欝9巻第3号(1958) 161
傾斜地新開果樹園土壌の研究
Ⅰ 開園による土壌諸性質の変化(その2)
玉 置 鷹 彦
Studies on soilsin newly opened sloplng OrChards.
Ⅰ・Changes of soilproperties by reclamation(Part2)
Takabiko TAMAKI
(Laboratory of Soiland Manure)
(Received October31,1957)
前報(3)でほ本研究の供試園である本学部附属傾斜地幾場桃園のプ段よりなる階段園の最上段園の土について得た 結果を報告したが,本報でほ山潜の最下段より4段目の中段園軋ついて調査した結果を報普する.本研究も「傾斜地 果樹園の開設に関する研究」として黒上泰治以下・10名によって行われた総合研究の一部で,1954−1956年度文部省科 学研究費によったことを感謝するhまた岩石風化物の判定には本学部農業地質学研究室斉藤寒助教授の助言を得た.. ここに厚くお礼を申上げる次第である Ⅰ 実 験 の 部 供試土の採取方法,採取場日,分析法等はすぺて前報(8)と同様である.. 1.粘 土 分 風乾細土の粘土鼠および開園前の鼠を100とした開園後の指数を第10表に示す.第10表から上層土,下層土とも開 園前の1952年5月採取試料より開園後ほ細土中の粘土扇が増加し,下眉土の増加が著しい… 第10衣 細土 中の粘土塁 ⊥952年5月 1954年10月 1955年1月 1955年11月 % l指 数 % 】指 数 % 】指 数% l指 数
上 層 土  ̄F一 層 士 2.容 水 鼻 細土粗⇒犬態の容水温を測定した結果および開園前との比較措数を第11表に示すい第11表から容水盈ほ開園後上,下 層とも増加の傾向を示している 第11乗 客 水 盈(粗) 1952年5月 1954年10月 1955年1月 1955年11月 、− % J指 数 % i指 数 % l指 数 上 層 士 下 層 士 3.比 重 細上の貪比重と仮比重を測定した結果および開園前との比較指数を罪12表紅示す.第12表から具比重ほ上,下層土 とも開園により殆んど変化を示さず,仮比重ほ粗状態では増減が著しくないが,密状態でほ開園後やや減少してい香川大学農学部学術報告 欝12衷 真比重 と仮比重 4小 孔げき鼠 油土について粗状態の孔げき鼠を兵比重と仮比重から求めた結果および開園前との比較指数を罪13衷に示す′罪13 表から開園前彼の孔げき鼠ほ上層土でほ著しい変化が認められず,下層土でほ若干増加し■ている・しかし1955年11月 に採蚊した試料では上,下層土とも開園前に比較して減少の傾向がみられる” 第13表 孔 げ き 崖こ(粗) 5.反 応
pH(H20およびⅣⅩCl汲浸出),大工原酸(3yl),加水酸等の測定結果および開園前との比較指数を第14表に示
す郵4安から上,下層土ともpHほ蒸りゆう水,ⅣⅩCl液何れの浸出液も開園前より低くなっており,大工原酸 (1955年1月下層土を除く),加水酸(1954年10月上層土を除く)は何れも増加を示している 第14表 反 万古ユ63 罪9巻罪3号(1958) 6い 仝窒素,炭素,炭素率および腐植 これ等について−測定または計辞した結果および開園前との比較指数を欝15表に示す1第15表から全窒素鼠は開園後 約3年目に減少を示し,炭素量およびこれから求めた腐植澄は1955年11月試料上層土を除き,上,下層土とも開園後 減少し,1955年採取の下層士試料は殊に.それが著しい・炭素率は開園により一時狭くなるがその後次第に広くなる傾 向を示している. 