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個人金融に関する研究会

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「危険資産に対する日本の家計の金融資産選択行動」

中村学園大学

吉川卓也

『金融ビッグバンにおける個人の金融資産選択行動』第 4 章 個人金融に関する研究会報告書 (郵便貯金振興会 貯蓄経済研究室) 平成 13 年 6 月 ※本稿は上記論文に平成 14 年 5 月に加筆修正したものである。

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第1章 日本の家計の金融資産選択行動

第1節 日本の家計による金融資産選択行動の特徴とその変化

1 日本の家計の金融資産残高シェアの特徴 日本人の金融資産選択行動は、全般に安全性志向の強い国民性にかんがみ、かねてから 定期性預金や債券といった、いわゆる安全資産への志向が強いとされている。このことは 日本銀行から公表されている金融資産残高のデータでも確かめられる。図表1に示されて いるように、定期性預金が家計の金融資産残高に占める割合は、40%を超え群を抜いて多 く、第 2 位である保険の 2 倍以上のシェアがある。それに対し株式や投資信託といった危 険資産は 10%に満たないシェアしかない。このようにストックの視点からみると、確かに 日本人の金融資産選択行動は、安全性重視という特徴を認めることができる。1 (図表1を挿入) しかし近年、日本人の金融資産選択行動に大きな影響を与え、その変化を促すような出 来事が起きている。1980 年代以降、金融自由化が進展し、金利自由化や多様な金融商品の 登場等、金融資産にかかわる環境にも変化があった。1990 年代には資産バブルの崩壊や長 期不況、金融機関の経営破綻が起きた。その一方で金融業務にかかわる情報技術革新があ り、金融機関の業際規制の緩和も進み、いわゆる金融ビッグバンが始まった。また少子化・ 高齢化の進展は、公的な社会保障制度の見直しを促し、老後のあるいは老後に備えた金融 資産保有に大きな影響を与えるはずである。そして 90 年代を通じて繁栄を維持してきた 米国の状況を目の当たりにして、リスク・マネーに対する日本人の認識も変わってきてい るはずである。 2 日本の家計の金融取引フローの変化 これらの出来事は、いずれも日本人の金融資産選択の分散化、たとえば定期性預金から 他の金融資産へのシフトなどを促す要因と考えられるはずである。実際、日本銀行から公 表されている 1999 年度の「資金循環統計」に含まれる「金融取引表(フロー表)」をみる と、資金余剰幅が 98 年度の 31.3 兆円から 99 年度の 37.8 兆円へ拡大した中で、安全資産 である定期性預金の増加幅が 19.2 兆円から 8.3 兆円に縮小したのに対し、危険資産である 投資信託の増加幅が 1.5 兆円から 2.5 兆円、外貨預金の増加幅が 0.6 兆円から 1.2 兆円へ

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拡大している。また現金・流動性預金の増加幅が 9.2 兆円から 15.2 兆円に拡大している。 こうした状況は、安全資産から危険資産へのシフトや、低金利を背景とした流動資産へ の資金シフトが起きていることを示しているといえよう。このほかにも、信託が 1994 年 以降減少に転じていること、保険の増加幅が縮小していることなどの変化が認められる。 こうしたことも環境の変化からの影響といえるだろう。2 (図表 2 を挿入) 3 本稿の目的 このように、フローの視点からみれば 1990 年代に入ってからの金融資産選択行動にか かわる環境変化は、日本人の金融資産選択行動を変化させているということが認められる。 しかしこうした変化は、一時的な金利や株価の変化、あるいはその他のさまざまな一時的 な要因がもたらしたものであり、家計のもつ基本的な安全性志向は変わっておらず、そう した要因がなくなれば元の状態に戻るのかもしれない。 そこで本稿の目的は、とくに株式という危険資産に対する選択行動に注目して、近年の 日本人の金融資産選択行動におけるそうした変化が一時的なものなのか、それとももっと 根本的な選択行動の変化なのかを検討することである。ここで根本的な変化という意味は、 理論に則していえば、家計の効用に変化が生じているかということである。

第2節 日本の家計による金融資産選択行動の長期的推移

1 金融資産別の長期的推移の特徴 長期的な金融資産残高(ストック)の推移からは、日本の家計の金融資産選択行動が一貫 して安全性を重視したものであることが認められる。図表 3 は日本の家計における金融資 産残高シェアの資産別の長期的推移を示したもので、日本銀行が作成し公表してきた 1965 年から 1998 年までにわたって遡及できる旧ベースの「資金循環勘定」における個人部門 (家計および対家計民間非営利団体の合計)のデータから作成したものである。それによ れば、各金融資産について以下のような特徴が認められる。3 (図表 3 を挿入) 2 定期性預金

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定期性預金のシェアは最低でも 40%弱あり、最大であった 1980 年代初めには 50%を超 えるシェアをもっていた。バブル崩壊後の低金利時代になっても、45%程度のシェアを維 持している。定期性預金のシェアと対照的なのが株式のシェア(市場価格ベース)で、定 期性預金のシェアが大きくなれば株式のシェアが小さくなり、定期性預金のシェアが小さ くなれば株式のシェアが大きくなるという動きをみせている。それは各資産間の相関の様 子を示した図表 4 からも読み取ることができる。 (図表 4 を挿入) 3 株式および投資信託 株式ないし投資信託といった危険資産は、バブルの時期にシェアを伸ばしている。とく に株式は 1989 年には 15%弱までシェアを伸ばしたが、1990 年代に入ってからはいずれ もシェアを下げ、ほぼ横這いから下降傾向となっており、合計しても 10%程度にとどまっ ている。図表5をみると、こうした動きはバブル期の株価の急上昇が大きな要因になって いると思われる。 (図表 5 を挿入) 4 債券 この間、債券は 1970 年以降徐々にシェアを高めたが、1980 年代前半の株式を上回るシ ェア(8%程度)をピークに、最近では投資信託とほぼ同じ水準(3%弱)までシェアを下 げている。 5 生命保険 こうしたなかで 1970 年以降ほぼ一貫してシェアを上げてきているのが生命保険である。 とくに 1980 年代半ばからシェアの増加率が高くなっている。旧ベースの「資金循環勘定」 の「保険」は損害保険を含んでいないので、これは生命保険および年金のシェアが高まっ ていることを示している。図表 4 から、これは現金・要求払預金から資金がシフトしてい った可能性があることが読み取れよう。しかし直近では増加に歯止めがかかっている。4 6 危険資産、安全資産の推移の特徴 以上のように、金融資産残高の長期的推移からは、危険資産への選択行動に関連した特

