(1)第Ⅳ章 地域別構想
地域別構想では、第Ⅱ章で示した都市構造の「暮らしゾーン」(東部地域、西部地域、南部地域、
北部地域)ごとに、幹線道路及び補助幹線道路の沿道地区、また、これらの沿道地区に囲まれた住
宅地区について、地区の現状、地区の目標、土地利用の方針、地区施設の方針を示します。
この地域別構想は、地区レベルにおける土地利用計画及び生活基盤施設の現状を示すとともに、
今後目指すべき土地利用及び地区施設の指針とすることを目的とします。しかし、この指針は直ち
に効力が発生するものではなく、地区計画に反映されることによって実現するものです。地区計画
は、住民の発意と合意及び一連の法手続きを経て決定される都市計画の制度です。
1.東部地域
~ゆとりのある暮らしゾーン~
地域の成り立ち
◆市街地・交通
大正 13 年に西鉄大牟田線(旧名称)が開通し、春日原駅前には野球場やラグビー場、
テニスコート、競馬場などが設けられ、たいへんにぎわいました。
昭和に入ると、戦時体制の下に軍需工場が設置されました。戦後にはその跡地を含む広
大な敷地を米軍基地が占めていましたが、返還後は航空自衛隊や春日公園、九州大学など
に利用されています。
また、軍需工場の設置を契機に戦前戦後を通じて春日原土地区画整理事業が施行され、
春日市では比較的早い時期から住宅地の形成が進みました。
平成元年にはJR春日駅が開設され、東部地域の交通利便性は一段と向上しました。
◆自然・景観
地域の南側には、牛頸川が流れ、地名の由来ともなった春日神社や春日の森などの照葉
樹林地があり、貴重な歴史・自然環境を形成しています。
(2)【沿道地区】
地区の
現状
● 福岡筑紫野線及び那珂川宇美線の沿道地区は、春日市において特に交通
量が多い4車線の幹線道路の沿道で、小売店や飲食店、カーディーラーや
ガソリンスタンドなどの自動車関連施設が多く立地しています。
このことから、幹線道路の沿道にふさわしい商業・業務の利便の増進を
図るとともに、後背の住宅地区の環境を保護するため、用途地域は準住居
地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m高度地区に
指定しています。
また、地区南端の一部の区域は、近隣商業地域(容積率 200%、建ぺい
率 80%)に指定していますが、あわせて春日ショッピングセンター地区地
区計画を指定し、健全で快適な街並み空間を創出するため、風俗営業やカ
ラオケボックスなどの用途を制限するとともに、壁面の位置の制限などを
定めています。
● 筒井小倉線及び現人橋乙金線の沿道地区は、2車線の補助幹線道路の沿
道で、小売店や飲食店、事務所などの商業・業務施設が多く立地していま
す。
このことから、主に後背の住宅地の環境を保護するため、用途地域は第
一種住居地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m高
度地区に指定しています。
特に、春日原北町交差点から千歳町三丁目交差点の区間は、近隣の住宅
地の住民に日用品の供給を行うための商業・業務の利便の増進を図るとと
もに、秩序ある街並みを誘導するため、用途地域は近隣商業地域(容積率
200%、建ぺい率 80%)、高度地区は絶対 20m高度地区に指定しています。
また、西鉄春日原駅周辺は、商業・業務の利便の増進を積極的に図るた
め、用途地域は商業地域(容積率 400%、建ぺい率 80%)に指定していま
す。
地区の
目標
● 幹線道路沿道の商業・業務の利便の増進を図るとともに、必要に応じて
後背の住宅地区の環境に配慮した土地利用を進めます。
● ゆとりのある沿道空間の形成を図ります。
土地利用の
方針
● 現行の土地利用計画を継続します。
● 幹線道路に面した壁面の位置の制限により、ゆとりのある歩行者空間を
確保するとともに、建築物や屋外広告物の色彩、形態の誘導により、秩序
ある街並みの形成を目指します。
(3)【住宅地区】
地区の
現状
● 春日原、春日原南町、千歳町、光町、宝町(東部)及び春日公園(東部)
