日本標準商品分類番号 87629 2011年9月作成 - 医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読みください。-
新医薬品の「使用上の注意」の解説
【禁忌
(次の患者には投与しないこと)
】
1) ピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソ ルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、バルデナフィル、エプレレノン、 ブロナ ンセリン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アリスキレン、ダビガ トランを投与中の患者[「相互作用」の項参照] 2) 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者[「相互作用」の項参照] 3) 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者 4) 重篤な肝疾患の現症、既往歴のある患者 [不可逆的な肝障害におちいるおそれがある。] 5) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 [「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]製造販売元:
経口抗真菌剤
処方せん医薬品*
一般名:イトラコナゾール 薬価基準収載 *注意-医師等の処方せんにより使用すること Itrizol® Oral Solution 1%は じ め に
イトラコナゾールは、1980年にヤンセン社で合成されたトリアゾール系抗真菌薬であ り、イトラコナゾールを有効成分とする製剤として、カプセル、内用液、注射剤の3製剤 が開発されています。 国内では、「イトリゾール®カプセル50」が、1993年7月にアスペルギルス属、カンジダ 属、クリプトコックス属、皮膚糸状菌、マラセチア属、スポロトリックス属、ホンセカエ ア属による内臓真菌症、深在性皮膚真菌症及び表在性皮膚真菌症の効能・効果にて承認さ れました。また、1999年6月に爪白癬、爪カンジダ症及びカンジダ性爪囲爪炎の追加効 能、2004年2月に爪白癬に対するパルス療法の用法・用量が承認されました。 その後、水に難溶性であるイトラコナゾールを、溶解補助剤であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)を用いて可溶化した内用液及び注射剤が開発されま した。「イトリゾール®内用液1%」は、2006年7月に口腔咽頭カンジダ症及び食道カン ジダ症の効能・効果にて承認され、また、「イトリゾール®注1%」は、2006年10月にア スペルギルス属、カンジダ属、クリプトコックス属、ブラストミセス属、ヒストプラスマ 属による真菌感染症(真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎、 食道カンジダ症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症)及び真菌感染が疑われる発熱性 好中球減少症の効能・効果にて承認されました。 本剤は、イトリゾール®カプセル50よりバイオアベイラビリティが向上しており、深在性 真菌症に対しても効果が期待できるものの、国内においては口腔咽頭カンジダ症及び食道 カンジダ症以外の適応を有していませんでした。そこで、「アスペルギルス属、カンジダ属、 クリプトコックス属、ブラストミセス属、ヒストプラスマ属による真菌感染症(真菌血症、 呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎、口腔咽頭カンジダ症、食道カン ジダ症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症)」、「真菌感染が疑われる発熱性好中球減 少症」及び「好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性 真菌症の予防」の効能・効果について、国内外の臨床試験に基づき申請を行い、2011年 9月に承認されました。 本解説書では、添付文書の使用上の注意を項目ごとに解説しております。本剤の適正使用 の一助となれば幸甚に存じます。 なお、本剤の使用に際しましては、添付文書及びインタビューフォームもご参照ください。目 次
【効能・効果】
1
【用法・用量】
6
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
10
《効能・効果に関連する使用上の注意》
11
《用法・用量に関連する使用上の注意》
12
【使用上の注意】
16
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
16
2.重要な基本的注意
17
3.相互作用
19
4.副作用
40
5.高齢者への投与
57
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
58
7.小児等への投与
58
8.過量投与
59
9.適用上の注意
59
10.その他の注意
60
別添1 副作用及び臨床検査値異常発現頻度一覧
62
効能・効果
【効能・効果】
1. 真菌感染症 [適応菌種] アスペルギルス属、カンジダ属、クリプトコックス属、ブラストミセス属、ヒストプラスマ属 [適応症] 真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎、口腔咽頭カンジダ症、 食道カンジダ症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症 2. 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症 3. 好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防- 解 説 -
1. 真菌感染症 [適応菌種] 国内の臨床分離株における薬剤感受性に関する報告では、真菌感染症の主な原因真菌である Aspergillus fumigatus、Candida属各菌種及びCryptococcus neoformansについて、イトラコ ナゾールに対する感受性が確認されています1)。国内臨床分離株のイトラコナゾールに対する感受性
菌種 株数 MIC範囲(μg/mL) MIC50(μg/mL) MIC90(μg/mL)
Aspergillus fumigatus 17 0.063->8 0.125 0.25 Candida albicans 333
≤
0.0039-0.5 0.016 0.016 Candida glabrata 107 0.016->8 0.25 0.5 Candida guilliermondii 8 0.125-0.25 0.25 0.25 Candida krusei 14 0.125-2 0.25 1 Candida parapsilosis 27 0.016-0.063 0.031 0.063 Candida tropicalis 46 0.031-1 0.125 0.25 Cryptococcus neoformans 3 0.016-0.063 0.031 0.063 また、ブラストミセス属及びヒストプラスマ属については、国内発症例は極めて稀ですが、 海外の臨床分離株における薬剤感受性に関する報告では、イトラコナゾールに対する感受性 が確認されています2)。 海外臨床分離株のイトラコナゾールに対する感受性 菌種 株数 MIC50(μg/mL) MIC90(μg/mL) Histoplasma spp. 53 0.019 0.063 Blastomyces spp. 38 0.031 2.0 (つづく) 1)山口英世,他:日本臨床微生物学雑誌,19,128,2009(J076734) 2)Sabatelli,F.,etal.:Antimicrob.AgentsChemother.,50,2009,2006(J054680)効能・効果(つづき)
- 解 説 -
