1
論 文1
UDC :550,
344:550.
34 日本建築 学 会 構 造系 論 文 報 告 集 第 389 号・
昭 和 63 年 7月都市
圏
居
住 域
の
時
間拡
大性
を
考
慮
し
た
地
震 危 険性
の
長 期 評 価
一
札 幌
圏 を例
と して一
正 会 員 正 会 員岡
田
成
幸
*太
田
裕
* *1.
は じ め に 地 域 地 震 防 災計 画立案に際し,
当 該地域の被 害 推 定は 最も基本の問 題と し て位置づ け ら れてお り,一
般に次 式 で評価さ れ る。
R
(n,)==H ・V
(nJ)・
P
(ni),
nl :被害 項 目・
……
(1)Risk
:地域が受け る被害の内容・
程 度Hazard
:地域を襲う地震動強さ……
[地 震 動特性ユVulnerability
:被 害 関 数 (壊れ や す さ)……
[地 域 特 性] Population :被 害 対 象の 分 布 (個 数,
パ ター
ン) 特 性……
[地 域 特 性 ] た と えば1
次被 害の主対 象で あ る住 家に つ い て は,
当 該 地 域の入力 地 震動 強さ (H
)を 地 盤 を成 層 構 造に モデル 化した重 複反射理 論にも とづ き 評 価 し,
こ れ を想定入射 波 とし建 物の弾 塑 性 応 答モ デ ルを被害 関 数 (V
)に み た て,
その応 答 量か ら被 害の有 無・
程 度 を判定し,
これに 住 家 棟 数 分 布 (P) を考 慮し,
地 域の被 害を 統計的に予 測 する の が一
般である。
こ の手 法に もと づ き, い くつ か の都 市 圏])−
3)にお い て はすでに行 政レベ ルで被 害 推 定が 実 施され て い る。
ところ で (1 )式にお け るこれ ら諸特 性H
,V
,P
は数10
年間とい う長い時間単位でみ た場 合,
本 質的に時 間と共に変 動する特 性量である。 し か し従 来 か らの被 害 推 定は,
H に関して は確 率 論 的に将 来 予 測 を加 味し たもの はあるもの の,
いわゆる受 け手の側の特 性量V ,P
の算 定に 関しては作 業 実 施 時 点で の資 料 を 用い るに と ど まっ てお り, 当座の防災対 策 資 料と して有 効で はある が, これ は 必然そ の地 域の もつ 危険ポ テン シ ャ ルが将 来 的にも不 変であるとい う仮 定を前 提と して 成り立っ て い る。
今ま で の と ころ数 10年間 とい う 長 期 間にわた るその時 間 変 動 性 を積 極 的に と り入 れ た長 期 的 視座か ら の防 災 資 料にまで発 展 させた もの はあ まり み な い。
本 研 究は,
これに対して受け手 側の特 性 量の う ち, とくに P の時 間 変 動 が 地 域 社 会の被 災 危 険 度予測に及 ぼす 影 響 を調べ,
地 域 長 期 防 災 計 画へ の参 考 資 料と すべ 章 北海 道 大 学 助 手・
工 博 # 北 海 道 大 学 教授・
理博 (昭和62年12月18日原 槝 受 理 ) く,
札 幌 圏 を事 例 として方 法の開 発 を行っ た もの である。
第 1図は札 幌 市に お ける 65 年間の市街 地の発 展,
い わばP
の時 間変化を み たもの である4 )。P
の時 間 依 存 性 (居住域の拡 大・
地域 社 会の発 展 )は顕 著で あ り, こ の 状況変化 (た と えば軟 弱 地 盤へ の市 街 地の発 展)が 地 域 の もつ 地震危険 性に少な か ら ぬ影 響 を与えることは予 想 に難く ない。 さら に札 幌 市の場 合, その発 展方 向がた ま た ま将 来 懸 念 される想 定 地 震 源に向かっ てい る とい う二 重の危 険 性 をはらんでい る点に注 意 を要す る。
人口規模 10万 人 以 上の都 市で は, 都市の もつ 大規 模な雇 用 環境 (経 済 的 魅 力 )・
生 活の利 便 性 (社 会的魅 力)等の ゆ え に自 律 的 発 展に向かうケー
ス が多いと され て お り5} , 第1
図は大 都 市な ら ば通 常に み られる現 象であり, その地 域の危 険 性は数10
年 間とい う時 間スケー
ルで大 き く変 化し ているこ と が 十分に考え ら れ る。 こ の よ うな場 合,
その程 度が大き け れば 防災行 政の観 点から都 市 計 画を見 直さ ね ばな ら な く なっ て く る。 このための基 礎 資 料と し て長 期の被 害予測が重要と な る所以で あ る。 (1)式に も とつ い て いる 限 り, こ の 観点 か らの都 市が抱える将 来 的危険ポテン シャルを見 落と して し まう恐れ があり,
従 来か ら の被害予測手法に欠落して いる大 きな 問 題 点 と し て指 摘でき よう。 本 研 究は以 上の点に鑑み, 札 幌圏 (札 幌市を含む11
市 町 村 )を対 象とし て,
地 域の発 展・
衰 退とい う ご く あ り ふ れ た社 会 現 象が地 震 危 険 性に及ぼす影 響の程 度 を 下 式の ごと く時 間経 過で追っ てみ たもの である。
R
(n,,
の=H ・P
(n,,
の・
y
(π丿)………
(2) 初め ての試みで も あ り;木造住 家 被 害に限 定して話を 進 め る。
し た が っ て, こ こ では (2 )式 中の 左辺R
(n,,
t
)は木 造 住 家 被 害 予 想棟数の経 年 変化を表すこと に な る。
本 研 究の ねらいは被 害の絶 対数 を 議 論 す ること で はな く, 地 域の発 展 という社会現象が地震に よ る被災 の危 険 性に どの ように影 響す る もの なのか,
その一
般傾 向 を調ぺ る ことにあ る。
し た がっ て, 被 害 の推定 手法 は 次章で述べる ご と く,
でき る だけ簡略な もの にと ど めた。 社会状況 の変化が被災 環 境に影 響す る傾 向 をつ かむに は,
相 当の長 期 的 展 望に立たね ばな ら ない。
当該 地 域 周一
10
一
1834
(
M68
)●
纛
L
■
〜
大正5
年睡躙
〜
昭 和10
年驤
翻
〜
昭 和35
年E
≡
ヨ
・
〜
昭 和56
年 (1916 ) (1935 ) (1960 ) (且981 ) 第1図 札 幌 市の居 住 域の拡 大の様子 辺の地 震 活 動 度 も考 慮し こ こ で は 50年 間の時 間 変 化を 追 っ て み るこ と と し た。2.
