鳥取・島根県境付近に分布する新生代立武岩類の古地磁気
*田 昭
明**
Shomci OKADA: PalcOmagnctism of CcnOzOic Basaltic Rocks rrona thc Bordcr Arca bctwccn Tottori and Shimanc Prcrccturcs,southwcst Japan
(1981年 5月 15日 受理)
Iま
え が き 山陰地域 には,新
生代の火 山活動 として,新
第二紀 中新世 におけるグ リンタ フ変動 の火 山活 動,お
よび伯者大 山で代表 され る第 四紀火 山***の
形成の ほか に, この どち らに も属 さないア ル カ リ岩質玄武岩類の活動 がある。 この玄武岩類 は,グ
リンパ フ変動 のあ と,グ
リンタ フ積成 分 の位置 とは関係な く,中
国脊 稜 山地を 中心 に各地で活動を開始 した もの とされて いる (吉谷 IЦか, 1976)。 鳥取・ 島根県境付近で は,こ の活動 によるカ ンラン石玄武岩の小岩体群が,そ
れ ぞれ小規模 な溶岩台地をつ くって,点
々 と分布 して いる(第1図
)。 これ らの多 くは,三
郡変 成岩類 や後期 中生代 の酸性火成岩類を,直
接 の基盤 と して噴 出 して いる。活動時期 につ いて は,確
実 な証拠 が ほ とん どな く,研
究者 によ りまちまちで,た
とえば大 田(1962),服
部・ 片 田 (1964)の 5 万分 の1地
質 図幅で は鮮新世初期,猪
木・ 坂本 (1977)は鮮新―更新世,永
尾(1976)は
更新 世以 降 と,そ
れ ぞれ一括 して あつか って いる。 このよ うに時代 につ いて混乱が あるが,従
来古 い と されて いた ものが,
よ り新 しく考え られ るよ うにな って きてお り,
大根 島研究 グル ープ (1975)イ こみ るように, 更新世後期 とい うきわめて若 い活動 もふ くまれて いることがわか って きた。 小論 は,これ らの玄式岩類 につ いて,自
然残留磁化を測定 し,古
地磁気学 的立場か らその活 動 時期を吟味 しようとす るもので ある。なお,本
地域の玄武岩類 につ いての古地磁気学的研究 には,い
ままで に次のふたつがある。Ito(1970)は
,西
南 日本の第二紀 ∼第 四紀火成岩類 によ る古地磁気を総括 的に論 じた 中で,本
地域の若千の岩体を とりあげ,測
定デ ータを表示 して い る。 また,鷹
村(1973)は
,中
国地方の新生代玄武岩類の岩石学的研究の中で,古
地磁気測定 も実施 し,Ito(1970)の
デ ータとあわせて古地磁気編年をおこな った。ただ し,鷹
村 の測定 し た試料の うち,本
地域か ら得 られた もの は,一
試料 に限 られて いる。 本研 究 は,昭
和54年 度文 部省特定研究「鳥取県西部の地域特性に関す る基礎的研究 」の一部 を分担 した もので,代
表者の本学部熊埜御堂洋教授を は じめ,関
係者各位 に感謝す る。本学部 地学教室赤木二郎教授 には,ア
ル カ リ玄武岩類 の地史的意義 につ いて御教示 いただ き,現
地調 *日本地質学会第87年学術大会(1980年 )│こて一部を講演**地
学教室 ***カ ルクアルカリ岩系 岡H召 」
apan Sea
shimane pref.ヾ
ヽ■′
、
´
〕伴
tOri pref.II:'1.2 fiI。
_″れ
`
/↑′
10 20m
第 1図 鳥取・ 島根県境付近 における新生代玄武岩類の分布 (ハッチの地域は, 大山火 山噴出物の 分布域を しめす。). l i lla敷山岩体,2:尾
郷岩体,3:阿
昆縁岩体,4:峠
ノ内岩体,5:大
根島岩体,6:淀
江岩体, 査 の一 部 に 同行 して いた だ いた 。教 養 部 地 学 教 室 官 腰 潤 一 郎 教 授 に は,ス
ピナー磁 力 計 の使用 を は じめ,室
内実 験 の うえ で,常
日頃種 々の 便宜 を はか って いた だ いて い る。 また,島
根 大 学 理 学 部 大 西 郁 夫,飯
泉 滋 両 博 士 に は,文