の住宅地区は、西鉄春日原駅やJR春日駅などへのアクセスが便利な地区
で、主に春日原土地区画整理事業により市街地の整備が行われたことから
比較的生活基盤施設が整っており、戸建て住宅を主体とした住宅地が形成
されています。
しかし、交通利便な立地条件から、近年では分譲マンションなどの共同
住宅が進出しています。また、一部の地区においては、生活道路の拡幅が
必要な箇所が見受けられます。
この住宅地区の春日原においては、春日原東町3丁目と4丁目の一部の
区域で、地区住民の中で「住みよい街並みを後世に残そう」という気運が
高まり、住宅地としての環境を高度に維持増進するため、建築物の用途及
び形態を指定した建築協定が定められました。
● 春日公園(西部)の住宅地区は、春日御供田土地区画整理事業により道
路や公園などの生活基盤施設が整い、中高層住宅地と低層住宅地が区分さ
れた良好な住環境を形成している地区です。
この住宅地区においては、主に住宅地区の環境を保護するため、用途地
域は第一種住居地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種
20m高度地区に指定しています。
● 春日(東部)の住宅地区は、社池や春日の森特別緑地保全地区などの自
然、春日神社などの歴史的景観が残っており、戸建て住宅を主体とした低
層住宅地を形成しています。
このことから、住宅地区の環境を保護するとともに、低層住宅と中高層
住宅の共存を図るため、用途地域は、第二種中高層住居専用地域(容積率
150%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 15m高度地区に指定しています。
今後、区域内に残る田畑などの空地に中高層住宅が進出することが予測
されます。
また、全般的に道路幅員が狭く、特に交通量が多い春日神社前の道路は、
歩行者の安全の確保が必要となっています。
地区の
目標
● 現在の居住環境に配慮しながら、中高層建築物の適切な誘導を行います。
● ゆとりのある歩行者空間を創出します。
土地利用の
方針
● 現行の土地利用計画を継続します。
● 低層住宅が大半を占める区域については、住民の合意のもとに建築物の
高さなどの制限を新たに追加して強化します。
地区施設の
方針
● 住民の合意のもとに、主要な生活道路や狭い生活道路を拡幅します。
● 特に交通量が多い春日神社前の道路の歩道整備を進めます。
(4)(5)2.西部地域
~快適な暮らしゾーン~
地域の成り立ち
◆市街地・交通
主に、上白水や下白水の旧集落の住宅地と、土地区画整理事業や民間宅地開発で形成さ
れた新興住宅地で成り立っています。
上白水地区の一部では昭和 40 年代に耕地整理が行われ、比較的整った街区が形成され
ました。
平成2年にJR博多南駅が開設し、西部地域の交通利便性は一気に飛躍しました。また、
近年では都市計画道路の整備も進み、土地利用が活発化しています。特に、通勤・通学な
どの利便性の向上から中高層住宅の進出が目立っています。
◆自然・景観
寺田池をはじめかんがい用に築造された溜池や多くの遺跡が見られます。また、天神山
水城、大土居水城などの遺跡、白水八幡宮や大土居八幡宮などの神社はまとまった樹林地
を形成し、緑のランドマークにもなっています。
【沿道地区】
地区の
現状
● 長浜太宰府線及び那珂川宇美線の沿道地区は、4車線の幹線道路の沿道
で、小売店や飲食店、事務所などの商業・業務施設が多く立地しています。
このことから、幹線道路沿道の商業・業務の利便を図るとともに、後背
の住宅地区の環境を保護するため、用途地域は第二種住居地域(容積率
200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m高度地区に指定しています。
特に、大土居交差点付近は、近隣の住宅地の住民に日用品を供給するた
めの商業・業務の利便の増進を図るとともに、周辺の住宅地の環境を保護
するため、用途地域は近隣商業地域(容積率 200%、建ぺい率 80%)、高度
地区は第一種 20m高度地区に指定しています。
