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定義 シェアリングエコノミーとは 主にオンラインプラットフォームを通じて 部分的または一時的に余剰なモノやサービスを共有する経済システムのこと 所有 から 利用 へ Uber( ライドシェア ) Airbnb( 空き部屋の一時的な貸出 民泊 ) 2

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Academic year: 2021

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シェアリングエコノミーの定量分析

~ライドシェアと民泊の事例を用いて~

財務省財務総合政策研究所 研究官 山名一史・総括主任研究官 楡井誠

(2)

定義

シェアリングエコノミーとは、主にオンラインプラット フォームを通じて、部分的または一時的に余剰なモノやサー ビスを共有する経済システムのこと  「所有」から「利用」へ  Uber(ライドシェア)  Airbnb(空き部屋の一時的な貸出、民泊)

(3)

全世界の市場規模

 2025年には3350億ドルに

 総務省「情報通信白書平成28年版」

 PwC「The sharing economy - sizing the revenue

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Airbnb

 民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーを利用 した訪日客の数が2016年1~10月の累計で300万人 を超えたことが明らかになった。10月末で訪日外国 人観光客の数は2000万人を突破しており、1割前後 が同社のサービスを使ったとみられる。民泊を巡る 法整備が難航する中、訪日客の利用が先行している ことが浮き彫りになった。 2016/11/16 日本経済新聞

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本研究の目的と課題

目的

 シェアリングエコノミーの影響をどう計測するか

2つの課題

1. どのようなデータや指標で観察すればよいか 2. どのような(統計)手法を用いて因果効果を推定 すればよいか

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1.データ・指標

 どのようなデータや指標を用いれば、シェアリングエコ ノミーの影響を観察できるか  具体的な影響  Uberが普及  Uberへの仲介手数料(GDPでカウントされる)  Uberのドライバーの所得(GDPでカウントされるはず)  利用者厚生の上昇(GDPではカウントされない)  自家用車保有率の低下⇒販売量の減少=消費低下⇒GDP低下の可能性  GDPで測ると、経済に及ぼす影響はネットでマイナスになる可能性  類似の事例:フリーミアム  オンライン無料百科辞典(Wikipedia)の普及  ブリタニカが売れなくなる&GDPにカウントされない⇒GDPにマイ ナス  先行研究では広告費用やブラウジング時間、ブロードバンド接続料や通 信トラフィック量による計測が試みられている。

(7)

1.データ・指標

 原理的には消費者余剰で計測するのが最良  しかし消費者余剰は観察不可能  GDP:経済厚生を測ることができない。  デジタル経済の測定(OECD)  「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する 研究会」 本研究では、  シェアリング関連企業の株価を使って、シェアリン グエコノミーが企業の期待キャッシュフローに与え る影響を推定する。

(8)

2.因果効果

 経済学の実証分析では、仮説を検証する際、相関関 係だけでなく、因果効果の推定が求められる。  逆因果・内生性の問題 一般的な分析手法(skipped) 1. 構造推定 2. 誘導形推定 1. RCT(ランダム化比較試験)

 Observed difference=Treatment effect

2. 自然実験・疑似実験・DID(差の差推定)

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差の差推定(skipped)

 標準的な応用計量の手法  集団を、外生的な変化を受ける処置群(Treated)と変化 を受けない統制群(Control)に分ける。  処置群と統制群の差が因果的な処置効果(Treatment effect) 0 Time 1 Control Treated Treatment effect

(10)

差の差推定の拡張

1. 差の差推定は一般に静的な線形回帰モデルを仮定 しており、系列相関のあるデータに用いると狭い信 頼区間を推定することになる。 2. 差の差推定は2時点間での因果効果の有無しか測 ることが出来ない。  変化の効果がどのように発現しまた変化していくのか、が重要 な問いであることが多い。  いつ変化の効果が発現し終わったのか、について強い仮定を置 いて分析することになる。  変化の効果が継続中、またはその可能性がある場合、分析結果 の解釈が困難。 ⇒現在進行的な現象であるシェアリングエコノミーの影響 を測るため、新しい推定手法を用いる。

(11)

