• 検索結果がありません。

男子学生の大学入学後の一年間に於ける体力・運動能力の変化について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "男子学生の大学入学後の一年間に於ける体力・運動能力の変化について"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

愛 知 工 業 大 学 研 究 報 告 第 2 7号 A 平 成4年

論 文

35 緒言

男子学生の大学入学後の一年間に於ける

体力・運動能力の変化について

O

n

t

h

e

C

h

a

n

g

e

s

o

f

M

a

l

e

S

t

u

d

e

n

t

s

P

h

y

s

i

c

a

l

F

i

t

n

e

s

s

a

n

d

M

o

t

o

r

A

b

i

l

i

t

y

w

i

t

h

i

n

O

n

e

Y

e

a

r

f

r

o

m

M

a

t

r

i

c

u

l

a

t

i

o

n

Abstract

/

J

、、原衰豆乏良月 Shirou OHARA 問苛ヌド匡書士包. Masaya OKAMOTO

J

T

T

*

寸イ二率見 Hitosi KAWAMURA

The purpose of this study曹as to investigate data in terms of an age

diffe-rence and physica1 fitness 1eve1 regarding the change of physica1 fitness and motor abi1ity in one year interva1 after matricu1ation. A survey object was 463 ma1e students who joined no c1ub activities at a11 after they entered to our university. The investigation is carried out for the f0110曹ing items; 6 items

(back strength. back strength/曹t.. vertica1 jump. side-steps. standing trunk

f1e-xion and step test)for physica1 fitness and 3 items(50m run.handba11 thro曹 and

1500m run) for motor abi1ities. The mesurments曹ere taken p1ace t冒ice;imedeat1y

after their matricu1ation and then one year after that. T-test曹asused for the

determination of the effect in 1 year interva1 after matricu1ation. The resu1ts were summarized as f011ews.

When the age groups曹ere concerned. 19 year-01d ma1e students showed the

re1ative1y big rate of increase than 18 year-01d object persons did. A tendency

曹asfound that a person of a 10曹。1eve1 showed remarkab1e1y increase of physica1

fitness and 田口tor abi1ities. On the contrary persons of high 1eve1 showed of it' s decrease. Physica1 education of once a week can be said to contribute to an improvement of physica1 fitness for persons of 10w 1eve1 for the aforementi-oned resu1ts. Instructing high 1eve1 persons is expected to increase the number of their exercise and setting up effective 10ad in terms of the capabi1ity.

近年の高度に機械化され,自動化された社会は 多くの国民に深刻な慢性的運動不足をもたらし,そ れが体力の低下,生理的予備力の減少,肥満症,高 血圧症,動脈硬化症,精神的ストレスなど運動不足 病を惹き起こしていることは周知である. しかし, これらの運動不足病などの予防と軽減に対して,継 続的で適切な身体運動の実践が有効であるという科 学的論拠が近年の運動生理学や体力科学の成果とし 愛 知 工 業 大 学 教 養 部

(2)