● 大土居下の原線及び白水線の沿道地区は、2車線の補助幹線道路の沿道
で、小売店や飲食店などが多く立地しています。
このことから、主に後背の住宅地区の環境を保護するため、用途地域は
第一種住居地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m
高度地区に指定しています。
特に、上白水池の下交差点付近は、近隣の住宅地の住民に日用品の供給
を行うための商業・業務の利便の増進を図るとともに、周辺の住宅地の環
境を保護するため、用途地域は近隣商業地域(容積率 200%、建ぺい率
80%)、高度地区は第一種 20m高度地区に指定しています。
また、ゆとりある街並みを形成し、併せて周辺住宅地の環境を保護する
ため、上白水近隣商業地区地区計画を指定し、補助幹線道路に面する壁面
の位置の制限やぱちんこ屋などの風俗施設の用途制限などを行っていま
(6)地区の
目標
● 幹線道路沿道の業務の利便の増進を図るとともに、後背の住宅地区の環
境を保護します。
● ゆとりのある沿道空間の形成を図ります。
土地利用の
方針
● 現行の土地利用計画を継続します。
● 幹線道路に面した壁面の位置の制限により、ゆとりのある歩行者空間を
確保するとともに、屋外広告物や建築物の色彩、形態の誘導により、秩序
ある街並みの形成を目指します。
【住宅地区】
地区の
現状
● 泉の住宅地区は、計画的な宅地開発が行われ、戸建て住宅を主体とした
良好な低層住宅地を形成しています。
この低層・低密度の良好な居住環境を保護するため、用途地域は第一種
低層住居専用地域(容積率 80%、建ぺい率 50%、高さの限度 10m、外壁
の後退距離の限度1m、敷地面積の最低限度 165 ㎡)に指定しています。
● 下白水北、下白水南、上白水(東部)、昇町(西部)、白水ヶ丘(西部)、
天神山(北部)の住宅地区は、戸建て住宅を主体とした住宅地を形成して
います。
このことから、住宅地区の環境を保護するとともに、低層住宅と中高層
住宅の共存を図るため、用途地域は第一種中高層住居専用地域(容積率
150%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 15m高度地区に指定しています。
また、新幹線軌道に隣接した上白水(西部)の住宅地区は、用途地域は
第一種住居地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m
高度地区に指定しています。
なお、これらの地区においては、JR博多南駅に近く、鉄道利用が便利
なことから、今後も、農地などの空地を利用して、中高層住宅の建設が予
測されます。
地区の
目標
● 第一種低層住居専用地域の区域については、将来に渡って良好な居住環
境を保護します。
● 第一種中高層住居専用地域及び第一種住居地域の区域については、現在
の居住環境に配慮しながら中高層建築物の適切な誘導を行います。
● ゆとりのある歩行者空間を創出します。
土地利用の
方針
● 現行の土地利用計画を継続します。
● 低層住宅が大半を占める区域については、住民の合意のもとに建築物の
高さなどの制限を新たに追加して強化します。
地区施設の
方針
● 住民の合意のもとに、主要な生活道路や狭い生活道路を拡幅します。
(7)(8)3.南部地域
~潤いのある暮らしゾーン~
地域の成り立ち
◆市街地・交通
昭和 40 年頃までは、一面が山林と農地でしたが、それ以降に土地区画整理事業や民間
宅地開発により良好な低層住宅地が形成され、都市施設や生活基盤施設が整っています。
丘陵地を開発しているため、高低差のある変化に富んだ街並みとなっています。
◆自然・景観
市街化調整区域内のゴルフ場や樹林地、牛頸川や溜池など比較的自然が残った地域で
す。特に、白水池や春日貯水池、大牟田池など、周辺に樹林地を残した規模の大きな溜池
があります。
【沿道地区】
地区の
現状
● 長浜太宰府線の沿道地区は、4車線の幹線道路の沿道で、小売店や飲食
店、事務所などの商業・業務施設が多く立地しています。