[適応症] 本剤の真菌感染症に関する適応症については、国内外の臨床試験成績に加えて、文献情報、 イトリゾールカプセル50及びイトリゾール注1%の国内における適応症を考慮し設定しました。 以下に、本剤の臨床試験成績の概要を示します。 ●臨床試験成績 1)口腔咽頭カンジダ症を対象とした臨床試験1) 国内で実施された口腔咽頭カンジダ症を対象とした臨床試験において、本剤200mg/日を1~2週 間投与したときの有効率は91.9%(68/74例)であった。 2)食道カンジダ症を対象とした臨床試験2) 海外で実施された食道カンジダ症を対象とした臨床試験において、本剤を初回200mg/日投与 後、100mg/日を3~8週間投与したときの有効率は94.3%(50/53例)であった。 3)深在性真菌症を対象とした臨床試験3) 国内で実施された深在性真菌症を対象とした臨床試験において、本剤最大200mgを1日2回最長 12週間、又はイトラコナゾール注射剤最短3日間から最長2週間投与後、本剤最大200mgを1日2 回最長12週間投与したときの有効率は以下のとおりであった。 菌種 疾患名 有効例/有効例+無効例 アスペルギルス属 侵襲性肺アスペルギルス症 3/5 慢性壊死性肺アスペルギルス症 5/8 アスペルギローマ 4/8 小計 12/21(57.1%) カンジダ属 カンジダ血症 1/1 食道カンジダ症 3/3 小計 4/4 クリプトコックス属 肺クリプトコックス症 2/4 小計 2/4 合計 18/29(62.1%) また、ブラストミセス症及びヒストプラスマ症は、国内には生息しない真菌により発症する 真菌症であり、国内での発生は海外流行地において感染し帰国後に発病したケースと考えら れており、国内での報告は極めて稀な疾患です。本剤の国内臨床試験においても投与例はあ りませんでした。 これらの真菌症に対して、国内で使用可能な薬剤はアムホテリシンB、アムホテリシンBリポ ソーム製剤及びイトラコナゾールに限定されていること、薬剤感受性からも本剤の効果が期 待されること、及び国内の輸入真菌症診断・治療ガイドラインにおいて推奨されていること から、適応症として設定しました。(「用法・用量」の項(P.6)をご参照ください。) (つづく) 1)山口英世,他:日本化学療法学会雑誌,54(Suppl.1),18,2006(J058082) 2)Wilcox,C.M.,etal.:J.Infect.Dis.,176,227,1997(J045979) 3)本川英範:イトラコナゾール内用液の国内第Ⅲ相試験(社内資料)(J900591)効能・効果(つづき)
- 解 説 -
2. 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症 国内外の臨床試験成績より、イトラコナゾール注射剤から本剤への切り替え投与による有効性 が確認されたことから、適応症として設定しました。 以下に、本剤の国内臨床試験成績の概要を示します。 ●真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症を対象とした臨床試験1) 国内で実施された真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症を対象とした臨床試験において、イト ラコナゾール注射剤最短3日間から最長2週間投与後、本剤最大200mgを1日2回最長12週間投与し たときの有効率は80.0%(16/20例)であった。 3. 好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防 国内における臨床試験は実施していませんが、海外臨床試験において有効性が確認されたこと に加えて、深在性真菌症の診断・治療ガイドラインや国内外の文献情報を踏まえ、適応症とし て設定しました。 以下に、本剤の海外臨床試験成績の概要を示します。 ●海外臨床試験成績 海外で実施された好中球減少を伴う血液悪性疾患患者を対象とした臨床試験(ITA-18試験)におい て、本剤2.5mg/kgを1日2回最長8週間投与*したときの予防効果をプラセボと比較したときの真菌 感染症発症率は以下のとおりであった2)。 真菌感染症発症率 真菌感染症の発症 イトラコナゾール群(n=201) (n=204)プラセボ群 p値注) 深在性真菌症(確定診断例+疑診例) +表在性真菌症 48(23.9%) 68(33.3%) 0.035 深在性真菌症:確定診断例 5(2.5%) 9(4.4%) 0.291 深在性真菌症:疑診例 43(21.4%) 59(28.9%) 0.081 表在性真菌症 0(0%) 0(0%) - 深在性真菌症と表在性真菌症を発症した場合、深在性真菌症に集計した。 注)Cochran-Mantel-Haenszel検定 *本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には20mL(イトラコナゾールとして200mg)を1日1 回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態などにより適宜増減する。ただし、1回量の最大は 20mL、1日量の最大は40mLとする。」である。 (つづく) 1)本川英範:イトラコナゾール内用液の国内第Ⅲ相試験(社内資料)(J900591) 2)Menichetti,F.,etal.:Clin.Infect.Dis.,28,250,1999(J035778)効能・効果(つづき)
- 解 説 -
海外で実施された好中球減少を伴う血液悪性疾患患者を対象とした臨床試験(INT-54試験)におい て、本剤2.5mg/kgを1日2回最長8週間投与*したときの予防効果をアムホテリシンBカプセル**と 比較したときの真菌感染症発症率は以下のとおりであった1)。 真菌感染症発症率 真菌感染症の発症 イトラコナゾール群(n=281) アムホテリシンB群(n=276) p値注1) 侵襲性アスペルギルス症 5(1.8%) 9(3.3%) 0.264 深在性真菌症(確定診断例注2)+疑診 例)+表在性真菌症 93(33.1%) 106(38.4%) 0.191 深在性真菌症:確定診断例注2) 8(2.8%) 13(4.7%) 0.248 深在性真菌症:疑診例 83(29.5%) 80(29.0%) 0.886 表在性真菌症 2(0.7%) 13(4.7%) 0.004 深在性真菌症と表在性真菌症を発症した場合、深在性真菌症に集計した。 注1)χ2検定 注2)侵襲性アスペルギルス症を含む。 *本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には20mL(イトラコナゾールとして200mg)を1日1 回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態などにより適宜増減する。ただし、1回量の最大は 20mL、1日量の最大は40mLとする。」である。 **国内におけるアムホテリシンB経口製剤の効能・効果は、「消化管におけるカンジダ異常増殖」で ある。 (つづく) 1)Harousseau,J.L.,etal.:Antimicrob.AgentsChemother.,44,1887,2000(J035177)効能・効果(つづき)
- 解 説 -
※参考:「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」におけるイトラコナゾールの 推奨度・エビデンスレベル 対象疾患 イトラコナゾール 投与量 推奨度・ エビデンスレベル注) 真菌感染症 血液疾患領域 カンジダ症(カンジダ血症、 慢性播種性カンジダ症) 第二選択薬 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/ 回 1日2回点滴静注を2日間) BⅢ 侵襲性アスペルギルス症 BⅡ 呼吸器内科領域 肺アスペルギローマ 第一選択:根治のためには肺切 除 第二選択:抗真菌薬療法 内用液又はカプセル剤 200mg/回 1日1回経口投与 CⅢ 慢性壊死性肺アスペルギル ス症 第二選択薬 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/ 回 1日2回点滴静注を2日間) BⅢ 侵襲性肺アスペルギルス症 第一選択薬 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/ 回 1日2回点滴静注を2日間) BⅡ 肺クリプトコックス症 第一選択薬 200mg 1日1回点滴静注ある いは経口投与 (loading dose:200mg/ 回 1日2回点滴静注を2日間) BⅢ 