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バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

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Academic year: 2021

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(1)

アザミウマ・コナジラミ (虫媒ウイルス)

施設野菜の微小害虫と天敵カブリダニ

中央農業研究センター・石原産業(株) 施設野菜での微小害虫問題 ◇ ハダニ類(ナミハダニなど) イチゴの害虫。野菜や果樹など多くの作物 の葉に寄生し、大きな被害を与える。 ◇ ミヤコカブリダニ ナミハダニなど、主にハダニ類を捕食する 天敵。待ち伏せ型の天敵で、ハダニの発生 直前か、発生初期の放飼が効果的である。 ◇施設のイチゴではハダニ類が多発し、問題となる。施設のキュウリ・ナス・サヤイン ゲンでも、アザミウマ類やコナジラミ類などの被害や媒介ウイルス病が問題となる。 これらの害虫は薬剤抵抗性が発達しやすく、農薬での防除は難しい。 ◇カブリダニ類は有力な天敵であるが、放飼時期の見極めや農薬との併用などが 難しく、これらの施設作物では利用が進んでいない。 ◇バンカーシートを使うことでカブリダニ類を簡単に放飼できる。天敵の定着も良く、 これらの害虫を効果的に防除できる 。 ◇ アザミウマ類・コナジラミ類 キュウリやナス、サヤインゲンなど多くの 野菜に寄生する害虫。様々なウイルス病を 媒介し、間接的な被害も問題となる。 ◇ スワルスキーカブリダニ アザミウマ類やコナジラミ類、ホコリダニ類 など様々な微小害虫を捕食する天敵。代替 餌(ガマ花粉)の処理で定着性が高くなる。 ナミハダニ アザミウマを攻撃する スワルスキーカブリダニ 餌であるハダニ卵を 探すミヤコカブリダニ 害虫類と天敵カブリダニ類 カブリダニの基本特性

(2)

従来技術(パック製剤)とバンカーシートとの違い

‧ パック製剤の2倍〜数倍の放出量 ‧ バンカーシート内部のフェルト(天敵の産卵・発育 場所)と湿度調節剤の効果で天敵が増えやすい • パック製剤: 耐水性に問題 があり、長時間濡れると浸水 (天敵死滅)しやすい 0 20 40 60 80 100 120 140 160 パック製剤(水処理) パック製剤(薬剤処理) バンカーシート(薬剤処理) 散布後の天敵密度指数散布後の天敵密度指数(散布前を100とする)(散布前を100) バンカーシートの設置例 • バンカーシート: 耐水性が 高く、長時間濡れても内部に は影響しない • スワルスキーカブリダニの代替餌 • 害虫が少ない時期などにバンカーシートと 併用すると、放飼効果が持続する • 葉に噴霧処理することで、スワルスキーカブ リダニの密度を高く維持できる • ミヤコカブリダニには効果が小さいので注意 が必要 ガマ花粉 (NutrimiteTM

補助技術の

活用

薬剤の影響を受けにくい 天敵が多く出る 耐水性が高い 設置しやすい 施設野菜における天敵利用の問題点とバンカーシートによる解決策

(3)

バンカーシートの使用方法や注意点

販売製品 適用病害虫 2016年12月上市 2017年2月上市 • 石原産業(株)と石原バイオサイエンス(株)は、JA全農の全国組織を通じ て、バンカーシートを利用した天敵製品の販売を2017年春より開始 組み立て方 ミヤコバンカー スワルバンカー 農薬登録はパック製剤(システムミヤコくん、システムスワルくん)に付与されている。 平成29年2月現在の登録内容を下記する。

(4)

特徴① 高い天敵放出性

• 非常に乾燥した条件下では、パック製剤からのスワ ルスキーカブリダニの放出量は少ない。 • バンカーシート内の湿度調整剤(吸水性ポリマー)の 効果で乾燥の影響が緩和され、多くの天敵が放出さ れる。 • ミヤコカブリダニについても同様の効果がある。 湿度調節剤 (吸水性ポリマー) • 設置環境(湿度)が良くなると、バンカーシート内では 天敵が大量に増殖する。 • バンカーシートで増殖した天敵は数週間にわたり作 物上に放出され、防除効果が長続きする。 • ミヤコカブリダニについても同様の効果がある。 *2種のカブリダニは乾燥に弱い(70%RH以下で影響あり) *バンカーシート内に湿度調整剤を導入することで、設置時の乾燥条件から天敵 が保護され、長期間の増殖・放出につながる *従来のパック製剤よりもバンカーシートの方が天敵放出数が多い 非常に乾燥した環境下での天敵放出性 比較的乾燥した(施設内の一般的な湿度環境に近い)環境下での天敵放出性 優れた 天敵保護効果 高い天敵放出性 乾燥 バンカーシートおよびパック製剤からのミヤコカブリダニ 累積放出数(23℃,35%RH) • 温湿度をコントロールした恒温器に試験容器を設置し、バン カーシートやパック製剤から試験容器にの放出されるスワ ルスキーカブリダニの個体数(累積)を調査した。 • 石原産業(株)による予備調査結果。 バンカーシートおよびパック製剤からのスワルスキーカブ リダニ累積放出数(20℃,60%RH) • 上記と同様の方法(温湿度は異なる)を用い、バンカーシー トやパック製剤からのスワルスキーカブリダニの放出数を調 査した。 • 石原産業(株)による予備調査結果。 0 100 200 300 400 500 600 0 6 13 19 24 32 40 47 52 58 61 累 積 放 出 数 バンカーシート設置後日数 バンカーシート パック 0 400 800 1200 1600 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 累 積 放 出 量 バンカーシート設置後日数 バンカーシート パック