36 愛 知 工 業 大 学 研 究 報 告 , 第2 7号 A, 平 成 4年, Vol. 26-A, Mar.1992 て認められてきた¥)実技は様々な研究成果をより どころに健康阻害に対する自主的健康管理の実践力 を備えた学生の育成を一つの目標としている. 大学の入学者は現役入学者,浪人経験者,社会人 ーなど様々なライフスタイルをしてきた者で構成され ている.今日のような複雑な社会情勢の中におい ては,実技受講者も生活状態や健康・体力状態が 以前よりも一層多様化しているものと思われる. 在学生の体力向上に関する効果については特別な トレーニングを授業に組み入れて検討した報告,あ るいは,一般的な授業で検討した報告が見られ,い ずれも効果はあったとしている2)3)‘)5) 6) この ように,目的に応じた個別的な検討はなされてい るが,基礎的な分析が十分に加えられているとは言 えない.体育指導を合目的的に進めようとする観点 から諸調査を行い,多くの資料を収集することがで きた男子学生の資料のうち,二年生に進級した者の 入学後の1年間における体力,運動能力の変化につ いて検討し,今後の体育指導の役目を探ることを 目的とした. 方法 1)調査の対象者 ・90年度入学者のうち,一年間運動系のクラブ活 動を行っていない男子学生で,二年生に進級し,前 期 l己実技を受講した者を対象とした.その内,報告 に採用したのは入学時(1回目)の測定と二年生時 (2回目〉の測定ともに完了している 463名である. 対象者の形態的特徴を表1,こ示す. 表1.調査対象者の入学時における形態的特徴 年齢仏数) 18才(343人) 19才---(120人) 全体(463人) 測定項目 Me釦 (5.d.) Me釦 (5.d.) Mean(5.d.) 身 長 (c圃} 170.6 (5.4) 170.5 ( 5.8) 170.6 (5.5) 体 重 (kg) 61.6 ( 8. 1) 63.2 ( 8.2) 62.0 ( 8.2) 胸 囲 (c.) 86.5 ( 5.2) 87.4 ( 6.4) 86.7 ( 5.6) 日-[1/噛数 124.0 (15. 1) 127. 6 (15. 6) [125._0 (15. 3) 2)調査項百 体力:背筋力,垂直とび,反復横とび,立位体前 屈,踏台昇降運動および比背筋力(以下,背筋力/ 体重とする)の6種目である. 運動能力:50 m走,ハンドボール投げ, 1500m走 の3種目である. 3)測定の時期および変化の検定 入学時および二年生進級時における前期授業の 第l週 目 と 第2週 自 の 体 育 実 技 時 (4月中旬 下 旬)に実施した.入学後の一年間における変化の 検定にはt検定(対応のある平均値の差の検定)を 用いた1) 表2.大学入学後の一年間に於ける体力,運動能力の変化(一年生時での年齢別) 項 目 人数 (1:)77一1空年生時(2』

)

E

二1年

9

まの(群1)か....ら(2)

人数…一(1年)一生年時停(21)二9才年以上(の1)群から~.(2)へ

人数(1)一年ji..(余2)二.体年一一(1)から(2)

仏)測定値測定債の変化(%)

υ

、)測定値測定値の変化(%) (人)測定値測定値の変化(%) 背筋力 343 139.8 145.6 4.9 •••• 120 142.2 146同4 3.5 •••• 463 140.4 145.8 4.5仲 村 (kg) 22.4 22.9 11.6(+) 22.6 23.1 9.9(+) 22.5 22.9 11.2 (十) 背筋力/体重 343 2.29 2.36 3.9 •••• 120 2.27 2.34 3.9紳 紳 463 2.28 2.35 3.9 •••• 0.35 0.35 12.0(+) 0.36 0.36 10.4(+) 0.36 0.35 11.6(+) 垂車とぴ 343 63.8 65.5 2.9 •••• 120 62.3 64.9 4.6 •••• 463 63.4 65.3 3.4仲 村 (cm) 6.6 6.5 7.3(+) 7.5 7.3 6.5(十) 6.9 6.7 4.4(+) 反復横とぴ 343 48.2 50.0 3.9 •••• 120 47.5 50.0 5.4 •••• 463 48.0 50.0 4.3仲H (凹) 3.9 4.2 7.6(+) 3.7 4.5 7.5(+) 3.9 4.3 3.6(+) 立位体前腐 343 11.2 12.0 9.8 •••• 120 12.0 12.8 20.2 •••• 463 11.5 12.2 12.5 •••• (c.) 6.7 6.8 69.2(+) 6.3 6.2 105.3(+) 6.6 6.7 80.3(+) 踏台昇降運動 343 62.0 60.7 -1. 1 •• 120 59.5 55.1 -6.3 •••• 463 61.3 59.2 -2.5 •••• 偵) 9.8 10.0 14.4(ー) 9.4 8.1 12.2(ー} 9.8 9.9 14.0(ー) 50・走 343 7.15 7.24 -1. 4 •••• 120 7.25 7.29 -0.7 463 7.17 7.25 ー1.2 •••• (sec) 0.38 0.35 3.9(ー) 0.40 0.35 3.8 0.39 0.35 3.9(ー) ItIドボー対立11 343 27.7 28.4 3.3. . 柿 120 27.4 28.8 5.4'.柿 463 27.6 28.5 3.8 •••• (・) 4.2 4.1 10.5(+) 4.0 4.5 3.0(+) 4.2 4.2 10.8(+) 1500.走 343 402.1 399.6 0.4 120 417.9 402.8 3.4 •••• 463 406.2 400.5 1.2 •••• (sec) 40.1 40.9 7.日 39. 5 38. 7 6. 2 (+) 40.6 40.3 6.9(+) 脚注1:表市丙面

i

之上

E

勧t平均値,下段が標準備差,

:P>0.05,':P<0.05, ":P<0.025,

命:

.

