2008年 1月号
●巻頭言新産業イノベーションを目指して 小島 順彦
……
1
●特集人材を問う
今のままで産学連携を担えるのか
●博士の「就職」を促進する条件 濱中 淳子……
2
●課題は若手が活躍できる場の構築 門田 淳子……
5
●国際的に通用する知財人材の育成 前田 裕子……
8
●ものづくり原理の教育モデル構築を 塩瀬 隆之……
11
●MOT(技術経営)の可能性 高谷 徹……
14
●取り組み事例① 宇都宮大学オプティクス教育研究センターに見る 「産学連携による人材育成」 鵜澤 俊一……
17
●取り組み事例② 奈良先端科学技術大学院大学が米国で職員の技術移転研修 同一テーマの講義を繰り返し理解深める 吉田 哲・久保 浩三……
20
中小企業とイノベーション
●インタビュー 上野 保氏(東成エレクトロビーム社長) ネットワークは経営資源̶コーディネート企業12 のカギ……
23
●パネルディスカッション 技術革新の担い手となる中小企業とは……
30
●九州大学発創薬ベンチャーが世界を目指す(前編) 米国で最終の臨床試験(第III
相)実施中 鍵本 忠尚……
38
●あいまいな規定多い大学の著作物管理規則 市毛 由美子……
41
●特許法第73条3項の規制緩和を! 平野 武嗣……
45
●ジェトロがベンチャー企業の海外進出を支援 荏原 昌……
48
●編集後記………
51
創刊3周年記念特大号
創刊3周年記念特大号
三菱商事株式会社 代表取締役社長
小島 順彦
(こじま・よりひこ) ●産学官連携ジャーナル◆新産業イノベーションを目指して
グローバルなレベルでの業界再編や資源ナショナリズムの台頭、ファンド資金 の流入など、世界の事業環境は急速なスピードと規模で変化している。また、地 球環境保護と持続的な経済成長の両立といった人類にとって未経験の課題も生ま れている。大きな変化の時代にあって、企業であれ、政府であれ、いかなる組織 においても、常に新しい産業・ビジネス、新しいテクノロジーといったイノベー ションへの取り組みが欠かせないものとなっている。今日の発想とやり方の延長 線上に、明日はないのである。 とは言いながら、イノベーションを日常の中で生み出すことは容易なことでは ない。何よりも自由で多様な発想とこれらを融合させる環境づくりが大切であ る。特に固定化された組織ではイノベーションを生み出すことは難しい。常に組 織の変革を行い、人材を流動化させていくことが必要である。米国のシリコンバ レーにおいて盛んに新しいビジネスが起こるのは、人種、国境を越えた有能な人 材が常に流入し、切磋琢磨(せっさたくま)を伴ったコミュニケーションの中か ら新しいイノベーションが生まれているからに他ならない。 三菱商事では、2007 年4月に 5 つの既存事業グループに加え、新たに「イノ ベーション事業グループ」「新産業金融事業グループ」を設立し、社内の多様な 人材を集結させた。これは出身母体が異なり、さまざまな業種で経験を積んでき た人材同士のインタラクションを通じ、新しいイノベーションを生み出すことを 狙ったものである。社外においては企業だけではなく、大学、研究所などとの連 携を通じ、R&D とインキュベーションを行いながら技術的イノベーションに取 り組んでいる。特に 40 年間近く続いている米国バテル記念研究所との提携と、 2004 年 7 月以来続いている東京工業大学との包括連携契約は、製造業でない商 社として特筆するべき活動であると思っている。実際にバテル記念研究所とは、 IT 分野における新規技術の開発により大きな成果を上げた実績がある。 日本の産業が国際的な競争力を維持していくためにも、組織間の壁を取り払 い、国全体としてイノベーションを生み出しやすい環境を整えていかなければな らない。特に縦割りの意識が強い日本において、産学官の連携は大きなブレーク スルーになるものと思っている。博士の「就職」を促進する条件
「博士採用を経験してみること」と
「博士能力の実証データ蓄積」
今のままで産学連携を担えるのか
特 集
博士の就職問題が注目を集めている。博士号を取得しても、就職先が見 つからない。ポスドクになれたとしても、任期が切れた後のことまではわ からない。身分が定まらず、漂い続ける博士が増えている。◆大学院拡大政策の影響
その背景には、政府が推進した大学院拡大政策がある。1991 年、文部 大臣の諮問機関だった大学審議会は、大学院生数を 2000 年までに 20 万 人に拡大させる必要性を主張した。当時、大学院生の数は 10 万人弱だっ たので、10 年間で2倍の規模にするという計画である。そして、その計画 は見事に実現し、その後も拡大は続いた。ところが他方で、企業側に大学 院修了者に対する需要があったかといえばそうではない。「政府に誘導され ながら生じた大学院の量的拡大」と「伸び悩んだ修了者に対する社会的需 要」。この2つが相まって、就職できない博士が増大することになった。◆博士を企業に就職させる施策
せっかく育てた博士が活躍できない。予測できた結果ともいえるが、現 実となった事態を目の当たりにして、この数年、政府や大学は対策に乗り 出し始めた。博士に活躍の場を与えなくてはならないが、大学や研究所に おけるポストの増加は見込めない。ならば、博士を企業に就職させる施策 を講じるべきであろう。そのような考えによるさまざまな取り組みが試み られている。 例えば文部科学省は、2006 年に「科学技術関係人材のキャリアパス多 様化促進事業」を立ち上げた。若手研究者の進路を産業界へつなぐための 計画を募集し、審査をパスしたものに予算をつけるというものである。既 に 12 の機関が採択されているが、これらの機関を中心に具体的な支援策 が始まっているようだ。新聞によると、事業に採択された大学や学会に よって、博士のキャリアを考えるセミナーが開催されている。また、博士 の就職を支援するセンターがいくつも設立されているし、そのセンターを 中心に、企業と学生の「お見合いの場」も設けられている。 望ましい変化だと思う。大学研究者になりたいという夢を抱く博士課程 学生の考えは変わりにくいかもしれないが、情報を与えていくなかで、そ 濱中 淳子 (はまなか・じゅんこ) 独立行政法人 大学入試センター 研究開発部 助教 大学院生が大幅に増えたのに、その社会的需要は伸び悩んでいる̶就職できない博士の増大問題。「博士= 使えない人材」という企業に映る図式は再考の余地があると、濱中淳子氏は指摘する。最近の大学院生は、 忙しい大学教員に代わり多くの事務作業をこなし、かなりの程度の事務能力やコミュニケーション能力を備 えているのではないかとも述べ、企業に「とりあえずの博士の採用」を勧める。してこうした取り組みの存在自体を知ることによって、企業への就職を考 える者は増えていくだろうし、実際、増えているようにもみえる。だが、 忘れてはならないのは、博士の民間就職を実現するためのいまひとつの重 要な要因があるということである。いうまでもなく、就職は「就職を希望 する博士」と「受け入れる企業」のマッチングが成立することによって決 まる。つまり、いくら博士側の志向が変わろうが、いくら「お見合いの場」 が増えようが、企業が博士の受け入れに積極的にならなければ、事態が好 転することはない。
◆依然多い博士採用抑制
