生徒 の学び ・学生の学び 一 中大連携 の試み
は じめに (1)
「パイオニアスクール よこはま」への応募 横浜市立松本 中学校 と神奈 川大学 は歩いて15 分 ほ どの至近距離 にあ るため, これ まで に も体 育館 や運動場 の相互利用 や,行事 の際のブ ラス バ ン ドの演奏 な どさまざまな形 で関係 を持 って きた。神奈川大学教職課程 と松本 中学校 との関 係が深 まったのは2003年学生が,中国帰 国者の 家族 である生徒 の言語生活 の支援 や部活指導の 援助 な ど,生徒 の学 び を支 える活動 にボラ ンテ ィア として参加 す る一方で,学生が新 しい授業 方法 を学ぶ ため に松本 中学校 の授業参観 をさせ て もらうようになってか らである。横 浜市教育 委員会 「パ イオニアス クール よこは ま」 の募集 に際 して, こ う した関係 を基礎 に 「中学校 ・大 学連携事業 の試 み」 をテーマ に掲 げて応募 した ところ,2005年度か ら 「提案公募型改革モデル 校」 として採用 されることになった。 中 ・大連携事 業 と して立 ち上 げ る こ とに よっ て, これ まで行 なって きた協力 関係 が よ り深 ま り,バ ラバ ラに行 われて きた さまざまの交流 を 一定 の計 画 の下 に実行 で きる。神 奈 川大 学 は, 地域社会- の貢献 を果 た しつつ,教職課程 を履 修 している学生 に中学校 との交流や ボ ランテ ィ ア経験 の機会 を提供 で き,松本 中学校 は,学 内 行事,PTA活動 ,生徒指導 な どに関 して, さま ざまの支援 を大学か ら得 ることがで きるのだ。 1年 目の2005年度 の事業 としては,学生 ボラ ンテ ィアに よる中学校 の授業サ ポー ト,夏期休河上
婦志子
鈴木
浩
業 中の補 習 サ ポ ー ト, 「総 合 的 な学 習 の時 間」
の支援 ,学生 ボ ラ ンテ ィアの部活指導 ,その他 大学の施設 開放 やPTA対象 の講演会 な どが計 画 された。 (2)「総合的 な学習の時間」の支援 中 ・大連携 の場合 ,高校 と大学 の連携 とは異 な り,受験生 を媒介 に しないだけに よ り純粋 に 連携 が組 め るのであ るが, ともすれば大学側 が 一方的 に中学校 にサ ー ビス を提供 す る形 にな り かねない。 もちろん地域社会へ の貢献 が求め ら れる高等教 育機 関 としては,近 隣の 中学校 での 教育 に何 らかの支援 を送 るこ とはやぶ さかで は ない し,その機会 を大 い に利用 したい ところで あ る。 だが大学 か らの一方 的 な出超が続 いては 相互 関係 が破綻 を きたす恐 れ もあ る。 それ を防 ぐため には,学生 たちのボ ランテ ィア体験 を実 りある ものにす ることが必要である。 本稿 は2005年度 の事業 の1つである 「総合 的 な学習 の時 間」 の支援 につ いて,その経過 と結 果 を報告す る ものであ る。学生 ボ ランテ ィアに よる支援 を行 な う際 に念頭 にあ ったの は,
「総 合 的 な学習 の時 間」 を生徒 の 自発 的 な 「学 び」 の場 にす る と共 に,学生 に も彼 ら自身の 「学 び」 を保障す る ことであ った。 もちろんボ ランテ ィ ア体験 その ものが,学生 に大 いなる学 びの機 会 を提供 して くれ る。 しか しそ こに何 らかの意 図 的な態勢が なければ,単 なる一つの経験 で終 わ って しまうか もしれない。 そ こで 「生徒 の学 び と学生 の学 び」 を ともに - 83-第26号 神奈川大学心理 ・教育研究論集 達成す るプランとして考 えついたのが,松本 中 学校3年生たちの総合学習のテーマである 「地 域 に還す」 を,PTAや地域住 民 を対 象 に した 「中学生 に よる神 奈 川大 学 キ ャ ンパ ス ツアー
」
で実現す ることであった。1
. キ ャ ンパ ス ツア ー の背 景 と計 画 松本 中学校では,全国 に先駆 けて 「職業体験 学習」 を実施 して きた。地域 にあるさまざまな 事業所 を訪問 し,実際 に職業体験 を して 自らの 進路選択 に役立 てる とい うキ ャリア教育の一環 としての位置づ けであった。 2002年か らの現行学習指導要領 によ り 「総合 的な学習 の時間」が導入 されたの を機 に,従来 の 「職業体験学習」 を拡大再構成 して 「地域学 習」 として実施す ることになった。具体的 には, 1年生で 「地域 を知 る」 とい うテーマで地域の 商店 や歴史,防災対策 な どについて調べ,2年 生では 「地域 に学ぶ」 と して地域 の事業所 での 職業体験 などを行 なうこととした。そ して,3 年生 では 「地域 に還す」 とい うことで,中学生 が地域 に貢献で きることを企画 した り発言 した りす ることとした。 「総合的 な学習の時 間」 をさらに発展 させ る ためのプランを練 る中で,学習対象の 1つ とし て地域の教育機関である神奈川大学 を組み込 む 案が出た。従来の方法 に したが って この案 を実 行 に移す とす るな ら,中学生が大学 を訪問 して 調査 し, その成果 を ま とめて報告 す る とい う 「調べ 学習」 のパ タンを取 るこ とになる。 しか しそれでは3年生の 「地域 に還す」 とい うテー マ を実行 で きないばか りか,客体化 された神奈 川大学 とい う位置づ けになって しまい,相互 に 主体 的であるはずの 「連携」の意味が ない。そ こで 「生徒の 自主的な学習」 を支援す る とい う 「学生 たちの主体 的な活動」 を組織す るこ とに よって,両者の学び を達成す る場 を作 り上 げよ うと したのである。生徒 は大学 について学 び, 学生 は生徒支援 を学ぶ。 だが これだけでは物足 りない。新 しい こ とへ の挑 戦 とい う意味 での 「パ イオニア」 にふ さわ しい企画が欲 しい。 そこで浮上 して きた案が 「キャンパスツアー」 である。それは,学生の支援 を受けた中学生が, 保護者や地域住民 を対象 にキ ャンパ スツアー を 実行す る とい うプロジェク トである。 もちろん 学生が生徒 に神奈川大学キ ャンパス ツアーを提 供 し,そ こで生徒 たちが学んだことを後 日発表 す る とい う形 の企画 もあ りえたが,中学生 自身 の主体的活動 を重視 し,彼 ら自身が企画立案 し たツアー を, 中学生 自身にガイ ドして もらうこ とに したのである。 また中学生の手で地域住民 をキ ャンパ ス ツアー に案 内 して こそ,3年生 の 「総 合 的学 習」 の 目標 で もあ る 「地域 に還 す」 を実行することにもなる。 一方,大学生が 中学生のキ ャンパス ツアーの 企画 と実施 を支援す るに当たって,大学生 自身 にもさらなる 「学 び」 の機会 を提供す ることに した。それは,キ ャンパ スツアーで回る大学内 の組織 や施設 ・機 関の協 力要請 をで きるだけ学 生が行 な うようにす るとい うものである。各組 織や施設の関係者 に, この プロジェク トの趣 旨 を説明 し,中学生 による調査 を受 け入れて最終 的にはキ ャンパス ツアーの訪問先 となることを 応諾 して もらうとい う交渉作業 を,学生 自身の 手で行 なうのだ。 こうしてキ ャンパ スツアーのプロジェク トは 3段構 えの構成 をとることになった。