このことから、幹線道路沿道の商業・業務の利便を図るとともに、後背
の住宅地区の環境を保護するため、用途地域は第二種住居地域(容積率
200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m高度地区に指定しています。
● 光町大土居線、現人橋乙金線及び上居屋敷平野線の沿道地区は、2車線
の補助幹線道路の沿道で、小売店や飲食店などが多く立地しています。ま
た、後背には良好な低層住宅地が形成されています。
このことから、主に後背の住宅地区の環境を保護するため、用途地域は
第一種住居地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m
高度地区に指定しています。
特に、現人橋乙金線沿道の惣利、春日地区においては、既に形成されて
いる低層住宅地の居住環境を保護するため、惣利・春日沿道地区地区計画
を指定し、建築物の用途、容積率、建ぺい率、高さ、壁面の位置などの制
限を強化しています。
地区の
目標
● 幹線道路沿道の業務の利便の増進を図るとともに、後背の住宅地区の環
境を保護します。
● ゆとりのある沿道空間の形成を図ります。
土地利用の
方針
● 現行の土地利用計画を継続します。
● 幹線道路に面した壁面の位置の制限により、ゆとりのある歩行者空間を
確保するとともに、屋外広告物や建築物の色彩、形態の誘導により、秩序
ある街並みの形成を目指します。
(9)【住宅地区】
地区の
現状
● 若葉台東、ちくし台、紅葉ヶ丘東、春日(西部)、平田台、惣利、塚原台、
松ヶ丘、大土居、天神山(南部)、白水ヶ丘(東部)、白水池の住宅地区は、
土地区画整理事業などの計画的な開発が行われ、戸建て住宅を主体とする
良好な低層住宅地を形成しています。また、溜池やその周辺の樹林地など
水と緑の良好な自然環境を残している地区です。
この良好な低層住宅地の環境を保護するため、用途地域は第一種低層住
居専用地域(容積率 80%、建ぺい率 50%、高さの限度 10m、外壁の後退
距離の限度1m、敷地面積の最低限度 165 ㎡)に指定しています。
特に、平田台地区においては、自然環境が豊かなゆとりある市街地の形
成を図るため、平田台地区地区計画を指定し、建築物の用途、容積率、建
ぺい率、高さ、かき又はさくの構造などの制限を強化しています。
さらに、紅葉ヶ丘東地区の一部の区域においては、緑地協定が締結され、
良好な居住環境の維持・保全に住民自らが努めています。
● 大谷、紅葉ヶ丘西、若葉台西、昇町(東部)、昇町(南部)、小倉東、宝
町(西部)の住宅地区は、春日市のほぼ中心に位置し、戸建て住宅を主体
とする良好な住宅地が形成されています。
この良好な住宅地区の環境を保護するとともに、低層住宅と中高層住宅
の共存を図るため、用途地域は第一種中高層住居専用地域または第二種中
高層住居専用地域(容積率 150%、建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 15
m高度地区に指定しています。
特に、紅葉ヶ丘西地区においては、既に戸建て住宅を主体とした良好な
低層住宅地を形成しており、将来に渡って良好な環境を維持・保全するた
め、紅葉ヶ丘西地区地区計画を指定し、建築物の用途や高さの制限を強化
しています。
地区の
目標
● 現在の良好な居住環境を将来にわたって維持・保全します。
● 緑豊かな街並みの形成を図ります。
土地利用の
方針
● 現行の土地利用計画を継続します。
● 第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域の区域で、低
層住宅が大半を占める地区については、住民の合意のもとに建築物の高さ
などの制限を新たに追加して強化します。
● さらに広範囲にわたって緑地協定を推進します。
地区施設の
方針
● 住民の合意のもとに、主要な生活道路や狭い生活道路を拡幅します。
(10)【市街化調整区域(地区計画区域内)
】
地区の
現状
● 地区を区分している南部白水地区地区計画の区域内は、商業施設、住宅な