今回用いる統計手法

(Brodersen et al. (2015)) (skipped) 拡張型差の差推定 1. データを変化前と変化後に分割する。 2. 変化前のデータを使って、時系列モデルを推定  状態空間モデルを使用する。  同時点の説明変数、潜在的な状態変数を用いた柔軟なモデル化が 可能  機械学習の文献ではベイズ構造時系列(BSTS)モデルと呼ばれる。 3. 推定した時系列モデルを使って、反実仮想の変化後 データを推定する  もしも変化がなかったら、どのようなデータだったのか 4. 推定した系列と現実のデータの差を求めることで、因 果的な処置効果を計測する。  現実のデータは処置群、予測した系列は統制群と考えられる。

(12)

拡張型差の差推定(skipped)

(13)

応用:拡張型差の差推定

1. シェアリングエコノミーを『変化』と考える。 2. 株価の時系列を変化の前後に分割する。  Uber登場以前・以後など 3. 変化前の株価の時系列を使って、時系列モデルを推定  状態空間モデルを使用する。  同時点の説明変数、潜在的な状態変数を用いた柔軟なモデル化 が可能 4. 時系列モデルを使って、変化後の株価の時系列を推定  変化がなかった時の反実仮想データを求める。 5. 現実の時系列と推定した時系列の差を求めること で、因果的な処置効果を計測する。

(14)

イベント

どのようなイベントを「変化点」とみなすか  UberやAirbnbといったユニコーン企業は上場してお らず、B/Sデータも利用できないため、見極めが困難  本研究では、VCからの投資ラウンド情報を利用  評価額がある一定以上になった時の投資ラウンドの 日付を『変化』とみなして、分析を行う。  UberはシリーズB投資ラウンドで$3.5Bと評価  AirbnbはシリーズD投資ラウンドで$10Bと評価

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(16)

仮説1

 Uberが普及することによって、タクシーメダリオン (営業権)の価値が下がる。

1. メダリオン関連の融資業務を行っているメダリオンフィ

ナンシャルの株価を代理変数として使用

 メダリオン・ファイナンシャル(Medallion Financial Corp.)

は特殊金融会社。タクシーの営業免許証、関連資産の購入及 びローンを提供している。  その他の事業も行っているので、完全な代理変数にはならな い。 2. シカゴのメダリオン価格を用いて分析  メダリオンは市場で売買されているが、取引頻度があまり高 くない。

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Uberによる変化時点

17

 2013/8/22 UberがSeries Cで$258Mを調達、Valuation $3.5B

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メダリオンフィナンシャル(MFIN(旧TAXI))

 点線が反実仮想、実線が現実の株価 1 2 3 4 -2 -1 0 1 o rig in a l p o in tw ise

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メダリオン価格(シカゴ)

11 12 13 14 -3 -2 -1 0 1 o rig in a l p o in tw ise 0 100 200 300

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仮説2

 Uberが普及することによって、レンタカー需要が落ち る?  エイビスバジェットグループ(CAR)  ハーツグローバルホールディングス(HTZ) 1. エイビスは2013/1/3 にカーシェア大手ジップカーを約5億ド ルで買収しており、シェアリングエコノミーの恩恵を受ける ため、影響は不明(影響の相対的な大きさに依存)。  他方で、ハーツは伝統的なレンタル事業のみを行っているため、 ネガティブな影響を受ける。 2. ハーツは2016/7/5にUber、Lyftとそれぞれ提携を結ぶことを 発表。したがって、提携後はシェアリングエコノミーの恩恵 を受けると考えられる。  大和自動車交通(9082)  日本のUberは規制によってリムジン配車アプリのみ利用可能 (2014/8/5~)、ライドシェアは利用不可。影響は限定的と考えら れる。

(21)

エイビス・バジェット・グループ(CAR)

0 1 2 3 4 -1 0 1 2 3 o rig in a l p o in tw ise 0 500 1000 1500

(22)

ハーツ・グローバル・ホールディングス

(HTZ)1

1 2 3 4 5 -3 -2 -1 0 1 o rig in a l p o in tw ise 0 500 1000 1500 2000 2500

(23)

ハーツ・グローバル・ホールディングス

(HTZ)2

1 2 3 4 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 o rig in a l p o in tw ise 0 500 1000 1500 2000 2500

(24)

大和自動車交通

5 6 7 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 o rig in a l p o in tw ise 0 500 1000 1500 2000

(25)

仮説3

 カーシェアリングの普及により、カーシェア事業者 が恩恵を受ける。  2009/3/24 パーク24がカーシェアリングに参入  マツダレンタカーを買収  2014/12/10 パーク24「カーシェア」が黒字化 14年10 月期営業