第 1段 階 は学生 による訪問先の選定 と交渉。第2段 階は, 学生が選 んだ訪問先 の中か ら中学生 自身による 訪問先の決定 と調査。第3段 階は, ツアーガイ ドと しての中学生 による保護者や地域住民対象 のキ ャンパス案内。 表1はプロジェク トの時間的経過 をまとめた ものである。 これに したが って,生徒 と学生の 活動 を記述 してみ よう。1)生徒 の学 び ・学生の学 び一 中大連携の試み 表1 活動の経過 4月27日 ボランティアの学生の顔合わせ :キャンパスツアーの計画 と3段階システムを取ることの 説明○学生には生徒の自主的活動 を支援する立場を堅持 して欲 しいと要望するo 5月12日 資料 を参考に,キャンパスツアーの候補 (中学側の要望 を受けて男女 1名ずつの 5チームを編成oチームそれぞれのテーマ も決定o施設や組織)を選び,その中から10ヶ所程度に 絞る○ 5月26日 中学校側でも各テーマに関心をもつ生徒でグループを編成 し,それぞれのグループが大学 に来 られる日程を大学に連絡o 5月31日 中学生からグループ毎に学生への質問を提出○ 5月下旬- 学生が候補の組織や施設 を回 り,キャンパスツアーへの協力交渉を実施○ 6月中旬 学生が中学校 に出向いて生徒 と顔合わせ○自己紹介や組織 .施設の説明○ 6月中旬 生徒 を引率 して大学内の下見 ツアー実施るだけで職員や関係者への質問はなLo学生はこの日のために訪問先 リス トやマ ップを準08-12ヶ所 を回るoこの時は単に外側か ら眺め 備o下見の後,中学生がそれぞれの訪問先に質問 したい事項を書 き込む用紙 も作成○ 6月下旬 中学校で学生 と生徒が,キャンパスツアーをする組織や施設を 5ヶ所に絞る○質問事項を 考える○ 7月上旬 中学校の総合的学習の時間 「地域学習」の期間に合わせて,学生に引率 された生徒が選択 した 5つの組織 .施設を訪問○関係者にさまざまの質問○内部をより詳 しく観察o 9月下旬- 中学生との打ち合わせやキャンパスツア-の リハーサルo 10月上旬 数回の打ち合わせや 2回のリハーサルを行なったチームもあるo 10月 5日 各チームのキャンパスツアーのスケジュール完成o関係各所に文書で再依頼○ 10月8日 キャンパスツアー○本館玄関前で集合○チーム毎に参加者を引 き連れて,訪問先を巡るo 2.第 1段階 :キャンパスツアーの下準備 (1)学生 の活動 2005年4月 27日,誘 い に応 じて集 合 した学 生 た ちに, この プ ロジ ェ ク トにつ いて説 明 し,大 学 の組 織 資 料 や地 図 を渡 して, キ ャ ンパ ス ツ ア ー の コース プ ラ ンを作 っ て くれ る よ うに依 頼 。 複雑 な3段 階構 成 で あ る こ と, ツアーの主役 は あ くまで生徒 た ちで あ り,学生 の役 割 はそ の支 援 で あ って指 導 で は ない こ とな ど も話 す。 学 生 た ちは1人 を除い てすべ て教 職課程 を履修 して い る3年生 で あ った。 5月 12日,再 集合 した 10名 の学 生 た ちは, そ れぞ れの プ ラ ンや関心 に もとづ い て男 女 1名ず つ の 5チ ー ム ,① 文 化 ・芸 術 ,(む科 学 ・理 科 , ③ ス ポ ー ツ ・健 康 ,④ 施 設 ,⑤ 総 合 を編 成 。 組 織 資料 や大 学案 内 な どを もとにキ ャ ンパ ス ツ ア ーの候補 先 を10か所 以上選 び, それぞ れ を学生 が訪 問 して プ ロジ ェ ク トの趣 旨 を説 明 し, 中学 生 の下見 見 学 や キ ャ ンパ ス ツアーの対 象 にな る か も しれ ない こ とにつ い て の協 力 を取 り付 け る 交 渉 をす る こ とに な った。最 終 的 にキ ャ ンパ ス ツアーの対 象 とな るの は5か所 と したので,学 生 が 開拓 す る組 織 や施 設 が必 ず キ ャ ンパ ス ツ ア ー に含 まれ る とい うわけで は なか った。 そ の た め訪 問先 - の説 明が さ らに複雑 にな り,学 生 た ちは交 渉 に苦 労 す る こ とにな ったの で あ る。 最 初 か ら5か所 に しなか ったの は,生徒 の選択 の 余 地 を残 した か った か らで あ る。何 か を捨 て, 何 か を選 ぶ とい う意 思 決 定 を中学生 に も経験 し て もらい たか ったの だ。 野 に放 たれ た猟 犬 の よ うに学生 た ちは飛 び出 してい き,キ ャ ンパ ス を駆 け巡 る こ とになった。 これが か な り無 謀 な試 み で あ る こ とはわか って い た。 学 生 に営 業用 語 で い う 「飛 び込 み」 を し て も らったか らで あ る。 予 め私 (河上 ) が そ れ ー 8
5-第26号 神奈川大学心理・教育研究論集 ぞれの組織の主要関係者 に連絡 をと り,担 当部 署 を紹介 して もらって趣 旨を説明 した上で学生 を派遣す ることもで きた。その方がず っ と容易 に事が進 んだに違 いない。だが敢 えてそれ を し なかった。彼 らに交渉の手続 きやテクニ ックを 体験 して欲 しか ったか らである。大学の意思決 定上の組織 に文書 を回 してあるとはいえ,おそ らく何 の予備知識 もない相手 に,プロジェク ト の 目的や意義 を説明 し,今後の協力の内容 を理 解 して もらい,応諾 を得 るとい うのは,学生 な らず とも非常 に困難 な作業である。 しか し文化 系の学生である彼 らにとって,社会 に出てか ら の仕事 の大半 は人 間相手の交渉で占め られるに 違 いない。大学時代 にこの苦労 を体験 してお く ことがで きれば,それは実 り多い学 びの機会 を 享受 したことになるはずである。 もちろん交渉先が大学外 の組織 や施設であれ ば, この ような暴挙 は避 けた。学 内の組織 ・施 設であるか らこそ,そ して対応 して くれるのが 大学の職員や関係者であるか らこそ,学生 の学 びや育 ちに手 を貸 して もらえる もの と信 じて彼 らを送 り出 したのだ。 とはいえ交渉が難 しい と 予想 される訪問先 については,予め連絡 を取 り 了解 を得 るなどした。 学生 たちは, 自分 たちが選 んだ組織 ・施設で 担当職員 を捜 し当て,彼 らにアクセス してプロ ジェク トの趣 旨を説明 し,中学生の見学,そ し てその後 に続 く保護者 たちへのキ ャンパスツア ー実施 の許可 を得 なければな らなか った。予想 通 りこの過程 で学生 たちは大いなる苦労 を味 わ い,時 には辛 くて不愉快 な思 い もした様子 だ。 またそれ以上 に,突然の訪 問に職貞 たちは戸惑 い,業務の邪魔 に もなった ようだ。 と りわけ複 数のグループが訪問先 に選 んだ組織 では,同 じ ような意図 をもった学生たちが,次 々 と押 しか けて くるので困惑 の度合 い も深 か った と思 う。 しか し学生の成長 と学習 につなが ることな ら理 解 し協力 して もらえるはず と信 じて,問い合 わ せ や苦情 の連絡 が来 る まで静観 す る こ とに し た。そ して苦情 を呈 されれば確実 にこち らに否 があるので平 身低頭謝 って,協力 を要請す るこ とに努めたのである。 学生 たちは下調べ に出かけた先 で,文書 によ る申請 を要求 されることや上層部 の了解が得 ら れるまで待 た されることもあ った。 