イスラエル・キプロスにおける
イスラエル・キプロスにおける
大規模ガス発見と
東地中海地域を取り巻く情勢
2011年11月25日
2011年11月25日
石油調査部
大貫 憲二
1目次
目次
1.イスラエル・キプロスにおける大規模ガスの発見と
東地中海地域の石油・天然ガスポテンシャル
東地中海地域
石油 天然
ポテ シャ
2.大規模ガス発見に対する東地中海諸国の反応
3 東地中海諸国間における石油・天然ガス開発の
3.東地中海諸国間における石油・天然ガス開発の
課題とその対応
(1)排他的経済水域(EEZ)の画定に向けた動き
(2)キプロス問題と資源開発におけるキプロスの
問
資源開発
トルコ・北キプロスに対する対応
4 まとめ
4.まとめ
1.イスラエル・キプロスにおける大規模ガスの発見と
イスラエルにおける大規模ガスの発見
東地中海地域の石油・天然ガスポテンシャル
イスラエルにおける大規模ガスの発見
・Tamar:2009年発見、8.4Tcf(約2,400億m3)
L i th
2010年発見 15 9T f(約4 500億 3)
・Leviathan:2010年発見、15.9Tcf(約4,500億m3)
⇒国内需要を補って余りある天然ガス資源量の発見
キプロスにおける有望地(bl
k12)
で
の探鉱の実施
キプロスにおける有望地(block12)
で
の探鉱の実施
・block12:2011年9月より試掘開始
(推定埋蔵量 10T f(約2 800億 3))
(推定埋蔵量:10Tcf(約2,800億m3))
Levantine堆積盆に対する関心の高まり
イスラ ル キプロスはいずれも
L
i
堆積盆での発見
・イスラエル・キプロスはいずれも、Levantine堆積盆での発見
・Levantine:イスラエル・キプロス・レバノン・シリア洋上に分布
東地中海各国
動きが活発化
⇒東地中海各国の動きが活発化
3 <米国地質調査所(USGS)報告書> Levantine Basinの推定資源量 ・天然ガス:122Tcf天然ガス:122Tcf ・石油:1.7 billion barrels ⇒石油・天然ガスのポテンシャルが高い 出所:各種情報、USGS、キプロスMCIT 4図 Levantine堆積盆及び大規模ガス田の分布
2 大規模ガス発見に対する東地中海諸国の反応
・相次ぐ大規模ガスの発見を受け、探鉱活動が活発化
2.大規模ガス発見に対する東地中海諸国の反応
相次ぐ大規模
発見を受け、探鉱活動
活発化
・資源を獲得した国では、どの様に開発するか、関心が高まって
いる
いる
①イスラエルのエネルギー輸出政策策定(2012年1Q)
・イスラエル政府は、相次ぐ大規模ガス田の発見に伴い、
イスラエル政府は、相次ぐ大規模ガス田の発見に伴い、
2012年第1四半期までにガス輸出政策を決定する計画
⇒
輸出政策決定のための委員会
を設置(11年9月)
⇒
輸出政策決定のための委員会
を設置(11年9月)
・国家インフラ省:Energy Securityの確保を要求
財務省:輸出を推進
財務省:輸出を推進
⇒輸出政策の決定に注目が集まる
(Leviathan Tamarガス田の開発方針も決まる)
(Leviathan,Tamarガス田の開発方針も決まる)
5②イ ラ
の国内向け天然ガ 政策の着実な実施
②イスラエルの国内向け天然ガス政策の着実な実施
