犯罪収益移転防止法等の
概要について
警察庁刑事局組織犯罪対策部
組 織 犯 罪 対 策 企 画 課
犯 罪 収 益 移 転 防 止 対 策 室
平成30年9月14日
【資料1】
内
容
1 犯罪収益移転防止法の概要 ・・・ P1~P8
(我が国のマネー・ローンダリング対策)
2 疑わしい取引の届出
・・・ P9~P16
3 リスクベース・アプローチ
・・・ P17~P20
1 犯罪収益移転防止法の概要
(我が国のマネー・ローンダリング対策)
Money
Laundering(資金洗浄)とは、
犯罪による収益の出所や帰属を隠そうとする行為
極めて潜在性が高く、その解明に困難を伴う。
放置すると
犯罪収益が将来の犯罪活動や犯罪組織の維持・強化に使用
されたり、犯罪組織がその資金源を元に合法的な経済に介入
して
悪影響を及ぼす。
そのため
犯罪による収益の移転を防ぐことが重要!
2
マネー・ローンダリング、テロ資金供与対策を巡る国際
動向と我が国の取組の経緯
平成元年7月 アルシュサミット(FATF設置の採択) 平成2年4月 FATF「40の勧告」を策定 (金融機関による本人確認・疑わしい取引の報告) 6月 大蔵省から各金融団体に対して本人確認等の実施要請 平成4年7月 麻薬特例法の施行 (薬物犯罪に関するマネロンの犯罪化・疑わしい取引の届出制度) 平成8年6月 FATF「40の勧告」を一部改訂(前提犯罪を重大犯罪に拡大) 平成12年2月 組織的犯罪処罰法の施行 (前提犯罪の拡大、日本版FIUを金融監督庁に設置) 平成13年9月 米国における同時多発テロ事件発生 10月 FATF「8の特別勧告」を策定(テロ資金供与の犯罪化等) 平成14年7月 テロ資金提供処罰法・改正組織的犯罪処罰法の施行 平成15年1月 金融機関等本人確認法の施行 6月 FATF「40の勧告」を再改訂(非金融業者への勧告の適用) 平成19年3月 犯罪収益移転防止法成立 → 平成20年3月全面施行 4月 FIU移管(金融庁→国家公安委員会・警察庁) 平成20年10月 第3次FATF対日相互審査の結果公表→9項目で「不履行」の評価 平成23年4月 平成23年改正犯罪収益移転防止法成立 → 平成25年4月全面施行 平成26年6月 日本に関するFATF声明の公表 →マネロン対策等の不備への迅速な対応を要請 平成26年11月 平成26年改正犯罪収益移転防止法成立 → 平成28年10月全面施行 平成28年5月 情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等一部を改正する法律成立 →平成29年4月1日施行(仮想通貨交換業者を特定事業者に追加) 国際的取組等 我が国の取組 3FATF(Financial Action Task Force)
1 組織
マネー・ローンダリング対策における国際協力を推進す
るため、平成元年(1989年)のアルシュ・サミット経済宣言
を受けて設置された政府間会合
3 主な活動内容
○ マネー・ローンダリング対策等に関する国際基準(FATF
勧告)の策定及び見直し
○ FATF参加国・地域相互間におけるFATF勧告の遵守
状況の監視(相互審査)
2 参加国等
35の国・地域及び2国際機関が参加
4
① 犯罪による収益の移転防止 ② マネロンの処罰 ③ 犯罪による収益の剝奪
目 的
措 置
顧客等の取引時確認
疑わしい取引の届出
犯罪収益移転防止法
組織的犯罪処罰法
麻薬特例法
処罰
(薬物)犯罪収益等隠匿
(薬物)犯罪収益等収受
法人等経営支配
収益の剝奪
没
収
追
徴
没収・追徴保全命令
我が国のマネー・ローンダリング対策
記録等の作成・保存
○国民生活の安全と平穏の確保
○経済活動の健全な発展に寄与
5
特定事業者
(特定業務以外は法律の対象外)
特定業務
・取引記録の作成、保存
(少額取引等を除く)
・疑わしい取引の届出
特定取引等
・取引時確認
・確認記録の作成・保存
特定事業者の義務の範囲
6
○ 金融機関等(1~37号)
○ ファイナンスリース事業者(38号)
○ クレジットカード事業者(39号)
○ 宅地建物取引業者(40号)
○ 宝石・貴金属等取扱事業者(41号)
○ 郵便物受取サービス業者(42号)
○ 電話受付代行業者(42号)
○ 電話転送サービス事業者(42号)
○ 弁護士又は弁護士法人(43号)
○ 司法書士又は司法書士法人(44号)
○ 行政書士又は行政書士法人(45号)
○ 公認会計士又は監査法人(46号)
○ 税理士又は税理士法人(47号)
特定事業者の義務
特定事業者(法2条2項)
特定事業者と義務
7