また組織 内 での連絡漏 れで何度 も足 を運 ば されることもあ った ようだ。 しか し彼 らは辛抱強 く試練 に耐 え て,訪 問先 を確保 してい った。 そ の過程 で私 (河上) は依頼文書 の書 き方 を説 明 した り,学 生が紹介 を頼 んで きた施設の関係者 に連絡 を取 った りして側面か ら支援 したが, どの ような訪 問先 を選ぶか, また どの ように動 くかはなるべ く学生の 自主性 に任せ ることに した。 この間の経験 を,学生 たちは次 の ように書い ている。2) 施設 に挨拶 に行 くに も, ものす ご く緊張 し た し, また挨拶す る際 に持参すべ き資料作 り に悪戦苦闘 しま した。 ・それで も施設へ のお話 も何度 も伺 うようになって くる と, な ん とな く始めたばか りの頃の不安や緊張 な ど の 「イヤな要素」が 自分 の中か ら消 えていっ たような気が しま した。 様 々な場所 でキ ャンパ スツアーの依頼 を し てい く中で,内容 を正 しく相手 に伝 えること の難 しさを知 った。相手 は何 も知 らないか ら といってだ らだ らとキャンパス ツアーの こと を話 して も相手 に迷惑 なので,簡潔 にかつ重 要 な部分 を逃 さず に伝 えることが大事 だ と学 んだ。 この他 に も 「施設 に許可 を得 るなどの 『外 回 り』的なや り方の コツみたいな もの も,身につ いた と思い ます」と感想 を書 いた学生 もいれば, 連絡 のための メール交換の間に,文章が説明的 にな り,丁寧 な言葉遣 いがで きるようになるな ど目ざま しく変化 してい った学生 もいた。 この 時期 の反省 点 と して
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「早 め に 日程 を決 めてか ら交渉 に移 っていれば,暖味 な 日程 で相手側 にご迷惑 をかけずに済 んだ」 と感 じた学生 もいれ ば
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「責任者や窓口をはっ き りさせ,文書 を送 付 した上で交渉 にかかるべ きであった」 と書い た学生 もいた。学生 たちは苦労 と工夫 を重ねる 中で,社会人 としての初歩 を学び始めた ようで あった。 こうして問題点 を掌握 した学生 たちか らの要 望 や 関係 部署 か らの要請 もあ って,6月 中旬 , キ ャンパ ス ツアー ・プロジェク トの 目標 や 目的 を記 した協力依頼文書 を作成。学生 たちは必要 に応 じて この文書 を持参 して活用す ることに し た。 この第 1段 階で,最 も困難 を感 じたのは学生 との連絡 である。その理由の 1つは,新学期が 始 まってか らプロジ ェ ク トを立 ち上 げ たため に,学生 たちの空 き時間が全 く不一致で,全員 集合 どころか,各チーム2人一緒 に集 まって も らうこ とも難 しい こ とが多 々あ った こ とで あ る。で きるだけ昼休みの時間に相談 に来 て もら うこと,必要 な文書 は一定の場所 を介 して頻繁 にや り取 りす ることに したが,連絡 は もっぱ ら メールに頼 る しかなかった。第 2の理由は,学 生 たちが 「報告 ・連絡 ・相談」 の大切 さを十分 認識で きていない ことにあった。 もちろんその 重要性 を理解す ることも, このプロジェク トの 目標 の一つであったのだか ら無理か らぬ ことだ が,チームによっては 2人の学生が 2人 とも何 の連絡 もしない場合があって,彼 らの活動の掌 握 に苦労することがあった。 第1段 階の反省点 としては,学生の活発 な行 動 についていけない ところ もあ って,学生の活 動 を側面か ら支援 して くれていた関係者, と り わけ さまざまな苦情 を受 け付 けて くれていた部 署への連絡が遅れた ことである。私 (河上) に とって も初めての経験であった とはいえ, もう 少 し早めに学生の活動 を掌握で き,事前 に連絡 で きていれば不要 な摩擦 を避 けることがで きた か もしれない。 生徒 の学 び ・学生の学び一 中大連携の試み (2)生徒の活動 松本 中学校が神奈川大学 との連携事業 を開始 した2
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年度 よ り,神奈川大学 は 「地域学習」 の7つの対象の うちの1つになった。1年生で は 「神大 を知 る」 として,調べ学習 とキャンパ ス巡 りを実施することに,2年生では 「職業体 験」 として,学内の さまざまな仕事 を体験す る ことに,そ して3年生 はキ ャンパスツアーを実 施 し,保護者や地域 に自分 た ちの学 んだことを 「還す」 ことに した。 3年生 に学習対象の希望 をとる段階で,
「神奈 川大学」 を選べ ば中学生 自身が 「キ ャンパス ツ アー」 のガイ ドをす ることになる と伝 えて募集 した。当初,非常 に多 くの生徒 が希望 したが, 適正人数である3
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人程度 に調整 した。 中学生 の第1段 階の学習活動 は,① 大学 を知 る,② テーマ ごとにグループを作 る,③神大 に ついて調べ てみたい ことを出 し合 う,である。 最初 に 「大学 とは何 か」について調べ ることは, この学習 に欠 くことので きない活動である。生 徒 はインターネ ッ トを通 じて, さまざまな大学 の公式 ホームページを探 り,キ ャンパ スの広大 さや施設 の充実ぶ りに驚か されていた。 また, カリキュラムの多様 さや難 しそ うな講座名 に戸 惑い もした。 こうしたいわば導入的な学 びを通 過 した後,今度 は具体 的 に 「神奈川大学」 につ いて調査活動 を開始 したのである。 5月 中旬 か ら6月 中旬 にか けて学生 た ちが協 力交渉 を行 なっている間,中学生 たち も5つの チームに分かれ,知 りたい ことや行 きたい場所 について次の ような質問 をまとめ上 げた。 これ は大学 に送 られ,それぞれの学生チームに伝達 された。 <生徒 か らの質問>A
-学生へB
-河上へ 【文化 ・芸術チーム】 A ・常民研 って何 ですか ? ・勉強は何時間 しますか ? ・吹奏楽部の練習時間は どれ くらいです か ? - 87-第26号 B 神奈川大学心理 ・教育研究論集 河上先生 は,中学の教科でい うと何 を 研究 しているのですか ? ・ゆ とり教育 について どう思いますか ? ・最近の時事問題 で気 になることは何 で すか ? 【科学 ・理科チーム】 A ・どれ くらい授業 に出れば単位 を取 るこ とがで きますか ? ・工学機器は どれ くらいの値段ですか ? ・受験の時, どれ くらい勉強 を しま した か ? B ・どの学部が人気があ りますか ? ・特徴的なサークルは何ですか ? ・文化祭はあ りますか ? 【スポーツ・健康チーム】 B ・一番 人気 の部 活 ・サ ー クル は何 です か ? ・大学 とは, どんなところですか ? ・大学教授 になるには どうすればいいの ですか ? 【施設チーム】 A ・神大の中の人気店は何ですか ? ・自慢の施設は何ですか ? ・人気のある部活動 は何 ですか ? B ・神大生 は先生 にとって どんな学生です か ? ・神大に勤めて何年ですか
?
