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管理のための会計報告書に関する一研究-香川大学学術情報リポジトリ

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管理のための会計報告書に関する

・一研究 浦 和 夫 Ⅰ“はしがき。ⅠⅠ.会計報告書作成の指針。ⅠⅠⅠ会計報告書の統制。ⅠⅤ・・ 会計報告書作成のための機械設備の準備。Ⅴ.会討報告番作成に.当って 注放すべき形式の諸例。ⅤⅠ会計報告書提出の時期。ⅤⅠⅠ‖ むすび。 Ⅰ 企業会計に関する経営の報告は,その報告書の提出先の対象の相違によっ て,これを外部報告と内部報告に分類して考察することができる。 外部報告とほ,株主・債権者・政府等の当該企業の利害名集団に対する報告 である。それは,決算期どとに作成される財務諸表を中心として経営の財政状 態および経営成績を,それぞれの利害関係の現実に適合して報告することが主 要な任務である。 これにたいして,内部報告とは,経営者が管理にあたつて,その職能を遂行 するために必要とする資料を内部的に提供することが主要な任務である。この 内部報告の中核をなすものが,本稿でとりあげる「管理のための会計報告書」

(Accounting Reports for Management)なのであって,これは会計的数値で

表現されることが絶対必要である。1) 近時,経営管理者がその管理を行うに.あたってほ,その要求に適合した会計 制度,すなわち,管理会討制度が必須条件であり,経営管理者は「管理のため 1)ここにいう会言十的数値とは,狭義の価値的係数のみと限定されず,広く実体的な数 個,すなわち,原単位(physicalunit)にまで拡張されて理解されることは,管理会 封」二当酪であり,論を侯たぬところである。

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亨引†l大学経済学部 研究年職1 −ヱ46− J96J の会討報告書」によって提供される会計情報を必要としてい る。そして,この 重要性はますます増大しつつあるといえる。古川教授ほ,この理由として,次 の4つをあげておられる。2) 「その第1ほ,企業の規模拡大とその複雑化ということである。市場の拡大 ならびに技術の進歩は,一・般に企業の経営規模をいちじるしく増大せしめるこ とになり,それに.つれて経営管理の必要を招来していることは広く知られてい るとおりである。これにたいして,複式特記・組織・その他の管理方法のエ夫 ほ,そのような規模拡大にともなつて生じた若干の問題解決に役立てられてい ることはたしかである。しかし同時にまた,・−・層その経営規模の拡大の原因と もなり,さらに各程の経営活動の調整および監督にたいして−,因難な問題を生 ずることとなってきている。 この結果,企業内部において専門化された各種野分野を越えて,これを企業 全体の観点から経営者が経営活動を適当に調整することが一層重要となって きている。それは機能的に分化された各経営部門が,相互に目標の相違をき たしたり,またほ周じことを繰り返すようであれば,それによって企業全体 (company as a whole)の利益が阻害されることになるからである。それに. は,これまでのような報告事門の会計制度では不適当であり,経営管理の要求 に.適合した新しい会計制度が考えられてこなければならない。 その第2ほ,固定資産を用いることがますます増加し,しかもそれがきわめ て重要になってきているということである。企業に.おける経営活動が,次第に 人間労働から機披的方法にとって代られてくるのほ,むしろ一、般的な傾向とし て指摘されるところであろう。そしてそれに用いられる機械ほ,ますます専門 化され,人間労働に比べていよいよ融通性を失ってきている。その上,機械は 企業で胱入され,所有されているのが普通であって,それほ労働のようにたん に雇傭されたものではない。そのために機械は,人間労働よりも弾力性がきわ めて少いのである。されば経済事情の変化に応じてこれを調整することは,労 務者の場合に比べて一・層困難な事情にあると考えられなければならない。 しかるに企業の規模拡大につれて,さらに大仕掛の,かつ一層塙門化された 2)古川栄一・,『内部統制粗相肪1958年,27−30ぺ一−ジ。

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管理のための会計報告層世儲する一研究 −ヱ47一 機械の使用が有利となつてきている。そしてこのことがまた,生産規模を拡大 するための主要目的の1っとなってきて−いることが考慮されなければならな い。このようにして機械設備の増大につれて,企業においては生産費に・占める 機械費の構成割合は,いちじるしく大となった。このことは一・方でほ,企業に. おける連続的生産を可能にし,大嵐生産への道を開いたのであるが,同時に他 方では,それを維持するために.経営活動に.たいする予測の問題をますます重要 ならしめてきているといわなければならない。それは将来にたいする計画の誤 りほ,このような弾力性を喪った企業の生産活動にたいして,それが機動性を もっていた場合に、比べると,その損失をいちじるしく大きくすることとなった からである。 企業に.おいては,このような固定的な生産設備の利用が増大するにつれて, その結果について報告することのみを目的とした従来の財務会計にたいして, さらに経営管理の要求に合致するための斜面を充分にとり入れた管理会討の必 要性がますます増大してきたということができる。 その第3は,技術的変化ならびに社会的変動の程度,その速度が,従来に」土 して一層大きくなってきているということができる。このために企業の経営活 動もまた,それに適合するような方法を採用するのでなけれほ,その継続と繁 栄とをきたすことができなくなっている。したがって経営管理のための計画お よび指導もまた,そのような激しい変動条件に相応しなければならない。ここ に,このような要求に適する新しい会計制度がおのずから重要となってきてい るといわれるのである。 さらに第4として,企業にたいする社会的統制(socialcontI01)の増大と いうことがあげられる。現在では,企業ほもほや決してたんなる私的のもので はない。そのことは政府が私企業に/たいして,その監督の範囲を広めているば かりではない。実に.政府みずからもまた,ある種の産業部門については,政府 企業をもって私企業に代えてきているものもある。さらに.私企業と直接的競争 を行わしめているものもあることから知られよう。 なおまた労務者は,労働組合を通じて労働時間,賃銀,その他労働条件に関 して,正当な権利を主張しようとしており,そのような観点から経営者の行う 経営管理に各種の交渉をなしてきている。さらに消費者もまた逐次にその組織

