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転造歯車の歯形寸法について

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Academic year: 2021

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6

1

転 造 歯 車 の 歯 形 寸 法 に つ い て

久 野 精 市 郎

On the Tooth P

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Gear

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KUNO

ラック型工具でインボリュート歯車を転造する際の歯丈と圧力角の適用範囲を求め,その有利性を示した. 1 モジュー Jレ当りの歯未の丈 k= 1. 0~0.7,圧力角出。 =200~30Ú で,カミアイ率,歯先巾,押し込み量に よる工具の変形等から転造に有利な寸法の範囲を示し,特に k=0.8,ao=250 および 22.50の歯形が有望 であることを示した.

1

.

まえがき 歯車の転造はその生産性に意味があるが,製品精度に は転造連度がおそしー歯当りの押し込み量が小さい程 好ましい.転造l乙要する力は相当大きなものであり,装 置の剛性はもとより,このための歯面,特に工具歯先面 に及す影響は無視できないものとなる.したがって歯車 の転造では全歯丈が低く,圧力角の大きい程有利である。 ここではラック型工具でインホ、リュート歯車を転造す る場合にその機能を満足する範囲を求め,転造力との関 係でその有利性を明らかにした。

2

.

転造の容易さ クラッ型工具によるインボリュート歯車の転造でその 範囲を圧力角は a=200~300 , 歯未の丈hk,歯元の丈h t, 全歯丈hとして, hf=1.25hk, h=hk十hf=2.25hkと し,歯丈の範囲はhk=mk、で1モジューJレ当りの歯未の 丈 k を k= 1. 0~0.7 とした。 転造されるピニオンのモジュー)V

歯数を一定とし, また工具のテーパ部分(押し込み部分)の形を一定とす れば,工具の一定線速度に対して歯丈の大きい程,単位 時間当りの押し込み量が大きしまた工具圧力角の小さ い程押し込み速度は大きい.すなわち転造しにくいこと になる。 。1.0 吋で、司

2

'

0.9 認 4E 0.8

O.7 守と系

~

0.6 完塑全 0.5 腿期 0 . 4 20 2 1 図

1

k =

1

.

0

22 23 24 25 26 27 28 29 30 ー圧力角 α。 転造の容易さ Kを常数とすれば転造の困難さの程度は A=Khcota…..,・H ・...…・……-・……・・(1) と表せ, Aの債が大きい程転造しにくくなる. 今出0=200, ho=2.25mの標準歯車に対して Ao=Kohocotao・…………一一………(2) とし KニドK。とすれば標準歯車の転造に比べてその容易 さの割合はA/Aoとなる。

3

.

カミアイ率 ピニオン型工具による転造ではカミアイ率は 2以上が 好ましいとされている山. ラック型工具による場合は 工具長さの制限により,必要なころがり回数との関連で ピニオンの歯数およびモジュ-)レに限界がある.したが って 2以上のカミイア率は望めない.すなわちラック型 工具による転造では転造しやすい範囲で歯数は少なく, 工具は短い方が有利であり,可能な範囲でこれを検討す べきである. 相手も同歯数のピニオンの場合,カミアイ率は基準圧 力角日01乙対して ε1= 、1(

0

.

十2k)2ー(cosa0)2-sin a

0

)

/

πcosa 0

(3) また相手が標準ラックの場合は ε2=(v(1十2k)2ー(cosao)2-sinao+ k/sinao)/2πcos出0・・・・ー・・・...・・・(4) となる.乙れらの関係は図 21乙示す.乙れよりカミアイ 率の範囲は ε

ミ1.

1・・...…

0

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

・田・・・・目(5) を考慮する.

(2)

1

6

2

久 野 精 市 郎 相手k=1の標準ラック (u 1.6 Pサ1.5 T ~ 1.4 w 長1.3 1.2

w

~ ~ ~ M ~ U ~ ~ ~ ~ (αjk= 1 圧力角 α。(度) 1.7 1.5

'

"

1.4 ト ト ':- 1.3 A w 1.2 4ミ 相手同術数の台ニオン i 1.1 20 21 22 23 242~ 26 27 28 29 30 ( め lく=0.9 圧力角的〈皮) T ~ 1. 2 -R1.1 相子日~数のピニオン 1.0 20 21 ~2 23 24 25 26 27 28 29 30 (0)k=0.8 川1.0 4そ

I

J

目手間的

i

数のピニオン 0.91 20 21 22 23' 24 25 26 27 28 29 30 (d) k;=O目7 圧力角的(皮) 図

2

カミアイ率の変化

4

.