・ジェンダーつて何ですか ? 【総合チーム】 A ・神大 に入 ってよか ったことは ? ・中学 と大 きく違 うところは何 ですか ? ・中学生 に参加 で きるイベ ン トはあ りま すか ? B ・どの ような研究 を しているのですか ? ・大学教授 になって よか ったことは何で すか ? ・今の中学生 に一言 中学生 にとって大学 とい うもの を捉 えること は,予想以上 に難 しかった ようだ。朝 ホームル ームに集 まって一 日がス ター トし,係や委員会 活動があ り,多 くの人が部活動 に参加 している, とい う中学校 のイメージか らなかなか脱却で き ない。質問 を見 る と 「人気 のある部活動 は何 で すか?
」 などとい うものがある。 これな ど,大 学の体育会の部活動が,中学校の部活動 と全 く 違 うレベ ルで行 なわれている とい うことが イメ ージで きていない典型である。 こうした状態で あったが,生徒 たちな りの調査 を行 なって,学 生 との出会いに向けて学習 を重ねていった。そ して先の質問 リス トが出来上が ったのだが,そ の際 なるべ く生徒の素直 な質問 をぶつけてい こ うと考 えた。あ ま りに誤解 している場合 は修正 し体裁 を整 えたが,教師のア ドバ イスは最/ト限 にとどめるように した。 ところで,生徒 と学生,そ して鈴木 と河上の 位置関係 を図示す る と下図の ようになる。河上 か ら鈴木の間に距離がある上 (もちろんメール でのや りと りは頻繁 に行 な ったが),その間 に 学生 と生徒が介在 しているので,それぞれの意 図やね らい,理解や思いの間で当然ズ レが生 じ る。 このズ レを修正 してい き, ともか く7月の 第1週 までにある程度の形 を作 らなければな ら なかったのだか ら,学生 は さぞ苦労 したであろ う。 しか し,そのズ レを修正す る努力 のプロセ ス もこのプロジェク トの狙いのひとつであった。3.
第2
段 階 :キ ャンパ スツア ーの計画立案 (1)学生の活動 6月中旬 ,い よい よ学生 たちが 自分 たちの下 調べ を終 えて生徒 た ち と対 面す る こ とになっ た。生徒 たちの授業時間 と学生たちが割ける時 間 とを一致 させ ることが難 しかったが,それぞ れ に何 とか都合 をつけて,6月中旬 か ら下旬 に かけて生徒 と学生が数 回面会 し,下見見学の段 階で訪問 したい組織 ・施設 を1
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か所程度 に絞 り 込 んでいった。それ をまとめたのが表2の 「下 見訪問 リス ト」である。 これ をみ る とわかるよ うに,い くつかの施設 は複数のチームによって 訪問先 に選ばjtているOで きるだけ重複 を避 け たい ところだったが,学生や生徒 の 自主性 を重 ん じる とい うタテマエ上 ,調整 は しなか った。 また学生 と生徒の時間の都合 によって,五 月雨 式 に訪問が行 なわれたので,バ ラバ ラと何度 も 中学生の 目に さらされた施設や関係者があった に違 いない。学生が中学生 を引 き連 れて学内 を 回るこの下見見学は単 に外側 か ら施設等 を見学 するだけで,関係者への面談や質問は行 なわな かった。 初 めて中学生 と対面 した学生たちは 自らも緊 張 していた し, また生徒 の緊張が伝 わって きて 一層 ナーバスなっていた らしい。翌年 に教育実 習 を控 えてい る3年生 に とって,次の ような経 験 と気づ きは非常 に重要であるとい って よいだろう。
最近の中学生はキ レやす い とか,対人関係 を築 くのが下手 な どの イ メー ジが あ ったの で,最初 は どうなるこ とか と思 っていたが, 実際 に話 してみ る とす ぐに打 ち解 けることが で き, よか った と思 う。そ してやは り最初 は 中学生が緊張 しているので こち ら側 か ら積極 的に話 しかけることが大切 だ と感 じた。 下見見学のあ と,生徒 と学生が相談 して訪問 先 をさらに5か所 に絞 り込 んでい った。 イ ンタ 生徒の学 び ・学生の学 び一 中大連携の試み ビュー に備 えて質 問表 を作 ったチ ー ム もあ っ た。そ して中学校側の 「地域学習の時間」 と し て特設 された7月4日か ら8日にかけて,各 チ ームが選別 した5か所 を訪問 し, インタビュー や資料収集 を実施。学生 たちは予 め訪問時間 を 連絡 し, イ ンタビューの承諾 を得 るように努 め た。表3は,各チームのインタビュー先 と訪問 日をまとめた ものである。 この文書 は関係部署 にも配布 した。 インタビューで得 た情報や集めた資料 をもと に,学生の支援 を受 けなが ら生徒 たちはキ ャン パ ス ツアーの ため の準 備 に取 り掛 か ってい っ た。下調べが足 りないか らと再度の訪問 を して, ツアーガイ ドが滞 りな く実行 で きるように念 を いれるチーム もあった。 この間学生 たちは数 回 中学校 に行 って打 ち合 わせ を行 い, ツアーガイ ドのための資料の作成や説明文作成の準備 を手 伝 ったのである。 この段 階で学生 たちに期待 し たのは,生徒 を指導 しす ぎない こと,手伝 いす ぎない ことであ った。で きるだけ生徒 たちの 自 主性 を尊重 し,自発的活動 をまつ ことを望 んだ。 私 (河上)が直接観察す ることはで きなか った が,学生 たちは自分 を抑 えて支援 の姿勢 を守 っ て くれたのではないか と思 う。 第1段階で も,学生の忍耐強 さと頑張 りには 敬服 していたが, この第2段 階 に入 る と,生徒 との時間調整が非常 に困難であ り, また連絡 の 不十分 さもあって,学生 たちは非常 に苦労 した ようであ った。 しか し学生 たちの顔 は,第1段 階 よ り生 き生 きと して見 えた。それは生徒 たち と接す ることか ら生 まれていた ようだ。真剣 に 学 ぼ うとす る生徒 たちを目の当た りに して, 自 分 たち も生徒 たちの信頼 に応 え,で きる限 りの 支援 したい とい う気持 ちにな り,それが顔 に現 われていたのであ ろ う。 「生徒 た ちの ため に」 とい う思いが彼 らを突 き動 か していたのだ と思 う。 また中学生 によるキ ャンパス ツアー とい う 目標が具体 的に見 えて きたことも,学生たちを 元気 に したか もしれない。環境 問題 のゼ ミナー ル を訪問 したあるチームの学生 は,次 の ように - 89-第26号 神奈川大学心理 ・教育研究論集 表2 KMPキ ャンパ スツア ー下見訪問 リス ト 2005.6.24作成 チーム名 文 化 科 学 施 設 スポー ツ 総 合 施 設 名 1号館 ○ 展望 ラウンジStepOVer 1号館 ○ ○ 地下演習室 2号銘 ○ バ ーチ ャル リア リテ ィセ ンター 3号館 (3-301) ○ 日本常民文化研 究所 9号館 ○ 常民参考重 9号館 ○ 学食 (カル フール シフ ォン) 10号館 ○ ○ ○ 10-41.42講堂 10号館 ○ 工学部建築学科 構造材料実験室 12号館 (12-ll) ○ 図書館 15号館 ○ ○ 留学課 16号館 ○ セ レス トホール 16号館 ○ ○ ○ 教職課程指導室 17号館 ○ ○ ボ ラ ンテ ィア支援室 17号館 ○ ○ プール 17号館 ○ 日本語教員養成課程指導室 17号館 ○ 就職課 18号館 ○ 生協 19号館 ○ 学食