しかし、その企業の姿勢をみる限り、やはり解決までの道のりは遠いと 感じられる。文部科学省が 2007 年2∼3月に実施した調査によると、研 究開発従事者採用で学士や修士の採用を増やそうと考える企業が2∼3割 あったのに対し、博士やポスドクを増やそうとする企業は1割未満にとど まっている。博士の採用を控える企業は依然として多い。おそらく、企業 にとって博士は「使えない人材」として映っているのであろう。 企業の主目的は利益を上げることにあるのだから、博士を使えない人材 だと判断する以上、採用しないのは当然のことである。ただ、ポスドクを 経験した1人として、そして大学院について研究をしてきた者として指摘 させてもらえば、この判断には疑わしい部分がある。つまり、「博士=使え ない人材」という図式には再考の余地があるように思われるのである。2 点ほど言及しておきたい。◆コミュニケーション能力も高めている
第1に、博士の能力についてであるが、さまざまな言説から、企業側は 次のように認識しているととらえられる。「博士は自分の専門については精 通しているのだろうが、それが仕事に直結するわけではない」「大学院教育 で視野が狭くなっているだろうし、仕事の現場で必要な能力が低下してい る可能性もある」等々、「大学院生=実務で使えないオタク」というレッテ ルが貼られている。多かれ少なかれ正しい見方なのかもしれないが、偏見 も含まれているように思う。 数年前、工学系卒業生を対象にした調査データを分析したことがある。 それによると、大学院生は深く狭いテーマを追究していくなかで、専門基 礎知識を定着させ、語学能力を補強し、コミュニケーション能力も高めて いるという傾向がうかがえた。これは実証データによる知見だが、経験か ら補足しておきたい点もある。すなわち、最近の大学院生は、多忙化した 大学教員に代わって多くの事務作業をこなしている。書類の作成や連絡係 などの雑務を積んでいる。いまの博士は単なる「オタク」ではなく、かな りの程度の事務能力やコミュニケーション能力を備えているはずである。◆企業による博士育成の可能性
第2は、博士の評価基準についてである。もし、博士が企業にとって使えない人材なのであれば、企業が育成すればいい。そのように思えるのだ が、この考えは一般的ではないようだ。学部卒の採用については、企業側 に「自らが育てる」という意識のもとで行われている傾向がある。人事部 には「大学教育には期待しない」という者もいるぐらいである。けれども 一転、博士となると、育成対象から外され、即戦力であることが重要視さ れてしまう。直前まで学校組織に所属していた者が即戦力になるはずがな い。企業で働く博士には、企業による育成が必要である。この狭すぎると もいえる基準については、見直しが求められるようにも思う。 さらに付け加えると、企業による博士育成効果は、考えられている以上 に大きい可能性がある。数少ない博士採用企業の関係者の話によると、博 士ほどの学習能力があれば、分野を異にする就職をしても、3 カ月もあれ ば「かなり使える人材」になるという。 誤解を避けるために述べれば、企業を責めたいのではない。問題の解決 には企業側の博士受け入れが必要であるが、企業は博士採用に消極的であ る。その背景には、博士の能力やその可能性に対する誤解や思い込みがあ るのではないか、ということを言いたいのである。
◆工学系修士の経験に学ぶ
時代をさかのぼれば、1960 年代半ばに工学系修士課程が急激に拡大し たことがあった。いまでこそ評価が高い工学系修士だが、はじめからその 就職が順調だったわけではない。当時の事情を知る者によると、修士課程 拡大によって旧帝大クラスの工学部学生が大学院に進学するようになり、 企業は修士を採用せざるを得なくなった。そして雇ってみてはじめて修士 の意義を実感し、積極的な採用活動を展開するようになったという。 いま、博士についても「とりあえずの採用」が実現すれば状況は変わる だろうか。工学系修士のように評価の向上が起き、「就職」の道が広がる可 能性もあるのではないか。このように考えると、問題解決のためには 2 つ の条件があるように思う。1つは、企業が博士の採用を経験してみること、 いまひとつは、企業が安心して博士採用に取り組めるよう、博士の能力に 関する実証的なデータを蓄積することである。後者は私たち教育研究者や 大学関係者が、重要であるにもかかわらず、十分に取り組んでこなかった 課題である。 博士の就職は、博士個人のみならず、研究者コミュニティー、ひいては 社会全体の問題である。難しい問題ではあるが、解決のためにできること はまだ残されているようにも思う。産学官それぞれの取り組みによって少 しでも事態がよくなることを期待したい。課題は若手が活躍できる場の構築
現場で鍛え人間力を付ける
今のままで産学連携を担えるのか
特 集
産学官連携において、人材育成は最も重要な課題である。人材育成につ いては取り上げられて久しく、その重要性と必要性において関係者の合意 はあるものの、広範に十分な成果がでるまでにはある程度の時間を要する。◆知の社会還元は第3の使命
特に大学関係者や TLO にコーディネータ(以下、CD)のコーディネート 力やノウハウの向上を求める声が多いのでは、と言われている。「教育」と 「研究」に加えて大学の第 3 の使命として「日常的産学連携の推進による 知の社会還元」が求められている昨今、大学側としても、産業界と大学と をつなぐリーダーシップのある人材の確保と育成とは急務である。 現実にはいわゆる技術 CD と言われる人の大半はシニア世代である。見 識が深い、人脈も豊富という点においてシニア世代が長けていることは言 わずもがなであるが、一方、年齢が若いということも同様に尊重すべき価値 の1つである。大学という、多様性を最も大切にすべき母体において、各人 の有する多様性と資質を最大限に活性化し活用する文化の醸成は重要だ。 若手コーディネータの活躍と育成を目指すならば、まずは、年長者が自 己にプライドを持つことである。自己の美点をさらに伸ばし、劣等感の克 服・絶対価値の向上を図り、年齢差以外の面で年少者に対して人間として 誇れる部分を持つことである。◆個の良さを活かして補完し合う
以前に、米露の国家的宇宙飛行士の平均年齢が 10 歳異なるという話を 聞いた。これは、経験値・判断力・体力・持久力・瞬発力ほか多様な選考 基準のうち優先価値が異なることに起因する差である。ここで注目すべき は、国家的規模の選考の場ですらもこれだけ価値観が多様だという点であ る。つまり、この事例は、年齢差を単純な上下ととらえるのではなく、差 異を尊重し、偏見と先入観を排除し、個の良さを活かして補完し合うこと による総体価値向上の可能性を示唆しているのではなかろうか。 「ジェネレーションギャップ」という言葉は誰でも知っているが、ひと言 で「ジェネレーションギャップ」といっても年齢の差異と世代の差異とい う 2 つの意を含む。つまり同じ年齢でも、時代が異なれば異なった思考傾 向にあるのは自明の理で、社会背景や教育環境を無視してこの問題を論ず 門田 淳子 (もんでん・じゅんこ) 東京大学産学連携本部 産学連携 コーディネーター 兼 東京大学産 学連携協議会運営本部 大学の第3の使命として知の社会還元が求められており、産業界と大学をつなぐリーダーシップのある人材 の確保と育成が急務である。若手人材は能力がないのではなく経験、気付きが乏しいだけである。現場で鍛 え人間力を付けることが必要と説く。ることはできない。見方を変えると、この二重のギャップこそが、多様性 と学びの幅の拡がりをもたらすチャンスともいえるのではなかろうか。
◆求められる視野の広い応用力