歯先のとんがり巾 歯車の歯先巾はその強さの上からある値は必要であ る園ピニオンのパックラッシ等に要する歯厚減少量を無 祝すれば工具の歯先巾は単位モジューJレ当り hn=π/2-2 .5tan a 0…・…….""""""(6) となる.またピニオンでは基礎円上の歯みぞ角を χ=π/2-2inva 0 歯先の圧力角を at=cos-1{zcosao/ (zトー2k) }とすれば図3の σは σ=2π/zーχ 2inva t となる。したがって単位モジ ュール当りの歯先巾は ht2=(Z十2k)(π/2z十invαO-lnvαt)……(7) となる. ζれらの関係は図41乙示す.乙の値は 2モジュ ーJレの歯車で最小1111111程度は必要であり, したがってこ れらの範閉を hn. ht2込0.5"

(8) とする. 、、句、ーー 図

3

i

, ~.Ol 下土旺7 ハ0 以8、、丸ヘ 、"、I l"、、,h よ ? 、 ι 1 ャ九,、 ベ ミ ..>j Q

5 ミメh 0 4 1I¥ 0.3 0.2 0.1 20 21 22.23 24 25 26 27 28 29 30 圧力角的(度) 図

4

I

ラック工具のとんがり巾ht,とんがり高さ

h

1.0 ~ 0.9

E

~ 0.8 丈 の 末 歯 の い 刊 ノ 1 1 m 司6 ム L K ヴ / ハ b に D A 坤 A Q U ハ H U A H U ハ H U ハ HU ハ H V 3 ﹂ 心 阿 世 ︿ 4 Q P 刑 罰 1.0

w

~ ~ ~ M ~ U ~ ~

a

~ 伸 之=20 圧力角的(皮)

l

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0.9

=

0.8 ζご¥ ; 会 0.7

3

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6

Q 点。目 5 率 0.4

w

~ ~ ~ M ~ U ~ ~

a

~ ( 的 Z=40 圧力角的(度) 図 4~II ピニオン歯先のとんがり巾

(3)

1

6

3

Oo= 空工〔主三里)__i日~vL 話 Ecosαo (hl十ho)

O

=

IO

1

1

+

IO

2

i

・……・…口・・ ・(10) 上式の各記号はつぎのようにきめた.

E:

ヤング率 ν:ポアソン比 x 歯の頂上より力の作用点までのきより h2 :力の作用点の所の歯の巾 al :法線力の作用線と歯の中心線との交点から歯の頂 上までのきより a 同上の交点から三角形の頂点までのきより 111 :同上の交点を含む部分の歯の巾

e

:

i歯底より三角形の頂点まできより ho :歯底のけJ したがってこれらの値はつぎのようになる. ht=πj2-2.5ktanα

転造歯車の歯形寸法について

.8 0.6 │ く=1.0

b

O.'f ( 国 ぞ ろ 酬 吟 円 T け h Q 世 一 Q55H ﹁ 一 ↑ 笥 ラック型工具によって転造する際に生ずる接線力およ び背力は9工具歯先がピニオンの歯底円位置pすなわちd, =Z-2.5k!こ達した時が最大となる ω. このときの転 造に作用する背力の原因となる工具と素材の接触面積 Sn,接線力の面積Stはその計算式(3)より求められる. またこのSn,Stより背力の値N,接線力の値Tは素材の ブリネJレ硬度HBの関係で、次式で表されている〈呂 N=(

1

.

5Sn十0.3Sttanao)HB)

i

… … ・(9) T =

(

1

.

5μSn十0.3St) HB J これより単位モジュール当り,一歯当りの押し込み量が i=O.l, 0.2の場合についてこのS町 Stを求め9装置の 摩擦数さをμ=0.2とし N=X.HB, T=Y. HB とした時 のX,Y を求め,その 1例を表(1)に示した。転造素材が 決まればHBから

T

が求まる. ζの値が工具歯先の曲げに 作用する力となるa 転造に作用する力

5

.

27.5 0.22

1

.

1

3

z=30の時のiとX,Y 0.8 0.9o

l 竺 I_~

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2112?J

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6

1

噌 i η 4 一 η L q o

,.一・・

4 i A U 一 噌 1 ハ り 25 0.8 0.8 20 0.8 1.0 2.0 ラッウ二[~-\の頂点より術主点までのきより (mm) (a)α

=20。 O.6j ,,~~ ~~~~l 司1. 0 0.41 ~ ~ご命

" "

~ 0.8 0.21 ・7

( 同 4¥ 立)哨必会ど Q d z Q E E H ﹁ 一 -7 1 0.28 ラック型工具の歯を図5のような片持はりと考えた場 合の単位歯巾当りのたわみ量。はつぎの式で求められ る 壬 ) 工具のたわみ

6

.

2.0 図

8

1.0 ラック工具のJ丸IJIよりf;;f_lTi:点までのきより ¥Cα

=25' ラック工具のたわみ量

o

1.0 ラックのTr-L,\J:~ から引J 市}!,I、までのきより f占lαo=22.GO

5114d

一年(1.

5

-

2

l

)

(

;

-1 )

十叫~-)}

ラック型工具 図

5

(4)

(1) 歯車の転造は歯丈が低く,圧力角の高い程容易で あるが機能的限界がある.カミアイ率は1.1以上は必要 であり,例えば歯数20の同歯数のピニオンとの噛合いで カミアイ率を1.