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19号館 (⊃ 保健室 19号館 ○ 語学視聴覚室 20号館 ○L
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教 室 20号館 ○ マ ク ドナル ド 21号館 ○ リハ ーサル室 22号館 ○ トレーニ ングジム(健康科学 スポー ツセ ンター) 22号鋸 ○ コンピュー ター演習室 23号館 (23-103.109) ○ ○ 工学部応用化学科山村研 究室 23号館 (23-801.808) ○ 法科大学院 24号館 ○ 法廷教 室 24号館 ○ ○ 航空工学研 究部 体育館 のわ き ○ 内燃機 関研 究部 体育館 のわ き ○ 自動車工学研 究部 http://jggj.net/kanaclub 体育館 の わ き ○ メカニカルデザ イ ン部 http:/仙lue.ribbon.to/∼zyouheki/ ○ 体育鋸 ○ ○ グラ ン ド&テニス コー ト ○ ○ 剣 道場 ○表3 KM Pキ ャンパスツアー訪問 リス ト7月4日∼ 8日 2005.7.18作成
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名
施設名
文 化 科 学 施 設 スポーツ 総 合 備 考 バーチ ャル リア リテ ィセ ンター 3号館 (3-301) ◎ 7/7 ◎ 7/7 日本常民文化研 究所 9号館 ◎7/4 学食 (カル フールシフォン) 10号館 ◎ 7/6 ◎ 7/6 10-41.42講堂 10号館 ◎7/8 工学部建築学科構造材料実験室 12号館 (12-ll) ◎7/15 図書館 15号館 ◎ス ミ ◎ 7/7 セ レス トホール 16号館 ◎ 7/6 ボランテ ィア支援室 17号館 ◎7/7 プール 17号館 ◎ 7/6 生協 19号館 ◎ 7/6 保健室 19号館 ◎ 7/6 語学視聴覚室 20号館 ◎7/6 トレーニ ングジム(健康科学スポーツセ ンター) 22号館 ◎7/6 ◎7/6 コンピュー ター演習室 23号館 (23-103.109) ◎7/6 工学部応用化学科山村研究室 23号館 (23-801.808) ◎7/6 法廷教室 24号館 ◎7/6 ◎7/6 ◎7/6 体 育鋸 ◎7/6 グラン ド&テニス コー ト ◎7/6 メカニ カル .デザ イ ン部 ◎7ノ6 経済学部学部長室 ◎7/6 松本ゼ ミナール ◎7/5 灘罪蒲献牙q
欄
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第26号 書 いている。 神奈川大学心理 ・教育研究論 集 (生徒 たちは)4月か ら始 まった ゴ ミの分別 拡大 につ いての意見 や家庭 での取 り組 み につ いて大学生か ら質問 され る と,真剣 に答 えて い ま した。みん な, とて も しっか りした意見 を言 っていたので,私 は,感心 しま した。 も しか した らそ こ ら辺 の大学生 よ りもよ く考 え て い る の で は な い か と思 っ た く ら い で す。 ・中学生 は色 々 と考 えてい るので, それ を言 う機会 をた くさん中学生 に与 えてあ げることは大切 だ と思 い ま した。 しか し時 には,生徒 たちがや る気 をな くす こ ともあ った ようだ。別 の学生 は次 の ように報告 してい る。 時折彼 らが ダラけた り,や る気が な くなっ た りした。その時 には何 とかや る気 を出 させ ようと,資料 を充実 した もの に した り,遊 び 心 を加 えた りした。 また仲 を親密 に し,信頼 関係 を創 るため に,学校 の こと,部活 の こと, 普段 の こ と,先生 の こ と ・ ・な ど, た くさ んの話 を した。 すべ ての学生 に共通 した思 いは,ある学生の 次の言葉 に集約 されているだろ う。 生徒 のみな さんの活動 を陰か ら支 え,少 し で も役 に立 てた らと思 い, (プロジェク トに) 取 り組 んで きま した。 日を重 ねるにつれ,坐 徒 とも親 しく接 す るこ とがで き, とて も楽 し く活動す ることがで きま した。 ただ この時期 になる と,時間調整 の関係 で活 動 に支 障 をきたす学生 も出て きた。 と りわけ時 間割が タイ トな学部 の学生 は,生徒 との面会 に 時 間 を割 くことが難 しか った ようである。幸 い なこ とに各 チーム にそれぞれ 1人 はなん とか時 間 を都合で きるメ ンバ ーがいたおかげで最後 ま で持 ちこたえ られたが,残 された学生 の負担 は 大 きか った と思 う。今思 って も薄氷 を踏 む よう なプロジェク トであ った。 この第2段 階の反省点 としては,学生 と生徒 の共 同作業 についての経過報告 を聞 くこ とがで きなか った ことである。第 1段 階 と同様 ,学生 た ちが一 堂 に会 す る時 間が もて ない こ と もあ り,生徒 との関わ りの実態,そ こでの試行錯誤 や成功 と失敗 の体験 を,鈴木や河上 を含 むメ ン バ ーで共有 し,分 か ち合 い,語 り合 うこ とがで きていれば,学生 の学 びは もっ と深 まったに違 い ない。あ る学生 は次 の ような不満 を述べ てい る。 生徒 たち を どの よ うに指 導 ・支援 してい け ば よいのか わか らな くなる時があ った。私達 が計 画 して きた もの をや らせ た り,私達が作 って きた資料 を見 て もらった りす るの は一方 的過 ぎるので,何 か違 う方法が あ るか模索 し たが, なか なか良い答が浮か ばない。 そ うい った時 に,中学校 の教 師や大学側 の教授 と学 生 の意見交換 や相談がで きる ような場 を設 け て欲 しか った。 この学生 の言 う通 りであ る。学生 と中学校 お よび大学 の教員が折 に触 れて会合 を持 ち,生徒 の反応 や行動 の解釈 につ いて,学生 と生徒 の支 援 的関係 のあ り方 について,今後 の方 向性 や課 題 につ いて,話 し合 うことがで きていれば, プ ロジェク ト自体 の実 もあが ったであろ う し,何 よ り私 た ちが狙 っていた学生 の学 び と成長 は も っ と促進 され たに違 い ない。 この接点 を しっか りと計画 に組 み込 む こ とがで きなか った ことは 返す が えす も残念 であ り,大 いなる反省 点であ る。 (2)生徒 の活動 この間,生徒 の側 は,大学生 と接す るこ とが で きて, とて も楽 しく感 じていたのであ る。生 徒 た ちが書 いた感想 はおお むね次 の ような もの
