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私たちのエネルギーの未来は? : 大震災と福島原発事故を受けて

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Academic year: 2021

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公 開講座 85

現代社会学部公開講座

私 た ち の エ ネ ル ギ ー の 未 来 は?

一 大 震 災 と福 島原発 事 故 を受 け て一

公 開講座 プ ログラム

● 開 催 日 時   2011年7月23日(土)13:00∼16:30 ● 場 所     京 都 女 子 大 学J校 舎420教 室 ● 講 演     「福 島 で何 が起 きたの か?  一 流 れ を振 り返 っ て」        小 波   秀 雄   氏       (京都 女 子 大 学 現 代 社 会 学 部   教 授)       「日本 と世 界 の 原 子 力 とエ ネ ル ギー を振 り返 る」        齋 藤   伸 三   氏       (日本 原 子 力研 究 所 ・元 理 事 長 、 日本 原 子 力 学 会 ・元 会 長)       「自然 エ ネ ルギ ー を活 用 した 持 続 可 能 な社 会 を展 望 す る」        飯 田  哲 也   氏       (環境 エ ネル ギ ー 政 策研 究 所   所 長) ● 総 合 討 論

講演の要 旨

  3月11日 の 東 日本 大 震 災 に 引 き続 い て 起 き た 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 は 、 こ れ ま で の 原 子 力 依 存 の エ ネ ル ギ ー 政 策 に 根 底 か らの 大 きな 疑 問 符 を 突 きつ け る もの と な っ た 。 ま た 事 故 以 來 国 土 に 放 出 され た 大 量 の 放 射 性 物 質 の 問 題 、 各 地 の 原 子 力 発 電 所 の 運 転 に 関 す る さ ま ざ ま な 問 題 は 、 日本 社 会 に か つ て な い 激 し く活 発 な 論 争 を 巻 き起 こ し て い る 。 そ の 論 争 の ひ とつ の 焦 点 は 、 我 が 国 、 ひ い て は 世 界 が 、 エ ネ ル ギ ー を どの よ う に 確 保 し て 持 続 的 な社 会 を形 成 して い け る の か とい う点 に あ る と い っ て よ い だ ろ う。   そ の よ う な 状 況 の な か で 、 こ の 公 開 講 座 で は 、 原 子 力 学 会 や 関 連 機 関 に 指 導 的 な 役 職 に た ず さわ っ て 、 国 の 原 子 力 政 策 に も 関 わ っ て 来 られ た 齋 藤 伸 三 氏 と、 原 子 力 工 学 の 出 身 で