(26)

パーク24

4 6 8 0 2 4 o rig in a l p o in tw ise 0 1000 2000 3000 4000

(27)

仮説4

 Airbnbの登場により、ホテルへの需要は低下するか  高級ホテルとは顧客層が違うので、競合せず影響は限定的 (Zervas/Proserpio/Byers(2016))  アメリカ  4~5つ星:スターウッド(HOT)、マリオット(MAR)、インター コンチネンタル(IHG)、ヒルトン(HLT)、ハイアット(H)  スターウッドはマリオットに買収  ヒルトンは上場して間もないため、推定に十分な長さの時系列が得られ ない。  3~4つ星:チョイス(CHH)、ウィンダム(WYN)、ベスト ウェスタン(未上場)  日本  ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)  日本上陸は2014/5~  ローエンドホテルとは競合する可能性  株価のデータが存在しない。

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Airbnbによる変化時点

(29)

スターウッド・ホテル・アンド・リゾート・ワールドワイド (HOT) 3 4 5 -0.5 0.0 0.5 1.0 o rig in a l p o in tw ise 0 1000 2000 3000 4000

(30)

インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG) 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 -0.5 0.0 0.5 1.0 o rig in a l p o in tw ise 0 1000 2000 3000

(31)

マリオット・インターナショナル(MAR)

3 4 5 -0.5 0.0 0.5 1.0 ori gin al po in tw ise 0 2000 4000 6000

(32)

ハイアット・ホテル・アンド・リゾーツ(H)

3.0 3.5 4.0 4.5 -0.5 0.0 0.5 1.0 o rig in a l p o in tw ise 0 500 1000 1500

(33)

チョイス・ホテルズ・インターナショナル(CHH) 2 3 4 -0.5 0.0 0.5 1.0 o rig in a l p o in tw ise 0 1000 2000 3000 4000 5000

(34)

ウィンダム・ワールドワイド

(WYN)

1 2 3 4 5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 o rig in a l p o in tw ise 0 1000 2000

(35)

ジャパンホテルリート(8985)

9 10 11 12 0 1 2 o rig in a l p o in tw ise 0 500 1000 1500 2000 2500

(36)

結論

 シェアリングエコノミーの影響を計測  消費者余剰が理想だが不可能  拡張差の差推定+株価を用いて因果効果を推定  ケーススタディの結果、理論・先行研究と整合的な 結果を得ることが出来た。  タクシーメダリオン市場への影響  レンタカー市場への影響  カーシェア事業の影響  ホテル市場への影響  統計的な有意性を含め、今後も引き続き長期的な影響 を計測していく必要性

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FAQ

1. 株価の分析には限界があるのでは  原理的及び最終的な目的は消費者余剰の分析、現状では不可能  拡張型差の差推定手法を用いるには、ある程度高頻度なデータが必要 2. 投資家の反応を見ているだけでは?  株価=期待将来キャッシュフローの割引現在価値の合計 3. 株価推定のプロセスは効率的市場仮説に抵触しないか  T-1期までの株価を用いて推定したパラメータ値、T期の株式指数や債券 利回りの同時相関を使ってT期の株価を推定しているので、抵触しない。  原理上、株式指数や利回りもシェアリングエコノミーの影響を受ける が、これは無視できると仮定して分析を行っている。 4. ルーカス批判に抵触しないか  もし処置群の株価を予測するなら、ルーカス批判に抵触する。  この手法は、統制群の株価を推定し、現実のデータ(処置群とみなす) との乖離を分析しているので、ルーカス批判に抵触しない。 5. 個別株価と株式指数との間に見せかけの回帰の問題は生じないか  トレンドを同時推定して回避している。

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投資行動の違い

 非シェア経済型企業  各企業が動産・不動産を取得、維持、管理  実物資産への投資  シェア経済型企業  企業はオンラインプラットフォームを整備  ネットワークインフラへの投資  プラットフォームに参加する主体が動産・不動産を取得、 維持、管理  同じ産業分類の企業であっても、異なる投資行動  Ex. 無形資産投資  ただし、スタートアップのB/S関連データは取得出来ず、 分析は困難

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概念図

 供給規制(𝑆0:メダリオン、白タク規制、旅館業法)撤廃の効果  供給曲線が右にシフト&価格弾力的に 𝑆0 𝑆 𝑆

参照

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