一方、大学のみならず産業界からも、創造性に長けた視野の広い応用力 のある人材を求める声は多く聞こえる。 2005 年 1 月 17 日に東京大学が立ち上げた「東京大学産学連携協議会」 に産業界の重鎮と弊校理事からなるアドバイザリーボード・ミーティング を設置しているが、この会議において、これまで最も多く話題とされてき たことは、人材育成についてであった。 産業界からは、広い応用力、視野、問題発見・解決力、マネジメント能 力、コミュニケーション能力を有する人材が求められているが、筆者も、 実際に 2003 年 2 月の着任時より、常に学生を秘書として雇用してきてお り、確かに産業界からのご指摘を待たずして学生の創造性・自発性のなさ に愕然(がくぜん)としたのは記憶に新しい。 しかしながら、彼らには能力がないのではない。あくまでも、気付きあ るいは経験がないだけである。特に、優秀な学生は、叱られた経験、挫折 体験に乏しく、従って、自己を見つめ再構築する機会に恵まれない場合が 多い。だが、仕事の現場で求められる能力は、「よーい、どん」で決められ た課題を訓練された手法で速く正確に解くというのとは異なり、別の思考 回路の活性化と実践による経験値の向上が必要となる。よって、筆者のも とでは、その場その場での細かい叱り学を元に指導しているわけであるが、 最初は叱られることに対してピンとこない顔をしている学生も、時を経る につれ、やがてしっかりとその意味が理解できるようになると、自発的な 気付きの部分が拡がり、そこからは伸びが著しいから不思議であり頼もし い限りである。◆考える力を伸ばす自発的気付き
おおむね、彼らに欠けているのは知識や資質ではない。それよりも、考 える力、そしてそれを伸ばすための自発的気付きである。気付くと、調整 力、洞察力、観察力、自発性、コミュニケーション能力、創造性、忍耐力、 問題発見力、解決力などが総じて飛躍的に向上する。極端な話、知識は後 からでも付いてくる。人間力が付けば、面白いように他の分野でも成果が でるから不思議であり、これはわが門田塾の学生に共通する成長であり、 若者にとって、まずは自己を見つめ直し再構築する機会が必要であるとい うことを実証している。 やはり、大切なのは、現場で鍛えられること、現実に課題に直面するこ とによって磨かれる力の大きさである。つまり、教室での学びだけでは社会 に通用しない面があり、その点、インターンシップ等の場の効用は大きい。◆変わり始めた大学
産学官連携の場において、若手人材が活躍できるような場を構築することは重要な課題でもあり、また人材の流動化が円滑になされるようなしく みを国全体として作っていくことも必要である。 資源小国でかつ少子高齢化が顕著なわが国にとって、知的財産と人材と は宝である。ゆとり教育の負の成果の補填もさることながら、知識を持つ だけでなく、その知識をいかに活用できるかの方がさらに重要なのであっ て、その活用能力のある若者を育てて行かねばならない。 これは、産学官の共通の課題であり利益である。 求める人材像としては、価値を広いところに置く人間である。短絡思考、 短期的視野ではなく、長期的視野、広範な視点に立って物事を判断し遂行 できるような人間、リーダーシップを有する人間の育成である。リーダー シップとは、強靱(きょうじん)な精神力と状況把握力である。得てして、 視野の狭い人間、弱い人間ほど、ほんの自己の周囲の他者との比較で勝と うとするが、何と愚かしいことか。愚者は勝つために戦うが、賢者は闘う ために克つものである。競争相手は自己の内面にこそあるということを忘 れてはならない。無論、資本主義社会における競争の原理を無視しては現 実の経済社会で生きては行けないが、それでもなお、やはり真に豊かな社 会生活、人生を送るためには、人間性を保ちバランスを失わずに生きて行 きたいと願わずにはいられない。 つまるところ、産学官いずれにおいても、求められる人材の能力は、広 い視野、バランス感覚、調整能力、公正公平な視点、多様な価値観を受け 入れ咀嚼(そしゃく)できる能力、人への優しさ、思いやり、私心無く自己 を成長させ組織に貢献する力であり、組織はそれを活かせるような文化を 醸成する必要があろう。 大学は、今まさに変わり始めたばかりである。
今のままで産学連携を担えるのか
特 集
国際的に通用する知財人材の育成
専門知識を基点に「他の技術」
「海外」
「マーケット」を学ぶ
ひと口に知財人材といっても、知財にかかわる仕事は多種多様である。 企業で自社製品を生み出すべく特許を担当している方、特許庁へ出願する ための明細書を作成する弁理士、特許庁で審査・審判を担当している方、 特許調査やコンサルティング等にかかわっている方のほか、最近は大学の 知財関係者なども増えてきた。 どの職種も技術の専門知識と知的財産権の知識を必要とすることはいう までもない。最近は、国内だけでなく世界中で通用する特許を有すること が必須であり、平成 19 年 11 月 20 日に開催した大学知的財産研修会(主 催:文部科学省、東京医科歯科大学)の中で「国際的に通用する知財人材 育成」に関するパネルディスカッションを行った。そこでの議論も盛り込 み、大学における国際知財人材養成について述べる。◆産業界に有用な特許創出が重要
知的財産推進計画 2007 でも「ライフサイエンス分野における基本特許 の創出・保護・活用の在り方」が語られているように、基本特許を生み出 すことが非常に大事である。わが国全体の研究者の 3 分の 1 は大学の研究 者で、5分の1の研究費を大学が使っている。したがって、大学で基本特 許を生み出すこと、特に、論文をそのまま特許にするのではなく戦略的にク レーム範囲を広げ、有益な特許を創出することが重要になってくる。 大学は製品を自分で作るわけではない。産業界へ橋渡しするため各分野 の技術に精通した目利き人材を大学に配置することが急務である。◆深刻な人材不足、養成が急務
知財における人材は不足している。とりわけ大学において深刻だと言わ れている。前述のように、大学の特許を産業界で使っていただかなければ いけないので、コミュニケーション能力は必須。違う技術分野のところへ 持っていく多様なスキル、文化の異なる大学と企業を橋渡しする柔軟性も 必要になってくる。バイオテクノロジー、ライフサイエンス分野の人材不 足はことさら深刻で、その養成が急がれる。◆自分の力で掘り下げる能力
知財の目利きとはどのような人材か。絵で表したのが図1である。縦の 前田 裕子 (まえだ・ゆうこ) 東京医科歯科大学 知的財産本部 技術移転センター長、特任准教授 大学の特許を産業界に橋渡しするため、多様な技術に精通した目利き人材を大学に配置することが求められ ている。東京医科歯科大学は産業界から優秀な人材を募り、スキルアップするスタイルを取っている。講義 はバイオテクノロジー、パテント、バイオビジネスの3本柱。米国大学ロースクールでの研修や米国弁護士 事務所でのインターンシップも行っている。細いラインが、深い専門知識を持っている人 (博士号取得者等)を表す。目利き人材はこ ういう方ではなくて、ライフサイエンスに関 する専門知識と、他の技術分野(化学・IT 等) の知識を併せ持つ人だ。また、法律の知識も、 さらに市場に関する知識も持っていなければ ならない。 図 1の左下に書いたように、実社会のニー ズをくみ取り、必要に応じて直面する課題を 自らの力で掘り下げられるポテンシャルのあ る人材である。
◆マーケットに関する知識習得を重視