である。
○
○ さんが とて もいい人で よかった。楽 し かった。 神大 の人 たち と一緒 に話 し合 いがで きて, ずいぶ ん計画が進み ま した。 これか ら先が ど ん どん楽 しみになって きま した。 この辺が 中学生側 か らの見方 と学生 の感 じて いた こととのギ ャップであった らしい。学生の 感 じていた漠然 とした不安や戸惑 いの原因のひ とつは,生徒 の能力や,生徒 の年齢 か らくるム ラ ツ気 や不安定 さについて十分 な認識が ない こ とであ る。 もうひ とつ は,学生が 中学時代 に, 問題解決的な学習や活動的な学習 を体験 してい ない とい うことにあるだろう。問題解決的な学 冒では, もた もた していた りぐず ぐず していた りしなが ら,学習問題の核心 となるあた りに う ろうろと時間を費や してい くことが よ く見 られ る。 そ して,その こ とが大切 であ る場 合 が多い。
ともか く,中学側 の指導者 としては何 の不安 もな く活動 を進 めていた。 ただ時 には,
「中学 生 なんてそんな もんだ よ,上 出来,上 出来」 と か 「大丈夫,あの子 たちは最後 には しっか りや るか ら」 などとい う,学生 に対す る声 かけが必 要だったか もしれない。そのあた りは,大学生 を指導 したことのない中学校教員側 の大 きな課 題 と言 える。 この時期 の活動 は,私 (鈴木) と学生の メー ルでのや りとりによ り進めていた。 た しかに 日 程 の調整 は難 しく, こち らの総合 的な学習の時 間に,学生が空いている とい うことはほ とん ど な く,放課後や休 み時間を利用 して打合せ を実 施 した。 これは,両校が徒歩1
5
分の距離 にあっ たか らこそ可能であった。 中学校 の教室 に,入れ替わ り立 ち替 わ り学生 が出入 りしている状態 は,たいへ ん珍 しい光景 で もある し,楽 しい ものであった。 中学教師は 生徒の学 び ・学生 の学 び一 中大連携 の試み 多忙 であるので, しば ら くは学生の リーダー と 中学生の リーダーに任せ きりでいた。 調整 を繰 り返 しなが ら行 なわれた下見 ツアー を経 て, グループごとに大学訪問 を実施 してい く中で,中学生のモチベーシ ョンは飛躍的に高 まった。 神大 はす ごい。 グラン ドや体育館が広か っ た。 この施設 のすぼ らしさを, ツアー客 に伝 えたい。 僕 は,工学部系 の施設 に行 きました。す ご い機械があ り驚 きま した。僕 も絶対 に大学 に 行 きたい とい う気持 ちが強 くな りま した。あ の設備 についてわか りやす く説明で きるよう にがんば りたい と思います。 7月の グループごとの訪 問 を終 えてか えって きた生徒 に声 をかけ る と,
「ば っち りです よ」, 「もう大丈夫」 な どとい う声 が返 って きていた ことを思い出す。 今か らふ り返 る と, この6月の動 きは大変 な 状況であった (や っている ときはそれほ ど感 じ なか ったが)。少 しで もその雰 囲気 を知 ってい ただ くために,ある 日の学生 と鈴木 とのメール のや りと りを再現 してみ よう。朝 か らPC
に張 り付 いてメールのや りと り,携帯電話 も駆使 し ての学生 との連絡の毎 日であった。<6
月〇 日>S
-学生T
-鈴木 S-T キ ャンパス ツアー担 当の○
○です。連絡が 遅 くな りましたが,明 日キ ャンパ スツアーの 下見 をす る予定です。生徒達 はそのつ もりで いると思 うのですが。連絡不足ですみ ませ ん。 控 え室 な どの準備が完全で ないのですが, ツ アーの段取 りはで きているので大丈夫 か と思 い ます。詳細 は明 日,電話で連絡 させ ていた だきます。 < この メールは退勤後 の送信 で,私 は翌朝 - 93-第26号 見 ることになった> 神奈川大学心理 ・教育研 究論集 T- S 何 時 にどうい う約束ですか ?一応授業 の一 環ですか ら,い ろいろ難 しい問題 もある し, す ぐお返事 くだ さい。校長 には許可 を取 りま したが,生徒 を校外 に連 れ出すのは校長 の許 可が必要です し,保護者の理解 を得 る必要が あ ります。注意 して くだ さい。 S-T 15:00に図書館 の方 に案内 して もらう予定 なので,それに間に合 うとうれ しいです。 T一一一S 14:50に 1号鋸 の前でいかがですか ?生徒 も今 日打合せがある とは認識 してい ませ んで した。子 どもは何度 も確認 しない と難 しいで す ね。 か な りしっか りした生徒 なのですが。 これ もみ なさんの勉強です。で も,私 と松本 中の校長 だか ら
OK
で ま したけ ど,普通 だっ た らプ ロジェ ク ト自体 が危 う くな っち ゃう よ ! S-T 今 日はご迷惑 をおかけ してすみ ませ んで し た。今,下見 を終 えて生徒達 を学校 に帰 しま した。す ご く楽 しくまわることがで きました。 次 回 もまた,決 ま り次第 なるべ く早 く報告 し ますので よろ しくお願い します。今 日は,本 当にあ りが とうございま した。 T- S 子 ども達 は大変疲 れていた ようです。あれ で,結構 緊張 している ものです。そ うい うこ とを配慮 してい くことも校外 で学習 させ ると きのポイン トなのです。 ともか く今 日はあ り が とう。 一 日でこの有様 である。 しか もこれはある-つの班 のや りとりだけである。全部で5班ある ので,6-7月 にか けて, ほぼ毎 日こん なや り と りが続 いたのであった。 もちろんこの間に も 通常の授業や業務がある。 この 日は,休 み時間 に学校 を駆 け回 り,生徒 と確認 をと り (生徒 は い ろいろなクラス に散 らばってい るので),校 長の許可 をと り,学年の教 師や担任 ,参加生徒 が所属す る部活動 の顧 問 に謝 りなが ら了解 を取 り,保護者- の連絡 は生徒 か ら手紙 をもたせ る ことに し, と一気 に校 内処理 を済 ませ て14:30 には授業終了 とともに生徒 を送 り出 した。 しか し生徒がす ご く楽 しみ に している活動 で あ り,他 の中学校 では経験 で きない学 びの場 で あると思 っていたか ら,たい した苦痛 に も感 じ ず,む しろ生 き生 きとサ ポー トで きた と記憶 し ている。4.