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徴として、 a. 危険資産(株式、投資信託)のシェアはバブル期には拡大したが、1990 年代は 10%程度にとどまる。 b. 安全資産(現金・預金)のシェアは 1990 年以降、最低でも 40%あり、1999 年末 では 54%で、ほかの金融資産のシェアに比べてきわめて高い。 ということがあげられる。5 こうした特徴から、金融資産残高の長期的推移をみる限り、家計の安全性志向をはっき りと確認することができる。 7 金融資産残高変化率と経済成長率 ところで、日本の家計における金融資産残高総額の変化率と名目 GDP の変化率(名目経 済成長率)は、かなり高い正の相関をもっており、それは理論的にも頷けるものである。こ の関係を示したのが図表6である。 図表6に示した 1965 年から 1998 年までの両者の相関係数を計算すると 0.76 であり、 おおまかにいって経済成長率の低下とともに金融資産残高の伸びも低下してきたといえよ う。1980 年代には金融資産残高変化率は 10 数%の伸びがあったが、経済成長率が一段と 低下を示す 1990 年代には 5%以下の伸びにとどまり、近年はさらに低下している。 (図表6を挿入)

第2章 家計の金融資産選択行動の国際比較

第1節 家計金融資産残高の国際比較

1 安全資産と危険資産という観点からの比較 本節では日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの 5 か国における家計金融資産 残高の最近の動向を国際比較することにより、日本の家計における金融資産選択行動の特 徴を検討する。 図表7は、1991 年と 1999 年における上記5か国の金融資産別の残高およびシェアを計 算したものである。ここでは、日本とフランス以外は家計が対家計民間非営利団体と分離 されていないので、整合性を保つため各国とも、家計と対家計民間非営利団体を合計した

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値を用いていることに注意を要する。表中の貸出は対家計民間非営利団体によるものと考 えられる。またフランスの株式と出資金は 1995 年以降しか分離されていない。 (図表7を挿入) 1991 年と 1999 年について安全資産、危険資産という観点から比較してみると、以下の ような明確な特徴がみられる。6 a. 日本の現金・預金のシェアは 5 か国中最大で、唯一シェアが拡大している。 b. 日本の危険資産のシェア(株式・出資金、投資信託)は 5 カ国中最小で、唯一シ ェアが縮小している。 流動性資産については、日本のみ現金・預金のシェアが若干拡大しており、その他の国 と対照的である。一方、保険・年金については、すべての国でシェアが拡大しており、こ れは各国とも少子・高齢化という状況にあるということを反映していると考えられよう。 金融資産残高の国際比較をする際には、各国の金融システムあるいは金融市場が伝統的、 制度的にかなり異なっていることや税制の違い、また各国で必ずしもまったく同じ金融商 品が存在するわけではないことに配慮しなければならない。また統計上必ずしも計数の整 合性が取れているわけではない点に留意する必要がある。7 2 日本とその他の国との比較 (1) ドイツ 以上の点を踏まえて日本とその他の国とを個別に比較するならば、日本の金融資産残高 シェアの推移は、ドイツと似た特徴をもっているといえよう。日本もドイツも、定期性預 金等のシェアが 30%から 40%程度で最大となっており、次にシェアが大きいのが保険・ 年金である。ただ日本では最近の数年間をとっても定期性預金のシェアが大きいのに対し、 ドイツでは定期性預金等のシェアが低下してきている点、現金・預金のシェアが日本では 拡大しているのに対しドイツでは縮小している点、またドイツでは保険・年金のシェアの 伸びが日本ほどではない点で異なっている。 (2)アメリカ 一方、日本とアメリカとでは、その特徴に一見して明らかな違いがみられる。アメリカ では定期性預金等のシェアは最大で 20%程度であり、1980 年代半ば以降そのシェアは低 下してきており、1999 年末では 10%を切っている。シェアが最大なのは保険・年金であ り、1970 年以降一貫して高い伸びを示している。アメリカにおいて株式のシェアは 1993

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年以降、定期性預金等のシェアを上回っているが、1973 年以前も同様の状況になっており、 金融資産としての株式(および定期性預金等)に対する意識が日本とは異なっていること がうかがわれる。アメリカでは、株式とともに投資信託もシェアを伸ばしている。 (3)イギリス イギリスでは、保険・年金のシェアが他の国と比べて高いが、それは税制上の優遇措置 により一時払い個人年金等が個人の貯蓄手段として定着していること、公的年金が民営化 されていることがその理由である。危険資産に関しては、米国ほど大きなシェアをもって いるわけではない。 (4)フランス フランスは、株式・出資金、投資信託の合計のシェアが非常に高く、合計すると 40%を 超えている。これは注6で述べたように、フランスのみ出資金(非公開株式)を時価評価し ていることによるものと思われる。1995 年以降、株式と出資金が分離されており、そのこ とを裏付けている。投資信託については大幅にシェアを低下させている。8 もう一度、危険資産についての状況をまとめれば、1999 年には日本以外の各国とも 20% を 超 え る シ ェア があ り、 増加 傾向 をもって いる こと は、 日本 にお いて バブ ルの 時期 でも 20%弱のシェアであり、1990 年代に入ってからは 10%程度に過ぎず、低下傾向があるこ とと対照的である。そうしたことを考えれば、他の国と比較して、日本人は危険資産保有 に消極的であり、危険回避的であるといえよう。

第2節 株式・出資金の保有者別残高の国際比較

次に、株式を保有している主体に、各国と比較して日本において大きな差異が認められ るかどうかを検討するために、株式・出資金残高総額に占める家計(および対家計民間非 営利団体)のシェアをみてみる。ただし国際比較するにあたっては、統計上、後述する理 由で米国については単純に比較できないことに加え、株式の保有構造に関して株式会社の 発達の経緯など各国固有の要因があることに留意しなければならない。 図表8は、各国の資金循環統計から作成した株式・出資金残高の保有主体別シェアであ る。家計・対家計民間非営利団体の列をみると、日本は他の欧州諸国と同様 20%程度であ ることがわかる。フランス以外は米国を含め各国ともシェアが縮小しているが、フランス には前述したような出資金の評価方法の違いが存在することを考慮するなら、各国ともお

