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放線菌の培養濾液からの植物の生長阻害物質, シクロへキシミドの分離-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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122 香川大学農学部学術報告

放線菌の培養液液からの植物の生長阻害物質,

シクロへキシミドの分離

鈴 木

放線菌の培養濾液の中には植物病原菌の生育を抑制するものがある・この液を植物病の防止用に噴霧する場合,病原 菌の生育粗害ほみられるものの薬害のために植物自身の生育が阻害されることが時々おとる。との薬害を惹起す物質を 単離し,赤外線吸収スぺクトルその他により同定した所,シクロへヰジミド(商品名,アクチ汐カツ,ナラマイシン A)と判明したのでここに報思する この物質は放線菌によるストレプトマインンd≡産の際,副産物の抗生物質として見出され(1),化学構造も3−〔2−(3,5一汐 メチル1トオキソシクロへキゾル)−2一オキシ・エチル〕グルクルイミド(2)と確定レこいて,玉葱のベト病,から松の先枯 れ病の防除粧利用されて:いる小(3) 実一験 の 部 有機溶媒に可溶な各区分の抽出 SircPto7nyCeS3979菌をBennet培地とC−4培地(籍1表参照)に接種し,270Cで7日間往復振激増養をした.培養濾 披から常法に従って酢酸エチルに可溶な中性区分,酸性区分,塩放牲区分を抽出した.1LのBennet培地培養液披から 得られた上記各l乳分ほそれぞれ約50溝g,郎卿,34卿であり,1LのC−4培地培養泌披からはそれぞれ約62肌g,213乱g,61mダ の各区分が得られた 酢酸ネチルで酸性区分と中性区分を抽出した残りの8ennet培地培養濾液から,ブタノ岬ルで常法紅よって「回牲区分, 酸性区分,塩基性区分を抽出した.その収竃は培養泌液1L当りそれぞれ約100肌g,380喝,150矧であった. 植物による活性の測定 抽出した各区分の植物生育阻害作用を,レタスと稗の芽生えの生育と,休業種子の発芽と生育を目安としてこ測定した巾 各区分乾物を適当童の酢酸声チルに溶かし,2枚の濾紙を敷いた5・5即か900沌)シャーレに適当鼻の溶液を注加する 溶媒を風乾してから3ccか9ccの7/ちHoagland水耕液を加えた場合,各区分乾物の法度が原培養濾液と同じかその一色と なるようにする.5.5(糀レヤ」−レにほ芽出しをしたレタス,9cmシャーレにほ芽出しをした押か体菜の秤子各12個づつ を移植して,その後の蕉筒状況を調査した その結果48時間後で,Bennet培地中性区分と酸性区分軋培養濾液の兢猥皮でレタスの根の伸長と休業の珪胃せ阻害し た.また[l]性区分軋培養濾彼の約3倍濃度で稗の根の伸長を抑制した 酢酸エチル可溶中性区分の約の活性しか認められなか ブタノール可溶各区分の活性を同様にして測定した結果, ったので,以後はブタノ」−・ルによる抽出ほ取止めた. ・一方C−4培地の酢酸エチル可溶各区分では,培養濾腋と 同じ濃度に溶かした酸性l哀分がレタスと体菜の年胃を阻害 した

植物を利用する3種類の測定法のうちで,体発種子の24

時間後の発芽率を測定するのがこの活性物質の測定に敏感 であり,かつ所要時間が最も短かいことが分かった.すな わち5‖5emレヤ−レ2個にちもⅡoagland水耕液3ccづつを 注加して,体菜種子50個づつを並べ25◇C紅静還した場合の 24時間後と48時間後の発芽率は葦1図のとおりとなるい以 後は体釆の発芽率で活性を測定することとした. タイサイ発芽率% 相楽㌍液減便相当率 未練飢時間後の発芽率 破線 4餅き間後の発芽率 欝1図 タイサイ発芽率と措性物質濃度

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欝21巻通巻葦48号(1970) 123 発1表 培養基の組成 Emer・sOnf KIainsky C−4 208 10 1 4 Bennet lOダ プ ド ー、ご糖 澱 粉 肉エ キ ス 酵母エ キス ペ プ ト ン 大 豆 粉 アスパラギン 乾 燥 酵 母 食 塩 寛2燐酸カリ 10%苛性ソ−ダ 塩 化 カ リ 硫酸アンモニア 炭酸カルソクム 水 pH L I L l 注 実験農芸化学 p・249−253 ノ ′. 」 / 培地の種類と培養濾液中の活性 培地の組成が変った場合の培養濾彼の活性変化を調べるため,廃1表呵示したEmerson,Ktainsky,ADB,中軌 Waksmanの各培地に前述のように培静し,その酢酸・エチル可溶中性区分の活性変化を休業の発芽率で調べた.湾性の 強さはKrainsky>EmeISOnl>Bennet>ADB二>WaksI刀an>中研の順であった.体菜の発芽率ほ中性区分の20ppm 溶液中でKI:ainsky培地の場合約15%,Bennet培地で約80%であった 由ennet培地はぺプトンや肉エキスを使っていて,酢酸エチル抽出牢当っで乳濁化することが多いが,Krain鈍y培地 にぎほ亡れらが含まれておらず活性物質卯由出が容易であざ畠こキ,申鮭区分収盈も培塵滝液拉当り約1pO昭と多し 鱒紅述べる薄膚グロマトグラム_比分離される成分の数姦ゆないさとから,以後はⅩⅠainsk蛸嘩を感用し長・ 活性炭による精製