内 科 領 域( 血 液 疾患・呼吸器内 科領域を除く) 口腔咽頭カンジダ症 第一選択薬 内用液又はカプセル剤 200mg/日 1日1回経口投与 AⅠ 食道カンジダ症 カンジダ血症・播種性カン ジダ症 第二選択薬 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/ 回 1日2回点滴静注を2日間) BⅢ 真菌感染が疑わ れる発熱性好中 球減少症 血液疾患領域 カンジダ症(カンジダ血症、 慢性播種性カンジダ症) (予防投与と異なる薬剤を選択) 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/回 1日2回点滴静注を2日間) AⅠ 侵襲性アスペルギルス症 呼吸器内科領域 侵襲性肺アスペルギルス症 第一選択薬 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/ 回 1日2回点滴静注を2日間) BⅡ 内 科 領 域( 血 液 疾患・呼吸器内 科領域を除く) カンジダ血症・播種性カン ジダ症 200mg 1日1回点滴静注 (loading dose:200mg/回 1日2回点滴静注を2日間) CⅢ 好中球減少が予 測される血液悪 性腫瘍又は造血 幹細胞移植患者 における深在性 真菌症の予防 血液疾患領域 カンジダ症(カンジダ血症、 慢性播種性カンジダ症) 内用液又はカプセル剤200mg/ 日 1日1回経口投与 AⅠ 侵襲性アスペルギルス症 AⅡ 注)推奨度・エビデンスレベル 推奨度 エビデンスレベル A 強く推奨 Ⅰ 少なくとも一つ以上の無作為化臨床比較試験がある B 一般的な推奨 Ⅱ 無作為化臨床比較試験はないが、信頼性のある比較試 験や、非対照多施設前向き臨床試験がある C 主治医の任意 Ⅲ 症例報告や専門家の意見用法・用量
【用法・用量】
1. 真菌感染症 ● 真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎、ブラストミセス症、 ヒストプラスマ症 通常、成人には20mL(イトラコナゾールとして200mg)を1日1回空腹時に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1回量の最大は20mL、1日量の最大は 40mLとする。 ●口腔咽頭カンジダ症、食道カンジダ症 通常、成人には20mL(イトラコナゾールとして200mg)を1日1回空腹時に経口投与する。 2. 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症 通常、成人には、イトラコナゾール注射剤からの切り替え投与として、20mL(イトラコナゾー ルとして200mg)を1日1回空腹時に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。 ただし、1回量の最大は20mL、1日量の最大は40mLとする。 3. 好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防 通常、成人には20mL(イトラコナゾールとして200mg)を1日1回空腹時に経口投与する。なお、 患者の状態などにより適宜増減する。ただし、1回量の最大は20mL、1日量の最大は40mLと する。- 解 説 -
1. 真菌感染症 深在性真菌症患者を対象とした国内臨床試験における本剤の投与方法として、患者の状態に応 じて本剤単独投与又はイトラコナゾール注射剤から本剤への切り替え投与のいずれかを選択し ました。 単独投与を行った15例における有効性は、以下のとおりでした。 深在性真菌症患者に対する本剤単独投与症例における総合効果 評価例数 総合効果 有効 無効 判定不能 本剤200mg/日のみが継続された患者 10 7 2 1 本剤を増量(300又は400mg/日)した患者 5 3 1 1 (つづく)用法・用量(つづき)
- 解 説 -
また、イトラコナゾール注射剤から本剤へ切り替えた13例における本剤の最頻投与量(本剤が 最も頻回に投与された投与量)別の有効性は、以下のとおりでした。 深在性真菌症患者に対するイトラコナゾール注射剤から本剤切り替え症例における総合効果 本剤最頻投与量(mg/日) 評価例数 総合効果 有効 無効 判定不能 200 5 5 0 0 300 2 0 2 0 400 6 3 3 0 以上の成績より、深在性真菌症に対して本剤200mg/日投与による有効性が認められ、400mg/ 日への増量が有効な症例も認められたことから、本剤の通常の用法・用量を200mg/日とし、 病態に応じて適宜増減(1回最大用量は200mg、1日最大用量は400mg)するよう設定しました。 なお、ブラストミセス症及びヒストプラスマ症については、国内臨床試験において本剤の投与 症例はありませんでしたが、「輸入真菌症診断・治療ガイドライン」において以下のとおり本剤 の投与が推奨されていることから、本剤の通常の用法・用量を200mg/日とし、年齢、症状に より適宜増減することで200~400mg/日を投与できるよう設定しました。 ※輸入真菌症診断・治療ガイドラインより びまん性肺ヒストプラスマ症の重症例に対して、初期治療としてアムホテリシンB注射剤の投与後、 退院後に外来でイトラコナゾールを200~400mg/日の用量で12週間投与し、軽症の場合には、イト ラコナゾールを単独で200~400mg/日を6~12週間投与する。 播種性ヒストプラスマ症では、アムホテリシンB注射剤による初期治療の反応が良ければ、イトラ コナゾール200~400mg/日に変更して、6~18ヵ月投与し、軽症又は中等度の場合には、イトラコ ナゾールを単独で200~400mg/日を6~18ヵ月投与する。 肺ブラストミセス症に対しても、重症の場合にはアムホテリシンB注射剤を投与し、軽症又は中等 度の場合には、イトラコナゾールを単独で200~400mg/日を最低6ヵ月間投与する。 2. 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症 イトラコナゾール注射剤から本剤へ切り替えて投与した真菌感染が疑われる発熱性好中球減少 症患者に対する国内臨床試験において、本剤の最頻投与量別の有効性は以下のとおりでした。 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症患者に対するイトラコナゾール注射剤から 本剤切り替え症例における総合効果 本剤最頻投与量(mg/日) 評価例数 総合効果 有効 無効 判定不能 200 11 7 2 2 300 0 0 0 0 400 10 9 1 0 (つづく)用法・用量(つづき)
- 解 説 -
以上の成績より、真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症患者に対して本剤最頻投与量 200mg/日及び400mg/日ともに有効性が認められたことから、本剤の通常の用法・用量を 200mg/日とし、病態に応じて適宜増減(1回最大用量は200mg、1日最大用量は400mg)するよ う設定しました。 3. 好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防 国内における臨床試験は実施していませんが、以下の理由により、国内における本剤の通常の 用法・用量を200mg/日とし、病態に応じて適宜増減(1回最大用量は200mg、1日最大用量は 400mg)するよう設定しました。 海外臨床試験(INT-54試験)では、本剤2.5mg/kg1日2回投与により真菌感染症の予防効果 が認められている。この試験で測定された血漿中イトラコナゾールのトラフ濃度(実測値) と、国内臨床試験で得られたデータを用いて本剤200mg1日1回投与したときの血漿中イ トラコナゾールのトラフ濃度をシミュレーションした結果(推定値)は、同程度又は高値を 示した。 国内の「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」において、造血幹細胞移植例及びハイリ スク化学療法施行例におけるカンジダ症及び侵襲性アスペルギルス症の予防として、イト ラコナゾール内用液又はイトラコナゾールカプセル剤200mg1日1回を推奨している。 海外の各種ガイドラインにおける真菌感染予防時の本剤投与量として、2004年の米国感染 症学会(IDSA)ガイドラインでは2.5mg/kg1日2回を推奨している。