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ダイオードの使い方(1)

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2012

CDTLab

回路設計ノウハウノート

file: ダイオードの使い方 1

[

ダイオードの使い方(

1)

]

小信号ダイオードや汎用ダイオードの使い方に関しての、ノウハウをまとめていま す。

電子回路設計

技術

回路理論

シミュレーション

回路設計

試作実験

検証

完成

(2)

目次 1.小信号・汎用ダイオードの使い方 1.1.1 ダイオードによるIC入力への過電圧保護 1.1.2 電源電圧が異なる IC を使うときの、ダイオードによる過電圧保護 1.1.3 ダイオードによる IC 出力側でのサージ電圧保護 1.2 OPアンプの入力保護 1.2.1 ダイオードによる非反転入力 OP アンプ回路の入力保護 1.2.2 ダイオードによる反転入力 OP アンプ回路の入力保護 1.2.3 接合型 FET による OP アンプの入力保護 1.3 ダイオードによる誘導性負荷回路の半導体保護 1.3.1 ダイオードによるリレー制御回路のトランジスタ保護 1.3.2 ダイオードによる直流モータの制御回路の保護 1.4 ダイオードによるバイアス回路 1.4.1 ダイオードによるトランジスタ増幅回路のバイアス回路 1.4.2 ダイオードによる SEPP 回路のバイアス回路 1.4.3 トランジスタのダイオード接続の活用 1.5 ダイオードと三端子レギュレータの活用 1.5.1 三端子レギュレータ IC の保護 1.6 リミッタ回路(振幅制限回路) 1.6.1 抵抗とダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) 1.6.3 OP アンプとダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) 1.7 OP アンプとダイオードによる理想ダイオード回路 1.8 OP アンプとダイオードによる絶対値回路 1.9 発振回路の振幅制限 2.ツエナー・ダイオードの使い方 2.1 ツエナー・ダイオードによる簡単な定電圧回路 2.2 トランジスタ+ツエナー・ダイオードによる簡易定電圧回路(無帰還型) 2.3 トランジスタ+ツエナー・ダイオードによる負帰還型定電圧回路 2.4 OP アンプ+ツエナー・ダイオードによるフィードバック型定電圧回路 2.5 リミッタ回路に使う

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2.5.1 抵抗とツエナー・ダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) 2.5.2 OP アンプ回路でのツエナー・ダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) 2.6 保護回路への使用 3. 定電流ダイオードの使い方 3.1 定電流ダイオードの基本的使い方 3.2 定電流を大きくする 4. 発光ダイオード(LED)の使い方 4.1 抵抗によるLEDの駆動回路 4.2 逆耐圧の保護 4.3 LEDの駆動回路 4.4 複数接続での点灯 4.5 スイッチング・レギュレータICによる定電流駆動 5. 高周波用ダイオードの使い方 5.1 PIN ダイオードとは 5.2 PINダイオードによるスイッチ回路 5.3 PINダイオードによるアッテネータ回路 5.4 可変容量ダイオードの使い方 5.4.1 基本的な使い方 5.4.2 可変容量ダイオードによる並列共振回路への応用 5.4.3 周波数可変 LC 発振回路への応用 5.4.4 周波数可変水晶発振回路への応用 5.5 ショットキー・バリヤ・ダイオードによる検波回路 5.6 ショットキー・バリヤ・ダイオードによるミキサ回路

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1.小信号・汎用ダイオードの使い方 1.1.1 ダイオードによるIC入力への過電圧保護 過大入力信号や静電気のサージ電圧などでIC の入力ラインや IC の破壊や誤動 作を防ぐために、小信号用のダイオードを図のように電流制限用の抵抗R1 と一緒 に用いることがあります。 この回路では、入力に過大 入力電圧が入った場合、抵抗 R1 から、ダイオード D1 また は D2 を流れ、電源ラインま たはグランド・ラインに電流 が流れIC 内部を保護します。 したがって抵抗 R1 は、考え られる過大信号に対して D1 またはD2 に流れる電流が D1 及び D2 の最大電流を超えないように選びます。 もちろんIC 自体(点線の内部の R2,D3,D4 の保護用の抵抗やダイオードが入っ ている場合も多いのですが、IC 内部の抵抗やダイオードは電流容量が大きくあり ません。そこに過大な入力電圧・電流が流れると正常な動作をしなくなります。 極端な場合は、IC 自体が破壊することもあります。 またD3,D4 は基本的に順電圧約 0.6~0.7V のダイオードであるので、外部の保 護用としてのD1,D2 は順電圧が小さいものや、接合容量の小さな高周波用ショッ トキー・ダイオードがベターです。 ここで、抵抗R1 は、大きければ大きいほど IC の保護効果は大きくなりますが、 D1,D2 の接合容量、更に IC の入力容量と RC フィルター回路を構成するので、高 域周波数特性に影響が出ない範囲にする必要があります。またIC の入力抵抗が小 さい場合、入力信号が分圧され、必要な入力信号レベルが得られないことにもな るので注意が必要です。 ここでのIC はアナログ用の IC の他、CMOS ロジック用 IC などのディジタル 用IC でも同じ入力電圧や入力信号の過電圧、また静電気によるサージ電圧による 静電破壊も防ぐ効果が期待できます。