培養濾液中甲活性区分を活性炭に吸着させ精妙することを試みた..pH5い0の培養濾液症/2%の活性炭を卯え.,温時撹

押して活性区分を吸着させて濾別する.活性炭を次紅ブタノールと振って活性区分を脱着する.ブタノールを蒸発させ て得た乾物は酢酸エチル可溶中性区分と同じ程度の活性があり,培養源液の%濃度でレタス,稗,体菜の生育を関善した. 酢酸志チル可溶中性区分を更に精製しようと活性炭に.吸着させると,吸着された活性区分は50%から80%アセトン水 で溶出されるが,活性ほ減少して−おり良い精製法とはいえなかった 薄屈クロマトグラフィによる活性区分の分間と確認 シリカゲル薄屑上紅中性区分をつけ,ブタノー・ル:酢酸:水=3‥1:1により展開した…1%過マンガン酸カリ溶液の噴 霧による着色帯出現に基づいて,展開罵:を5区分に分けてシリカゲルをガラス板からかきとり,酢酸エチル中で分離さ れた成分を抽出し,活性を測定した、屈ノ0.5−0/7の区分がレタスと秤の生育を強く阻害し,体菜の発芽を完全に抑える ことが分かった. 展開溶蝶を酢酸エチル:ベンゼソ=1:1匿変えると,活性区分の斤ノほ0..07−0.20の区分に移り,酢酸エチルのみでほ即

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香川大学農学部学術報告 124

0.3−−0.4,クロロホルムかベンゼンでは活性区分は原点に.とどまった.展開溶媒をクロロホルム‥アセトン=90:1研こす

ると活性区分は即0.05−・0.25に・移った小 珪酸カラムによる精製

酢酸エチル可溶中性区分をクロロホルムに溶かして珪酸カラムに添加し,クロロホルムにアセトンを順次加えながら

展開溶出すると,15・−20%アセトンの溶出液の所に活性が表われるので,この区分を再度珪酸カラムに通したl・シリカ

ゲル薄層上に溶出区分を展開し,過マンガン酸カリで発色させた着色点がただ1、つになっているのを確かめた・この区

分を少盈のアセトンに溶かして放置した所,針状に結晶したい粗結晶を温酢酸エチルから再結晶を繰返して融点1200C

の結晶を得た. 第2図 紫外部吸収スぺクトル 210 2SO 1∝O l抑】 1100 1岨■ 聞○ 伽 ⅣD 血・l 肋 浪歓(匹−¢ 洲〉 第3図 赤外吸収スぺクトル(ヌジョーール法)上側 得られた結晶 下側 レクロへキンミド標品

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第21拳通巻第4a弓(1970) 125 算4図 核磁気共鳴スぺクトル(CDC18中) 結晶の同定 結晶の紫外部吸収スぺクトル,赤外線吸収スぺクトル,核磁気共鳴スぺクトルを第2,3,4図庭示す.棲品のシク ロヘキレミドと赤外線吸収スぺクトルが一・致したので,この物質をシクロヘキンミドと同定した レクロヘキンミドが植物の蕉帝を閲害し,除草剤として:使用できることについては,結晶の同定に先立つ約20日前に 竹■松ら($)が講演して:いる. この研究は昭和42年皮に内地研究員として.東京大学農学部農芸化学科田村三郎研尭室に留学中に,その前半約6カ月 問に得られたものである.御指導下さった田村教授ほじめ研究室員各位紅深く謝意を表します. 摘 要 放線菌の培養濾液から植物の生育阻害をおこす物質を結晶として得て,赤外線吸収スぺクトルからシクロヘキンミド と同定した. 引 用 文 献 (1)FoRD,.丁H.,LEAc軋 B.E:.J.A〝2。C彪β椚.∫oc.,70,1223(1948) (2)KoRNFELD,E.C.,JoNES“R.G=:f.Am。ChemlSJC.,71,150(1949) (3)竹松哲夫,竹内安智:植物化学調節研究会籍2回大会,昭和42年10月22EI

A PLANT GROWTHINHIBITOR,CYCLOHEXIMIDE,ISO工,ATED FROM CULTURE

FILTRAfE OF STREP7t)AtrC

HiroshiSuzuKI

Summary

A plant growthinhibitor was extracted from culture filtrate of SlrePtom.yCeS and was purified to a

White crystalmelting at120OC.It was fo11nd to be cycloheximide frominfrared absorptioiト,nuClear magnetic resonance一,and ultraviolet absorption spectra

(1969年12月23日受庸)

参照

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