第3
段 階 :キ ャ ンパ ス ツア ーの 実施 (1)キ ャンパスツアーの様子 と学生の感想 こ うしてキ ャンパ ス ツアーの下準備 を終 え, 学生 も生徒 も夏休 み に入 ったが,9月下旬 か ら 10月上旬 にかけて各チームの学生 は,中学校 を 数 回訪問 して資料作 りや説明内容 の確認 を行 な った り,直前 にリハ ーサル を行 なった りして念 入 りな準備 を した。パ ンフレッ トも素晴 らしい ものが用意 された。 そ して10月8日,キ ャンパス ツアー当 日がや って きた。雨 もよいの薄寒 い 日であ ったが,中 学生 たちは用意 した旗 を掲 げて,元気 よ くキ ャ ンパス ツアーに出発 した。 ツアー参加 の保護者 や地域住民が少 なか ったのが残念 だった。少 な くとも各チームに10人程度の参加者が欲 しかっ たのだが,少 ないチームではたった3人の参加 者 に5人の生徒が説 明 に当たる結果 になって し まった。 とはいえキ ャンパ スのあちこちで,中学生 た ちが十分 に準備 を した ことがわか る自信 にみち た態度 で,大人 を相手 に堂 々 と説明 している様 子 は感動 的であった。同一時 間帯 にあ ちこちで キ ャンパス ツアーが行 なわれているので,すべてを観察す ることはで きなか ったが,携帯電話 と分刻みのスケジュール表 を片手 に進行状況 を 確認 しつつ,い くつか同行 してみた。工学部の 化学実験室の前では用意 した模造紙 を広 げ模型 を使 って,その研究室で行 なっている研究 につ いて説明 をしてみせていた。図書館やジムでは, まるで 自分の部屋 の ように設備や機能 を案内 し ていた。法廷教室では,生徒 たちが裁判官,檎 辛,弁護士,被告 に扮 して模擬裁判 を実演 して いた。 そ してその生徒 たちの姿 をみつめる学生 たち の まなざ しの優 しさと晴れやか さ。学生たち も この 目を迎 えてそれ までの苦労が吹 き飛んだこ とだろ うが,私 (河上) も生徒 と学生双方の様 子 を見て, このプロジェク トが一応 の成功 を収 めたことを確信 した。 何 よりも感動的だったのは,学生が生徒 の成 長 を目の当た りに したことを心か ら喜 んでいる ことであった。 最初 -・会 った ときは,少 し頼 りない部分 があ り,正直, このメ ンバ ーで本番 まで に何 とかで きるのかな, と思 っていたが,中学生 の成長ぶ りには本 当に驚か される。最初 は人 前で話す以前 に,私達大学生 と話 をす るのに も緊張がみ られたのだが,今 日の本番では予 定 になか ったア ドリブで笑 い をさそ った り, 私 の想像以上の発表がで きていた。 自分 のグループには比較的元気 の良い子 た ちが揃 っていて,今 日のキャンパス ツアーで きっち りや って くれるか, とい うわずかな不 安があ りま した。 しか し,彼 らは リハーサル よ りもはるかに素晴 らしく,た くま しい態度 で,本番 をクリア して くれ ま した。 自分が思 ってい る以上 に,生徒一人一人 は,各 自の役 割 を理解 し,周到 な準備 を進めて くれていた 結果である と思い ます。生徒の成長 を見 れた ことは, とて も貴重 な経験 だ と思い ます。 生徒 の学 び ・学生の学 び- 中大連携の試み この数 ヶ月,5名 の生徒 達 と触 れ合 って, 生徒達の成長 を目にす ることがで き,大変良 い機会 を過 ごせたな, と思い ます。 そ うなのだ。数 ヶ月 とい う期 間の中で,キ ャ ンパスツアー とい う一定の 目標 に向けて活動 を 組織 してい く過程 を共有 したか らこそ,生徒 た ちの成長 に気づ くことがで きたのである。 これ は2-3週 間の教育実習で は体験す ることので きない感動であろ う。 そ して生徒 の成長 を実感 で きることこそが,教育の原点であ り教育職の 醍醐味 なのだ。 (2)生徒 たちの活動 と感想 キ ャンパス ツアーの実施 に先立つ9月 に,紘 合 的 な学習の時 間
・
「地域学習」 の学年発表会 があ り,キ ャンパ スツアーのグループに も取組 みの途 中経過 を報告 して もらった。生徒 は,写 真等 を使 って発表 した り, クイズ を作 った りし た。科学チームは習 って きた実験 を して見せ た。 どのチーム も神奈川大学の魅力 を実 に楽 しげに 語 っていた。 い よい よツアー直前 になる と,何度 も打合せ を した り,大学 に行 って リハ ーサルを した りと い う活動 を行 なっていた。 この間の連絡 もまた 学生 との メールであ る。 この時期,2学期制の 松本 中学校 で は学期末 にあた り,期末 テス ト, 成績処理等が入 り, しか も体育祭 とい うとて も 大 きな行事があ って,中学校側 は混乱 を極 めて いた。そのため学生 との約束 を忘 れて しまった こともあった。それで も, なん とか このプロジ ェク トを成功 させ ようとい う相互の 「思い」が あって,乗 り越 えることがで きた。 この直前期 での学生たちの対応 には心か ら感謝 している。 生徒が作成 した保護者 むけ案内のメ ッセージ を紹介 してお こう。 【文化 ・芸術 コース】 私 たちの コースは,神奈川大学の文化や芸 術 に関連す る ところをご案 内 します。神大 に しかない常民文化研 究所や語学教室,ボラン - 95-第26号 神奈川大学心理 ・教育研究論集 テ ィア支援室 な どを見学 します。楽 しい ツア ー に します の で , み な さん見 に来 て くだ さ
い。
【科学 ・理科 コース】 理系 の設備 が少 ない横 浜 キ ャンパ スに も高 度 な科学技術 を集めた設備があ ることをご存 じで しょうか。僕 た ちKM (注 :神 奈 川大 学 ・松本 中学校 の略) プロジェク ト科学 チー ムは,神大の山村研 究室 での電子 レベ ルの実 験 や,迫力あ るCG
映像 「バ ーチ ャル地球史 博物館」 などの施設 を紹介 します。 【スポーツ ・健康 コース】 私 たちスポー ツ ・健康 チームは神奈川大学 のスポー ツジム (一般 の方 に も開放 してい ま す)や保健室 (とい って もす ご く大 きいです が) な どの,スポー ツや健康 に関す る施設 を 案 内 します。一生懸命 ガイ ドしますのでぜ ひ おいで ください。 【施設 コース】 僕 たちは,神奈川大学の特色 ある施設 を案 内 します。案 内す る際 には,工夫 した発表 を 予 定 してい るので,ぜ ひ参加 して くだ さい。 お待 ち してい ます。 【総合 コース】 僕 たちは,神奈川大学 にあ る さまざまな施 設 について学 び ま した。め ったに見 るこ との で きない施設 も見学 させ て もらい, とて も勉 強 にな りま した。 学習 した こ とを生 か して, ▲キャンパスツアーを終えて 精一杯 ガイ ドしたい と思 い ます。 そ して, ツアーガイ ドマ ップやパ ンフ レッ ト も完成 し,い よい よキ ャンパス ツアー当 日を迎 えたのである。 前述 した ように,当 日は中学生が とて もが ん ば り,説明の内容 も方法 も充実 した ものだった ので, ツアーに参加 した人 たちは非常 に感動 し た ようである。 キ ャンパ ス ツアーに参加 した保護者 の感想 を 掲 げてみ る。 【文化 ・芸術 コース】 身近 にあ りなが ら,初 め て神奈川大学 にお じゃま しま した。研 究資料 の数 々 をみせ てい ただ きとて も興味深 く見学 させ ていただ きま した。生徒 の説 明す る様子 か らは, これ まで の学習で一生懸命努力 して きた こ とが伝 わ り ま した し,生徒 を見守 りサ ポー トして くだ さ る学生 さんや研 究室 の先生 の温かいお気持 ち が,保護者 と して, とて もあ りが た く思 い ま した。 【科学 ・理科 コース】 近 くであ りなが ら入 るこ とが なか った大 き な施設 をみせ ていただ き,お も しろか ったで す。松 中生 ,神大生 との交流 の中で,本格 的 な実験 や施設 を見 る こ とで,将来の展望が も てた らいいですね。 【スポーツ ・健康 コース】 普段 ,あ ま り見 るこ との ない大学 内 を見学 させ ていただ けて, とて も楽 しか ったです。 松 中生 の説明や対応 も素晴 ら しく, また,足 りない部分 を大学生 が カバ ー して くれて良か ったです。室 内プールや ジムは一般 に開放 し てい る とい うこ となので,一度利用 してみた い と思い ま した。 【施設 コース】 原稿 を見 るこ とな く, 自分 の ことばでわか りやす い説 明で した。 い きい きと した よ うす か ら,神大 に憧 れ を抱 いてい る様子 。「将来 , 神 大 に来 たい ?」 と聞 くと,
