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有機イソシアナートを一成分とするビニル重合 : 第一報 トルエンジイソシアナートによるメタクリル酸メチルの重合

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Academic year: 2021

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(1)

101

有 機 イ ソ シ ア ナ ー ト を 一 成 分 と す る ビ ニ ル 重 合

第一報

よ る 口

{

ナ の ア ル シ チ ソ メ

、 ジ ル ン リ ヱ ク ル タ ト メ

岡 本

5

1

稲 垣 慎 二

尾 之 内 千 夫

Viny

1

Polymeriza

t

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by Organic I

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Part

1

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Organic I

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Methyl Methacrylate

H

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i

OKAMOTO

S

h

i

n

j

iINAGAKI

and Yukio ONOUCHI

Ithas been found that th巴binarymixtur巴 oftoluen日diisocyanate and triethylamine initiates the polymerization of m巴thylm巴thacrylat巴effectiv巴ly,

The polymer showed r巴lativ巴lyhigh m巴ltingpoint compared with the ordinary polymer prepar巴dby radical initiator. The molecular weight determinecI by viscosity measur巴ment was 106 •

The activation energy for this polymerization was found as 5目8Kcal/mole.A mechanism

of the initiation r巴actionwas suggested as radical.

1

緒 言 イソシアナートの特異反応、については,これまでに多 くの報告があるが,そのうち,特にアミン系触媒を用い たビニノレモノマーとの反応については著者らの研究が最 初である.最近,有機金属触媒によるイソシアナートと ビニルモノマーとの共重合の研究が行なわれた.これら の研究はいずれも,イソシアナー卜を共重合成分あるい は反応剤と考えて行ったものであって,イソシアナート 自身を重合触媒として使用した例は未だない. 本研究は有機イソシアナート,またはイソシアナート とアミンの組合せが,ビニルモノマーの重合開始能力を もち,しかも得られた重合生成物が特にラジカJレ重合触 媒によるものと異なり,その融点,分子量が著しく高い ことが認められたので報告する.

2

実 験 2.1 試 料 メタクリノレ酸メチJレ(lVIMAと略記)は, 常法通り, 禁止剤を除去し,脱水乾燥後, 窒素気流中で減圧蒸留 し,その中留分を使用した.b

.

p

.

42 目 5~43.00C/60mm Hg. トルエンー2.4-ジイソシアナート (TDIと略記)は, 市販品をガラスフィノレターでロ過した後,窒素気流中で 減圧蒸留し,アンプルにつめ,冷暗所l亡保存し,使用直 前l乙開封して用いた.b.p.125~126"C /llmmHg. トリエチルアミン (TEAと略記〕は,酸化アルミニ ウムで乾燥してから常圧蒸留した. b.ρ. 89.0~89SC. その他の溶剤,試薬も常法通り精製して用いた.

2.2霊

£誌、 Eコ 溶液重合,塊状重合ともに,所定量の試料をアンプノレ に入れ,常法通り,窒素置換を行い,溶封し,所定の温 度の恒温槽中l乙静置して重合させた. 反応終了後,開封し,約20倍量のメタノーノレ中に沈澱 させ,ガラスフィjレターでロ過し, 40"Cで48時間真空乾 燥した.

2

.

3

生成ポリマーの性状測定 ポリマーの融点は柳本微量融点測定装置で300¥:まで の範囲で測定した. 分子量は,ベンゼンj容液, 30じで変形ウベローデ希釈 型粘度計を用いて

C

心を求め,次式より算出した.

C

'7

J

ニ0.74

x

1O-4lVI

o

・7G 赤外吸収スペクトルは,パーキンエノレマー337型によ り,ブイノレムとして測定した.

3

結果および考察 3.1 丁目が触媒として, MMAが重合するかの検討 TDIは緒言lこ述べたように有機金属触媒のもとでビ、ニ

(2)

とれから,明らかに,

TDI

MMA

の重合に際し,何 らかの形態で触媒作用をしているととが判明し,さらに 生成ポリマーの分子量測定値は極めて高く,また融点 は290'Cから 300'C以上である乙とが認められた. しかし,触媒としての効果があるとは言え,まだかな り重合率が低く,満足すべきものではないので,イソシ アナートの活性剤としてのアミン触媒を添加してみた. アミンとしては

TEA

を用い,

TDI

に対し,モル比で

0

.

5

の割合で添加した結果, 21.1%の重合率を得た.したが って以下では,

TD

I-

TEA

系による

MMA

の重合につい て検討を加えた. 夫 千 尾之内 J慎 垣 Jレモノマーと共重合するととは最近認められているが, 著者らは,触媒を添加せずにピニルモノマ{に対して

TDI

の割合を順次減少していった時,反応系がどのよう な挙動を示すかに大いに興味を持った. そ乙でMMA~ζ対して,触媒量あるいは,それより少 し多畳の

TDI

を添加し,

MMA

が重合するかどうかを, 先ず検討した.その結果を表Hζ示す. 表

1

TDI

による

MMA

の重合 稲 弘 本 岡 102 実 験 番号 MMA(ml) TDI(ml)反応時間(hr)重合率(%), 5 1 TD~-TEA による MMAの重合

TDI-TEA

系による

MMA

の重合を,窒素ふん囲気 で,反応温度,

TD

I/

TEA

モJレ比を種々変化させて実 施した.なお,塊状重合では再現性があまり良くなく,

3

.

