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期待に反して共和党によって ねじれ議会 が解消された場合には オバマ政権は自らの政策を推し進め難くなる 議会の主導権を共和党に掌握されるからである 現在の ねじれ議会 であれば 少なくとも上院においては 多数党を占める民主党が ある程度は政権の意向を代弁してくれる これが共和党議会となれば 議会の立

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「共和党勝利」で何が変わるのか

米中間選挙後のオバマ政権を考える

○ 米国の議会中間選挙では、共和党が上院で多数党を奪回し、上下両院を支配する可能性が指摘され ている。オバマ政権が自らの政策を推し進めるには、厳しい展開である ○ もっとも議会に限定すれば、「ねじれ議会」の解消で立法作業は進みやすくなる面がある。共和党 との妥協を受け入れるのであれば、オバマ政権が法律を成立させられる機会は増える可能性がある ○ 上院で多数党になったとしても、共和党の地位は安定的ではない。政策運営に対する責任をより明 確に負わされることで、共和党にも「反対一辺倒」の姿勢を改める圧力がかかろう

1.オバマ政権が望まない形での「ねじれ議会」の解消?

2014年11月4日に投票が行われる米国の議会中間選挙で、「ねじれ議会1」の解消がささやかれてい る。上院において、共和党による多数党奪回の可能性が現実味を帯びているからだ。米有力機関によ る現時点での予測によれば、下院では共和党の多数党維持が確実視されている。2006年に失った上院 多数党の座を共和党が奪回しさえすれば、「ねじれ議会」には終止符が打たれそうな状況である。そ の上院においては、共和党の議席増はもちろんのこと、多数党奪回に必要な6議席の上積みも不可能で はないとの見方が一般的である(図表1)。 “共和党による”「ねじれ議会」の解消となれ ば、“民主党による”「ねじれ議会」の解消を目 指してきたオバマ政権には、期待はずれの展開だ。 2010年の議会中間選挙で生まれた「ねじれ議会」 は、上下院の多数党を分け合う民主党・共和党の 厳しい党派対立によって、「決められない政治」 の元凶と目されてきた。だからこそオバマ政権は、 2014年の中間選挙で、民主党による上下両院の多 数党獲得を期待してきた。中間選挙が終わった後、 オバマ政権が任期が終わるまでの2年間で自らの 政策を推し進めるには、後押ししてくれる民主党 議会の存在が好都合だからである2 欧米調査部 部長 安井明彦 03-3591-1307 akihiko.yasui@mizuho-ri.co.jp

米 州

2014 年 6 月 3 日

みずほインサイト

図表 1 議会現有議席と戦況 0 50 100 下院(戦況) 下院(現有) 上院(戦況) 上院(現有) 民主党 共和党 拮抗 (%) (注)下院は Cook Political Report、Rosenberg Political

Report、University of Virginia の 3 機関、上院は FiveThirtyEight、New York Times を加えた 5 機関の 平均。2014 年 6 月 2 日確認時点での最新発表予測。 (資料)各社資料により作成。

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2 期待に反して共和党によって「ねじれ議会」が解消された場合には、オバマ政権は自らの政策を推 し進め難くなる。議会の主導権を共和党に掌握されるからである。現在の「ねじれ議会」であれば、 少なくとも上院においては、多数党を占める民主党が、ある程度は政権の意向を代弁してくれる。こ れが共和党議会となれば、議会の立法過程に政権の意向が反映される可能性は小さくなる。 とくに重要なのは、アジェンダを設定する力である。大統領に拒否権がある以上、共和党が上下両 院で多数党を握ったとしても、思うがままに法律を成立させられるわけではない。自らの意向だけで は政策を進められないという点では、共和党の状況は今と変わらない。 しかし世論への影響という点では、法律を成立させられるかどうかに関わらず、議会が「何を」論 戦の対象に選ぶかが重要な意味をもつ。現在の「ねじれ議会」であれば、上院のアジェンダは民主党 が設定できる。このためオバマ政権の提案は、少なくとも上院では議論の遡上に上る。共和党が下院 で政権に都合の悪い法案を通しても、上院では民主党が審議すらせずに門前払いにすることも可能だ。 共和党議会では、こうした環境が一変する。オバマ政権の提案は、議会での議論の機会すら与えら れずに葬り去られかねない。それどころか共和党は、議会の調査権限を活用して、オバマ政権のスキ ャンダルを次々に追及することすら可能になる。

2.議会運営は円滑に?