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おむね家計(および対家計民間非営利団体)のシェアは縮小しているといえよう。 (図表8を挿入) 米国については、他の国と比べ飛びぬけて家計・対家計民間非営利団体の保有シェアが 高い。しかしこれは、非金融企業の株式保有額が計上されていないことなど、他の国との 統計上の計上方法が異なっていることを考慮しなければならない。米国の家計・対家計民 間非営利団体のシェアは過大評価されているといえる。また日本の一般政府のシェアが高 いのは、政府の公的機関に対する出資金を計上しているからである。9 同じデータから、株式・出資金の残高総額の変化率に対して、家計・対家計民間非営利 団体の保有額の変化率が寄与した割合を計算してみたが、その大きさについて、日本と欧 州各国との顕著な違いは認められなかった。

第3章 日本の家計の株式保有行動

第1節 日本における個人の持株比率と株式保有比率

1 持株比率と株式保有比率 持株比率ないし株式保有比率は、いずれも株式の保有状況を示す代表的な指標である。 これらは以下の 2 つの調査のデータから算出される。 全国証券取引所協議会「株式分布状況調査」は、内国上場会社の上場普通株式を対象に、 各年度中の最終決算期末時点での所有者別の株主数および持ち株数を調査したものであり、 その結果から所有者別の持株比率(1985 年以降は単位数ベース)が計算される。10 また、1970 年からはさらに「市場価格でみた株式保有状況調査」も併せて行われており、 市場価格による金額ベースでの株式保有比率(1984 年までは株数ベース、1985 年以降は単 位株ベース)が計算されている。持株比率(単位数ベース)については 1949 年まで、株式 保有比率については 1970 年まで遡ることができる。図表 9 は両者の推移をグラフにした ものである。11 (図表9を挿入) 2 持株比率の推移 持株比率は、1974 年以降 1988 年まで減少基調にあった。その後、1989 年から 1999 年

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(直近)までは、それまでと反転して上昇基調にある。この間、株価は持株比率の減少基調 期には上昇傾向にあり、持株比率の上昇基調期には下降傾向にある。その理由としては、 個人投資家は、株価が低下したときに積極的に株式を買い付け、株価が上昇したときに売 却するという投資行動をとっていることが考えられる。いわゆる利益(キャピタル・ゲイ ン)の確保(確定)を優先させた投資行動といえよう。個人持株比率の上昇期には、株式市 場へ個人投資家が参入していると考えられる。 3 株式保有比率の推移 株式保有比率はほぼ一貫して減少してきている。その理由としては、手元に残っている 株式が利益確定を目的として売却できなかった、株価が下落した株式であるということが 考えられる。実際に個人の持株比率上昇幅の大きい銘柄、小さい銘柄をみると、個人は株 価上昇銘柄より株価下落銘柄を多く保有している。その結果、持ち株数は多くても金額ベ ースでは増えない、あるいはむしろ減少するということが起きると考えられる。12 とくに近年は、投資家の銘柄選別が進んで株価水準の二極化が起きており、高株価銘柄 はより高く、低位株はより安くという現象が顕著である。個人投資家の資金には限界があ るので、株価が上昇するような銘柄はいっそう買い付けにくくなっているといえよう。そ の結果、持株比率と株式保有比率の乖離幅が拡大してきていると考えられる。 このように、持株比率および株式保有比率の 1970 年代以来の長期的な推移は、過去の 個人投資家の行動原則から説明できるように思われる。したがって、以上から結論付けら れることは、個人の株式保有行動は少なくとも 1970 年代からあまり変わっていないので はないかということである。

第2節 日本の家計の相対的危険回避度

1 これまでの分析結果 以上みてきたように、金融資産選択行動に影響を与える環境の変化が著しかったと考え られる 1990 年代においても、日本の家計の金融資産選択行動は、長期的な金融資産残高 のデータが示すような安全性志向で危険回避的なものであり、行動の変化は一時的な要因 によるものであることが推察される。また国際比較を行なっても、そうした推察を変更し なければならないような状況は明確には見出せなかった。株式保有状況を示す代表的な指

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標により個人投資家の行動を分析してみたが、従来の株式保有行動原則で説明できないよ うなことは起きていないと考えられる。 2 相対的危険回避度の計測方法 そこで本節では、資産選択行動の変化そのものといえる、金融資産選択行動の効用レベ ルでの変化を探るための1つの方法として、相対的危険回避度を取り上げ、公表データを 用いた計測を試みる。 相対的危険回避度は、危険資産からの収益と危険資産選択の関係を理論的に明らかにす る指標である。Friend and Blume[1975]にならい、本稿では以下のような単純化した形で、 日本の家計について相対的危険回避度の計測を行った。 まず以下のような仮定を置くことにする。 a. 家計は安全資産と危険資産の2種類しか保有せず、安全資産の収益率を rf、危険 資産の収益率を rmとする。ただし rmの期待値は E(rm)、分散はσm2である。 b. 投資期間は t から t+dt までであり、無限に分割可能であるとする。 c. 家計は、期末の資産残高 Wt+dtから得られるであろう期待効用 E(Wt+dt)を最大化し、 その効用関数 U は危険回避的であり、

U

'

(

W

)

>

0

U

'

'

(

W

)

<

0

であると仮定す る。 家計は期首に Wtの資産を保有し、そのうちの危険資産の割合をαとすると、家計の期 末の資産残高 Wt+dtは、 (1)

W

t+dt

=

W

t

[

1

+

{

α

E

(

r

m

)

+

(

1

α

)

r

f

}

dt

+

ασ

m

y

(

t

)

dt

]

となる。ここで、σmは危険資産の収益率の標準偏差、y(t)は標準正規分布に従う確率変数 である。 簡単のために、U(Wt+dt)を Wtの近傍でテーラー展開し、期待値をとり、dt の2次以上 の項を落とすと、 (2)

dt

W

W

U

dt

r

r

E

W

W

U

W

U

W

U

E

m t t f m t t t dt t 2 2 2

)

(

'

'

2

1

}

)

1

(

)

(

{

)

(

'

)

(

)]

(

[

σ

α

α

α

+

+

+

=

+

となる。家計は、この E[U(Wt+dt)]を最大化するようにαを決定するから、αについて微分 してゼロとおけば、 (3)

E

(

r

m

)

r

f

C

ασ

m2

=

0

(11)

を得る。ここで C は、 (4)

)

(

'

)

(

''

t t t

W

U

W

U

W

C

=

であり、相対的危険回避度とよばれる。 以下では、(3)式から得られる (5)

α

σ

1

)