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1.1.2 電源電圧が異なる IC を使うときの、ダイオードによる過電圧保護

下図のように、IC1 の電源は±15V、IC2 の電源が+5V などの場合、IC2 の入力 電圧が過大になる場合がある。抵抗R1 がある程度大きい場合、D1、D2 がなくて もIC2 を破壊することはないが、動作が正常ではなくなる。 このような場合は、 IC2 に AD コンバータ 用IC や CPU の AD 入 力の場合がある。 そこで、IC2 の入力 電圧が 0~+5.0V の範 囲を超えないように、 D1 及び D2 を入れる必要がある。 この場合も、D1,D2 にはショットキー・ダイオードなど順電圧が 0.6V 以下のダ イオードを使用する。 また抵抗R1 は、IC2 側の入力条件を満足している必要がある。特に AD コンバ ータなどでは、入力インピーダンスの制限がある場合が普通なので、注意が必要 です。上のシミュレーション回路では、次段のIC の入力容量が 100pF と仮定し たシミュレションであり、抵抗R1 が大きいと波形が歪むことが分かる。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション事例集2(Diode limiter.sxsch) を参照。 D1-anode 5 V2 1S1886 D1 V1 1K R1 1S1886 D2 V1-pos C1 100p

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1.1.3 ダイオードによる IC 出力側でのサージ電圧保護 IC の信号ラインの過電圧対策には、出力側の保護が必要な場合がある。 IC の出力ライン側から、静電気のサ ージ電圧が入り込み IC を破壊するこ とがある。 この場合も、図のような抵抗R1 及び D1D2 により、サージ電流を GND や電 源ラインに流してやる。 また抵抗R1 は、一般的に過負荷に対する保護として入れることが一般的である が、次段のインピーダンスや周波数特性を考慮にして決定する。 1.2 OPアンプの入力保護 1.2.1 ダイオードによる非反転入力 OP アンプ回路の入力保護 非反転動作では、一般の IC の入力保護と同様に、 抵抗R1、及びダイオード D1,D2 により過度的な電流 を+電源ラインや-電源ラインに流す方法が効果的で ある。 この場合、ダイオードD1、D2 の接合容量及び、IC の入力容量と抵抗R1 の時定数が、高域周波数特性に 影響を与えないようなD1,D2 及び抵抗 R1 の値を選択 する必要がある。 また、高入力インピーダンスのOP アンプを使用する場合、ダイオード D1,D2 は、接合容量が小さく、逆電流が小さいものを選択する必要がある。 1.2.2 ダイオードによる反転入力 OP アンプ回路の入力保護 OP アンプによっては、図のように IN+入力と IN-入力の間に保護用ダイオー ド(D3,D4)が入っているものがある。 また、反転増幅回路の場合、IN+と IN-の電位差はゼロとなるように負帰 還がかかるので、通常の入力電圧の場 合は問題がない。しかし、瞬時的に D3 及び D4 の耐電流を超えるような ことがある場合や、コンパレータ的な 動作をさせる場合は、図のように抵抗 R1 及びダイオード D1.D2 による、入力保護回路が有効となる。 IN 15V IC1 R1 D1 D2 -15V R2 R3