東京医科歯科大学は平成 15 年に知的財産本部を発足させた。特許創出 のみならず研究者のよろず相談窓口的機能を有しており、特許請求範囲の 拡大や特許マップによる研究戦略の支援、共同研究(受託研究)先の探索、 競争的資金獲得の支援、さらには特許のライセンス業務を行ってきた。平 成 16 年からは、ライフサイエンス分野における知的財産の目利きを養成 するプログラムを実施して、人材の輩出に寄与してきた。 本学における目利き人材養成を紹介させていただく。目利きの養成なの で、基礎的な特許法の講義や、技術の専門の勉強をする場所ではない。何 らかの専門家にそれ以外の知識をつけてもらうことが幅広い知見を実現す ると思ったので、産業界へ広報することに力を入れ養成者を募った。質の 高い人材を募集し、その方たちにスキルを高めてもらうスタイルを取って いる。おかげさまで毎年、募集枠の2倍から5倍以上の応募がある。弁護 士、弁理士、大学教授、特許庁の審査官にも大勢受講していただいており、 どちらが先生だろうというような状況で授業を行っている。 ライフサイエンスの目利き養成なので、何よりも習得すべきはこの分野 の専門知識、そして知的財産権の知識。日本の知識は当然ながら、欧米の 知識も必要。社会のニーズを踏まえるという点で重視しているのがマー ケットの状況で、ここに一番時間をかけている。さらに、ライフサイエン ス分野独特の必要事項として、生命倫理や利益相反の講義も入れている。◆米国ロースクールの研修や米国特許弁護士事務所でのイン
ターンシップも
このことを考えバイオテクノロジー(実習含む)、パテント、バイオビジ ネスの 3 本柱で講義体系を組み立てている(表1は平成 18 年度の 66 時間 分の授業)。これらの講義の他に、シンポジウムや特別講演会を年5∼6回 行い(なるべく海外からの講演者)、旬の話題や海外の情報を吸収できるよ うに努めている。 目利き養成には OJT が大変重要なので、特許マップの研修や特許情報雑 ・必要なのは「実社会のニーズに合った」人材。 ・博士資格にこだわりすぎることのマイナスを回避。 ・一方で、必要な場合自らの力で掘り下げが可能なポテンシャルの 必要性を認識。 実社会から求められる 目利き人材 必要な場合、 自分の 力で掘り下げが可能 (「相当」の人材) 博士資格等の専門家 狭 い 専 門 知 識 ライフサイエンスに関する広範な知識 図1 目利き人材に求められるもの誌『ライフサイエンスレポート』の編集、さらには、ワシントン大学ロー スクールのサマースクールに東京医科歯科大学オリジナルバージョンをつ くっていただき米国大学ロースクールにおいて3週間の研修や、米国特許 弁護士事務所での1∼2カ月のインターンシップを行っている。余談だが、 OJT として本学知財本部で 10 カ月インターンシップを経験し、本学の職 員になっていただいた方もいる。 このように実践的な経験を積むことで、大学の知財本部や TLO、ベン チャーキャピタルのような産学連携による技術移転を、高レベルで効率的 に行うことができる人材が育てられるのではないかと思う。
◆大学における目利き人材雇用体制確立を
人材養成に関連する大きな課題は大学における知財(目利き)人材雇用体 制の確立であると考える。特に、若年層の安定雇用、処遇改善がないこと には、「大学知財部門」に対する若い人の関心を呼ばないし、育てても大学 にとどまってもらえない。この研修会で、ワシントン大学ロースクール教 授の竹中俊子先生が米国でも優秀な人材が条件の良いところに引き抜かれ てしまうことが頻繁にあると述べていたが、養成された人材を上手に活用 できる仕組みを作ることこそ重要である。 技術の理解はさることながら、コミュニケーション能力、ネゴシエー ション能力、柔軟性のすべてを併せ持つ人材を大学が雇用することについ て、みんなで考えていかなければならない時ではないかと思う。 パテント講義 特許法一般①②日本国特許法 11月2・7日 廣田 浩一(山の手合同国際特許事務所 所長) 9回、計18時間 特許法一般③契約一般 11月9日 野間 自子(三宅坂総合法律事務所 パートナー弁護士) バイオ特許実務①② 11月14・16日 橋本 一憲(東京医科歯科大学特任助教授 弁理士) 生命倫理 11月21日 児玉 安司(三宅坂総合法律事務所 パートナー弁護士) 利益相反 11月24日 平井 昭光(レックスウェル法律特許事務所所長 弁護士・弁理士) 特許法一般④⑤米国・欧州特許法 12月4・5日 服部 健一(Westerman,Hattori,Daniels&Adrian,LLP 米国特許弁護士) バイオビジネス バイオ特許戦略① 1月9日 長井 省三(日本製薬工業協会知的財産部長 弁理士) 講義・演習 バイオ特許戦略② 1月11日 南条 雅裕(ファイザー株式会社知的財産部特許室長 弁理士) 10回、計20時間 バイオベンチャー①② 1月16・18日 黒石 真史(ウォーターベイン・パートナーズ株式会社 代表取締役パートナー) バイオベンチャー③ 1月23日 五十嵐 義弘(野村リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社主任研究員 弁理士) バイオベンチャー④ 1月25日 川口 竜二(早稲田大学教授 先端科学・健康医療融合研究機構戦略マネジメント研究所) バイオ産官学連携① 1月30日 長尾 秀樹(日本政策投資銀行新産業創造部 審議役) バイオ産官学連携② 2月1日 前田 裕子(東京医科歯科大学知的財産本部技術移転センター長) バイオコンサルティング全般① 2月6日 白井 達郎(株式会社産学共同システム研究所 代表取締役) バイオコンサルティング全般② 2月8日 清水 初志(清水国際特許事務所 所長) バイオテクノロジー バイオテクノロジー講義① 2月15日 田中 光一(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) 講義 バイオテクノロジー講義② 2月20日 伊藤 暢聡(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) 8回、計16時間 バイオテクノロジー講義③ 2月22日 清水 正人(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) バイオテクノロジー講義④ 2月27日 影近 弘之(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) バイオテクノロジー講義⑤ 3月1日 田中 博(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) バイオテクノロジー講義⑥ 3月6日 村松 正明(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) バイオテクノロジー講義⑦ 3月8日 鍔田 武志(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) バイオテクノロジー講義⑧ 3月13日 萩原 正敏(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部・生命情報科学教育部教授) バイオテクノロジー バイオテクノロジー演習①② 3月17・25日 原 諭吉(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科教授) 演習 3回、計12時間 バイオテクノロジー演習③ 3月24日 川口 竜二(早稲田大学教授 先端科学・健康医療融合研究機構戦略マネジメント研究所) 分類 講義タイトル 日程 講師名(肩書き) 表1 H18年度 ライフサイエンス分野知財評価員養成制度 人材育成プログラム今のままで産学連携を担えるのか