(

2

×

=

m f m

r

r

E

C

を用いて家計の相対的危険回避度を計測する。 3 データの作成方法 相対的危険回避度 C の計測に必要なデータは、下野[1998]にならい、次のように作成し た。 危険資産の期待収益率 E(rm)は、危険資産を株式で代表させることとし、株価には TOPIX を用い、以下のように算出した。まず前年の株価の月次データから 1 年間の分散を求め、 予想株価を、 (6) 予想株価=前年の株価+2× 前年の株価の月次データの1年間の分散×12 として計算し、 (7) 株価の期待収益率=予想株価/前年の株価−1 で求めた。13 安全資産の収益率 rfは、1年物の定期預金金利(300 万円以上 1,000 万円未満)を用い た。 危険資産の収益率の分散σm2は、危険資産を株式で代表させ、TOPIX を用いて、 (8) 今月の株価の収益率=今月の株価/前月の株価−1 と株価の収益率の月率を計算し、その 1 年間の分散を求めた。さらに年率の分散に換算す るため 12 倍して、 (9) 株価の収益率の分散=前年の株価の収益率の月率の分散×12 とした。 危険資産保有比率αは、日本銀行「資金循環勘定」の金融資産残高データを用い、 (10) 危険資産保有比率 =危険資産保有額/金融資産残高

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=(株式保有額+投資信託保有額+外貨預金保有額)/金融資産残高 とした。 4 計測結果 計測結果は図表 10 にまとめられている。(5)式から計算される相対的危険回避度 C は、 危険資産の価格変動リスクσm2の下で、危険資産の期待収益率と安全資産の収益率の差 E(rm)−rfに応じて、どの程度危険資産を保有するかを表わしている。相対的危険回避度は、 a.危険資産と安全資産の収益率格差が広がる。 b.危険資産の価格変動リスクが低くなる。 c.危険資産の保有比率が低下する。 という変化によって高くなり、「相対的に危険回避的になった」と判断される。14 (図表 10 を挿入) 5 相対的危険回避度からみた日本の家計の危険資産選択行動 図表 10 の日本の家計の相対的危険回避度の計測結果を用いて、相対的危険回避度をバ ブル期以前、バブル期、バブル崩壊以降に区切って、それぞれの期間内の異常値と思われ る値を除いて平均をとってみると、以下の表のような結果を得た。 期間 期間内の相対的危険回避度の平均 1970 年代から 1980 年代半ばまで (バブル期以前) 1.63 1985 年から 1989 年まで (バブル期) 0.94 1990 年代 (バブル崩壊以降) 1.36 注)各期間内の平均をとるにあたって、大きいほうの異常値(5.0 以上)は除いている。 これをみると、バブル期には相対的危険回避度が下がっており、家計はやや危険資産保 有に積極的になったといえるかもしれない。しかしバブル崩壊後は、相対的危険回避度が 上がっており、再びバブル期以前同様、危険資産保有に消極的になったと推察できる。

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さらに 1990 年代の結果を時系列でみれば、1990 年代前半は 1990 年を除いてそれほど 相対的危険回避度は上がっていないが、1996 年からその値が上がっていることがわかる。 このことは、その時点で家計の金融資産選択行動はより危険回避的になってきたというこ とを意味している。その原因としては、1997 年の金融機関の相次ぐ倒産に象徴される金融 危機が、家計の金融資産選択行動を安全性の高い資産の選択という方向に振れさせたので はないかということも考えられよう。 6 まとめ 1990 年代も「日本の家計の金融資産選択行動が安全資産志向で、危険回避的である」と いう点は、金融資産残高に関する長期動向や国際比較によれば明らかといえる。家計の株 式保有行動については、とくに今までの行動原則で説明できないような変化が生じたとい うことは認められないようである。一方、家計の相対的危険回避度の計測結果からは、バ ブル期に家計の金融資産選択行動が変化し、やや危険資産保有に積極的になったこと、そ の後、再び消極的になったことなど、わずかながら家計の金融資産選択行動に変化がみら れた。 しかし、本稿と同様の方法により行われた下野[1998]による 1995 年までの相対的危険 回避度の計測結果からは、そうした変化は確認されなかった。また下野[1998]は、個票デ ータを用いた別の分析からも「とくにバブル期において個人の行動に顕著な変化はみられ ない」との結論を得ている。そしてバブル期においては、実際には家計の効用(資産選択) が変化したのではなく、家計をとりまく所得、資産、金利などの外部条件が変化したこと により、家計の金融資産における危険資産比率が高まっただけであると結論している。 バブル期およびその崩壊期に外部条件が大きく変化したにもかかわらず、家計の基本的 な資産選択行動に変化があまり生じていないのではないかということについては、明石・ 吉川[1994]等による家計の金融資産選択行動の特性分析によっても同様の結論を得ている。 したがって、本稿における相対的危険回避度の計測からうかがわれる「家計の資産選択 行動は変化してきている」ということを主張するには、他の方法による先行研究との比較 検討を行なうとともに、家計の資産選択行動が変化していることを裏付ける新たな分析を 試みなければならない。その際は、実証分析に利用するデータについて、できるだけ理論 と整合的なものを検討する必要がある。 近年、個人の株式の売買に関しては、株数ベースでは買い越し、金額ベースでは売り越

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しという状況になっている。これは利益確定を優先させた投資行動に加え、株式の買い付 けにかけられる金額に限界があるため高額な銘柄の購入には慎重になるという行動の結果 といえよう。したがって、個人の株式保有を株数ベースでも金額ベースでも拡大するには、 投資単位の引き下げが有効と考えられる。その点では投資信託や 401k のような金融資産 も代替的なものとして考えられよう。その結果、株式市場が活性化すれば、個人投資家が より収益性を重視するように行動原則が変化するかもしれない。 あるいは短期間に倒産したり、暴落したりといった変動が少ない、リスクの小さい銘柄 の選択肢が増えれば、安全性志向である家計も株式の保有を増大させるかもしれない。そ のような株式は、不良債権を抱えた債務超過になる危険がある銀行への預金より、安全な 資産であると考えることも可能である。その場合、金融資産の性格として、預金だから安 全資産であり、株式だから危険資産だという区分けがあてはまらなくなるというべきなの かもしれない。