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香川大学経済学部 研究年報1 −ヱ尋β− ∫961 をつくり,消費組合などによって企菓の行動に.対抗しようとしているのであ る。企業の経営活動をめぐる,これらの各停の監督,交渉または対抗に関し て,経営者は1一層その正しい事情を知るとともに,それに対抗するための経営 管理の方法について,新しい工夫を行わなけれほならなくなってきている。 このように.して管理会計ほ,企業に生じつつある新しい事態を正しく認識 し,経営管理の要求に答え得るように従来の会討制度を利用しなければならな い。それには従来のままで不充分のところほ,これを経営管理の要求に適合し うるように改造しなければならない。そこでほノ,経営管理への役立ちというこ とがその中心課題に.なってきているのであり,それにたいして経営者ほ企業の 繁栄を増進しうるような新しい経営管理方法をとり入れなければならない。そ のために.ほ,財務会計における会討原則に立脚するだけでは不充分である。そ れほ経営管理の原則の基礎において,会計制度の積極的役立ちを考慮すること でなければならない。ここ紅従来の財務会計とほ異なるところの,管理会計と しての新しい,かつ雷要な立脚点が存しているものといわれるのである。」 この経営管理に役立ら得る資料ないし情報を提供し,管理会計の実践面にお ける紐帯をなすものが「管理のための会計報告書」なのであって,この意味に おいて,報告書の適否が管理的効果を左右することとなり,「管理のための会 計報告書」は重要な意義を有しているといわなければならない。 以下,「管理のための会計報告醤」(以下本稿では,便宜上,たんに「会計 報告書」と呼ぶこととする)の作成にあたって留意されるべき事項を,ピアマ

ンの所説−Harold Bierman,jr・,;ManagerialAccounting,1959,特に,

この申で一L普をなしているAccounting reports for management−を中心

として,考察することとしたい。 ⅠI 「会計報告書」作成の指針を論ずるに先立って,先ず,管理会封の実践主体 は何であるかについてふれよう。 古川教授が指摘されるごとく,3)管理会計の専門的遂行ほ.,実にコントローラ 3)古川栄一・,前掲古,355−361ぺ一汐,参照。

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管理のための会計報告竃祇関する…・研究 −ヱ49− 一部の責任であろう。コントロー・ラ・−は企業の最高経営者のスタ ッフとして管 理会計の専門的担当を通して機能されるものでなけれほならない。このコント ロー・ヲ−・部の組織的編成は,本社コントローラ」−が管理会討の内容を構成する 各経営計算制度の統轄者として存在する。その部門編或ほ,それぞれの経営計 算制度の有する会計機能にしたがって考えられており,管理会.井を構成する機 能内容がすべて包括されている。すなわち,予凱 原価封算,一般会計,エ場 会計および内部監査がコントロー・ラーのもとに統轄されており,管理会計とし ての各種の経営計算制度の機能の相互関係が維持されている。 このような管理会討機能にしたがって編成される集権的コントローラー部門 組織湛.たいして,部門別または工場別に編威されるコントロ−・ラー部門組織 ほ,それ自身は,いまだ必ずしも分権的組織を意味しているものではなく,そ l れはむしろ集権的部門組織の一・形態を意味しているものであるが,それほ分権 的管理組織への展開の可能性を有しているものと考えることができる。 このコントロ−・ラ一部門組織の特長ほ,会討機能にもとずくそれに.比べる と,企業の所属する各工場巣位ごとに,その主任のコントローラ・−がおかれて いる。これは各工場ごとに,各会計機能の遂行を担当する工場コントロ・−ラ叫 があり,それが本社コントローラー・に従属させられているためである。それゆ えに,このコントローラ一組織部門では,本社において社∴良に直属するコント ロ−ラ・−の統轄する会計機能としては,直接的に・は,一・般会計と予算と内部監 査のそれぞれであって,工場において遂行される原価計算および工場会計ほ工 場コントロ・−ラ−・を通して統轄される。それが,本社のそれぞれの部門主任コ ントロ−ラ一に従属されることとなる。 このように,このコントロ・−ラー・部門組織は,工場コントロ−ラーによっ て,現場の会計機能の遂行が直接的に統轄され,それがさらに,本社におけ る,それぞれの部門主任コントロ−ラーー・に.間接的に統轄されつつ,本社全体とし ては本社コソロ−ヲ−・に.従属している。その点に・おいて,各管理会計機能の構 成は,前述のコントロ−ラー部門組織の場合のそれと異なつているに・しても, なお,本社コントロ・−ラ一による集権的背理組組の組織形態をなして−いるとい うことができるであろう。 たゞ,このコントロ−ラー部門組鰍こおいては,各コントローラ一主任は,