取引時確認 第4条 特定取引を行うに際しては、本人特定事項等の 確認を行わなければならない。 確認記録の作成・保存 第6条 取引時確認を行った場合には、直ちに確認記録 を作成し、契約終了日から7年保存しなければな らない。 取引記録の作成・保存 第7条 特定業務に係る取引を行った場合には、直ちに 取引記録を作成し、7年間保存しなければならない。 疑わしい取引の届出 第8条 特定業務において収受される財産が犯罪による 収益である疑いがあり、又は顧客等が特定業務 に関してマネー・ローンダリングを行っている疑い がある場合には、速やかに行政庁に届け出なけれ ばならない。 取引時確認等を的確 に行うための措置 第11条 取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容 に保つための措置を講ずるほか、使用人に対す る教育訓練の実施その他必要な体制の整備に努 めなければならない。 ※ 第9条(コルレス契約締結時の厳格な確認)及び第10条(外国為替取引に係る通知)は、業として為替取引を行う者に 適用される。【省略】特定事業者
外国の機関(FIU)
検挙 提供所
管
行
政
庁
捜査機関等
捜査・調査 監督上の措置 ◇報告徴収 ◇立入検査 ◇指導、助言及び勧告 ◇是正命令 情報交換 没収 追徴 疑 わ し い 取 引 の 届 出 ・顧客等の取引時確認 ① 顧客の本人特定事項(氏名・住居・生年月日/名称・所在地) ② 取引を行う目的 ③ 職業/事業の内容 ④ 実質的支配者 ⑤ 資産・収入(200万円を超えるマネー・ローンダリングのリスクが高い 取引の場合) ・本人確認記録・取引記録等の作成・保存 預貯金通帳等の不正譲渡・譲受 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (併科も可) 3年以下の懲役又は500万円以下の罰金 (併科も可) 業として 金融機関等※1 ファイナンスリース事業者 クレジットカード事業者 宅地建物取引業者 宝石・貴金属等取扱事業者 郵便物受取サービス業者 電話受付代行業者 電話転送サービス事業者 司法書士※2 行政書士※2 公認会計士※2 税理士※2 通知 監督上の措置に 関する意見陳述 契約の締結、財産の収受 等 本人特定事項の虚偽申告顧
客
是正命令違反 報告徴収及び立入検査忌避 2年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (併科も可) 1年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (併科も可) ・取引時確認等を的確に行うための措置 暴力団等 犯罪組織 特定事業者への情報の提供等の支援 国民の理解の促進 届出情報の集約、整理、分析(FIUの機能) 罰 則国家公安委員会・警察庁
(FIU)
※1 金融機関等のうち為替取引に関わる事業者は、上記のほか送金人情報の通知義務を負う。 弁護士※3 ※3 弁護士による取引時確認、確認記録・取引記録等の作成・保存、取引時確認等を行うための措置に相当する措置については、犯罪収益移転 防止法に定める司法書士等の例に準じて、 日本弁護士連合会の会則で定める。 ※2 司法書士、行政書士、公認会計士及び税理士による取引時確認については、①のみの確認である。8
犯罪収益移転防止法の概要
2 疑わしい取引の届出
○ 犯罪による収益の移転防止に関する法律第8条 (疑わしい取引の届出等)
疑わしい取引の届出に係る規定
10
特定事業者
認められる場合
国家公安委員会
警察庁
所管行政庁
犯罪による収益
特定業務におい
て収受した財産が
である疑い
届
出
速やかに
通
知
犯罪による収益の隠匿
組織的犯罪処罰法
第10条の罪
に当たる行為
麻薬特例法
第6条の罪
に当たる行為
顧客が特定業務に関し
を行っている疑い
疑わしい取引の届出内容
・ 届出を行う事業者の名称及び所在地
・ 届出対象取引が発生した年月日及び場所
・ 届出対象取引が発生した業務の内容
・ 届出対象取引に係る財産の内容
・ 取引時確認に係る事項
・ 届出を行う理由
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疑わしい取引の届出方法
届出様式や届出要領等の詳細は、犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)ホームページをご確認ください。
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/index_g.htm
1.電子政府を利用した届出
⇒ インターネットの電子政府総合窓口を利用して届け出る方法
2.電磁的記録媒体による届出
⇒ 電磁的記録媒体を郵送又は持ち込み届け出る方法
3.文書による届出
⇒ 文書を郵送又は持ち込み届け出る方法
い
ず
れ
か
を
選
択
し
て
所
管
行
政
庁
に
届
出
12
疑わしい取引の届出から捜査機関等への提供までの流れ
13
疑わしい取引の
発見
疑わしい取引の
届出の受理
疑わしい取引の集
約・整理・分析
取締りに活用
届出
通知
提供
外国FIU
特定事業者
所管行政庁
国家公安委員会・ 警察庁(犯罪収益移 転防止対策室等)捜査機関等
疑わしい取引の届出受理・提供件数
14
平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
届出受理件数
235,260
272,325
294,305
337,341
364,366
349,361