どの均衡あるまちづくりを目指し開発事業を進めている地区、ゴルフ場が営
まれている地区及び樹林地などを有している東浦・西浦地区があります。
● 商業施設、住宅などの均衡あるまちづくりを目指して開発事業を進めてい
る地区は、地区計画に即した開発行為の施行により、道路や公園、調整池と
いった公共施設が計画的に整備され、商業施設や低層住宅などによる新たな
街並みの形成が進行しています。
● 樹林地などを有している東浦・西浦地区は、長年にわたる廃棄物や建設残
土などにより貴重な山林が損なわれており、現在、廃棄物処理などの環境改
善が進められているところです。しかし、この地区には未だに、不法に投棄
された廃棄物や建設残土などが残っているため、その対策を講じていく必要
があります。
地区の
目標
● 商業施設、住宅などの均衡あるまちづくりを目指し、地区計画に沿って開
発事業を進めている地区内において、主に商業施設などの立地を図る地区
は、周辺の環境に配慮しつつ、近隣住民はもとより広域的な地域住民の利便
性をも考慮した、にぎわいと快適なまちづくりを目指します。
また、主に低層住宅地の形成を図る地区は、良好な居住環境を将来にわた
って維持・保全していきます。さらに、各地区内ともゆとりのある沿道空間
を形成しつつ、緑豊かな街並みの形成を図ります。
● 南部白水地区地区計画の区域内で、ゴルフ場が営まれている地区及び樹林
地などを有している東浦・西浦地区については、その緑の保全及び回復を目
指します。
土地利用の
方針
● 南部白水地区地区計画の区域内で開発事業が進んでいる地区については、
市街化区域に編入することを目指すとともに、適切な用途地域を指定しま
す。
● 商業施設、住宅などの均衡ある土地利用を図るため、現行の地区計画を継
続します。また、地区計画により、建築物の壁面の位置や形態、意匠のほか、
屋外広告物などを制限することで、秩序ある街並みの形成を目指します。
● 地区計画により、荒廃地における廃棄物処理などの環境改善及びゴルフ場
への転用を図るとともに、区域内に残された樹林地などの保全を図ります。
(11)【市街化調整区域(地区計画区域外/東浦・西浦地区)
】
地区の
現状
● 南部白水地区地区計画の区域外にある東浦・西浦地区の一部の区域におい
て、廃棄物や建設残土などの不法投棄により、貴重な山林が損なわれており、
景観や環境の面での悪影響が懸念されます。
地区の
目標
● 残された樹林地の保全と緑の回復を目指します。
土地利用の
方針
● 地区計画を指定していくことも検討しながら、不法投棄の抑止や環境改善
などを行うことで、南部白水地区地区計画に掲げる目標に合わせて、樹林地
などの保全を図ります。
地区施設の
方針
● 市街化調整区域においては、地区計画による地区施設を設置します。
規模の大きな溜池
(12)(13)4.北部地域
~安全な暮らしゾーン~
地域の成り立ち
◆市街地・交通
昭和の戦時体制のもとに、地域の東部には軍需工場が設置され、これに伴い県道福岡筑
紫野線(当時は都市計画道路5号線と呼ばれていました。)が通りました。現在では軍需
工場の一部が陸上自衛隊に利用されています。
西鉄井尻駅やJR南福岡駅などの鉄道駅に近く、早くから住宅地が形成されました。近
年では、中高層住宅の進出が目立っています。
幹線道路の整備が遅れています。また、開発許可制度が整う以前の早い時期から小規模
な宅地開発が進行したため全般的に道路が狭く、比較的密集した市街地となっています。
◆自然・景観
中央部の丘陵地は、弥生時代の遺跡の宝庫となっています。その代表的な須玖岡本遺跡
の一部は、奴国の丘歴史公園として整備されています。
【沿道地区】
地区の
現状
● 福岡筑紫野線及び那珂川宇美線(宝町交差点以東)の沿道地区は、4車
線の幹線道路の沿道で、小売店や飲食店、カーディーラーやガソリンスタ
ンドなどの自動車関連施設、ぱちんこ屋などの風俗施設が多く立地してい
ます。
このことから、幹線道路沿道の業務の利便を図るとともに秩序ある街並