予 測 算 定の方法 2.
1 対象 地 域 解 析対 象の中心 と な る札 幌 市は人口 147万人 (1985) を か か え る地 方中核都市で あ る。
周知の よ うに, こ こで は北 海 道 を代 表す る都 市 としての中 枢 管 理 機 能の集 中 等 に よ る 人口増 加はこ こ数年目ざま し く,
その増分 を ま か なうた め に必然,
住宅地の拡大が要求さ れ, 郊外へ 向け て市街地 が発 展して き た。 こ の よ う な状況下で,
隣接す る市 町 村は通 勤・
通 学圏 と して重要な役 割を もつ に いた り札 幌 市の 人ロ分 布 推 移・
発 展は近 隣 市 町 村との か か わ りを 強くする に い た っ て い る。 こ の状 況に鑑み,
当 該 地 域の 総合 的 環境整 備 を 目 的 と し 札 幌 市 を 中 心 と す る 新 札 幌広域市町村圏振興計画 (198,
1
)6} が策定さ れ,
その 中 で札 幌市・
江別市・
千歳 市・
恵庭市・
広島町・
石 狩町・
当 別町・
新 篠 津 村・
厚田村・
浜 益 村が計 画 区 域と し て指 定さ れ.
てい る。 本 論では, こ の 10市 町 村に隣 接 最 大 都 市で ある小 樽 市 を含 め算 定 対 象 地 域と し た。 第2図に示 す。
当 該 地 域は東 西 約 80Km , 南 北120Km
に およ び, .砂
織
鬻
壟
『 第2図 被 害 算 定 対象地域
一
11
一
第1表 被害算定 方 法の概 要 lo
巳
v≡
s+
b 正 Vlllner4bl ヨlty 踞 廓 區 動聖 踞 ロ=
−
T膊 b=
L:8 非 振勁甅 (液 管1ヒ) 囎 n冨
一
5田 b=
匹n 総 面 積は3,
786.
54Km2
である。
こ の地 域 を一
辺500
m の 区画に分 割し, 各 区 画ごとに危 険 度 を算 定す る。
2.
2 方 法・
資料 (2)式を算 定の基 本 式とする。 方 法の概 要および用 い た資 料の一
覧を第 1 表に示す。
同 式中,
地域を襲う 地 震 動 強 さH の決 定には,
過去 に発 生し た地 震統 計に も と づ き一
定期間内に期 待さ れ る 最大加 速度等を定め る確率論 的な方法と,
地震の発 生す る位 置・
規 模を定めて地震 動を算 定す る決 定 論 的な手 法 がある。 当 該 地 域 周 辺の地 震 記 録は少な く,
その発 生 位 置・
規 模につ い ても不 確 定な とこ ろが多く確 率 統 計 的 立 場か ら利 用 する の は困 難で ある。
よっ て, こ こ で は想 定 地 震 を 当 該 地 域 周 辺の地 震 活 動の考 察よ り決 定し; その 地 震に対して既 存の震 度 推 定 式よ り地 域の震 度分布 を計 算す る。 木 造 住 家 棟 数 分 布 P(n」,
t)は以 下の 方 法によっ た。 基 礎と な る統 計量 とし て人口 を用い,
各 市 町 村の将 来 人 口 を 過 去20
年 間の 国勢 調査資 料T〕を も とに今 後50年 間 を推計し, シ ミュ レー
ショ ン的に地域 内に 分布さ せ る。
一
方,
住 家 形 態と世 帯 数との 関 係 を調 査し た資料8)−
9) よ り人ロー
住 家棟数の関係を市町村 別に求めてお き、
先の 人口分 布デー
タ か ら木造 住 家棟数の 地域 分 布の時 間 的 変 化を推計す る。 話を簡 単にす る た めに,
ここ では木 造 住 家の耐 震 性 能 は今 後 50年 間で変 化 し ない もの と 仮 定 し,
被 害 関 数V
.
(nj )とし て木 造 住 家 被 害 率一
震 度の 関 係 を振 動 型 被 害 と非 振 動 型 (液 状 化 〉 被 害に分け て考え,
1982年 浦 河 沖 地 震と 1983年 日本 海 中 部 地 震にお け る被 害 資 料.
よ り 実 験 式を求め,
そ れ を各 500m 区 画に適用す る。 以 下 にその詳細を述べ る 。3.
算 定 3.
1 想 定 地 震 第 3図は有 史 以 来 北 海 道 周 辺で発 生 し た主な地 震の震 央 位 置 を示し た もので あ る1°)。
こ の 図 か ら,
道東お よび 日高沿岸に か けて分布す る中〜
大 (M7 − 8
程 度)地 震 が 目 だつ こと, 日本海沿岸近くに中程度地 震が点在す る一 12 一
鰹
… _ 、 ● 十 勝 沖 地冒 q958 }、一
/ (中 距 岡 ) 中一
大 地 震 第3図 札 幌圏・
北 海道周 辺の地 震 環 境 こ と,
ま た大規模被 害地震は内陸部に多く は存 在し な い こ と な ど が 分 か る。
し た がっ て,
札 幌 圏にな んら か の被 害 を及ぼ す と思わ れ る地 震はt1 )沿 岸 性 (近 距 離・
直 下) 中 程 度 地 震,2
)太平洋沖 (中距離 )中・
大地震,
こ の ほ かに3
)道外 (遠距離)巨 大地震の 3種 類であ る。1
)の地 震の場 合,
M は 6から7の中 程 度の規 模で は あるが,
札幌圏まで の震 央 距 離は近く当 該 地 域に対し てはい わ ゆ る直 下 地 震の性 格 を もっ て い る。
当 該 地 域は 高 震 度に見 舞 われ直接 的な被 害 とし て相 当 程 度 を覚 悟し なけれ ばな らな い であろ う。
過 去に おい ては代 表 的な も のと し て 1834年 石 狩 湾地震 (M6.