もっとも議会運営に限れば、共和党による「ねじれ議会」の解消によって、立法作業は円滑になる 面がある。オバマ政権が共和党との妥協を受け入れるのであれば、法律を成立させられる機会は増え る可能性がある。 「ねじれ議会」の最大の問題は、「生産性」の低さである。上下両院の意見の違いが埋められない ために、議会が可決する法律の本数は、過去最低の水準にまで落ち込んでいる。 米国における立法過程の「基本形」を、政策に対する両政党のスタンスを横軸にとって整理したの が図表2である。まず法案は上下院それぞれで審議され(①)、その内容が一本化された上で(②)、 大統領との調整に進む。最終的には、大統領と議会の意見が一致したところで(③)、法案は成立の 運びとなる。 図表 2 各党のスタンスと立法過程 上院 下院 民主党 共和党 大統領 3 3 民主党 共和党 「ねじれ議会」 「共和党議会」 1 1 1 1 2 2 議会 スタンスの違い スタンスの違い (資料)みずほ総合研究所作成。

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3 最終的な法律のスタンスという点では、「ねじれ議会」はオバマ政権にとって有利な組み合わせで ある筈だった。法案の審議は、上院では民主党、下院では共和党のスタンスで始まる(①)。最終的 に議会が可決する法案は両者の中間(②)となり、これが大統領と調整される過程で、さらに民主党 寄りにシフトすることが想定されていた(③)。 しかし実際には、こうした「基本形」のようには物事は進んでいない。民主党と共和党の意見の違 いが大きすぎるために、上下院のスタンスの違いがなかなか調整できない(②に至らない)からだ。 それどころか、そもそも上下院では設定されるアジェンダ自体が一致せず、両院で全く異なる題材の 法案を議論している場合すら少なくなかった。オバマ政権とすれば、議会が可決した法案を自らのス タンスに引き寄せる前に、そもそも交渉すべき法案が議会から上がってこないのが現実である。 共和党議会の下では、こうした状況が大きく変わる(前掲・図表2)。現状の「ねじれ議会」よりも、 多くの法案が大統領に届けられる可能性が指摘できよう。法案審議における上下院の出発点は同じで あり(①)、「ねじれ議会」よりも両者のスタンスの調整は格段に容易になる。そもそものアジェン ダ設定も、共通の軸で進め易くなるだろう。 このように考えると、「ねじれ議会」の解消によって、オバマ政権は現状よりも法律を成立させら れる機会が増える可能性がある。もちろん実際に法律を成立させるためには、オバマ政権が共和党と の妥協を受け入れることが条件になる。共和党議会においては、可決される法案のスタンスが現在よ りも共和党寄りになる。このため、政権が歩み寄らなければならない距離は長くなる。 前掲の図表2を使って説明しよう。共和党議会の下では、最終的に議会が可決する法案に共和党のス タンスが反映されやすくなる(②)。上院では一定の民主党議員の賛同を得る必要があるために3、民 主党寄りのスタンスへのある程度の修正は行われようが、二大政党が対等な立場でぶつかる「ねじれ 議会」と比べれば修正の度合いは小さい。結果的に、最後に行われる大統領と議会の調整では、「ね じれ議会」の場合よりも両者の中心点は共和党寄りになる(③)。

3.共和党にも妥協への圧力はかかる

見逃せないのは、「ねじれ議会」の解消が、共和党にもオバマ政権との妥協を受け入れる圧力にな り得ることだ。オバマ政権が妥協の必要性を認めたとしても、共和党に応じる意図がなければ法律は 成立しない。政権と議会の双方が歩み寄ってこそ、「決められない政治」打開への希望が生まれる。 共和党に妥協への圧力が働く理由は二つある。第一に、政策運営に対する「責任」をより明確に負 わされることである。「ねじれ議会」であれば、議会の「生産性」の低さに対する責めを、上院多数 党の民主党と分け合えた。しかし共和党が上下両院の多数党を獲得すれば、政策運営に対する責任は より明確になる。共和党には、「反対一辺倒」の姿勢を改める圧力がかかろう。 第二に、共和党による上院多数党の地位が、必ずしも安定的ではないことだ。上院共和党は、2014 年の議会中間選挙で多数党の座を奪回したとしても、これに続く2016年の議会選挙では苦戦を強いら れる可能性が高い。それだけに上院共和党には、2016年の選挙までに多数党獲得の「成果」を示す圧 力がかかりそうだ。