(5)

特徴② 薬剤からの天敵保護

*パック製剤よりもバンカーシートの方が薬剤散布に対する天敵保護効果は高く、 天敵に影響がある薬剤を散布した後の密度回復が早い *バンカーシートの方が薬剤散布との併用が容易である 天敵に影響がある薬剤を散布した後のバンカーシート 内部におけるスワルスキーカブリダニ生存虫数 • • • • パック製剤よりもバンカーシートの方が、薬剤 散布に対する天敵保護効果は高い 薬剤散布の影響試験 薬剤散布との併用性に関する温室試験 優れた 天敵保護効果 薬剤散布 トルフェンピラド乳剤散布後の葉上におけるスワ ルスキーカブリダニ生存虫数 • ポット植えのナスを用い、薬剤散布1週間前にボト ル区でポット当たり250頭を放飼、バンカーシート 区ではポット当たり1個を設置した。 • 1000倍に希釈したトルフェンピラド乳剤を所定量 (100ℓ/10a換算)散布した。 • 散布時点での葉(旧葉)と新展開葉とを区別し、葉 上の天敵数を経時的に調査した。 • 石原産業中央研究所所内試験(2014)。 • 天敵への影響が強い薬剤と併用した場合でも、 バンカーシート内の天敵は生き残っているため、 天敵が葉上に徐々に復活する。 • 新葉の展開が盛んな時期は、天敵の復活が 早くなる傾向がある。 0 100 200 300 400 パック製剤    (水処理) パック製剤    (薬剤処理) バンカーシート (水処理) バンカーシート (薬剤処理) 天 敵 数 薬剤散布器を用いてバンカーシートやパック製剤に DMTP水和剤(1000倍)または水のみ(対照区)を処理し、 その後、生存虫数を調査した パック製剤では薬剤処理の影響で生存虫数が少なくなっ たが、バンカーシートでは影響がなかった

(6)

特徴③ かん水・降雨からの天敵保護

優れた 天敵保護効果 かん水、降雨など *従来のパック製剤よりもバンカーシートの方が耐水性が高く、濡れやすい環境 に設置した場合の天敵保護効果は高い *頻繁なかん水や降雨による影響も減らすことができる 散水試験後の生存天敵数(スワルスキーカブリダニ) • 実験室内でバンカーシートまたはパック製剤に対して、ミスト 散水器を用いて1日間の連続散水処理を行い、その後、天 敵生存数を調査した。 • 内部浸水の様子は上記の通り。 • パック製剤は長時間濡れると内部浸水が起こり、天敵 の死滅へとつながる • バンカーシートは耐水性が高く、長時間濡れても資材 内部の天敵は死滅しない 実験室内でのミスト散水試験後の様子 (かん水・降雨等で長時間濡れる場面を想定) • 上部の散水器よりミスト散水を連続的に行い 、バンカーシートやパック製剤単体の耐水性 を評価した • 散水試験の詳細はShimoda et al. (2017) (BioControl)を参照 *バンカーシートは耐水紙でできているため耐 水性が高く、長時間濡れても資材の落下は 起きにくい。 *資材内部への浸水は少ない(写真右)。 *パック製剤は耐水性が高くないため、長時間 濡れると資材内部に浸水しやすい。 *内部浸水の結果、資材の落下や、資材内部 (ふすま)の劣化・腐敗が生じる。 散水試験後の生存天敵数の比較 散水試験後のバンカーシートとパック製剤の様子 内部浸水で試験中に落下したスワルスキーカブリダニ のパック製剤(左)と内部の様子(右:浸水あり) 散水試験中のバンカーシート(左)と内部のふすまの様 子(右:浸水なし) 0 10 20 30 40 バンカーシート パック製剤 生 存 数

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