・エジプトからのパイプライン輸入開始 (2009年 ) (2009年~) ⇒Mari-Bガス田の枯渇予想(2014年) に伴い、不足分を補うため に伴い、不足分を補うため ・Tamar、Dalitガス田からの国内供給開始 (開発中・2013年供給開始予定) ⇒Mari-Bガス田の枯渇対応 +エジプトパイプラインの攻撃・破壊に よる供給停止対応(セキ リティ 対応) よる供給停止対応(セキュリティー対応) ・Floating LNG基地へのLNG輸入(2012年~) ⇒Mari-Bガス田枯渇とTamar・Dalitガス田a ガス田枯渇と a a a tガス田 からの供給開始の間に天然ガス不足が 顕在化 出所:各種情報を元に作成 ⇒FLNG基地を建設、ガス供給を予定 (Hadera沖合約10kmに設置) 6 図 イスラエルの天然ガスインフラ③イスラエル・キプロスの大規模ガス開発と
キプロスLNG輸出構想
・Leviathan,Tamarとも、輸出構想あり (イスラエルガス輸出政策の決定後、本格化) ・キプロスLNG輸出構想(輸出構想の一つ) ・イスラエルのガスをキプロス南部のVasilikosで ・イスラエルのガスをキプロス南部のVasilikosで 液化し、LNGを輸出 ・キプロスのblock12で天然ガスが発見された 図 キプロスLNG輸出構想案 場合、インフラを活用し共同開発が可能 表 イスラエルの大規模ガス田からのガス輸出案とその課題 図 キプロスLNG輸出構想案 (出所:各種情報を元に作成) 項目 評価・課題 1 キプロスで液化し、輸出(LNG) 実現性がある Leviathanとキプロスblock12の共同開発が可能 2 イスラエルで液化し 輸出(LNG) セキュリティ 上課題があり 実現性が低い 2 イスラエルで液化し、輸出(LNG) セキュリティー上課題があり、実現性が低い 3 FLNG上で液化し、輸出(LNG) 新規技術(ShellのPreludeプロジェクトに初導入予定) 4 既存パイプラインでエジプトに輸送 (逆送)、液化し、輸出(LNG) 既存設備を使用できるメリットはあるが 昨今のパイプライン攻撃により信頼性が低い 7 5 キプロス・ギリシャ経由で輸出 (パイプラインガス) パイプライン距離が長く(1,000km以上)、経済性が低い④キプロス・レバノン・シリアにおける洋上ライセンス
ラウンドの開催
○キプロス ・第二回洋上ライセンスラウンドを計画(2012年) ○レバノン ・第一回ライセンスラウンドを計画(2012年) ・第一回ライセンスラウンドを計画(2012年) ・法体系の整備と鉱区設定を2011年中に終える予定 ○シリア・International Offshore Bid Round 開催中(洋上ラウンドは初) (2011年3月24日-11月15日) ※2011年初頭のアラブの春以降、 民間人弾圧に対する欧米の制裁 民間人弾圧に対する欧米の制裁 発動中。ライセンスラウンドへの 影響が考えられる。 8 図 シリアの洋上鉱区設定 (出所:各種情報を元に作成)
3.東地中海諸国間における石油・天然ガス開発の
複雑な政治要因により 全ての開発が順調に進むこと
課題とその対応
・複雑な政治要因により、全ての開発が順調に進むこと
は難しい
・主な政治的要因
(1)境界問題
( )境界問題
多くの国家間で排他的経済水域(EEZ)が未画定
⇒資源開発の必要性から 比較的友好な国家間
⇒資源開発の必要性から、比較的友好な国家間
で解決の動き(特にキプロスが積極的)
(2)キプロス問題
南のギリシャ系と北のトルコ系の分断
南のギリシャ系と北のトル 系の分断
⇒有効な解決策を見いだせず