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香川大学経済学部 研究年報1 ー・−J50・一一一 J96J 必ずしも,単一の会計機能の専門的責任者ではない。工場コントロ−・ラーを統 轄している各部門コントロ−・ラーほ,工場単位ごとにそ・の特殊性にしたがっ て,数種の会計機能を包括して遂行する責任を与えられている。各工場として ほ,それぞれ異なる生産方法や異なる生産物にしたがって原価計算の方法を異 に.し,また予算編成の方法に.も相違をきたすことに.なるから,それに相応しい 管理会計の遂行が要求されなければならない。このための管理会討の専門化 は,それぞれ異なる工場コントロ−ラーを必要とする。したがって工場単位ど とに,それにたいする包括的管理会討の遂行のためのコントロ、−ラ一部門の編 成がなされなければならない。 この工場別または各部門別紅したがってなされるコントロー・ラ−・部門の編成 ほ,単一会計機能の専門化による組織的編成とほ,その基本原理において相違 している。それは,企業の各執行現場の実情に相応して,それぞれの管理会討 機能を統轄する工場コントロ−・ラー・を中心に.して編成されることに.なるから, それ自身として分侮的なコントローラー・部門組織に.発展すべき基本原理にもと ずいて−いると考えることができる。しかも経営管理組織ほ.,企業の経営規模の 拡大につれて,各執行現場の機動性と創造性を充分に.発揮させるために,逐 次,分権管理組織に移行することが有効であり,現にまた,その傾向にあると いえよう。これに対応して,コントローラ・岬部門も分権的組織編成のもとに.そ の管理会計を遂行することが要求されるものと考えられなけれぼならない。管 理会封の実践主体としてのコントロ−ラ一部門は,管理会計の遂行過程におい ては,分権的管理組織の展開に相応して,それ自身もまた分権的範故に.編成さ れつつ,企業全体としての実情に有効に.役立つように考慮されることが必要で ある。 さて,この実践主体としての管理会計担当者が,その報告沓を作成する場 合,その拇針となるものほ,どのようなものであろうか。 グッツ(B.E.Goetz)は「管理の問題ほ,より複雑に.なり,またより困難 となってきつつあるのであり,このために・,より敏速に報告され,管理上の問 題および目的に関して,より正しい指向とそして,企業の状況に関して,より 充分に有効な質料を必要としてきている。」4)と述べて,管理のための有効な資

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管理のための会計報告書檻供する−・研究 −ヱ5ヱー 料の提供の必要性を力説している。 でほ,この管理のための有効な.資料を提供する「会計報告書」は,いかにし て作成されるべきであろうか。 「会計報告書」の作成にあたって,注意を要することとして,ビアマンは,「先 ず第1に,その報告を受け取り,利用する者ほ.誰かということであり,第2ほ,そ の会計報告書をいかに・して作成するかということである。」5)と主張している。ノ 余りに・多くの情報(iniormation)を提供して,受け取る人(rIeaders)を圧倒させ てしまう報告ほ効果的な報告書として認めることができない。それと同様に., 余りに僅かな情報を提供して,受け取る人が推測を必要とせねばならないよう な報告は・これまた,効果的な報告書として認めることができないであろう。 「会計報告書」を作成するに・あたって,会計係(accountants)ほすべての 事項について規則(r■ule)に準拠しなけれほならないということを意識しすぎ る必要はない。しかし,当然のことではあるが,会計係として保持すべき,い くつかの指針■(guides)が存在する。情報を受け取る管理者の能力には多くの 差異が認められ,またその会計情報を要求する管理の形態砿.も多くの差異が存 在するゆえに・,規則咋・すべてのケ−スについて有効ではないのである。 ピアマンは,「会計報告書」作成には,誰がこの報告を必要としているか, という点に・作成原則の侭点を合わせた後に・,次の五項目にわたる・−・般的な指針 を示している。¢) 第1は,詳細に・して長文の報告書を要約して報告すること。近時,不適切に. して余りに多くの詳細な報告をトップ・マネジメント(top management)に, 提出し,トップ・マネジメントを圧倒する傾向が存在する。トップ・マネジメ ントに提供される詳細な報告書は,必要にして過小限に.とどめられるぺきであ 5)H.Bierman,Jr。ManagerialAccounii7q,1959,p.394. 松本教授は,内部統制紅使用される原価汲告書の作成原則として,「何を」・h、かに」 「何時」・「誰に」・「結果ほ」の五項目をあげている。松本雅男,『新訂標準原価封算』,1953 年,384ぺ−ジ。 ビアマンは,ここで,「誠に」・「いかにして」を先ず最初に強調し,以下で,「何を」 ・「仰寺」・「結果は」について考嘉している。 6)H.Bierman,JI.,OP.Cit。,p394

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香川大学経済学部 研究年報 1 ー752“ J96J り,もし,その詳細な会計報告書が提出される場合に.は,要約したものを添付 すべきである。この要約された会計報告書ほ.,トップ・マネジメントがその詳 細な会計報告書を不必要とする場合に.代用されることとなり,きわめて効果的 であろう。ロワー・・マネiyメソト(lower management)においては.、より詳 細な報告に関心を有しており,その詳細な報告を基礎にして作業(woIk)を 実施することほ当然である。 第2は,詳細事項を報告する代りに,(ある場合ほ.,これに.加えて)例外事 項は,必ず報告すること。すべての報告書に詳細な事項を示す必要はない。し かし,例外の原理に基く管理の方法(the rule of managing by exception) ほ一・般に.認められており,この方法を効果あらしめるために.,管理は,例外事 項,すなわち,困難な事項(trouble spot)を報告する報告書を絶対に必要と しているのである。報告書を作成するために,会計資料を蒐集し,整理するの であるが,ある企業ほ,このことに,しばしば数千ドルの巨費を費すのであ る。この巨費ほ,注意を促すぺき事項を報告することによって,企業ほ経済的 に慣われなければならない。もしも,製造過程に.おいて,10,000種の職務(.jobs) が存在すると仮定すれば,そのうら,9,900種の職務については計画どおり実 施されて問題ないのであるが,残りの10種の職務については計画どおり実施さ れていないのが普通である。この困難な事項についての報告は.,特に.詳細紅注 意して報告されなけれほならないのである。 第8ほ,管理可能費と管理不能費とはこれを俊別して報告すること。管理可 能費と管理不能費とに.区別する原理は,すでに・以前から,その必要を力説され ている原理である。これは,ある管理者が披に報告されたコズー・について, 彼 がコントロ−・ルし得ない地位にあるのであれば,彼ほコスト情報(costinfor− mation)で責任を負わされるべきでないという事実に基いているのである。 管理者の能率の測定は,その管理者が管理しうるコストについてのみ考慮され るべきであって,すくなくとも,報告ほ,管理可能費と管理不能費とを指摘し, それを区分してなされるべきである。 第4ほ.,報告に,あたっての技術的立場(technicalaspect)を説明して報告す ること。 第5は,標題(headings)を付することなしに∴文醤機械(distributemachine)