.

P<O.OI,....:P<0.005 脚注2:表中の(+)は糊日, (一)は減少を表す.

(3)

男 子 学 生 の 大 学 入 学 後 の 一 年 間 に 於 け る 体 力 。 運 動 能 力 の 変 化 に つ い て 37 結 果 と 考 察 表2,ま,90年度入学者の入学時とl年後の体力,運 動能力の変化について年齢別に示したものであるa 入学当初18才の現役入学者は背筋力が4.9土11.6% (P<O.005) , 背 筋 力 / 体 重 が3.9土12.0% (P< 0.005),垂直とびが2.9:t7.3%(P<0.005) ,反復 横とびが3.9::t7. 6% (P<O圃005),立位体前屈が9.8

:

t

69. Z% (Pく0.005), ハ ン ド ボ ー ル 投 げ が3.3:t 10.5% (P< 0.005)で有意に向上していたーしかし, 踏台昇降運動と50闇走は有意に低下していて,それ ぞれの増加率は踏台昇降運動がー1.1:t14. 4% (P< 0.025) .50m走が-1.4土3.日 (P<O.005)であった. 入 学 当 初 日 才 以 上 の 浪 人 経 験 者 を 見 る と , 背 筋 力が3.5土9.9%(P< 0.005),背筋力/体重が3.9土 10.4% (P<O. 005) ,垂直とぴが4.6:t6.5% (P< 0.005),反復横とびが5.H 7.5% (P<O. 005),立 位体前屈が20.2:t105.3% (P< 0.005),ハンドボー ル 投 げ が5句4土3.0% (P<O. 005), 1500m走が3.4:t 6.2% (P< 0.005)で有意に向上していた. しかし, 踏 台 昇 降 運 動 は-6.3土12.2%(P< 0.005)で有意に 低下していた. 現役入学者と浪人経験者の増加率を比べると, 浪 人 経 験 者 の 方 が 相 対 的 に 伸 び 幅 が 大 き い と 思 わ れる.加藤8)は大学受験生の体力は受験準備に影響 され高校期より低下することを指摘している.末井 表3.一年生時の値と年間増加率との相関関係 測定項目 人 数 相 関 係 数 背 筋 力 463 -0.3725 宇事 背筋力/胃t 463 -0.4122 卒事宰 垂 直 跳 び 463 -0.4045 宇宇 反復横とぴ 463 -0.3782 宇宇 立位体前屈 463 -0.1241 踏台昇降運動 463 自0.4103申宇# 50m走 463 O. 5017中卒キ Tliド

r

-~投げ 463 -0.3732 卒事 1500師 走 463 0.3317卒事 宇:P<0.05, 事事:P<O.Ol,料 牢:<0.001 たち9)は浪人経験者の方が現役入学者よりも入学当 初の体力水準で劣っているということを指議してい る.本学においても,同様に,浪人経験者の方が現 役入学者よりも入学当初の体力水準で劣っていたと い う 傾 向 が 認 め ら れ て い る10) そこで,入学当初 の 体 力 , 運 動 能 力 の 水 準 と 年 間 増 加 率 と の 間 に 関 係 が あ る の か を 見 て 初 期 水 準 と 増 加 率 に つ い て 検 討した.表3は入学時測定値と年間増加率との単相 関関係、について示したものである.立位体前屈を除 いた他の項目において,統計的に有意な負の関係が 認められ,一般的に初期水準の低い者の増加率が大 きくなる傾向であることが推察された. 表4は対象者の入学当初の測定値の平均値と標準 偏差を用いて,それぞれの測度ごとで,初期水準が 表

4

.

各測度ごとに見た一年時の水準が高,中,低レベルの一年聞に於ける変化 項 目 人数 (1)一年高(2)レ二ベ年JL者(1)から(2)

人激(1)一年中(2)レ二ベ年ル者(1)から(2)

人激 (1)一年低(2)レ二ベ年ル者(1)から(2)

