中高層住宅・オフィスにおける
家具類固定の促進について
東京いのちのポータルサイト副理事長 富士常葉大学特任研究員後藤洋三
平成21年5月15日 地震対策議員連盟総会用資料阪神・淡路大震災 (株)ローソン提供 東京いのちのポータルサイト
最近の地震による負傷者の3~
5割は
家具の転倒・落下が原因です。
緑色から内側が震度5強以上 中央防災会議資料 東京湾北部でM7.3発生の場合 首都直下地震では 首都圏全域が震度5 強以上の強震になり、 地上は震度5強でも 揺れが増幅される中 高層建物の上層階 は、震度6強程の烈 震になります。 つまり、首都圏全域 の中高層建物の中 で震度6強が発生し ます。
中高層階で家具転倒が激増しています。
大型家具の転倒 上層 中層 下層 2005年 福岡県西方沖地震 14~27階建て 地上:震度5強 家具の転倒24%
上層64%
中層42%
下層 負傷25%
17%
7%
1995年 阪神淡路大震災 地上:震度6弱 19~29階建て 文部科学省 大都市大震災軽減化特別プロジェクトより57%
24%
10%
東京都防災会議の報告では
56,000
163,000
4,500
M7.3 冬の朝5時 家具類によ る負傷者 全負傷者 死者 東京湾北部地震 風速6m/ s東京都内だけの数値です。
中高層建物の揺れの影響
は考慮されていません。
負傷者はもっと
多くなる可能性
があります。
首都圏では
400万人以上が中高層
住宅に住み、中高層オフィスで働い
ています。
そして、家具什器類に取り囲まれて
いるのが実態です。
首都直下地震が起きると膨大な数の
負傷者が発生する恐れがあります。
どうすれば被害を防げるのでしょうか?
しかし、
• 中高層住宅の壁は
石膏ボード張りです。
固定できるのでしょ
うか?
• 借家の場合はどう
するのでしょうか?
家具類を壁にしっかり固定できれば安心です。
外部 室内一般的な壁構造
軽量鉄骨 鉄 筋 コ ン クリート壁 石膏 ボード壁への確実な固定には
• 石膏ボード壁に下地
補強が必要です。
• 確実な固定には、コン
クリート壁に強く接着
するか、アンカーを打
つしか有りません。
• マンションでは管理組
合の了解が必要です。
• 借家は工事が不可です。
下地補強と
アンカー設置例
外部 室内 アンカー 下地補強 補強金物 コンクリート壁 石膏 ボードポールで天井につっかい棒をかけたり、
家具の下にストッパーを入れれば良いのでは?
• やらないよりベターです。しかし、天井は薄
い板張りか石膏ボードを吊った構造がほと
んどです。その場合は効き目がありません。
• 高層階では自重と同じくらいの地震力が作
用します。家具を壁にもたれ掛けても飛ん
できます。
一寸待ってください!
家具固定は自覚だけでは進みません。
中高層住宅供給大手企業へアンケート
現在造られているマンションはどうなっている
のでしょうか? 大手
6社から回答を得ました。
• 冷蔵庫固定のためのアンカー実施
0%
•
家具固定のための下地補強
1社・寝室のみ
• 客の要望で下地補強実施
6社平均 3%
回答したのは優良な大手(合計シェアー20%)
です。他の大部分は?
下地補強やアンカーを設置しない理由
6社は次のような理由を挙げています。
• 顧客からの要望がない。
• 固定設備に保障すべき強度の基準がない。
• 行政からの指導や規制がない。
• 顧客の家具は多様である。要望に沿ってオ
プションで対応すべきものと考えている。
• 安価な固定具が市販されている。
アンケートから見えてきたこと
• 大部分の中高層住宅には家具類固定のた
めの設備がありません。
• 規制や技術基準が整備されていません。
• 住民の自覚、地域の支援、行政の指導が必
要です。
• 東京都の家具固定実施率は26.8%(東京消
防庁
H15年調査)とされています。しかし、揺
れが大きくなる中高層住宅に必要な「確実な
固定」は出来ているのでしょうか?
冷蔵庫の固定について
(分かり易い例です)• 冷蔵庫は固定しないと凶器になります。
• 家電メーカーは背面に
取手
を付け、地震対
策として固定用のベルトを販売しています。
• ところが、一般のマンションでは、冷蔵庫の
置き場が決まっているにもかかわらず、その
壁にベルトを掛けるアンカーが有りません。
• 文明国日本でこんな変なことが・・・・!!
4月20日の決算行政監視委員会第4分科会に
おける安井議員の質問に対する国交省住宅局
のご答弁についての意見
答弁(1) 中高層共同住宅標準管理規約第17条は、 区分所有者が修繕等のため専有部分と併せて共有 部分に工事を行う場合は、総会の決議は不要で、 理事会の決議で承諾できる、としている。 -> この条項は空調機の配管取り付け、間仕切り 変更、ユニットバス取り替え等の工事を想定してお り、設計図、仕様書、行程表が必要とされている。 家具類固定のアンカー等の設置は軽微な工事であ る。より簡易な手続きで承諾できる規定を別に定め るべきである。答弁(2) 賃貸住宅の退去時の原状回復をめぐる費 用負担のトラブルを回避するため、判例等に沿っ たガイドラインを定め、判断基準を示しているが、 家具類固定設備について、今後トラブルが発生す るようであれば改訂していく。 ->現状のガイドラインで通常の損耗で賃料に含ま れるとされるのは、画鋲の穴、程度である。家具類 固定のためのねじ穴、釘穴は借家人による原状回 復の対象と解釈され、借家人は実質的に工事が出 来ない。
ご答弁についての意見(2)
国の機関にお願いしたいこと
1.国土交通省に 次の4項の実施をお願いします。 1)住宅性能表示制度の項目に固定設備の有無を追加 2)重要事項説明書の項目に固定設備の有無を追加 3)マンション標準管理規約に家具類固定設備の設置申 請と許可に関する項目を追加 4)賃貸住宅の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライ ン 」 に家具類の固定設備は原状回復の対象としない ことを明記 2.内閣府に より効果的な家具類転倒防止設備と方法 の技術開発の促進 をお願いします。国土交通省にお願いする事項の詳細
1)住宅の品質確保の促進等に関する法律の住宅性能表示制 度において 、現在の10分野32項目に対して第11分野として 『室内の地震時安全性』を追加し、「家具類固定のための設 備」、「間仕切り壁とガラス戸・窓の耐震性」、「玄関扉の耐震 性」の3項目を追加すること。 2)宅地建物取引業法に基づいて行われる重要事項説明にお ける設備関係の説明において、地震防災のための家具類固 定設備の有無を説明し重要事項説明書に記載されるよう指 導すること。3)国土交通省が提示しているマンション標準管理規約の第17 条 (専有部分の修繕等)第2項に、「区分所有者が家具類の 固定のための設備を共有部分(壁や天井の構造部)に定着 する場合は、理事長に定着位置と方法を記した書類で申請 し、理事長は、他の区分所有者に実質的な悪影響を与ない と判断された場合はこれを許可する」 と言う主旨の規定を加 える。 4)国土交通省 住宅局 住宅総合整備課マンション管理対策室 が提示している賃貸契約における「原状回復をめぐるトラブ ルとガイドライン」に、次の2項目を明示する。 • 家具類の移動・転倒防止のための設備の内、次の入居者が 利用可能な設備や釘やねじは撤去する必要はない。 • 家具類の移動・転倒防止のためにあけられたくぎ穴、ねじ穴 は通常の使用に伴う損耗とし、原状回復する必要はない。