しかしながら、 Glasmacherらがメタ解析の結果を報告1)した2003年以降、2007年のEuropeanConference onInfectionsinLeukaemia(ECIL)ガイドラインでは、対象患者により固定用量200mg1 日2回又は体重換算用量2.5mg/kg1日2回、2008年及び2009年のIDSAガイドラインでは固 定用量200mg1日2回を推奨しており、推奨用量は体重換算用量から固定用量へと変化し てきている。 海外ガイドラインにおけるイトラコナゾール内用液の予防投与に関する推奨用量 ガイドライン 推奨用量 カンジダ症治療のIDSAガイドライン(2004年) 2.5mg/kg 1日2回 ECILガイドライン(2007年) 同種移植患者:200mg 1日2回投与(イトラコナゾール注射剤200mg/日投与後の切り替え投与) 自家移植患者及び急性白血病患者:2.5mg/kg 1日2回投与 ア ス ペ ル ギ ル ス 症 治 療 のIDSAガ イ ド ラ イ ン (2008年) 200mg 1日2回 カンジダ症治療のIDSAガイドライン(2009年) 200mg 1日2回 (つづく) 1)Glasmacher,A.,etal.:J.Clin.Oncol.,21,4615,2003(J040024)用法・用量(つづき)
- 解 説 -
国際的に評価された内科学教科書であるハリソン内科学第17版(2008年)及びセシル内科学 第23版(2008年)において、イトラコナゾールの予防投与に関して記載されており、ハリソ ン内科学では、予防投与の第一選択薬の1薬剤としてイトラコナゾール内用液を挙げ、固 定用量200mg1日2回を推奨している。 内科学教科書でのイトラコナゾール内用液の予防投与に関する記載 記載箇所 ハリソン内科学第17版 セシル内科学第23版 抗真菌薬 記載なし イトラコナゾールは好中球減少期における真菌感染予防に有用かもしれない。 カンジダ症 カンジダ感染を予防するための抗真菌薬の使用に関し ては議論の余地があるが、ある種の一般原則を示せる ようになった。・・・(中略)・・・。白血球減少患者 に対する予防法は、施設ごとにかなり異なってくる。 多くの施設では、フルコナゾールあるいは比較的低用 量のポリエン系薬静注製剤が予防法として用いられる。 イトラコナゾール懸濁液を使用している施設もある。 侵襲性真菌感染症の高リスク患者に対 する抗真菌薬投与は、真菌感染を予防 することが示されている。骨髄移植患 者にはフルコナゾールの予防投与が標 準であるが、イトラコナゾールも有効 である。 アスペルギ ルス症 (例えば、急性骨髄性白血病に対する導入療法の後など で)中程度又は高いリスクが予想されるような状態の場 合、表在性並びに全身性カンジダ症、及び侵襲性アス ペルギルス症に対する抗真菌薬予防投与が一般的に行 われる。このような状況の場合、一般的にはフルコナ ゾールが使用されるが、Aspergillus属に対する抗真 菌活性を示さない。イトラコナゾールカプセル剤は無 効であるが、イトラコナゾール液剤はわずかに効果を 示す。 * 予防投与の第一選択薬の1薬剤としてイトラコナ ゾール液剤が表中に記載されている(通常200mg 1日2回) 記載なし 国内において、イトラコナゾールカプセル剤200mg1日1回投与により予防効果が認めら れたとの報告がある1)。 国内において、イトラコナゾールカプセル剤、内用液、注射剤が承認されており、200mg 1日1回投与による有効性及び安全性が認められている。<食事の影響>
2) 本剤の吸収に及ぼす食事の影響を、クロスオーバー法により検討しました。健康成人男子に本剤 (イトラコナゾールとして100mg)を空腹時及び食直後に単回投与した結果、未変化体及び主活性 代謝物(ヒドロキシイトラコナゾール)とも、空腹時投与において食直後に比較してAUCの増加 及びCmaxの上昇が認められ、空腹時で吸収が良好であったことから、空腹時投与としました。 健康成人男性に本剤100mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ対象 Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2 AUC(ng・hr/mL)
空腹時 (n=6) 未変化体 主活性代謝物 309.9±43.8 539.5±67.5 1.8±0.4 2.5±0.8 24.1±9.6 7.7±1.8 2,842.7±703.3 7,055.1±1,718.2 食直後 (n=6) 未変化体 主活性代謝物 185.4±66.2 346.4±60.0 3.3±1.4 4.3±1.2 22.8±7.7 7.5±1.6 2,537.0±1,039.0 5,754.7±2,086.2 平均値±標準偏差 1)Ito,Y.,etal.:Int.J.Hematol.,85,121,2007(J059665) 2)丁宗鉄,他:日本化学療法学会雑誌,54(Suppl.1),6,2006(J058081)
禁忌
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1) ピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソ ルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、バルデナフィル、エプレレノン、 ブロナ ンセリン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アリスキレン、ダビガ トランを投与中の患者[「相互作用」の項参照] 2) 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者[「相互作用」の項参照] 3) 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者 4) 重篤な肝疾患の現症、既往歴のある患者 [不可逆的な肝障害におちいるおそれがある。] 5) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 [「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]- 解 説 -
1)、2)「相互作用」の項(P.19)をご参照ください。 3)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者においては、本剤の投与により過敏症を起こす可 能性がありますので、投与しないでください。 4)本剤は主として肝臓で代謝されるため、肝障害患者において、肝障害が悪化したり、本剤の作 用が増強したりする可能性があります。国内臨床試験において肝機能検査値異常が認められて おり、外国において肝硬変患者に投与したときt1/2の延長が認められている1)ことから、重篤な 肝疾患の現症、既往歴のある患者には禁忌とし、肝障害のある患者には慎重投与としました。 5)「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項(P.58)をご参照ください。 1)Heykants,A.,etal.:Mycoses,32(Suppl.1),67,1989(J009817)効能・効果に関連する使用上の注意
《効能・効果に関連する使用上の注意》
1) 発熱性好中球減少症の患者への投与は、発熱性好中球減少症の治療に十分な経験を持つ医師 のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。 2) 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症に投与する場合には、投与前に適切な培養検査等を 行い、起炎菌を明らかにする努力を行うこと。起炎菌が判明した際には、本剤投与継続の必 要性を検討すること。 3) 好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防 に対しては、好中球数が500/mm3未満に減少することが予測される場合に本剤を投与するこ と。- 解 説 -