付論

第1節 資金循環統計による家計の金融資産残高について

資金循環勘定の金融資産残高・負債表によると、1999 年度末で家計部門の金融資産残高 は 1,390 兆円である。したがって、国民 1 人当たりに換算すると、1100 万円の金融資産 を保有していることになる。この金額は、「貯蓄動向調査」(総務庁、1999 年 12 月)の 1 人当たり 500 万円(事業性資金を含む)、「貯蓄と消費に関する世論調査」(貯蓄広報中央 委員会、2000 年 6 月)の1 人当たり 400 万円(事業性資金は含まない)と比較して過 大推計ではないかという議論がある。 そうした議論に対して、統計を作成した日本銀行は、家計部門の金融資産の推計方法に かかわる誤差はせいぜい数十兆円に止まる、他の調査はアンケート調査(標本調査)であ り、その場合に発生する可能性のある標本のバイアスや回答率の低さといった統計作成上 の問題も存在しないといったことから、資金循環統計の家計部門の金融資産残高 1,390 兆 円という値は、かなり確度の高い数字であるとしている。 ただし、資金循環統計の定義上、①金融資産のなかに、年金準備金(生保の個人年金商 品のほか、企業年金・国民年金基金等)、預け金(ゴルフ会員権<預託金>等)、未収・未払

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金(預貯金の経過利子等)など、自らの金融資産とは認識し難い金融商品が含まれている、 ②家計部門には、純粋な個人だけでなく、個人事業主も含まれているため、事業性資金が 含まれるなど、割引いて考えた方がよい点があるのも事実であるとしている。 そして以下のような試算を行なっている。①で掲げた商品をすべて控除すると、家計部 門は 1,216 兆円の金融資産を保有していることになる。また、②の事業性資金の混入に関 して、例えば、1,216 兆円のうち 1 割を事業性資金とみなせば、1,100 兆円程度となり、 一人当たりに換算すると 800 万円を上回る程度の金融資産を保有しているということに なる。15

第2節 家計の金融資産残高の国際比較に関する留意点

16 1 家計の範囲 日本とフランスは、対家計民間非営利団体を独立部門として計上しているのに対し、米 国、イギリス、ドイツでは、これを分離していない。 個人企業の扱いも計数上の影響が大きい。日本は、93SNA に基づいて、これを家計に 含めているが、米国は非金融個人企業を独立計上して非金融法人企業とともに非金融企業 として計上している。一部個人企業形式の証券会社等金融機関も存在する。これらは、対 応する金融機関に分類され、非金融の個人企業の場合と同様にその純資産をもって家計の 出資金としている。その他の国も勘定を分離することができる個人企業に関しては法人と 見なし、非金融法人企業に含めている。この結果、これらの国々においては、日本に比べ、 相対的に家計の金融資産が小さくなっている可能性がある。 なお、米国については、個人企業の金融資産を家計に含めていない一方、個人企業の実 物資産を含んだ正味資産(保有する資産から負債を差し引いたもの)を家計の個人企業に 対する出資金として計上しており、その分は家計の金融資産となっている。このため、資 産構成に占める株式・出資金の相対的な割合が高くなっているほか、金融資産総額もむし ろ相対的に大きくなっている可能性が大きい。 以上をまとめると以下のようになる。

(16)

付表 家計の範囲に関する留意点 個人企業の計上部門 対家計民間非営利団体の取扱い 日 本 すべて家計 独立した部門として計上 米 国 企業(ただし、家計が正味資産全 額を出資) 家計に含める イギリス 勘定が分離しているものは企業 家計に含める ドイツ 勘定が分離しているものは企業 家計に含める フランス 勘定が分離しているものは企業 独立した部門として計上 2 取引項目の定義 (1) 現金・預金 日本では、譲渡性預金は預金に含めているが、イギリス、ドイツ、フランスでは、債券 (株式以外の証券)として計上している。また、日本では資金運用部預託金を預金に含め ず、独立の取引項目としているが、他の国においては、これに類似する取扱いはみられな い。 (2) 貸出 日本とドイツでは、民間金融機関の貸出について、直接償却額のほか間接償却額も控除 した実質ベースの金額を計上しているが、他の国では直接償却額のみを控除している(日 本でも、公的金融機関の貸出は直接償却額のみ控除している)。 (3) 債券 米国では債券を額面ベースで計上しているのに対し、それ以外の国では時価ベースで計 上している。 (4) 保険・年金準備金 保険準備金について、日本では積立型保険に係わる責任準備金のみを計上しているが、 それ以外の国では積立型保険のほか掛捨型保険に係わる責任準備金も計上している。 一方、企業年金については、米国では年金数理計算に基づいた額を年金準備金として計 上しているが、それ以外の国は運用資産を基に計上している(米国では運用資産と年金準

(17)

備金の乖離分として年金基金の積立不足を計上しているが、年金数理計算に基づいた年金 準備金の計数の入手が数年に 1 度であり、入手時期も遅れるため、実態を正確に反映して いるとは限らない)。 またドイツでは、法人企業の企業年金に関する年金準備金は年金基金の債務ではなく、 企業の債務と認識されている。そのため、内部積立・外部積立の区別なく、法律に定めら れた企業の支払義務額が企業の負債、家計の資産として計上されている(積立不足を計上 している米国を除き、他国では内部積立を家計の資産として計上していない)。 (5) 株式・出資金 米国における個人企業の取扱いに加え、非公開株式(出資金)の評価方法が国毎に異な っていることが単純な国際比較を困難にしている。評価方法の違いによる影響を定量的に 把握することは困難であるが、この影響は、とくにフランスにおいて大きいものとなって いる。 すなわちフランスでは、非公開株式の時価をフランス銀行が推計のうえ計上しているが、 1999 年末時点における家計の保有資産内訳をみると、公開株式:1.4 兆フラン、非公開 株式:6.4 兆フラン、その他持分:0.7 兆フランとなっている。つまりフランスでは、家 計保有の株式・出資金全体に占める公開株式の比率は 15%程度である一方、非公開株式の 時価残高が 75 %に達している(日本では非公開株式を簿価で評価しているため、1999 年 末時点の公開株式比率は 80%以上になっている)。 米国以外では、公開株式は株式・出資金の内訳として独立計上されているため、非公開 株式やその他持分を控除したベースで比較することが可能である。なお米国についても、 個人企業に対する持分と法人企業に対する持分は区分計上されている。 [参考文献] 明石茂生・吉川卓也[1994]「家計資産需要の属性分析」『成城大学経済研究』、第 126 号、 pp.117-198。 下野恵子[1998]「バブル崩壊以前と以降の金融資産選択行動」、村本孜編著『日本人の金融 資産選択:バブルの経験とビックバンの影響』、東洋経済新報社、pp.113-136。 全国銀行協会『金融』、各号。 全国証券取引所協議会「株式分布状況調査」。

(18)

高橋聡[2001]「株価水準別にみた個人持株比率について」『証券』、1 月号、東京証券取引 所。 中川忍・片桐智子[1999]「日本の家計の金融資産選択行動:日本の家計はなぜリスク資産 投資に消極的であるのか?」、『日銀調査月報』、11 月号。 日本銀行国際局『国際比較統計』、各号。 日本銀行調査統計局[1999]「資金循環統計の解説」。 日本銀行調査統計局[2000a]『金融経済統計月報』、3 月号、No.12。 日本銀行調査統計局[2000b]「資金循環統計からみた我が国の金融構造」(2000 年 11 月)。 日本銀行調査統計局[2000c]「資金循環統計の作成方法」。 日本銀行調査統計局[2000d]「欧米主要国の資金循環統計」(2000 年 11 月)。 藤野正三郎・寺西重郎[2000]『日本金融の数量分析』、東洋経済新報社。

Friend, I. and M. E. Blume[1975], "The Demand for Risky Asset," American Economic Review, Vol. 65, No.5, pp.900-922.