(人)測定値測定値の変化(%) (人)測定値測定億の変化(%) (人)測定値測定値の変化(%) 背筋力 135 167.5 167.2 -0.1 181 140.1 145.3 3.8帥帥 147 115.9 126. 9 9.7仲紳 (kg) 13.5 20.6 10.6 6.4 14.2 9.6(+) 10.1 15.6 11.4 (+) 背筋力/体重 133 2.71 2.65 -2.1 • 181 2.29 2.38 4.1仲村 149 1.89 2.06 9.0仲村 0.21 0.30 9.7(ー) 0.10 0.26 10.3(+) 0.17 0.25 12.1(+) 垂直とび 146 71.2 71.2 -0.1 187 62.9 65.0 3.3仲村 130 55.2 59.3 7.4材料 (c田) 3.4 5.2 6.0 2.0 4.2 6.2(+) 3.7 5.3 7.5(+) 反復横とぴ 124 52.9 53. 3 0.8 165 48.6 50.6 4司3仲村 174 44.1 47.日 6.7料紳 (回) 1.8 3.5 6.9 1.2 3.2 6.7(+) 2.0 3.7 8.0(+) 立位体前屈 151 18. 6 18.6 0.3 170 11.4 12.4 9.4仲村 142 3.9 5.2 29.2材料 (c田) 2.8 3.7 15.7 1.8 J.4 26.7(+) 4.2 5.0 139. 4 (十) 踏台昇降運動 122 74.8 66.6 -10.9仲仲 167 60.11 58.6 -3.6判事* 174 52岡3 54.7 4.5料帥 協) 6.1 10.9 13.3(ー) 3.0 8.2 12圃3(ー) 3.2 7.1 12.4(十) 50.走 148 6.77 7.01 -3園5料紳 189 7.16 7.23 -1.0榊 柿 126 7開67 7.58 1.2帥仲 (sec) 0.16 0.22 3.0(ー) 0.10 0.25 3.5(ー) 0.25 0.34 3. 9 (+) 1'ìJドダ・肘f~げ 148 32.4 31.6 -2.1紳傘 174 27.4 29.0 6.1材料 141 22.9 24.6 7.2仲村 (園) 2.3 3.4 9.11(ー) 1.0 2.8 9.8(+) 2.1 3.1 10.7(+) 1500固走 147 362.4 366.8 -1.3事 176 404.3 398.1 1.5傘 139 454司8 438.9 3園4判紳 (sec) 17. 6 28.7 6.9(ー) 11.1 26.3 6.4(十) 24.6 31.5 6.8(+) 脚注1:表中の値は上段が平均値,下段が標準備差,

:P>0.05,傘:Pく自.05,帥:P<O.025,仲傘:P<0.01,材料:P<0.005 献立:表中の(+)は増加. (ー)は枇少を表す.

(4)

38 愛 知 工 業 大 学 研 究 報 告 , 第 2 7号 A, 平 成 4年, Vol.26-A, Mar.1992 (%) 一年時の測定値が高レベルであった者 増 減 率 (Y,) 一年時の測定値が中レベルであった者 増 減 率 . 0 1目背筋力 盛図陀:宵筋力相t 匡罰閃:垂直跳ぴ 医El04:反復備とび 露霊雷除立位休前屈 陸盟関:踏台昇降 .07:5蜘 Run 堕盟関町J))e"*"ール投げ !Z2ZIω・15日目mRun .:P<目白5 0臥:P<日.01 命 皐 申:P<日目25 ゅ.":P<日目白1 一年時の測定値が低レベルであった者 (%) 増 減 率 01 02 03 D4 05 06 07 08 D9 図1.各制度の入学時レベル別に見た年間増減率 高い (5段 階 評 価 で 5と4;高レベル者とする)者, 平均的な(評価で3;中レベル者とする)者および 低い〈評価で2と1;低レベル者とする)者に分けa それぞれの入学時と一年後および年間増加率の平 均値と標準偏差を示したものである.また,図 1は 各測度ごとで分けた入学時の水準加に一年間に於け る変化を年間の増減率にて図示したものである園 各制度における高レベル者の一年後について見る と,反復横とびと立位体前屈を除いた他の測度では 低下の様相を示した.中でも,入学当初からの一年 間に於て,背筋力/体重が-2.1