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管理のための会計報告番に関する一研究 Ⅶヱふヲーー を使用してほならないこと。 以上の5項目を,ビアマンは,報告書作成のための−・般的な指針としてあげ ているのである。 ところで,ヘッカ−トとウィルソン(J・BuHeckert andJ.D.Willson)ほ, 「会計報告書」作成のための共通的な原理として,次の十五項目をあげている。7) 第1ほ,会計報告書は重要な事項のみを包含すること。 第2ほ,会計報告書ほ簡単かつ明瞭に示されるべき・こと。 第3は,会討報告書ほそれを活用する管理者の慣れた用語で表現されるべき こと。 第4ほ,会計報告書は理論的な順序で述べられるぺきこと。 第5ほ,会計報告書ほ.正確でなければならないこと。 第6ほ,会計報告書は重要な趨勢や関連事項を明らかにすること。 第7は,表現形式はその報告を活用する立場にある管理者に㌧適合したもので あること。 第8ほ,報告は時期を得ていること。 罪9ほ,報告はそれ自身,明瞭であるか,ないし,説明が付されていること。 第10は,原則として例外の原理が適用されること。 第11ほ,報告はできるかぎり標準化すること。 第12は,報告の企画は管理老の立場を反映すること。 第13は,報告ほ有効でなければならないこと。 第14は,報告作成の費用(cost)が考慮されるべきこと。 第15ほ.,報告の作成にあたってなされるべき注意はその使用と均衡がとれて いること。 このへッカートとウィルソンが述べているところと,ビアマンが述べている ところを比較すると,その大きな相異点として,つぎの2点を指摘しうるであ ろう。 すなわち,ピアマンの特長の第1点は,管理可能費と管理不能費とを俊別す

7)J。BいHeckert andJD“Wi11son,ControllerShip−ihe Worh ofihe Accounting

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J96ヱ 香川大学経済学部 研究年報 1 一一J5J一 ることを強調した点であり,その第2点は,文書機械を使用する場合の注意に・ もふれた点である。前者ほ,後述するように.,管理会計ほ資任会計であること を重要視するところから考慮されたものである。これほ,最近の趨勢である分 権組織,事業部組織の導入に関連して特に考慮されたものである。後者ほ,こ れも後述するように,近時の会計機械化の採用に・もとずく指針として重要視し たものと考えられる。この意味に.おいて,ビアマンの所説ほ,へッカー・トとウ ィルソンの所説よりも新しい感覚で構成されていると言え.よう。 ⅠⅠⅠ 前節で述ぺた報告指針・にもとずいて作成される「会計報告書」ほ統制されなけ ればならない。この点に.ついて,ピアマンは,「ある主要航空機製造株式会社は (ビアマンほ,UnitedStatesAirplaneCompanyをよく例にとっているノ),1会 計期間中監消費される用紙の遷さが,その製品の重量以上に及ぶことを見出し ている。」と例をあげて報告書の統制の重安性を指摘している。8)たしかに,大 企業に.あつてほ,コスト・セイビングを可能ならしめる最も大きな領域の1つ として,「会計報告書」作成費用,特に,コスいコントロールに関連したこれら の「会計報告書」作成費用の問題を指摘しうるであろう。租野庭して多種におよ ぶコスト・コントロ −ルの報告書と,その機能を,さして効果あらしめること のない追加的報告酋が,しばしば作成されているのであり,この傾向は覆に見 られるところである。 この浪費をいかにして防止するペきであろうか。 そしてまた,適正な報告書が常に作成されていることを,いかに・して確信し うるであろうか。 この問題について,ビアマンは,「この問題に.ついての解答の基準となるも のは,管理者が自分自身,今,いかなる会計情報を必要としているか,また, いかなる会計情報が今の自分にとって重要であるか,の判断にその基準をもと めることができる。」とし,「この日標を完全に.達成するために,今まで多く の失敗を経験してきたのであるが,その失敗の経験の結果,この問題に対処す 8)H.Bierman,Jr。,姐Cii.,p一404一

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管理のための会計報葛篭:に.関する一研究 ・−ヱ55岬 る具体的方法」として,「欝1に,新しく要求される会計報告書についてほ, その要求が妥当なものであるか否かを検討し,欝2に.,従前よりなされている 会計報告書については,その形式が今なお有効なものか否か,およぴ,その報告 書がどの程度利用されているかという利用状況を検討する権限を与えられた くリボ−ト・グル・−プ〉(“IepOrt grOup”)の必要」9)を指摘しているのであ る。 「会計報告書」の作成のために漉,相対的に,また絶対的な金額で多額の費用凌 必要とする。たしか広,前述のごとく,管理ほ会計報告書による情報の提供を 必要としているのであるが,しかしそれは,あくまで,情報の提供が選択され たものであり,またその情報提供に必要な費用ほその効果を考慮して経済的な べ−スで見合うものでなければならない。われわれほ,一・方では,資本費の統 制と広範囲に投下された資金の安全性のために精密な計画を樹立し,また労働 と原材料軋ついても非常な注意をもってコントロ−ルするに.もかかわらず,他 方では,その会討報告書の受領者に無視されるかもしれない「会計報告番」作 成に伴う費用についてほ,さして注意を払わない傾向がある。 また,しばし,ば重複する「会計報告書」が作成される。この報普の重復ほ.,明 らかに.,その企業の利益を扱うことに・なるであろう。一般的に・云って,情報の 重複は,同じ情報を要求するいぐつかの部門が存在することから生ずる。この 重役の例として,ビアマンは,つぎのものをあげている。10)

(1)財務部(financialdepartment)と労務部(personneldepartment)の

両者が,それぞれ,過次職員平均賃銀報告書(weekIy report of the

average wage of personnel)を作成している場合。

(2)製造コントロール部(productionconrol)と製造部(produciondepaIト ment)の両者が,11)それぞれ,製造工程に・おける職務状況報告書(status report of jobsin prIOCeSS)を作成した場合。