みを形成するため、用途地域は準工業地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)、
高度地区は絶対 20m高度地区に指定しています。
● 福岡外環状線、那珂川宇美線(宝町交差点以西)及び長浜太宰府線の沿
道地区は、4車線の幹線道路の沿道で、那珂川宇美線沿道地区には小売店
や飲食店が多く立地しています。また、井尻粕屋線及び長浜太宰府線は現
状では未整備ですが、整備とあわせて幹線道路の沿道にふさわしい土地利
用を誘導していく必要があります。
このことから、幹線道路沿道の業務の利便を図るとともに、後背の住宅
地区の環境を保護するため、用途地域は第二種住居地域(容積率 200%、
建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 20m高度地区に指定しています。
地区の
目標
● 福岡筑紫野線及び那珂川宇美線(宝町交差点以東)の沿道地区において
は、幹線道路沿道の業務の利便を図るとともに、環境の悪化をもたらす恐
れのない工業の利便の増進を図ります。
● 福岡外環状線、那珂川宇美線(宝町交差点以西)及び長浜太宰府線の沿
道地区においては、幹線道路沿道の商業・業務の利便を図るとともに、後
背の住宅地区の環境を保護します。
● ゆとりのある沿道空間の形成を図ります。
(14)【住宅地区】
地区の
現状
● 桜ヶ丘、日の出町、大和町及びサン・ビオの住宅地区は、福岡市に隣接
し、また西鉄井尻駅、JR南福岡駅及びJR笹原駅に近く鉄道利用が便利
なことから、中高層住宅の建設が進み、低層住宅と中高層住宅が混在した
土地利用となっています。
用途地域は居住環境を害さない範囲での工場立地を図る観点から準工業
地域(容積率 200%、建ぺい率 60%)に指定していますが、近年、工業的
土地利用から住宅的土地利用への転換が進んでいます。このことから、住
宅地区の環境を保護するため、高度地区は第一種 20m高度地区を指定して
います。
これらの地区は、狭い生活道路が多く見受けられ、交通や防災面での課
題が残っています。特に、各種用途の建築物が混在する状況において、良
好な居住環境を保持していくため、桜ヶ丘地区では地区計画を指定し、建
築物の用途や高さ、壁面の位置の制限を強化しています。
● 須玖北、須玖南、岡本、小倉、弥生、昇町(北部)の住宅地区は、戸建
て住宅を主体とする住宅地区ですが、福岡市に近く交通利便性が良いこと
から、近年中高層住宅の立地が進んでいます。
このことから、住宅地の環境を保護するとともに、低層住宅と中高層住
宅の共存を図るため、用途地域は第二種中高層住居専用地域(容積率 150%、
建ぺい率 60%)、高度地区は第一種 15m高度地区に指定しています。
また、須玖交差点付近は、近隣の住宅地の住民に日用品の供給を行うた
めの商業・業務の利便の増進を図るため、用途地域は近隣商業地域(容積
率 200%、建ぺい率 80%)、高度地区は第一種 20m高度地区に指定してい
ます。
さらに、これらの地区は、弥生時代の遺跡が豊富で、特にその中心的な
地区である岡本には奴国の丘歴史公園(歴史資料館)が整備されています。
このため、歴史的イメージにふさわしい土地利用を進める必要があります。
なお、狭い生活道路が多く見受けられ、交通や災害時の安全面での課題
が残っています。
地区の
目標
● 準工業地域の区域については、工場、低層住宅、中高層住宅が共存でき
る土地利用を推進します。
● 第二種中高層住居専用地域の区域については、現在の居住環境に配慮し
ながら中高層建築物の適切な誘導を行います。
● 歴史的イメージにふさわしい土地利用や建築物の誘導を行います。
● 安全な歩行者空間を創出します。
土地利用の
方針
● 住民の合意のもとに、風俗施設や一定規模以上の工場などについて用途
の制限を強化します。
● 低層住宅が大半を占めている地区については、建築物の高さなどの制限
を強化します。
● 歴史的イメージにふさわしい土地利用を推進するとともに、建築物の形
態・色彩を誘導します。
(15)(16)