:

t

9.7% (P< 0.05) , 踏台昇降運動がー10.9土13.3% (P< 0.005) , 50岡 走が-3.5

:

t

3.0% (Pく0.005) ,ハンドボール投げが -2. 1土9.4%(P<O.Ol)および 1500開走がー1.3土6.9% (P<0,05) の統計的に有意な低下を示した園 各測度における中レベル者では踏台昇降運動が -3. 6士12.3% (P< 0.005) と50聞走が-1.0土3.5% (P< 0.005) の有意な低下を示した因しかし,そ の低下率は高レベル者よりも少なかった.他の測 度は有意な向上を示した.それぞれの増加率は背筋 力が3.8士9.6% (P< 0.005) ,背筋力/体重が4.1 土10.3% (Pく0.005) .垂直とびが 3.3士6.2%(P< 0.005) .反復横とびが 4.3:t6.7%(P<0.005) .立 位体前屈が9.4:t26.7% (P< 0.005) .ハンドボール 投げが6.1士9.8% (Pく0.005) および 1500田走が1.5 土6.4目(P<0.05) であった. 各損1'度における低レベル者はどの測度において も有意な向上を示した.それぞれの増加率は背筋 力が9.7土11.4百(P<0.005) ,背筋力/体重が 9.0 土12.1%(P< 0.005) .垂直とびが7.4:1:7.5%(P< 0.005) .反復横とびが 6.7:t8.0% (P< 0.005) .立 位体前屈が29.2土139園4% (P< 0.005) .踏台昇降 運動が4.5土12.4%(P<O. 005) • 50田走が1.2:t3.9% (P< 0.005) ハンドボール投げが 7.2

:

t

l0.7%(P< 0.005) および 1500m走 が 3.H6.8%(PくO.05) で あった.これら各測度の増加率は高レベル者と中レ ベル者よりも優っていた.初期水準の低い者が総体 的に顕著な増加傾向を示したということは特筆すべ き事柄である. 意識的に身体運動(トレーニング)を行わせ向 多くの研究報告では運動の強度,時間,頻度およ び期聞を運動処方の基本的条件としている11) 手 の条件の他に,運動効果に影響を与えるものとし て,対象者個人の初期水準をあげている報告がみ られる3)4 ) 5 ) S) 1 2) 13) ! 4) 15) ! 6】.菊池たち5)は筋 機能の低い者がtrainabilityの高いことを報告, 豊田たちれは敏捷性の向上を,広田たち4)は呼吸 循環機能の向上を認めている。徳永たち3)は体力

(5)

男 子 学 生 の 大 学 入 学 後 の 一 年 聞 に 於 け る 体 力 ・ 運 動 能 力 の 変 化 に つ い て 39 H.R. 体育英技(Training)中の心拍数水準 250司 (beats/min) 200 150 100 50 Subj.:8.K.(1990.12.07測 定 } ME.AN: 128.4 8.D.: 20.6 サ四キヲト・トレーエン9・ (10・} -体力水準:V02max./wt.=41.2ml/kg/min.・・・普通の上

10 20 30 T工ME 40 50 60 (min) H.R. 体育実技(サッカー)中の心拍数水準 250守 (beats/min) 8ubj:H.工. (1990.11.09測 定 } 200 ~ MEAN:149. 5 8.D.: 19.5 150 100 50

-

t

Rest Up:3対1 準 備 (10・} (10・) ( 5・} 一一一一ーー一一>1<'ー一一ーーー一一>1<'ーーー'>1<

10 20 30 T工ME ゲーム :DF~MF ( 25・} 40 回復 (10・} >1<ーーーーーーーーーー 50 60 (min) 図2.体育実技での主な活動中の心拍数 低位者が最も顕著に上昇,次いで中位者,体力高 位者は上昇が顕著でないと指摘している.また,女 子学生の場合であるが,中嶋たち14】によれば心拍 数水準が138

:

t

15拍/分で強い運動とは言えない授 業によって,高い体力の者は全ての項目で低下し, 平均的あるいはそれ以下の者は体力レベルが上昇す ることを認めている.いずれの報告も体育実技授 業の効果として扱っているものである. 大学における 1週1回の正課体育実技が学生の体 力,運動能力の変化に対してどの程度関与してい るのか定かではない.図 2は著者らが心拍メモリー 装置 (V1 N E社製〉を用いて記録した体育実技中 の主な活動の心拍数である.平均心拍数は, トレー ニング受講時の事例が128.4

:

t

20.6拍/分,サッ カー受講時の事例市!149.5:t19.5拍/分であった. これらの心拍水識は前述した中島たち14)の記録と 相似するものである.さらに,在学生の日常の運 動状況について調査してみると,正課体育実技以 外にはほとんど激しい身体運動を行っていないのが 実情であったt7) 本報告の結果が徳永たち幻ある いは中崎たちt4)の知見と酷似していることを考え ると,低下傾向が認められた各測度での高レベル者 逮は,一年聞の体育実技を含めた運動刺激の水準が 低かったことになる.しかし,体力・運動能力のい ずれかの測度で平均的あるいは低レベル者逮に対し ては大学における 1週1困の正課体育実技が当該学 生の体力,運動能力への影響に僅かながらでも関与 していたものと考えられる.