1

5

以上とすればそれは図7(a)の斜線の ない範囲となる. 歯先のとんがり巾は,その値を一義的に決めることは 困難である.しかしこれが大きすぎると転造背力が大き くなり, くい込みにくくなって装置や素材に無理を生ず る.また少なすぎると歯先の焼入れ硬化等により破損し やすく,変形によりピニオンの精度にも影響する.乙の 虫

E

値は経験的には1.2主ht

O.5m

が適当と恩われる.検 討の範囲では工具の歯先巾ht1くピニオンの歯先巾ht2 である.したがって ht1ミ

0.5m

の範囲は図7 (b) の斜 線以外の部分となる. これらの共通領域は図7(c)で,この範囲で転造の容 易きの程度をその!即乙審号 1,2, 3……で示した.以上 によりラック型工具によるインボリュート歯車の転造で はα0=250歯未の丈 k=0.8が最もよいととになる.ま 図

7

(c)の範囲で乙の近辺の数字の少ない k=0.8,α0=240; k=0.8,α0=230; k=0.7, 等が好ましい. (2) 工具の変形について,一例としてピニオンの歯数 30,一歯当りの押し込み量i=O.l,0.2について計算し た.まず表(1)のX,Yより素材のブリネJレ硬度を HB= 200 として接線力および背力を求めた.つぎにこの接線 力が工具歯先付近(頂上より約 0.1の点〕およびピッチ 点付近に作用する場合のたわみ量を求めて表2に示し た. α

=21

市 精 久宇野 ho=π/2+2ktanao

i=

πcotα0/4+1.25k h2=π/2-2 (1.25k-x) tanαo a1=x+h2tanα0/2 h1=h2sec2α

a =h1cotα

/2 乙れらの式による計算結果の一例を図6に示す.ラック 工具の押し込み部分(テーパ部分)の傾き角を

F

とすれ ば,工具のー歯の高さの差は H1="mtanß~' となり,歯 数Zの歯車を転造する時の工具一歯当りの押し込み量は 一般にH2=πmztans/2となる.この押し込み量より転 造工具の素材との接触面積Sn,Stが求まり,また式(9) より転造力がわかる.これらと図6より各々の場合の工 具のたわみの様子がわかることになる.

7

.

1

6

4

己~

E

μ 27.5 18 0.8 25 0.8 10 23 20 0.8 19 43

0.1 8 23 28 49 0.2 同じ圧力角に対しては転造力はー歯当りの押し込み量 が同じであれば低歯歯車の万がやや高くなる.これは歯 先のとんがり巾htによるものと恩われる.しかしたわみ 量は殆ど変化がない. 同ーの歯丈で圧力角が変化する場合はhtが減少するた めくい込みやすくなり,理論的なたわみ量は減少する. しかしhtを少なくする乙とには限界があり,このための 傷害についてもなお検討の余地がある. k=0.8,α0=22.5。および 250の工具のたわみ量は標 準歯車の工具に対して歯先でそれぞれ約75%,559払 ピ ッチ点付近で約70%,509仰となる. したがって当然その割合いで製品精度によい影響を与 えると考えられる.なお,低歯歯車ではー歯当りの工具 押し込み量も標準歯車に対して少とtくできるはずであ り,その効果はより大きくなる. しかし k=0.8,"'0=250,α0=22.50程度にしてもー 歯当りの押し込み量が0.1加盟の工具のピッチ点付近でな お10μ 程度の変形がある.これは当然ピニオンにも生じ ており,この値は精密級歯車の歯形誤差l乙対してなお大 10

1

2

22

E

1

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1. 8 十~ 0.9 鏑

8

0.8 ぷF 当 打10.7 ~

2

0

... ゆとんがり「ねによる範囲 27 28 29 30 圧力角的(度) (の共通領域および転造の容易さ

図?

転造可能歯車の範囲

(5)

転造歯車の歯形寸法について

1

6

5

きすぎると恩われる.それらの対策としては歯形の検討 の他に歯面の修正等の考慮も必要にたZるであろう.

8

.

結 論 (1) ラック型工具によりインボリユ{ト歯車を転造する 際の,歯の寸法の有利な範囲は1モジュール当りの歯 未の丈k=0.9では圧力角 α0=250;k=0.8 では 参 考 文 献 αo=220~250; k=0.7 では α0=200~210である. (2) これらのうちで特にk=0.8,α0=250が最も有望で あり,これについで k=0.8,α0=22.5程度のものが 推奨できる. (3) とれらの歯形でも転造力による工具の変形はなお相 当大きしより精度の向上には別の考慮も必要であ る. (1) 槌 川 武 男 : 機 械 学 会 論 文 集 27

175 (1961) 329 (2) 久 野 精 市 郎 : 愛 工 大 研 究 報 告 7 (1972) 197 (3)久 野 精 市 郎 : 精 械 学 会 秋 期 大 会 前 刷 (1972) 104 μ) 仙 波 正 荘 : 歯 車 第3巻日刊工業 (1961) 604

参照

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