8 )が あ る。
2
) を代表す るもの と しては1952年および1968年 十 勝沖地 震(M8 .
1,
M7 .
9)・
1970年 広 尾 沖 地 震 (M6.
7)・
1982年 浦 河 沖 地 震 (M7.
1}等が あ る。 こ の地 域の地 震 活 動は活 発で かつ規 模は大きい。
し か し,
札 幌 圏と は震 央 距 離で100Km 以 上 離れて お り当 該 地 域は震度】V 〜
V
程 度にとどま ること が多い。
3
)は近い将来の発生が 懸念さ れ ている駿 河 湾一
東 海 沖 地 震 がその典 型で あ ろ う。
こ の地 震の場合,
札幌圏に おい て は直接 的な被 害の発 生 は ない もの の,
首 都 圏が破 壊さ れ た場合,
本州一
北海道 間の社会・
経 済 ネッ トワー
ク に支障を き た し その間 接 的な被 害は無 視し得な い であ ろ う。
以 上の う ち, 直接 的な被害が当該地域におい て最 大で あ る と 思 わ れ る地 震は1
>に属す る もの であり,
そ のう ち過 去に お ける最大の もの , す な わ ち 石 狩 湾 地 震相当 を こ こ で は想 定 地 震 として採 用す る。
こ の地 震の概要は以 下の と お りで ある。 民 家の全 壊が 23戸,
半 壊3
戸, そ の他の建 物 破 壊57とか な りの被 害 を受け, ま た地 割れ や泥 水の噴 出し た箇 所があるこ と か ら, 非振 動 型に よ る 地 震 被 害が発 生し た と予 想さ れる。 マ グニ チュー
ド・
震 央 位 置に関して はM6 .
8,
北nc
43R
15分 , 東 経 141度15分と さ れ ている
。.
震 源の深さについ て.
は ほ ぼ 10Km 程度の極 浅発 地 震であっ た と考え ら れ る1]}。3.
2
震度分布の算定幽
lttコ,
.
札 幌市に つ.
い て は ;1982 年浦河沖地 震の 際に行っ た 詳細 震 度 調 査を も と に筆 者らによ り震 度 推 定 式が提案さ れ てい るIZ]。
こ れ は表 層 地 質と軟弱 層厚 を地 域 地 盤 特 性 とUKaWasulmis3
),
に よ る震 度の距 離 減 衰 式 を補 正す るも の・
で ある。
・
本 論で解 析 対 象とする 11 市町村につ いて は 軟 弱 層 厚の資 料が不 十 分な箇 所 も多くある た め, 表 層 地 質のみを 考 慮し た式に若 干 修 正して用い ること に す る。
第2表 表層地質と標準 的距離減衰 式の震 度 補 正 値 との関 係.
時 代 5 地質区 分 名’
卩
地質成 分 震度 補正値唱
シル ト層、
シ1
ル ト FO.
61 1 泥 炭 層 泥 炭 土 0.
56F
ー 沖
、
1國
砂 拈土混じ リ シル・
ト層.
シ ル N 砂,
粘土 0.
431
第 氾濫原堆 積物層,
礫・
.
砂,
拈土 (植土 ) 0.
41i
砂 壌 土 層 駈L
砂 壌 土,
砂 ’10
・
41 四.
紀1 頂河 成沖預 層
亀「
1
砂,
粘 土』
砂i昆 じ りシ丿レト層 シノレトデ砂』
,
後 背 湿 地 堆 積 物 層 粘 土.
.
シル ト 世 自然堤防 堆積物層 砂.
シル ト 現 河川 堆積物 層 砂,
礫,
粘 土 扇 状 堆 檀 物 層,
砂.
.
礫.
粘 土.
シル層
卜 O.
330.
280.
210.
210.
02rO.
221i
洪 積 世’
」
,
醗 火 山 噴 出 驪t
火 山灰 質 粘 土’
10
」21
r
.1■
礫,
砂.
枯 土i
−
0.
4且.
・
.
1
新 嬉嚀
火 山岩層 安 山岩.
・
1一
〇.
許、
」
騨
シ ル、
ト層囮 泥 炭 層
.
1
驪 醂 土SRvvl,・
ル ト膚
巨藍麹氾濫原堆積 物層 躙 嬲 土層ら
tt
鏖蘯雪砂混 じ リシルト層』
匯 召河成沖鰌 囲・
後 背湿地堆積物層 ・.
圃 , ex一
堤 防齦 輝、
・
.
園
,
火・1噸
物馬,
皿皿五現河川 堆積物 層、
、.
.
囲
駅
蹴 層 、 匿珊
帥糊鬮
等
錐1
撫
纔
.
纛
難
1
\
鱗
1
蘿
…
藷
…
…
…
…
…
ii
…
1
戯
iiiiiiiii
霧
糞
iii
,…
鑞
撫
・…
1
第14
図 当 該 地 域di
表層地質分 布 各区画j
の震 度 推 定 式は以 下の よ うにな る。1
,=f
(MlA
)+ [表 層 地 質 補 正 値]…………
(3 > 表 層 地質の区分名称お よ び地 質 年 代・
’
地 質 構 成と震 度 補 正値との関 係を第〜表.