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1.2.3 接合型 FET による OP アンプの入力保護 OP アンプの高入力インピーダンス回路において、 1.2.1 のようにダイオードで入力保護回路を構成す る場合、逆電流が少ないものが必要となる。接合容 量が少ない、高速スイッチング用ダイオードでは、 逆電流が少ないものが少ない。 そこで、接合型FET を図のようにソースとドレイ ンを接続したものは、逆電流が少ないダイオードと みなすことができる。一般的な 2SK30A などでは、 この接続の逆電流は温度により変化するが、常温では十数pA~100pA 程度であ る。 1.3 ダイオードによる誘導性負荷回路の半導体保護 1.3.1 ダイオードによるリレー制御回路のトランジスタ保護 誘導負荷であるリレーをド ライブする場合、図(a)はリレ ーRL が ON し、リレーコイル に電流が流れている状態とな る。ここで、トランジスタQ1 がOFF の状態になると、コイ ルに蓄積されたエネルギーにより、サージ電流が発生する。 D1 がない状態では、このサージ電流の行き先がなく、大きなサージ電圧となり、 Q1 の耐電圧を超え Q1 破壊する場合がある。 図(b)のように D1 がある時、サージ電流は、D1 とのループに消費され、サージ 電圧はD1 の順方向電圧にクランプされ、Q1 が保護される。 図(c)はシミュレーション回路図で、Q1 はダイオードが無い場合、Q2 はダイオ ードがある場合をシミュレーションする。 IN 15V IC1 R1 R2 R3 -15V Q2 Q1 図(c)シミュレーション回路 file: elay_SW_D.sxsch Q1-collector 100 R1 5 V2 V1 Q1 Q2N2222 10m L1 10k R2 10k R4 10m L2 Q2 Q2N2222 V4 5 V3 100 R3 Q1-collector D1N4148 D2

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図(d)の上側はダイオードが無い場合、下 側はダイオードがある場合で、サージ電圧が 抑えられていることがわかる。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレ ーション事例集 2(Relay_SW_D.sxsch)を参 照。 1.3.2 ダイオードによる直流モータの制御回路の保護 下図は直流モーターM の正逆転を制御する回路で、(a)はトランジスタ,(b)は MOS FET の場合の回路で、構成から H ブリッジ回路と言われている。 これは、Q1 と Q4 が同時に ON とな り、Q2 と Q3 が同 時にOFF の時、電 流はA→B の方向に 電流が流れる。 また、ここで、Q2 と Q3 が同時に ON となり、Q1 と Q4 が同時に OFF の時、 電流はB→A の方向に電流が流れることにより、モーターM の正転と逆転を制御 できる。また、Q1,Q2,Q3,Q4 が同時に OFF にはなるが、同時に ON となること は電源がグランドと短絡することになるのであり得ない。 ここで、Q1 と Q4 が同時に ON となり、Q2 と Q3 が同時に OFF の時、電流は A→B の方向に電流が流れているとき、電流を向きを反転するために Q1 と Q4 が OFF になった瞬間、いままで A→B 流れていた電流のエネルギーは、流れるとこ ろを失い大きなサージ電圧となり、トランジスタを破壊することがある。 これを防ぐために、D1,D2,D3,D4 のダイオードが付加している。前記の A→B に電流が流れていた場合、Q1,Q2,Q3,Q4 がすべて OFF になった時、モータに蓄 えられたエネルギーは、「グランド→D2→A→B→D3→電源」の方向に電流が流れ 消費される。逆方向の場合も、同様に電流が流れ、トランジスタが保護される。 更に、MOS FET の場合、その構造上寄生的にダイオードができ、ダイオード D1,D2,D3,D4 として使用できる。

(a)トランジスタ・ドライブ回路 (b)MOS FETドライブ回路

VCC MOTER Q3 Q4 Q2 Q1 VCC MOTER D1 Q1 Q2 Q3 Q4 D2 D3 D4 D1 D2 D3 D4 A B A B 図(d)

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1.4 ダイオードによるバイアス回路 1.4.1 ダイオードによるトランジスタ増幅回路のバイアス回路 図(a)で、Q1 は、 抵 抗 に よ るバ イ ア ス回路、Q2 はダイ オードD1 を使用し た バ イ ア ス回 路 で ある。 図(b)の上側は、抵抗バイアス回路 の場合、下側はダイオードD1 による バイアス回路の場合で、温度パラメー タを-20℃、+20℃、+60℃と変化し た場合のシミュレーションである。 図(b)下図のように、ダイオード D1 によるバイアス回路は、Q2 のベー ス・エミッタ間の温度変化と、ダイオ ード D1 の温度変化が打ち消しあい、 温度変化の影響が少なくなることが わかる。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション事例集2(Diode-Vias.sxsch)を参照。 1.4.2 ダイオードによる SEPP 回路のバイアス回路 図(a)はトランジスタによ る SEPP 回路で、Q1 及び Q2 にベース・バイアス回路 が無い回路。図(b)は SEPP 回路のバイアス回路にダイ オードD1,D2 を用いた例で ある。 200 R9 200 R8 Q1-collector C2 10u D1N4148 D1 5k R5 5k R3 0 Sine(0 200m 1k 0 0) V2 7k R2 Q2 Q2N2222 Q1 Q2N2222 100k R1 15 V1 5k R4 C1 10u Q2-collector 50k R6 200 R7 図(a) 図(b) 図(a) ダイオード・バイアス無 図(b)ダイオード・バイアス有 1K R4 10k R2 1K R1 D1N4148 D2 Q1-emitter 5 Sine(0 1 1k 0 0) V1 Q1 Q2N2222 Q2 Q2N2904 12 V2 12 V3 Q4 Q2N2904 Q3 Q2N2222 D1N4148 D1 Q3-emitter 10k R3