(19)

注 1 「資金循環勘定」は企業、家計、政府等の経済主体間の資金フローや債権・債務関係な ど、一国の金融活動を包括的に示す加工統計である。1997 年頃から日本銀行により 93SNA に準拠したデータの改定が進められ、1999 年 7 月から新ベースのデータが公表されてき ている。こうした改定により資金循環の日米比較等の国際比較が可能になるなど、メリッ トは大きい。しかし 2001 年 2 月の時点で公表されている新ベースのデータは、四半期デー タは 1997 年まで、年度データは 1989 年までしか遡及できない。新ベースと旧ベースはい くつかの項目において継続性がなく、そのままでは接続できない。したがって 1989 年以 前にさかのぼって長期データを必要とする場合は、旧ベースのデータを利用することにし た。詳細は付論を参照のこと。 2 いずれも新ベースの資金循環統計を用いている。新ベースの資金循環統計については、 日本銀行調査統計局[1999]、日本銀行調査統計局[2000c]などを参照のこと。 3 旧ベースの資金循環統計では家計と対家計民間非営利団体が分離されていない。しかし 注 1 でも触れたように、新ベースでは 1989 年度末(1990 年第 4 四半期)までしか遡及で きないので、旧ベースのデータを用いた。 4 図表 2 の金融取引フローを参照のこと。 5 資産によっては、旧ベースと新ベースのデータの集計ないし推計の違いにより、シェア の数値が異なっている場合があることに注意する必要がある。ここでの数値はすべて旧ベ ースのデータによるものである。 6 フランスの株式・出資金は、出資金(非公開株式)を時価で評価しているため他国に比 べて大きくなっている。 7 図表7で用いたデータに関する留意点の詳細は、付論を参照のこと。 8 詳細は付論を参照のこと。 9米国では非金融企業の株式保有は一切計上されず、非金融企業の保有株式は発行株式とネ ットアウトされている。これは、非金融企業が保有する株式の価値は理念上当該企業の株 式時価総額に反映されるため、ネットアウトしなければ二重計上になると考えているため である(他の国はグロスベースで計上している)。また、海外保有分について対内直接投資 分が含まれていない(他国は含む)ため、これも過小になっている可能性があるほか、非 金融法人企業が保有する子会社株式・関連株式等も総額に含まれていない。 10 単位数ベースとは単位株制度の適用会社が定めている 1 単位の株式の数を調査のベー スとしたものである。1985 年以降、単位数ベースで調査が行なわれている。 11 日本銀行の資金循環統計では、株式については全国証券取引所協議会「株式分布状況調 査」により計数を算出している。 12 高橋聡[2001]を参照のこと。 13 危険資産の期待収益率から安全資産の収益率を引いたもの E(rm)−rfが負になるのを避 けるため、常に楽観的な期待形成が行なわれると仮定している。 14 予想株価、株価の収益率の分散の算出方法については、一橋大学大学院の花枝英樹教授 に有益なコメントをいただいた。 15 下野[1998]は、相対的危険回避度に関する実証的な研究を比較し、その大きさは 1 から 2 の間としている。 16 詳細は、日本銀行調査統計局[2000b]の「BOX1 家計部門の金融資産」を参照。 17 本節は、日本銀行調査統計局[2000d]による。

(20)

図表1 日本の家計金融資産残高シェア(新ベース、年度末)(単位:%)

現金・流 動性預金 定期性預 金 譲渡性預 金 外貨預金 債券 投資信託 受益証券 信託受益 権 抵当証券 株式 89

7.99

40.29

0.12

0.14

1.74

3.91

5.38

0.35

11.63

90

7.45

41.63

0.01

0.14

2.08

3.25

5.83

0.41

9.81

91

7.33

43.50

0.01

0.13

2.18

2.78

6.07

0.36

6.92

92

7.21

43.96

0.00

0.10

2.48

2.59

6.14

0.30

6.79

93

7.20

43.60

0.00

0.09

2.21

2.49

5.90

0.24

7.06

94

7.56

44.59

0.00

0.07

2.29

1.92

5.59

0.19

5.76

95

8.44

43.14

0.01

0.10

1.85

2.40

4.95

0.15

6.73

96

9.13

43.16

0.01

0.15

2.27

2.25

4.40

0.12

5.57

97

9.91

43.89

0.01

0.10

2.11

1.93

3.65

0.12

4.83

98

10.33

44.11

0.01

0.14

1.92

1.98

3.03

0.10

5.08

99

10.94

42.64

0.02

0.22

1.76

2.30

2.54

0.07

6.65

出資金 金融派生 商品 保険 年金 預け金 未収・未 払金 対外証券 投資 その他 合計 89

1.64

0.00

15.06

5.59

1.31

4.23

0.47

0.15

100.00

90

1.45

0.00

15.66

5.92

1.28

4.53

0.40

0.16

100.00

91

1.69

0.00

16.12

6.44

1.23

4.75

0.36

0.13

100.00

92

1.72

0.00

17.03

6.91

1.21

3.23

0.26

0.08

100.00

93

1.80

0.00

17.58

7.27

1.24

3.09

0.14

0.08

100.00

94

1.85

0.00

18.24

7.70

1.20

2.81

0.13

0.08

100.00

95

1.78

0.00

18.52

8.11

1.15

2.46

0.19

0.04

100.00

96

1.70

0.00

18.82

8.50

1.14

2.36

0.32

0.10

100.00

97

1.83

0.00

18.84

8.91

1.10

2.35

0.30

0.12

100.00

98

1.74

0.00

18.75

9.19

1.07

2.14

0.29

0.12

100.00

99

1.75

0.00

18.14

9.47

1.02

2.04

0.28

0.15

100.00

資料)日本銀行「資金循環勘定」金融資産・負債残高表(新ベース、年度末データ)より作成。

(21)