に示す (脚 注 )。
これ らの当 該地 域 に お け る 分布を第 4図に示す。
(3)式でf
(M,
A ) はKawasumi
に よる わが国に お け る震 度の 標 準的 距 離 減衰式で ある。
とこうで こ の式は地 震の大き さM
が大 きい と き あるい は近 距 離に お い て過 大の震度を与えて し ま う欠 点 を もって い る。’
こ こ で想定し た 石 狩湾 地震の震 源 位 置は当 該 地 域と隣 接し ている た め, こ の式を その ま ま用い る に は問
題が多い。 そこで以後に行う (3
>式 を用い た震 度 予 測に は,
f
(M,
△)と.
して近 距離へ の適用 を意 図し た以卞
の修 正 式】4)を用 いる 。f
(M ,
∠L
)=
(5.
5/lrm)α「/「剛・
.
l !(∠L)・
・
・
・
・
・
・
・
…
tS
(4 )1
(A
)=
2M−
41 6q.
?
;,
1
・gA−
O・
OOI!
6’
△−
O・
32 :河 角 式,
’
G
(r’
/lrth }=
2/(1十 〇.
5,
10D’
3「/「m) rm=
loo’
5κ プ’
Sl こ こ に,M
は気 象 庁マ グニ チュー
ド,
△ は 震央距 離 [Km
]・
r は震 源騨
[Km
]飾
る・
(3)式の適 用 妥 当 性を検討 す る
。
第5図は こ の式 を 用い て 1982年 浦 河 沖 地 震の当該市町村の震 度 を算 定し, ア ン ケー
ト に よ る実測 震度と比 較したもので ある。 両 者 の間に 0.
9程 度の強い相 関が 認 め ら れる。
こ の こ』
どか ら,
当 該 地 域の予 想 震度分布図 の作成に・
当たっ て上 式 を 使 用 し て差し支え ないとの結 論を得た。
3,
1章で想 定し た地震につ いて算定し た震 度分布 を第 6図に示 す。
こ こ では気 象 庁 震度階の各ランクをさ らに 2分割し+一
を附し て表 現し て いる。 震度爾
布は同心 円 とは な らず, 表 層 地 質の震 度 へ の影 響 が か な り大きいこ 突 薯則 震 度.
4.
0 3,
5 3.
o 新篠痒 村 ● ■ ・ 患庭市 当胴 鵬 町 ・_
/
パ
浜 益航 厚 田村、
L L髄
・
319 3・
5 4・
0 4・
.
5.
、
L
算 定’
麁 度 第5図 アンケL トによる実 測 震度と計 算 式に ょる算定震度の 関f
系’
..
.
一、
(脚 注 ) 当 該 地 域の表層地 質に は既 存 研 究の札 幌市域12屠 異な る も の.
S
,
含まれてい る が,
1982年 浦 河 沖地震の ア ンケー
トによ る詳 細 震 度 資 料をもと に震度補正値との関 係 を評 価し直してある
。
・
・
’.
一 ・
1・
3 一
t
し
ゴピ丿
第6図 想 定 震 源 (M6.
8)に よ る震 度 分布 とを物語っている。
震 源 近 傍で砂質 地 盤の広がっ て い る 石 狩町・
泥 炭 層で覆わ れ てい る札 幌 市 北 部は震 度W
’
の 大き な揺れ に見舞わ れ ると予 想さ れ る。
こ の結 果は被 害 状況の記述よ り判定し た 1834 年石狩湾地 震の際の石狩 町北部の震度班に一
致し てい る。 ま た, こ こで対象と し た札幌圏の ほ ぼ全 域 が 震 度V
以 上と な るこ とが 示さ れて い る。3.
3
住家棟 数お よびそ の分布の将 来推計 札 幌圏の今 後 50年 間の住 家 棟 数の推 移 を 各 区 画 単 位 で推 定す る。
基 本と なる統 計量 に人口を用い, そ れを住 家 棟 数に変 換 する方 法 を とる。 (1) 人ロ推 定 本 論で は市 町 村 単位で人口を予 測し,
それ を地 域 内に 分 布 させ各 区 画の 人口 を算 定 する。 将 来の人口 を予 測 す る方 法に は大き く,
要 因 予 測と傾 向 予 測が あ る]5, 。 前 者 は人口 の増 加 (減 少 〉要因 を 「出生」 「死 亡」「流 入」 「流 出」の 4つ に分 解し,
そ れ ぞ れにつ い て地 域 内の変 化 傾 向を求め,
それ らを 合 計 すること によ り予測し てい くも の であ る が,
諸 要因の相互 連関性が十 分に把 握さ れてい ない こと が多く一
般に難 しいと さ れ てい る。 後 者は地 域 内の過去の 人口増 加 (減 少 )傾 向 をその ま ま将 来にまで 延 長す るもの で あ る。
こ こでは後 者の立 場を とり単 純に 市町村の過 去の人口資 料に人口成 長 (衰 退 )モデル 曲線 を 当ては め, そ れにより以 後の 50年 間の 人口 の推 移を 推 定する。
市町村 単 位で み た場 合,
人口 の流 出 入制 御 要 因 とし て は自然 的 要 因と し都 市の もつ経済 的・
社会 的 魅 力に よる吸 引 力が あ り,
ま た 地域 内人口密度によ り無 制一
14
一
限 的 自然増加が物理的に抑制され て い る。一
方で, 都 市 計画法で定め る ところの市街化 区 域・
市 街 化 調 整 区域 等 の指 定に よる行 政 政 策 的 要 因 が 強 く関 与 する場 合 も あ る。
人口成 長 (衰 退 )モ デル に は これら の要 因をパ ラ メー
タ と してとり込める Oppenheimie }の ロ ジス ティッ ク関 数P,
=
1/((1/Po− b
/α)・
(exp [一
α・
t])十b
/a>・
一
・
・
・
…
tt・
・
・
・
・
・
…
一
・
−t・
・
一・
一
・
…s■
・
(5 ) を用いる。 こ こにP
,は予想人口,P
。はt=0
年に お け る人口,
a お よ びb
はパ ラ メー
タであ り,