(6)

40 愛 知 工 業 大 学 研 究 報 告 , 第2 7号A,平成4年, Vo1.26-A, Mar.1992 もし,入学当初,体力的に高い者逮に対して,実 技により一年後の体力に維持向上を期待する場合 には,体力の能力別に効果的な負荷強度を設定す るか,実技の回数を増やすなどの方策を講じるこ とが望ましいと思われる.この方策が望めない場 合には,身体運動の意義,内容あるいは運動方法 等を良く理解させ,将来にわたり,健康,体力およ び身体機能の自己管理能力を獲得させることを一つ の目標とすることが望ましいといえよう. まとめ 大学入学後の一年間,運動系のクラブ活動を行っ ていなかった男子学生463名について入学後の一年 聞に於ける体力,運動能力の変化を年齢別および各 測度毎の体力水準別に検討した.その結果を要約す ると,およそ次のようである. 1)入学当初の年齢別に,入学後一年間の変化に ついて見ると,現役 (18才)では背筋力が4.9%,背 筋力/体重が3.9%,垂直とびが2.9%,反復横とびが 3.9%,立位体前屈が9.8%,ハンドボール投げが3.3% の有意な向上であった.しかし,踏台昇降運動は -1.1%, 50m走はー1.4%の低下であった.浪人経験者 (19才以上〉では背筋力が 3.5%,背筋力/体重が 3.9%,垂直とびが 4.6%,反復横とびが 5.4%,立位 体前屈が20.2%,ハンドボール投げが 5.4%,1500m 走が3.4%の向上を示した.踏台昇降運動は-6.3%の 低下であった. 相対的には浪人経験者(1

9

才以上)の増加率が現 役入学者(18才)よりも大きい傾向を示した. 2)各測度ごとに入学当初の測定値と年陪増加率 との関係を見ると,立位体前屈を除いた他の制度に おいて,統計的に有意な負の相関関係が認められ, 一般的に初期水準の低い者の増加率が大きくなる傾 向であることが推察された. 3)各測度ごとに,入学当初の初期水準別に分け 一年間に於ける変化について見たものでは,各測 度 Iこ於ける高レベル者が向上を認めた測度は無く, 逆に,背筋力/体重が-2.1%,踏台昇降運動がー10.9 % , 50m走が-3.5%,ハンドポール投げがサ.1%および 1500m走が-1.3%の有意な低下を示した. 各測度それぞれに於ての中レベル者は踏台昇降 運動が-3.6%, 50m走がー1.0%の低下であった.しか し,背筋力は3.8%,背筋力/体重は 4.1%,反復横と びは4.3%,立位体前屈は 9.4%,ハンドボール投げは 6.1%, 1500m走は1.5%の向上であった. 各測度の低レベル者はどの測度に於ても有意な向 上を示し,背筋力が9.7%,背筋力/体重が 9.0%,垂 直とびが7.4%,反復横とぴが6.7%,立位体前屈が 29. 2%,踏台昇降運動が4.5%,50m走が1.2%,ハンド ボール投げが7.2%,1500m走が 3.4%の向上であった. これら各測度の増加率は高レベル者や中レベル者より も優る傾向であった. 以上の結果から,入学後一年間の体力,運動能力 の変化は入学時点での水準が低位な者ほど顕著に増 加し,高位な者ほど低下する傾向にあることが明ら かとなった. 参考文献 1)熊本水頼:明日の大学保健体育のあり方を考 え る 一 一 般 教 育 に 必 修 と し て 位 置 づ け る た め に ー , 大 学 体 育 第37号, 13-22, 1989. 2)大 山 車 , 天 野 三 郎 , 辻 浅 夫 , 黒 崎 敏 彦 : 大 学の正課体育の指導に関する一考察,一京都外 大における体力養成講座について一,日本体育 学会第23回大会号:369, 1972. 3)徳永幹雄,荒井貞光:体力低位学生の体育指導 に関する研究一体力の変化に関する資料と体力 トレーニングの実験的試み一,九州大学体育学 研究 4:49-53