献 につ いて お世 話 いた だ いた 。以 上 の 方 々 に,厚
くお 礼 申 しあげ る。H地
質 概 略 第1図
に しめ した玄武岩類の うち,と
くに南部 に点在す る小岩体群 は,い
ずれ も風化 が著 し く,か
つ露 出部で は滑落な どによる二次的変位を して いることが多い。このよ うな露頭条件の た め,古
地磁気測定にむ く試 料が得 られたの は,3岩
体に限 られた (第1図
の2, 3,4)。
こ れ に対 して,北
半部 に分布 す る もの は,比
較 的大 きな岩体で あ り,新
鮮な試 料 が得 られ る。 こ れ らあわせて6岩
体を,本
研究の対象 と した。個 々の岩体 につ いて,従
来固有 な名 称 が あたえ られて いな い ものが あるた め,便
宜上周辺の地名を岩体名 として,次
のよ うに使用す ることに す る。 第1図
の1:越
敷 山岩体(K),2:尾
郷岩体(G),3:阿
毘縁岩体(A),4:峠
ノ内岩体(T)5:大
根 島岩体(D),6:淀
江岩体 (Y)。 また,岩
石名 は,前
述の地質 図幅および村 山(1973) に したが った。第1表
に試料採取地の位置 と,試
料数を しめす。以下,試
料採取 地を 中心 に, 地質 の概 略をのべ る。 越 敷 山岩体 は,米
子市南束 に位置 し,三
位・ 赤木 (1967)に よ り鶴 田玄武岩 とよばれた もの―
iノノ
+
/ , ︲ ′ ︲ v第 1表 試料採取地点 と試料数
*ブ
ロック試料の個数,( )内
は コア試料の佃数 Lat.(N) 133°17′54″ 133°17′48″ 35° 11′11″ 35°11′25″ 35°ll′28″ 35° 11′45″ 133°12′ 17〃 133°12′24″ 133°12′23″ 133°12′35″ Tawanouchi ヽ年,of Kanlinoshiro No of Akaya 133°27′ 14″ 鳥取・島根県境付近に分布す る新生代立武岩類の古地磁気Sitc Nane Samplcs*
I(oshikiyama trachybasalt Og6 o■vinc basalt Abirc ohvinc basait
Tawanouchi olivinc basalt
Daiko対 ima。l inc basa■
Yodoc aphy虚撤 説
cl
Kl lS,of KoshiktyamaK2 1 E.oF Tsuruta
E.or Og6 S.E.or Kamiabirc E.of Hanyu N.ofIIanyu ra.vatari N.or lnayOShi lnayoshi A A A A T T T 35° 21′43〃 35° 20′27″ 35° 29′ 17″ 35° 29′ 15″ 1 35°29′58″4(9)
3(12) 4(16) 4(1■) 4(11)4(9)
2(5)
D D D 4(15) 3(10)1(4)
Y Y4(4)
4(4)
で ある。太 田(1962)は
,岩
質 の相異か ら,越
敷 山を構成 す る北半都 (普通輝石 カンラン石粗 面玄武岩)と ,鶴
田を 中心 に分布す る南半部 (カ ンラン石粗面玄武岩)と
にわ け,前
者 が さき に噴 出 した もの と推定 した。本玄武岩溶岩 は,黒
雲母花 満岩を基盤 とし,下
部 と上部 に降下 ス コ リア堆積物を伴な って いる。最上部 は,大
山中都火 山灰層*に
おおわれ る。試料採取地点の うち,Klは
大 田(1962)の
北半部,K2は
南半部 にあた る。 本岩体 につ いて は,す
で にIto(1970)に
よ り古地磁気測定がおこなわれ,逆
帯磁 で あるこ とが知 られて いる。 尾郷岩体および阿毘縁岩体 は、それ ぞれ鳥取県 日野郡 日南 町の尾郷東方,お
よび阿昆縁南方 に,明
らかな メサ地形を呈 して分布す る もので,赤
木 ほか(1981)が
日野玄武岩 と一括 した も の に属す る。尾郷岩体を構成す る溶岩類 は,生
山・ 板井谷か ら北方印賀へぬける道路の峠付近 で露 出 して いる。峠北方で は,マ
サ状 に風化 した花脱岩の上位 に,旧