1)、2)好中球数500/mm3以下の感染症ハイリスク患者において、発熱の状態により感染症が疑わ れる場合、十分な経験を持つ医師の判断の下で抗生物質や抗真菌剤による経験的治療が行われ ます。このような発熱性好中球減少症患者の経験的治療に対して、イトラコナゾール注射剤の 有効性が認められていますが、14日間を超えて使用したときの安全性が確認されていないため、 引き続き治療が必要であると判断された場合には、本剤への切り替えが行われます。その場合、 イトラコナゾール注射剤投与時と同様、必要に応じて起炎菌の特定を行い、本剤による治療継 続の適切性を判断します。 3)一般的な指標として用いられている500/mm3未満を、好中球減少の目安として設定しました。用法・用量に関連する使用上の注意
《用法・用量に関連する使用上の注意》
1) 真菌感染症 ・ブラストミセス症、ヒストプラスマ症: ブラストミセス症及びヒストプラスマ症の初期治療又は重症の患者に対して本剤を使用す る場合は、イトラコナゾール注射剤から切り替えて投与すること。 ・口腔咽頭カンジダ症: 服薬の際、数秒間口に含み、口腔内に薬剤をゆきわたらせた後に嚥下すること。なお、本 剤は、主として消化管から吸収され作用を発現する。 2) 好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防: ・ 好中球数が1,000/mm3以上に回復する、又は免疫抑制剤の投与終了など、適切な時期に投 与を終了すること。 ・ 患者の状態(服薬コンプライアンス、併用薬及び消化管障害など)により血中濃度が上昇し ないと予測される場合、血中濃度モニタリングを行うことが望ましい[「相互作用」、「その 他の注意」の項参照]。 3) 本剤はイトリゾールカプセル50と生物学的に同等ではなく、バイオアベイラビリティが向上 しているため、イトリゾールカプセル50から本剤に切り替える際には、イトラコナゾールの 血中濃度(AUC、Cmax)の上昇による副作用の発現に注意すること[【薬物動態】の項参照]。また、 本剤の添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに起因する胃腸障害(下痢、 軟便等)及び腎機能障害の発現に注意すること[「重要な基本的注意」の項参照]。 一方、本剤からイトリゾールカプセル50への切り替えについては、イトラコナゾールの血中 濃度が低下することがあるので、本剤の添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキスト リンに起因する胃腸障害(下痢、軟便等)及び腎機能障害による異常を認めた場合などを除き、 原則として切り替えを行わないこと[【薬物動態】の項参照]。- 解 説 -
1)真菌感染症 ・ブラストミセス症、ヒストプラスマ症: 国内において、これらの疾患に対する本剤単独投与による臨床試験成績がなく、治療開始 時のイトラコナゾールの曝露量は本剤ではイトラコナゾール注射剤を下回ることから、イ トラコナゾール注射剤による初期治療が行われていない患者又は重症の患者においては、 本剤で治療を開始せず、イトラコナゾール注射剤による初期治療後に本剤に切り替えてく ださい。 また、真菌血症、侵襲性アスペルギルス症、クリプトコックス髄膜炎等では、病態が進展 している症例や重症の症例等の、初めから経口投与での治療を行うことが好ましくないと 考えられる状態の患者においても、イトラコナゾール注射剤による初期治療後本剤に切り 替えることが望ましいと考えられます。 (つづく)用法・用量に関連する使用上の注意(つづき)
- 解 説 -
・口腔咽頭カンジダ症: 本剤は、口腔カンジダ症に適応を有する薬剤としては本邦で初めての、主に全身作用によ り効果が発現する内用液剤であり、既存の局所作用を主とする薬剤(ミコナゾール、クロト リマゾール)と区別するため記載しました。 なお、本剤は、その製剤的特長から口腔咽頭部に広がる病変に直接作用することが期待さ れます。薬効薬理試験において、本剤のマウス口腔カンジダ症モデルに対する効果を検討 した結果、胃内投与群に比べ口腔内塗布群において優れた効果が認められ、本剤の直接作 用が確認されました。したがって、用法・用量に関連する使用上の注意として、「服薬の際、 数秒間口に含み、口腔内に薬剤をゆきわたらせた後に嚥下すること。」と設定しました。 2)好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防: ・本剤を深在性真菌症の予防に使用する場合、患者の免疫機能が回復するなど抗真菌剤の予 防投与が不要となったときには、本剤の投与を終了するようお願いします。 ・血中濃度モニタリングについて 本剤を深在性真菌症の予防に使用する場合、予防効果の成否を予測し得る適切な指標があ りません。予防投与しているにもかかわらずイトラコナゾールの血漿中濃度が上がってい ない患者は、常に感染の危険に曝されている状況にあります。そこで、予防効果が期待で きないと考えられる患者に漫然と投与されることを回避するために、血漿中濃度を一つの 指標と考えて、血漿中濃度モニタリングを実施することが重要となります。 血漿中イトラコナゾール濃度が上昇しないと予測される患者として、次のような状態が考 えられます。このような患者には、イトラコナゾールの血漿中濃度モニタリングを行うこ とが望ましいと考えます。 化学療法剤等の併用に伴い、悪心・嘔吐等により服薬コンプライアンスが低下した患者 本剤の血漿中濃度が低下すると考えられる併用薬(「相互作用」の項参照)を投与中の患者 消化管障害を合併しており、本剤の吸収低下が考えられる患者 また、血漿中濃度モニタリングを実施する時期については以下を参考にし、本剤による真 菌感染予防の継続・増量又は他の抗真菌薬への切り替えを検討してください。なお、本剤 を200mg1日2回まで増量しても、目安の血漿中濃度に到達することが見込めない患者では、 他の抗真菌薬による予防に切り替えてください。 (つづく)用法・用量に関連する使用上の注意(つづき)
- 解 説 -
[血漿中濃度モニタリングを実施する時期] 血漿中濃度モニタリングを実施する時期としては、予防投与開始時、並びに予防期間中は1ヵ月 間隔を目安に患者の状態により適宜実施することが推奨されます。また、無菌管理から非無菌 管理へ移行するとき及び外来へ移行するときにも、感染のリスクが高まるため、血漿中濃度モ ニタリングを実施することが推奨されます。 ●予防投与開始時:予防投与開始時の血漿中濃度モニタリングの実施時期は、以下2点の理由 により、投与開始10~14日を目安とします。 海外臨床試験(INT-54試験)で、予防効果を期待する血漿中イトラコナゾールのトラフ値 として250ng/mLを目安として本剤2.5mg/kgを1日2回投与したとき、投与開始10~14日 に80%以上の患者で血漿中イトラコナゾールのトラフ濃度が250ng/mLに達したこと1)。 日本人患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中イトラコナゾールのトラフ濃度 (推定値)は、INT-54試験で測定されたトラフ濃度(実測値)と比べ同程度又は高値を示し たことから、日本人においても、本剤200mgを1日1回投与したとき、投与開始10~14日 を目安に血漿中イトラコナゾール濃度を測定することが妥当であると考えられること。 ●予防期間中:予防期間中は、1ヵ月間隔を目安に血漿中濃度モニタリングを実施することが 推奨されますが、服薬コンプライアンス、併用薬及び消化管障害等により十分な血漿中濃 度が得られない可能性がある患者では、適宜血漿中濃度モニタリングの実施を考慮するよ うお願いします。 ●無菌管理から非無菌管理への移行時及び外来移行時:外因性であるアスペルギルスによる 感染を予防することが重要となるため、無菌管理から非無菌管理への移行時及び外来移行 時にも血漿中濃度モニタリングを実施することが推奨されます。なお、アスペルギルスに よる感染が懸念される場合には、血漿中イトラコナゾールのトラフ濃度の目安として 500ng/mLを推奨するという報告があります2)。 3)本剤は、イトリゾールカプセル50と比較してバイオアベイラビリティが向上しているため、 切り替えの際には以下の点に注意してください。(相互に切り替えた場合の薬物動態を検討し たデータはありません。) (つづく) 1)Harousseau,J.L.,etal.:Antimicrob.AgentsChemother.,44,1887,2000(J035177) 2)Glasmacher,A.,etal.:Mycoses,42,591,1999(J043710)用法・用量に関連する使用上の注意(つづき)