図表2 日本の家計金融取引フロー(新ベース、年度末)(単位:兆円)

現金・流 動性預金 定期性預 金 譲渡性預 金 外貨預金 債券 投資信託 受益証券 信託受益 権 抵当証券 株式 90

-1.0

34.9

-1.0

0.0

3.8

-3.8

7.3

0.8

1.1

91

1.5

33.9

-0.1

0.0

0.6

-6.2

4.5

-0.3

-1.9

92

1.7

21.9

-0.1

-0.3

3.2

-1.8

3.1

-0.6

0.8

93

4.2

22.4

0.0

-0.1

-1.7

-0.8

1.1

-0.4

-0.7

94

6.7

26.9

0.0

-0.1

1.8

-4.7

-1.4

-0.6

-0.1

95

15.9

12.5

0.1

0.3

-3.7

4.3

-4.1

-0.3

-0.1

96

11.7

16.4

0.0

0.7

5.8

-0.3

-5.0

-0.3

-0.2

97

13.0

23.2

0.0

-0.6

-1.2

-3.3

-8.2

0.0

0.2

98

9.2

19.2

0.0

0.6

-1.3

1.5

-6.9

-0.1

-1.0

99

15.2

8.3

0.1

1.2

-0.9

2.5

-4.7

-0.4

0.1

出資金 金融派生 商品 保険 年金 預け金 未収・未 払金 対外証券 投資 その他 合計 90

-1.0

0.0

14.0

6.2

0.4

5.2

0.9

0.1

67.9

91

1.9

0.0

10.3

7.5

0.0

3.8

0.9

-0.2

56.2

92

0.6

0.0

16.0

7.4

0.2

-14.1

0.6

-0.5

38.3

93

1.1

0.0

16.4

8.1

1.0

0.3

1.4

0.1

52.3

94

0.9

0.0

13.9

7.6

0.0

-2.1

1.2

0.0

50.1

95

0.4

0.0

15.7

10.1

0.2

-2.4

0.4

-0.4

49.0

96

0.8

0.0

10.6

7.9

0.4

-0.3

0.2

0.8

49.2

97

1.7

0.0

6.4

8.1

-0.3

0.6

-0.5

0.3

39.5

98

-1.9

0.0

5.7

6.9

0.1

-1.9

0.8

0.0

31.0

99

-1.4

0.0

3.8

9.9

0.0

0.0

4.0

0.6

38.3

資料)日本銀行「資金循環勘定」金融取引表(新ベース、年度データ)より作成。

(22)

図表3 日本の家計金融資産残高シェアの推移(旧ベース、四半期)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98

定期

株式

生命保険

信託

債券

投信

(23)

図表4 日本の家計金融資産残高シェアの各資産間の相関係数(1965年-1998年)

現金・要 求払預金 定期性預 金 譲渡性預 金 非居住者 円預金・ 外貨預金 信託 生命保険 債券 投資信託 株式 現金・要求払預 金

1.000

-0.267

-0.468

-0.657

-0.883

-0.730

0.109

-0.624

0.565

定期性預金

-0.267

1.000

0.058

-0.134

0.368

-0.067

0.603

-0.455

-0.758

譲渡性預金

-0.468

0.058

1.000

0.698

0.256

0.456

-0.237

0.368

-0.266

非居住者円預 金・外貨預金

-0.657

-0.134

0.698

1.000

0.409

0.463

-0.184

0.760

-0.096

信託

-0.883

0.368

0.256

0.409

1.000

0.668

0.017

0.369

-0.694

生命保険

-0.730

-0.067

0.456

0.463

0.668

1.000

-0.695

0.541

-0.553

債券

0.109

0.603

-0.237

-0.184

0.017

-0.695

1.000

-0.444

-0.044

投資信託

-0.624

-0.455

0.368

0.760

0.369

0.541

-0.444

1.000

0.114

株式

0.565

-0.758

-0.266

-0.096

-0.694

-0.553

-0.044

0.114

1.000

資料)日本銀行「資金循環勘定」金融資産・負債残高表(旧ベース、四半期データ)より計算。

(24)

図表5 家計金融資産残高における株式のシェアとTOPIX(1部)

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

70

75

80

85

90

95

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

株式シェア(左目盛)

TOPIX(1部)(右目盛)

(25)

図表6 日本の家計金融資産残高変化率と名目GDP変化率(旧ベース、年末)

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98

家計金融資産残高

名目GDP

(26)

図表7 各国の家計および対民間非営利団体の金融資産残高

(残高)

現金・預 金 貸出 債券類 投資信託 株式 出資金 保険・年 金準備金 その他計 合計 1991 5,402,245 68,973 1,026,467 289,411 703,612 171,163 2,290,859 684,520 10,637,250 1999 7,763,012 75,801 766,375 334,185 919,816 241,182 3,794,985 483,056 14,378,412 1991 2,872 232 2,129 950 2,555 3,196 4,276 234 16,442 1999 3,385 427 3,362 3,861 8,543 4,644 10,783 339 35,343 1991 385,265 5,162 23,055 27,579 119,321 86,660 615,128 59,663 1,321,833 1999 603,096 6,591 45,902 148,482 272,133 244,003 1,520,566 74,225 2,914,998 1991 18,104 0 5,402 1,636 2,555 1,577 9,848 406 39,528 1999 24,756 0 7,084 7,375 8,957 2,826 18,543 804 70,344 1991 3,554 420 451 1,560 1,343 84 10,484 1999 5,436 242 393 1,869 1,399 7,123 4,413 589 21,464

(シェア)

現金・預 金 貸出 債券類 投資信託 株式 出資金 保険・年 金準備金 その他計 合計 1991

50.8

0.6

9.6

2.7

6.6

1.6

21.5

6.4

100.0

1999

54.0

0.5

5.3

2.3

6.4

1.7

26.4

3.4

100.0

1991

17.5

1.4

12.9

5.8

15.5

19.4

26.0

1.4

100.0

1999

9.6

1.2

9.5

10.9

24.2

13.1

30.5

1.0

100.0

1991

29.1

0.4

1.7

2.1

9.0

6.6

46.5

4.5

100.0

1999

20.7

0.2

1.6

5.1

9.3

8.4

52.2

2.5

100.0

1991

45.8

0.0

13.7

4.1

6.5

4.0

24.9

1.0

100.0

1999

35.2

0.0

10.1

10.5

12.7

4.0

26.4

1.1

100.0

1991

33.9

4.0

4.3

14.9

12.8

0.8

100.0

1999

25.3

1.1

1.8

8.7

6.5

33.2

20.6

2.7

100.0

日本 米国 イギリス ドイツ ドイツ フランス 3,072

29.3

フランス 日本 米国 イギリス

注)残高の単位は日本は億円、米国は10億ドル、イギリスは100万ポンド、ドイツは億マルク、フラン

スは10億フラン。シェアの単位は%。

資料)日本銀行『国際比較統計』(2000年)から作成。

(27)