河床礫層 と考え られ る厚 さ約lmの
花闘岩 円礫 か らな る未 固結礫 層を はさみ,
ス コ リアま じりの火 山礫貌灰岩がの る。 火 山礫 凝灰岩 は,厚
さ約100mに
達 し,最
上部 はカ ンラン石玄武岩の溶岩流にな る (地 点G2)。 一方,峠
南方で は三郡変成岩 の暴色片岩を おお って,火
山礫 凝灰岩が厚 く発達 し,最
上 部 に同 じ溶岩流が くる (地 点Gl)。 火 山礫凝灰岩 は,本
質礫 およ びス コ リアか らな り,分
級 がよ く, 明瞭に成層 して いる。細粒の基質を欠 き,粗
しょうで,明
らか に降下火砕堆積物 の特徴を呈す る。溶岩流 は厚 さ約8mで
あるが,
上半部 は風化 が著 しい。 下半部 は,下
か ら塊状部,板
状 節理 のやや発達 した部分**,発
泡の著 しい部分 と漸移す る。溶岩流 と火 山礫凝灰岩 とは整合で, ともに30度 ほ ど傾斜 して お り,上
記の産状 と考えあわせれば,こ
の岩体の主体 は砕居丘 で,そ
の表面を うす く溶岩が流れた もの と考え られ る。 阿毘縁岩体の溶岩類 は,下
阿毘縁か ら南西方向に建設 中の,林
道沿 いでみ ることがで きる。 本岩体 の基盤 は花磁岩,岩
体下部 は成層 した厚 さ40mほ
どの火 山礫凝灰岩で,上
部が カ ンラ*町
田・新井(1979)の大山松江軽石(DMP)に
相当す ると思われ る。**古
地磁気測定用試料は,この層準か ら採取 した。明 ン石玄武岩の溶岩流で ある。露頭 は
,溶
岩台地上 に分布 して お り (地 点Al∼
A4),
したが っ て露 出する溶岩 は表層の風化部で あることが多い。前述の鷹村 (1973)の古 地磁気測定試料 は, 本岩体か ら得 られ た もので ある。 この測定結果 (逆帯磁)か
ら,鷹
村(1973)は
大根 島をのぞ く本地域の玄武岩小岩体群を,横
田玄武岩類 と一括 した ものにふ くめ,こ
れを松 山逆磁極期 に 対比 した。 峠 ノ内岩体 は,島
根県能義郡伯太 町峠ノ内付近の,伯
太川両岸 に分布す る。伯太川 に面 した 左岸 には,大
規模 な採石場があ り (地 点Tl),こ
こで は火 山礫凝灰岩を はさんで,2枚
の カ ン ラン石玄武岩溶岩 が,基
盤 の花筒岩をおお って いる。試料を採取 した下位の溶岩 は, 50m以
上の厚 さを もち,柱
状節理 の発達 が著 しい。花筒岩 との境界 は急斜す るのに対 して,上
面 は水 平で,基
盤を けず りこんだ谷を埋 めて流れた状態を,明
瞭 に しめ して いる。火 山礫凝灰岩 と上 位溶岩の層厚 は,そ
れ ぞれ約20mで
ある。 伯太川右岸 には,高
低2段
の平坦面を もつ溶岩台 地が分布 し,低
位面 に は下位溶岩が (地点T2),
高位面 に は上位溶岩 が露 出す る。岩体南部 の赤屋付近で は,花
前岩角礫 の異質礫 に富む火 山礫凝灰岩 および上位溶岩が,下
位溶岩を欠 い て直接マサ化 した花前岩 にの って いる (地点T3)。 大根 島岩体 は,鳥
取・ 島根県境の中海 に浮かが大根 島,お
よび江 島をつ くるカ ンラン石玄武 岩溶岩か らな る。大根 島で は,溶
岩流 出のあ とス コ リア丘 が形成 され,こ
れ らを おお って大山 中部火 山灰,三
瓶火 山 “木次軽石",大
山上部火 山灰 の分布 がみ られ る (大根 島研究 グル ープ, 1975)。 本岩体 の時代 は,鮮
新世 と考え られた こともあ ったが (西山C二
浦,1963),
大根 島 研究 グル ープ(1975)は
,溶
岩 およびス コ リア と上記火 山灰層 との関係,溶
岩表面 が未風化で あること,さ
らに中海湖底 に分布す る リス・ ウル ム間氷期の弓ケ浜層 との推定 され る関係な ど か ら,更
新世 後期 と結論 した。また,鷹
村(1973)は
,Ito(1970)の
古地磁気測定結果か ら, 本岩体 の活動 時期 をブ リュンス正磁極期 に姑比 して いる。今 回 もちいた試料 は,大
根 島南部の 波入付近(Dl,D2),お
よび北東部馬渡の湖岸(D3)か
ら採取 した もので,い