- 解 説 -
①イトリゾールカプセル50から本剤への切り替え イトリゾールカプセル50から本剤へ切り替えたとき、イトラコナゾールの血中濃度が上昇 することが考えられるため、副作用が発現しやすくなるおそれがありますので、切り替え を行う際にはイトリゾールカプセル50200mgから本剤200mgへの切り替えを原則とし、副 作用の発現について観察を十分行うようお願いします。 また、国内臨床試験において、本剤の添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキス トリン(HP-β-CD)に起因すると考えられる下痢、軟便等の胃腸障害の発現が多く認められ ているため、切り替えを行う際には胃腸障害(下痢、 軟便等)の発現に十分注意し、異常が 認められた場合には適切な処置を行うようお願いします。 ②本剤からイトリゾールカプセル50への切り替え 本剤からイトリゾールカプセル50へ切り替えたとき、イトラコナゾールの血中濃度が低下 することが考えられるため、原則として切り替えは行わないでください。ただし、本剤投 与時に、HP-β-CDに起因すると考えられる胃腸障害(下痢、軟便等)が認められた場合には、 カプセル剤への切り替えも考慮するようお願いします。 ●薬物動態パラメータ(単回投与時) 健康成人男性を対象に、本剤100又は200mgを空腹時に単回経口投与したとき、血漿中未変化体及 び主活性代謝物ヒドロキシイトラコナゾールの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。 健康成人男性に本剤を単回経口投与したときの薬物動態パラメータ用量 対象 Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2 AUC(ng・hr/mL)
100mg (n=6) 未変化体 主活性代謝物 309.9±43.8 539.5±67.5 1.8±0.4 2.5±0.8 24.1±9.6 7.7±1.8 2,842.7±703.3 7,055.1±1,718.2 200mg (n=6) 未変化体 主活性代謝物 688.3±163.8 1,002.3±203.1 2.2±0.4 3.0±1.1 26.3±5.2 8.3±1.4 7,914.3±1,874.7 19,073.7±3,732.6 平均値±標準偏差 また、健康成人男性を対象に、イトリゾールカプセル50100又は200mgを食直後に単回経口投与 したとき、血漿中未変化体及び主活性代謝物ヒドロキシイトラコナゾールの薬物動態パラメータ は以下のとおりであった2)。 健康成人男性にイトリゾールカプセル50を単回経口投与したときの薬物動態パラメータ 用量 対象 Cmax(ng/mL) Tmax(hr) t1/2 AUC(ng・hr/mL)
100mg (n=5) 未変化体 主活性代謝物 132.2±80.7 267.4±71.4 4.8±1.8 6.0±1.4 24.9±7.7 17.4±11.2 2,221±1,141 6,772±3,221 200mg (n=5) 未変化体 主活性代謝物 215.6±58.1 678.6±62.4 4.4±0.9 5.2±1.8 27.9±9.9 9.5±2.1 4,142±1,272 15,028±2,524 平均値±標準偏差 本剤の空腹時投与におけるバイオアベイラビリティは、イトリゾールカプセル50の食直後投与時 と比較して高いことが認められている。 1)丁宗鉄,他:日本化学療法学会雑誌,54(Suppl.1),6,2006(J058081) 2)小口勝司,他:基礎と臨床,25,397,1991(J008277)
使用上の注意 1 .慎重投与
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1) 薬物過敏症の既往歴、アレルギー既往歴のある患者 2) 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。] 3) 腎障害のある患者[本剤及び代謝物等の排泄が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれが ある。] 4) うっ血性心不全又はその既往歴のある患者[うっ血性心不全の悪化又は再発を来すおそれがあ る(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。] 5) 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]- 解 説 -
1)薬物に過敏な患者及び主に薬物によるアレルギー既往歴を持つ患者では、薬剤投与により過敏 症を引き起こす可能性があるため慎重投与としました。 2)本剤は主として肝臓で代謝されるため、肝障害患者において、肝障害が悪化したり、本剤の作 用が増強したりする可能性があります。国内臨床試験において肝機能検査値異常が認められて おり、外国において肝硬変患者に投与したときt1/2の延長が認められている1)ことから、重篤な 肝疾患の現症、既往歴のある患者には禁忌とし、肝障害のある患者には慎重投与としました。 3)本剤は主として肝臓で代謝され、未変化体及び主代謝物は尿中へほとんど排泄されないことか ら、腎障害患者でも特に用量調節の必要がないとされています2)が、全身状態が悪化している 場合では、薬物の排泄等に影響する可能性があるため、慎重投与としました。 4)「重要な基本的注意」(P.17)及び「副作用」(P.40)の項をご参照ください。 5)「高齢者への投与」の項(P.57)をご参照ください。 1)Heykants,A.,etal.:Mycoses,32(Suppl.1),67,1989(J009817) 2)Boelaert,J.,etal.:Antimicrob.AgentsChemother.,32,1595,1988(J009816)使用上の注意 2 .重要な基本的注意
2.重要な基本的注意
1) 本剤の投与に際しては、肝疾患の既往歴、薬物過敏症、アレルギー既往歴等について十分な 問診を行い、これらの現症又は既往歴のある患者については、投与中止又は慎重投与につい て考慮すること。 2) 本剤の高用量又は長期にわたる使用の場合には、血液検査、肝機能・腎機能検査、血中電解 質検査等を定期的に行うことが望ましい。 3) 虚血性心疾患、基礎心疾患(弁膜症等)、慢性閉塞性肺疾患、腎不全、その他の浮腫性疾患等うっ 血性心不全を起こすおそれのある患者に対して本剤を投与する場合には、その危険性につい て十分に説明するとともに、下肢浮腫、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止 するなど適切な処置を行うこと。[「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照] 4) 添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに起因する胃腸障害(下痢、軟便等) があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を 行うこと。 5) 添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは浸透圧性腎症を引き起こす可能 性があることが知られているため、高用量又は長期にわたる使用の場合には、血清クレアチ ニン値を測定するなど観察を十分に行い、腎機能障害がみられた場合には他の抗真菌剤への 切り替えも考慮すること。[「その他の注意」の項参照] 6) 本剤で効果が認められない場合は、漫然と投与を継続しないこと。 7) 国内において、内用液としては400mg/日を超える用量での有効性及び安全性は十分に検討さ れていないことから、400mg/日を超えて使用しないこと。 8) 食道カンジダ症を疑う場合は、内視鏡検査を実施するなど確定診断後に本剤を投与すること。- 解 説 -