a は 街 の も つ 人口吸 引 力 を,
α/b
が最 終到達 人ロ を表し ている。 各 市 町 村ご と に1955
年か ら1980
年ま で の5
年お き の国 勢調査 資 料ηに 対し て (5)式を最 小 2乗法的に当ては め る。
こ の とき各 市 町 村で政 策の基 本と して想 定して い る今 後 約 20年 間の将 来 見 積 人口も各 役 場に問い合わ せ て参考に した。
また. 現在の都市 計 画 区 域の面 積か ら各 市町村の人口収 容 容 積 を計 算し,
そ れ を 上限と し た。 計 算の第一
段 階と して,
現 在指 定さ れて い る市 街 化調 整 区域を撤 廃し,
行 政 的な人口流 出入制御を し ない場 合 を考え る。 こ の方 法によ る と現在の札 幌圏総人口210 万 人 (1985 )が50
年後に は,
この ままの人口増 加 を続け た場 合,2
倍以 上に ま で増え るこ とが予 想され る。
なお,
当該地域で人口増 加の市町村は札幌市お よ び その近 郊 都 市 (千歳市・
江別市・
恵庭市・
石 狩 町・
広 島 町)であり, そ の他は 減少して い る。
次に, こ の よ うに求め られた市 町 村 人口を 地 域 内に分 配す る。
その際,
「都市地域 内の人口密 度は, 都市の中 心 を頂 点と し て,
そ れ を隔てる に し た がい し だいに低 下 す る」とい う経験 的事実に も と つい て行っ た15,。
す な わ ち,
人ロ は市町村 内の核 とな る人口集 中 地 区か ら周 辺に 向け て指 数 関 数 的に減 少して いくもの と仮 定する。
人口 を分 配す る とき に関 与す る変 数は,
人口集 中地区を原 点 と し た と き の そ れ か らの距 離 r であ り,
r は確率変数 rl=−
1/a・
ln
(1−
ayJ )・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(6 ) で与え た。 こ こ にj
は区 画 番 号で あ り,
YJ はU
(0,
1) の一
様 乱 数と し た(脚注, 。 a は市 街 地の発 展速度で あ り,
資 料の ある 1916年か ら1981年までの札 幌 市の地 理 的 人 口分 布4,に適 合 するよ うに数 値 を決定し た 。 ま た地 域の 発 展 方向はO− 2
π の範 囲で一
様 乱数で与え,
非 居住域 (山岳地域 等 )に は発 展しない もの と し た。 こ の方 式で 人ロを各 市町村の 500m 区 画に分 配 するわけで あるが, こ の とき 区 画 内の人口密 度 上 限 を現 在の用 途 地 域 区 分 よ (脚 注 ) 上の仮定に従い,
確 率 変 数rj が以 下の確率密 度関数(区 画ノの人口 に相当 )P(r、) P(r」)=
e−
¢ η,
rJ >0 に従う と す る と,
その累 積 分 布 関数 Y」はy,
−
f
” e−
・ ・d … 1/・・
{卜 ・−
Ct’)) と な る。
し たがっ て確 率 変 数 rJ は (6)式で与え ら れ る。
屬驪 翻匿 石少 壊 土 層 蠶 匣 ] 匝 [
9
u
] 5 年 市 街 地 5 年’
市 街 地 一 30Km 第7図 算定し た居住域の拡大の様子 り住居 地域 (100人/ha
)・
工業地 域 (20
人 /ha
)・
商 業 地域 (20
人/ha
)の よ う に定め た。一
方, 人口減少につ いて は当該市町村に あっ て は区画の区 別な く ランダムに 減っ て.
いく もの とし た。
(2
)
住 家 棟 数 推 定1上
記
の方 法によっ て求め ら れた人口分 布 を木 造 住 家 棟 数 分 布に変 換 する。
人ロ集 中の大きい札 幌 市で は 1980 年 現 在 全 住 家におけ る共 同 住 宅の占め る割 合が 40% と 大 き く,一
方 札 幌 市のベ ッ ドタウン である石 狩 町は新 興 住 宅 地が発 展 してお り一
戸 建 住 宅が90 %を占め る な ど 都 市によ り住家の形 態別
占有 率は大きく異なる。
住 家 を「
形 態別に一
戸 建・
・
長 屋 建・
共 同 住 宅の 3種 類に分 類 し, 各市町村ごとにそれ らの比 率お よ び それぞれ の世 帯 人口 をこ こ 数年間の統 計資料8 )−
9 )か ら算 出し た。
こ れ を 人口 分 布にか け合わ せ て木造 住 家 棟 数 を求め た。・
第7図に住 家 棟 数か らみ た市 街 地の 広がりを,
1985 年と2035年の場 合につ い て示 ず。
図で は 300棟 以 上の 区 画を線 引き して示 している6 札幌圏内の住家棟数が 現 在の40
万棟か ら2
倍 以上に増加し てい る。
その広 がり は30Km
か ら50
Km ぺ と 伸 展 してい る。
そ して その方 向は南西部は火山 岩の 山 地が迫っ てい る ため延び られ ず,
北か ら北 東 部にか け ての砂 壌 土およ びシル ト・
泥 炭 層の軟弱地 盤へ と著 し く ,大き な 問題と して指 摘できる。
ま た その方 向は想定震源へ 向か っ ている。
つ ま り, 札幌 圏 は地 震に よ る被災 危険を高め る方 向へ と市 街 化 を 進め ており,
その傾 向は時 間と共に急であ る。
大都市発 展に 付 随 する問 題 点 と して 1章で指 摘し た事 柄 をシ ミュ レー
シ当ン的に実 証で き た。.
な お,
石 狩 町が ドー
ナツ状に市 街 化さ れて いるの は石 狩湾新港 建 設計画に よ り一
部が 工 業 地 帯に指 定さ れており都 市計画 区 域か ら除外さ れ てい る た めであ る。.
』
’
3.