「はい, で もその前 に高校 入試 があ りますか ら ・ ・」 との こと。将来 に夢 と希望 をもってい る子 ども達 に,力強 さを感 じま した。前向 きな子 ども達 の姿勢 に,拍手 ! 【総合 コース】 総合 とい うことで,広 く浅 く ・ ・の イ メー ジで したが,そんなこ とはな く,各々の 場所 について, とて もわか りやす く要点 を押 さえた説 明で, よ く調べ てあ るなあ と感心 し ま した。模擬裁判 も, よ く考 え られていて楽 しか ったです。神大 に通 って学習 してい る と きも, きっ ととて も楽 しか ったの だろ うと感 じられて よか ったです。 こ う して,参加者 はやや少 なか った ものの, 好評の うちにキ ャンパス ツアーは終了 した。 さてツアー終了直後 の生徒 の感想 をい くつか紹 介 しよう。 中学生 である僕 たちは, まだ,大学 とい う ものの全体が よ く見 えていなか った。しか し, 学習 を進 めてい くうちに,その全貌が わか っ て きて,そのスケールの大 きさに率直 に感動 した。 7月 に入 る と神 大 の学生 の方 と打 ち合 わせ をす る ようになった。 自分 たち よ りも年 上 の学生 の方 と話 す と思 い緊張 してい たが, 担 当の方 は とて も親切 で,僕 たちの知 らない 世界 を教 えて くれたので,その後 の学習 の進 みが よ くなった。実際 に神大へ行 って様 々な 体験 (セラミックや化 学実験) を した。 中学校 で はで きない貴重 な体験 をさせ て もらって うれ しか った。 は じめは少 しかた くて, 自分 自身大丈夫 か な と思 い ま したが,僕 が案 内 した常民文化研 究所 をきちん と理解 して もらえた と思 うので よか ったです。練習ではつ まって しまった り, 学生 さん に背 を押 され る場 面 もあ りま した が, ほぼ予 定通 り案 内す る ことがで きてホ ッ としま した。 ここまで くるの に多大 な時 間 を 生徒 の学 び ・学生の学び一 中大連携の試み 使 い ま した。 6月頃か ら学生 さん と共 に神 奈 川大学 内 をまわ り, まず 自分 で理解 しようと 努 め ま した。 そ して, ツアー本番 のため に何 度 も打 ち合 わせ を して当 日成功 させ るこ とが で きたので, うれ しく感 じま した。 これ らの感想 を読 む と,6月か ら少 しずつ モ チベ ー シ ョンが高 ま り,神大へ の理解 や学生 と の交流 も深 まっていった様子 が感 じられる。 その後 も中学生 の学習 は続 き,11月 に全校発 表会で学習成果 を報告 した。科学チーム を中心 にパ ソコンを使 って体 育館 で プ レゼ ンテー シ ョ ンを行 なった。 最後 に,彼 らが高等学校受験 に際 し作成 した 「自己
P
R
書」3)に書 いた もの を紹介 したい と思 う 。 神 奈 川大 学 との連 携 事 業 に参加 した こ と は, 自分 の進路 を考 える点 において も,大学 の魅力 を知 る ことがで きた点で も,本 当 に貴 重 な体験 で した。 松本 中学校 で は,総合 的 な学習 の時 間が と て も盛 んです。 中で も,神奈川大学 との連携 事 業 が とて も印象 に残 ってい ます。 これ は, 大学生 と一緒 にキ ャンパ ス ツアー を企画 した ものです。 この経験 に よ り, よ り大学 に進学 したい と思 うようにな りま した。 ここには,二人分の短 い文のみ を掲載 したが, キ ャンパ ス ツアーの企画 に参加 した全員 が,高 校進 学 にむ けての 自己P
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書 に, この プ ロジ ェ ク トの体験 を書 いてい る。そ して,全 ての生徒 が,
「大 学 に進 学 した い と思 う よ うに な った」 とい う趣 旨 を述べ てい る。 自己P
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書 で は, ほ んの数行 のスペ ース に, 自分 た ちの中学校3年 間での体験 を善 くのだが,その中に全員が この キ ャ ンパ ス ツアー を取 り上 げた とい うこ とは, 少 な くとも生徒 に とって非常 に強烈 な印象 を残 した学習であ った とい うこ とがで きる。 またそ - 97-第26号 神奈川大学心理 ・教育研究論集 れが彼 らの進路選択 に大 きな影響 を与 えた とい う事 実 は, 中学生 とい う時期 の学 習 の成果 と し て見逃す こ とがで きない。 あわ りに こ う して1年後 に学生 と生徒 の活動 を振 り返 ってみ る と,学生 に対 す る感 謝 と敬 意 を新 た に せ ざる を得 ない。単位 に もな らず ,成績 に も関 係 な く,何 の報酬 も得 られ ない とわか ってい な が ら,忙 しい 日程 をや りくりして学 内諸機 関 と の交 渉 に走 り回 り,生徒 との手 さ ぐりの共 同活 動 を進 め,そ して生徒 を励 ま しつづ けて素 晴 ら しい成果 を生み出 して くれた。 そ して私 た ちの意 図 した通 り,交 渉相手 を納 得 させ , 同意 や協 力 を引 き出す こ との難 しさを 身 を もって経験 し, その こ との意味 も後 になる ほ ど理解 して くれ る ようになった。教職課程 の 学生 に とって何 よ り収穫 だったの は,生徒 の 自 主性 を尊重 しつつ側 面 か ら支援 す る とい う困難 な体験 を もっ こ とが で きた こ と,そ してその報 奨 と して生徒 の成長 と自発性 をその 日で確認 す るこ とがで きた こ とであ ろ う。 協 力 して くれた10人の学生 (うち9人が教 職 課程 履修 者) の うち2人が教員採用 試験 を現役 合 格 し,4人が教 職 浪 人 の道 を選 んで い る。彼 らに とって, この キ ャンパ ス ツアー プ ロジェク トを最後 まで遂行 した こ とが,そ してその過程 で経験 した さまざまの努 力や苦労 が ,今後 の職 業 生 活 の上 に少 しで も役 立 つ こ と を祈 って い る。 最後 に, この企 画 に振 り回 されつつ協 力 して くだ さった学 内の さま ざ まの組織 ・施 設 ・機 関 の関係 者 に改 めて深 い感謝 を捧 げたい。4) 1)神奈川大学の学生の活動 は河上が,松本 中学 校の生徒の活動 については鈴木が執筆 した。 2)以後引用する学生の言葉 は,キ ャンパスツア ーの下準備がで きた7月 と,キ ャンパス ツア ーが実施 された10月8日に学生 に書いて もら った感想文である。 3)神奈川県公立高等学校入学者選抜 に際 し,前 期選抜 で行 われ る面接検査 に参考 とす る資 料。生徒 は中学校 での取 り組みや活動の成果 などの 自己アピールを書いて提出する。 4)この企画が好評 だったので,翌年 も同様のキ ャンパスツアーが実施 され,保護者 ・地域住 民の参加者 も40名 に増加 した。