2

1.70 2.42 5.61 5 10 5 10

0.17 0.17

5 5 5 2 3 4 〆 , , 〆 〆 a '

/ク〆

/

/

12 10 8 ( ぷ ) 時 畑 中 制 6 〆 ~ ~ ~ 4

間 (TD 1 Iこ対するモル比) TDI-TEA~とよる MMAの重合 時 応 1.11 0.84 0.5i¥ 0.39 0.28 0.17 反 × ・ ム ロ ① ⑥

TEA

濃度 図

1

(3)

有機イソシアナートを一成分とするビニJレ重合 問題が残るのでベンゼンを溶媒とする溶液重合を行っ た. 3.2.1 TDIに対するTEA濃度の影響 MMA濃度, 4.68モJレ

r

e

のベンゼン溶液に, TDIを 1.29X 10-3モJレ添加して一定とし , TEA/TDIモJレ比 を種々変化させて実施した重合時間と重合率の関係を図 1に示した.反応温度は60'Cで一定とした. これから, TEAの濃度が低い所,すなわち, TEA/ TDIモ Jレ比が0.170~0.55では,反応初期(反応時間2~ 4時間〕で,全く重合せず,誘導期間の存在が認められ た.重合速度が, TDIとTEAのモル比lとかなり影響を 受けることは, TDIとTEAとが何らかの相互作用をし て,重合活性を与えるということを示唆しているだろ う.なお, TEA単独では全く重合しなかった. さて,アルコールとイソシアナートからウレタンを生 成する反応では,乙とで用いたTEAのような第三級ア 103 4) ミンで次のように促進される. ..8 凸 RNCO+R; N 手RN-C=O←-->RN=C-ö~ │ 一一一一 (1) ② ⑤ i R; N~ ~NR; HOR" OR" RN

C司 +R"OH手Rh-C2o-RNH-J-o:

@Nij

Nhi@Nizi

N F3 R

+

R ハ U OIC H N R ↓ 一一一一一(2) したがって,本反応でも, (1)式のように, TDIと TEAの反応によって共有結合を作り,その結果生成す るラジカルアニオンが重合を起させる糸口になるのでは ないかと考えられる. さらに, Dermerらは,ベンゼンスルホン酸アジドの 分解ラジカJレによるアクリロニトリJレの重合を行ってい 20 15 { 渓 ) 時 10 40 制 5

o ;

80・C,

4 時 間 図

2

種々の温度によるMMAの重合 ⑥ ; 60'C,

;

30・C,

(4)

3.2.1と同様にして一定とし,重合温度と重合時閣を変 化させて実施した結果を図2に示した.これから重合温 度が高い程重合しやすいととがわかる.図2の初速度K

L

モJレ/l.sec!を取り, との対数と重合温度との関係を 図 3~C 示した.実験点が少なく,多少のバラツキは見ら れるが, Arrheniusの式から見かけの活性化エネルギー として

5.8kcal/モJレを得た. 夫 千 尾之内 慎 垣 るが,乙のようなN幽ラジカルによる機構も考慮ζl入れる 必要があるかも知れない. 稲

本 同 104

[⑤

S02N:

J

@叫

N

3

一命

τ

+

M M A濃度を

3

.

2

.

2

重合温度の影響 TDI濃度, TEA/TDIモル比を0.84,

内 喝 υ -4 ( O ω ω -N ﹃¥士山庁)﹂也。{

3'.4 3.2 3.0 2.8 2.6 1 /T XIO' 一般にラジカJレ重合を証明する最も簡単な手段として は,ハイドロキノンなどの禁止剤を添加して,その効果 より推測されている. 著者らは, TDI-TEA系に,ノ、イドロキノン,および ラジカJレ補促剤としてのα,αージフェニルーかピクリノレヒド ラジJレ (DPPH) を添加してその影響を検討した. M M A濃度, TEA濃度, TDI濃度は前と同様にして,禁止剤 をTDIK対して10%添加し, 60'Cで行った重合結果を表 2~ζ示した. 重 合 速 度 と 温 度 の 関 係 乙れは,一般ラジカJレ重合で得られる活性化エネルギ {よりはかなり低い値であるが,一応,ラジカJレ重合機 構を推す根拠となるであろう. 図

3

ラジカル重合禁止剤の添加効果 TDI-TEA系によるピニルモノマーの重合は,とれ までにその例は皆無であって,その反応機構は全く不明 であり,また,本研究のこれまでの結果では何ら決断を 下すべきものを得ていない.