図表8 各国の株式・出資金残高の保有者別シェア

(残高)

金融機関 非金融法 人企業 一般政府 家計・非 営利団体 海外 合計 1991

1,495,172 1,086,182

385,424

874,775

233,616 4,075,169

1999

1,856,132 1,357,614

694,612 1,160,998

980,179 6,049,535

1991

2,004

6

5,750

299

8,059

1999

9,396

115

13,186

1,523

24,220

1991

486,217

134,776

15,607

205,981

157,965 1,000,546

1999

1,469,923

417,563

9,041

516,136

754,467 3,167,130

1991

3,188

6,450

1,824

4,132

2,364

17,957

1999

21,118

18,778

2,280

11,783

9,750

63,710

1991

1,008

8,260

648

3,072

1,491

14,479

1999

7,121

12,065

1,583

8,522

6,981

36,272

(シェア)

金融機関 非金融法 人企業 一般政府 家計・非 営利団体 海外 合計 1991

36.7

26.7

9.5

21.5

5.7

100.0 1999

30.7

22.4

11.5

19.2

16.2

100.0 1991

24.9

0.0

0.1

71.4

3.7

100.0 1999

38.8

0.0

0.5

54.4

6.3

100.0 1991

48.6

13.5

1.6

20.6

15.8

100.0 1999

46.4

13.2

0.3

16.3

23.8

100.0 1991

17.8

35.9

10.2

23.0

13.2

100.0 1999

33.1

29.5

3.6

18.5

15.3

100.0 1991

7.0

57.0

4.5

21.2

10.3

100.0 1999

19.6

33.3

4.4

23.5

19.2

100.0 日本 米国 イギリス ドイツ イギリス ドイツ フランス フランス 日本 米国

注)残高の単位は日本は億円、米国は10億ドル、イギリスは100万ポンド、

ドイツは億マルク、フランスは10億フラン。シェアの単位は%。

資料)日本銀行『国際比較統計』(2000年)から作成。

(28)

図表9 個人の持株比率、株式保有比率およびTOPIX(1部)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

持株比率(左目盛)

株式保有比率(左目盛)

TOPIX(1部)(右目盛)

(29)

図表10 相対的危険回避度の計測結果

安全資産の 収益率(1年 定期預金金 利)1) 株価 (TOPIX) 実際の株価 収益率 株価の期待 収益率2) 株価の期待 収益率と安 全資産の収 益率の差 株価収益率 の分散3) 危険資産比 率4) 相対的危険 回避度 (rf) (rm) (rm)/(rm)-1-1 E(rm) E(rm)-rf (σm2) (α) {E(rm)-rf}/ σm2/α 70

5.75

161.70

0.1349

71

5.75

182.14

12.64

50.61

44.86

292.16

0.1352

1.14

72

5.25

293.96

61.39

53.99

48.74

77.23

0.1708

3.70

73

6.25

362.23

23.23

140.24

133.99

84.56

0.1182

13.41

74

7.75

308.31

-14.89

55.09

47.34

259.11

0.1061

1.72

75

6.75

315.22

2.24

57.57

50.82

347.94

0.1156

1.26

76

6.75

351.35

11.46

29.50

22.75

238.67

0.1068

0.89

77

5.25

377.35

7.40

24.00

18.75

178.54

0.0961

1.09

78

4.50

419.24

11.10

14.14

9.64

61.83

0.1009

1.54

79

6.00

452.76

7.99

33.61

27.61

28.30

0.0943

10.34

80

7.00

476.64

5.28

9.87

2.87

49.78

0.0891

0.65

81

6.25

555.37

16.52

19.41

13.16

29.07

0.0868

5.21

82

5.75

550.24

-0.92

35.14

29.39

131.06

0.0864

2.59

83

5.75

655.29

19.09

28.59

22.84

124.37

0.1042

1.76

84

5.50

825.85

26.03

45.66

40.16

52.29

0.1151

6.67

85

5.50

1001.72

21.30

41.58

36.08

389.62

0.1154

0.80

86

3.76

1356.36

35.40

22.27

18.51

92.94

0.1460

1.36

87

3.39

1956.90

44.28

87.74

84.35

416.12

0.1481

1.37

88

3.39

2165.68

10.67

55.74

52.35

596.55

0.1758

0.50

89

4.32

2599.53

20.03

34.20

29.88

245.65

0.1852

0.66

90

6.08

2129.59

-18.08

40.14

34.06

110.34

0.1322

2.34

91

5.25

1845.50

-13.34

121.15

115.90

1380.08

0.1167

0.72

92

3.88

1363.27

-26.13

39.36

35.48

472.35

0.0996

0.75

93

1.80

1522.98

11.72

62.34

60.54

527.31

0.0990

1.16

94

2.31

1608.51

5.62

67.25

64.94

678.86

0.0941

1.02

95

0.54

1381.33

-14.12

21.08

20.54

282.16

0.0930

0.78

96

0.33

1604.64

16.17

53.03

52.70

456.76

0.0876

1.32

97

0.32

1390.25

-13.36

31.70

31.38

234.44

0.0845

1.58

98

0.27

1178.73

-15.21

56.73

56.46

258.02

0.0790

2.77

99

0.13

1411.12

19.72

52.87

52.74

427.86

0.1095

1.13

注1) 出所:全国銀行協会『金融』各号。1992年6月までは日本銀行のガイドライン利率(最高限度)。   それ以降は全国銀行のスーパー定期(300万円以上1,000万円未満)の月末日を含む最終週の平均利率。 注2) 予想株価を「前年の株価+2×√(前年の株価の月次データの1年間の分散×12)」で求め、   期待収益率を「予想株価/前年の株価−1」と計算した。 注3) 株価収益率の分散は、前年の株価収益率の月次データの1年間の分散×12とした。 注4) 出所:日本銀行「資金循環勘定」。データの継続性を保つため、家計を「家計+対家計民間非営利団体   +個人企業」としている。危険資産は、株式、投資信託、外貨預金。

参照

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