(3)原価管理部(cost accounting)とインダストリアル・エンジ=・アリング

9)H“Bierman,Jr,,掛・Cit.,p。394 10)H、BieIman,Jr.,掛(it。,p。397

11)製造コントロ1−ル範と製造部との組織の関係についてほ,HBierman,Jr.,砂.Cit., p.254

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香川大学経済学部 研究年報 1 ∫96」 −ヱ56−

部(industrialengineeringdepartment)の両者が,共に直接労務費に関

する資料を鬼集L,,それぞれ,コントロL−)L/・リポート(controlreports) を提出している場合。 (4)製造コントロール部と経理部が共に,原材料について−完全な棚卸記録を 保持しつづけ,そして棚卸表を作成している場合。 ビアマンほ「ここに述べた事例は,重役についての僅かな例にしかすぎない が,この重複ほ,ある会社の場合,数千ドルの浪費をもたらしていた」−2)と述 べ,報告領域に.おける浪費の排除は確かに必要な問題であることを指摘し,前 述のくリボーいグル・−プ〉の必要を繰り返して主張しているのである。 1V 「会計報告書」ほ賃銀・椰卸資産をはじめとする数十万種の詳細な資料をそ のまま羅列するのではなくて,それほ蒐集された後に幾度か分類され,整理さ れて提出されなければならない。資料処理作業ほ,この四,五年間に,急速に 進歩し,また普及してきた技術(aIt)には違いないが,それほ非常に多くの費 用を要する作業であることを忘れてはならないのである。 技術的に云えば,資料処理機械化(mechanization of dataproccessing)の 第・一L段階,パンチ・カー・ド式電気会計機(electric accountingmachineusing punchedcard)であり,第二段階ほ,電子資料処理機(electronic data−prOCeSS・ ing machine)である。この資料処理制度ほ急速なスピ・−ドで資料を処理する のであって,記帳の機械化(mechanization of record・keeping)が急速紅進歩 してきていることは明瞭な事実である。これらの機械化が今後より一層,日常 の簿記記帳作業(routin record−keeping task)を行うことは疑いない事実であ ろう。それ把もか・」わらず,ビアマンは,なお記帳作業を代行するこれらの機 械設傭の採用にあたって注意するべき諸点として,つぎの4点を指摘す.るので ある。13) (1)その処理方法を利用することに.よって,その作業が完全に.実施されうる 12)HBierman,JI.qZ,・Cii“,p”397 13)軋BieI・man,JI.,妨C払,p.396・

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管理のための会計報告書に関する一研究 −ヱ57− ものか布か。 (2)その処理方法を利用することによって,その作業が,より低いコストで 実施されうるものか否か。 (3)その処理方法を利用することによって,その結果が,より速やかに得ら れるものか否か。 (4)その処理方法を利用することによって,情報が,より正確に得られるも のか否か。 たしかに,ピアマンも云うように,機械的な手順(mechanicalprocedure) が多くなればなるはど,必然的によりよい結果が得られるということは保証で きないのであり,ある場合には綴ぢこみ制度(file system)を利用して,人の 手で行う記帳作業の方が精巧な電子資料処理制度よりも効果的な場合も存在し うるのである。たしかに,会計の機械化は,必要な労働力と一定の仕事に必要 な時間を節減し,また誤謬の発生の可能性を減じて能率を向上しうるが,いか なる場合にあっても,会計の機械化が可能であるとほ云えないであろう。例え ば,取引数の少い場合,同じような記入の度数が少い場合等にあっては,機械 化は余り進み得ないものであろう。ピアマンも述べているように,「いずれの 処理方法を採用するぺきか否かについての決定が下される前に,すべての可能 性についで慎重に比較検討されなければならない」14)であろう。 ここで,付言しておくべきことほこれらの機械設備による情報の提供が,経 営管理のリーダ←シップにとって代るものでほないということである。ブライ ト(James R.Bright)ほ,数字的統制(numericalcontrol)によって管理者 のリーダ←シップは,その存在を必要としないという問題を取り上げて検討し た上,16)「われわれは創造力と知性と資本と市場を持っているのであり,今こそ われわれほ創造的なリーダーシップを確立し管理者による決定と行為を必要と しているのである。」16)と結んでいる。このブライトの所説ほ注目すべきもので あろう。 14)H.Bierman,Jr.,噌.Cii.,p.396.

15),.R・Bright,HAre We Fal1ing Behindin Mechanization?”,Han,ard Business Review,Nov.−Dec.1960,Vol.38,No.6,p.94.

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ーヱ5β− 香川大学経済学部 研究年報1 ∫96」 ともかく,企業が敏活に諸事態に適応するにあたって種々の多くの問題が生 ずるが,それは企業の組織が拡大化し,かつ複雑化するに伴って増加するであ ろう。企業は,それ自身,最も適当なサイズ(size)を有しており,そのサ イズを超えると非常に非能率的となり危機を招来するにいたる。現在,この 能率的に経営し得るサイズがどれはどであるかについての決断ほ容易に下し得 ない。しかし,資料処理機械設備の採用が,サイズにもとずく非能率の限界 点を引き上げるために,現在の企業は今より数倍大きく,複雑になっても,な お,能率的に経営されうるのであり,資料処理機械設備の適切にして効果的な 使用は,この意味においても,大きい意義を有しているといわなけれほなら ない。 Ⅴ

製造業の管理報告書一覧表(Listofmanagerjalreportofmanufacturing

business)ほ,マッツとカリーとフランク W.Frank)によって,かなり詳細に示 されているが,17)ビアマンほ,いくつかの 報告書とその作成にあたって注意すべき 例として,(1)製造原価報告書について (2)事業部利益計算書について,(3)特 殊報告書について,説明している。18) (1)製造原価報告書(report of manufacturing costs)について。 この報告書の形式については,種々あ るが,その形式の一例としてつぎの形式 を示している。19)これを第1表として示せ ば,つぎのごとくである。 (A.D・Matz,0.J.Curry and G. 第1表 某製造株式会社月 次製造原価報告書 19一年1月31日 期首仕掛品……… $20,000 製造原価 直接労務費…$60,000 材 料 費… 30,000 経 費… 70,000 総製造原価………

160,000

$180,000 月間完成品………

165,000

期末仕掛品……… $15,000 17)A・D・Matz,0・J・Curryand G・W.Frank,CosiAccouniing,1952,pp.612L615. 18)H.Bierman.Jr.,少.cii,pp.397−403. 19)H.Bierman,Jr.,qZ,.Cit,p.398.