1)「慎重投与」の項(P.16)をご参照ください。 2)本剤の投与により、肝機能検査値異常、腎機能検査値異常、低カリウム血症等の副作用が認め られています。したがって、高用量又は長期にわたり使用する場合には、血液検査、肝機能・ 腎機能検査、血中電解質検査等を定期的に実施し、これらの副作用について観察を十分行うよ うお願いします。 3)外国において、健康成人に対しイトラコナゾールを静注した際、一過性かつ無症候性の左室駆 出率の低下が観察されました。左室駆出率が低下した状態が長く持続すると、うっ血性心不全 がおこる可能性があることから、注意喚起しています。うっ血性心不全の徴候となる浮腫等の 症状がみられた場合は、直ちに本剤の投与を中止し、主治医に連絡するようご指導ください。 (つづく)使用上の注意 2 .重要な基本的注意(つづき)
- 解 説 -
4)国内臨床試験において、下痢、軟便が多く認められました。これらの症状は、投与中若しくは 投与終了後速やかに消失しており、重篤な症例はありませんでした。 下痢、軟便の発現は、主に添加物であるHP-β-CDによると考えられています。下痢、軟便が 発現することを患者に説明し、重度の下痢、軟便発現時にはカプセル剤への変更も考慮するよ うお願いします。 ※参考 HP-β-CDによる下痢、軟便の発現機序は、HP-β-CDが腸管内で浸透圧亢進により水分を保持す ることによると考えられている。これは、難吸収性の多糖類を大量に経口投与したときに通常認 められる浸透圧性軟便であり、HP-β-CDに特異的に生じる所見ではないと考えられる1)、2)。 5)動物実験でHP-β-CDを静脈内投与又は長期経口投与したとき、浸透圧性腎症がみられていま す(「その他の注意」の項(P.60)をご参照ください)。 本剤の国内臨床試験において、腎機能に関連する副作用が報告されていますので、腎機能障害 が認められた場合には、HP-β-CDを含有しないイトリゾールカプセル50を含めた他の抗真菌 剤への切り替えを考慮するようお願いします。 6)一般的に、抗菌剤は効果が認められない場合漫然と投与すべきではないと考えられますので、 本剤投与中は適宜有効性及び安全性を確認し、投与継続の必要性をご検討ください。 7)本剤の国内臨床試験において、400mg/日を超えて投与した場合の有効性及び安全性について は検討されていないため、400mg/日を超えた用量に増量しないでください。 8)食道カンジダ症では、臨床症状として嚥下痛、嚥下困難、胸焼けなどを認めますが、他の食道 疾患においても、同様の自覚症状を認めることがあるため、食道の内視鏡検査で食道粘膜に白 苔、潰瘍を認めることを確認してください。 1)El-Harith,E.A.,etal.:Fd.Cosmet.Toxicol.,14,115,1976(J051595) 2)Wyatt,G.M.,etal.:Br.J.Nutr.,60,197,1988(J051594)使用上の注意 3 .相互作用
3.相互作用
本剤は、主に肝チトクロームP450 3A4(CYP3A4)によって代謝される。また、本剤は、 CYP3A4及びP糖蛋白に対して阻害作用を示す。他の薬剤との相互作用はすべての薬剤との組み 合わせについて検討されているわけではないので、他剤による治療中に新たに本剤を併用したり、 本剤による治療中に新たに他の薬剤を併用する場合には、患者の状態を十分観察し、慎重に投与 すること。また、本剤空腹時投与のバイオアベイラビリティは、同用量のイトラコナゾールカプ セル剤食直後投与時に比べて高くなると考えられるので、カプセル剤と同用量の本剤を投与する 場合には薬物相互作用の増強の可能性を考慮し、慎重に投与すること。本剤投与終了後の血漿中 薬物濃度は、本剤の投与量及び投与期間に応じて徐々に低下するため、本剤によって代謝が影響 される薬剤の投与開始に際しては患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。- 解 説 -
イトラコナゾールは、ヒトチトクロームP4503A4(CYP3A4)を阻害することが知られており、in vitroにおけるCYP3A4に対する解離定数(Ki値)は、27nmol/L(約19ng/mL)から11nmol/L(約 7.8ng/mL)であると報告されています1)。In vitro試験でのKi値から判断すると、イトラコナゾー ルのCYP3A4の阻害能は強力から中等度とされています。 また、本剤はカプセル剤とは薬物動態が異なり、カプセル剤よりもバイオアベイラビリティが向 上していることから、薬物相互作用が増強される可能性があります。 1)Isoherranen,N.,etal.:DrugMetab.Dispos.,32,1121,2004(J044933)使用上の注意 3 .相互作用(つづき)
3.相互作用(つづき)
1)併用禁忌(併用しないこと) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 ピモジド オーラップ キニジン 硫酸キニジン ベプリジル ベプリコール これらの薬剤の血中濃度上昇により、QT 延長が発現する可能性がある。 本剤のCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬 剤の代謝が阻害される。 トリアゾラム ハルシオン トリアゾラムの血中濃度上昇、作用の増強、作用時間の延長があらわれることがある。 シンバスタチン リポバス シンバスタチンの血中濃度上昇により、横紋筋融解症があらわれやすくなる。 アゼルニジピン カルブロック レザルタス配合錠 ニソルジピン バイミカード これらの薬剤の血中濃度を上昇させること がある。 エルゴタミン クリアミン配合錠 ジヒドロエルゴタミン ジヒデルゴット これらの薬剤の血中濃度上昇により、血管 攣縮等の副作用が発現するおそれがある。 バルデナフィル レビトラ バルデナフィルのAUCが増加しC昇するとの報告がある。 maxが上 エプレレノン セララ エプレレノンの血中濃度を上昇させるおそれがある。 ブロナンセリン ロナセン ブロナンセリンの血中濃度が上昇し、 作用が増強するおそれがある。 シルデナフィル レバチオ シルデナフィルの血中濃度を上昇させるおそれがある(シルデナフィルとリトナビル の併用により、シルデナフィルのCmax及び AUCがそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加し たとの報告がある)。 タダラフィル アドシルカ タダラフィルの血中濃度を上昇させるおそれがある(タダラフィルとケトコナゾール の併用により、タダラフィルのAUC及び Cmaxがそれぞれ312%及び22%増加したと の報告がある)。 アリスキレン ラジレス イトラコナゾールカプセルの併用投与(空腹 時 )に よ り、 ア リ ス キ レ ン のCmax及 び AUCがそれぞれ約5.8倍及び約6.5倍に上 昇したとの報告がある。 ア リ ス キ レ ン のP糖 蛋 白 (Pgp)を介した排出が本剤 により抑制されると考えら れる。 ダビガトラン プラザキサ ダビガトランの血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大することがある。 (Pgp)を介した輸送が本剤ダ ビ ガ ト ラ ン のP糖 蛋 白 により阻害され、抗凝固作 用が増強すると考えられる。使用上の注意 3 .相互作用(つづき)
- 解 説 -
[ピモジド]統合失調症・自閉症治療剤
イトラコナゾールとピモジドの相互作用を示す報告はありませんが、in vitro試験において、ケ トコナゾール*によりピモジドの代謝が88%阻害されたと報告されています1)。このことから、 イトラコナゾールとの併用においても、ピモジドの代謝が阻害され、QT延長等のピモジドの副 作用が増強される可能性があるため、併用禁忌としました。[キニジン]不整脈治療剤