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図(c)のように、プローブ Q1-emitter の出力波形は、 大きく歪んでいる。これは、トランジスタQ1 及び Q2 にベース・バイアス電圧が無いためである。 またプローブQ3-emitter の出力波形は、歪のない出 力となっている。これは、ダイオード D1 及び D2 の 順方向電圧により、トランジスタQ3 及び Q4 にベー ス・バイアスがかかり、B 級動作をしていることによ る。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回路事例集2(Diode_vias_SEPP.sxsch )を 参照。 図(c)は、OP アンプを使用し て、SEPP2 段回路をドライブ したヘッドホーン用アンプの 事例である。ダイオードD1~ D4 と抵抗 R7、R8 で最終段の トランジスタ Q3、Q4 のバイ アス回路を構成している。 ⇒参考:OP アンプによるヘッドホーンアンプの製作事例 1.4.3 トランジスタのダイオード接続の活用 図(b)は、Q2 のベース・エミッタ間を pn 接合ダイオ ードとして使用できることを示している。図(a)はこの 応用として、定電流回路に使用した例で、カレント・ ミラー回路と言われている。 このメリットは、Q1 と Q2 を同じトランジスタを使用 することで、VBE特性がそろったダイオードとして、使用できること、及びQ1 と Q2 を熱 結合することで、温度特性の変化を受けにくい定電流回路が構成できることがある。この ため、この回路はアナログの集積回路では多く使用されている。 ⇒詳細は、「電子回路設計基礎講座 電子回路(2)-5 の 2.5.5 カレントミラー回路」を参照 (a) (b) Q2 Q1 +V R1 D Q CCIN IC1 IC2 CC C5 1u C2 47K R5 10K R4 220 R11 240 R12 2SA1358Y Q4 2SC1815GR Q1 2SA1015GRQ2 1K R10 100 R8 100 R7 4.7K R9 5pF C3 2SC3421Y Q3 10 R13 10 R14 1N4148 D1 1N4148 D2 1N4148 D3 1N4148 D4 3 2 1 TL072 U1 Input 4.7K R6 +Vcc -Vee Output 100K R3 (c) 図(c)

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1.5 ダイオードと三端子レギュレータの活用 1.5.1 三端子レギュレータ IC の保護 下図は、三端子レギュレータIC で定電圧回路を構成した回路で、一般的にリップルを小 さくするためや、IC の発振を防ぐために、入出力にコンデンサが付けられる。ここで出力 側に容量な大きなコンデンサC2 がある場合、入力側の電圧がゼロになると、IC には通常 の動作と逆の電圧(入力電圧より出力側が高電圧)がかかり、IC が破壊することがある。 これを防ぐためにダイオードD1 を付加し、コンデンサ C2 に溜まった電荷を入力側に流すことで、IC を保護するもので ある。 1.6 リミッタ回路(振幅制限回路) 1.6.1 抵抗とダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) ダイオードの順方向電圧を利用してのリミッタ 回路としては、過大入力保護などでよく使用される。 図(a)は約 0.6V で信号の制限がかかり、図(b)の場合 は、約±0.6V で信号のリミッタがかかる。 図(c)は 100Hz 正弦波信号を加えた時のシミュレーション結果である。図(a)の場合(図(c) の上側)、図(b)の場合(図(c)の下側) ただし、ダイオードの順方向電圧は、温度により変化するんで、注意が必要である。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回路事例集2(Diode_Limit.sxsch)を参照。 (c) D1 IN 1 OUT 3 GND 2 U1 C1 C2 IN OUT (a) (b) R D AC_V R D D AC_V