特 集
ものづくり原理の教育モデル構築を
◆はじめに
団塊世代の熟練技能者が大量退職をはじめる 2007 年問題をはじめ、日 本の経済成長を支えてきたものづくり国家としての基盤を揺るがす危機が 迫っている。コスト至上主義の下、相次ぐ工場の海外移転やものづくりの アウトソーシングが繰り返され、製造技術の空洞化が加速した。さらに教 育訓練費はこの 20 年で 1,000 億円も目減りするなど、人材育成投資の減 少に歯止めがかからず、企業単体での対応はすでに限界を超えている。官 が音頭をとって中小企業のものづくり人材育成に産学を挙げて取り組む事 例が増えている背景はここにある。大学など高等教育研究機関にとっても 団塊ジュニア世代の入学をピークにこの 10 年で 25%も 18 歳人口が減少 しており、職業専門大学院や社会人大学院の拡充へとつながる新たな教育 需要の開拓として同事業は歓迎された。 しかし産学のニーズが一致した同連携事業にも多くの課題が残る。企業 としては人材育成を急務としつつも、実際に本業を支える基幹技術の外部 漏えいを恐れて技術の全面開示には踏み切れていない。日常の業務が忙し く、ラインからはずれて座学を習わせに大学へ派遣するなど思い切った人 材配置も難しい。他方、教育の体系化や教授法などノウハウの提供を期待 された大学も、これまで 18 歳からせいぜい 27 歳までの学生に対して培っ てきた教育教授法を幅広い年代の社会人に改編する作業に戸惑いを隠せず にいる。大学入試や学部共通科目の受講で横並びになった学生向けのカリ キュラム策定とは大幅に異なり、多様な背景で集まった社会人それぞれの 高いモチベーションにしっかりと応えなければならない。また、これらを 支援する立場としての官は、産業界と学界の橋渡し成功事例のモデル展開 を図るも、相互の個人的人脈に依存してきた連携事例をどのように一般化 すべきかに課題を残すなど、産学官それぞれの思惑が微妙なズレを露呈し つつ手探りが続く。◆背景
国際競争力ランキングで知られるスイスの国際経営開発研究所(IMD: International Institute for Management Development)によれば、日本の国 際競争力は 1992 年に総合1位の座を得た後、年々その位置を下げ、2007 塩瀬 隆之 (しおせ・たかゆき) 京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 助教 団塊世代の定年退職が始まる 2007 年問題に象徴されるように、ものづくり技能を次世代にどう伝えていく かはわが国の大きな課題。人材育成に取り組んでいる産学官それぞれの思惑にも微妙なズレがみられる。筆 者は、ものづくり技能が伝わらない本質的な理由は「何が熟練技能なのか」「なぜ伝わらないのか」など問題 の構造を体系的に整理する視点が欠けていることと指摘し、20 年後を見据えたグランドビジョンの策定を 提言する。年現在 24 位と低迷している。研究開発支出や特許取得など科学技術イン フラで2位と高位につけていながら、結果として後塵を拝している原因に は、全 55 カ国中でビジネスの効率性が 27 位、生産性や効率性が 42 位と 低評価にとどまっている点が挙げられる。さらにここから基盤としてのも のづくり技能までもが失われてしまえば、日本の国際競争力は見る影もな くなってしまう。IMD ランキングそのものは、データ収集法の偏りや解釈 にも賛否あり、その結果をうのみにすることはできないが、少なくとも低 位に評価された内容については再考の余地がある。特に大学教育が経済競 争にマッチしているか、起業家精神が普及しているかなど技術マネジメン トの非効率性が指摘され、これに堪えうる人材不足の感が否めない。 産学連携によるものづくり人材育成は、この大学教育を経済競争にマッ チさせる試金石として期待されるが、これに先んじて起業家精神の普及と して期待された産学連携による幾多のベンチャー起業支援策は必ずしも大 きな成果を挙げたとは言えない。ベンチャー企業の種苗床と期待された大 学では起業の意義すら問われぬまま新規起業数ばかりが競って取り沙汰さ れ、たまたま発明された単発の先端技術から即起業したベンチャー企業 が、助成期間の終了とともに失速するケースも少なくない。対比的に、世 界最大のベンチャー製造機関と評される米国スタンフォードにある独立研 究ネットワーク・メディア X や、米国や日本以上に IPO(株式新規上場) 企業数も多いドイツの大学近接研究所アンインスティテュート(Institute an der Universitat)では、単に起業を意識した仕組みというよりはむしろ、 トップクラスの研究者が最先端テクノロジーに触れる現場で、産学双方の 次代の研究者を育成する産学を通じた人材育成に大きく配慮されている点 が特徴である。
◆現状と課題
ものづくり技能が伝わらない本質的な理由は、結局のところ「何が熟練 技能なのか」、「なぜ伝わらないのか」など、問題の構造を体系的に整理す る視点の欠如である。例えば、雇用削減などに起因する組織内人口ピラ ミッドの歪(いびつ)さや異なる世代教育を背景とした価値観の差異を技能 継承失敗の言い訳とすることは本末転倒である。技能が個人の資産か組織 の資産か不明瞭なまま、熟練者に技能開示のインセンティブがないことも 問題である。産学連携による人材育成カリキュラムの策定においては、大 学内の既存のカリキュラムの改編が先行し、現場での先端技能の抽出や熟 練者から技能を教育循環モデルに投じる中での知的財産権保護に関する整 備など、産学連携で密接に先端技術を論じる体制が十分でない。 そして機械加工に限らず、ものづくり技術のそこかしこにデジタル化技 術が浸透している時代背景も問題を複雑化している。デジタル化技術はも のづくりの精度を高め、加速し、効率化を促す。しかし同時にそのプロセ スを隠ぺいし、見習い技術者からものづくり原理を隠匿した。ものづくり 技能は、例えば機械加工においてもほとんどがブラックボックス化された コンピュータ制御の工作機械の電子制御であり、手に油を付着することなくプログラムコードだけでモノを削り、組み付け、仕上げる時代に入って いる。機械加工の原理、切削原理を知り、プログラマブル加工機への変遷 を乗り切った熟練技能者と、座学で学んだ機械原理の上にプログラムコー ドの打ち込みのみをひたすらに実戦経験として積んだ次代の技術者とが現 場に共存している今が正念場である。ものづくりの原理を知る熟練技能者 が退職し、ブラックボックスの加工機を使いこなしながらもリアリティー を欠いたままものづくりを続ける技術者だけが現場に取り残されたとき、 本当の課題が表面化する。
◆提言と展望:21世紀の式年遷宮