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86 現 在 再 生 エ ネ ル ギ ー の 利 用 推 進 の た め の 活 動 に 大 き な 役 割 を 果 た し て お ら れ る飯 田 哲 也 氏 の 両 氏 を 招 い て 、 異 な る 立 場 か ら議 論 を展 開 して い た だ き、 市 民 や 学 生 に 考 え る機 会 を提 供 す る こ と と した 。   プ ロ グ ラ ム で は まず 、 本 学 の 小 波 秀 雄 が 福 島 原 発 事 故 の 経 過 に つ い て 、 現 在 知 りう る情 報 を元 に して 解 説 を行 っ た 。 原 子 炉 の 構 造 や 仕 組 み に つ い て の 基 本 的 な知 識 に も とつ い て 、 事 故 の 経 過 が どの よ う な も の で あ っ た の か 、 そ し て 引 き続 い て 起 き て い る 放 射 性 物 質 に よ る汚 染 に つ い て も触 れ て 、 引 き続 く講 演 の た め の 予 備 知 識 を 参 加 者 に提 示 した 。   引 き続 く講 演 に お い て 、 齋 藤 氏 は ま ず 世 界 が 抱 え て い る エ ネ ル ギ ー 事 情 に つ い て 、 各 国 の 一 次 エ ネ ル ギ ー の構 成 、 化 石 燃 料 の 資 源 量 と受 給 の 逼 迫 、 二 酸 化 炭 素 排 出 削 減 の 必 要 性 等 を 考 慮 し た 見 通 し を述 べ た 。 そ の 中 で 、 現 在 期 待 さ れ て い る 自然 エ ネ ル ギ ー に つ い て は 、 エ ネ ル ギ ー 密 度 が 低 く、 不 安 定 、 高 コ ス トの 点 を 大 幅 に 改 善 す る 必 要 が あ り、 幾 つ か の 国 で 政 府 が 挺 入 れ し て い るが 、 基 幹 エ ネ ル ギ ー と は な ら な い と い う判 断 を 示 した 。   次 に 、 政 府 の 「エ ネ ル ギ ー 計 画2010」 を 元 に 、 エ ネ ル ギ ー 政 策 の 基 本 と し て 「セ キ ュ リ テ ィ の 確 保 、 温 暖 化 対 策 、 供 給 の 効 率 性 、 環 境 エ ネ ル ギ ー 分 野 で の 経 済 成 長 実 現 、 エ ネ ル ギ ー 産 業 構 造 の 改 革 」 が 必 要 で あ る こ と、 そ れ を 受 け て2030年 に 向 け た エ ネ ル ギ ー 需 給 構 造 の 抜 本 的 改 革 の 必 要 性 が 強 調 され た 。 そ の 中 で ゼ ロ ・エ ミ ッ シ ョ ンの 達 成 の た め に 新 エ ネ ル ギ ー の 重 要 性 は 高 ま る が 、 コス トと安 定 性 か ら そ れ に は 限 界 が あ る た め に 、 原 子 力 発 公 開講座 電 が 必 要 で あ る と い う主 張 が な され た 。   こ こ で 福 島 原 発 事 故 を 受 け て 、 ど の よ う な 対 応 が 必 要 で あ る か に つ い て 、 「政 府 、 規 制 当 局 、 事 業 者 が 原 点 に 立 ち 返 っ て 猛 省 し、 そ の 上 で 、 世 界 の 最 先 端 を い く安 全 設 計 ・審 査 指 針 ・規 制 体 系 の 下 に 規 制 を 遂 行 す る こ と」、 「防 災 に 関 し て 原 子 力 災 害 特 別 措 置 法 の 効 果 を 検 証 し、 効 率 的 、 効 果 的 、 機 動 的 な も の とす る こ と」、 「政 府 、 原 子 力 関 係 者 は 、 日 常 的 に 国 民 、 立 地   地 域 住 民 との 対 話 を重 ね 、 相 互 理 解 を 深 め る 」 と い う3点 が 示 され た 。   最 後 に 、 今 後 の 見 通 し に対 す る 斎 藤 氏 の 私 見 と して 次 の ま と め が 示 さ れ た 。(1)短期 的 に は 、 原 子 力 の 役 割 低 減 は 避 け られ な い 。 化 石 燃 料 の 中 で もCO2排 出 量 の 少 な い 天 然 ガ ス の 利 用 拡 大 を 図 る 。(2)原子 力 発 電 に 関 して は 、 世 界 最 先 端 の 安 全 設 計 審 査 指 針 ・規 制 体 系 等 を構 築 し、 国 民 、 立 地 地 域 住 民 の 信 頼 回 復 に 努 め る 。(3)太陽 光 、 風 力 発 電 等 の 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 導 入 を 無 理 の な い 範 囲 で 促 進 す る。 しか し、 到 底 、 原 子 力 の 代 替 と は な り得 な い 。 (4)再生 可 能 エ ネ ル ギ ー 、 電 気 自 動 車 、 自家 発 電 、 燃 料 電 池 等 を 利 用 し た 分 散 型 エ ネ ル ギ ー の 供 給 ・利 用 シ ス テ ム(ス マ ー トグ リ ッ ド等)を 構 築 す る 。(5)国民 や 企 業 の 省 エ ネ 意 識 、 行 動 を促 進 す る と と も に 、 あ ら ゆ る 機 器 、 装 置 の エ ネ ル ギ ー 利 用 効 率 を 上 げ る 。   次 に 飯 田哲 也 氏 が 登 壇 し て 、 まず 原 子 力 発 電 が 抱 え る さ ま ざ ま の 問 題 点 に つ い て 福 島事 故 以 降 の 事 情 も踏 ま え な が ら解 説 を 行 っ た 。 そ の 冒 頭 で 、 「ドイ ツ が フ ラ ンス か ら原 発 の 電 力 を 買 つ て い る 」 とい う話 に つ い て 、2009 年 に は ド イ ツ か ら フ ラ ン ス に 向 け て3TWh の 電 力 が 売 ら れ て い て 、 他 に も同 様 の 誤 っ た