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1.6.3 OP アンプとダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) 左図は、前段に OP アンプによる増 幅器を設置しリミッタ回路のバッファ としたものである。 図(a)は、1.6.2 の抵抗とダイオードに よるリミッタと同じであり、図(c)の下 側のように、マイナス側の信号がダイ オードの順電圧でリミッタされている。 図(b)は、ダイオード D2 により、順電圧分上側にレ ベルシフトしたもので、プラス側の信号のみが出力さ れている。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回路 事例集2(Diode_Limit2.sxsch)を参照。 1.7 OP アンプとダイオードによる理想ダイオード回路 左図は、OP アンプとダイオ ードを利用した理想ダイオー ド回路というものであり、ダ イオードの順方向電圧分がな く、0V から使用できる。 この回路は、オペアンプの+入力と-入力が等しくなるよ うに制御されるという動作原理からきており、図(a)の場合、 正側の信号時はD1 を通り制御され出力されるが、負側の信 号の時はD1 の逆バイアスであるので、出力はオープンとな る。したがって抵抗R2 でグランド電位を供給する必要があ る。 図(c)の上側は図(a)を、下側は図(b)をシミュレーションし たもので、ゼロ電位から整流していることがわかる。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回路事例 集2(Ideal_Diode.sxsch)を参照。 (a) (b) OP R D1 OP D1 D2 +V R2 R1 IN OUT IN OUT (a) (b) OP D1 R2 R1 OP R2 R1 D1 IN OUT IN OUT (c) (c)

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1.8 OP アンプとダイオードによる絶対値回路 図(a)は、絶対値回路と言われるもので、理想ダイ オードと加算回路により構成されている。つまり、理 想両波整流回路でもある。 図(b)の上側は、OP1 による理想ダイオードによる負側の整流信号であり、下側は加算さ れた出力信号である。 従って、抵抗R1=R2=R3、R4=R1÷2 の条件の時、絶対値回路が成り立つ。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回路事例集2(Absolute.sxsch)を参照。 1.9 発振回路の振幅制限 図(a)はウイーンブ リッジ発振回路と言わ れるものである。 ここで、ダイオードD1 及びD2 は、振幅制限の ために入れている。 図(b)で下側は、ダイオード D1 及び D2 が無い場合である が、振幅制限ができず方形波に近い。 上側は、ダイオードD1 及び D2 による振幅制限がかかった状態である。 ⇒「電子回路設計基礎講座 3.5.2.2 ウィーンブリッジ発振回路」を参照。 D1 OP1 OP2 R1 R2 R4 R3 R5 D2 IN OUT (a) (b) OP R1 D1 C1 C2 R2 R3 R4 VR D2 OUT (a) (b)

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2.ツエナー・ダイオードの使い方 2.1 ツエナー・ダイオードによる簡単な定電圧回路 図 (a)は、一番簡単なツエナー・ダイオ ードで定電圧を得る回路である。これは、 抵抗R1 を通してツエナー・ダイオードに 電流を流しツエナー電圧を定電圧として 利用する回路である。 図(c) は 、 図 (a) の V1 を 0~15V 変化さ せたときの、ダ イオードD1 の 電 圧 と 電 流 特 性である。 図のように、 4.5V あたりか ら 電 圧 の 変 化 が少なくなり、 簡易的な定電圧回路として利用できることがわかる。また、ツエナー電圧領域では、電流が 比例して流れるようになるので、抵抗R1 で電流を制限する。 前記の場合、電源10V でダイオード電流 I1を5mA に設定すると R1 =𝑉1− 𝑉𝑍 𝐼1 で抵抗R1 は約 1KΩとなる。 また、図(d)は温度が 0℃~50℃に変化した場合の、電圧特性の変化である。ツエナー電圧 が4.7V 付近のダイオードは比較的温度特性がいい範囲であるが、図のように変化すること を考慮に入れる必要がある。 回路図(b)は、定電圧回路の負荷(出力電流)を抵抗 R2 で考えたもので、図(e)は、抵抗 R2 を 1KΩ~10KΩに変化させた場合である。図のように、負荷を小さくすると、定電圧 の領域が少なくなってしまうことがわかる。 従って、この回路を使用する場合、負荷電流を少なくなるように、高インピーダンスの 負荷で使用することが重要である。 (d) ツエナー温度特性 (c)4.7V ツエナー電圧-電流特性