4 住家被害 棟数分布の予測 被 害棟数の算定は震度と被害 率との 関係に もと づ き,500m
区画単位で行う。
こ のと きの震 度一
被 害 率の関 係 は,1834
年 石 狩 湾 地 震で は地 盤の液 状 化に関 する記 述 がある こと, また札 幌圏の北 部で は砂 質地 盤が発 達し て い ること か ら想 定 地 震におい ても液 状 化に よる被 害が考 え ら れ るの で振 動 型 被 害 と非 振 動 型 (液状 化 )被 害に分 けて考え る。 震度と被害率の関係は正規分 布 曲 線で近 似 す る の が一
般 的と なっ て き てい るが, こ こでは簡 単に以 下の対数関係を仮定す る。
且ogy = α十δぜ…
…・
……・
…・
99・
…・
………・
(7) こ こ にV
は木 造 住 家 被 害 率,1
は震 度,
αお よ びb
は パ ラメー
タである。
こ の関 係 式を震 度と被 害につ い て詳 細に調査され ている 1982 年浦河沖地震と 1983年 日本 海 中 部 地 震に あて はめ,
それ ぞ れの パ ラメー
タを 決 定し た。
求め られた 関 係 式は以 下の と お りで ある。
.
躑
:
1
:
ll
‡
i
:
ll
:
1
:
驃鎧
撫
・
……
・・) な お,
この関係は ほ かの地 震 (1952年・
1968年 十勝
沖 地震,
1978年 伊豆大 島 近 海 地 震,
1978年 宮 城 県 沖 地 震 ) につ い て も大 きく違わ ない こと を確か め てある (脚 注)。
(脚 注 ) 詳 細に み ると被 害 率一
震 度の関 係は地 域・
年 代に よ り 系統 的 に異っ て はいる が且η,
こ こ で は 居住 域 〔P》の時 間拡 大 性に焦 点 を 絞っ て議 論 を進め る た めに,
被 害 関 数 (V)ー
につ い て は簡 単に (8)式で考え ることにす る。
一
15
一
被 害 棟 数
mm
1〜
5 棟 / 区 画 1 985 年 2035 年 第8図 木 造 住 家 被 害 棟 数 分 布の変 選 こ の 関係 式を 用い て 木 造 住 家 被 害 棟 数を算 定す る。
ま た,
当該地域の地 盤の液 状 化の有 無は地 質 分 類と液状化限界 震央 距 離とを考 慮 してIS )判 定し た。第
8
図に 以 上の方 法で求め た被 害 予測分布の 変 遷 (1985 年と2035年 )を示す。 500m 区 画 内の全壊・
半 壊・
一
部 破 損の合 計 棟 数が示さ れてい る。 これは行政に よ る区 域 制 限 を 解 除し,
市 街 化が自然に進 展す る と し た 場 合で あ る。 同じ地 震 を想 定し て いるにも か か わ らず, 被害 棟数は1
万棟か ら5万 棟へ と増 加して い る。4.
考 察 4.
1 被 災 環境変 動要因の影響札 幌 圏内の住家棟数が増 加すれば圏 内の平 均 的 被 害率 が時間に よ らず
一
定であっ たとし て も予 想 被 害 数が増え るの は自然である。
し か し,
第 7図 より明ら か な よ うに 当 該 地 域の場 合,
市 街が時 間と共に 1)想 定 地 震 源に向かっ て延びて いる(震 源 距 離の影 響 ) 2)軟 弱 地 盤地帯へ と 広 がっ て い る (地 盤の影 響 〉。・
これらの被災環境変 化, すな わち高 震 度が予想 さ れ る 地 域へ の市 街地 の発 展が 圏内の平均 的 被 害 率 をおしあ げ,
被 害をさ ら に拡大 す る よ うに思 われ る。
こ れらの影 響を 調べ て みる。 第 9図は札 幌 圏の予想住家棟 数と被 害 棟 数 を時 間で 追っ た もの である。 住 家 棟 数・
被害棟数 共に増 加傾 向に ある が そ の傾き は被害棟数の方が急で ある。 すな わ ち,
圏内の被 害 率が時 間と共に大き く なっ て い くこと を示し てい る。 住 家 棟 敵 万 棟 100 50 10.
z : 1主駅 棟数 /タ
:
{
//
°
一 19859S2005152535 年 第9図 予 想 住 家 棟 数と被害 棟 数の変 遷 被 害 榛 数 10 5 万 棟 1 第10 図は被 害 棟 数の 変 遷 をみ たもの であるが
,
現 在 (1985年 )の 圏 内の平 均 被 害 率が将 来 も 不 変で あ る と 仮 定 した場 合の予 想 被 害 棟 数と比 較 して あ る。 両者の差 分 (斜 線 部 分 )が 上記の 環 境変化 (『震 源 距離+地 盤 』 の影 響 )によ る被 害 増 分と考え ら れ る。
この影 響の程 度 は時 間と共に大き く な り, 50 年後に は全 被 害の 40% に も達す ること に な り,
到 底見逃せ る数 字ではない。
地 域 の被災環 境 変化 を 考慮し た 長期の被 害予測が極めて重 要 であること を如実に物語っ てい る とい え よ う。 従来の被 害 予 測 法ではこの種の危 険 要 因は見 逃し て し ま う。
4,
2 防 災 行 政 的 制 御の 効 果 ところ で, 行政的に は都 市 計 画 法に も とつ くところの 市 街 化 調 整 区 域の 指 定に よ り私 的 開 発 行 為の制 御を行っ てい る。
こ れ は指 定 区域に お い て は一
定の要 件に該 当し一 16 一
害 棟 数
磊
5 4 3 2.
1 0 0、
0 0.
4 3 2010.
環 墳 変 化 の 戡 害 擁 数 に 与 え る 程 度 % る 増 分 1985 2005.
lt
年・
’
第10図.
被 災環境 変 化が木 造住家の予 想 被 害 棟 数に与え.
る影 響 300 区 画 200 敵 100 な い限り市街 化を促 進 する恐れの ある建 築 物 等の建設に 知 事の許 可 を必要と す るものでφり.