イトラコナゾールとhydroquinidineの併用により、副作用の発現が報告されています。また、イ トラコナゾールとキニジンの併用により、キニジンの血中濃度上昇が報告されています。これら のことから、イトラコナゾールがキニジンの代謝を阻害し、キニジンの副作用を増強する可能性 があるため、併用禁忌としました。 ●海外文献報告12) 80歳、男性 疾患:骨髄異形成症候群 発作性心房細動のためhydroquinidine(500mg/日)を長期服用していた。アスペルギルス症と判断 され、イトラコナゾール(400mg/日)の投与を開始した。4日後に眩暈、歩行困難、上肢振戦、失 神発作などが発現し、神経学的検査でロンベルグ病、心電図所見からQT延長を認めた。 hydroquinidine中止48時間後、自覚症状の消失、QTの短縮を認めた。hydroquinidineはアミオダ ロンに変更した。 ●海外文献報告23) 健康成人9例において、クロスオーバー法により、イトラコナゾール(200mg/日)又はプラセボを1 日1回、4日間投与し、4日目に硫酸キニジン(100mg)の単回経口投与を行った。イトラコナゾール 投与群においてキニジンのCmax及びAUCは1.6倍(p<0.05)及び2.4倍(p<0.01)に上昇し、キニジン のt1/2は1.6倍(p<0.001)に延長、3-ヒドロキシキニジン/キニジン比AUCは1/5(p<0.001)に減少し た。キニジンの腎クリアランスは50%低下(p<0.001)した。また、両群ともにQTc間隔はキニジ ン濃度と相関関係を示した。 *ケトコナゾール:イトラコナゾールと同じアゾール系抗真菌剤でCYP3Aに対し強力な阻害作用 を有する。国内では外用剤のみ販売されている。 (つづく) 1)Desta,Z.,etal.:J.Pharmacol.Exp.Ther.,285,428,1998(J030411) 2)Cruccu,V.,etal.:Clin.Ter.,146,383,1995(J034104) 3)Kaukonen,K.M.,etal.:Clin.Pharmacol.Ther.,62,510,1997(J030400)使用上の注意 3 .相互作用(つづき)
- 解 説 -
[ベプリジル]頻脈性不整脈・狭心症治療剤
イトラコナゾールとベプリジルの相互作用を示す報告はありませんが、ヒト肝ミクロソームを用 いたin vitro試験において、ベプリジルの代謝にはCYP3A4が関与していることが報告されてい ます1)。このことから、イトラコナゾールがベプリジルの代謝を阻害し、QT延長等のベプリジル の副作用を増強する可能性があるため、併用禁忌としました。[トリアゾラム]睡眠導入剤
イトラコナゾールとトリアゾラムの併用により、トリアゾラムの血中濃度が上昇し、鎮静及び睡 眠効果の増強が認められたことから、併用禁忌としました。 ●海外文献報告2) 健康成人9例において、イトラコナゾール(200mg)とトリアゾラム(0.25mg)を併用したとき、トリ アゾラムのAUCは約27倍、Cmaxは約3倍に上昇し、t1/2は約7倍に延長した。また、精神運動機能試 験では有意な鎮静及び睡眠効果の増強が認められた。[シンバスタチン]高脂血症治療剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)
イトラコナゾールとシンバスタチンの併用により、横紋筋融解症の発現及びシンバスタチンの血 中濃度上昇の報告があることから、併用禁忌としました。 ●海外文献報告13) 74歳、男性 疾患:高血圧症、高脂血症(TypeⅡ-A) シンバスタチン(40mg/日)を服用していた患者に、足爪白癬を認めたためイトラコナゾール (200mg/日)を投与したところ、約3週間後に四肢及び頸部疼痛が発現し褐色尿が認められた。尿 検査においてミオグロビン値が222ng/mLであったため、横紋筋融解症と診断された。すべての 薬剤の投与を中止し、大量の水を飲ませ安静にし、降圧剤をジルチアゼムに変更した。36時間後 にすべての検査値は正常化した。 ●海外文献報告24) 健康成人10例において、イトラコナゾール(200mg/日)又はプラセボを4日間経口投与し、4日目に シンバスタチン(40mg)を経口投与した。その結果、イトラコナゾールとの併用により、シンバス タチンのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ10倍以上上昇した。また、総シンバスタチン酸のCmax及びAUC0-∞はそれぞれ17倍及び19倍上昇した。 (つづく) 1)Gopaul,V.S.,etal.:DrugMetab.Rev.,36(Suppl.1),208,2004(J053107) 2)Varhe,A.,etal.:Clin.Pharmacol.Ther.,56,601,1994(J030115) 3)Horn,M.,:Arch.Dermatol.,132,1254,1996(J030053) 4)Neuvonen,P.J.,etal.:Clin.Pharmacol.Ther.,63,332,1998(J030118)
使用上の注意 3 .相互作用(つづき)
- 解 説 -
[アゼルニジピン]ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤
イトラコナゾールとアゼルニジピンの併用により、アゼルニジピンの血中濃度上昇が報告されて いることから、併用禁忌としました。 ●国内学会報告1) 健康成人男子8例において、アゼルニジピン8mgとイトラコナゾール50mgを併用投与したとき、血 漿中アゼルニジピンのCmax及びAUCは、単独投与時と比較してそれぞれ1.6倍及び2.8倍に上昇した。[ニソルジピン]ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤
イトラコナゾールとニソルジピンの相互作用を示す報告はありませんが、ケトコナゾール*との 併用によりニソルジピンの血中濃度上昇、心拍数の増加及び血圧低下が報告されていることから、 併用禁忌としました。 ●海外文献報告2) 健康成人男性7例において、ケトコナゾール*200mgとニソルジピン5mgを併用投与したとき、ニ ソルジピンのAUC及びCmaxがそれぞれ24倍及び11倍に上昇し、心拍数の増加及び血圧低下が認め られた。[エルゴタミン]頭痛治療剤
イトラコナゾールとエルゴタミンの相互作用を示す報告はありませんが、エルゴタミンは CYP3A4で代謝されるため、イトラコナゾールがその代謝を阻害する可能性を踏まえ併用禁忌と しました。[ジヒドロエルゴタミン]起立性低血圧・血管性頭痛用剤
イトラコナゾールとジヒドロエルゴタミンの相互作用を示す報告はありませんが、ジヒドロエル ゴタミンはCYP3A4で代謝されるため、イトラコナゾールがその代謝を阻害する可能性を踏まえ 併用禁忌としました。 *ケトコナゾール:イトラコナゾールと同じアゾール系抗真菌剤でCYP3Aに対し強力な阻害作用 を有する。国内では外用剤のみ販売されている。 (つづく) 1)長嶋悟他,:臨床薬理,36(Suppl.),S272,2005(J051714) 2)Heinig,R.,etal.:Eur.J.Clin.Pharmacol.,55,57,1999(J053037)使用上の注意 3 .相互作用(つづき)
- 解 説 -
[バルデナフィル]勃起不全治療剤
イトラコナゾールとバルデナフィルの相互作用を示す報告はありませんが、ケトコナゾール*と の併用によりバルデナフィルの血中濃度上昇が報告されていることから、併用禁忌としました。 ●報告 健康成人男子12例に対し、ケトコナゾール*200mgを経口にて1日1回反復投与時にバルデナフィル 5mgを空腹時単回投与した場合、バルデナフィルのAUC及びCmaxが単独投与時と比較して、それ ぞれ10倍及び4倍に増加した。t1/2の延長は認められなかった。 (バイエル薬品株式会社社内資料より)[エプレレノン]高血圧治療剤(選択的アルドステロンブロッカー)
イトラコナゾールとエプレレノンの相互作用を示す報告はありませんが、ケトコナゾール*との 併用によりエプレレノンの血中濃度上昇が報告されていることから、併用禁忌としました。 ●海外文献報告1) 健康成人18例において、ケトコナゾール*200mg1日2回とエプレレノン100mgを併用投与したと き、エプレレノンのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ1.7倍及び5.4倍に上昇した。[ブロナンセリン]抗精神病剤
イトラコナゾールとブロナンセリンの相互作用を示す報告はありませんが、ケトコナゾール*と の併用によりブロナンセリンの血中濃度上昇が報告されていることから、併用禁忌としました。 ●報告 健康成人12例において、ケトコナゾール*400mg/日とブロナンセリン2.5mgを併用投与したとき、 ブロナンセリンのAUC及びCmaxがそれぞれ17倍及び13倍に上昇した。 (大日本住友製薬社内資料より) *ケトコナゾール:イトラコナゾールと同じアゾール系抗真菌剤でCYP3Aに対し強力な阻害作用 を有する。国内では外用剤のみ販売されている。 (つづく) 1)Cook,C.S.,etal.:Xenobiotica,34,215,2004(J063267)使用上の注意 3 .相互作用(つづき)