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図(e)から、負荷の抵抗は 3KΩ程度が限界のよう で、一般的に負荷に流せる電流は、ツエナー電流の 30%程度である。 ⇒詳細は、「電子回路設計基礎講座 13.2.2 ダイオ ードの種類と特徴と記号(2)定電圧ダイオード」を 参照 2.2 トランジスタ+ツエナー・ダイオードによる簡易定電圧回路(無帰還型) 左図は、2.1 のツエナー・ダイオード回路での負荷電流の 問題を改善するために、Q1 のエミッタフォロワー回路と追 加したもので、Q1 の電流増幅率hfeとすると、Q1 のベース 電流I2は、 𝐼2= 𝐼1 h𝑓𝑒 となり、ツエナー・ダイオードに与える影響は少なくなる。 ただし、この回路では、Q1 のベース・エミッタ電圧の温度特性が直接出力電圧の変動に なる欠点があるが、負帰還が無いので常に安定した動作を期待できる。 また、ツエナー・ダイオードに並列にコンデンサを付加することで、ツエナー・ダイオー ドが発生するノイズを抑えるとともに、入力からのリップルやノイズを軽減するフィルタ としても効果もある。 ⇒詳細は、「電子回路設計基礎講座 電子回路(3)-6a の 3.6.2.2 トランジスタ+ツエナー・ ダイオードによる簡易定電圧回路(無帰還型)」を参照。 2.3 トランジスタ+ツエナー・ダイオードによる負帰還型定電圧回路 左図は、出力の電圧を抵抗R3 及び抵抗 R4 により分圧した 電圧とツエナー・ダイオードD1 の電圧をトランジスタ Q2 で 比較して、出力電圧を一定にするように負帰還回路を構成し た例である。 ⇒詳細は、「電子回路設計基礎講座 電子回路(3)-6a の 3.6.2.3 トランジスタとツエナー・ダイオードによる負帰還型 定電圧回路」を参照。 (e)ツエナー電圧特性(負荷の影響)

V

1

I

1

I

2 R1 D1 C Q1 OUT V1 Q1 D1 R2 C1 R1 Q2 R4 R3 OUT

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2.4 OP アンプ+ツエナー・ダイオードによるフィードバック型定電圧回路 左図は2.3 のトランジスタ Q2 の代わりにオペアン プを使用したもので、トランジスタと比べて非常に利 得が大きく、安定度の高い定電圧電源が得られる。 ⇒詳細は、「電子回路設計基礎講座 電子回路(3)-6a 3.6.2.4 OP アンプとツエナー・ダイオードによる負 帰還型定電圧回路」を参照。 2.5 リミッタ回路に使う 2.5.1 抵抗とツエナー・ダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) ツエナー・ダイオードを過電圧保護や入 力信号の波形整形で簡易的なリミッタ回 路として使用する場合がある。 図(a)は正電圧側のリミッタ、図(b)は正 負両側のリミッタが必要なとき使用され る。 図(c)は、図(a)及び図(b)をシミュレーションし た結果である。 図(c)では、プローブ D1-anode は正側だけの 信号がツエナー電圧でリミッタされ、プローブ D2-anode では正負の電圧がツエナー電圧でリミ ットされていることがわかる。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回路事例集 2(Zener_Diode_Limit.sxsch) を参照。 Q1 R1 R2 R4 R3 C1 D1 OP DC_V OUT

(a)

(b)

AC_V AC_V D1 D2 R1 R1 D1 (c)

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2.5.2 OP アンプ回路でのツエナー・ダイオードによるリミッタ回路(振幅制限回路) 図(a)は、オパンプ回路において、振幅を制限す る場合使用される。 増幅器としての利得は、抵抗R1 及び R2 で設定 されるが、出力信号は帰還ループに入ったツエナ ー・ダイオードD1 及び D2 のツエナー電圧で制限 される。 図(b)は 4.7V ツエナー・ダイオードを使用したと きのシミュレーションした結果である。 ⇒シミュレーションの詳細は、シミュレーション回 路事例集2(Zener_Diode_Limt2.sxsch)を参照。 2.6 保護回路への使用 基本的には、2.5.1 のリミッタ回路と同じであり、過電圧、過入力信号が入った場合、回 路の最大入力定格を超えないように制限することで、回路の入力に、2.5.1 の図(a)または図 (b)を設ける。 また、トランジスタやFET などの半導体素子の過電圧保護にも使用される。 OP R2 R1 D1 D2 IN OUT (a) (b)