ず れ も発泡が著 し く,新
鮮で ある。 淀江岩体 とした もの は,鳥
取 県西伯郡淀江町周辺 に分布す る無斑晶質安 山岩溶岩で,大
山火 山の寄生火 山で ある,孝
霊 山の基盤を構成す る。孝霊 山の東麓 に低平な丘陵をつ くり,沖
積地 に孤立 して壷瓶 山をつ くって いる。また,大
山火 山噴 出物の分布域 に も,露
出がみ られ る。試 料採取地点 は,孝
霊 山東麓稲吉の採石場(Y2),お
よびその北西方(Yl)で
ある。大 田 (1962) は,本
岩体 の時代を鮮新世 と考え,鳥
取県地質 図 (1966)も 鮮新世火 山岩類 と して あつか って いる。応地 。応地(1966)は
,岩
質 が まった く同一で あるとして,本
岩体 を 中海西方の和久羅 山安 山岩,お
よ び鳥取県中部三朝層群 中の鉢伏 山安 山岩 に対比 し,ア
ル カ リ玄弐岩 (大根 島を の ぞ く)の
活動 よ りもあととした。和久羅 山安 山岩 につ いて は,HiЮ
oka and Kawai(1967)
によ り, 逆帯磁,6.34±0.19m.y。 とい う古地磁気 およびK―Ar年
代測定結果があたえ られて いる。IH
試料採頭 と吉地磁気測定の方法 第1表
に しめ した よ うに,各
岩体 につ き2∼4地
点の試料採取地 (露頭)を
え らび,各
地 点 か ら1∼5個
の定方位ブ ロック試料を 採取 した。1地
点か ら複数 のブ ロ ック試料を採取す る際 には,可
能なか ぎ り相互の間隔を大 き くとり,露
頭全体 か らとるよ うに努 めた。鳥取・ 島根県境付近に分布す る新生代立武岩類の古地磁気 ブ ロ ック試料 は
,室
内に もちか え った あ と,コ
ア ドリル によ り直径25 mm,高
さ25 mmの
円柱型 甲アに整形 した。1個
の ブ ロック試料か ら,1∼
5 4Elの コアを切 りだ し, 総計144個 の コ ア試料を古地磁気測定 に供 した。 自然残留磁化(NRM)の
測定 には,ス ピナー能力計を使用 し,12ス
ピン法 によ り磁化方位 お よび磁化強度を もとめた。NRM測
定の あ と,各
ブ ロ ック試料か ら任意 にえ らんだ代表 コア試 料 につ いて,
あるい は必要 な場 合 は全 コア試 料 につ いて,
段 階交流消磁 による,
最高4000e
までの磁気 ク リーエ ングを お こな った。 交流 消磁 は,地
球磁場 中で試 料を3軸
回転 し,60 Hz
の交流磁場を最高磁場か ら零 まで,液
体 抵抗器*に
よ り減衰 させ る方法を とった。 以下,混
乱を さけるた め,試
料 採取 地点番号 (たとえばKl,K2…
)に
数字 を付 した ものを ブ ロ ック試料番号(K卜 1,K12・
・),
これ にアル ファベ ッ トを付 した ものを個 々の コア試料番 号 (K卜 la,Kl-lb…)と
して もちいることにす る。IV
吉地磁 気測定結果 残留磁化方位の測定結果 は,現
在 の酵北(GMN)を
基準 として,等
面積投影法 によ り図示 し た (第2図
∼第3図
)。 図中, 黒丸 は下半球投影,白
丸 は上半球投影を しめす 。 また,交
流消 磁結果 につ いて は,磁
化強度 の変 化を あわせて 図示 した。以下,各
岩体 ごとに測 定結果 をのベ る。 越敷 山岩体 (第2図
) 本岩体か ら採取 した試料 のNRMは
,
すべて逆帯磁で あ り,
磁花方位 はよ くま とまる (第2図
-1)と 交流消磁 に対 して は,
きわ めて安定で,磁
イヒ方位 はほとん ど変化 しない。 また,磁
化強度 も,4CX1 0eま での消磁で,NRM強
度(JN)の半分 以下 にへ る ことはな く,充
分 な抗磁 力を有 して いる。交流消磁結果 の1例
を,第
2図
セ に しめす。 C.M.N 第 2図 越敷山岩体試料の 自然残留磁化方位(1)と交流消磁の例(の.え
JH′JN 10 00 00 Ю積
*電
解液中の 2本 の電極の間隔を次第に拡げ,無
限大まで抵抗を増す装置。明 尾郷 岩体 (第
3図
) 本岩体 の2地
点か ら採取 した試料の うち,第