3

.

2

.

3

(5)

105 られず,おそらく,ノ¥イドロキノンと

TDI

の反応生成物 と考えられた.結局,重合は禁止されたと考えてよく,

TDI-TEA

系触媒は一応ラジカル的に進行している可 能性が強いと考えられる.

3

.

3

生成ポリマーの性状 有機イソシアナートを一成分とするビ、ニノレ霊合 実験番号 禁 止 剤 反応時間(hr) 童会率(%) ノ、イドロキノン 禁 止 剤 の 効 果 表

2

生成ポリマーは,いずれも白色ないし淡黄色粉末であ り.過酸化ベンゾイノレを開始弗!として得たPMMAに比 べて,溶剤l乙対する溶解性はかなり悪い.図4l乙本研究 で得たPMMAと過酸化ベンゾイルで得たPMMAとの赤 外吸収スベクトノレを示したが,両者l乙差はなく, TDIが 付加している事実は認められない. 0.92 DPPHでは重合は全く禁止されたが,ハイドロキノン では若干重合が進行している.しかし,生成ポリマーの 赤外吸収スペクトルから得た知見ではPMMAとは考え 1.02

2 5 2 5 ノ、イドロキノン DPPH DPPH 78 79 80 81 V J a -ハ ,

r

W

一 一 一

一 一 一

一 一 川

v U 1 A け い い ペ ド リ ハ 川 什 川 川 淵 川 け い い い け 川 川 山 川 1

H

H

J

川 日 比 山 れ 11J11 い い い け H H H d け H H u v ‘ h I t -- h い い け バ V 100 、,.,-. ユa i邑 乙=1" (%) 500 1000 1500 2000 波 数 (cm-') 一一一 般のラジカノレ茸合によるPMMA - ーTDI-TEA系触媒によるPMMA. 25ω 3000 3500

生成ポリマーの赤外吸収スペクトJレ 図

4

(6)

106 岡 本 弘 稲 垣 慎 二 尾 之 内 千 夫 次lとにTDl一 TEA系で得たポリマ一と過酸化ベンソゾゾ、や、 J ルレで得fたこポリマ-の融点を表31にと示した. 本研究で得たポリマー,特

!

C

塊状重合で得たものは驚 くほど融点が高く,とれまでに, ζのように高い融点を 有するPMMAは例がない. 表

3

ポ リ マ ー の 融 点 ポリマーの生成条件 BPO触媒 TDl-TEA溶液重合 TDI-TEA塊状重合 亨sp/C 1

やむl 融 点 ('C) 145~160 290~300 300以上 1.0 生成ポリマーと BPOで得たポリマーの粘度をベンゼ、 ン溶液, 30'Cで測定し,濃度と7)sP/Cとの関係を図5!ζ 示した. 2.0 濃 度 C (g/100mP)

A

⑩ ;塊状重合によるPMMA

.x

;溶液重合によるPMMA

;一般のラジカル重合によるPMMA 図

5

生成ポリマーの〔甲〕測定

(7)

有機イソシアナートを一成分とするピニル重合 107

BPOで得た PMMA~乙比べ,本研究で得た PMMA は

その勾配が大きく,ハギンス定数はかなり大である. 〔心から分子量を求め,表4K示したが,乙れもかな り高値を得た. 表

4

PMMAの 分 子 量 ポリマー生成条件 分 子 量 BPO触媒 7.08X104 TDI-TEA溶液重合 50.2 1/ 1/ 53.9 1/ TDI-TEA塊状重合 91.2 1/ 1/ 105 1/ 以上,ポリマーの性質を調べた結果,融点が極めて高 い乙と,ハギンヌ定数が高値であること,また分子量が 高いことなどから考え併せて, TDI-TEA系触媒では 重合中架橋が行われるのではないかと考えられる.

4

ま と め 以上のように, TDI-TEA触媒系による MMAの重 合反応を検討した結果,これまでに考えられていなかっ た触媒を見い出し,しかも分子量,融点ともに非常に高 いポリマーを得た. 重合は,一応ラジカル機構的に進行すると考えられる が,決定的な証明は得られていない.今後,詳細な検討 を加え,次報で報告する. 最後に浅間教授はじめ,川合克宏君,柴田理君ら高分 子研究室の各位に謝意を表します. 文 献 1) 岡本弘,日化23年会講演予稿集N P2151 (1970) 岡本弘,愛知工大報 5,77(1970) 2) R.A. Godfrey, G. W. Miller,よ PolymerSci.A -1

7

2387 (1969) 3) 竹本,大津,ビ、ニJレ重合実験法 P91 4) J.W. Britain

Ind.Eng. Chem. Prod. Pes.Derelot, 1

261(1962)

5) 0心Dermer,M. T. Edmison, f.Am. Chem. Soc.

84

3220(1962)

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