9 (1)排他的経済水域(EEZ)の (1)排他的経済水域(EEZ)の 画定に向けた動き ①キプロス ①キプロス ・2003年のエジプトを皮 切りに、トルコを除き 周辺国と着実にEEZ 画定作業を実施 最大の懸案事項は ・最大の懸案事項は、 キプロス島の南北分断 とトルコとの関係 とトル との関係 表 キプロスと関係国とのEEZ合意・批准状況 関係国 EEZ合意 批准状況 (出所:各種情報、キプロスMCIT) 関係国 EEZ合意・批准状況 エジプト 2003年合意。両国とも批准。洋上探鉱に関する協力で合意 イスラエル 2010年合意。イスラエル未批准(キプロス議会承認済) レバノン 2007年合意。レバノン未批准(キプロス議会承認済) レ ノン 2007年合意。レ ノン未批准(キプ ス議会承認済) シリア 協議中。洋上探鉱に関する協力で合意(2008) トルコ 未画定(協議なし)②イスラエル レバノンが主張するEEZ(国連提出) イスラエルが主張するEEZ(国連提出) ②イスラエル ・キプロスを除き、周辺国との EEZ画定が進んでいない レバノンが主張するEEZ(国連提出) イスラエルが主張するEEZ(国連提出) EEZ画定が進んでいない ・実際の係争を回避する動き ⇒ガザ地区沖合の油ガス田 開発を行わない/EEZ係 争領域に鉱区を設定しない 今後の開発は 確実にイスラ ・今後の開発は、確実にイスラ エルのEEZ内である領域で 推進していくと思われる 推進していくと思われる 表 イスラエルと関係国とのEEZ合意・批准状況 関係国 合意 批准状況 (出所:各種情報を元に作成) 関係国 EEZ合意・批准状況 キプロス 2010年合意。イスラエル未批准(キプロス議会承認済) レバノン ・未画定 ・双方が協議なく、個別に国連にEEZ確定申請を提出。重複範囲あり。 11 双方が協議なく、個別に国連にEEZ確定申請を提出。重複範囲あり。 パレスチナ(ガザ地区) 未画定 エジプト 未画定 ③レバノン ③レバノン 関係国 EEZ合意・批准状況 キプロス 2007年合意。レバノン未批准(キプロス議会承認済) イスラエル ・未画定 ・双方が協議なく、個別に国連にEEZ確定申請を提出。重複範囲あり。 シリア 協議中 ④シリア 関係国 EEZ合意・批准状況 キプロス 協議中。2008年、洋上探査に関する協力で合意。 ⑤トルコ キプロス 協議中。2008年、洋上探査に関する協力で合意。 レバノン 協議中 トルコ 未画定(協議なし) ⑤トル ・国連海洋法条約未批准/キプロス問題⇒東地中海側とのEEZ未画定 ・海洋法批准はEU加盟条件の一つ⇒地域のEEZ確定に重要な国 関係国 EEZ合意・批准状況 キプロス 未画定(協議なし) シリア 未画定(協議なし) 12
(2)キプロス問題と資源開発に対する (2)キプロス問題と資源開発に対する キプロスのトルコ・北キプロスへの対応 ①キプロス問題の経緯 ①キプロス問題の経緯 ・ギリシャ系/トルコ系の対立激化 ⇒ギリシャ系のクーデター企図を機に トルコ系保護のためトルコ軍侵攻 ②キプロス洋上での資源開発(block12探鉱)に対する反応 トルコ キプロス統 前に資源開発を行うべきではない と警告 ・トルコ:キプロス統一前に資源開発を行うべきではない、と警告 ⇒北キプロスと合意を結び、キプロス北岸での探鉱を開始 ・北キプロス:島で開発される資源はキプロス全体のもの、と発言北キプ ス:島で開発される資源はキプ ス全体のもの、と発言 ・キプロス:北キプロスに対し、資源開発による利益の均等な分配を提案 ・アメリカ:キプロスを擁護(平和裏に解決を進める全ての提案に賛成) ③まとめ ・キプロスの提案:キプロス・北キプロス両者にメリット。一方で、トルコと の関係から 北キプロスは政治的には受け入れられないと思われる の関係から、北キプロスは政治的には受け入れられないと思われる。 ・本問題において、トルコの影響は大きい。 13