3図
-1にみ るように,地
点Glか
らの試料 (Gl 試料 と略す)の
NRM方
位 は,よ くまとまって いるのに対 して,G2試
料 のそれ は,
集 中域を 異 に し,か
つ ややば らう きが大 きい。Gl試
料 は,
交流消磁 に対 して きわ めて安定で ある。 い っは う,G2試
料 の場 合 は,第
3図
― 第 3図 尾郷岩体試料の 自然留磁化方位 と交流消磁結果. 1:自然残留磁化方位,2:交
流消磁の例,3:磁
気 ク リーエング後の残留磁化方位. JN o 0,M.N. 0 100 ■ ■2
第 4図 阿毘縁岩体試料の 自然残留磁化方位(1)と磁気 ク リーエング後の残留磁化方位(2),鳥取・ 島根県境付近に分布す る新生代立武岩類 の古地磁気
第お図 阿毘縁岩体試料の交流消磁例
`
1:Al試
料,21A2試
料,3:A3試
札4:A4試
料。77
1 2::杵
FM昭
2に
例示す るよ うに,磁
化 強度の減少 はわず かで あるが,磁
化 方位 は,500e消
磁でGl試
料 のNRM方
位収れん域 に近 づ き,以
下4000eま
で変化 がみ られ な くな る。 これ は,2次
的 に 付加 されて いた不安定磁化成分 が,500e消
磁 によ り除去 され,磁
気 ク リーニ ングが有効 にお こなわれた ことを意味 して いる。G2試
料全部につ いて,500e消
磁を した結果が第3図 -3で
, 磁化方位の まとま りが,第 3図
-1の場合 よ りもよ くな って いるのが明 らかで ある。 阿毘縁岩体 (第4図 ,第
5図
) 本岩体 の4地
点で採取 した試料のNRM方
位を,第
4図
-1に
しめす。この図で,点線 でか こ んだ もの は,
同一 ブ ロ ック試料か ら切 りだ した コア試料 の磁化方位で ある。Al試
料のNRM
方位 はよ くま とまるが,他
の3地
点か らの試料のNRM方
位 は,
ブ ロ ック試料 ごとに大 き く ば らつ いて いる。さ らに,同
一 ブ ロ ック試料か ら切 りだ した コア試料間において も,NRM方
位の著 しく異な る ものがある(A2-3な
ど)。 この よ うなNRMの
ば らつ きか ら,これ らの試料 には,粘
性残留磁化な どによる2次
的磁化 の存在が予想 され る。そ こで全試料 につ いて,交
流 消磁を お こな った。第4図
セ は,4000eま
での段階交流消磁の過程で,
磁 化方位が もっとも よ く収れんす る場合を しめ して ある。磁気 ク リーエ ングの効果が明瞭にあ らわれているが,こ
の場合,消
磁 のpeak teldは個 々の コア試料 によ って異な って いるため,以
下採集地点 ごとに 消磁結果をみて い くことにす る。NRM方
位 の ま とま りのよいAl試
料 は,第 5図
-1に しめすよ うに,交
流消磁 に対 して も安 定で,磁
化方位の変化 はほとん どない。地点
A2か
ら採取 した5個
のブ ロ ック試料の うち,A21,A2-4,A25の
磁化方位 は,500e
消磁 で南,上
向 きに収れん し,以
下4000eま
で変化がな く安定す る。 これ らの例 として,第
5図
-2にA外
lbコ
ァ試料 の消磁結果を しめす。つ ぎに,A2-3か
ら切 りだ した2個
の コア試料 (A2-3a,め は,前
述 のよ うにNRM方
位が著 しく異なる もので あるが,
消磁 において も両者 の間に異な った結果が得 られた。 すなわ ち,A2-3bは
前記3個
の ブ ロ ック試料(A2-1,4,5) の場合 とまった く同様な 消磁結果で あるのに対 して,A2-3aは
磁化方位が安定せず,磁
化 強 度の減少 も著 しい(第5図
ツ)。 このよ うなNRM方
位 あるい は消磁結果の相異 は,ひとつ の ブ ロ ック中で も,風
化 の程度が局部的に著 しく異な って いることによる もので あろう。 もうひ と つ のブ ロ ック試料A2-2は ,A2-3aと
同 じよ うに,消
磁 に対 して きわめて不安定で あった (第5図
-2)。 一般 に,こ