377,513
399,508
401,091
400,043
提供件数
146,330
189,749
208,650
234,836
281,475
296,501
348,778
435,055
443,705
446,085
(うち再評価件数)-
-
-
-
25,413
34,087
42,231
96,680
94,752
86,598
0 件 50,000 件 100,000 件 150,000 件 200,000 件 250,000 件 300,000 件 350,000 件 400,000 件 450,000 件 500,000 件 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年疑わしい取引の届出受理及び提供件数(平成20~29年)
提供件数 うち再評価 再評価件数 届出受理件数 提供件数% % % % % 98.5% 97.2% 96.5% 96.6% 96.1% 94.2% 92.5% 91.9% 92.2% 90.8% 89.7% 88.1% 87.9% 88.3% 86.6% 4.0% 4.0% 3.3% 3.3% 3.3% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.4% 0.4% 0.6% 0.5% 0.8% 0.9% 1.0% 0.7% 0.6% 0.6% 2.1% 2.0% 2.2% 2.1% 2.1% 0.5% 0.9% 1.1% 1.3% 1.9% 0.1% 0.2% 0.2% 0.1% 0.3% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.6% 0.4% 0.4% 0.2% 0.1% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% 0.1% 0.0% 0.0% 0.1% 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% 0.0% 1.5% 2.8% 3.4% 3.3% 3.9% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 100.0% 100.0% 401,091 100.0% 400,043 100.0% 合 計 349,361 377,513 399,508 0 そ の 他 1 0 0 0 0 電 話 転 送 サ ー ビ ス 事 業 者 0 0 0 0 6 2 電 話 受 付 代 行 業 者 0 0 0 1 0 郵 便 物 受 取 サ ー ビ ス 業 者 57 34 24 8 7 宝 石 ・ 貴 金 属 等 取 扱 事 業 者 7 5 10 27 146 宅 地 建 物 取 引 業 者 1 1 9 214 109 ク レ ジ ッ ト カ ー ド 事 業 者 5,086 10,608 13,666 13,436 15,448 フ ァ イ ナ ン ス リ ー ス 事 業 者 62 86 160 3 4 そ の 他 237 280 151 177 192 電 子 債 権 記 録 機 関 1 0 0 両 替 業 者 2,119 1,574 1,633 627 490 商 品 先 物 取 引 業 者 仮 想 通 貨 交 換 業 者 53 16 9 16 17 669 5,263 7,512 資 金 移 動 業 者 363 807 585 539 1,282 貸 金 業 者 1,872 3,349 4,427 2,310 2,382 金 融 商 品 取 引 業 者 7,373 7,732 8,951 8,528 8,436 保 険 会 社 3,002 3,817 2,918 農 林 等 1,313 1,445 2,397 2,067 3,017 労 働 金 庫 290 298 371 13,259 銀 行 等 313,435 332,443 351,009 453 476 363,347 金 融 機 関 等 344,147 366,779 385,639 354,346 346,595 平成29年 件数 件数 件数 件数 件数 387,399 384,331 年 区分 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 預 金 取 扱 機 関 329,127 349,204 366,965 369,936 信用金 庫・ 信用 協同 組合 14,089 15,018 13,188 13,070
疑わしい取引の届出件数(業態別)
15
• 疑わしい取引の届出を行おうとすること又は
行ったことを当該取引の届出に係る顧客等
又はその者の関係者に漏らしてはならない
• 犯罪収益移転防止法第8条第2項
届出事業者
• 国家公安委員会が提供した疑わしい取引の
届出情報は、厳正に管理
• 届出情報については一切公表されない
• 国家公務員…「守秘義務」
捜査機関等
届
出
事
業
者
を
保
護
16
情報管理の徹底
3 リスクベース・アプローチ
国家公安委員会 所管行政庁 特定事業者