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4 2016年の上院選挙で共和党が苦戦を強いられる可能性が高い理由は、改選議席の組み合わせにある。 全ての議席が2年ごとに改選される下院と異なり、上院では2年ごとに総議席の3分の1ずつが改選され る。2014年の議会中間選挙で共和党に上院多数党奪回の可能性がある背景には、改選となる民主党の 議席の数が多いことに加え、民主党の地盤が弱い議席が改選に当たっている場合が少なくないという 事情がある。 2016年の上院選挙では、攻守が入れ替わる。図表3では、2014・16年に改選となる上院の議席が属す る州と、それぞれにおける2012年の大統領選挙の結果を示している。ここに示されているように、2016 年の上院選挙では共和党の改選議席数が民主党を大きく上回る。同時に、2016年に改選となる共和党 の議席では、2012年の大統領選挙で共和党候補(ロムニー前マサチューセッツ州知事)が苦戦した州 が少なくない。2014年の上院選挙において、民主党の改選議席に2012年の大統領選挙で民主党候補(オ バマ大統領)が苦戦した州が目立ったこととは対照的である。 もちろん、2014年の議会中間選挙の結果だけをもって、「決められない政治」が劇的に変わると期 待するのは行き過ぎだろう。米国議会の「生産性」の低下は、長期的な傾向である4。それでも、共和 党に支持の多いTPP等の通商案件やエネルギー開発、さらには、共和党でも問題意識が高まってい る移民制度改革など、これまで停滞してきた政策課題の中には、妥協の可能性がある分野が含まれて いる。オバマ政権としては、2014年の中間選挙が期待はずれの“共和党による”「ねじれ議会」の解 消となった場合でも、そこに一条の光を見出すことは可能かもしれない。 図表 3 上院改選議席と 2012 年大統領選挙の結果 <2014 年> <2016 年> ▲ 40▲ 20 0 20 40 60 ウェ ストバージニア アーカ ン ソー サウスダコタ ルイ ジアナ アラ スカ モン タナ ノースカ ロ ラ イ ナ バージニア コロ ラ ド ニューハン プ シャー アイ オワ ミネソタ ミシガン ニューメキシコ オレゴン イ リノイ ニュージャージー デラ ウェ ア マサチューセッツ ロ ードアイ ラ ン ド ハワイ 民主党優位→ (%pt) < 民主党改選> ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 メイ ン ジョ ージア サウスカ ロ ラ イ ナ サウスカ ロ ラ イ ナ ミシシッピ テキサス テネシー カ ン ザス ネブ ラ スカ アラ バマ ケン タッキー アイ ダホ オクラ ホマ オクラ ホマ ワイ オミン グ 共和党優位→ (%pt) < 共和党改選> ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 コロ ラ ド ネバダ オレゴン ワシン トン コネチカ ット カ リフォ ルニア メリーラ ン ド ニューヨーク バーモン ト ハワイ 民主党優位→ (%pt) < 民主党改選> ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 イ リノイ ウィスコン シン ニューハン プ シャー ペン シルバニア オハイ オ フロ リダ ノースカ ロ ラ イ ナ ジョ ージア アリゾ ナ ミズーリ イ ン ディアナ サウスカ ロ ラ イ ナ アラ スカ ルイ ジアナ サウスダコタ ノースダコタ カ ン サス アラ バマ ケン タッキー アーカ ン ソー アイ ダホ オクラ ホマ ユタ 共和党優位→ (%pt) < 共和党改選> (注)上院議席改選州における 2012 年大統領選挙の得票率の差(「議席現有政党候補の得票率」-「対立政党候補の得票率」)。 特別選挙等の影響で同じ州で 2 議席が改選となる場合は重複して表示。 (資料)ワシントンポスト資料等により作成。

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5 1 「ねじれ議会」は、上院と下院で多数党が異なる状況を指す。ちなみに、上院と下院の多数党が同一である場合には、 これと大統領の所属する政党が異なる状況を「分割政府」、同一である状況を「統一政府」と呼ぶことがある。2014 年の議会中間選挙の場合、大統領(オバマ)が民主党であるため、“共和党による”「ねじれ議会」の解消は「分割政 府」、“民主党による”「ねじれ議会」の解消は「統一政府」となる。 2 安井明彦、「2014 年の米中間選挙を俯瞰する」(みずほ総合研究所『みずほインサイト』2014 年 2 月 21 日) 3 2014 年の議会中間選挙で共和党が上院の多数党を獲得したとしても、民主党による議事進行妨害を阻止できる安定 多数(60 議席)には届かないと考えられるため。

4 Binder, Sarah(2014), Polarized We Govern?, The Brookings Institution, May

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