の よ うな磁気 的に不安定な試料 は,
古 地磁気学 的研究の対象か らは除外 され るべ き もので ある。 しか し,第
5図
セ に しめ したよ うに, A2-3aで
は 100∼2000eで
,A2-2bで
は2000eで
消磁 した 際の磁化方位が,他
のA2試
料 の磁気 ク リーニ ング後の収れん 磁化方位 と,ほ
瞭一致す るとい う結果が得 られた。A3試
料 に は,消
磁 に対 して不安定な ものが多い。 しか し,こ
の場合 も第5図
-3の例 のよ う に,A3-la,A3-2a,A3-3aで
は,そ
れ ぞれ 50∼3000e,4000e,1000e消
磁 時の磁化方位 が密 接 に集 中 して いる。図示を省略 した,他
のA3試
料 の結果を加えて も,こ
の集 中域 は変わ らな い。A4試
料 の うち,A牛
3の
NRM方
位 は,す
で にのべ たAl試
料 のNRM方
位 と一致 して お り,か
つAl試
料 と同様 に,消
磁 に対 して もきわ めて安定で ある (第5図
望)。 他のA4試
料の
A牛 1お
よびA4-2は ,消
磁 に対 して やや不安定で あるが,そ
の磁化方位 は 100∼3000eの
消磁 で
,A■
3の
NRM方
位 とほとα同 じ方向に収れんす る。鳥取・ 島根県境付近に分布す る新生代立武岩類の古地FiZ気 試料 に もっとも適 当な peak lleldを え らんで交流消磁をす ることによ り
,採
取 地点 ごとに きわ めてよ く収れんす る磁化方位を もとめることがで きる。 第4図
-2は
,
こうして もとめた磁化 方位を,ま
とめた もので,こ
れ が本岩体 の初生的磁化方向を しめ して いると考え られ る。 峠 ノ内岩体 (第6図
,第
7図
) 本岩体 か ら採取 した試料 のNRM方
位 は,著
しくば らつ く (第6図
-1)。 これ らにつ いて, 阿毘縁岩体 の場 合 と同様 に磁 気 ク リーニ ングを お こな った結果 が,第
6図 -2で
ある。第7図
に は,
段階交流消磁 の過程を,
各地点 ごとに例示 す るが,
全試 料 中で もっとも安定なNRMを
もつ もの は,T卜
1お
よびT14(図
示省 略)で
あることがわか る。磁気 ク リーニ ングの結果, 大 き くば らつ いて いたNRM方
位 の多 くが,こ
のTl l,4の
安 定なNRM方
位 に向 けて移動 し,収
れん して きて いる。た だ し,T2-3お
よびT2-4の
磁化方位 の移動方 向は,
この方向 と 逆行 して お り,ま
たT3試
料 につ いて は,移
動 方向は調和 的で あるが,上
記 の収れん方位 まで は達 しない。 この原 因 は,露
頭条件 の悪 さか らきて いるもの と思われ,こ
れ らの試料 が滑落 な どによ り二次的に動 いた もので あ ったため と考え られ る。 したが って,こ
れ らを除外 した他の 試 料の磁気 ク リーニング結果が,本
岩体 の初生 的磁化方 向を しめ して い る と考 えて よいで あろ う。 大根 島岩体 (第8図
) 29個 の コア試料 のNRM方
位 は,すべて よ く収れん し,正
帯磁 を しめす 。(第8図
-1)。 交流 消磁 に対 して も,き
わ めて 安定で ある (第8図
-2)。 淀江岩体 (第9図
)NRM方
位 はよ くま とま り,や
や東偏す るが,正
帯磁で ある (第9図
-1)。 交流 消磁 結果で は,磁
化強度の減少 が大 きいが,磁
化方位の変化 はほとん どみ とめ られない (第9図
-2)。以上の測 定結果か ら
,各
岩体 につ いて,試料採取地点 ごとの平均磁 化方位(Site Mean Direc‐tion)を算 出 し
,
これか らさ らに岩体 ごとの平均睦化方位を もとめた。 また,後
者 の値 か ら,対応す る地磁気 北極
(VGP)の
位 置を算 出 した。これ らの値を第2表
に しめす。表 中,偏角 (D) は,地
理的北を基準 とす る値 に補正 して ある。VGPの
位置 は第10図 に図示す る。0.M.N. 6.M.N.