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管理のための会計報告書に関する一研究 −ヱ59− ビアマンほ,「この第1表に示した形式の串良告書は,期間中,出庫された製 品の製造原価を示しうるものである。しかし,この報告書は,情報として効果 的なものであろうか,また,この情報によって,特別の決定が可能であろう か,という問題については甚だ疑問のあるところである。会計情報を効果的あ らしめるコストの表示は,いくつかの関連する制度(someframeofreference) の中で取り扱われるのでなければ,その効果は減被されることとなろう。もし も,予算あるいほ標準原価が認識されており,また前期のコストが認識されて いるならば,それはより効果的な表示となり,政策決定の1手段となるはずで ある。」と批判し,「この意味で,効果的な報告書を示せば,つぎのごとくであ る。」として例示している。20)これを第2表としてここにかかげよう。 第2表・ 其製造株式会社月次製造原価報告書19一年1月31日 実際原価と標準原価との比較

実 際

標 準 差異(超過差異)不足差異 直接労務費 材 料 費 経 費・変動費 経 費・固定費 $60,000 $62,000 ($2,000)

30,00U

36,000

し6,000)

50,000

45,000

5,000

20,000

19,000

1,000

$160,000 $162,000 ($2,000) この「会計報告書」においては,グロスの標準原価で表示されているが,場合 によっては,単位当り原価(costonaperunitbasis)が採用される場合もあり, また,成功した月(この報告書ほ月次製造原価報告書である)のコストと比較 される場合もありうるであろう。この報告書は,望ましくない差異が生じたこ とを指摘することによって原価管理に役立ちうるし,また差異の発生した場所 を指摘する補足報告書(supplementary report)によって補足されるのである。 (2)事業部利益計算書(divisionalincome statement)について。 近時,多数の企業が分権管理を指向しているが,21)この場合,企業ほ事業部の 20)H.Bierman.Jr.,qil.Cit.,p.398. 21)分権管理への指向についてほ,多数の文献があるが,代表的文献として,P.F.

(16)

香川大学経済学部 研究年報1 −ヱ6∂− J96」 実施結果を測定する尺度を必要とするこ睾となる。かくて,会計主体(accoun− ting entity)ほ事業部となるものであるが,その企業内部での各事業部の会計 の問題は,企業主体のそれの場合におけるよりも,より複雑となる。例えば, ここで,その一つを例示すれば,それは事業部相互間において製品を売買した 場合の価格の問題を示すことができよう。企業が会計主体の場合にあっては, この企業内部での製品の移動に伴う価格の問題は正当な規約(1egalcontract) にもとずいて,比較的簡単に決定することができる。これにたいして,事業部 制度の下においては,この価格は,しばしば,管理者によって任意に(arbitra・ rily)決定される。しかも,この価格が事業部の総収益を決定ずけるものである ことから,事業部の利益は,この内部振替価格によって大いに影響をうけるこ ととなる。この意味において,事業部の利益高によって,その能率を測定する ことほ,ある限られた範囲でのみ,その尺度となりうるものであるといっても 過言ではない。 また,この内部取引と価格についての問題の他に,各事業部へのコストの配 賦の問題が存在する。これほ各実施事業部(operating divisions)に配賦され ねばならないところの本社経費(centraloffice overhead)の場合もありうる し,あるいはまた,他の事業部への営業活動のサービス・コストの場合もあり うる。この場合の配賦について,問題を生じない場合もあろうが,普通ほ,し ばしば,解決困難な問題として現出するものである。これらのコストは,連結 原価(joint−COSt)であり,明瞭な配賦方法について,しばしば,困難な問題 を惹き起すものである。事業部担互間でのコストの配賦および本社経費ほ棚卸

原価(cost ofinventory)の決定のためにも必要であるが,配賦方法が余り

に任意的で,余りに不平を生ずる点で,原価管理および事業部の利益算定上, 不満足なものとなりがちである。 そこで,ピアマンは,この諸問題について,管理を誤らしめる事業部月次利 益計算書の例として,つぎの形式を示し,これを批判して,改善された事業部 月次利益計算書の例をそのつぎに示している。

Drucker,Practice of the Co71・Oration,1946,p.41ff.;L.A・Allen,Management and

(17)

管理のための会計報告書に関する一研究 −ヱ朗一 先ず,ほじめに,管理を誤らしめる例としてビアマンが示した形式22)を第3 表として示せば,つぎのごとくである。 第3表 某株式会社デトロイト事業部月次利益計算書19一年7月30日 販 売 収 益 差 引 $50,000 製 造 原 価(製品標準原価)………$40,000 標準原価との差異 販 売 費 本社配賦額 労 製 財 社 購 事業部利益 務 部……… $ 300 造 部…………‥・ 700 務 部…・ 400 長 ・室…・ 600 買 部……・ 500 48.000 $ 2,000 ピアマンほ,以上のような事業部月次利益計算書を示して,つぎのように批 判するのである。 「この計算書の形式には,いくつかの欠点が存在する。すなわち,第1にり この計算書ほ事業部利益でのみ表現されている。第2に,本社経費配賦差引後 の計算額として利益が表現されている。このため,この事業部の能力ほ,この 形式では,事業部によってコントロールし得ない2,500ドルの影響をうけた 2,000ドルの利益高によって測定されているのである。第三に,この計算書は, 報告に必要であるべきコストについてよりも,報告にさはど必要でない配賦額 について,より多くのスぺ−スを費している。」とピアマンほ批判して,より 意義のある事業部月次利益計算書の表示形式として,つぎの事業部月次利益計 算書を示している。23)これを第4表として示せば,つぎのごとくである。 欝4表 英株式会社デトロイト事業部月次利益計算書19一年7月30日 販 売 収 益 $50,000 22)H.Bierman.Jr.,一妙.cii.,p.400. 23)H.Bierman.Jr.,qi・.Cit.,P.400.