提言すべきは、徹底した原理への回顧と 20 年後を見据えたグランドビ ジョンの策定である。ともすれば機会主義的な、場当たり的な対策が乱立 する中、わが国の国際競争力を担う基盤技術を継承する仕組みづくりがた かだか数年で循環モデルとして自立するものとは考え難い。何年後に、ど こへ、何の技能を残すのか、そのグランドビジョンがどこにも存在しない ことが一番の課題である。どの業界に人が不足していて、どの程度の数の 人材が本当に求められているのか、業界全体を俯瞰(ふかん)しなければ見 えてこない。 産と学にはまだそれぞれ異なる思惑があり、その溝は容易には埋まらな い。そしてその溝は連携の成果をあいまいにする。本当に必要な支援は、 多様な成果の共存並立を受容することではないか。短期的な数値上の成果 に目を奪われるのではなく、少なくとも 20 年先を見据えた中長期的なも のづくり原理の教育モデルをつくっていく必要がある。奇しくも 20 年に 一度、お宮を建て替え、御装束・御神宝をも新調する式年遷宮は、時代時 代を代表する伝統技能の職人技を1カ所に集めることで 1,200 年もの長き にわたって伝統と文化、その時代の価値観を継承した。ものづくり技能を 宝物殿ではなく産業界や学界へと還元する新しい循環モデルとなるような 21 世紀の式年遷宮を創出すべきときである。今のままで産学連携を担えるのか
特 集
MOT(技術経営)の可能性
各プログラムが自らの特徴を認識し情報発信を
◆MOT人材育成の現状
わが国において MOT(技術経営)が注目されたのは、わが国の企業が、 優れた技術を持ちながらもそれを経済的価値に結び付けられていないので はないか、という問題意識が背景にあった。 これを解決すべく、MOT を実践できる人材の育成が期待された結果、現 在国内には約 70 のプログラムが存在している。これらは、提供主体から 見ても、大学、大学以外の民間教育機関がある。大学が提供するものには さらに、専門職大学院が提供するもの、既存の大学院修士課程によるもの、 博士課程によるものがある。内容やレベルについても、全体を網羅しよう とするもの、知的財産などに特化したもの、中小企業向けのもの、入門的 な内容のもの、エグゼクティブ向けのものとさまざまである。 これら独立したプログラム以外にも、自ら講師を招く、あるいは外部の 研修機関を利用するなどして社内で MOT の研修を行っている企業は多い と考えられる。◆MOT教育プログラムの評価・認定制度の検討
平成 14 年度から進められてきた経済産業省の MOT 関連事業*1では、 MOT 教育プログラムの評価・認定制度についても検討を進めてきた。これ は、MOT 人材育成の量的な拡大を図るだけではなく、質の向上も図る必要 がある、という考え方によるものである。 人材の流動性が高くないわが国で MOT の人材育成を拡大していくため には、仕事を続けながら学ぶことができるシステムが不可欠である。その ためには、フルタイムのプログラムだけでなく、夜間・休日主体のプログ ラム、短期集中型のプログラムなど、多様な学習手段が提供され、必要に 応じて段階的に学んでいく「アラカルト学習」を実現することが大切であ る。したがって質の保証を考える上では大学によるプログラムも民間教育 機関によるプログラムもすべて考慮する必要がある*2。 また、MOT 教育プログラムの提供側、利用側のニーズに応える制度を目 指した。プログラムの利用者側は、プログラムの選択基準を求めており、 段階的に学ぶ環境が欲しい。また、修了した暁には、その能力を証明でき ることが望ましい。プログラムの提供者にとっては、自らが質の高いプログ ラムであることのアピールが重要であり、すべての内容を自らが提供するの 高谷 徹 (たかや・とおる) 株式会社三菱総合研究所 科学・ 安全政策研究本部 主任研究員 経済産業省は現在約 70 ある MOT(技術経営)教育プログラムの評価・認定制度づくりに取り組んでいる。 まだ試行評価の段階だが、浮かび上がってきた課題は、各プログラムの実施機関が自らの特徴を産業界に十 分訴求できていないことである。 *1:経済産業省から株式会社 三菱総合研究所への委託事業。 *2:大学本体は 7 年に1度、専 門職大学院は 5 年に1度の「認 証評価」を受けることが法律で 義務づけられている。専門職大 学院の認証評価とは、文部科学 省によって分野別に認証された 機関によって行われる評価であ る。ただし、民間教育機関によ る非学位プログラムについては 現状、質を保証する仕組みがない。ではなく、プログラム間で相互補完し たいというニーズもある。そして、両 者に共通のニーズとして、MOT を学ぶ とメリットがあるということを明らか にすることも大切である(図 1)。 こうした検討の結果、(個人ではな く)教育プログラムに対する認定を核 とした制度が望ましいとの結論を得た。 質の高いプログラムを認定すれば、ど のプログラムの質が高いか明確になり、 そのプログラムを修了した人材の能力 証明にも活用できる。また、認定した プログラム間で、学んだ内容を単位等 として認める履修免除を実現すれば、アラカルト学習や相互補完も実現で きる。さらに、これらのプロセスを通じて情報公開も進むことが期待でき る。もちろん、この「認定」は強制されるものではなく、希望したプログ ラムのみに実施される任意のものであり、その点ではこの制度自体も外部 から評価される仕組みになっているといえる。
◆試行評価の概要
経済産業省委託事業では、将来的な認定制度の実現を目指し、認定の判 断基準となる認定基準、MOT 教育ガイドライン等の整備も進めてきた*3が、 実現に向けた準備段階として、認定をするかしないかを判断する「認定」 ではなく、「評価」を以下の手順で試行的に実施した。 1.対象となるプログラムは、自ら基準に適合していることを示す自己 点検書を作成する。 2.産業界、教育プログラム関係者、MOT 教育プログラムの修了者から なる「評価チーム」を対象プログラムごとに編成する。 3.「評価チーム」が自己点検書による書類審査を行った上で、対象プロ グラムを訪問して審査し、所見を作成する。 4.自己点検書の内容、所見の内容をウェブサイトで公開する。 平成 18 年度は、20 のプログラムに対して試行評価を実施し、その結果 を「MOT 教育プログラム情報サイト」*4として公開した。平成 19 年度は 約 10 のプログラムに対して試行評価を進めており、これも終了後に結果 を公開する予定である。◆試行評価の結果から見るMOT教育プログラムの課題
試行評価を実施しての感想は、各 MOT 教育プログラムは質の高低の前 に、「違う」ということであった。比較的均質な高卒者、学部卒業者を対象 とするのではなく、社会人を対象としているため、受講者の業種、職種、 年齢、そして、目指すべき MOT 人材像もさまざまである。 問題は、その違いや特徴が十分に産業界に訴求できていないことである。 MOTプログラムのメリット確認 受講すればコストに見合うメリ ットがあるのか知りたい プログラムの選択基準 どれが良いMOT教育プログラ ムなのか知りたい アラカルト学習の実現 仕事を続けながら段階的に、 アラカルト形式で受講して体系を 学びたい MOT人材の能力の証明 MOT教育を終了した場合、 それを産業界に対して、客観的に、 簡潔に証明したい 需要主体 ニーズ 求められる対応 ニーズ 供給主体 受講希望者 修了者 + 産業界(企業) 大学 民間教育機関 企業内教育 情報公開 プログラムに 対する認定 履修免除 個人に対する 資格 MOTプログラムの受講メリット 訴求 受講がコストに見合うメリットが あることを訴求したい 良いプログラムであることの証明 質の高いプログラムを提供してい ることを訴求したい 相互補完によるプログラム提供 他のMOT教育プログラムと相互 補完可能にしたい (基礎的な知識教育提供は外部 に任せたい) *3:経済産業省. 