明
30
鳥取 i島 根県境付近に分布する新生代立武岩類の古地磁女ヽ 0 100 200 300 400∝ 第3田 大根 島岩体試料の 自然 残留磁化 方位(1)と 交流消磁の例(分. 4●0い
と
」
lltFf!:社 200 0 100 200 300 第 9図 滝江岩体試料の自然残留磁化方位(1)と交流消確の例(り.切 Long, Koshikiyama Abirc Daikolliima -58.7 -67.1 -63.2 155.7 --57.2 185.6 -59,4 175.3 -45.5 158.1 --49,2 168.4 -5314 K K Mc 3 3 4 8 4 1 7 48 53 50 Gl
C2
正can 4.7 7.1 25,4 2.0 5,4 7.8 7.0 12.0 2.6 1.7 2.2 5.5 3.1 3.8 12,7 49°E
102°h/1′ 6 4 5 4 2 AI A2A3
A4
lvttcan 1414 106 51 55 59 1294 306 129 321 D D D Mc 5 0 4 3 Tl T2 ヽ4can Yl Y2 NIlcan 0.3 5,3 359,2 1,7 53.4 48.0 51,3 16,7 20.1 18.3 74°nヾ 123°ヽγN:測
定試料数,D:偏
角,I:伏
角, Lat.:緯度,Long.:経度K:精
密度パ ラメー赤―, α95:95%信 頼角, 」■:磁化強度 第10図 各岩体の残留磁化方位か ら得 られたVGPの
位置(黒丸は古地磁気北極, 白丸は古地磁 気南極),K:越
敷山岩体,A:阿
毘縁岩体,T:峠
ノ内岩体,D:大
根島岩体,Y:淀
江岩体 第2表 古地磁気測定結果 SitcD I
αos l× 10 6cmuイ g 111 183,7 -45,2 5 1 185.2 ‐-51.9 31 14.0 2 1 184,4 --48.6鳥取・ 島根県境付近に分布す る新生代立武岩類の古地磁気
V
考察および結論 第2表
および第10図 か ら明 らかなよ うに,各
岩体 につ いて得 られたVGPの
位置 は,い
ず れ も高緯度にあ り,い
わゆ る中間帯磁を しめす ものはない。すなわ ち,広
岡ほか (1972)の定義 に したがい,VGPの
位 置が70度
以上の高緯 度 に くる ものを,典
型 的な正,逆
帯磁 とすれば, 大根 島,淀
江 の両岩体 は典型 的な正帯磁(N),越
敷 山,阿
毘縁,峠
ノ内の各岩体 は典型 的な逆 帯磁(R)で
あ り,尾
郷岩体 は東偏 した逆帯磁(RE)と
い うことにな る。 ただ し,
この場合のREは ,Rの
範 囲をわず か にはずれ ただ けで あ り,両
者 の間に有意 な差 はな い もの と考え る。 大根 島岩体 につ いて は,す
で にのべたよ うに,大
根 島研究 グル ープ(1975)に
よ り,更
新世 後期 とい う活動年代が結論 されて いる。今 回の古地磁気測定結果 は,こ
の結論 と矛盾せず,こ
れを支持す るもので ある。測定に供 した試料 は,発
泡顕著な溶岩流表層部か ら採取 した もので あ りなが ら,そ
のNRMは
きわ めて安定で,
岩石磁気 的に も風化の影響 はまった くみ とめ ら れな い。この点 は,大
根 島研究 グル ープが,本
岩体を若 くみ る根拠の ひとつ とした,風
化度 に つ いての同グル ープの見解 と一致す る。 つ ぎに,逆
帯 磁を しめす玄武岩類 は,い
ず れ も小規模な溶岩台地を形成 して お り,解
析の あ ま りすすんでいない平坦面をの こ して いる。 また,溶
岩流 出の前 後 に噴 出 した火 山礫 凝灰岩 は, 末 国結,粗
しょうな降下火砕堆積物で,岩
体 の主体が砕婿丘で ある場合 もある。さ らに一部で は,基
盤 との間に,未
固結の旧河床礫層がみ られ る。 これ らの産状 や,一
様 に逆帯磁 で ある こ とか ら判断 して,こ
の玄武岩類の活動時期 は,そ
れ ぞれ大 き く異な ることはな く,か
つ そ う古 くまで さかの隙 ることはな い と考え られ る。 したが って,鷹
村(1973)が
すで にのべて いるよ うに,これ らの逆帯磁 は松 山逆磁極期 に姑比 されると考えるのが,も
っと も矛盾がない。 正帯磁の淀江岩体 は,大
山火 山の基盤 を構成 してお り,明
らか に大 山の活動 以前の もので あ る。大 山火 山噴 出物 中には,松山逆磁極期 の活動 による ものがみいだ されて お り(岡田,1978), 淀江岩体の正帯磁 は,そ