,
私 的 開 発の抑 制 を 意図 し.
てい る。
.
札幌 市はた またま韓
弱
地 盤 地帯
の 多くが 市街化調
整区
塚
に一
一
:致して お.
り.
,行
犂
政 策 的 強 制 力.
とし てこれを.
厳 守す ること に よ り地 震 危 険 地 域へ の居 住 域 拡 大を抑 制でき る.
可能性が あ る。
当該地域を例に防 災へ の こ の効果を次にみて み る。.
・
.
.
0 0 00 コ 第11図 市街 化区域の分 布 〔1985年).
∵
」
.
1%
.
.
・・ 3・、
..
・
.
a
・.:
5…_ 。
广
τ
广勹
r
慧广
蕉
震 央距離
.
慵
1
括
.
.
曙
曝
彁
状 山髭 堆 宕 出 層.
土・
り 樌.
層 堆 混 シ 物.
績 物,
じ・
’レ 層・
.
〒
物 層 り ト唱
層 シ 層 ル・ 齟 . .
・
占
・
L
・
・
「
』
』
1・
.
(a)震 源域方 向へ の発 展の抑 制.
.
,.
(b) 軟 弱池盤へ の発展の抑 制第12図
市 街 化 区域親制に よ る危 険 域
g
)市 街 化 抑 制 効 果、
.
、
.
.
、
.
1
.
.,
一
17
一
第ll図 は札幌 圏の 1985年現在の市 街 化 区 域を示し た もの で あ る
。
現 在の市 街 化 調 整 区 域を将 来 的にも厳 守す る もの と仮 定し同 図に示 した市 街 化 区 域 外へ の 人 口流出 の規 制 を設けた場 合の,
市 街の発 展の仕方の違い をみ た のが第 12図である。
同 図 (a)は横 軸に震 央 距 離 を と り,
縦軸に市街 化さ れ た区 画の数 を取っ てある。1985
年現 在,
市街地は震 央 距 離15km か ら45k
皿 の範 囲に分布 してい るのが, 無規 制の場合 50 年後に は, 震 央 距 離 10 km に まで近付く。 市 街化調整 区 域 規 制 を続 ける ことに より,
近 距 離 内の 市 街 化 区 画数を低く する こと が期 待で き危 険 地域へ の発展
を ある程 度抑え る こと がで き る。 同 図 (b
)は地質区分別に み た市 街 化 区 画 数で ある。 横 軸 の 間 隔 は 第 2表中の震度 差を示し て お り,
左に行くほ ど 地 盤の軟弱 さの程 度が大き く危 険 度が高く なっ ている。
斜線 部分 が行 政 計 画に より危 険 度 緩 和が期 待でき る区画 である。
シ ル ト・
泥 炭と いっ た いわ ゆ る軟弱地 域へ の 市 街 化 発 展は約 1/3に低 減す ること ができ る。
被 害 檪 数召
5 4 3 2 1 0臻
霍
4 。窪
蟇
3°箋
2°霞
・・ % o 1985 2005 年 第13図 被災環境変化が木造 住家の予 想 被 害 棟 数に与え る影 響一
無規 制と市 街化区 域規制の場 合 との比 較一
一
18
一
現 時 点一
一 将来 第14図 地 震 防 災 的 観 点か らみ た都市計画の一
方 法 こ のよ うに現在の市街化 区 域の規 制 を保 持 することに よ り地 震 危 険 域 (震 源 近傍・
軟弱地盤 )へ の発展はあ る 程 度抑 え るこ とが期 待で き る。 第13
図は被害棟数の時 間変遷 を区 域 規 制 を保 持し た場合と解除し た場 合 を 比 較 し て示し てい る。
図 中の斜 線の 意 味は第10
図 と同 様で ある。
その効 果は図 よ り明ら かであ る。 防 災 政 策 的に は,
以上の よ う な人囗移動 ((2)式 中 のP
)の制 御が極めて有 効で あ ることが判 明 し たが,
一
方で建設省は1987
年に宅 地 供 給 を一
つ の 目的と して 地 方 都 市を中心に市街化 調 整 区 域の規 制 緩 和 を発 表 して いる事 実が あ る。 この方向で の政 策は今 後と も実施 さ れ る可能性が あ り, 開 発 という名の もとに地 域の地震 危 険 性を無 意 識の うちに高め てい る恐れ がある。
この事実に 鑑み た場合,
建物強 度 ((2 )式 中の V)の増 強に よっ て付 加 災 害の低減を計ることも同時に大 切 となっ て こよ う。
周 知の知 識範囲で も例えば,
家屋 屋 根・
外 壁 材 等 を 軽量 化して建 物へ の地 震入力を小さ く し た り, 構 造 的に 斜 材 を 多 くしかつ継 手・
仕口の改良に よ り住 家の耐力・
変 形 能 力を高め ること が考え ら れ る。
ま た, 平 面・
立 面 計 画 上で家 屋の 凹 凸を少な く し た り, 耐 力 壁の バ ラ ン ス 配 置を考 慮して地 震 時の住 家のね じ れを 防 ぎ接 合 部の応 力 集 中を防ぐ 工夫は有 効であろ う。
札 幌 圏で は液 状 化に より地 震 危 険度が高く なっ て い る地 域が多い。 その対 策 と し て基 礎は独 立 基 礎 を や め,
布 基 礎 鉄 筋コ ンク リー
ト とし液 状化 等の地盤 破 壊に伴う建 物の不等 沈下 を防ぐ対 策は極め て有効と な ろう。
な お,
これらの木造住家の耐 震 化 対 策に関して は杉山 (1986}’g,に詳しい 。5.