効果的な技 術経営人材育成に向けた「技術 経営(MOT)教育ガイドライン」 の検討について .(オンライ ン),入手先 <http://www.meti. go.jp/press/20060811001/ 20060811001.html>,( 参 照 2007-11-26). *4:株式会社三菱総合研究所. MOT 教 育 プ ロ グ ラ ム 情 報 サ イト . (オンライン),入手先 <http://www.mot-info.jp/>, (参照 2007-11-26). 図 1 ニーズと求められるしくみそもそも、プログラム自身が他と比較した自らの特徴が何であるかを認識 できていない場合がある。また、どのような人材を育成するかよりも、何 を教えるかという意識が先行してしまっている場合もある。産業界にア ピールしていくためには、どのような人材を対象としているのか、そして、 育成した人材がどのような人材か、明確で特徴ある目標設定が大切である。 今回試行評価に参加したプログラムにとって、外部から評価され、また評 価チームに加わって外部のプログラムを評価するという機会は非常に有意 義であったようである。 もっとも、プログラムの完成度に差が存在することも事実である。特に、 設立間もないプログラムについてはやはり試行錯誤があるようである。た だし、社会人は、通常の大学の学生と比べて極めて要求が高い「客」であ るため、それに対応することによって改善が図られる。全体として歴史が 浅いわが国の MOT 教育プログラムには、この試行錯誤の段階を早く超え ていくことが望まれる。 その他、プログラムディレクター等の役割が存在し、教育内容も含めた プログラム全体の意思決定の責任と権限が明確になっていることも、産業 界ニーズに応えてプログラムの質を改善していくための重要な要素である ことは指摘したい。
◆これからのMOT人材育成の展望
MOT の人材育成は、プログラムの開設が相次ぐ拡大期から、定着期に移 行したと言える。 プログラムの中でも、安定的に受講生を集めているものがある一方、 受講生集めに苦労しているところもある。あらためて、MOT とは何か、 MBA とは何が違うのか、さらには他の MOT 教育プログラムとは何が違う のかを各プログラムが明確にしていく必要がある。 また、MOT の人材育成を行うとしても、日本の企業は外部のプログラム に人を送るよりも、社内の研修を好むのではないかという見方もある。内 部で研修するメリットは、短期集中型など自社で自由に内容を設計できる こと、実課題を用いた学習など社外秘の内容を扱うことができることなど が挙げられる。一方、外部のプログラムを利用するメリットとしては、体 系的に学べるほか、意欲が高い他社・他業界の人と「他流試合」をして刺 激を受けるとともに人的ネットワークを形成できることが挙げられる。 ただし、これら 2 つの手段は本来代替的なものではない。企業にとって、 教育をしたいすべての従業員を外部のプログラムに送ることは不可能であ るし、MOT を組織的に実践していくためには、MOT を体系的に学んだ人 材が核として必要となる。企業にとってはこれらの手段をどう使い分けて いくかが重要となるだろう。 現在、経済産業省の委託事業として実施している評価・認定についても、 産業界、教育機関のより一層の理解を得て自立化を目指したい。今のままで産学連携を担えるのか
特 集
取り組み事例①
宇都宮大学オプティクス教育研究センターに見る
「産学連携による人材育成」
◆はじめに
2007 年4月1日、宇都宮大学に「オプティクス教育研究センター (Center for Optical Research & Education:略称 CORE)」が開設された。キヤノンはこのセンターの設立に協力してきたが、その経緯およびセン ターの概要を紹介する。 フラットパネルディスプレイやデジタルカメラなど光学産業は現在日本 を牽引する重要産業のひとつである。通信ネットワーク、LSI 製造におけ る半導体露光装置などは IT 産業に不可欠なものであり、計測検査工程で使 われる光学機器はさまざまな産業の生産を支えている。2006 年の光学関 連産業全体の日本国内生産額は約8兆円で**1、照明用 LED や有機 EL など 新しい製品が次々登場していることから今後も大きな成長が見込まれる。
◆日本の大学における光学教育
その一方で日本の大学ではナノフォトニクスなどの特化した領域の研究 が個々には行われているが、学問としての光学が体系的に教育されていな いのが現状である。2005 年に発表された経済産業省の「産業界ニーズと 大学教育カリキュラムのミスマッチ分析」によれば、調査した4分野(バ イオ、光学、自動車、半導体)の中で産業界のニーズと大学カリキュラム とのミスマッチが最も大きいのが光学分野であった**2。その中で述べられ ているように、従来物理系で教育されてきた幾何光学、波動光学等の光学 の基礎科目が現在は全くと言っていいほど教えられていない。大学教育に おけるこの状況に対し、企業は新入社員に光学の基礎から教育しなければ ならず、企業側の負担も大きいものがある。 日本企業は激しい国際競争に晒されており常に新製品、新サービスを市 場に提供していかなければならない。そのためには技術開発を担う優秀な 人材の確保が必要であり、大学の人材育成に期待するところがますます大 きくなっている。大学卒業までにしっかりと基礎を学び知識を研究開発に 生かすスキルを身に付けることが肝要であるが、光学に関して言えば基礎 教育もなされていないのが現状である。 鵜澤 俊一 (うざわ・しゅんいち) キヤノン株式会社取締役・コア テクノロジー開発本部長 2007 年 4 月に宇都宮大学に開設されたオプティクス教育研究センターは、光学を担う人材育成と光学研究 が目的である。キヤノン株式会社が提案し、その設立に協力した。光学は人材ニーズと大学のカリキュラム のミスマッチが大きい分野の 1 つ。産学連携で光学教育に取り組む同センター設立の経緯とその概要を紹介 する。◆宇都宮大学との連携
こうした現状にかんがみ、キヤノンは光学を担う人材育成と光学研究に 大学と連携して取り組むこととした。キヤノンは半導体露光装置、レンズ など光学機器の工場および研究開発部門を宇都宮市に集結している。宇都 宮大学はキヤノンから車で 15 分ほどの距離にあり、密接な交流が容易に できるメリットがある。また、宇都宮大学の工学部には光学に関連した研 究者が多く、本格的に光学研究を立ち上げる素地があった。キヤノンから の光学専門教育研究機関設立の申し出に宇都宮大学の快諾が得られ、協同 で設立準備を開始した。学長はじめ大学経営陣の素早い決断により、わず か半年という短期間で新センターが開かれた。宇都宮大学の中で光学教育 と研究を継続的に維持発展させるため、新センター(略称「CORE」)は大 学の独立センターと位置付けられている。初代センター長には日本有数の 光学研究者である筑波大学谷田貝教授が着任された。 センターの運営に対して広い視点からの助言を取り 入れられるよう、光学分野の有識者からなる諮問会議 が設置されている。設立準備段階から諮問会議委員候 補の先生にセンターのあり方や運営に対する意見をい ただき、設立構想に盛り込んだ。◆新センターの概要