れ以前のいずれかの正磁極期(あるいは正磁極事件)1こ相 当す る と考 え て,ま
ず まちが いな い。応 地・ 応 地(1966)は
,前
述の よ うに,本
岩体を和久羅 山安 山岩,お
よび鉢伏山安 山岩 に対比 して いる。しか しなが ら,和
久羅 山安 山岩 は逆帯磁で あ り (Hiirookaand Kawai,1967),い
っ聡 う鉢伏 山安 山岩 も逆帯磁であることが報告 されて いる (宮腰 ほか, 1966;Ito,1970)。 ところで,鉢
伏 山安 山岩 の下位 には,亀
尻玄武岩 とよばれ る溶岩流が あ り,その下部 は逆帯磁 (宮腰 ほか
, 1966,Ito,1970)上
部 は正帯磁(Hirooka and Kawai,1967,
Ito,1970)で,上
部 のK―Ar年
代 は5.84±0.51m.y.で
ある とされて い る (HirOoka and Kawai,1967)。 この年代 は
,和
久羅 山安 山岩のK―Ar年
代6.34±0,19m.y.(HirOOka and Kawai,1967) に近 い もので あるが,古
地磁気逆転層序 (Watkins,1976)に あて はめ る と,前
者 はEpoch 5∼6,後
者 はほ陰Epoch 6に
相 当 して いる。 ここで,亀
尻玄武岩上部 の正帯磁 を,正
磁極卓越期 で あるEpoch 5に
対比すれば,鉢
伏 山安 山岩 の逆帯磁 は,
ギル バ ー ト逆磁極期 に姑比 され る 可能性が強 くなる。 したが って,淀
江岩体の正帯磁 は,和
久羅 山,鉢
伏 山両安 山岩の活動 時期 とそ う大 き く違わない正磁極期,
すなわ ちEpoch 5に
対比す るのが もっと も妥当で あると考 え る。 以上,の
べて きた ことを まとめると次のよ うになる。大根 島岩体の正帯磁 はブ リュンス正磁 極期 に,越
敷 山,尾
郷,阿
毘縁,峠
ノ内の各岩体の逆帯磁 は松 山逆磁極期 に,淀
江岩体 の正帯 磁 は 恥och 5に
封比 され る。 すなわ ち,
これ らの時代 は,
それ ぞれ更新世後期,
鮮新世末84 岡 田 昭 明 期 ∼ 更 新 世 初 期
,そ
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distributcd forniing thc lava platcaus oF slnall sizc on thc Latcヽ 江csozoiC granitic rOcks.
Fifty‐fOur ottentcd block sanlpls fltOm 16 sitcs wcrc collcctcd fl・ 。m61ava nows induding onc trachy
basalt,fOur Ottvinc basa■ s and onc aphyric andcsitc. Thc rcsults of lヽRM mctturcmcnts and magnctic
clcaning by stcpwisc AF dcmagnctizatiOn on 144 sPccirncns drllcd fl・ om block samplcs shO、v that Onc oト ivinc basalt and thc aphyric andcsite arc normany lnagncitzcd and othcr basalts arc rcvciscly inagncitzcd. Tllc nOrnial and rcvcscd magnctization of basalt lava nOws arc corrcspoュ d tO thc Brunhcs nornaal and tllc Attatuyama rcveぉ ed cpOchs rcspcctivcly. Thc aphyric andcsitc have becn corrclatcd pctrologically with anothcr revc、 cly magnctizcd andcsitc,dcvdoping in wcstcrn outsidc of the invstigatcd arca,Tvhich havc bccn datcd as 6.341n.y.by I( Ar rncthod. Fronl this corrclation, thc aphyric andcsitc oF nOrmal inagnctizatiOn!nay bc considcrcd tO bc a lava a。 、v cruptcd within thc tine ofthc EPoch 5.