第15表 仝窒素,炭素,炭素率および腐植 6・54l166l・4 ∴ −∴ 7吸 収 力 窒素およびりん酸の吸取係数を測定した結果および開園前との比較指数を第16表に示す‖第ユ6表から窒素の吸収係 数ほ開閲により上, ̄F屑土ともに増加しその傾向ほ下層土より上層土に著しい‖またりん酸のそれも・1955年11月上層 土を除きやや増加を示している 第16表 吸 収 係 数 Ⅱ 考 察 以上の結果を前職(3)の上段還の場合と比較しながら考察するり まず細上中の粘土分についてほ開園前にくらべて 開園後上,下層土とも増加の傾向にあり,これは上段閲の場合より下層土で殊に著しいのは中段園の下層に・ほ.灰黄白 色を呈する部分が斑状に存在することに由来するものであると考える.すなわち本物質は本学部農業地質学研究室斉 藤助教授によると花崗岩に由来する加里,ソーータに富む長石類の風化物であると云われ,これが長年にわたり松林の 下層土を形成していたものが開園の際反転破砕をうけ急激な環境変化におかれて風化崩かいが進んだことにより上段 閲の場合以上に著しく細粒土の増加をみたものであろう つぎに紐状態の容水星ほ上,下層土とも開園後増加の傾向を示し,粘土鼠と平行的関係にあることは上段田下同士 の場合と同様で,この場合の容水星は前記のように供試土中の腐植舎監が乏しいところよりこの粘土鼠に左右されて いるものと考える
香川大学農学部学術報名 164 其比重ほ上,下層土とも開園前後に大差のないことほ上段園の場合と同様であり,仮比重は紐,密両状態ともに上 段園と同様な傾向になっていることは中段園の場合も上段園のように開園により腐植の分解消耗の進行,土粒結合状 態の粗状化がおこっていることが考えられるり 孔げき盈は上,下層土ともに.開園前後で著しい羞が認められず,またその変化ほ上段園と類似の様相を示してい る.サーなわち開翠に.よる土粗の集合配列等の変化ほ上,中段園とも同様な過程をとっている また土の酸性化の進行ほpHの減少,大工原酸,加水酸の増加等中段園でも上段園の場合のような変化が認められ るが,上段園に,比較して」ⅤⅨCl液による浸出液pHの低下が幾分少く,大工原酸の変化も同様であることほ黒上(1)等 の結果と相似た傾向であるい また加水酸ほ上段園より上,下層土とも開園後の増加傾向が大きくこれは初期の酸性化 が進行しつつあることを示し,その原因ほ上段園に.比較して粘土意が多いことにより土の緩衝能を考えると酸性化が 比較的ゆるやかに進行していることによるものであろうけ 金宝素鼠,炭素量および腐植盈について上層土では開園後一牒寺減少後増加を示し,下層土でほ減少を示している1 すなわち上層土でほ桃木の生長に伴う落葉の増加,雑草の生眉枯死等に.より下層土より土中に有機物の加わること.が 開園年次の経過とともに次第に.多くなり,これ等のものの分解腐植化により以上の結果を示すに至ったものと考え る.この点ほ炭窯率が開園後上,下層土とも減少後増加し,上段園の場合とやや異っておりこれほ窒素屋炭素遥が上 段園よりも多く土中の有観物の分解古鏡等が上段園と異っていることによるものと考える∴すなあち中段園では上段 園より窒素,炭素(腐植)の消耗少く開園前との比較指数が上段園より大きいことからもこれを知ることができる小 吸収力について窒素吸収除数の増加が上層土に.著しいことは上記腐植鼠の消長に関連するところが多く,この点ほ 上段園よりもー周明かである‖またりん酸吸収係数の変化ほ上段園ほど著しくないことほ前述の酸性化の進行が上段 園より綬慢であることとあわせ考えるならば土の吸収母体の変化が中段園では上段園程著しくないと云うことができ る… 以上のよう紅本研究の対照である中段園の場合には開園に.よる土の諸性質の変化中劣感化するものについてはその 進行程度が上段園ほど著しくなく,これほ開墾前の松林下層土に長石風化物を多良含んでいたこと,地形の傾斜が上 段園に比較してより緩慢セあり土層が上段園よりやや厚く堆積し,しかもより粘貿であること,そして黒上(2)等の 調査により地下水位が降雨期に地表下60−8Ccmの高さまで相当長期間払わたって上昇を示していること等国土の生 成に関して上段園と.異る点が存在し,これ等が密接な関係をもっていること.によるものであろう小 Ⅱ 摘 要 花崗岩を母材とする急傾斜地松林を開墾した新開果樹園の中段園について開園前彼の土の諸性暫を試査し次の結果 を得た. 1.