1972. 4)広田公一,黒田善雄,浅見俊雄,小山秀哉,水 野忠和,片岡幸雄,島津大宣:大学正課体育実 技の教育効果に関する研究一(1)大学新入学生 の呼吸循環機能,および体育実技の呼吸循環機 能の向上におよぽす効果について一,東京大学 教養学部体育学紀要 6:1-5, 1972. 5)菊池武道,広田公一,浅見俊雄,豊田博,逮 藤郁夫,戸苅晴彦,野崎康明,古谷嘉邦:大学 正課体育実技の教育効果に関する研究~(2)筋 力・筋持久力におよ lます効果について一,東京 大学教養学部体育学紀要 6:7-16, 1972. 6)豊田 博,島涼大宣,遠藤郁夫:大学正課体育 実技の教育効果に関する研究ー(3)体力,特に 敏捷性におよiます影響について一,東京大学教 養学部体育学紀要 6:17-20, 1972. 7)柳川覚治監修,文部省スポーツ課内社会体育 研究会編:体力テストーその実施と活用一,

(7)

男 子 学 生 の 大 学 入 学 後 の 一 年 間 に 於 け る 体 力 ・ 運 動 能 力 の 変 化 に つ い て 41 第3章 体 力 テ ス ト 結 果 の 処 理 , 第 一 法 規 : 49-86, 1974. 8)加藤橋夫縛:体力科学からみた健康問題,杏林 書院:69-78, 1976. 9)末 井 健 作B 回 路 秀 樹 , 金 子 公 宥 : 大 学 受 験 生 活の体力におよlま す 影 響 現 役 ・ 浪 人 入 学 者 の体力比較 ,体育の科学 26(5),355-359, 1979. 10)岡本昌也,小原史朗,藤井勝紀,石垣尚男, 山 田 岳 志 , 杉 江 律, }J

I

村 仁 視 : 新 入 ・ 男 子 学 生 の 形 態 , 体 力 、 運 動 能 力 の 実 態 に 関 す る 一 考 察 , 愛 知 工 業 大 学 研 究 紀 要 第27号 A: , 1992. 11)鈴木慎次郎:運動処方専門委員会初年度研究 概要,体育科学1: 1ーム 1973. 12)遠 藤 郁 夫 : 運 動 能 力 低 位 者 に 関 す る 研 究 第5 報 , 能 力 別 に み た ト レ ー ニ ン グ 効 果 , 体 育 学 研究 11(5) : 227, 1967. 13)遠藤郁夫:大学生における運動能力低位者に対 するトレーニング効果,体育学研究 12(5) 13, 1968. 14)中鴇英昭,永井信雄:女子学生の体力分析一運 動経験E ローレル指数,体育実技授業による体 力 変 化 に つ い て ー , 体 育 学 研 究 第23巻 第3号 : 229-239, 1978. 15)進 藤 宗 洋 , 田 中 宏 暁 , 小 原 史 朗 , 徳 山 郁 夫 :中高年者の自転車エルゴメーターによる50% V02max.強 度 の60分 間 ト レ ー ニ ン グ , 体 育 科 学 2:139-152, 1974. 16)青木純一郎,形本静夫,石河利寛,永野良一, 氷海正行:持久走を中心とした体育授業の'生理 学的効果,体育科学 7:30-36, 1979. 17)愛知工業大学 保健体育教室:本学学生の体力 ・健康・生活状況およびスポーツ行動に関する 調査:未発表資料, 1991. ( 受 理 平 成4年3月四日)

参照

関連したドキュメント

これは基礎論的研究に端を発しつつ、計算機科学寄りの論理学の中で発展してきたもので ある。広義の構成主義者は、哲学思想や基礎論的な立場に縛られず、それどころかいわゆ

口腔の持つ,種々の働き ( 機能)が障害された場 合,これらの働きがより健全に機能するよう手当

学生は、関連する様々な課題に対してグローバルな視点から考え、実行可能な対策を立案・実践できる専門力と総合

小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児

目的3 県民一人ひとりが、健全な食生活を実践する力を身につける

ぎり︑第三文の効力について疑問を唱えるものは見当たらないのは︑実質的には右のような理由によるものと思われ

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが

 学年進行による差異については「全てに出席」および「出席重視派」は数ポイント以内の変動で