極的行動支援というものがあるが、児童のでき ている面に目を向けること、また、問題行動が起きて から対処するのではなく、問題行動が起きないよう、 予防的な側面に目を向けることが大切であろう。 3 点目に、通級による指導の成果を十分に生かして いくためには、保護者・通常学級担任・通級指導担当 の三者連携が必要だということである。本研究の他に も、実態把握と実践のために、保護者・通常学級担任 の協力を得ている。現在、癇癪行動のある児童を指導 しているが、応用行動分析の入門書を、保護者・通常 学級担任に読んでもらった。その書籍をテキストにし て、三者が「行動の機能に着目し、適切な行動は褒め、 不適切な癇癪などの行動には、注目を与えないように する」という共通認識の下、指導に取り組んでいる。 そのため、通級指導の場面だけでなく、通常学級や家 庭で過ごす時間にも同じように接することができ、大 変効果が見られている。今後、他のケースでも三者で 連携して、指導・支援を展開していくことが重要であ ろう。 研究事例を通して、実践期間は、行動変容に成功し たが、実践期以後の適切な行動の長期の維持が課題で ある。児童が自己肯定感をもてるよう、積極的に行動 を褒める、認めていく指導が必要であると考える。 【引用文献】 八幡ゆかり(2013)特別支援教育における自立活動の 今日的意義‐歴史的変遷の分析をとおして‐ 鳴門教 育大学研究紀要 28 39‐48 野呂文行・藤村愛(2002)機能的アセスメントを用い た注意欠陥・多動性障害児童の授業準備行動への教室 内介入 行動療法研究 28( 2 ) 71-82

参照

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