粘土崖,容祁盈は開園により増加ザる小 2い 真比重,粗状態仮比重ほ開園により殆んど変らぬが,密状態仮比重ほ減少する 3… 開園によるれげき鼠の変化にほ一定の傾向を認めがたいい 41.土の酸性化は開園により進行するが上段園の場合よりその進行が緩慢である1 5.金宝窮,炭素,腐植等ほ開園に.より一・時減少後増加し,炭素率は・一・時狭くなって後広くなる∩ 6‖ 窒素吸収係数は開園後増力ル,これは上層土に著しいりん酸吸収係数も開園後やや増加を示す… これ等の点ほ 上段園と趣が異るところであるい Ⅳ 引 用 文 献 (1)黒上泰治,葦沢正義,曽我部哲,金辺正:傾斜地果 報告集録(農学編)P‖28(1955)い 樹の生腰生態に関する研究Ⅱい 傾斜地の環境要素と.(3)玉置鷹彦:傾斜地新開果樹園土壌の研究1,開園 果樹の生長について,本誌,6,105(1954). による土壌諸性質の変化(その⊥),四国農業研究第 (2)黒上泰治,贅沢正儀,森正義,深井弘義:傾斜地果 3号…(投稿中) 横国の開設に関する研究,文部省科学研究費総合研究
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第9巻罪3号(1958)
R 伝 s u m る
Pursuelngthe formerstudiesIhave determined the physicaland chemicalpropeI・ties of soilsin middle part of newly opened sloplng PeaCh orchardswith the followlng reSults:
1一Clay amounts and water holding capacities of soilsincIeaSed by reclamation
2.Acidification of soilsincreased by reclamation buttheintensity of acidicIeaCtion of soils waslower than that of top partin this sloping orchard
3The absorption coefficients of ammoniumnitrogen and phosphoric acidincreased by reclamation.
傾斜地新開果樹園土壌の研究
一 閃園による土壌諸性質の変化(その3)
玉 置 贋 彦
Studies on soilsin newiy opened sloping−OrChards. 1.ChangeS Of soilproperties by reclamation(Part3)
Takahiko TAMAKI
(laboratory of Soiland Manure) (Received October31.1957) 前掲(2$)にひきつづき供試園の下2段目の階段国に.ついて調査した結果を報告するすなわち本国は7段よりなる階 段園の最下段より2段目であるが,最下段園が研究の対照として供試園と.する上に不適当であったので本国を供試し た.これを下段園とよぶこと.にする。本研究も1954−1956年度文部省科学研究費(総合研究)によったことを感謝す るまた実験に従事された久保利行君に厚くお礼申上げる Ⅰ 実 験 の 部 供試上の採取方法,採取期日,分析法等ほすべて前報(2)と同様である 1.粘 土 分 風乾細上の粘土鼠および開園前の鼠を100とした開園後の指数を滞17表に示す第1フ安から細土中の粘土鼠ほ開園 によって増加しこの傾向ほ上層土より下層土に著しい 第1フ表 細土中の粘土層 2容 水 盈 細土紐状態の客水星を測定した結果および開園前との比較指数を第18表に示す.第18安から上層土の春水鼠は開園 により一・走傾向の増減を示さず下層土でほ開園後−・時増加し後減少している