新センター「CORE」は図 1に示すように、先端領 域、応用領域、基礎領域の 3 つの教育研究部門で構成 されている。開所当初は宇都宮大学工学部の先生がセ ンター教員を兼任で担当するが、キヤノンから客員教 授を含め5名が非常勤で講師を務める。実験室は工学 部の一部を使用し、新たに暗室仕様の学生実験室も作られた。研究環境を 充実するため2年後(2010 年)の独立センターの建設を目指している。 「CORE」設立の第1の目的は産業界や社会のニーズに応える人材の育成 である。センター開所とともに光学に関する講義が4科目新設された。新 科目の設定には宇都宮大学の教員とキヤノン社員が共同で検討したが、こ の先も教育内容の充実に取り組んでゆく。初年度からこの新設講義には予 想を上回る多くの院生が受講し好評である。 目的の第2は日本をリードする光学研究の創成である。「CORE」では工 学部、農学部を含め宇都宮大学全学あげて光学研究を盛んにするため公募 研究制度を開始した。2007 年は多くの応募の中から6件のテーマが採択 されたが、そのうちの 2 件は農学部の研究である。光学を基礎とした新た な融合技術の生まれることが期待される。また、2007 年 10 月、光学分野 で世界トップクラスのアリゾナ大学カレッジオブオプティカルサイエンス と「CORE」との国際交流協定が結ばれた。アリゾナ大学との人材交流を通 じて、「CORE」は国際的に認知される研究センターに発展していくことで あろう。CORE
宇都宮大学オプティクス教育研究センター Utsunomiya University Center for Optical Research & Education (2007年4月)オプティクス教育研究センター 工学研究科 諮問会議 センター長 運営会議 先端領域 教育研究部門 教育研究部門応用領域 教育研究部門基礎領域 専任教授1 兼任教員 教授1、准教授1 助教1 兼任教員 教授3、准教授3 兼任教員 教授2、准教授1、助教1 客員教授1(キヤノン) 図1 宇都宮大学オプティクス教育研究センターの体制
◆キヤノンの役割
キヤノンは「CORE」が早期に世界のトップ研究機関となるよう支援する つもりである。設立直後はセンターが独自に外部資金を調達することが困 難であるため、キヤノンから研究費を助成し、研究が円滑に行えるよう支 援する。また、キヤノンの光学技術者が新設講義の講師を非常勤で担当し、 学生に講義や実験指導を行っている。特に収差論やレンズ光学設計などは 光学メーカーであるキヤノンの豊富な知識やノウハウを活かし、社会に通 用する光学基礎知識が身に付くような内容としたいと思っている。◆産学連携による人材育成
企業が継続的に発展してゆくためには、常に新技術や新しい価値を生み 出す、すなわちイノベーションを創出することが必須である。大学におけ る教育研究がこれを担う人材の育成に果たす役割は大きい。従来産学連携 は共同研究、受託研究といった点と点との連携が中心で、産業界も大学の 知識を活用することを重視してきた。これからは人材育成を大学任せとせ ず、産業界も大学と協力して取り組む必要がある。「CORE」がその先鞭と なり大学と産業界の新しい連携を築くことができればと思う。若者が意欲 を持って光学を学び研究する場となることを願っている。 ●参考文献 **1:財団法人光産業技術振興協会. 2006(平成 18)年度光産業国 内生産額調査結果について .(オンライン)<http://www.oitda. or.jp/main/press/sales06-j.PDF>,(参照 2007-11-19). **2:経済産業省. 大学教育における産業界ニーズと教育カリキュラム のマッチング度合いの分析結果 .(オンライン)<http://www.meti. go.jp/press/20050621003/1-kekka-set.pdf>,(参照 2007-11-19).今のままで産学連携を担えるのか
特 集
取り組み事例②
奈良先端科学技術大学院大学が米国で職員の技術移転研修
同一テーマの講義を繰り返し理解深める
奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、産学官連携活動の 1 つとして 技術経営教育を行うほか、2003 年から技術移転の人材育成プログラム*1 に力を注いでいる。NAIST の人材育成プログラムは個々の研修生にそれぞ れ異なった課題を与えることと、実務に即した課題から学習をはじめ知識 を積み上げて法律や規則を理解する点に特徴があると紹介される*2。この プログラムの一環として、2007 年 11 月には NAIST 大学職員が米国の特 許事務所や大学を訪問し、米国における実務上のポイントなどを学習した。 今回はその米国研修の成果を報告する。◆プログラムの概要
NAIST で行われている技術移転の人材育成プログラムの概要をまず説明 する。目的は大学で生まれた技術を市場に移転する業務(技術移転業務) を扱える実務家の育成である*3。プログラムの主たる課題は①技術の権利 化、②移転先を探すマーケティング、③ライセンス契約に関する法務であ る。2007 年は、米国における契約業務をメインテーマにソフトウエア契 約と物質移転合意書(Material Transfer Agreement:MTA)を具体的契約と して選定した。それぞれの契約を勉強する2つのグループ(11 名)を構成 し、別々に米国研修を経験した。研修生はすべて大学職員であり、その所 属は人事部、総務部、法務部などである。MTA を課題とするグループには、 バイオテクノロジーの知識を備える技官も2名参加した。1名を除き、研 修生はこれまで技術移転業務に携わったことのない初学者である。このよ うな初学者に対して8月から約3カ月、通常の業務の合間にゼミ形式の勉 強会を週1回程度の頻度で開催し、米国研修の準備を行った。この準備期 間中、研修生は自己の課題設定、基礎知識の習得、さらに、その課題につ いての質問を英語で準備した。◆米国研修の特徴と成果報告
米国研修は、知財業務を専門とする法律事務所(Posz Law Group, PLC*4)
をホスト・ファームとし、そこを拠点として7日間の日程で行った。研修 の前半はホスト・ファームでレクチャーを受け、後半には外部の法律事務 所や大学を訪問した。米国研修の特徴としては次の2点が挙げられる。 (1) 同一テーマのレクチャーの繰り返し (2) 最終日のプレゼンテーション 吉田 哲 (よしだ・てつ) 奈良先端科学技術大学院大学 産 官学推進連携本部 客員准教授 /弁理士/Posz Law Group, PLC 久保 浩三 (くぼ・こうぞう) 奈良先端科学技術大学院大学 先 端科学技術研究調査センター長 教授/弁理士 共著 技術移転の人材育成に力を入れている奈良先端科学技術大学院大学の米国研修のリポートである。研修生で ある大学職員が同国の特許事務所や大学を訪問し、実務上のポイントを学習した。特徴のひとつは、同じテー マについて異なる講師によるレクチャーを数回設定していること。英語で毎回違うテーマのレクチャーを受 講すると、情報過多となり理解不足となるおそれがあるためだ。
*1:NAIST WEB: http://ipw. naist.jp/cast/_chizai/index. html 技術移転、技術経営のほか、知 財判例研究や起業家育成講座が 開催されている。 *2:「 人 材 育 成 問 題 を 考 え る、 技術移転人材育成プログラムに おける NAIST メソッドの一例」 (産学官連携ジャーナル, Vol. 3,No.11,2007 p.16-18.) NAIST の技術移転人材育成プロ グラムの概要およびその特徴を 紹介する。