(18)

香川大学経済学部 研究年報1 −ヱ62− ユタ6ヱ 差 引 製 品 原 価(製品標準原価)・ … $40,000 標準原価との差異 1,500 4,000 販 売 費 事業部原価(事業部により統制可能) 45,500 $ 4,500 2,500 $ 2,000 事業部の責献 差引本社配賦額 事業部素屯利益 この事業部月次利益計算書において示された事業部の責献(contribution of division)としての4,500ドルの表示は,第8表において示された2,000ドルの 表示よりも,事業部の貢献状況を明瞭に示しているのである。このように事業 部利益計算書が表示作成されることが,その目的に適合しており,より正しい と思われる。事業部利益計算書においてほ,固定費と変動費との区別はない。 事業部利益計算書は,しばしば,収益と変動費との差異の観点から,事業部の 責献状況を計算することが望ましいのである。 勿論,事業部の能率の尺度として,資本利益率が別途に計算されることほ当 然のことである。すなわち,ケラー(Ⅰ.W.Keller)が利益管理の観点から,企 業利益の測定に関して,「管理目的からいえば,企業利益の測定にとって,も っともよい基礎は総資産に対する税引後の利益の割合である」24)と述べている ことは注目に値する所説であろう。あらゆる企業の利益の経営管理にとって資 本の有効な使用に不可欠である。\ケラーほ,この企業における資本の有効な使 用のための測定として,つぎの算式を提示する。25) 利 益 =売上利益率 売上高 売 上 高 =資本回転率 使用総資本(総資産) 売上利益率×資本回転率=使用資本利益率 かくして,企業の利益管理にとって,たんに売上高にたいする利益の割合だ 24)Ⅰ.W.Keller,ManagementAccountingforPYOfiiandConirol,1957,P.314.ケラr の所説ほ古川教授が紹介されている。古川栄一,前掲書,351−352ぺ−ジ参照のこと。 25)Ⅰ.W.Keller,噌.cii.,p.316.

(19)

管理のための会計報告書に関する一研究 −ヱ63− けでなく,さらに,使用資本の回転率が重要な関係を有していることを強調す る。かように,事業部の能率の尺度として,その事業部の経営活動のために投 入された資本の効率を示す経営資本利益率で示すことが適当であろう。 さて以上において,事業部利益計算書について考察してきたのであるが,事 業部原価報告書についてほどうであろうか。 ピアマンは,「事業部利益計算において述べたことほ,事業部原価報告書に ついても妥当することであり,事業部あるいほ,より小きい業務単位(smaIler Operating unit)がコントロールし得ないコストの表示でその原価報告書を充 満させることは全く無意味である。」26)述べている。たしかに,事業部原価報告 書は実際に管理可能なコストについて強調され,示されるべきであって,他の 性質のコストは管理不能なコストとして関連ずけて報告されるべきである。要 ほ,管理者の管理可能な領域匿焦点を合わせることが必要であり,原価報告書 は注意を促す必要のある領域が強調されるよう,また,管理によって例外の原 理の考慮が働くように工夫された報告書を提出すべきである。 (3)特殊報告書(specialreport)について。 ここで特殊報告書についてふれておかなければならない。日常の「会計報告 書」は,すべての必要・目的に答えるべく期待し得ないものであり,また,期 待すべきものでもないのであって,特別な会計情報を必要とする場合にほ,特 別な方法にもとずいて得られる資料から特殊報告書が作成されるぺきである。 例えば,個別計画のための報告書,あるいはまた,その決定のための差別原 価分析(differentialcostanalysis)・特殊原価調査の報告書が作成されるぺき である。かように,特別意思決定のためには,それに適応した特別な会計情報 を提供することが必要となるのであって,ここに,特殊報告書の意義が存在す るのである。この意味において,特殊報告書を規格化することほ,危険性を有

しているのであり,ある場合にあっては,特殊報告書の機能を無意味なものと

してしまうこととなるのである。 ⅤⅠ 26)H,Bierman.Jr.,(ゆ.cit.,p.401.

(20)

香川大学経済学部 研究年報1 ーヱ64− J96ヱ 「会計報告書」は,しばしば,その提出時期が遅れることがある。この場合の効 果は,「会計報告書」の性質によっては価値のないものとなる。その月の十二日 に材料産出票(materialrequisition)を締め切ら(cutoff)なけれはならなかっ たり,また,その月末後,三十日以上経過して財務報告書(financialreport) に責献することは,報告書提出の時期を誤った典型的な一例である。具体的に いえば,六月の報告書作成のために材料庫出票ほ六月十二日に締め切らなけれ ばならなかったにかゝわらず,財務報告書は八月一日以後にいたっても,なお 作成報告されない場合をあげることができよう。全く報告がない場合よりも, 一ケ月遅れても報告書を得ることの方がよりよいには違いないが,しかし,そ れはどの程度有効なのであろうか。提出時期が遅れた報告書の有効性ほ,その 大部分の意味が失われることほ明らかである。 では,何故,その提出時期が遅れるのであろうか。 その理由として,ビアマンは,ある会社を例にとって,「第1の理由ほ,資