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3.定電流ダイオードの使い方 3.1 定電流ダイオードの基本的使い方 左図は、定電流ダイオード(CRD)の基本的な使い方 で、負荷の抵抗R1 に定電流で電流を供給するものであ る。 この場合、供給電圧はブレークダウン電圧を超えた場 合急激に大きな電流が流れるので、CRD のブレークダ ウン電圧の範囲で使用する必要がある。 またピンチオフ電圧以下の電圧では、十分な定電流特性が得られないので注意すする必 要がある。 3.2 定電流を大きくする 左図は、トランジスタと使用することで、CRD 以上の定電流を取り出そうとするもので、出力電 流Io は 𝐼𝑜= 𝐼𝑐𝑑∙ 𝑅2 − 𝑉𝐵𝐸 𝑅1 となる。 DC_V CRD D1 R1

I

o

I

cd CRD D1 R1 R2 Q1

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4.発光ダイオード(LED)の使い方 4.1 抵抗によるLEDの駆動回路 左図は、LEDの基本的な使い方で、順方向に電流を流すこ とだけです。 ここで、発光ダイオードに流れる電流IF、順方向電圧VFと すると、必要な抵抗R1 は次式で求められる。 R1 =𝑉1 − 𝑉𝐹 𝐼𝐹 ただし、順方向電圧、順方向電流は、使用するLEDにより異なるので、LEDの使用 を満足する範囲で設定する。 順方向電圧は、温度係数は約-2.3mVと同じであるが、2V~4V程度と色によってこと なる。 4.2 逆耐圧の保護 LEDは、一般的に逆耐圧は低い、従って、逆方向の電圧 がかかる可能性がある場合は、図のようにシリコンダイオー ドを並列することがある。 4.3 LEDの駆動回路 図(a)、図(b)は、一般の CMOS ディジタル IC やマ イクロコンピュータにより、直接LED をドライブす る場合で、抵抗一本直列に入れるだけの構成である。 図(a)では、出力側が L レベルの時、図(b)は出力側が H レベルの時点灯する。 ここでは、IC の出力の最大電流以上流すことはで きないことを注意する必要がある。特にCPU の端子 に直接接続するものを見かけるが、CPU によっては 可能な場合もあるが、基本的には抵抗を介して駆動 すべきである。 図(c)及び図(d)は、トランジスタを使用して駆動す る場合で、信号側の負荷が少なくなり、LED の駆動 回路としては基本的な回路である。 LED D1 R1 INV VCC INV LED D1 R1 IN IN LED D1 R1 VCC NPN Q1 R1 R2 LED D1 R1 PNP Q1 VCC R2 R1 IN IN (a) (b) (c) (d) R1 LEDD1 V1 D2

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4.4 複数接続での点灯 複数のLED を一つの駆動回路で点灯する場合、図 (a)のように並列接続する場合と、図(b)のように直列 接続する場合がありますが、図(a)は駆動電圧が高く できない場合、図(b)は駆動電圧を直列接続した順方 向電圧より十分大きくできる場合に使用される。

LED を並列接続した場合、LED の順方向電圧のバラツキがあるため、図(a)のように各々 のLED を別々の抵抗で電流を流してやる必要がある。 一般的には、全部の LED を同じ電流で駆動でき、輝度の バラツキも少なくなり、電流の消費が少ない、図(b)のような 直列接続が用いられる。 また図(c)のように、定電流ダイオード(CRD)を用いると、 電源電圧が変動する場合でも、輝度を安定させることができ る。 また、定電流駆動するには、図(c)のように、レギュレータ IC を利用して定電流駆動することもできる。この時の 電流値Id は、7805 等の 5V 出力を使用した場合、 𝐼𝑑 =𝑅15 で与えられる。 図(e)は、オペアンプを使用した定電流駆動例であるが、 電流値Id は、 𝐼𝑑 = 𝑉𝑧 𝑅1 で与えられる。 (c)レギュレータ IC による定電流駆動 (e)OP アンプによる定電流駆動 LEDD1 R1 LEDD2 R2 LED D2 LED D1 R1 V1 V1 (b)直列接続 (a)並列接続 CRD D1 LED D2 V1 LED D3 (c)CRD による定電流駆動

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4.5 スイッチング・レギュレータICによる定電流駆動 左図はLED 制御用の IC で降圧型スイチング制御 用IC(LM3401)を使っ た、駆動回路の例である。 この回路では、リニア制 御の定電流回路と比べて、 効率の良い定電流制御が 行える。 また、DIM 入力端子から 制御信号を入れることに より、LED の輝度の調節 が可能である。