おわり に 以 上の例にみ られ る よ う に,
(1
)式にお ける地 震の受け手の側の特性量 〔
P ,
こ こ で は扱わ な かっ た がV
) の時間依 存性も考慮し な け れ ば地 震 危 険 度 (R
)を 正当 評 価で き ない場 合も あ る。
当該地域はこ の典型例と なっ てお り, こ の意味か ら将来の長 期にわ た る被 害 予 測と そ れ に立脚し た都 市 計画の側 面か ら の防 災 行 政が重 要と なっ て こよ う。
都市計画は防災の観点の み か ら決まっ て く るもの で もないが,
区 域 規 制 緩 和が促 進 するなか で は 都市の将来計 画立案の際に,
長 期 的 被 害 推 定 を実 施 し,
現状との比較におい て地域に内 在 する地 震 危 険性 をえ ぐ り出し,
都 市 計 画 を進 める上 での資 料 として い くといっ た よ う な検 討・
(第 14図 参 照 ) も必 要なの で は な い だ ろ う か。
地域の被 災環境の急激な変化に対応し て いくた め に, 比較 的短い 期 間で想 定 被 害を見 直していくこと が一
般にば行わ れ てい る よ うで は あ り, 有効な一
方 法とは思 わ れ るが,
本 論の よ う な数 10 年間 とい う 長期 的視座 か らの破害 想定が, 当該地域の防災計画の将来的方 向を具 体 的に浮か び上が ら せ る意 味で重要で あ ろ う と考え る次 第である。
本 論は, 被 害の予 測とい う観点か ら は,
被害と し て木 造住 家し か取り上 げて お らずま た そ の方 法も単純で厳 密 性に おい て不 十 分であ り,
そ れ自体改良すべ き点は多々 残 されで
い る もの の, 都市圏の もつダ
イ ナミッ クな被災
ポテシシャルを考 慮し た点に おい て新しい試みであ り,
その結 果, い くつ かの重要事項1) 地 震め受け手側の危 険
度
が時 間と共に増 大し てい くこと 2) 行 政 政 策でその危 険 度 を ある程 度 制 御で き るとい うこと 3) その意 味で,
都 市 圏 地 震 防 災は長 期 的震 害予測 を 実 行し,
都 市 計 画 的 側 面か らも検 討 すべ きであること,
な ど を か なり一
般 的に示し得た点を強 調し て お き た い。
最 近は1次 被 害の み ならず 地 域 活 動の低 下・
被 害の広 域 化といっ た高 次の被 害 連 関』
を考 慮した被 害 予 測 手 法 も提 案さ れ てきて い る2°)。
希 望 的に は 1次〜
高次災害も含め, 今 後いろいろの地 域で, これ らの点に留 意し た調 査 研 究 の実 施が強く望 まれる とこ ろであ る。
こ の調 査 研究の資料収 集お よ び計算の一
部は当研究室 の宮 川 忠 芳 氏 (現 札 幌 市 職 員 }の協 力によ る ところ が大 きい。 ま た, 解析は北 海道大学 大 型 計 算 機センター
(課
題 番号A10417 ,
AlO418
)を利 用 し て行っ た。 参 考 文 献 1) 東 京 都 :東 京 区 部にお.
ける地 震 被 害の想定に関する報告 書,
1978.
2) 埼 玉 県:埼 玉 県 地震 被 害 想 定 策 定 調 査 報告 書,
1982.
3) 千 葉 県 :昭 和56年 度千葉県大規模 地 震被害想定調 査 (第 1次調査 )報 告書,
1981.
4) 国 土 地 理 院 :都市機 能 図,
札 幌,
1971.
5) 佐貫利雄;成長す る都市 衰退す る都 市,
時 事 通 信 社,
1983.
6) 札 幌 広 域 市町村圏振 興 協 議 会;新 札 幌 広 域 市町村圏振 興 計 画,
1981.
7} 総理府統 計局:国勢調査,
1955,
1960,
1965,
1970,
1975,
1980.
8) 総理府 統 計 局:国 勢 調査,
1980.
9) 総 理 府 統 計 局 :住 宅 統 計 調 査 報 告,
1978.
10) 活 断 層 研 究 会 (編 ):日本の活 断 層,
1980.
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自然 災害資料 解析,
8,
1−
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1981.
12) 13) 14) 15) 16) 17) 18) 19) 20) 岡 田 成 幸,
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北海道庁,
141−
222,
1987.
一 19 一
SYNOPSIS
UDe:5Se.344:5SO.34
LONG
TERM
ESTIMATION
OF
SEISMIC
RISK
EN
A
TEMPORALLY
EXPANDING
URBAN
AREA
-Case
studyfor
the
region ofSapporo,
Dr.
SHIGEYUKIOPCADA
and Dr. YUTAKAOHTA, Members of A.I.J
In
thispaper we enforce the estimation of seismicdarnage
from a new view-point of considering temporal and spatial growth of a region,It
is
quite natural thatthe riskpotential
inherenttoa region, i,e.,the potentialloss
of an ea[thquake receiver side, such as seismic resistivity ofbuilbings
and theirdistribution
pattern, shouldbe
gradually changingin
thelongerterm of severaldecades.
This
is
due
to suchfacts
as theincreasingdiversity
of modernbuildings
and theexpansion of residential areas insomelarge
citiesover the surroundingland.
Most
of the past studies a[einsufficient
in a pointthattheprobabledamages
in
a region were estimatedin
no much atten-tion to such changeability of risk potential.This
paperintroduces
a case studyfer
long
term estimation of the seismic riskin
an expanding urban area ofSapporo
Region,Japan.
First,
the seismicintensity
distribution
in
Sapporo
Region
is estimatedfor
the presumed earthquake which might occur atIshikari
Bay
near this region.Then,
the probabledamage
ofdwelling
houses
is
estimatedfor
occurrence at any timeduring
the next50
years considering the time-dependentgrowth
of the urban area.The
urbanized Sapporo areahas
rapidlybeen
growing toward thepresumed source region and the prejected areas for new suburbia are sited on soft soildeposits
of peat and clayey silt etc. , which correspond to thehigh
intensity
zonesfor
theIshikari
Bay
earthquake.Therefore,
considering thefuture
growth
of urban area, the estimateddamage rate of residential