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公開講座 認 識 が あ る と指 摘 さ れ た 。 さ ら に 原 発 事 故 の 影 響 に よ る 電 力 事 情 の 逼 迫 に つ い て は 、 経 済 産 業 省 、 原 子 力 業 界 に よ つ て 危 機 感 が 誇 張 さ れ て い る 一 方 で 、 事 故 対 策 に つ い て は 数 々 の 課 題 が 積 み 残 さ れ た ま ま に な っ て い る こ とが 示 さ れ た 。 特 に福 島後 の 「最 低 限 の 倫 理 」 と して 、 現 状 の 日本 の 原 子 力 発 電 所 に つ い て は 「無 車 検 運 行 」 つ ま り現 時 点 で 安 全 基 準 が 失 効 して い て 、 さ ら に 「無 保 険 運 行 」 つ ま り現 時 点 で 原 子 力 損 害 賠 償 が 無 効 とな っ て い る と い う指 摘 が な さ れ た 。   こ こ で 、 飯 田 氏 は2000年 以 降 の 「原 子 力 ル ネ サ ンス 」 につ い て の 批 判 的 検 証 を 行 い 、 原 子 炉 の 平 均 寿 命 が 想 定 よ り も は る か に 短 い22 年 に す ぎず 、 老 朽 化 や 劣 化 に 対 応 す る こ と は 不 可 能 な 状 態 が 現 れ て きて い る こ と、 度 重 な る トラ ブ ル や 老 朽 化 対 策 等 に よ っ て 原 発 の 発 電 コ ス トが 急 激 に 上 昇 して い て 「安 い 電 力 」 と は 言 え な くな っ て い る こ とが 示 さ れ た 。 そ の 上 で 、 現 在 し ば し ば 引 き合 い に 出 さ れ る 自 然 エ ネ ル ギ ー と他 の 電 源 の 発 電 単 価 の 比 較 に つ い て 、 前 者 を 不 当 に 高 くつ く もの と し て 評 価 して い る と い う指 摘 も な さ れ た 。   次 に 「人 類 史 ・第4の 革 命 」 と い う タ イ ト ル で 新 エ ネ ル ギ ー に 関 す る 現 状 と未 来 像 が 示 され た 。 まず 自 然 エ ネ ル ギ ー の 本 命 と され る 風 力 発 電 と太 陽 光 発 電 の 年 ご と の 伸 び は2000 年 代 後 半 か ら急 速 に 大 き くな っ て お り、 一 方 で 原 子 力 の 伸 び は マ イ ナ ス に転 じて き て い る。 こ れ を支 え て い る の は 、 ドイ ツ、 デ ンマ ー ク、 イ ン ド、 中 国 等 の 国 々 に お け る 国 内 法 の 整 備 が 大 き く、 日本 は 太 陽 電 池 の 初 期 の 段 階 で 多 少 の 貢 献 を した が 、 今 と な っ て は 各 国 に 大 き く水 を 開 け られ て い る現 状 で あ る こ とが 多 数 の グ ラ フ を使 っ て 示 さ れ た 。 な お 、 こ れ らの 87 国 内 法 に お い て 電 力 の 全 量 買 取(FIT)が 義 務 付 け ら れ て い る こ と に つ い て の 日本 国 内 で さ ま ざ ま の 反 対 意 見 が 出 さ れ て い る が 、 そ れ に つ い て 飯 田 氏 は 個 別 に挙 げ て 反 論 を加 え た 。 ま ず 、 電 気 代 が 高 く な る と い う批 判 に 対 し て 、FITの 下 で も普 及 に 伴 っ て 発 電 単 価 は 減 少 し、 買 取 価 格 も減 少 して い る こ と、 一 方 で 原 発 は安 全 強 化 、 事 故 保 証 、 廃 棄 物 処 分 な ど の コス ト要 因 で 価 格 が 急 騰 して い く見 通 しが あ る こ と、 ま だ 自然 エ ネ ル ギ ー の 負 担 は 、 将 来 へ の 投 資 と して 見 返 りが あ る こ とが 述 べ ら れ た 。 電 力 の 安 定 供 給 に 対 す る 不 安 と批 判 に つ い て は 、 大 規 模 化 に よ る 風 力 変 動 の 吸 収 、 ス ー パ ー グ リ ッ ドを使 っ た 広 域 連 携 に よ る 安 定 供 給 の 確 保 が 現 実 に な りつ つ あ る こ とが 示 され た 。 そ の 他 、「企 業 が 海 外 に 逃 げ る 」、「金 持 ち優 遇 で 不 公 平 」 と い っ た 批 判 に つ い て も 、 政 策 的 対 応 で カバ ー で き る こ と を 外 国 の 事 例 も挙 げ て 反 証 し た 。   そ の 後 、 飯 田 氏 は福 島 事 故 で 露 呈 し た 電 力 会 社 の 「計 画 停 電 」 と い う 名 前 の 「無 計 画 停 電 」 の 問 題 、 賠 償 ス キ ー ム の 問 題 点 に つ い て 触 れ 、 東 京 電 力 を 将 来 的 に解 体 して い く こ と が 必 要 で あ る と い う認 識 を示 し た 。 ま た 、 変 化 を 阻 む 要 因 と して 電 力 の 独 占 、 縦 割 り行 政 、 社 会 的 合 意 形 成 の 遅 れ が あ る こ と を示 した 。 そ の あ と、 「東 北 エ ネ ル ギ ー 復 興 支 援 計 画 」 を 立 ち 上 げ て2020年 ま で に東 北 地 方 の エ ネ ル ギ ー を 自 然 エ ネ ル ギ ー100%へ 転 換 させ る こ と を提 唱 し、 そ の た め の 住 民 合 意 の 形 成 に つ い て もデ ン マ ー ク の 例 を 引 い て 具 体 的 な提 案 が な され た 。   以 上 で 講 演 が 終 了 し、 休 憩 の 後 、 齋 藤 氏 と 飯 田 氏 の 間 で 確 認 の た め の 短 い 議 論 を 行 っ た 。

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88 そ の 後 、 会 場 の 参 加 者 か ら の 質 問 を も と に 、 質 疑 応 答 が な さ れ た 。 質 問 の 主 な もの と して は 、 ス トレス テ ス トの 内 容 と信 頼 性 、 ドイツ と 日本 と の 状 況 の 違 い の 理 由 、 ヨ ー ロ ッパ に 公開講座 お け る 自然 エ ネ ル ギ ー 導 入 の 詳 細 に 関 す る な ど もの が あ り、 そ れ ら に つ い て 両 氏 よ り回答 が な さ れ た 。

(小波秀雄)

参照

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