料の多量性とその複雑性に基因する。すなわち,数千項目におよぶ椰卸資

産,8千人の労務者,数十万にのぼる仕入送り状(purchaseinvoice)等が存 在している。第2の理由ほ,情報の正確性を期するために照合され(check), そしてまた再び照合(recheck)されている。」27)と述べている。これに対処す る方法として,ビアマンは「第lに,電子資料処理設備(electronic data−

processingequipment)を含めた会計機械設備が必要であり,第2に・,各会

社により種々な方法があるであろうが,一般的な手続上の問題として,つぎの 4点が考えられる。」28)と述べている。 1 材料庫出票および送り状は月末数日前に締め切りうる。 2 資料の修正は翌月に繰り越し実施しうる。 3 誤謬発生の可能性は増大するかもしれないが,もしもその誤謬の程度が 重要でないならば,誤謬を防ぐための照合の度数を減少しうる。 4 会計機械とその職員労働についての注意深い計画を立てる て,報告書の流れ時間(“flow time”)を減少しうる。 1ぺニーの正確性を期し,その誤謬をキャッチするために幾度もの照合を習 27)H.Bierman,Jr.,噌.cit.,p.403. 28)H.Bierman,Jr.,0♪.Cii.,p.403.

(21)

管理のための会計報告書に関する一研究 −−J65一 慣ずけられた会計係(accountants)は,この示唆に反対の意向を表明する。しか し,管理者が数百万ドルの棚卸資産の利用についての管理決定を問題にしてい る場合にほ,1ペニーの正確性よりも迅速な情報の適時性が優先するのである。 たしかに,ピアマンのいうごとく,合理性と有効性ほ管理目的のために作成 される会計報告書にとっては重要にして必須の原則であろう。また,(このこ とについては重要な論点であると思われるが)ピアマンほ「資料蒐集の場合に おいて,その記録(recording)以前に,その資料の利用の考慮(consideration) が払われていることが,すなわち,目的分類による考慮が払われていること が,結局,会計報告書提出の迅速・適時性を満足せしめるのであろう。」と述 べている。叫 ⅤⅠⅠ 前述においてふれたごとく,ある主要航空機製造株式会社は,1会計期間中 に消費される用紙の重量がその製品の重量よりもより以上に達する事実を見出 しているのである。この多量の「会計報告書」が果して,すべて有効な報告書な のであろうか。現在の科学的管理において,有効な情報を得るために努力が払 われなければならないことほ当然である。しかし反面において,このことが, しばしば,望ましくない副産物として不必要な報告書の発生を助けることとな るのである。また,「会計報告書」が,五年前と同様の方法で作成されており, またその時に最も有効であったということの理由では,現在なお有効に実施さ れている理由とほ必ずしもならないことに注意しなければならない。 「会計報告書」の質とその量の問題は厳重に統制されなければならない。この ためには,現在の組織の他に,ビアマンのいうように,新しく作成されようとす る報告書についてほ,その要求がほたして妥当であるか否かを検討し,かつ, 従来から継続して作成されている報告書についてほ,その形式および利用状況 の適否を検討する権限を与えられたくリポート・グル←プ〉の組織化が必要で あろう。(この点が,ビアマンの所説が示唆する重要な第1点であると考える。) 同時にまた,経営管理者がその報告を要求するにあたって「今,自分はいかな 29)H.Bierman,Jrり0♪.c払,p.403.

(22)

香川大学経済学部 研究年報1 J96」 一ヱ66− る報告を必要としているか」という正しい自覚が是非とも必要であろう。(管理 者の自覚を要請している点がピアマンの所説の重要な欝2点であると考える。) この他,ビアマンの所説ほ,「会計報告書」作成技術に重点を置いているため, 理論的に余り見るべきものがないとほいえ,なお従来示されてきた諸氏の見解 と比して,ビアマンは,経営管理における事業部制導入に伴って生ずる「会計 報告書」について言及している。そしてまた,急速に普及してきつつある会計 資料処理機械の導入に伴って生ずる「会計報告書」作成の問題をも取り上げて いることに注目しなければならない。(この点がピアマンの所説の特長の第3 点として考えうる。)現在の経営管理において,大きな問題となっている,この 2大革新を考慮することなしに,管理のための「会計報告書」について論ずる ことが無意味であるとすれば,ピアマンの所説は不完全であるというそしりを 免れないとしても,なお意義深いものであると考えうるのである。 管理会計の領域ほ,かくして作成される会計情報の提供にとヾまるぺきであ るか,あるいぼ∴その利用にまで及ぶぺきであるかの問題について,古川栄一教 授稿「会計情報の管理的利用」,『会計』,昭32(1957)年4月号の,論考を基礎にし ●●●● て考察することが,つぎの筆者の課題となる。すなわち,管理会計ほ,経営計画 ●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●● 設定のための会計情報を提供し,またこの計画にもとずく統制のための会計情 ●●●● 報を提供することを目的としていることについては異存のないところである。 そして,経営管理に活用されるためには,常に,経営者・管理者の立場や必要 を念頭において,その要請に応ずるような会計情報が提供されなければならな いのである。管理会計は決して会計が最終の目的でほない。管理会計ほ目的の ための手段であって,結局ほ,それが経営者・管理者によって活用されるので なければ意味がないことほいうまでもない。ビアマンが,「会計報告書」作成に あたって「その報告書を受け取る者が誰であるか」を第1に考慮したのほ,この 意味を示すものである。この点が,ビアマンの所説の基礎をなしているのであ り,ここにビアマンの所説の重要な意義が存在するといってさしつかえない。

管理会計の桟能が会計資料を蒐集し,報告し,そして説明を加えるという立

場にとヾまるべきであるか,あるいは,その会計情報の活用過程にまで及ぶべ きであるかについての論点が,管理会計論を展開する上において重要な基礎と なるのであって,この点の解明が,筆者のつぎの課題となる。

参照

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