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5.高周波用ダイオードの使い方 5.1 PIN ダイオードとは

PIN ダイオードは、PIN 接合の順方向電流を制御し、高周波領域の直列抵抗を可変する もので、SPST(Single Pole Single Throw:単極単投)スイッチや SPDT(Single Pole Double Throw:単極双投)スイッチなどの用途で使われる。 5.2PINダイオードによるスイッチ回路 左図は PIN ダイオード を利用した、SPST スイッ チを構成する回路で、図(a) はダイオードがシリーズ に入り、D1 の ON/OFF に より入力の信号の出力へ の伝達を制御している。 図(b)は、ダイオードの高周波抵抗でシャントするタイプである。 5.3PINダイオードによるアッテネータ回路 左図は、前記図(a)の回路で、PIN ダイオードの電流 をVc で制御することにより、D1 の高周波抵抗と R2 で 分圧されることにより、アッテネータとして利用する場 合の回路図である。 5.4 可変容量ダイオードの使い方 5.4.1 基本的な使い方 図(a)のように、可変容量ダイオード D1 には、逆バイアス電圧を加えること によって、PN 接合容量を可変する。 C1 は直流電圧から分離するためのも のであり、出力から見た容量は、C1 と ダイオードD1 の容量が直列接続したものとなる。 図(b)は、抵抗 R1 のインピーダンスが大きくできない場合や、高周波的に浮遊容量が無 視できない場合、インダクタンスL1 を入れ、高周波的にインピーダンスを大きくした場合 の回路である。 PIN D1 L2 C1 C3 C2 L1 OUT C1 C2 L1 C3 OUT PIN D1 IN Control IN Control (a) (b) PIN D1 L2 C1 C3 L1 C2 e1 R2 Vc R1 Co Co (a) (b) Vc R1 L1 VCAP D1 C2 Vc R1 C1 VCAP D1

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5.4.2 可変容量ダイオードによる並列共振回路への応用 左図は、LC 並列共振回路(同調 回路)で、容量C を可変容量を変 化させ、共振周波数(同調周波数) を可変させるものである。 従って図(a)は、図(b)の LC 同調 回路と等価である。 5.4.3 周波数可変 LC 発振回路への応用 左図は、LC クラップ発振回路において、 発振周波数を可変する場合の可変容量ダ イオードの使い方である。 図のDC 電源 Vc を可変することで、可 変容量ダイオードの容量を変え、発振周 波数を可変にしている。 ⇒「電子回路設計基礎講座 電子回路(3)-5a 3.5.3 LC 発振回路」を参照。 5.4.4 周波数可変水晶発振回路への応用 左図は、水晶発振回路の周波数を可変 する場合に、可変容量ダイオードを使用 する回路である。 ここでの水晶振動子は基本波の周波数 を用いることが普通である。 5.5 ショットキー・バリヤ・ダイオードによる検波回路 左図は、ショットキー・バリヤ・ダイ オードの低い順方向電圧特性を利用し て高周波信号を検波する、信号の検出器 として、よく用いられる。 (a) (b) L1 R1 C1 R1 C1 C1 D1 D1 D1 OUT OUT RF IN RF IN Out VCC VCAP D L1 R1 R2 R3 C1 C2 C3 C4 Q1 R4 Vc Out VCC R2 R3 C2 C3 C4 Q1 R4 XTAL X VCAP D R1 C1 Vc

(a)

(b)

Vc R1 C1 VCAP D1 L1 L1 C2

(24)

5.6 ショットキー・バリヤ・ダイオードによるミキサ回路 左 図 は 、 バ ラ ン ス ド ・ ミ ク サ ー (double-balanced mixer DBM)と呼ば れるもので、RF 入力信号と局部発振器 (LO)の周波数を混合し、周波数の変換 する場合などの多く用いられる。 参考文献 (1) トランジスタ技術 SPECIALN0.88 ダイオード/トランジスタ/FET 活用入門(CQ 出版 社) (2) トランジスタ技術 2006 年 2 月号特集「基礎からの LED 活用テクニック」 (3) トランジスタ技術 2007 年 10 月号特集「ハイパワー/高輝度LEDの研究」 (4) アナログ基本回路の設計と製作(誠文堂新光社、市川祐一著) D1 D2 D3 D4 RF IN OUT LO

CDTLab

(Circuit Design Technology Laboratory)

参照

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